2000/07/20  「興国寺で座禅」
 中学校で海体験学習があった。山の学校なので海体験、都市体験、雪国体験学習をローテーションで行っている。昨年は雪国体験でスキー、そばうちをした。今年は郡内の由良町白崎で1泊2日の海体験。1日目は海水浴、鍾乳洞見学等。2日目は釣り、スキューバダイビング、座禅の3コースに分かれて体験学習。生徒は自由選択で釣りが16名、ダイビング2名、座禅6名。教師は2〜3名ずつ別れて参加した。私は希望通り座禅。前から一度やってみたかった。釣りは経験あるし、ダイビングもやってみたい気もしたが、プールだからウエットスーツではなく水着のままでということで恥ずかしかったこと、もう一人若い女の先生が希望してたからという理由で私は座禅にした。
 由良町には興国寺という地元では有名な寺がある。ここは鎌倉時代、源実朝を祀るために建てられた臨済宗(栄西が始めた禅宗)の寺である。室町幕府最後の将軍足利義昭がこの寺に滞在したことがある。その頃この地方を治めていた湯川氏は北朝方として足利氏と古くから縁が深かった。義昭は信長に降伏する形で京都を追い出され、河内の三好氏のもとを経て由良興国寺にやってきて、さらに南下して牟呂郡芳養荘泊城に入り、熊野の地侍に協力を呼びかけるために1年余りそこで過ごしている。しかし結局思うようにはいかず、鞆の浦へと流れていくのである。 今の興国寺は派手さはないが、落ち着いたたたずまいで趣のある寺である。
 さて座禅である。副住職に案内され、本堂へ。本堂には、小さな仏像が置かれていた。寺の大きさから言うと仏像が小さいので意外な感じがした。副住職もツギがあたったかなり着古した感じの木綿の無地の袈裟を着ていた。裸足だった。宗教のことをあまり知らないが、この宗派は質素を重んずるのだろうか。少し話を聞いて座禅をする堂へ行った。尻があたる部分が3重になるように折った座布団が向き合うように並んでいた。私達は4人ずつ分かれて向き合うように座った。座禅でもこの臨済宗の場合はお互いに向き合うが、道元が始めた曹洞宗の場合は向き合わないらしい。足の組み方であるが、片方の足だけでも、ももの上へ置けばよいということで体が固い私は当然そうした。生徒達も皆そうした。副住職は着物をめくって足の正式な組み方を見せてくれた。頭の先から肛門まで一本のまっすぐな棒が通る感じになるように背筋を伸ばし、両手はへその下で軽く組む感じ。目は軽く開いていてもよいという事だが私は閉じた。呼吸はひとーつ、ふたーつとゆっくり数えながらするようにということだった。1回目は5分の瞑想だったが、これはとても長く感じられた。途中、体が揺れてくる。背筋も、もともと背中がピンと伸びていないので、まっすぐ保つことは難しい。呼吸も数がいくつかわからなくなった。集中できない。長い長い5分が過ぎ、お話を聞いて、今度は10分の瞑想。棒でたたいてほしい人は、お坊さんが回って来たとき両手を合掌すればたたいてくれるということだった。私はこれは経験したいと思っていたから当然お願いした。10分の途中でたたいてもらったから気分転換になったらしく、最初の5分ほどしんどくなかった。左肩2回、右肩2回。音はすごかったが、それほど痛くなかった。むしろ快感であった。また、お話を聞いて5分の瞑想。これは最初よりもずっと短く感じた。すんだら本当に精神が落ち着いて、すーと研ぎ澄まされた感じがした。本堂に戻り、またお話を聞いた。瞑想は外国の一流スポーツ選手は皆やっていて非常に有効であること、スーパーモデルでも姿勢をよくするためにやっている人がいること、お坊さん達は朝3時から夜12時まで1週間ずっと瞑想をし続けることがあり、その間は座ったまま寝るということなどのお話をしていただいた。もう一人の先生が仏壇はどこに置けばいいのか質問していた。仏はインドにいるということでインドは日本から見ると南西。だから一般的に仏壇は家の西や南に置くのがいいという話であった。つまり人は仏がいる西や南を向いて拝むのがいいということである。しかし、臨済宗は人が仏であるという考えだから、そういうことにはあまりこだわらなくてもよいということだった。その後、寺の中庭や襖を見せてもらった。襖は墨絵で尺八をふく虚無僧の姿など、興国寺ゆかりの絵が描かれていた。庭は心という字をデザインしていてきれいにジャリがはかれた後が残っていた。座禅初体験。副住職の話では5分でもやれば効果があるということなので、これから何か集中したい時があればやろうと思った。本当は毎日でもやればいいのだろうけど