![]()
この、函館「五稜郭」にも 春が来ている。
「春だねぇ・・・」歳三は、砲弾轟く「五稜郭」に居た。
「近藤さん、そろそろ おいらの番だぜぇ」と自嘲気味に笑った。
「土方を暗殺しよう・・・」榎本軍の間で囁き始めた。
「土方が居なくなると、我々も助かるのでは・・・」小声で語り合っている。
「そうして、薩長の奴らの責任にしたら 良いのですよ【大鳥さん】と」
「分かった【土方暗殺・計画】を考えよう」月明かりが、明るくなると【大鳥圭介】の顔が暗闇に浮かんだ。
5月14日、新選組隊士が【函館山】を守っていた。赤く靡く旗。その旗には【誠】の文字が。
未明に、榎本軍は 微力の兵しかいない。そして、誠の旗を靡かせる一団、そう 島田達が率いる『新選組』だ。
でも、あっけなく 退却をしなくてはならない事に。武器・兵の数では、薩長に負けてしまうのだ。
歳三は、榎本に言った「島田達・・・いや おいら達の新選組を助けてくれ。頼む榎本さん」
「駄目だ、土方君 君が今行ったら無駄死にするだけだ!」歳三は、くすりと笑い
「やっぱり、おめーさんは【近藤さん】とは違うな。近藤さんだったら、仲間を見捨てたりしねー!!」
その時である、大鳥が「榎本総裁、土方君を行かせて あげようではないですか・・・」と不適な笑みを浮かべ言った。
「しかし、大鳥君・・・」それを聞いていた、永井玄蕃が言う「総裁、土方君を行かせてあげましょう」
あまりの、大鳥と永井の言葉に 歳三は耳を疑った。
「大鳥は、おいらと仲が悪い・・・でも、永井様までが」っと思っていると、榎本が
「分かりました。土方君、函館山に 援軍に行って下さい」「総裁・・・」
大鳥が握手を求めてきた「土方、死ぬのでは無いぞ!生きて、女の元に帰ってやれ」
永井が、次に握手を「土方君、京・そして 今までの働きご苦労であった。必ず【生きて帰ってこい】」っと言う。
「ありがとうございます。皆様。総裁、【土方歳三】無駄死には、致しません」と会釈をした。
榎本・歳三が部屋を出た後「土方さえ消えてくれれば【薩長】も助けてくれるかもしれませぬな」と大鳥が笑い
「榎本も邪魔なのだが・・・」と永井が言うと「薩長が、片付けてくれますよ【永井様】」と大鳥は笑った。
薩長の砲撃と、硝煙が漂う【函館山】
島田達は、話をしていた。
「我々は、この【函館山】で最後を迎えるのでしょうか?島田さん」
「大丈夫だよ。土方さんが助けに着て来てくれるよ」
砲弾と硝煙がたちこめる【函館山】に、一人、馬をかけて来る男がいた。
【土方歳三】だ。皆のは、湧き上がった。【土方さん】が援護に来てくれた。
馬上の歳三は、美神そのものだった。一人、二人と薩長を切り捨てる。
「またせたな!おいらが来たから おめえ達は薩長の連中の奴らには、殺させやしないぜぇ!」と、ニヤリと笑う。
その時である、銃弾が歳三の脇腹に命中した。
馬上から、倒れる歳三。薩長の者達が 歳三を見に行く。
暫くして、死んだであろうっと思った、薩長の者達は 驚きを隠せない。
歳三は、立ち上がったのである。そして、一人・二人と斬り捨てた。驚いた薩長軍は、歳三に尋ねる。
「おおお前は、誰だ!!!」燃え上がる【誠】の旗を見上げると
「新選組・副長【土方歳三】だ!!!」と叫ぶ。「土方さん、もう良いのです。止めて下さい」島田が嘆願すると
「おいら【陸軍奉行並】ではねぇぜぇ・・・島田」と声が途切れ途切れである。
「おいら達の【誠】の旗が燃えてるぜぇ・・・」と呟くと目を閉じた。
歳三が見たのは、試衛館だった。
「ここは・・・」と眺めていると、永倉・原田・平助・山南・総司が話しをしている。
「土方さん。帰りが遅いですね」と永倉・原田が顔を見合わせている。
「土方さんでしょ。遅いのは、祭りの喧嘩か女の人と付き合っているんだ」と子供の様に笑う総司に
「いけませんよ。沖田君。土方君は、行商と試衛館道場を 掛け持ちで来ているのですからね」とお茶を啜る山南。
「なに言ってやがるんぜぇ」と歳三は思った。そうすると、大きな手が肩を叩く
「遅かったな・・・歳」懐かしい、温かい声が歳三の耳を遮る。「近藤さん・・・」
「近藤さん・・・あんたに会えて良かったぜぇ」硝煙漂う、函館に歳三は島田に抱かれていた。
「しっかり、して下さい。土方さん」歳三の頬に一筋の涙が流れた。
その瞬間【新選組の旗】が焼け落ちた。
土方歳三・35歳。激動の幕末に新選組と歩んだ男の生涯だった。
歳三を待っていた【弁天台場】には、相馬主計が【歳三】を待っていた。
だが、届いたのは【土方歳三・戦死】の報告だった。弁天台場は薩長に降伏した。
そして【五稜郭】にも、土方歳三・戦死の報告が届いた。
目配せをした、大鳥と永井だった。悲しみにくれる、榎本は「この五稜郭を薩長に明け渡す事にしたよ」っと
大鳥達、幹部に言った「榎本さん!戦いましょう」と大鳥は言ったが、降伏の言葉に笑みを隠せない。
「ありがとう・・・今まで、私に付いて来てくれた勇者諸君」榎本は、叫び部屋に閉じこもった。
【五稜郭・降伏】に立ち向かう、黒田清隆が入ってきた。
「大鳥さん、榎本さんは??」と問いただすが返事が無い。「まさか・・・榎本さん、この戦の責任をとって」っと不安に思い
榎本の部屋を叩く「榎本どん。黒田でごわす。この部屋をあけてもうせ」と尋ねるが返事が無い。
仕方が無く、ドアを蹴り倒した。まさに一瞬の出来事であった。榎本が切腹をしようとしていたのである。
「なにごてでごわす!榎本どん。おまんさぁは、新しき【新政府】に大事なお方じゃ!!」
「死なせてください。黒田さん。私は【函館】で多くの人物を亡くしました。土方君まで・・・」涙ながらに話す、榎本に黒田は囁いた。
「土方は、いや【新選組】は、維新の矛盾を抱きかかえて 無くなったのじゃ。おまんさーのせいでは、ごわさんど」
「黒田さん」榎本は、我に帰った。私は此れから【新政府】の為に働く。それが、私の罪滅ぼしだ・・・っと
江戸に着いた、私とお雪さんは日野を訪ねた。
土方副長の遺品を、姉ののぶに届けに来たのだ「馬鹿だよ・・・あの子は」と声にならないのぶだったが
暫くして「お雪さん、京には戻らず【日野】で暮らしなよ」と微笑む。「良いだろう?お前さん」と彦五郎に言うと
「お雪さん、そうしたら良いよ。此処は、京みたいに華やかでは無いが・・・」と微笑む。
「おおきに、うち みたいな女に・・・」と涙ぐむお雪に、そっと手を差し出し抱きしめる のぶ。
「良いんだよ・・・あんたは、歳三が本当に愛した女(人)だから」と抱きしめる のぶ。
お雪さんは、日野に残る事にしたらしい。
新選組って本当に維新の矛盾を抱きかかえたまま、儚く消えた 絵物語なのか・・・私は、此処で【筆】を置く事にした。
市村鉄之助・西南戦争で戦死。
儚くも美しく、戦った【新選組副長・土方歳三】彼の名は 残る事であろう。
【完】
お読み下さり、ありがとうございます<(_
_)>【残華】の由来ですが、新選組・武士に命をかけた【土方歳三様】の事で御座います。
土方さんと言えば、村上さんをモデルに書かせて頂きましたので、【残華】と映画【TANNKA】とかけました(笑)
お分かりに、なられたでしょうか!? つまらない(シャレ)なので、ご勘弁を・・・(平伏)