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2005年04月07日【 3.月刊『お前だえよ!』 】

一期一会が教えてくれた宝物。~そよ風に揺られるばあちゃんから~

春は出会いと別れの季節。春風というものを切なく感じるコトってないですか?
「人との出会い」というキーワードを考えてみると僕は、仕事柄色んな人と出会える特権がある。

最近、WTVの取材で県内所狭しとおばちゃんの格好して回ってる訳なんやけど。
・・2月上旬、開園して間なしの南部梅林に行った時の事。まだつぼみが目立っている事もあって、観光バスが来てドッと賑やかにというにはまだ早く時折、春を先取りしに、落ち着いた旅行者が訪れる穏やかな平日。僕こと和歌山のおばちゃんとカメラを持つ番組ディレクターのどっから見てもタダモンじゃない二人が到着するや否や物怖じもせず、行き交う人々にインタビューを行ってると一際賑やかなおばちゃん達の声がする。そこは、土産物売場!「あで~元気やいて~」と僕が溶け込んで行くと、やさしく微笑みかけてくれたおばあちゃんに目が行った。「この人は味はある。」取材歴の長い僕は、マイクを持つとどの人がよく話してくれるか?なんて事が勘でわかるのである。ベンチに腰を掛けてるそのばあちゃんにゆっくりと近づきマイクを向けると、やっぱりビンゴ!僕の想像以上に楽しくインタビューが出来た。「どうもすいませ~ん」と終了後、ディレクターが「外景撮ってくらっ」とその場を立ち去ると、その婆ちゃんは、「まあ梅茶でも飲みな~」と差出してくれた。のんびりと梅畑を眺めながらベンチに腰を下ろしてる二人の後姿は、どっからみても同級生? 歳の頃は70才後半、ばあちゃんは僕の顔を見ながら「若いなぁ~」と何とも羨ましそう。思わず「ばあちゃんの青春時代てどんなんやったん?」と聞くと遠くを見ながら語りだした。聞けば、ばあちゃんの若い頃は、結婚相手を自分で決めるなんて早々出来へんかった見たい。そして、20才の時に相手がどんな人かも知らないまま親同士が決めて一山超えた村からここに嫁に来たという。大家族への嫁入りで苦労の連続だったと振り返る。しかしばあちゃんには当時、ほのかに恋心を抱いてる年上の男性が居てた。相手もばあちゃんの事を好きだった。しかし現代のようにストレートに気持ちを伝え合えれるような風潮でもない。時折、道でばったり会って胸を躍らせ話をしたり、人目を忍んで散歩したりと決して手などつなぐ事などない淡い恋心に抱く二人だったという。そんなある日、その男性からばあちゃんもの人生を左右する話が切り出された。「オレと一緒に大阪へついて来てくれ!」田舎では働く所も限られる。大阪で男として勝負を賭けてみたいという。ばあちゃんは迷った。何故かというと、会う度に言えなかった親同士決めた納得いかない結婚話が着々と進んでいる。‘自分は何もかも捨ててこの人について行こうかな!‘男性の出発に朝まで悩んだが、ばあちゃんはついていく事が出来なかった。そして旅立ちの朝、南部駅まで見送るばあちゃん。蒸気機関車に乗せられた、その人にいつまでも手を振ったのだという。 そして数十年の時が流れてここ最近、決して忘れる事の出来なかったあの人から手紙が届いた。夢を見て大阪へと旅立ったあの憧れの人は、今は立派に夢を実現さして会社の社長さん。温かい家庭もあるらしい。人生には、幾つかの交差点がある。ばあちゃんとその男性はすれ違ったからこそ幸せになったのかどうなのかは分からない。ただ懐しそうに梅の花のように赤みを浮かべながら話すシワシワのばあちゃんが切なくて何だか意地らしく思えたので「会いに行ったら?」と僕が問いかけると「会いに行かなくてもお互い気持ちは分かるからええ」と言う。 後に僕は時間をかけて自分自身、時代の風潮にほんろうされた事、全てを受け止める事が出来たからと勝手に解釈をした。南部の山々から広がる景色を眺めるばあちゃんはゆっくりと進む時間を楽しんでいるようだった。

Posted by sisomaru at 2005年04月07日 14:31


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