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2006年03月12日 | 【 3.月刊『お前だえよ!』 】 |
大成功!笑ってかえる会 ー印南枝曾丸落語会よりー
和歌山へUターンをしてきて8年。「和歌山在住でないと出来ない落語家としての活動を!」
をモットーに今もなお、頑張っているわけなんです。
先日、印南町の若い衆らが僕の独演会を開いてくれた。伺えば、企画から二年越しでやっとの実現と聞いてびっくり!実行部隊は4人。それぞれ地元で仕事を抱えながら、落語会開催というのは大変で何かとわからない事があったに違いない。最初は、自分たちで運営費を出し合って開催しようと考えていたらしいが、それでは地元に根付いたものにならないとこちらから運営に携わらしてもらった僕のマネージャーの杉谷らのアドバイスもあり入場料収入で運営するという事に。会場を決め、チラシやチケットを作りそれをまた売る。地方での公演は、現場での支えがないと中々実現しない。しかも今回は、印南町としては初めての試みで大変だったと思う。幾多の打合せを繰り返し、僕は当日胸を躍らせながら現場へと向かった。この日は、200人収容の公民館で昼夜2回公演。
人口から考えると、400人に来てもらうというのは並大抵ではない。
会場入りの時間より少し早めにも関らず、スタッフの皆さんが玄関で待っていてくれた。
「ようこそお越し頂きました!」と顔をクシャクシャにしながら笑顔でみんなと握手。
大柄の若い衆に混じって見覚えのある小柄なおっちゃんがそこに居てた。
その人とは、役場の古山さんという世話好きのいい人で、印南町で毎年秋に行っている‘食の祭典‘というイベントの仕掛人で僕を8年程前より二年連続司会として呼んでくれてた思い出深い人だ。まだまだ好青年(?)だった僕に対して「印南のスターにしたる!」と言ってくれた人。懐かしそうに僕に少しづつ近づいてきて「ずいぶんとお待たせしました。若い連中らが僕の夢を叶えてくれたんよ」と言ってくれた。時の流れのせいで白髪交じりになった古山さんをギュッと抱きしめたくなる程、僕は嬉しかった。
足早に荷物も運び入れ、会場内を見て感激した。高座や吊看板、金屏風に至るまで全て手作り。心のこもったおもてなしが芸人心を振るわされる。TVからみるタレントとしての僕は知っていても落語家としても僕を観た事がない。そんな人が多い中、実行部隊の皆さんは、知り合いに僕のCDを聞かせて回って、その面白さを伝える努力をしてくれた。
正しく人海戦術。そして開演。初めて落語を演じるとは、思えない程のお客さんの反応のよさで熱気に溢れていた。前座があり僕の和歌山弁落語、休憩をはさんで古典落語というプログラムで進めていく。お客さんが本当に楽しみに来て下さってるという事に僕らも気合が入る。お蔭様で会は二回とも超満員で大成功。夜の部の最後、長編の人情ばなしを演じてる姿を客席の後ろからハッピを着たスタッフの人が目を真っ赤にしている姿が感動的で反対にこっちが高座から泣き出しそうになりました。
そして打ち上げ。町内の旅館で美味しいお鍋を囲んで、ざっくばらんにお互いの労を労らいました。携わった一人ひとりが「よし!」と思えたからこそ得られた感動と僕にとっては素敵な人たちとの出会い。その夜は、美酒に酔いしれました。
明朝、二日酔い気味の僕の目に飛び込んできたのが雨の印南。祭りのあとの町は、また変わらぬのどかな風景。「さあ、帰ろう!」と車に乗り込む。沢山もらったお土産の分重たい車で後ろ髪を引かれるように振返ると町のシンボルである‘かえる橋‘がシトシト雨に濡れているせいか喜んでいる様にみえた。僕は「また帰ってくるね!」とつぶやいた。
Posted by sisomaru at 2006年03月12日 00:06