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2006年06月12日 | 【 3.月刊『お前だえよ!』 】 |
優しさ詰まったばあちゃんこだわりの保田紙は、和歌山の宝
この4月よりNHK和歌山の夕方やってる「わかやまニュースヴェイブ」の中で「紀の国職人物語」という和歌山の伝統工芸師の皆さんを訪ねるという番組を担当させてもらっている。この番組は、ナントおばちゃんではなく久しぶりの男姿での出演なのである。
そして先日、清水町の‘保田紙‘を取材に行ってきた。
古くは、和紙づくりが盛んで幾つもの工場があったらしのですが有田川の大洪水で全て流されてしまい、その紙づくり自体途絶えてたらしい。
しかし伝統ある産業を残そうと、町が高齢者の雇用の為にと紙づくりを復活させた訳。
紙すきなんて勿論初めての僕は、到着するや否や早朝にも関らず元気に作業するおばあちゃん達がいた。いくつかの作業が分担性になっていて結構大変な紙づくりという印象。
今回のメインは、最後の紙すきを体験させてもらう!となのである。
‘紙すき後継者‘という僕からするとお姉さんに伝統工芸師となるおばあちゃんの事を訪ねた。聞けば今年で80才。「身体が元気なんやけど、最近耳が遠くてー」とちょっぴり心配な表情。しばらくする工場の坂道からシャンシャンと駆け下りてくる小ちゃくて可愛い伝統工芸師さんがこっちへ向かってきた。普段見慣れないカメラなどの機械類と我々スタッフに少々びっくりしながらもいつもと変わらないであろう紙すきを黙々はじめるのであった。水槽に原料の入った水をジャプジャプといかにも年代モノの底ある板で上や下や、はやまた左右に、揺らしながら紙をすいていく。納得するぐらいまで繰り返すと、それをベロンとひっくり返し出来上がり。
手際のよさとジャブジャブという音が心地よく、僕は気がつけばばあちゃんの横でじっと眺めていた。「腰つらくない?」「冬は冷たくて大変やねえ?」と僕の横からの問いにも笑顔で返事。しかし手は止まることなくまるで手品師の様に寸分の誤差がない厚さに出来上がっていく。その間、取材スタッフは外景や他の作業を撮りに行ってた。
紙すきも一段落し、そしていよいよインタビュー開始。
娘と同じ年という後継者の人も交えて3人横に並んで話を聞いた。
その昔、海南で盛んに作られていた番傘の紙にと栄えた清水町の製紙産業。
ばあちゃんも子供の頃はよく手伝わされていたらしい。手が覚えているこの技を甦らせる事となった今、紙をすきを続ける事が自分の生きる証のように毎日通う。
そして何よりも嬉しいのが、後継者づくりにと紹介された人が意思を受けついでくれている事だとか。周りが見守る中、インタビューも順調に和気あいあいとしたムードで終わった時、びっくりした事は耳が遠いなんて一つも感じなかった事。「おばあちゃん、枝曾丸さんとの話がとっても楽しかったからちゃう?」と言ってもらった思わずばあちゃんを抱きしめたくなる位愛おしく感じたものだ。TV取材という事もあってちょっといちびって僕も紙づくりを体験させてもらった作品を板に張り外で乾す。夕方の帰り際「どんな紙ができるんやろう?」と眺めていると、ばあちゃんが「きっといい紙が出来らっ。一生懸命すいたもんな?」とやさしく話しかけてくれた。‘手作りの品‘とはつまり、人の温もりが入っているもの。使う方も優しさをもって使わなければなあ~と実感。
いつまでもジャブジャブと清水の山々へこだまする事を祈りながら帰りました。
ばあちゃん、ありがとう。
Posted by sisomaru at 2006年06月12日 00:12