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2007年01月11日 | 【 3.月刊『お前だえよ!』 】 |
さあ!ペダルを踏んで、明日へ進もう
いよいよ12月ですね~ 今年は落語家になりまして20年目の節目の年という事で、記念公演なんかもあり落語一色な1年でした。歳を重ねる度に‘面白いコト‘を作り続ける難しさを実感してる訳です。最近、突然襲い掛かってこられた衝動に駆られ新車を購入した。
新車というても自転車だ。高校時代に友人らと紀伊半島1周など経験して以来、風を感じて走る事に魅了。落語家になってからも仕事の際に自慢のミヤタのロードマンで当時自宅のあった、大阪から和歌山まで走ったものだ。歩道もなく、急勾配で大型トラックがスレスレで横切られながらお尻を振りふりしながらペダルをこぎ頂上まで上りきった後、下りは和歌山の市街に飛び込んで行くではないか思わせる猛スピードは、まるで全盛期のマッチ気分ですっかりハイティーンブギな僕だった。それから、10年の月日が流れ、あの時一緒に風を感じた自転車はたまに近所への買い物程度にしか使わなくなり普段は物置の中。
そんな青春がセピア色に色づき出した最近、原付の不調でバイクを修理に出して、それをお店で待っている時の事だった。一角に、昔お尻をフリフリしていた時代をよみがえらしてくれるピカピカの自転車の数々が僕の目に飛び込んできたのである。
国産の有名メーカーの他、アメリカ製のドラムブレーキ搭載のスタイリッシュなバイクの数々が僕を釘付けにした。知ったかぶりの挙動不審な行動にお店の人が、「これいいでしょう!」と猿でもわかる様に物の良し悪しを教えてくれた。決して売りつけるという様なお喋りじゃなく、乗った時の爽快感を話す店員さんに僕も調子に乗って「これチェーンの絡みがイイな~」とプロ級のコメントを返してしまう。
ただ乗るが好きなだけで、パンク修理まともに出来ない僕は、知ったか振りした分気分も高揚してしまっていたのだろう、アメリカ製のマウンテンバイクを買ってしまったのである。後悔した訳ではないが、「あ~やってしまったなぁ~」という感じだった。
何かにつけ、かぶれやすい僕は早くその自転車に乗ってそのチェーン音を確かめたいと思い、数日経ったある日の秋晴れの昼下がり和歌浦向いて走ったのであった。
自宅の中之島からぶらくり丁を通り抜けて、堀止、秋葉山と駆け抜けるも日頃の運動不足も包み隠さず教えてくれるのも自転車の醍醐味だ。「昔は、市内から本宮まで一日で走った事あるのに・・・」と自暴自棄になりながら、息を切らしやっとの思いで和歌浦漁港に到着。地面に座り込んで自販機でジュースをがぶ飲みにしながら、旅館街に続く長い上り坂を眺めていると、クタクタになりながら自転車を漕いでるお爺さんがいた。
日焼けした飴色の肌に小柄な体系。リュックを背負い、Tシャツに半パンで必死に坂道を登っている。びっくりしたのは、シャツの背中に「人生80才の挑戦。日本一周走行中」と書かれていた。かなりの暴挙に出ている人が目の前を通り過ぎている事に感動を憶えた。
自堕落な体系の僕は、話しかけにいく事もまぶしくてただ見守るだけであった。
何か成し遂げる喜びや希望は、いくつになっても得られるもの。
僕が、買った自転車がそう教えてくれたのだとまだまだひよこの38才は思うであった。
最後に、今年も「お前だえよ~」と読んで頂いてありがとうございます。
1ヶ月何気に感じた事や起こった出来事を書かしてもらってる訳ですが、来年からもこの和歌浦で偶然出会ったお爺さんのように僕の生きざまが垣間見てもらえるようなエッセイを書いて行きたいと思うんでよろしくお願いします。
では、みなさん良い年末を迎えてください。
Posted by sisomaru at 2007年01月11日 00:49