司法書士Q&A(項目)
よくいただく質問のうち、「短期合格の秘訣」に収まらないものをまとめてみました。参考になれば幸いです。
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(1)
開業資金はどのくらい必要ですか?
(2)
司法書士で食べていけますか?
(3)
実務経験がなくても開業できますか?
(4)
司法書士に学歴は必要ですか?
(5)
現在、高校生です。大学に進学せず司法書士を目指そうと思うのですが、そんなことは可能でしょうか?
(6)
私は行政書士ですが、そこらへんの弁護士や司法書士より勉強しているつもりです。優秀な行政書士が裁判事務や登記を取り扱うことには何の問題もないし、国民の利益になると思いますがといといさんはどうお考えですか?
(7)
といといさんは弁護士にはならないのですか?
(8)
司法書士の仕事はどういうルートで入ってきますか?(不動産登記編)
(9)
司法書士の営業方法について教えてください。(不動産登記編)
(10)
法曹界が劇的に変化しようとしています。その変化の中、司法書士制度自体も大きな変化があるようですが(中略)この変化についてどう考えられていますか?
(11)
司法書士さんの平均報酬は1700万円とききました。これは、地域差とか、個人差も大きいのでしょうか?
(12)
サラリーマン状態の、いわゆる雇われ司法書士っていうのは、いないんですか?
必ず開業するもんなのですか?
司法書士Q&A
(Q1) 開業資金はどのくらい必要ですか?
(A) 私の場合は100万円ぐらいです。
その内訳は、事務所の保証金が約80万円、司法書士としての登録諸費用が約15万円、その他雑費5万円といったところです。
事務所の備品は全部リースにしました(リース料月3万円)。備品をすべて購入するつもりなら、250万円から300万円ぐらいみておけば充分でしょう。
なお、自宅開業とし、備品は家庭用FAX、家庭用パソコンとプリンタ、小型のコピー機などで間に合わせるようにすれば、開業資金はずっと少なくてすみます。実際、そうやって自宅で開業し、その後大成功している人もいます。
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(Q2) 司法書士で食べていけますか?
(A) 飲食店や衣料店などを始めるのに比べれば、比較的開業しやすいと思います。
上で述べたように、普通の商売を始めるのに比べれば開業資金はかなり少なくてすみます。また、厳しい試験制度のおかげで新規参入が難しく、地域差はあるものの同業者はまだまだ少ないからです。
ただし、看板を掲げていればお客さんがやってくる商売ではありません。あたりまえのことですが、一生懸命頭を使って経営していかないと事務所は成り立ちません。
その意味で「開業すれば食べていける」的なイメージは捨ててください。
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(Q3) 実務経験がなくても開業できますか?
(A) 私じしんは(司法書士)実務の経験なく開業しました。
新人研修の一環として「配属研修」と呼ばれるものがあります。実際に開業している事務所で実務を学ぶ研修です。期間は6週間(私は3週間でやめましたが)。この研修で必要最低限の「常識」を身につけることは充分可能です。
開業後、わからないことが必ず出てきますが、この配属研修でお世話になった先生や新人研修で同期のメンバーに聞けばみんな親切に教えてくれます。
また「日司連ネット」といって、司法書士だけが利用できるインターネット上の会議室もあり、そこで質問することもできます。
ただし、事務所経営のノウハウに関しては、新人研修などで学ぶことは難しいと思われます。したがって、独立開業にあたり本当に必要なのは、司法書士実務の経験よりもむしろ一般の社会人としての経験(人生経験)ではないでしょうか。
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(Q4) 司法書士に学歴は必要ですか?
(A) 独立開業するのであれば不要です。
社会人経験のある方ならお分かりでしょうが、仕事をしていて学歴が話題に上ることじたい、ほとんどありません。
まれに出身校の話題になった際にも私は高卒で通していますが、それで信頼を失うことはありません。
(なお,私は司法書士になったのちに大学に再入学し,平成20年3月,近畿大学法学部を卒業しました。ですから,今は大卒です。)
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(Q5) 現在、高校生です。大学に進学せず司法書士を目指そうと思うのですが、そんなことは可能でしょうか?
(A) 不可能ではありませんが、事情が許すのであれば進学すべきです。
念のために聞きますが、目の前の「大学入試」という壁を回避する言い訳として「司法書士(試験)」を利用しているのではないでしょうね?
「(大学入試のための)受験勉強にはやる気が出ないけど、好きな法律の勉強ならがんばれそうです」という趣旨のメールをいただくことがよくありますが、はっきり言って無理です。
種類を問わず試験勉強というものは、その性格上、自然には興味をもてない事柄も工夫して頭に叩き込む努力が絶対に避けられません。
しかも、大学入試程度の障害にも立ち向かえず、自分に都合のいい言い訳をして逃げているようでは、そもそもまっとうな大人になれません。若いうちにそんな癖をつけてはいけません。
参考のために申し上げます。
私は高校生の頃は不良少年だったのですが、あるきっかけから大学に行きたいと思うようになり、1年間浪人して早稲田、慶応、同志社などいわゆる「難関大学」に合格しました。当時は今よりも私学の人気が高く、偏差値だけで言えば早稲田、慶応が東大を凌駕した時代です。
そんな私の実感です。現在の司法書士試験は当時の早稲田、慶応の入試より難しいですよ。
あなた、それでも司法書士を目指しますか?
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(Q6) 私は行政書士ですが、そこらへんの弁護士や司法書士より勉強しているつもりです。優秀な行政書士が裁判事務や登記を取り扱うことには何の問題もないし、国民の利益になると思いますがといといさんはどうお考えですか?
(A) まったく問題外です。
弁護士や司法書士の業務がしたいのであれば、弁護士なり司法書士なりになればいいのです。業務をこなす能力さえあれば法を無視していいということにはなりません。
私の妻はペーパードライバーで車の運転が苦手です。たとえ少しばかり酒が入った状態であっても私のほうが運転がうまく、現実に安全だと言ってよいでしょう。しかし、だからといって私の飲酒運転が正当化されるでしょうか?
裁判事務や登記がしたいのであれば、なぜ司法試験や司法書士試験を受けないのですか?合格する自信がないからではありませんか?そんな自分を正当化するために「国民の利益」などという言葉を利用しないでください。
弁護士や司法書士の仕事はもちろん、行政書士の業務も国民の財産や権利に深く関与する仕事です。われわれの仕事には、自分に厳しくなければ悪いことが何でもできてしまうという恐ろしい側面があります。だからこそ、一般の仕事に比べて非常に高いモラルが要求されているのです。なかには「本人申請の形にすれば何でもできる」などと公言する人さえいますが、そんな脱法行為をする人間に法律家としての倫理観は到底期待できません。
これらのことは司法書士に対しても言えることです。改正司法書士法が施行されると、司法書士と弁護士の業務の境目が今まで以上にあいまいになります。弁護士の職域を侵さないよう、司法書士は充分に気をつける必要があります。
確かに質の悪い弁護士もいます。そんな弁護士よりはるかに優秀な司法書士も大勢いることでしょう。しかし、脱法行為は許されません。決してきれいごとを言っているのではありません。何よりも法律家としてのモラルの問題なのです。
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(Q7) といといさんは弁護士にはならないのですか?
(A) 現状では目指す予定はありません。
現在の私の主たる業務は登記とクレサラ事件ですが、いずれも司法書士の業務範囲で可能な仕事です。改正司法書士法の施行により業務範囲も拡大するため、弁護士になることで得られるメリットは相対的に少なくなりました。その意味でも、現状では弁護士を目指す理由がありません。
私はもともと弁護士はおろか司法書士にも興味がありませんでした。ひょんな事から司法書士になってしまったわけですが、たしかに司法書士になってから、たまに弁護士さんの業務にかかわる仕事が舞い込むこともあります。しかし、そんなときには協力関係にある弁護士さんを紹介し、きちんと仕事を引き継ぐことで依頼者のお役に立っているつもりです。現状ではそれで困ることはありません。
ただし、将来的にどうするかは私にもわかりません。司法制度改革など世の中の動きをにらみつつ、その都度ベストと考える選択をするつもりでいます。
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(Q8) 司法書士の仕事はどういうルートで入ってきますか?(不動産登記編)
(A) 不動産登記から説明しましょう。
不動産登記で典型的な仕事といえば…
1.不動産の売買に伴う登記(担保権抹消→所有権移転→担保権設定)
2.金融機関の担保設定の登記(事業用資金の貸付などに伴う場合が多い)
3.担保権の抹消登記(ローン完済に伴うもの)
4.相続登記
…などがあげられます。
まず、1.についていうと、私の地元では銀行の力が相対的に弱く、司法書士は仲介業者(不動産屋さん)や住宅の場合ならハウスメーカーなどが指定することが多いです。銀行の発言権の強い地域では銀行が司法書士を指定することのほうが多いようです。ですから、開業しようとする地域の慣わしを見て、どこに営業をかけるか決める必要があります。
2.の場合は銀行が司法書士を指定します。直接の融資担当者が好みで決めている場合が多いようです。したがって、支店長さんのようなえらい人よりも融資担当の行員と仲良くなっているほうが仕事をもらえる確率は高いといえるでしょう。
3.の仕事も銀行から回ってくることが多いです。ローンを完済した人が知り合いの司法書士がいない場合に、銀行の融資担当者が紹介するのです。司法書士の仕事としては最も簡単な仕事であり単価も安いのですが、その分、銀行としても気軽に紹介できる仕事です。ですから、お付き合いを始めるにあたって「とりあえず抹消でもありませんか?」と言って行員に近づくのもよいでしょう。
4.はもっぱら個人的なつながりからくる紹介が多いです。司法書士会の無料相談会でもよくある相談案件ですから、特に新人のうちはできるだけ会の行事に参加して仕事を取るチャンスを逃さないようにしてください。
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(Q9) 司法書士の営業方法について教えてください。(不動産登記編)
(A) 上記の1.の仕事が司法書士にとってもっとも基本となる仕事です。「取引」と略称されるこの仕事を取るためには、私の地元なら不動産屋さんやハウスメーカーの人と仲良くなる必要があります。
また、取引に限らず不動産登記には必ず金融機関が絡みます。銀行や信用金庫、信用組合、農協などです。こういうところにお勤めの人が知り合いにいたら、融資担当の人を紹介してもらいましょう。
開業したての頃は、とにかく顔を売ることです。前職の同僚、親戚、友人など、人脈はフル活用しましょう。久しぶりに田舎に戻りそこで開業するというような場合なら、同窓会を企画、主催するのもいいでしょう。
ロータリーやライオンズといった集まりはもともとえらいさんが多いので、若いのがぽっと入ってもいい効果はなさそうです。既存の司法書士とつながりのある人が多いからです。それよりも同世代の人を集めて異業種交流会をするといいでしょう。話も合うし、お互いの専門分野を活かしていい関係が期待できます。
こうした活動には即効性を期待してはいけません。あまりにも「カネ!カネ!」というオーラを発していると人は近づいてきてくれません。その意味でも、開業当初は仕事がなくても困らないようになるべく生活資金の余裕をもって事務所を開くべきです。
また、銀行などから依頼を受け登記簿謄本の取得を代行する仕事を「乙号」と称します。銀行の窓口にいっては「謄本取りやります。安いですよ」という営業をする人がいるようですが、おすすめできません。
最近は経費節減のため謄本取りも自前でやる銀行も多いですし、依頼してもらえたとしても忙しいばかりでもうけになりません。補助者を大勢雇っているならともかく、開業当初はひとりで始める人が圧倒的に多いでしょう。それなら乙号は割に合いません。
だいたい銀行で「乙号ください」などというのは貧乏くさくていけません。「センセーもお困りですなーっ!はっはっはーっ!」などと笑われて終わるのがオチです。
営業にもプライドが必要です。もちろん、えらそうにしろということではありませんが。
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(Q10) 法曹界が劇的に変化しようとしています。その変化の中、司法書士制度自体も大きな変化があるようですが(中略)この変化についてどう考えられていますか?
(A) 私も司法制度改革については詳しくなく、願望とも憶測ともつかないような噂をたまに耳にする程度ですから、何とも申し上げようがないというのが正直なところです。
ただ、弁護士にせよ、司法書士にせよ、所詮サービス業ですから、顧客に適正な価格で優れたサービスを提供できる人は生き残っていけるだろうし、そうでない人はやっていけないでしょうね。
もちろん、いま現在でもそうなんですが、今後はこの傾向が強くなるでしょう。
歓迎すべきことだと思います。
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(Q11) 司法書士さんの平均報酬は1700万円とききました。これは、地域差とか、個人差も大きいのでしょうか?
(A) 司法書士の平均報酬が1700万円というのは私も初耳です。おそらくデマでしょう。(※注)
私じしん、報酬についての調査やアンケートなど、受けたことがありません。もちろん、税務署に確定申告はしていますが、税務署でわざわざ業種ごとの平均所得を算出しているとも思えません。税務署の業務の性質からして、平均を出すことには意味がないからです。
実際の平均所得がいくらぐらいになるかは見当もつきませんが、どうでもいいことでしょう。平均が高いからといってそれぐらいは稼げるという保証になるわけもなく、平均が低いからといってそれだけしか稼げないという根拠にもなりえないからです。
さらに、これはやや蛇足になるのですが、そもそも目標を「平均」に置く人は開業者には不向きです。つまり、そういう人は司法書士には向かないのです。念のため、申し添えます。
(※注) 先日,ある受験予備校で講師をされている司法書士の方から,メールをいただきました。その方が,ご自分の著書の中で司法書士の平均報酬額について1700万円程度だと書かれているのだそうです。
その方によると,日本司法書士会連合会発行の「THINK司法書士論叢 会報第94号」(1999年2月15日発行)の中(161ページ)に、昭和57年から平成8年までの「全国会員一人当りの年間平均報酬額(日司連取扱事件年計報告集計表)」という資料があり、それによれば、平成5年の会員一人当りの年間平均報酬額は、1356万1802円、平成6年のそれは、1452万7851円、平成7年は、1663万2227円、平成8年は、1692万4414円、と記載されているのだそうです。
1700万円という数字はこの情報に基づくものであり,決してでたらめなものではないそうですので,ここにお詫びして訂正いたします。
ただし,上記で私が言わんとすることに誤りはないと考えますので(メールをくださった方も基本的に異存がないそうですので),あえて原文はそのままとさせていただきます。
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(Q12) サラリーマン状態の、いわゆる雇われ司法書士っていうのは、いないんですか?
必ず開業するもんなのですか?
(A) 和歌山にはいませんが、東京や大阪にはいるでしょう。司法書士法人ができてくれば、勤務司法書士も増えるかも知れません。
ただ、雇われて働くのであれば資格は不要ですから、現状ではわざわざ資格までとったのに独立しないという人はまれでしょうね。
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