ダニ抗原舌下免疫療法(アシテア・ミティキュアの処方)について



当クリニックではダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する、舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)治療薬 アシテアまたはミティキュアの処方を行っています。塩野義製薬の「アシテア」と鳥居薬品の「ミティキュア」があります。それぞれに特徴がありますので開始前にご相談ください。スギ花粉症治療薬シダトレンとは異なりいつでも開始することができます。

ダニ抗原による気管支喘息をお持ちの方についても、軽症の方に限り、実施することが可能です。(健康保険の適応です)

ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎にたいする舌下(アレルゲン)免疫療法とは

アレルゲン免疫療法は、減感作療法とも呼ばれ、アレルギーの原因である「アレルゲン」を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。アレルギー症状を根本的に治す可能性のある治療法と考えられています。

ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎にたいする舌下(アレルゲン)免疫療法は ヤケヒョウヒダニエキス、コナヒョウヒダニエキスを原料とした アシテアRを少量から舌下投与(舌の下に薬剤を投与した後、約2分間維持して飲み込むこと)することによって体を慣らし、ダニ抗原によるアレルギー症状(アレルギー性鼻炎)をやわらげます。ミティキュアRは1日1回舌下に約1分間保持した後のみこみます。

一般的に舌下タイプのアレルゲン免疫療法のお薬の服用期間は、3年以上継続した方が良いとされています。3〜4年間継続してアレルゲン免疫療法を行うと、中止後も長期にわたり効果が持続するという報告もあります。

[処方までの流れ]

問診票を記入いただきます。
ダニ抗原のアレルギー検査を行います。結果が出るのに数日かかります。(他院での検査の結果をお持ちの方はご持参ください。)

ダニ抗原アレルギー舌下免疫療法について説明いたします。
服用方法、効果、副作用など十分にご理解いただいた後に処方いたします。

初回投与は後日予約の上、クリニック内で行い、投与後30分は副作用が出ないかクリニック内で経過を見ます。

患者携帯カードを交付します。
翌日からは自宅で服用します。

治療開始後は2週間に一回の受診が必要となります(新薬であるため、発売され最初の1年間は薬の処方が最長で14日間となります)。

アシテアの処方を受けられない方

・ダニ抗原アレルギー症で無い方
・本剤の投与によりショックの既往歴のある方
・重症の気管支喘息を有する方軽症持続型以上の重症度の方)
・ガン、自己免疫疾患、免疫不全など全身的に重篤な疾患を有する方
・全身ステロイド薬や抗がん剤を使用している方
・被選択的β遮断薬を使用している方
・妊娠している方
・授乳中の方

65歳以上の方への投与
 65
歳以上の方に対する使用経験は治験ではありません。一般に加齢に伴い免疫機能や生理機能が低下し本剤による十分な治療効果が得られない可能性や副作用がより重篤となるおそれがあります。投与の可否を慎重に判断する必要があります。

小児への投与
 5
歳未満の小児等に対する安全性は確立していません。[2018年2月から5歳〜11歳の小児の使用ができるようになりました]

シダトレン(スギ花粉症舌下免疫療法)の処方について

【特徴】スギ花粉症によるアレルギー症状を治したり、長期にわたり症状を抑える可能性のある療法です。治療には23年前後と長期間かかります。すべての患者様に効果が期待できるわけではありません。服用してすぐに効果がでる薬ではありません。スギ花粉が飛散していない時期も含め毎日内服します。最初は2週間に1度、その後は1か月毎の通院が必要です。

【効果】2割の方は寛解、6割の方はくしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善、涙目、目のかゆみの改善、アレルギー治療薬の減量、生活の質の改善が認められますが、2割の方は効果がありません。まず1年程度内服し、効果があれば継続します。

【治療が受けられない方】花粉症の原因がスギ花粉でない方、重症な気管支喘息(一秒率70%未満)の方、悪性腫瘍や、免疫系の病気がある方は治療をお受けいただけません。

【副作用】非常にまれですがアナフィラキシーなどのアレルギーの症状の報告もありますので初回投与はクリニック内で行います。口内炎、舌や口の中の腫れ、のどのかゆみ、耳のかゆみ、頭痛などが起こることがあります。

【治療のスケジュール】スギ花粉症であることが確認できたら、シダトレンを2週間かけて徐々に増量し、その後は一定量を長期間服用します。

【服用時の注意】服用後5分間はうがい・飲水をしないでください。また服用前後2時間は運動、アルコール摂取、入浴を避けてください。

ダニアレルギー及びスギ花粉症のアレルギー免疫療法にご関心のある方はまずはご受診の上ご相談ください。

処方登録医師   上田晃子

緊急時対応連携医療機関  日赤和歌山医療センター