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【金田 真議員の質問】(10月11日)

1、産廃の不法投棄・不適正処理について
 産廃問題での知事の基本姿勢を問う
金田
 西口前知事は六月議会で産業廃棄物について、「新宮市における問題について、住民の生活環境に関する切実な問題であり、このことを十分認識してして対応する必要がある。産業廃棄物については、橋本市の問題を初め、新宮市の問題等、県下各地で不法投棄や不適正処理が問題となっている。環境行政上、産業廃棄物の不法処理対策の未然防止のために、組織の充実強化を進めて参りたい。また、業者に対する適正な処分を行うよう強く指導したい。また、許可等にあたっては、厳正に審査し、住民の声を反映させ、違法行為に対しては、厳重処分をもって対応したい」との答弁だったが、木村知事の決意を聞かせていただきたい。
■ 木村知事 
 今後は、関係セクションがスクラムを組んで不法投棄や違法行為に厳正に対処し、美しい和歌山を次世代に引き継いで参る覚悟です。また、できるだけ、地元との話し合いの機会をもち、許可等の判断の際には地元市町村の意見を尊重して参りたい。

熊野川沿いの不法投棄について
金田 
 新宮市の水道取水口の上流約三百メートルの熊野川に面した国道一六八号線の改良工事の南桧杖の産業廃棄物について、現在までの進状況と改良工事地域以外の残っている廃棄物の処理、業者への対応についてお聞きしたい。
■ 道浦環境生活副部長       
 新宮市南桧杖の国道一六八号線のバイパス道路の計画に伴い、掘削土地から燃え殻等の廃棄物が違法に埋め立て処分されていたことが確認されたため、その行為者に対して燃え殻等の適正処理及びダイオキシン類等の検査について指導したところ。検査結果では、土地及び水質中のダイオキシン等の濃度が環境基準を満たしていました。埋め立てられた廃棄物については、平成十二年七月十七日から撤去作業が開始され、八月二十二日に完了したところです。
今後も関連機関と連携を図りながら、行為者に対し、適正処理指導を行って参りたい。

金田 
 新宮市浅里の生コンプラン敷地内での建設業者の産廃を地下に埋める違法行為や砂利採取は、廃棄物処理法、自然公園法、砂利採取法、河川法などに抵触するのではないか。 
■道浦環境生活部長
 事業者が廃棄物を埋め立てていたことを確認したため、同事業者に対し適正に処理するよう指導したところ、事業者が埋め立てていた廃棄物を撤去した。
■ 大山土木部長
 新宮市浅里のプラント敷地内での産廃の違法処理と砂利採取については、河川法に照らすと河川区域外であり、撤去を求めることは出来ない。砂利採取ついては、砂利採取法に抵触する恐れがあったので、指導を行い、現状復旧済み。
 
金田 
 この業者は、平成七年に現在のプラントを建設するにあたり、自然公園法の許可をとらずに土地の形状変更を行いました。しかし、今回同じ場所でもっと悪質な行為が繰り返されたことは、県の指導改善が必要ではないか。
■ 道浦環境生活部長 
 事業者が行った埋め立て行為は、廃棄物処理法では処理基準違反等に、自然公園法では無許可の形状変更に該当する。自然公園内での無許可の土地の形状変更については原状回復されているが、今回の行為に対し厳しく指導を行い、始末書を徴するとともに、文書による厳重注意、及び行為地の緑化改善等についても指導したところ。

自動車まで埋め込まれている
金田 
 白見の滝付近で、タイヤだけでなく自動車が埋められている件や、口高田トンネル付近では焼却灰と廃材などが不法投棄されている件など数多くある。いずれも県は指導していますが、いまだ原状回復されていない。どうなっているか。

■ 道浦環境生活部長
 新宮周辺地域産業廃棄物適正処理連絡会議等で協議し、関係機関が連携を図りながら適正処理指導を行いたい。
■大山土木部長
 河川法に抵触するので、指導したところでありますが、まだ履行されていないため今後指導強化して参ります。

 違法業者には厳正な対処を
金田 
 こうした行為者である地元の土木や建設業者の社会的責任も問われる。六月議会では「指名停止等のペナルティにつきましては、関係部局と協議して参りたい」との答弁がありましたが、名前の公表も含めて当局の対応を尋ねる。
■ 道浦環境生活部長
 産業廃棄物処理業者に対する許可の取り消し等に係る行政処分要領を適用し、特に悪質な事案については氏名も公表したい。なお、指名停止については、所管の土木部と協
議したところ、和歌山県建設工事契約に係わる指名停止等の措置要項では、業務に関し、不正または不誠実は行為を行った場合は指名停止となるが、適用されるのは代表役員等が逮捕または起訴されたとき。

金田 
 不法投棄一一〇番の設置や未然防止のための体制とルールの強化、今後の対処を聞かせてください。
■ 道浦環境生活部長
 各保健所に事務所を置き、関係市町村、関係警察署、振興局の各部で構成する地域産業廃棄物適正処理連絡会議を設置しており、この連絡会議を中心に不適正処理に対する指導を行っています。不法投棄を発見したときは、市町村や保健所、また警察に通報していただければ、連絡会議を活用して適正に対応する。
 不法投棄一一〇番は本県では設置していないが、国の指導や他府県の動向について情報収集する。

2、熊野川の河川管理について
金田 
建設省が春日砂利株式会社から寄付された土地が放置され、産廃が埋められたり、砂利採取などの自然破壊が行われた疑いがある。河川管理と財産管理の県の責任が問われるが、見解を。
 
■大山土木部長
 産廃が投棄された場所とは異なる。

金田 
 河川管理について、平成九年の河川法の改正により、河川の持つ自然環境や、河川と人との関わりに於ける生活環境を明確に位置付け、河川法の目的に環境に関する事項を明記した。そうした中で、新宮市が環境美化条例の施工に伴い、廃棄物の撤去や地域の団体がカヌーなどで熊野川のクリーンアップ作戦を行っている。河川区域の拡大や、官民境界を明確にして河川環境を守る取組みを進める必要があると思うが、いかがか。
■ 大山土木部長
 河川区域の拡大や官民境界を明確に決定するためには、下流から地籍調査が必要なので、早期に実施するのは困難であると考える。、

 河川整備計画の策定が遅れているのなぜか
金田 
 河川法の改正によって県の河川整備計画の策定が求められているが、なぜ遅れているのか、その原因と今後の方策について見解を。
 ■大山土木部長
 現在建設省で策定を進めている新宮川水系の河川整備基本方針を受けて、建設
省、三重県、奈良県と協力して策定を進めたいと考えている。

 松山地区の産廃業許可申請は早く不許可に
金田 
 新宮市松山の第1種中高層住居専用地域において、自社処理も含めて産業廃棄物の処理を許すのか。住民は、陳情書と約一万二千人の反対署名を県知事に提出いたしました。新宮市は県に、「当地域での業の申請は不適当と考える」との意見書を三度も提出させられています。この松山の事例を許すなら、前例となり、他の住居専用地域でも許さざるを得なくなり、今後の県の環境行政に混乱と悪影響を及ぼすのでないか。本来この地域は、都市計画法に基づき市が県知事の承認を得て決定した住居専用地域であり、環境に配慮しなければならないところだと聞いている。 
 ■道浦環境生活部長
  新宮市長からのご意見を尊重し対処します。

金田 
 土木部長は、六月議会でこの土地の周辺の新たな土地利用計画について「当該地に係わる土木部関係の事業、その他の分野の事業についてもない、との報告を受けている」と答弁がありました。それは、間違いでないかと調査をお願いしていたが、どのような結果になったか。
 ■ 大山土木部長
 当該地周辺の新たな土地利用計画はありません。平成九年度から平成十年度にかけて、建設発生土受け入れ候補地として調査検討に入った経緯がありました。この点について、当該地区は公図混乱地域であり、公図訂正に相当の日数を要するため、残土処理場の建設を進める状況にないと判断した。この点につき、建設部から地元関係者に説明する。

金田 
 この業者の自社処分地の一部を他のところに比べて早々と道路用地として、買収を済ませながら、いまだ進入路の計画がないという買収方法も不思議、説明を求める。
 ■ 大山土木部長
 当該用地は、道路整備を促進するため、平成十年三月に取得している。進入路は、隣接する市道等を利用する方法も考えられることから、継続して協議することで当該地権者の了解を得、事業用地を取得したところ。

金田 
 産業廃棄物の不法投棄などの不法事犯を取り締まるために、警察環境モニターを委嘱したと聞いています。警察には、住民からの通報や相談もあると思いますが、警察はこの種事犯に対してどのように取り組んでいるのか。
 ■ 岩井警察本部長
 関係行政機関と連携を図りながら、産業廃棄物不法投棄事犯等、環境犯罪の取り締まりを行っているが、とりわけ県民の健康を直接脅かす有害物質に係わる事犯、地域の生活環境を著しく破壊する事犯、暴力団等が介在する事犯、行政指導、警告を無視して行われる事犯等、反社会性の強い重大な事犯に重点を置いた取り締まりを実施している。また環境犯罪は、事件検挙が即問題解決につながらないので、場合によっては、捜査と同時進行で、行政当局と連携した行政指導、警告等による早期原状回復のための対策が取られる必要がある。

3、同和行政の終結と同和教育廃止について
 終結にむけた検討会の設置を求める 
金田 
 県行政としても、同和対策事業を終結し、低所得者対策など必要な事業は一般対策に移行することを明確にすべきだ。事業の終結に向けて行政として庁内及び有識者からなる検討会を設置する考えはないか。また、同和対策事業の終結についての考えは。
■ 知事
 同和行政については、平成十年一月に策定した和歌山県同和行政総合推進プランに基づき、教育・啓発、産業・就労対策等の残された課題解決に向けて取り組んでいる。地対財特法が平成十三年度をもって終了することにかんがみ、地対協意見具申の考え方に基づき、平成十二年、十三年度の二か年間で同和対策事業を見直し、同和対策事業を一般対策に移行すべきと考えている。また、有識者を含めた検討会の設置は、既存の県同和対策協議会で対応したい。この一般対策への移行は同和行政の終了でなく、基本的人権を尊重し、県民ニーズを把握し、同和問題を早期に解決するという視点に立って、同和行政を推進したい。

金田 
 最近、和歌山市の地域改善対策の道路改良事業で市職員の公金不正流用事件があった。県も補助金を出した事業であり、監督責任も問われるのでないか。県として反省する材料がないか。
■ 白井福祉保健部長
 平成十年度から十一度へ繰り越された地区道路改良工事において、当時の改善課長補佐が物件移転補償金の一部を他の事業に絡んだ建物補強工事に流用したもの。本事業は、国費及び県費補助事業であり、採択に当たり、同和対策として適切に判断し事業実施した。今後の取り扱いについては、国と協議しながら厳しく対応したい。

 児童生徒の「状況調査」はやめるべき
金田 
児童生徒を対象とした県教委の校区に同和地区を含む学校の状況調査などは、中止すべき。
 ■ 小関教育長
 本県における同和問題は、解決に向かっているが、高校や大学等への進学率の格差、不登校や中途退学率の高さなど課題が残されている。本調査については、同和問題を解決するため、なお必要とされる基本的な調査として位置付けている。

4、障害者に暖かい行政の援助を
金田 
 共同作業所全国連絡会の調査によると、利用者十五人規模の作業所で算定した小規模作業所一ヵ所当たりの自治体からの補助金の平均金額は、和歌山県は心身、精神とも小規模作業所は、下回っております。行政は、いつまでも作業所職員などの奉仕に頼り続けるのでなく、障害者が県民の一人として人間らしく地域で生きたいという願いがかなうために、財政的援助をもっと行政の力で太いものにしていただきたい。
 ■ 白井福祉保健部長
 年々その増額を図っており、全国では平均的な水準にある。補助金の増額は、厳しい財政状況の中、大変難しい。

金田 
 県下においてどの程度、小規模作業所が法人化を希望しているか。また県も、希望している作業所については積極的な対応が必要だと思うが、県の決意を聞かせてください。
 ■白井福祉保健部長
 小規模通所授産施設を経営する社会福祉法人については、関係する政省令の改正作業が進められている。国から得た情報を提供しながら小規模作業所の法人化に対して、市町村と連携を図って積極的に進めていく。

 レスパイト事業に行政の補助を
金田 
 障害児を対象にした学童保育を行っているところは少なく、さらに子供を預かってくれるレスパイト事業と障害児の学童保育を行っているのは、和歌山県では一ヵ所だけだ。また、補助金など制度として保障がなく、運営が大変だ。そのため、保護者の方々が昨年、新宮市議会に「障害者の学童保育とレスパイト事業を認め、補助金を求める」請願書を提出したら、さっそく市議会において採択になった。新宮市も予算の許す範囲で検討していきたいとの答弁があった。県においても、レスパイト事業の国に対する働きかけを求めたい。
 ■ 白井福祉保健部長
今後、授産施設においてレスパイト的な利用ができるよう国に働きかけたい。なお、障害児、知的障害者の短期入所事業が障害者の入所施設で実施されており、宿泊を伴わない日中預かりによるレスパイト的利用が近く認められる予定。

5、救急医療と地域医療の充実を
金田 
 新宮市民病院と救急医療についてですが、初期救急医療体制の整備では、休日夜間急患センターの整備を検討するとありますが、まだ実現していません。その理由と今後の
見通しを説明してください。
 ■ 白井福祉保健部長
 初期緊急医療については、基本的に、市町村が整備するものと考えている。今後とも、休日夜間の診療体制が未整備な地域の整備を促進するとともに、診療時間の拡大などの内容充実を努めるよう関係市町村等を指導したい。

金田 
 三次救急医療体制の整備と圏域内公立病院の機能充実では、新宮市民病院の機能充実と高次救急医療体制の整備を促進するとあるが、これは新宮市に頼らざるを得ない。そして、新宮市民病院はこれにこたえるため頑張っているが、病院建設や医療機器等の設置に要する財源はすべて企業債によるものだ。県の財政支援が必要だと思うが、いかがか。
 ■ 白井福祉保健部長
 新宮市立病院に対して、災害拠点病院の施設整備やがん診療施設整備の補助制度で財政支援を行っている。

金田 
二十四時間体制の救命救急医療センターの見通しは。
 
■白井福祉保健部長
 現時点で困難だ。新宮保健医療圏については、高次救急医療体制の整備や、公立病院の診療機能の充実について、振興局を中心に管内市町村等の関係者により圏域内の医療に関する課題を総合的に検討しようとしているところ。こうした検討を支援するため、平成十二年度地域医療支援事業によって、救急医療体制の整備を推進したい。
金田 
古座川病院には小児科医がいない。古座川病院の医師確保、また、将来の小児科医師を養成するための県の特別対策が必要だと思うが、見解を。
 
■白井福祉保健部長
 本県の小児科医師数は平成十年の調査によると、人口十万人当たりで、全国平均を上回っている状況にある。しかし、新宮保健医療圏では地域的な偏在などの課題がある状況から、圏域内での検討を受け、関係機関に対して小児科医師の確保や救急医療の対応などを要請したい。

【再質問】
・環境問題                                     
 環境や土木など関係部局が住民の意見を聞き、疑問にこたえ、一緒に考えていくことを実行していただきたい。
・同和問題                                     
 今までは、知事の答弁の同和問題を終結していくなかで、可能な限り一般事業に移行していくんだ、と「可能なかぎり」というのが常についてまわった。しかし、今回は知事の答弁からその文言が消えた。有識者を加えた検討会の設置については、個々の事業を終結させるには、庁外から率直な検討を受ける必要がある。
・環境問題
 春日砂利の建設省の土地の名義について、不法投棄だけでなく砂利採取についてお尋ねしている。実際、違法な砂利採取が行われ、それを見つけ、県が指導しました。そのことによって、ダンプ約百台、この砂利を三重県の阿田和から運んで来て、現状を回復した。そのために調査をお願いしたが、たった一点の測量点だけを見て、断定できるものではない。きっちりと調査してください。
 松山の土地利用計画については、一定の計画がないということがわかったが、四百万円も測量費を使ったことは事実だ。その結果について住民に何も知らせていなかったために、いろんな誤解や迷惑をかけたことも事実だ。こういうことは素直に謝るべき。 福祉保健部長に確認。休日診療所は市町村でやれ、新宮市民病院の財政支援はこれまでと同じ。県立救急医療センターはできないとはっきり言われた。紀南の救急医療、医療問題について、温かい行政の手を差し伸べていただきたい