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【村岡キミ子議員の質問】(10月15日)

●与党から副知事への「念書」について
高瀬副知事の知事選立候補辞退との関連
 文書の性格は?
村岡
 最初に、知事選挙に関連して、自民・公明・保守三党の本部の幹事長と和歌山県選出の国会議員が当時の和歌山県副知事高瀬氏に対して与えた「和歌山県の重要事項について」の「ご要望に対する回答」いわゆる念書について尋ねる。第一、この念書は当時の副知事に約束されたものだが、これは県政にとってどのような性格のものなのか。また、何が約束されたのか。第二、この文書は、高瀬氏の知事選挙への出馬見送りに対する見返りだとされている。高瀬氏が立候補すれば県や県民の要望の実現には協力をいたしかねるという意味あいのことを書いてある。知事選挙の候補者選定に政権与党の幹事長や国会議員が県の要望や県民の要望を取引材料にするというのは、県民をないがしろにし、地方自治を侵害するものだ。このような取引のもとに当選した知事として、いかがお考えか。第三、今後とも、県や県民の要望が政権党の党略的な思惑によって地方自治の道具にされてはならない。今後、国への予算要望に当っていかがお考えか。

■ 木村知事
 そのことについて、承知する立場ではないので、答弁は差し控える。

●雑賀崎沖の埋め立て計画は中止を
村岡 
 雑賀崎沖埋立計画は、既に環境アセスメントの前段階としての調査が七千二百万円の予算をもって執行されつつある。白紙でこの問題に当られると言うなら、なし崩し的に継続するものでなく、この調査をいったん中止し、事後にあたるべきと思うがいかがか。
 また、三億三千万円を予定し、住民合意も得ないまま環境アセスメントのタイムスケジュールが定められているようだが、検討し直すべきだと思うがいかがか。

■ 木村知事
 今年の環境調査費は凍結する
 雑賀崎沖の埋立計画のアセスメントについては、まだ着手していない。また、今年度予算に計上されている環境調査については執行を見送りたい。したがって、アセスメントのタイムスケジュールについては未定だ。当面は、既にある施設のより一層の活用を図るため、ご要望の強い上屋や荷役機械の整備、交通渋滞解消のためのアクセス道路の整備、さらには入港船舶をふやすためのポートセールスなどに努めたい。

 計画のもとにある情報の全面公開を
村岡 
 日本共産党は、従来からこの計画にかかわる一切の情報を公開すべく求めてきた。港湾計画の根拠となる貨物需要予測とその根拠、埋立に必要な建設残土の排出予測とその根拠、費用対効果の算定根拠、それぞれについては幾度となく質問してきたが、明らかにされなかった。ある種の数値は示されたが、そのよって来るべき根拠はまったく示されなかった。知事が白紙から検討するということは、当然それらを検討することになるでしょう。その資料を公開し、県民に十分の説明責任を果たしていただきたい。

■ 木村知事
 雑賀崎沖の埋立計画について、すべての情報の公開というご質問だが、雑賀崎沖の埋立計画については、景観検討委員会や地方港湾審議会並びにその会議録を公開し、また貨物の需要予測や計画時の費用対効果についても議会において説明するなど、これまでも情報公開に努めてきたところ。本会議冒頭の就任あいさつでも申しあげたとおり、県民みずからできることは、まずみずから行っていただくという県民自治の精神にのっとり、これからは積極的に県政に参加してもらうことが重要と考えている。このため、今後とも、県として説明責任を果たしながら情報公開に努めたい。

 住民と早く話し合いをすべき
村岡 
 適切な機会を見出だして、住民との話し合いをしたいとのニュアンスでの発言があった。是非、早期に話し合いをしてください。
 ここでも、白紙の態度で住民の皆さんの心情を謙虚に聞き取り、政策判断の要素にすべきだ。前知事時代に既に港湾計画もできて、今年から調査も開始し、環境アセスメントのタイムスケジュールもできているというとき、白紙で虚心坦懐に事を臨むとういうことは極めて厳しい仕事であろう。単に形だけ話をきくということではあってはならない。いかにお考えか。

■ 木村知事
 県民の皆様に対し、常に誠実を旨として、謙虚さを忘れず、県政を預かる者としての責任感、危機意識を持って住民との対話について対応したい。

●介護保険について 
 利用料を払えずに、介護をやめざるを得ない例も
村岡 
国は、これまでの福祉の水準は下げない、介護する家族の負担を軽くするためと言って、十分な理解を得ないまま、たくさんの問題を抱えながらスタートさせた。ところが、この間、介護認定を受けた方で、介護サービスの利用料が重くて必要なサービスを受けられないといったお年寄りが全国で増えてきた。介護認定に基づいて、利用者の希望を聞きながらサービス計画をつくり、利用料を提示し、利用者の合意があれば介護サービスが進められるわけだが、ほとんどの方が高いのに驚かれるようだ。生活費のこと、医療費のことを考えたら、いずれかのサービスをやめるか、回数を減らすか、苦しい判断をしなければならない場合、そのサービスをやめたら状態が悪くなることがわかっていても、利用料が払えないためにやめざるを得ない事態に直面することもたびたびあって、そのたびに、介護保険制度に対する疑問が広がるとも聞く。介護保険の本来の目的から考えても、国が声高に言ってきたサービスの水準をいささかでも後退させることは許されない。

 利用限度額の三割から四割の利用状況
 在宅介護サービスは、介護保険のかなめでもある。介護保険が始まるまでは措置制度でしたので、福祉サービスとして多くのお年寄りが利用できた。本県では、ゴールドプランの目標を超えて、ホームヘルプやデイサービスなど、日本でもトップクラスの整備、利用状況であった事を思い出す。保険制度になって、埼玉県や北海道の民医連、あるいは和歌山生協病院の調査では、利用限度額に対する利用率は平均三割から四割という低い状況にある。介護保険の始まる以前と始まってからの在宅サービスの利用状況はいかがなものか。以前は、今の介護保険では、自立とされるお年寄りも平等に利用できたという違いがあります。同一的な比較はできないと思うが、行政的把握の範囲で結構ですのでお聞かせください。

■ 白井福祉保健部長
 在宅サービスの利用状況―本年四月に介護保険制度が導入され、徐々に在宅サービスの利用者が増えていると承知している。介護保険導入前と後との利用者数の状況については、制度が異なることから厳密な比較は困難だが、生きがいデイサービスを含めたデイサービスについては利用者が三割強増加している。また、訪問看護についても、医療保険も含めて約一割増加している。

 軽減措置をすべての在宅サービスに
村岡 
 介護認定を受けても、利用料が払えないため、必要なサービスが受けられない介護保険では、何のために、誰のために制定したのかが今まさに問われている状況ではないか。 現在、低所得者のお年寄りに対し利用料の減免や減額制度が全国二百四十七の市町村で作られていて、本県では、野上町、日置川町、すさみ町、美里町、本宮町で、新規の利用を含めて実施が行われてきた。国は、利用料について特別対策として、ホームヘルプサービスに限って四月以降の新規利用者を除いて利用料の三%への軽減を実施している。わが党は、この軽減措置を新規のサービス利用者も含めてデイサービス、訪問看護、訪問リハビリ、入浴などすべての在宅サービスに広げる事を最小限の緊急措置として提案している。すべてのサービスの利用率を発展させるためにも必要不可欠のものである。

■ 白井福祉保健部長 
 利用料、保険料について、高齢者の方々が必要なサービスを十分に受けられるよう介護サービスの充実等に取り組むとともに、低所得者に対する利用料の恒久的な負担軽減を国に対して要望していく。

 低所得者から保険料徴収しないよう国に要望を
村岡 
 お年寄りの八割が老齢福祉年金などで生活していると言われている。深刻な事態の中で自治体独自の保険料減免制度が全国で今百五十の自治体に広がっている。これからも広がろうとしている。独自対策をやるかやらないかという問題だが、今厚生省がこういったところに対して、一律に減免することは保険の性質から適切でないということで指導を始めている。しかし、独自対策をやるかやらないかというのは、その地方自治体の裁量権の中にあるわけだ。この保険料徴収そのものついても自治事務に入るから、国がそういった指導あるいは指示をするということは許されない。そういう点でも、国がこういった指導を行っている事については厳しく問わないとだめだ。
 私は、保険料の緊急措置として、住民税非課税のお年寄りや低所得者から保険料は徴収しない措置をとることに力を入れるべきだと思う。県においても、国への積極的な要請をしただろうが、さらに強めていただきたい。

 第一段階の人より低収入の人が第二段階にいる問題
 保険料徴収において重大な問題が表面化してきた。年金収入の高い方よりも多くの保険料を請求されている。しかも大規模に生まれている。ご存じのように保険料は五段階に設定されている。第一段階の老齢福祉年金受給者の年金は、一か月三万四千三百円です。この年金額より高い二段階、第三段階に設定された人が、収入という点では少ない人があります。
 ところが、保険料は高いということになっていますから、大変矛盾した現象が現れている。厚生省の資料で見ると、こういう方が全国に二百五十三万人もいると推定されている。こうした矛盾に気付いた大阪市は、第二段階の方の保険料の減免措置を決めています。全国で二百五十三万人という数だから、恐らく和歌山県にもいらっしゃると思う。ぜひ県は、市町村と協力して調査をし、支援策をとるべきだと思う。

■ 白井福祉保健部長 
 保険料については、現在、各市町村から納入通知書が順次住民の方々へ送付されている時期であり、引き続き市町村と連携を図りながら実態の把握に努めたい。

村岡 
 特養ホームの入所希望者の待機者数と整備状況をお聞かせ願う。

 ■白井福祉保健部長
 特養老人ホームの入所待機者は平成十二年三月現在で、七百三十八人となっている。併設されているショートステイを特別養護老人ホームのベッドに転換することも検討しているところ。

村岡 
 ホームヘルパーについてだが、人材養成は前進しているが、働く職場の確保との関係はどうか。

■白井福祉保健部長
 県主催及び県知事指定の事業者によるホームヘルパー養成研修を実施し、平成十二年三月末の累計で九千百三十二名を養成した。本年度は六千人を養成できる体制を整えたところ。県主催の養成研修については、ホームヘルパーの確保が難しいと言われている過疎地を中心に実施したい。就職状況は、今後把握に努めたい。
 老人医療制度の改悪でさらに重い負担がお年寄りに村岡 介護保険料に利用料という大変な事態が今起こっているが、国は、今国会に健康保険法の改悪案を上程し、七十歳以上のお年寄りに原則一割の医療費負担を押しつけようとしている。これまでは、外来の場合、一回五百三十円の定額でした。これが一割の定率になると、例えば月1回、レントゲンや血液検査をして診察を受けた場合、二千九百四十円となり、二千四百十円の負担増だ。また入院の場合は、現在一日千二百円の退学負担になる。また、入院の場合、一日千二百円の定額負担が今度の一割で計算すると、例えば小脳出血で二週間入院した男性のケースで、二週間で二万七千四百四十円が四万八千百二十円になり、約二倍の負担増になる。お年寄り、低所得者にとって、医療保険の改悪によって、介護保険料とあわせて二重、三重の苦しみや不安を増大させることになるから、憲法第二十五条で保障された生存権をも奪われかねない。健康保険法の改正案を撤回すべきだ。

■ 白井福祉保健部長
 今後の急速な高齢化等による医療費の増加を考えると、医療制度の改革は避けて通れない課題であり、この第一歩としての今回の健康保険等の一部改正を行うものと聞いている。高齢者医療に係わる患者の一部負担については、定額の上限を設け、定率一割制を導入したい。

 乳幼児医療無料制度を就学前に拡充を
村岡 
乳幼児医療については就学前まで拡大することを希望する。
 ■白井福祉保健部長
  (答弁なし)

村岡 
 福祉医療制度を削減するという方向でなく、さらに充実させるとの答弁を求めたい。
■ 白井福祉保健部長
 高齢者にとってよりよい制度となるよう国に働きかけたい。

●廃棄物処理問題について
 ジオメルト工法の安全性は確認されていない
村岡 
 橋本市の日本工業所のダイオキシン汚染処理で、県が行おうとしているジオメルト工法はまだ安全性が確認されておらず、実証的にも行われていない。そんなものを住民に押しつけるのは、住民との「環境保全協定」の精神にも反しないか。   

■ 道浦環境生活部長
 地元、県及び鴻池組との間で締結した環境保全協定に基づく対策協議会の場や、公開討論会の場、また公害紛争調停の場などを通じて、ジオメルト工法についてご理解をいただくための努力をしている。
村岡 日本工業所の違法な産廃処理、それを黙認したり担当職員が業者からわいろをもらっていたということは、県行政の対応に責任がある。もとの環境に復元するまで、県として責任をもって対応する決意を聞かせてください。

■ 道浦環境生活部長
 日本工業所問題の最終的な解決策については、ダイオキシン類で汚染された土壌の恒久対策が完了した時点で地権者及び地元の皆さんと話しあいたい。

●再資源化などの促進を前提に「広域化」見直しを
村岡 
 県のごみ処理の広域計画について。広域化計画そのものを再検討すべきだ。まず、百トン以上の炉をつくるという前提を外して、分別の促進や生ごみの堆肥化、再資源化の促進を前提にしたごみ処理の方向に合致した処理計画を県として指導すべきだ。

■ 道浦環境生活部長
 市町村とも十分に連携を密にして、広域化計画を円滑に推進できるよう市町村を指導したい。

【再質問】
村岡 
 念書について、わざわざ知事に届くよう、担当者にお渡ししているのだから、知らないということは行政内の怠慢ではないか。「念書」に書かれている梅問題での農林水産省農産園芸局長の現地調査が、具体化されており、実際の行政運営とかかわりをもってきている。知らないではすまされない。                      
 ■木村知事
  答弁は差し控えさせていただく。

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