高田由一議員の一般質問 

【1】輸入農産物のセーフガードについて
 今、全国の農家に米、野菜の価格暴落が襲いかかかっている。果物は91年のオレンジの自由化、翌年のジュースの自由化以後、この道をたどってきており、80年には80%だった自給率は97年には53%にまで落ち込んできている。政府も2001年から新しい価格保障制度をつくらざるをえないという状況にある。
 米は、減反をしながら、輸入義務でもないミニマムアクセス米の輸入には手をつけず、95年に一俵21367円だった平均価格は、2000年10月の入札では15858円になっている。
 野菜は、全体的に価格が上がった98年を境に輸入が急増し、価格破壊とでもいうべき事態がすすんでいる。特に生鮮野菜の輸入は10年前とくらべて、4倍になろうとしている。
 生シイタケの生産者に話しを聞く機会があった。国内消費量の約三分の一を中国産が占めていて、その値段は国産の3分の1以下という。これ以上の安値は大変であり、数百万円の年収減になる場合もある。中辺路町では多いときには30軒以上あった生産農家が今は4軒にまで減ってきている。
 政府はようやく重い腰を上げてセーフガードを発動するための調査をおこなおうとしている。県としてその発動へ向けて積極的な要請を国にするよう求めたい。
  (島本農林水産部長)
 農林水産省は、輸入による影響がでているとみられる主要品目の調査を実施し、和歌山県からはキヌサヤエンドウ、タマネギ、ブロッコリーを報告している。現在、タマネギ、トマトなど6品目について、農林水産省、大蔵省、通商産業省合同の検討がおこなわれており、県としては国へ積極的な取り組みをすすめていきたい。
 【2】道路の災害対策について
 日置川町内の県道日置川大塔線で道路崩壊の災害が10月に発生した。災害防止のソフト面の対応について、道路のパトロール不足を感じる。今回の災害の場合、九八年の台風で道路のすぐ下の斜面に生えている木が何本も倒されて根が浮いた状態になっている。これがひとつの要因と考えらえる。これにもっと早く気づき、手を打っておればと思った。
 県が管理する道路の危険個所の周知や日常的な監視体制の現状と充実についてどのように考えているのか。
 災害が多発する台風の後などに、民間の土木業者に委託して、災害状況を把握するようにしてはどうか。レーダーを使って道路内部の空洞化等を発見できる、特殊な車両による調査も重要だと思うが、どうか。
  
  (大山土木部長)
 日常の監視体制は、職員の道路パトロールを基本とし、道路情報員や一般から情報を得ている。大雨や台風後の点検は防災体制として配備した職員でおこなっている。緊急時の民間業者の活用については、見回りより、崩土除去等の作業を中心に考えている。
 道路管理については、新しい技術の活用など充実につとめたい。
 
 【3】JR西日本の路線バス廃止について
 道路運送法の「改正」でバス事業者が生活路線から撤退する場合に、地元合意がなくてもよいようになった。JR西日本は,2001年10月より田辺駅―中辺路町栗栖川間をのぞく14路線を廃止する予定になっている。廃止されようとしている路線は、地域住民には欠かすことのできないものだ。国鉄の分割・民営化の際、バスを分社化しても経営は大丈夫だとされてきたが、交通権が脅かされる事態になっている。
 路線廃止への見解をききたい。分割・民営化の経過からみて、国と事業者に存続を要望するべきではないか。
 JR各社の経常利益の一部を拠出させて、バス路線を維持するための新たな対応なども検討するべきではないか。JRバスの赤字は約10億円だが、本社の経常利益は423億円に上っている。
 結果的に廃止された場合に代替バス路線への援助についてはどのように考えるのか。
 (木村知事)
 市町村等関係機関とともに、対策を協議していきたい。国、県、沿線市町村、JRバス等の関係機関による会議で路線廃止による地域への影響を訴えている。
 (安居企画部長) 
 国において、新しい補助制度が検討されており、その動向をみながら県としての補助制度を検討していきたい。
 【4】地域福祉権利擁護事業について
 福祉サービスの利用手続きの援助や代行、利用料の支払いや日常的な金銭管理などを行う事業―地域福祉権利擁護事業について。痴呆老人や知的障害など、判断能力が低下した人のために創設された事業で、厚生省が99年10月から始めているものだが、条件が難しくて利用しにくい。田辺市では、約40件の相談があったが、いずれも契約には至らなかった。
 県下の利用相談はどのぐらいあるのか。この事業の周知、宣伝について県社会福祉協議会の主体的な取り組みが必要だと思うが、どうか。また、利用料は1回1時間の利用が1000円となっているが、これは県独自に定めることができるものであり、もっと軽減すべきだと思うが、どうか。
  (白井福祉保健部長)
 県下の実施状況は10月末現在、相談130件、契約2件、契約調査中のもの数件。9月以降、相談者が増加している。いっそう効果的な広報をおこなう。利用料は妥当な額と考えている。