2001年2月議会表紙に戻る

県民の深刻な状況に対応できていない木村県政

村岡キミ子県議の反対討論
 日本共産党県議団を代表して諸議案にたいする反対討論をおこないます。
 長引く不況と社会保障の切り下げのもとで、くらしや経営を応援する政治を期待する県民の声は切実です。老舗の丸正百貨店の倒産や、ぶらくり丁のビブレの撤退表明、海南市のジャスコ閉店、とどまるところを知らないリストラなど、業者も労働者も、その営業とくらしは大変です。
 
新しい知事のもとで、こうした経済情勢に対応した政治がすすめられていくのかどうか、県民は注視しています。しかし、その対策の決め手が、IT施策にあるかのような県政では、県民を救うことはできません。
 財政運営プログラムにもとづく事業見直しをすすめた予算編成のなかで、県民からその維持、充実へのつよい要望のでていた福祉医療については、その予算が確保されたことは歓迎するものですし、研究機関整備などのうめ対策、農作物鳥獣害防止対策など、農業者の切実な願いにこたえた施策が盛り込まれていることなどは評価するものです。
 しかしながら、総合的にみて、見過ごすことのできない、いくつかの問題を指摘しておかなければなりません。 これまでの県政は、国の政策にそった開発政策がひとつの柱になってきました。この点では、昨年の木村知事就任直後の、雑賀崎沖埋め立て計画と工科大学の凍結表明は、多くの県民に歓迎されました。わたくしどもは、開発は、財政、環境問題や県民のニーズなどを総合的に考えて判断することを主張してまいりました。こうした点で問題の多い公共事業について、来年度はどういう方向にかじをとっていくのかをみたとき、当初予算案は紀淡海峡ルート建設、新宮港、文里港などの港湾整備、関西国際空港関連などにみられるように、従来と基本的には変わりがないとみることができます。
 国の施策との関係では、同和行政の突出も指摘しなければなりません。国の方針は、明確に、同和行政は十三年度で終了です。特別法以来の施策の到達点や国民世論からみて当然の方向です。ところが本県は従来の規模の予算を計上しており、法期限後の一般行政への移行は、同和行政の終了を意味するものではない、との表明は到底容認できません。 市町村合併は、いうまでもなく、各自治体で自主的に検討、協議されるべきものです。ところが県は、国の指導にしたがって要綱を策定し、財政、職員数などを試算した合併パターンを示しました。そのうえ、合併を前提にした施設建設をした場合には県独自の補助金を出す制度をつくるという力の入れようは、地方自治の名に値しない強引な手法です。こうしたやり方は認めることはできません。 教育について申し上げます。教員定数は、国の定数改善計画にそった措置をふくめても大幅に減らすということであります。学校と子どもの現状を考えるとき、県独自の思い切った教員増のとりくみが求められることをあらためて強調しておくものです。
 来年度の有田地方の高校募集定員が減らされた問題では、父母の急速な運動がおこり、一定の改善措置がとられたことは評価するものですが、「十五の春を泣かせない」という基本姿勢をつらぬくべきです。
 サッカーくじの、子どもたちへの影響にたいして、教育委員会に機敏な対応がみられなかったことも残念です。学校の近くにサッカーくじ売場が多数あることについて、何らの措置もうちだせなかったことは、ギャンブルから子どもを守るという教育委員会の警戒心が薄かったことを指摘せざるをえません。
 次に財政難のもとでの、歳入増加や歳出カットの施策についてです。
 使用料、手数料の改定は、あえて引きあげる必要がないと思われるものも少なくありません。
 現在の経済情勢のもとでの県民負担の増加は、極力避けなければなりません。給料減額の提案についても、職員に犠牲をしいることには反対です。 
 今年度の事務事業評価が実施され初予算案に反映されたとのことです。事業の見直しは必要なことですが、なかには首をかしげざるをえないものもあります。たとえば、生活保護世帯への夏期見舞金を廃止することは、大きな痛手になります。大きなムダに手をつけずに、財政的な効果からすれば、わずかで、かつ経済的に苦境にある人たちを直撃するような施策は、あまりに冷たいのではないでしょうか。
 重度身体障害者の住宅改造への助成制度において、県の負担を減らして、市町村の負担を増やしたことなども道理ある措置とみることはできません。 
 建設事業における市町村負担金がほとんど改善されることなく、依然として、四十二億五百万円余も計上されていることも納得できません。
 以上が、反対理由のおもな内容です。
 反対する議案は、議案第一号、五号、十号、十三号、十八号、十九号、二十一号、二十二号、三十号、三十二号、三十六号、三十七号、三十九号、四十一号、六十号、六十一号、六十二号、六十五号、六十九号、七十号、七十一号です。
 以上で反対討論を終わります。                2001年2月議会表紙に戻る