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金田真議員の一般質問(三月八日)
自然と健康を守る環境行政の推進を

金田 新宮市松山での産廃処理については、昨年末、県当局が不許可の方針を打ち出す中で、申請者が申請を取り下げ、解決をみました。問題はすべて解決したわけでなく、自社処理場において、石綿を含んだ産廃物が処理されているのではないか、マニフェストによる報告が適切などうか、不安と疑問がだされている。また、野焼き同然の焼却炉の使われ方、ここのほかにも二カ所あるが、県の決意をお聞かせください。
 ■道浦環境生活部長 石綿を処理しているのではないかとのことは、その事実を把握 していません。マニフェストは、自社による運搬、処理に関しては必要ないことになっています。
金田 ダイオキシン類の測定の報告が義務づけられるようになったが、焼却炉の届出と測定報告の状況は。
 ■道浦環境生活部長 届出は一三年二月末現在、二百十五事業場。内訳は廃止届けが十二、休止中が四十五、稼働中は百五十八。稼働中事業所の二十五から自主測定結果が報告されている。
金田 新宮市南桧杖の国道改良工事現場の産廃ダイオキシンについて、九月議会以降の指導の経過と今後の対策は。
 ■道浦環境生活部長 昨年発見した廃棄物は撤去を完了した。本年に入ってから月 に一回程度、保健所、振興局合同でパトロールをしている。
金田 新宮市佐野の巴川製紙の跡地約二万六千平方メートルを平成七、八年で県土地開発公社がスポーツ公園として取得。その後進展がなかったが、財政支援も含め県の対応を尋ねたところ、「連携を密にして、土地の有効利用に努力する」との答弁があり、市議会では十一億円の野球場事業が提案されている。この場所には焼却灰、スラッジなどが埋められているとの情報があり、県にダイオキシンなどの環境調査をお願いしているが、その結果は。
 ■大山土木部長 重金属類については問題なしとの報告があり、ダイオキシンは四月 中に結果が出る。
金田 熊野川沿いの不法投棄―特に白見の滝付近でのタイヤや自動車などについては、一向に原状回復がされない。経過と対策は。
 ■大山土木部長 昨年十月三十日、十二月二十二日に書面で指導した。撤去方法等を検討する時間が欲しいとの申し出があり、この対応を早期に見きわめ、厳正に対処していきたい。
金田 不法投棄防止対策など環境行政を推進するためには、やり得を許さない毅然とした対処と体制が必要であると主張してきた。知事の「廃棄物行政の組織強化を図」るとの説明を。
 ■木村知事 環境機動捜査隊―エコポリスを創設するほか、環境生活部の中に廃棄物対策室を、各振興局に監視指導員を配置する。
金田 これまで県警の環境犯罪対策推進計画や環境モニターの委託などを質問してきたが、今回、環境機動捜査隊(エコポリス)を設置し、不法投棄の取り締まりを強化するとのことだが、どのような組織になるのか。
 ■岩井県警本部長 本部捜査班、十四署を紀北、和歌山、紀中、紀南の四ブロックにわけたブロック捜査班、水上監視班、航空監視班で構成する約五十人。
金田 三月二日の熊野川流域ダム湖下流団体協議会で、本宮町の河床整備事業としての砂利採取と海岸侵食との関連である県職員が「砂利採取は和歌山県の許認可。三重県側の対策は独自ですればよい」と発言し、協議会が紛糾したと新聞で報道され、県の動向が注目されている。この発言の真意と方針は。
 ■大山土木部長 その真意は、本宮町での河床整備と三重県側の海岸侵食について因果関係が明確でないと申しあげたもの。
障害者に暖かい行政の手を
金田 今回は精神障害者の地域生活支援について。精神保健福祉法が二〇〇〇年四月から施行されている。全国の精神病院には三十四万人が入院し、少なくともその四分の一の八万人以上が、引き取り手がないなど病状以外の理由で入院している。世界の先進国では脱施設化を終え、地域型の精神医療、保健、福祉サービスに転換してきている。 九三年、障害者基本法が成立し、精神障害者も他の障害者と同様、社会福祉の必要性が規定されている。県の障害者プランでは精神障害者社会復帰施設設置や小規模作業所、精神科デイケア、精神保健福祉相談員の配置増が進められているが、精神障害者に対する福祉施策の遅れは制度的にも社会的資源の量的な点から見ても歴然としている。長期入院から作業所、社会福祉復帰施設を経て地域社会へ移った精神障害者の方の声―「病院を退院して働く場所もなく、ひとりぼっちでぶらぶらしているのは絶対によくない。このように少しずつゆっくりと働けるようなところがあったら助かる」、「一人で生活しても仕事をしていても、一人ではできないことがあります。相談相手は、ソーシャルワーカーさん、クリニックの先生、工場の職員さん、近所の人、仲間同士など。入院していたときと比べると、今の生活がいいです。仕事と仲間があれば、大抵のことは乗り越えていけます」、「地域で住民として生活できる喜びをかみしめています」。こうした声からも社会的入院の改善が求められるが、地域生活を支える社会的資源は圧倒的に不足。精神障害者社会復帰施設を運営する法人は和歌山市と田辺市の二カ所。精神障害者小規模作業所は五市十一町に二十カ所で小規模作業所だけでも利用者は二百五十名をこえている。これは二十名定員の通所授産施設十二カ所に相当する。これを全県に多く設置することが重要。作業所の多くが障害者の生活支援の発信の役割を果たし、生活の場支援や当事者活動が活発化していくからだ。そのため、県には作業所設置に伴う支援策を積極的に展開すること、そして拠点事業の展開を容易にするため、従来の小規模作業所の小規模通所授産施設への格上げが必要で、土地の提供や基本財産の補助、仕事の確保などが求められる。
 ■白井福祉保健部長 入院医療の終了した患者が早期に退院し、地域で生活することのできる社会復帰施策を進めることは重要と認識している。
金田 平成十年度から精神科救急医療システムを整備したが、一般救急と同様の救急医療にするための今後の計画は。

 ■白井福祉保健部長 精神科救急医療システムは五稜病院と紀南病院新庄別館を精神科救急医療施設に指定しているが、和歌山市内に同施設を確保する必要性が指摘されている。
金田 障害者施策の格差について。障害者手帳を取得した際の福祉サービスは同等におこなわれるべき。和歌山バスなど乗車運賃の割引、高速道路利用料の減免、授産施設等での給食事業実施、一部で実施されている重度心身障害者医療費制度助成制度の精神医療への適用、平成十四年度から実施される精神障害者ホームヘルパー事業での障害者本人負担の軽減など。
 ■白井福祉保健部長 障害者手帳所持者に対する料金の減免等、同一であることが望ましいと考えられるものについては、関係方面に働きかけたい。
金田 県下的な当事者の育成は県精神保健施策の責務。県精神障害者団体連合会の活動への財政支援によってピアサポート(相互支援)をいっそう促進させることが有効ではないか。
 ■白井福祉保健部長 本県の精神保健福祉の向上のため有益と考えられるものについては助成を検討する。
市町村合併の押しつけ問題
金田 二十一世紀の日本を展望するとき、地域固有の自然、歴史、文化を生かした安心して暮らしていける個性のある地域、自治体づくりが必要。政府は十二月一日の閣議決定で、三千余の自治体を千に減らす数値目標を掲げた。県も四十九の市町村を八から十六の市町に再編合併する数値目標を設定した。自主的どころか、強権発動をちらつかせたもの。県の「要綱」では、四十九の自治体が八つに合併されると職員数が二千四百六十二人、約三割も減るとか、歳入も歳出も二割から三割の減。東牟婁周辺では那智勝浦町から北山村まで、西牟婁周辺ではすさみ町から龍神村までをカバーする広大な面積の市が基礎的自治体といえるのか、少子高齢化などの課題から行政体制の整備充実のために合併が必要としているが、財源を委譲すれば、合併しなくても行政体制の整備充実は可能。市町村合併の数値目標を設定するのは合併問題の自主性に反するのではないか。国にたいし、地方交付税の引き上げなど地方自治体の財源確保を求めるべきではないか。道路整備や農業予算などを合併問題とからませて、積極的な市町村にあつく配分するということのないようにされたい。合併協議会の設置について、知事に勧告権が与えられているが、これへの知事の考えは。
 ■木村知事 要綱の合併パターンの市町村数や財政、職員数のモデルは、合併についてのとり組みをおこなう際の参考や目安であり、数値目標と考えているものではない。予算配分はそれぞれの行政分野のニーズを的確にとらえて適切に対応してまい りたい。
新宮周辺の救急医療体制の整備について
金田 新宮市民病院は五月から新宮市立医療センターと名前を改め、救急部の設置や新たに診療科目を増やすなど、住民の健康といのちをまもるために、努力が続けられています。県立医大には医師の派遣に積極的に取り組んでいただき、二月補正では救急医療対策として一億円が計上され、感謝している。しかし、病院建設や医療機器等に要する財源は企業債であり、年間八億五千万円もの償還となる。継続した県からの財政援助が必要だと思うが、いかがか。休日急患診療所が和歌山、那賀、伊都、有田、御坊、田辺と設置されているが、いまだ新宮広域に設置されていない。保健センターあるいは、医療センターに新宮広域休日急患診療所を設置することは可能なのか。
 ■白井福祉保健部長 新宮広域における保健医療計画の中で、圏域内に休日夜間急患センターを整備するよう検討することとしている。関係市町村や機関と連携して積極的に推進してまいりたい。
再質問
金田 野球場のダイオキシン調査について。二万六千平方bの広い場所で埋められているところを確認しないままで、物質を確認しないで行った今回の調査。そのうちの一点は河川しゅんせつの土砂を持ち込んで、それを検査したという。環境庁のダイオキシン測定マニュアルでは概ね千平方bにつき一地点程度としている。安心、安全のために行った調査が誤解を招くような調査では、逆効果。
 ■大山土木部長 四月中旬に出る結果を見て、市、保健所智相談して適切に判断する。
金田 ここに振興局が業者にあてた文書がある。「河川法、廃掃法、自然公園法に抵触する」云々。平成十二年の九月二十一日までに提出しなさいという文書だが、まだ提出されていない。行政の責任が問われている。知事は、昨年九月議会で「今後は関係セクションがスクラムを組んで不法投棄や違法行為に厳正に対処」と答弁している。
 ■大山土木部長  法に照らして厳正に対処。監督処分等を視野に入れながら考えている。
金田 新宮市立医療センターにヘリコプターが発着できない。最初は屋上にヘリコプターを降ろすという話があった。しかし、建物補強に一億数千万円かかる。少しでも安くするために地上の駐車場の隅につくったら、使えない。市の責任は重大だが、県の指導監督責任も問われる。
 ■白井福祉保健部長 予算がかからない方法で市とも協議、指導していきたい。

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