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地域の問題は地域で、その体制を
中山 地方事務所が振興局体制にかわる時、地域の問題はその地域でとのもとに、出先機関を海南に移された。残余の部分を速やかに移されるよう求め続けてきた。タイワンザル、ジャンボタニシなどの農業被害により、農業者は計り知れない悩みがあるところ。海南・海草地区は和歌山地区に組み入れられましたが、この体制がにべもなく見過ごされているという状態から早く脱却して、かゆいところへ手がとどくような施策が望まれてならない。議会棟の一階に和歌山地域農業普及センターという看板がかかっている。海南、海草がひとくくりにされ、こういう状態で長く放置されていることによって、タイワンザルにしてもジャンボタニシにしても的確な体制がとり得ていないのではないかというやるせない気持ちに追いやられる。知事の決断を求めざるを得ない。
 ■木村知事 地方機関のあり方は情報化の進展や分権型社会の到来など、環境が大きく変化する中で十分議論していかなかければならない。建設部の設置のほか業務の効率性等もあわせて検討する必要がある。農業改良普及センターの名前については検討する。
生石高原ススキ原の復元について
中山 赤トンボ、なかでもアキアカネが竿の先に突っ立つように止まっている姿―これは何故かと不思議に思うところから、その道に関心を抱き始めた。それは、太陽の光の照射を加減し、直達日射を避けて、体温を適温に保持するためのことだとわかる。トンボは夏には山に登り、避暑をする。生石山の高原は、赤トンボにとって不可欠な存在だと知るにいたった。里で出現した赤トンボは夏には生石高原で避暑をし、秋には里に帰り産卵し、世代をつないでいく。小さな身体をそれほど巧みにうまくこなして生命活動をしているのか。なれば、生石山をその観点から四〇年ぶりに見ることにしたいと思って、夏の終わりに登ってみた。驚くことにススキの原が著しく狭くなっているではないか。マツ、イヌツゲなどススキの原に侵触してきている。当局にお聞きすると約二十六ヘクタールあったところ、三十年もたないうちに八・四ヘクタールに狭められているという。およそ三十年足らずに三分の一弱になっているのである。県は三年計画でススキ草原復元のための取り組みをされてきたとのことで、いくつか提起したい。 一つ目、生石高原県立自然公園維持管理の基本的な観点をしっかりもつこと。二つ目、関係する自治体との協力共同の体制を強化する。三つめ、ススキの原をもっとも効果的に維持する手法で対応する体制を検討し、実施すること。四つ目、貴重な植物の宝庫でもあるところから、監視活動を及び教育活動を強化する。五つ目、県立自然公園としての看板、標識等を立て、野草、野鳥などの採取禁止を呼びかけ、意識を高める。六つ目、特定の植物の採取禁止の条例化をすること。七つめ、適切な案内図及びハイキングコースの地図などとともに、禁止事項や留意点など広く利用されるものをつくる。八つ目、侵食樹木の伐採、及びススキの刈り取りについて特別の手だてをする。特に、火入れについては、関係市町村の消防、警察、住民等大がかりな体制で試みの検討をする。九つ目、生石高原ススキ原の復元など、県民に親しまれる対策会議のようなものを常設する。十番目、その会議で常に検討され、内容を県政に反映され、県民の共通の課題とすべきことは広報する。十一番目、関連県道野上清水線、県道生石公園線を早期整備する。 地元の小学校の六年生の総合学習をまとめた「大好き生石山」という小冊子がある。ものすごいスピードで草原が減っている、このままいったら消滅しかねない、刈ったらススキの原が守られるんだという認識に至ったこともちゃんと書いている。生石の山、ススキ原をどう守るかという観点で、答弁を求めたい。
 
 ■道浦環境生活部長 植生遷移が進んだ結果、草原の面積が著しく減少。十年度からの三カ年で動植物の状況を調査し、ススキ草原復元実施計画を策定した。ボランティア組織の立ち上げを支援し、十三年度から刈り取りのほか、雑木の処理、草原性の貴重な植物の増殖及び保護啓発等の活動が展開される。関係一市四町、県及び生態系の専門家を含む協議会を設置し、協議会では刈り取り作業を草原保全のための中心的な活動に発展させるともに、乱獲防止策の検討、啓発活動、看板の設置、公園利用のための標識整備を図る。火入れについては、検討する。
サッカーくじについて
 中山 三月三日から、三回目のサッカークジが全国で一斉に売り出されたが、けさのスポーツ新聞では一億円が二口でたという。昨秋に静岡県でテスト販売された際、禁止されている十九歳未満の青少年に売ったり、大人が代わって買ったりの実態が明らかにされていったが、テスト販売の教訓も生かされず、子どもへの販売など目もくれないまま、全国販売となった、県内の販売店は、和歌山市で十七カ所、御坊二カ所、新宮二カ所、橋本二カ所、田辺二カ所、有田三カ所、海南二カ所、岩出町四カ所、高野口町一カ所の三十五カ所だが、販売店が学校の近くにあったりして、教育的配慮などが十分になされたという様子は一向にうかがえない。ボードをつくってまいりました。学校の近くに販売所、赤で記したのが学校、黒で記したのが販売所です。広告をみると売りさえすれば良いという感じがしてならない。日本弁護士連合会久保井会長の声明として、「サッカーくじは、刑法が禁じている賭博行為であり、しかも青少年に人気の高いJリーグを対象にする点で、子ども社会に重大な影響を与える」と指摘しながら、「一つ目に、くじの提案者は一等の当たる確率は百六十万分の一程度であるから、寄付に近くギャンブルとは言えないと弁明しているが、勝敗の結果を予想して当たれば金を得るという制度は、賭博そのもので、何物でもない。テスト販売の結果、第一回目の一等当選確率は約二十五万分の一で、一口百円が約六百万円の払い戻し金となり、第二回目に至っては一等の当選確率が約一万分の一で百円が約二十四万円の払い戻し金となっている。くじのギャンブル性は明白だ」。さらに、法は十九才未満の子どもにくじを売ることを禁じているが、「テスト販売」での販売店の年齢確認率は、第一回目が四六・三%、年齢確認の徹底を図った第二回目でも七五・七%にとどまり、四分の一の販売店は年齢確認をせずに、くじを販売しているのが実態である、としている。プロ野球コミッショナーの川島広守氏は、サッカーくじは賭け事、ギャンブルだとして、スポーツとサッカーくじと結びつけば失うものは大きいと前置きして次のように述べています。「フェアネス(公平性)を失った痛恨の経験を過去に我々は持っている。大リーグは八十年前のブラックソックス事件という八百長事件がおこり、日本でも一九六九年黒い霧事件があり、ともにトバク、ギャンブルがらみで選手に魔手が伸びてきた。台湾ではリーグが一つ潰れるぐらいの多くの選手が賭博集団に巻き込まれ、八百長に手を染めてしまったことがある」と指摘しています。「真剣で真摯なたたかい、その中から生まれるさわやかな明るさ、美しさ、その中心にあるのがフェアプレーの精神。スポーツ固有の大事な価値で青少年の心が育まれるものがある。これが壊される。子供に射幸心をあおり、選手にフェアネスを欠如させる」と指摘している。かつて、和歌山市で舟券売場が設けられようとした時に、西川教育長が、トバク的性格を有する施設は、教育的に好ましくないと申された。サッカーくじは基本的には舟券と同質のものではないか。サッカーそれ自体はすばらしい教育文化の内容を保有しているスポーツだと私は考えている。それは、次の内容が強く求められるからである。自主性、創意性、献身性、決断力、自己責任、瞬発力、連帯感等々、今日の青少年にともすると欠落しかねない教育的内容が用意されているからだ。それをサッカーくじなどとして、カケ事の対象にしようとするのは、日本人の文化の程度がうかがわれ、サッカーそのものを冒涜するものだと思える。また、二〇〇二年ワールドカップの日韓共催をFIFAは決定した。この共同開催の決定はワールドカップの歴史上はじめてのことであり、画期的な決定。また、朝鮮半島の南北合意を促進し、日韓のみならず、世界の平和への貢献は大きいものがある。この観点に立ちえずして開催の呼称は日韓ワールドカップでなくてはなど、それを譲ろうとしない日本の関係者は、ワールドカップに水をさし、日本サッカーの国際的レベルへの到達に努力する取り組みを阻害するもの。東京山手線のある駅で、ホームから落ちた日本人を身をもって助けようとして韓国の留学生が電車に轢かれて死亡する事件が大きく取り上げられ、両国の人々の心を揺るがした。国をこえ民族をこえた人道と正義の行為と高く評価されているところです。日韓でなくてはならないとする日本側の態度はこれに比べて如何なものかと。女性団体、法曹界、教育諸団体等が販売中止、制度見直しを求めて声を上げている。テスト販売をした静岡県は県議会で、実施見直し、延期の決議をあげられた。ワールドカップ参加チームの公認キャンプ地の誘致について、和歌山県の適地性をアピールし、誘致実現にむけてとりくむとあるが、和歌山県の適地性とは地理的な面だけでなく、教育文化の面からも考察しあって、ほしいものと強く求めます。今までのところ、この面からの指摘はなされていません。公認キャンプ地に要請される諸条件はあるのではないか。それらの諸条件を満たすようになっているのか。サッカーくじの販売にあたって、子どもに法律に違反する行為はさせないよう、県教委および県当局は、いかなる手だてをとろうとしているのか、またとってきたのか、答弁を求めたい。
 ■小関教育長 サッカーくじは、子どもたちの射幸心をあおるなどの影響が危惧されることから、十九才未満の者への販売が禁止されている。各学校へ生徒指導に係る通知文を出し、その中で不健全な娯楽施設での遊戯の問題に加えて、児童生徒がくじを購入することのないよう、指導の徹底を指示したところ。ワールドカップサッカーの公認キャンプの練習場は夜間照明施設や非公開練習のためのフェンスなどが必要であり、県では紀三井寺競技場の改修及び仮説などで対応することとして申請をおこない、昨年十一月二十二日に候補地として認定された。
シルバー人材センターの設置支援を
中山 県下でもあまり普及されていない。知力もやる気も十分に持ち合わせている人たちの働く場所を保障する環境をおつくりいただきたい。かつて日本が経済成長して今日の日本を築いてきた労働戦士だったという自覚が非常に強いものがる。こういう人たちにどうこたえていくかということが社会の責務であろう。 
 
 ■内田商工労働部長 和歌山、田辺、橋本、新宮の四市で設置されている。十二年三月に高野口、四月に岩出町で設立され、本年四月には貴志川、かつらぎ町で準備中。他にも検討しているところも。設置促進に向け、積極的に働きかけていきた
い。


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