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鶴田至弘議員の質問(3月6日
IT施策に関連して
鶴田 木村県政が国の施策に依拠して、和歌山のIT革命をはかろうとし、「きのくに産業白書」を見ても、県産業界のIT化のおくれは目につく。しかし、県経済の活性化はIT革命をもってのみでできるのではない。若者のいなくなった深刻な過疎、都市部の足腰の弱った中小企業、それらをとりまく産業構造、IT革命は進めなければならないが、それだけでは片づかない問題が山積している。県の産業の九〇%以上を占める中傷零細企業の実態を綿密に掌握し、その可能性についての方向をさまざまな角度から検討し、援助、調査研究が必要ではないか。
 ■木村知事 県内産業の競争力を強化し、地域経済の活性化を図るためには、ITの活用が   必要。ITのみで中小企業の厳しい状況を脱することができない。金融支援など引き続き積極  的に推進していく。
鶴田 IT総合センターの整備として概算事業費七十億円、来年度予算十一億五千万円が計上されている。IT教育機関であれば地方的に対策する方が効果を上げることができる、高度な教育機関であればその内容も明らかにし、和歌山県としてどのような機関をどのように進めていくのか、少なくとも年間どの程度の技能者をどの程度養成するのか、費用対効果も提示してしかるべきではないか。金だけを食うような大規模施設など不必要だったということにもなりかねない。検討の期間を持って臨むのがよいかと思うがいかがか。
 ■木村知事 IT総合センターは、人材の育成、研修機能をもつほか、産業支援機能や地域   支援機能、不急啓発機能などを有し、県民が広く利用できる施設として整備していきたい。
紀淡海峡ルート建設について
鶴田 和歌山県にいかなるメリットがあるのか、依然として不明。平成十一年の紀淡海峡ルート促進講演会で、吉田巌という方が「徳島県と和歌山県、少し伸ばして大阪まででもいいが、これを伸ばしていったら十年先にはこのぐらいになるという経済活動、交通活動の絵がかけなければならない。それがないと、幾ら橋の話をしても日本全体が納得するような話にはならない」。あったらいいに違いないというムードの水準で紀淡連絡道を行政として求めるというのは責任のある態度とは言えない。促進運動は見直すべきだ。
 ■木村知事 現在国土交通省では事業費の縮減や事業手法について調査段階にあるため、 地元の負担は明らかでない。
鶴田 地方交付税の財源不足を口実に交付税を削減し、それにかえて地方として独自に臨時財政対策債を発行させ、県としても百十九をプラスした五百八十億円の県債発行となった。臨時財政対策債がなければ県債は七十五億円減ったはずだと説明しているが、結局は四十四億円の増加。十三年度末の県債残高見込みも六千四百七十七億円となり、二十三億円の増。これによる県財政への影響をどのように考えているのか。
 ■稲山総務部長 従来は地方交付税総額を確保するため不足分を交付税特別会計で借り   入れる方式がとられてきたが、地方負担分については特例地方債を発行することになった。   特例地方債の元利償還金については、その全額が後年度交付税措置されることとなっており  、当面の財政運営への直接の影響はないと考える。
鶴田 人権を差別の視点からみると矮小化される。人権啓発事業においては、日本国憲法にのっとり、人権を幅広くとらえ、同和問題を柱にするとか中心にするとかという施策から脱却することを求めたいが、いかがか。予算案では人権センターの設置として四千六百万円が計上されているが、人権センターで何をするのか、従来の施策より仕事がふえるのか、何人が配置されるのかもわからず、二百八十平方bという面積がわかてっているだけ。人権問題の取り扱いは、その基本となる理念や施策の内容が重要であり、再検討すべきだ。
 ■白井福祉保健部長 同和問題をはじめさまざまな人権問題に関する情報の集積と県民に   対する人権教育啓発活動を推進するための拠点となる人権教育啓発センターを設置し、総   合的な人権教育啓発に取り組んでまいる所存。
同和対策について
鶴田 法として来年度が参集年度であり、総務省地域改善対策室はこの一月二十六日、「今後の同和行政について」という文書をだした。三つの理由で、特別対策が必要でないことを述べている。一つは、同和地区をとりまく環境が大きく変化したこと。次に、特別対策を続けていくことは差別解消に有効でないこと。さらに、人口移動が激しいなかで対象を限定した施策を続けることは事実上困難であること。本県としても、同和対策事業は終了するべき、同和室もその歴史的任務を終了されたということから廃止されたい。
 ■白井福祉保健部長 残された課題解決のため必要な工夫を一般対策に加えつつ対応する  という基本姿勢にたって一般対策に移行すべきであると考えている。同和室、同和委員会が  果たしてきた役割と使命を十分踏まえ、新しい時代に沿った組織体制を構築する重要な時期  であると認識している。
LNG火電用地のダイオキシン問題
鶴田 関電の発電所建設予定地から最高で環境基準の十八倍に当たる一万八千ピコのダイオキシンが検出された。関電が調査した地点は施設建設のため掘削する部分だけ。未調査の部分が数多く残されている。例えばタンクの設置場所など、このような大規模な施設建設にあたっては、掘削地だけでなく、その周囲をも調査する必要があるのでは。海にダイオキシン類が浸透していないか。周辺海域の調査は必要であり、県として関電に調査をもとめるべきではないか。発電所建設にともない百五十万立方bの土砂が掘削され、当然ダイオキシンの飛散が考えられ、従業員はもとより周辺住民に悪影響を与える危険もある。産廃の埋め立て地に大規模な工場を建設するのは日本に例のないことだそうであり、そういう意味もあり、この地はダイオキシン類対策特別措置法にいう汚染対策地域として対策するのが妥当だと考える。ダイオキシンは創造を絶した危険をはらんで、今まで予期しなかった害毒を及ぼす。疑わしきはまず調査するという立場で答弁を。

 ■安居要企画部長 関電はさらに追加調査を実施している。調査結果をもとに、掘削した廃棄 物の封じ込め、粉じん等の飛散防止、排水の処理、作業員の汚染防止対策、ダイオキシン類 の監視体制等について、学識経験者の指導も得ながら具体的な対策を検討するとの報告を  受けた。現段階では建設予定地全体について調査を求めることまでは考えていない。
鶴田 第三工区も大量の産廃が投入された。ここにもダイオキシンが大量に存在していることが推測される。直ちに調査を開始すべきと考えるが、いかがか。その結果を公表し、適切な対策とともに、従来の構想そのものを見直すことを含めた対応が必要ではないか。
 ■大山土木部長 県の責任において適切な時期に土質調査を行い、その調査結果を踏まえ て具体的な利用計画の検討をしていきたい。
教育問題について
鶴田 森総理の私的諮問機関・教育改革国民会議は教育基本法の改定や奉仕活動の義務化などを報告した。教育基本法は憲法の理想を実現するために教育こそが重要であると、国民をその担い手に育成する基本法として大きな役割を果たしている。明確な根拠もないままに改定を図るのではなく、教育基本法の理想を実現する方向で現在の教育を豊かにすることこそが重要であると考えるが、いかがか。また、一部に現在の教育困難の源を教育基本法に求める説もあるが、明らかな誤りではないか。
 ■小関教育長 国民会議は、基本法の制定時と現在とで社会状況が大きく変化しているとし て、法改正を視野に入れた報告をしたものと理解している。県教委としても校長会などにおい  てさまざまな教育課題と合わせて論議を深めてまいりたい
鶴田 国民会議の報告は、学校教育の一環として奉仕活動を義務づけ、小・中学校では二週間、高校では一ヶ月間、共同生活で奉仕活動を行うとして、十八才以上のすべての国民に一定期間奉仕活動を行うことを検討されたいとしている。義務として奉仕活動をさせるということでは、子どもの自発的な奉仕活動への意欲を生み出すものではない。梅原猛日本ペンクラブ会長は、基本法の改定で憲法の外堀が埋められると反対するとともに、奉仕活動には将来の徴兵制への地ならしの疑惑を否定できない、反対の意思を表明し、多くの共感を呼んだ。国民会議が提起した奉仕活動についての教育長の考えは。
 ■小関教育長 学校教育での奉仕活動は、社会奉仕の精神を涵養する観点から重要な意義 をもつ。今後とも学校教育の中で積極的に推進する。

鶴田 国際教育到達度評価学会の結果発表があり、日本の子どもは数学の成績は五番目だが、嫌い、大嫌いと答えたのが五二%もあり、嫌いという率が世界でもトップクラスだっという。理科についても同様の傾向という。文部省の調査では半数近くの子どもが教えられることがよくわからないといった結果がでている。授業がわからない、ここに今の教育の最大の問題があるようだ。従来の教育のつめこみ主義、エリート育成主義、わからない者も個性として放置されるなどという、受験に強い子どもをつくる教育が指導要領の中に貫かれ、このような結果につながったろうと思う。一九八八年に国連の教育にかかわる日本政府への勧告は「日本に存在する高度に競争的な教育制度、並びにそれが結果的に児童の身体的及び精神的健康に与える否定的な影響」として、いくつかの勧告がだされたが、核心をついた指摘だったとの思いを新たにした。勉強嫌い、学力の低下、学級崩壊あるいは学校崩壊、総じて学校の荒れと称される現象の根元の一つもここにあるとおもわれる。教えるべきことを精選し、基礎的なことは時間をかけてじっくり教える、そんな教育がベースになければならない。従来の教育の何が問題であったのか、根本的に問題が提起されている。和歌山の子どもたちはみんな勉強が好きだという状況をつくるため、教育委員会はどのような方向をもっているのか。
 ■小関教育長 これからの学校教育では、基礎基本の学力を身につけ、一人一人が学ぶ楽   しさと喜びを実感し、特性や能力を最大限に伸ばす教育を進めていく必要がある。指導の方   法や体制をより一層工夫改善してまいりたい。
鶴田 国は教員の総枠を減らさない第七次定数改善計画をだした。習熟度別学級編成というような賛成しかねる制度も複線としてあり、無条件で歓迎というわけではないが、教員を減らさないという点では、地方としても活用すべき。来年度の県の教員定数は百十二人削減になっている。国全体としては減らさないのに、和歌山県は減る、納得がいかない。この調子でいけば、何年か後には他府県と大きな格差が生じるのではないか。教育委員会としても財政運営プログラムの五百人削減は見直すようつとめるべき。高知や香川、秋田のような県独自の教員増を図ることも肝要ではないか。
 ■小関教育長 文部科学省の改善計画を踏まえ、二十人程度の少人数による授業を行うなど の各学校の取り組みにたいしてできる限り支援できるよう、必要な教職員定数の確保に努めて いる。
鶴田 図書館教育について。昨年は国会決議で「こども読書年」と定められていた。読書の環境を充実し、読書の喜びを子どもたちに与えるため、県としてどのような成果をあげたのか。平成五年から五年間で学校図書館の蔵書を一・五倍にする施策が国の方でとられた。いかなる成果をあげたか。学校図書標準に照らしてそれを達成している学校は、和歌山県では小学校が二一・九%、中学校が一二・一%と聞く。これをどう評価するのか。読書指導に専任司書教諭、図書館司書の配置を求めてきたが、試行的にでも考えてみる必要があるのではないか。
 ■小関教育長 毎年県内の小学校で合計七万冊程度、中学校で三万冊程度の図書を購入   し、蔵書の充実が図られている。平成十五年度から十二学級以上の小・中・高に司書教諭を  配置できる   よう、資格取得のための講習会の開催等、条件整備を行っている。
再質問
鶴田 臨時財政対策債はこれからの財政運営に支障ないというが、国の地方交付税会計がたいへんなことになっている。後々に交付税で対策しますよと言っても、保証のない話。重大な影響があるということを前提にして、国の地方財政に対する厳しい対応を地方としてやるべきではないか。
 ■稲山総務部長 将来の交付税制度のあり方が不透明な部分があるというのはそのとおりで  はないかと認識しており、県債の発行は後年度負担も勘案しながらできる限り抑制に努めて  いく。
鶴田 埋め立て地全体にどれだけダイオキシンが埋まっているか、掌握する必要がある。掘削地以外はしないという状態になっているが、なぜ調査させないのか。海洋へのにじみだしについては、疑わしきものは調べておくことはどうしても必要ではないか。
 ■安居企画部長 調査の必要があると判断されれば、関電にたいして調査を求めていく。海  域へのにじみ出し、近隣海域でのダイオキシン類の調査を含め、工事中の監視体制の中で  今後検討されることとなている。、
鶴田 同和行政の特別措置を廃止することと、一般対策へ移行することと、一般対策へ移行しても同和行政は進めるという。どういう関連になっているのか。名前だけ変えて従来と同じような形をするのでは、総務庁が示した三つの基準からも外れてくる。同和室、同和委員会について、私は、もう一切なくていい、やめる方がよろしいという思いで質問したが、組織体制を新しく構築とはどういうことなのか。
 ■白井福祉保健部長 残された課題解決のため、一般対策の中で同和問題の解決の視点   に立って取り組んでいく。すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育、人権啓  発として発展的に再構築すべきであり、庁内の組織検討委員会などで研究していく。

                              
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