村岡キミ子議員の質問(三月六日)

【国の政治と県の予算編成について】

 平成十四年度の予算案における歳入落ち込み、公債費の膨張は国政の誤りによるものと言っても過言ではない。さらに昨今では国政による社会保障制度の改悪による国民負担増大策が進行しつつある。交付税の改悪的見直しも取り沙汰され始めている。

 昨年来知事は「最前線から地方財政改革論議に寄せる」と意見表明され、「緑の雇用事業」を提唱された。しかしその提唱した内容の実現は国策の中においてきわめて不十分でしかない。財政制度などには逆行の気配さえ感じさせる。

 知事にあって、現在の先行きのない小泉流構造改革路線と明確に対峙し、住民福祉優先の政治、地方自治拡充を保障する政治への転換を求めるべきだ。また現時点で、国政に対し地方自治の拡充と県民福祉の拡大についてどのように考えているのか。

◆木村知事

 地方の実情を無視した一方的な公共事業の削

減、地方交付税等の見直し等については、その都

度国に対し意見を述べている。さらに悪化してい

る雇用情勢に対しても、例えば「緑の雇用事業」

を提言するなど地方から声を上げている。

 今後とも、地方自治の拡充や財源の確保のため、

地方から国を変えるという意気込みを持って、主

張すべきことは主張するという姿勢で積極的に

国に対して提言を行っていきたい。

 

 財政運営プログラムは、膨大な県債の計画的な減額に一定の意味をもつものではあったが、そのためにここでも聖域なき見直しが掲げられた。結果、教員の増員を求める県民要求に対し、逆に五百人を削減する施策がすすめられ、平成十四年度予算案ではさらに百十一人の削減が提案されている。また、高齢者の医療負担を増大させるような制度の改変が、きわめて厳しい内容で行われようとしている。地方自治の本旨を考えれば、このような施策はそれに背くものであり、本末転倒のそしりを免れない。

「無駄を省く」という立場に立つならば、先行きが見えず批判も多い関西新空港二期工事への七億四七〇〇万円の支出、国の港湾にかかわる直轄工事の負担金、市町村合併を強引に進めるための二億五〇〇〇万円を超える経費等の予算化への提案の意味を問い直し、財政運営プログラムを見直すべきではないか。

   ◆稲山総務部長

     県の財政事情逼迫を踏まえ、将来にわたる財政

運営の安定を図りつつ、住民福祉向上に対応して

ゆくため「財政運営プログラム」を策定し、財政

の健全化に取り組んでいる。具体策として、職員

定数の削減、給与の見直しなどの行政内部の努力

や、施策の抜本的見直しによる歳出削減等を掲げ

ている。

平成十四年度予算においても、同プログラムに

基づく財政健全化策を着実に実行しつつ、そこ

で生み出された財源を有効に活用し、県勢活性

化のための新規施策については積極的に展開

していく方針で取り組んだ。この結果、昨年度

に比べ、収支不均衡を十二億円改善しつつ、一

〇〇の新規事業を含め、今後の和歌山県にとっ

て真に必要な事業を盛り込むことができた。こ

のプログラムを基本に引き続き財政健全化に

取り組みたい。

 

【医療保険改悪と県老人医療費補助制度について】

 政府は三月一日、健康保険法等改悪案を国会に提出した。これは、全ての国民に負担増を押しつける大改悪である。この改悪法案が通れば、まともに医療を受けられない国民が新たに増え、尊い命を失うことになりかねず、きわめて深刻な健康破壊へとつき進むことが懸念される。

 医療保険改悪による患者負担引き上げ中止を求める請願署名には、切実な声が寄せられている。

「七〇歳以上になり、国民年金だけで細々と生活している者に、医療の負担の引き上げは困る」と清水町の高齢者。「ここ二、三年の介護保険による経済的負担の増加、さらに今回の医療保険制度の改悪による負担増は、生活を大きく圧迫する。高齢者が安心できる医療制度を」と海南市の心臓病で通院する年金生活者。那賀町からは、「子供たちは給料が減額されながらも、精一杯働いている。これ以上の負担増になれば病気もできない。現状通りにしてほしい。」こうした声が今、和歌山県下、日本中に広がっている。

この四月から七〇歳以上は、例えば外来の自己負担でみると、診療所では実施している一回八〇〇円から八五〇円に、二十床以上の一般病院が月三〇〇〇円から三二〇〇円に、大学病院など大病院では月五〇〇〇円が五三〇〇円に引き上げられる。診療報酬の改定では、六ヶ月以上の長期入院患者は報酬が一部カットされる。削られた分は全額自己負担となり、一ヶ月四万から五万円にもなる。病院から退院に追い込まれることが懸念される。

 十月から定額制は廃止され、全ての高齢者が一割負担となり、新たに一人住まいでは、年収約三八〇万円以上、夫婦二人で年収六三〇万円以上では、二割負担の制度が実施される。さらに、外来・入院の自己負担限度額も大幅に引き上げられ、その限度額を越えた分はいったん全額を支払い、その払い戻しは、手続きを済ませてから二ヶ月〜三ヶ月後になる。そのため、金がなければ安心して医療にかかれない。一方、三歳児以下の自己負担を三割から二割に負担が引き下げられた。全国のお母さん達の願いは、就学前までの無料制度の実現だ

 改悪案によると、来年四月からサラリーマンや公務員本人の窓口負担が二割から三割となり、同時に家族の入院負担金も三割に引き上げられる。その上、政府管掌健保の保険料がボーナスも加えた総年収制となり、保険料率も七.五%から八.二%に引き上げられ、大きな負担増が押しつけられる。たとえば月収三〇万円、ボーナス一二〇万では、年間四万円もの負担増となり、不況にあえぐ中小企業の労使双方に重い負担を課すことになる。その上、国は五年以内に政管健保の民営化を目指そうとしている。こうした医療改悪により、厚生労働省は八五〇〇億円の削減を試算しているそうだ。

 県は、財政難を理由に、六七歳から六九歳にかかる老人医療費補助金を大幅に見直した。これまで、対象年齢の約八〇%の高齢者がその補助金を受けてきた。所得制限も緩やかで、六七歳になることを待ち望む声さえあった。ところが見直しにより、年齢は現行どおりだが、所得から年収制に変わり、一人暮らしの場合年収一〇〇万円以下、夫婦二人の老人世帯では約一四〇万円以下と厳しい制限になる。六七歳になるのが、七月三十一日以前ならば受給対象となるが、八月一日以降であれば年収該当者のみが受給資格を得ることになる。

 平成十四年度は、対象者数の自然増で予算は減少していないが、平成十五年度からは、約三億円の減額、平成十六年度になると三億五千万円の減額となり、予算も平成十四年度の十一億三〇〇〇万円から、四億八〇〇〇万円となる。さらに、平成十七年度では一億七〇〇〇万円、五年後の平成十八年度は、対象者も平成十三年度の一割となり、一億三〇〇〇万円の予算で済むことになる。

 国の改悪による負担増や介護保険料負担に加え、県の見直しによる負担増で多くの高齢者が医療から遠ざかり、老後のくらしと医療への不安は加速する。見直しの再考を求める。平成十四年度から、少子化対策の乳幼児医療費補助金の対象年齢を、入院について現行三歳未満から就学前まで広げたことは評価したい。

   ◆木村知事

     近年、急速に少子高齢化が進む中で、将来にわ

たり、医療保険制度を持続可能で安定的な制度と

するため、一定の見直しが必要となっている。県

は必要な配慮を行うよう要望を行ってきた。今般

の改正案については、国会での慎重な審議を望ん

でいる。

 

 国はこれまで老人医療費に対する国の負担を、一九八三年から十三%も削っている。政管健保も三.四%に、国保は六五%も削っている。これを元に戻せば、赤字は解消されることを私たちは主張してきた。今回の改悪では、患者、病院、保険者のみに痛みを押しつけ、国と製薬会社は「痛み」から除かれている。納得出来ない改悪である。

   ◆木村知事

 県単独老人医療費補助制度は、創設から二十八

年が経過し、高齢者をとりまく社会経済状況は変

化した。厳しい県財政の中では、少子高齢化時代

や本県の実情に合った保健・医療・福祉施策を強

力に推し進める一方、本制度については現在の受

給者や経済的に低位にある方への配慮をしなが

ら、見直さざるを得ないと考えている。

 

【雇用対策について】

 知事が北川三重県知事と共同で提唱された「緑の雇用事業」は全国的にも反響を呼び、県内でも各方面から歓迎されている。すでに昨年末から事業が開始され、新年度予算案にも国の緊急雇用事業の活用や従来の森林対策も含め、十七億円余りの予算が配分されている。公的な就労の場を確保し、森林を保全する上で、また地域産業を振興させ、過疎地を活性化させる上で積極的な施策の始まりとして評価したい。

知事は、この取り組みを一時的な失業対策的なものでなく継続的に発展させ、定住をすすめていく方向をめざし、国に働きかけながら県としても努力したい旨を表明された。緑の雇用事業で五〇〇人、その他の雇用対策で九〇〇人、合計一四〇〇人の雇用確保に取り組むとした具体的施策に期待したいが、緑の雇用事業は、林業の持続的な維持・発展に結びつかず、一時的な対策にとどまるおそれがある。

国に対し積極的な施策の確立を求め、農業との関連で事業を展開させることも必要になる。期限付きの失業対策的な事業ではなく、海を含めた県土の保全、自然環境の保護、林野の公益的機能の維持・保全を図るという効果の期待される事業として、和歌山県独自にでも長期にわたって事業を展開してゆく決意を示していただきたい。

   ◆木村知事

     都市から中山間への定住は、六ヶ月では満足で

きない状況なので、永続して地域に住み、地域の

活性化や過疎対策になるような人材に住んでい

ただけるよう事業をすすめていきたい。今、労働

組合や経済界等とも相談し、永続的な制度になる

よう努めている。国に対しても従来のやり方では

困難だと積極的に訴えていく。

 

 日本共産党はかねてより、県民のくらしや社会保障の充実にもつながることから、福祉や医療面における雇用機会の確保、拡充を求めてきた。

昨年四月から介護保険が実施されているが、施設介護も在宅介護支援体制も不十分な状況にある。私どもの調査では、平成十三年九月現在で県内の特別養護老人ホームの待機者の合計は一二二一名であり、今後も需要は増加する見込みである。 

現在、五〇人定員の特別養護老人ホームでは二四カ所、一〇〇人定員の老人保健施設で対応する場合は一二カ所の新設が必要であり、その必要人員は四八〇人〜五五〇人である。在宅介護のためのホームヘルパーは平成十六年度末の数値目標二四六八人に対し、九〇〇人以上の不足である。その上、訪問リハビリや訪問入浴などの人員不足を加えると、高齢者介護で一三〇〇人以上の人員が必要である。それに、グループホームやケアハウス等を加えると、より多くの人員が必要となる。これまで国の経済対策でヘルパー養成は積極的に行われてきたが、有資格者が実際に働く割合は大変低い。高齢者福祉充実のための雇用確保の計画をうかがいたい。

 また、平成十五年末を目途に障害者プランに基づく施策がすすめられているが、福祉工場や授産施設、援護寮や知的障害者更正施設、身体障害者療護施設など各種施設も不足している。障害者やその家族による努力や運動に頼るだけでなく、県行政としても積極的に障害者プランの目標を上回る施策を実現すれば、約五〇〇人の雇用が創出される。障害者福祉の充実と雇用確保の面からも大変重要な課題である。

   ◆白井福祉保健部長

     特別養護老人ホームは、平成十三年度補正予算

と平成十四年度当初予算計上分を併せ、一八三床

を整備している。介護サービスには、現在約九千

人が従事しており、「わかやま長寿プラン二〇〇

〇」に基づき各種サービスの充実に積極的かつ計

画的に取り組んでいく。

 現在、障害福祉施設では約一七〇〇人が従事し

ており、平成十四年度で計画している知的障害者

更生施設等の施設整備においても約九〇人の雇

用創出が見込まれている。今後も雇用対策も含め、

地域のニーズやバランスを考慮しながら計画的

にプラン達成に取り組む。

 

【女性の地位向上について】

昨年十月にまとめられた論点整理集を基に、男女共同参画推進条例が今議会に提案された。わかりやすい表現で、県民の意見を積極的に取り入れ、条文化された努力を評価したい。条例は、宣言条例であってはならず、真に実効性に重きを置いた条例が期待される。

 第十条の子育てと介護問題については、いずれも女性にとっては大きな負担となっている。働きたい、働き続けたいという願望は強くても、親の労働形態も様々に変化している中では、必要な保育が保障されない実態にある。今や、夜間保育や病児保育などの要求も切実となっている。育児休業や介護休暇の取得については、女性ばかりが優先しているのではないか。法改正を受け、育休は本年四月より、一年から三年に延長され、介護休暇は三ヶ月から六ヶ月に期間延長されたが、賃金保障の伴わない休暇が、果たして取得拡大につながるのか。経済的保障を国に求めたい。

県庁職員の取得状況はどうなのか。また、県下の事業所等への働きかけはどのように行われているのか。

   ◆稲山総務部長

     県庁職員の平成十二年度における育児休業取

得者は六六名、介護休暇取得者は四名であり、い

ずれも女性職員である。

 

 条例第二十一条に強調されているDVについては、夫またはパートナーからの暴力を受けた被害者の女性に必要な支援と、一時保護を行うことを明文化しているが、深刻な事例も増えている。

 先日、女性相談所に現状をうかがったところ、年々DVに関する相談件数も増え、平成十年度の二九一件、平成十二年度二三三件、十三年四月から本年二月末までに三八七件と急増、一時保護者数も子供同伴者が増え続けているそうだ。また現在、相談員三人で相談と一時保護の業務をこなさねばならず、多忙をきわめているという。せめて一人か二人の増員を、と訴えていた。

今年四月からDV防止対策事業を実施するため、土・日・祝日の午前九時から夜十時までの相談と、平日も夜十時まで相談に応じるとのこと。このため、一人の増員に伴う予算一八六万円が計上されているが、これでは常勤職員の人件費には足りない。非常勤職員の配置ということになるであろうが、それで果たして、救いを求める多くの被害者たちに十分な支援が出来るのか。女性相談所充実のため、ぜひとも正規職員を増員されることを要望する。

   ◆白井福祉保健部長

     DVに関する電話相談件数は、平成十二年度一

四四件が平成十三年二月末日で既に二一五件と

対前年度比四九%増となっている。本年四月から、

電話相談員を一名増員し、相談受付時間を夜間・

休日まで拡大した。今後とも相談・保護件数の増

加状況に応じた職員配置を検討していきたい。

 

県の参画促進要項では、審議会委員等への女性登用について平成十七年度までに三〇%以上の登用目標となっている。ちなみに、平成十二年度目標三〇%に対し十八.五%、平成十三年度では三〇%目標に対し十六%と後退しています。

三〇%達成するため、今後、具体的にどう取り組んでいくのか。

   ◆秋月環境生活部長

     平成十七年度までに三〇%以上という当面の

目標に向け、新年度からは各部局単位の進捗状況

の把握や委員選任時の男女共生社会推進課への

事前協議を行うなど、さらに積極的に取り組む。

 

 職員の昇任・昇格基準について、うかがいたい。私の十五年の議員在職中、議場に座られたのは宮崎恭子民生部次長唯一人であったというのは、大変残念なことである。

 最近、女性の仕事に対する熱意も高まり、積極性も目を見張るものがある。男女平等を促進させるためにも、職域拡大、あらゆる研修による女性幹部を育成することも重要。一定の前進はあるものの、その歩は余りにも遅すぎる。女性幹部の比率と、各級の人数、さらに同時に今後の方針についてうかがいたい。

   ◆稲山総務部長

     今日幹部職員には、果敢に新しい施策に挑戦し、

課題を解決していくことが求められている。男女

を問わず、この観点から管理職にふさわしい資質

を備えた職員を登用している。知事部局における

女性職員の状況は、次長級一名、課長級六名、課

長補佐級以下の役付職員二三四名となっている。

課長級以上の職員中、女性職員の比率は一.六%

である。本年四月の人事異動においても、積極的

な女性の登用に努めたい。

 

【フォレストシティ計画について】

 この計画では、平成二年、和興開発KKが和歌山市北部、和泉山脈南麓の山林二二四ヘクタールを開発し、一五〇〇戸の住宅、十八ホールのゴルフ場やリゾートホテル等を建設しようと平成四年六月十日、都市計画法にかかわる許可申請とともに、森林法に関連する林地開発申請を行った。

この開発により、同計画地の麓やその周辺に在住する約二万人の住民、鳴滝川を霊場とする円明寺は、排水対策の未整備地域であるためにおこる浸水被害や、県道粉河加太線の日常的な交通渋滞などに悩まされている。県に対し開発不許可を求め、要請や話し合いを重ねてきた。和興開発KKや主たる融資銀行である紀陽銀行に対しても、再三要請行動などを行ってきたが、なかなか話し合いには応じなかった。

和興開発は、山林の用地買収における偽の届け出書の提出や、税金のごまかしなどの事件を起こし、国土利用計画法違反、所得税法違反で起訴され、有罪判決が下された。この事件では大阪地検特捜部により県庁内が家宅捜索され、元企画部長は法違反に問われ、略式起訴の上、五十万円の罰金刑に処せられた。

和興開発KK社長と暴力団との深い関係なども取り沙汰されている状況であったが、県は社長交替などを理由にしながら、当時の西口勇知事は「苦渋の選択」をしたと語り、住民らの声を無視し、数々の社会的犯罪を容認し、平成九年一月二十二日開発許可を出した。住民(和泉山系の開発を考える会)と円明寺は県開発審査会に「許可取り消し」を求めたが、平成十年一月八日却下された。その一ヶ月後、二月十八日、和興開発KKは会社更生法の適用申請をする事態が起こり、翌年五月和歌山地裁は適用を認めず、同時に破産宣告を行った。

前西口知事の「苦渋の選択」から一年後、県開発審査会の「取り消し」却下から一ヶ月後に、会社は事実上倒産したことになる。住民や円明寺が指摘した通り、許可当時はすでに倒産寸前にあり、フォレストシティ計画を着実に着工、完了できる資力、信用、能力は無かったと断言できる。県及び開発審査会は、資力等の状況調査を厳格に行っていたのだろうかと怒りを覚える。また、前西口知事の「苦渋の選択」とは何だったのか、これは、住民の声よりも開発優先であった知事の姿勢に重大な責任が問われるもので、反省すべきである。

現在、和泉山系の開発を考える会と円明寺は開発許可取り消しを求め、知事と和歌山市長を相手に和歌山地裁で係争中である。もはや事業主体の無いフォレストシティ計画の許可は実態を反映しないもの。いたずらに無用無益な裁判を続ける必要もなくなりつつある。昨年二月和興開発の債権者集会においても、「来年(平成十四年)三月末までに事業売却の見込みがなければ廃止する」ことを決定している。現情勢下では新たな事業者もないであろう。今後の開発行政に反省と教訓を活かすためにも、廃止届を待つまでもなく許可権を有する知事が主体的に取り消しの決断をすべきではないか。

   ◆木村知事

     今日まで、自主的に事業廃止届を提出するよう、

破産管財人に対し再三にわたり指導してきた。債

権者集会における、「三月末をもって売却見込み

等、新たな状況が生じない場合は事業を廃止す

る」という決定の結果を見た上で対応の仕方を考

えたい。

 

(要望)

 知事は、国政が県民の生活にどのように作用しているかをしっかり見極める必要がある。現在の国政においては、無いに等しい雇用対策、交付税制度の改悪施行など、国民本位の経済対策は全く無く、社会保障政策の縮小、無駄な公共事業の継続により国民のもつ閉塞感は打破されそうもない。知事においては、継続的な保障を粘り強く求め、国に提言すべきことは提言するという姿勢で臨まれることを要望する。

「財政健全化プログラム」において、県民の福祉や教育への切実な要求が切り捨てられたり軽視されたりすることは、地方自治の本旨に反することであり、あってはならない。

国はこれまで、医療保険制度を安定的に維持するという名目で、医療保険における国の負担金を削減し続けてきた。小泉流構造改革の重要な柱となっている医療改悪案には、高齢者への新たな負担の押しつけ、すべての国民への医療費負担の引き上げなどが盛り込まれている。知事は、こうした国の施策、国民の健康と命を守るという立場に立ち得ていない施策に対し、県民の実態をきちんと把握し国に提言すべきは提言していっていただきたい。

この点からいえば、平成十四年度から実施される県の老人医療費補助削減という後退は矛盾する態度であるといえる。現在、対象年齢の約八〇%が恩恵を受けているが、五年後にはわずか一〇%程度になる。多くの高齢者が受診抑制することで重症化し、結果的には医療費が増大し、医療保険そのものが維持できない状況がうみだされるであろう。そのことも考慮した高齢者扶助、補助金のありかたを再考されるよう要請する。

日本共産党はこれまでも、福祉分野において雇用の場が大きく拡大されることを主張してきた。雇用創出という観点からの福祉分野における施設整備、人的体制を十分整える施策を打ち出していただきたい。

男女共同参画推進条例の具体的な施策を行うにあたり、例えば商工業者、農林水産業者、その他家内労働等の分野においてもきちんと実態調査を先行させていただきたい。また、委員の公募制を取り入れることについても是非規則の中などで位置づけていただきたい。

フォレストシティ問題については、本来ならば取り消し処分が妥当であろう。知事の苦渋の選択とは、財政力がないことを見越した上での苦渋の選択ではなかったか。いち早く問題解決されるよう要望する。