中山豊議員の質問(6月19日)

【セイカ商事海南工場の排出水ダイオキシン汚染について】

 

中山 県は海南地区公共用水域で水質環境基準を超え、事業所排出水が基準を超過した原因をセイカ商事海南工場と特定し、汚染水の排出停止、原因究明、汚染防止対策を指示し、事業所からの排出を全面停止し、外部へは排出されない対策をとった。

@海南ではかなり前から環境基準を超える汚染が放置されていたのではないか。平成13年初頭以前の汚染状況はどうか。

A同事業所が排出水を止めた後も、継続的に海域や河川の検査をしているが、その後の検査結果は依然として基準超過の結果が出ているようだ。排水を事業所外へ出さないことを条件に検証運転をしているそうだが、その後も検出されているのはなぜか。

B調査地点図では事業所近辺の海域に限っているが、港外や魚は大丈夫か。

C県は当該工場にとった措置による成果をどう評価しているのか。

■秋月環境生活部長平成12年7月から8月にかけて、海南地区公共用水域で環境基準点5地点で監査を実施したところ、3地点で1.3〜5.4ピコグラムで、環境基準の1ピコグラムを超過していた。そのため平成12年10月と平成13年1月の計2回、この地点と周辺部の再調査を実施したが、いずれも環境基準を満足していた。

 平成14年3月の排出水全面停止から10日後の調査結果と約40日後の調査結果を比較すると、事業場近辺の海域では顕著な低減傾向がみられるが、依然環境基準を満足していない。 

 湾口部からマリーナシティ沖の調査地点では、いずれも環境基準を満足していた。本年4月に実施した水生生物調査の結果、平成11年度環境庁全国調査と比較しても、特に問題のない数値であった。

 平成13年12月の工場立入検査の結果が本年2月に判明し、直ちに汚染水排出停止と原因究明及び改善対策を指示した。その直後2回目の立入検査を行ったところ、原因施設であろう製造プラント停止後も排水処理設備等の残留汚染の影響で汚染排水が事業所外へ出ていたことが判明し、3月27日に全面排出停止を指示した。4月10日には排水を出さないことを条件に原因究明と改善対策のための検証運転等を指示し、6月14日に終了した。この結果について検討を行い、再発防止の訓練等を含めた確認運転に移ったところだ。

【JR阪和線海南駅延伸をめざし、快速電車の海南駅までの増便を】

 

中山 JRは、乗客数が少ないため増便しないという態度をとり続けているようだ。この態度を改めるよう、県は地元海南及び、周辺自治体や住民とともにJRに強く求めていただきたい。増便を実現することにより、当地方は大阪方面への通勤圏内に入り、人口増が望まれる。海南市を中心とする地域の発展を促す重要なカギとなる。

■垣平企画部長平成12年3月のダイヤ改正により、昼間の時間帯を中心に減少し、和歌山駅での乗換となっている。JR西日本によれば車両の運用上の問題あるいは沿線各駅の利用状況等によるもので、利用者の利便性の確保は和歌山駅でのダイヤ調整など、乗換についても十分配慮しているという。

 本年2月に県とJR西日本は「JR関連懇話会」を設け、快速列車の海南駅延伸を推進することが、大阪方面への通勤圏としての位置づけを高めるという認識のもとにJRと協議していく。

【国道370号阪井バイパス実現、国道424号の整備促進について】

 

中山 海南市の都市機能にとって、370号の整備、なかでも阪井地区のバイパス対策が急がれる。速やかに施策をとられたい。新市長はこの実現に極めて積極的であり、県市協調体制は強固なものがあろうと確信している。

 424号の未整備区間の整備についても急がれたい。知事は説明要旨で、国に対し積極的に新しい発想で施策を提案する姿勢で、地域の実情にあった構造基準による道路整備の推進としての試みを打ち出している。424号はじめ県下の未整備部分については今後どう取り組むのか。

■大山土木部長370号バイパスは、平成2年に都市計画案の公告及び縦覧を行ったが、反対意見が多く都市計画決定はしていない。現在、以前に提示を行ったルートを基本とし、周辺道路網を勘案した計画案に基づき、海南市の協力を得て地元同意形成のため、早期決定に向け努力している。

 424号は海南市上谷、ひや水地区で現在対策事業を実施中だが、一部用地買収が難航しているため、引き続き関係者の協力をえて整備をすすめていく。

 県下の未整備路線の整備については、地域の生活路線かどうかなど、ネットワーク上の位置づけ、交通量に着目し、地方基準による整備対象路線を絞り込み、コストを縮減し整備延伸を行いたい。

【新学習指導要領、学校5日制実施に関連して】

 

中山 学校週5日制と新学習指導要領が導入されて3ヶ月余りが経過した。試行期間はあったが、実施への準備は充分ではなかったようだ。

@県が把握している保護者、学校、地域の実情の提示を。

A子ども、教職員が難儀を強いられていないか。例えば欠席する子どもが増えるなど、集中力に欠ける状態になっていないか。教員の授業時数が過密になっていないか。子どもは学力低下の傾向にあるのではないか。必要な学校行事は減っていないか。

B5日制導入の試行期間における県の総括の提示を。

C学校と地域の相互関係はどのように培われているのか。

D5日制導入後の子どもの実態把握は行われているのか。

 ゆとりをもたらすはずの学校5日制が、子どもたちや学校に過密な状

況を生んでいないか。「総合的学習の時間」は、授業時間確保のために学校から「ゆとり」をなくしているのではないか。

E長期休暇の終業日を遅らせたり、始業日を早めたり、休暇中に授業日を設けたりするのは、学力低下を懸念してのことか。地域や学校の実情に合わせた柔軟かつ自由な判断があってもよいのではないか。

■小関教育長家庭で過ごす子供も多い実態にあり、学外活動の機会をさらに充実させ、休日の過ごし方について指導することが今後とも大切だと考えている。

 学力の実態を的確に把握し、習熟度別学習や少人数学習など指導方法の工夫改善を図ることが重要と考えている。本年度から小学校10校、中学校5校で「学力向上フロンティア事業」を実施し、その成果を県全体に普及させる。

 学校週5日制や新学習指導要領の趣旨については、公立学校の全保護者向けにすでに2度リーフレットを配布し、啓発に努めてきた。さらに地域ぐるみで教育推進の機運盛り上げを目指し、6月から県内8地方で学社連携による「地域教育力活性化セミナー」を実施。11月には全ての公立学校が授業や行事等を一斉に公開する「学校開放週間」を設ける。

【みかん対策について】

中山 新早生として、熊本県は豊福早生と肥のあけぼのの2品種を極上の品質として市場に送り込んでいるそうだ。10月上旬に出荷できる豊福早生の糖度は11度、中下旬に出る肥のあけぼのは12度で極早生の9度に比して驚異的な糖度である。みかん農家は、しのぎを削り生き残ろうと懸命である。生産地は辛酸をなめつつ品種改良に奮闘している。本県の試験場は、県内のみかん農家に優良品種をどのくらい提供しているのか。

 かつて高糖度の丹生系みかんの改良で、紀の国温州等を育成したが、糖度は高くても実がなりにくいという欠陥があり、あまり普及しなかったようだ。また、極早生生産の宮本早生の育成で、樹の勢いを強くするための改良に励んだようだが、糖度を高めるとりくみもあわせて追究せねばならず、あまり普及しなかったそうだ。

 主幹作物である温州みかんは、昭和50年をピークに5年前に激減、以来上向きになっていない。消費量の減少化傾向にもストップがかからず、平成3年オレンジの輸入自由化、さらには消費者の嗜好の高級化、多品目化、少量化がすすみ、品種に対する消費者の目も大きく変化した。それらのニーズに対応すべく栽培手法の改善研究が行われているが、やはり品種改良が解決のカギであり、果樹試験場に寄せる期待は大きい。

 県は、みかん生産県としてどのような特徴を形成しようとしているのか。その立場からのとりくみと展望をうかがいたい。また優良品種を育成普及するとりくみの体制はどうなっているのか。また、今年は裏作でかなりの不作だといわれている。作柄の実状がわかる頃を見通して、不作、安値の打撃からの救済策を今から検討しておくべきではないか。

■辻農林水産部長県下の篤農家が中心となり組織している果樹新品種研究同志会などの協力を得ながら、極早生から晩生まで10数品種を育成している。近年糖度が  高く、味の良い「ゆら早生」や「田口早生」といった有望品種が育成されており、今後生産者団体と一体となり、産地化に向け取り組んでいきたい。  南北に長い地理的条件を活かし、極早生から年明けの貯蔵みかんまで、長期間の出荷体制を整えており、今後もこの特性を活かした産地形成を図って  いきたい。農家経営の安定と産地の活性化を図るため、優良品種の導入はもとより、マルチ栽培などによる高品質生産や消費拡大対策などを一層維持するとともに、価格低落時に農家に補填金を交付する「果樹経営安定対策」を昨年度に引き続き実施していきたい。

【第17回W杯サッカーにかかわって】

中山 今年2月議会で、知事は「W杯が歴史のいろんな場面で非常に大きな役割を地域や国々の間において果たしてきたことをふまえて、その意義を県民の皆様に広報し、和歌山の特色を出した歓迎の仕方をして盛り上げ方を考えていきたい」と答弁した。それはデンマークチーム活躍、という成果として示されたことを通じ、評価されるだろう。しかし、日本国レベルでみると、指摘すべき点が幾多感じられた。


 アジア初の2国共同開催、しかも日韓両国で17回大会が開催されたことには画期的意義がある。この日韓共同開催で両国国民の間に急速に高まった友好と連帯の機運をより前進させることに力を尽くさねばならない。しかし日本は、インド・パキスタンの核戦争回避で国際社会が腐心し、W杯開幕を明日に控えているそのときに、非核三原則をめぐる政府要人の発言など、国際連帯と日韓友好の機運に水をさした。

 観戦チケットの配券業務における不備に対し、韓国側(韓国組織委員会及び大統領発言)は直ちにFIFA及びFIFAから委託を受けたバイロム社に抗議し、立ち上がった提訴を辞さないと強い態度を表明。これは単に大会をとりしきる組織委員会のみの事ではなく、国際大会を受け入れた日本の権威にも関わることである。

 参加32カ国について国際感覚を高め、国際理解を進める上でまたとないよい機会であったはずだが、なぜこの機会に世界地図上で参加国を示し、子どもたちや国民に知らせる具体的とりくみが為されなかったのか。以上の観点から、日本国政府と日本組織委員会に苦言を申し入れるよう要望する。