村岡キミ子県議の質問全文※答弁・再質問(要望も含む)は要旨のみ(2002年12月12日)

1.国保問題について

 今の国保は、憲法の理念に基づいて一九五九年四月から施行されました。憲法第二十五条の精神をうけ「国保法第一条の目的に国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障および国民保健の向上に寄与すること」としています。

 医療保険制度の中で唯一、社会保障としての位置付けが明記され、医療を国民の全てに公的に保障する制度として国保が誕生し、国民皆保険制度が確立されました。発足当初からその加入者には、低所得者、生活困窮者が多く、十分な国庫負担なしには維持できない制度でしたから、国が責任をもつ社会保障の制度として出発し、低所得者の保険料負担の救済措置として法的減免制度などが設けられているのです。いわば、国保制度は国民誰もが保険証一枚でお金の心配なく医療を安心して受けることが出来る国民皆保険の基幹的制度として充実が図られてきました。

 しかし、最近の国保をめぐる特徴は、長引く不況などによるリストラと失業や、企業倒産、高齢化の進行などによって、国保加入世帯が急増して、国保の果たす役割は益々大きくなると私は思っています。

 一九八四年「臨調行革」の名のもとに、生活保護、老人福祉、国保に対する国庫負担金が大幅に減額されました。国保では医療費の国庫負担を四五%から三八・五%に引き下げ、その時から保険料の引き上げが毎年のように行われてきました。結果、各地で国保料が高すぎて、払いたくても払えないという声が高まる中で、年々滞納者が増え続けているというものです。中には、生命保険を解約したり、サラ金やカードローンで保険料を払っている人が少なくない実態もよく聞きます。

 和歌山市の国保の場合、標準四人家族で年収六〇〇万円で、年間五十三万円の最高限度額の保険料です。加えて、介護保険料年間七万円です。

今や、国保料の滞納世帯は、国保加入者の二〇%、五世帯に一世帯が滞納している異常な事態になっていると聞きます。そして国は、一九八四年と二〇〇〇年に滞納世帯に対し、保険証のとりあげと資格証明書発行を自治体に義務づけるという改悪まで行いました。保険証とりあげによって、各地で治療したくても保険証がないため、また、全額自己負担となることから、手遅れになったり、重症化したり、死亡するなどの深刻な事態も数多くテレビ・新聞等で報告されるそのたびに、私は心を痛めています。まさに「金の切れ目が命の切れ目」そのものであります。

 本県の状況をみてみますと、滞納世帯数は二〇〇二年六月で二万九八二一世帯、資格証明書四五一四件、短期保険証八〇一八世帯におよんでいますから、各地で起こっている事態がいつ起きてもおかしくない状況にあるのではないのでしょうか。一人の犠牲者も出してはなりません。滞納世帯から命綱である保険証のとりあげについて、厚生労働省は「支払い能力があるにもかかわらず滞納し、相談にも応じない悪質滞納者が対象で、滞納者から一律に取り上げるものではない」と答えていること、また、「災害その他の政令で定める特別の事情があると認められる場合」には、とりあげてはならないとしています。先ほど、申し述べた資格証明書発行の四五一四件の方々は全世帯とはいいませんが、悪質滞納者と決めつけているように私には受け止められます。国会答弁や国保法施行令の制裁措置の適用除外の規定にも違反しているのではないかと思えてなりません。大量の資格証や短期保険証の発行で保険料の収納率アップを目的とした制裁措置ならば、国保法の目的とは相容れないものです。

 医療の基本は病気の早期発見、早期治療です。これは国民の願いでもあります。ところが、生命を守る国保が生命を削り、生命を奪うものになっている。心からの怒りを禁じ得ません。払いたくても払えない人の事情をきっちり把握してください。資格証を発行された人の受診率や健康状態にどんな影響をあたえているか、県行政として各市町村と協力して調査していただきたいと願うものですが、如何ですか。

 保険料の負担が重いという住民の声をしっかり受け止め、法定減免制度の改善、国の負担金をもとの四五%にもどすことなどを含めて、国への働きかけを強めていただきたい。そして各自治体の国保基金を運用して、保険料の負担軽減を進める必要があると考えるものですが、知事の所見を伺いたいと思います。

 事業主体は各市町村でありますが、県政としての支援策も含めてお聞かせ願いたいと思います。

◆木村良樹知事
 
資格証明書を安易に発行するのではなく、被保険者と十分話し合いの場を持ち、滞納者の実態把握を十分に行いながら納付相談を行うよう市町村に指導していきたい。国保負担の軽減等の国保制度充実は国の責任である。県は引き続き制度充実を国に要望していきたい。

=再質問=
 資格証明書をもつ滞納者が悪質滞納者かどうか、県は保険証がなくなった後の滞納者の生活実態なども含めて病状の変化などについても追跡調査すべきである。市町村に対しても「指導していく」と言うだけではなくて、市町村がほんとうに苦労しているところに支援を行うべきである。

◆木村良樹知事
 県は資格証明書を発行するときには滞納者との面会による実態把握や十分な納付相談などについて、本当に言葉だけではなく、それが実のあるものになるように、もう一度市町村に対して十分話をしていきたい。

 

2.医療保険問題について

 医療改悪については、日本医師会をはじめ医療関係団体、患者団体など国民三〇〇〇万人署名に示された反対世論を無視して強行されました。坂口厚生労働大臣は国会答弁の中で「ちょっとのどが痛いとか熱がある人は受診をひかえるかも知れないが、大勢に影響はない」と言って成立させました。症状がありながら受診をひかえることで不安は大きくなります。病気の早期発見、早期治療という基本を無視した厚生労働大臣の発言は、医師であるということからも、許せない発言だと思います。本当に国民の医療に影響はないのでしょうか。

 四月から実施された診療報酬の改訂は二・七%の引き下げです。病院等では収入減となり、悪影響を与えていることは明らかです。日本医師会の調査でも昨年の四月から六月に比べると、医療費が三・六%減少し、患者数が二・三%、患者の受診回数が三・八%も減少しているといいます。本格的な患者負担が始まる前に受診抑制が進んでいることがはっきりしてきました。深刻な人手不足の解消ができないこと、医療の安全・サービスの向上、患者の保険外負担が増えることが懸念されます。

 六ヶ月をこえる入院患者に対する入院基本料の保険はずしや、大病院の再診や予約診療にも差額料をとり、差額ベッドの割合を全ベッドの五割から七割へ拡大する、透析患者の治療食が保険給付から外され有料化または廃止するなど、あきれるほどの患者への負担増が広がっています。

十月からの高齢者の負担増の改悪は、限りない不安を押しつけるものとなっていると言えます。とりわけ七〇歳以上の医療費の自己負担については全てのお年寄りから一割負担を徹底し、窓口で一旦全額を支払い、限度額を超えた分については申請して返金してもらう立て替え払い(償還払い)を導入しました。しかし、窓口でいくらかかるかわからない不安からいっそう受診を控えることになるのではと大変心配するものです。

六九歳以下の場合でも、自己負担限度額が設けられているものの、重症になるほど負担は増える仕組みになっていますし、高齢者については夫婦二人の年収六三〇万円以上に二割負担とする新たなランクを設定し、負担増を強いています。

こうした改悪の実施前と実施後に、北海道社保協は一〇〇〇人の高齢者(患者)に対し、道内の病院、薬局、診療所などで聞き取り調査を実施しています。

実施前、医療費が高くなったらどうしますか、との問いに、大変なことになる四〇%、食費・生活費をけずる二〇%、通院回数を減らす十七%、他にも検査・薬を減らす、入院したら死ぬしかない、などの声が大きく、実施一ヶ月後の調査では、診療費が増えた四一・九%、支払いが大変五一%、生活・食費をけずる十三・七%、五〇〇〇円以上の負担になった八・九%、一〇〇〇〇円以上の負担になった十一・三%、どうしたらよいのかなど、不安いっぱいの声が多く出されています。

これまでの医療改悪で負担増となり、受診抑制がすすみ、ギリギリのところで暮らしているお年寄りたちです。今の政治は年寄りには地獄です。これ以上の負担には耐えられません。死んだ方がましかも・・・。と嘆く年寄りの声が耳を離れません。この改悪は撤回を国に求めていただきたい。入院については委任払いが実施されているのですから、外来についても上限額をこえた分は窓口で払わなくていいようにしていただきたい。また負担が十倍以上にもなる人があることからも、負担の上限額を引き下げることを求めます。関係部長の答弁をお願いします。

◆白原勝文福祉保健部長
 老人保健法では委任払いはできないことになっている。自己負担額の上限額引き下げについては現在国で検討がなされている。いつでも安心して適切な医療を受けられるよう医療保険制度の抜本改革の早期実現を要望していく。

=再質問=
 県下でもまだ22自治体で、その都度申請をして返してもらうという細かい手だてが必要となっている。現在、北海道で入院は委任払い制度が続いているから外来でもできるような方法をとってもよい、違反ではないと厚生労働省の大臣も答えている。八千円とか一万二千円の限度額を払えば自治体窓口に手続きしに行かなくていいし、病院窓口でもそれだけ払えばいいという手だてを北海道は現実に始めた。複数の受診、薬局、診療所か大病院か等の問題は市町村、病院や医師会等と協力しながら、知恵を出し合えば委任払いは可能では。

◆白原勝文福祉保健部長
 現行法のもとでは困難だが、今後研究していきたい。

 
3.老人保健対象の呼吸器機能障害者三級の方について

在宅酸素療法を受けながら、月二回から三回通院治療を続けているひとり暮らしの女性がいます。十月からの医療費がこれまでの月三二〇〇円から一万二〇〇〇円と四倍になりました。驚きました。在宅酸素療法の酸素濃縮器の電気代が月五〇〇〇円かかります。主治医に「酸素療法を止めるわけにはいかないのでしょうか」と相談はしたものの、呼吸が苦しくなってまた続けざるをえません。死ぬまでつきあわなければならないし、遺族年金の十万円で生活していますが、お金が続くかとても心配です。

賃貸住宅で病院へ行くのにもタクシーを使用しています。何とか県の重度心身障害者医療費助成を入院の場合と同様に、三級の外来についても対象にしてもらえないか、との願いです。如何なものでしょうか。関係部長の答弁をお願いします。

◆白原勝文福祉保健部長
 自己負担が増え厳しい状況下に置かれている患者がいることは承知しているが、県財政の厳しい現状で制度拡大は困難である。

 

4.C型肝炎対策について

 急増する肝癌が今、第二の国民病といわれ問題となっています。肝癌の原因としても患者の八〇%がC型肝炎ウィルスの感染者であると日本肝臓学会理事長の谷川久一氏も新聞紙上で述べています。感染経路は血液を介して感染し、輸血によることが多いこと、感染力は弱く日常生活でうつることはないこともはっきりしてきました。

 日本赤十字社の献血の検査で、C型肝炎ウィルスの抗体陽性者が昨年までの十年間で四十五万人をこえていることも判明しています。この数字から、国内には少なくとも二〇〇万人をこえる感染者がいると推計されたところです。感染しても発病するには五年から三十年かかるといわれ、現在輸血血液のウィルスの有無をチェックすることで、輸血後の感染はほとんどなくなりました。医療現場では使い捨ての注射針や筒を用いることも常識となって、新規感染はなくなっています。

 止血剤として使われた血液製剤フィブリノーゲンなどを投与され、C型肝炎ウィルスに感染させられたとして、薬害肝炎で国と製薬会社とを相手に集団訴訟も発生しています。特にC型肝炎は発症すると慢性肝炎、肝硬変そして肝癌に進行するのであります。それだけに、国の対策が急がれなければなりません。

 最近、私の知人も職場の健診でC型肝炎が指摘され、インターフェロン投与と一月保険適用となった内服の併用治療が続けられていますが、その患者負担は高額であります。患者負担は健保本人二割で、インターフェロン投与は六ヶ月間に限定されていますが、内服剤とあわせて六ヶ月間で約三十万円から三十五万円の負担が必要だといわれています。三割負担ともなれば、さらなる負担は大きくなります。検査については、老人保健事業の項目に加えられたことで、早期発見、早期治療への一歩前進といえますし、完治するともいわれています。

 一方では、C型肝炎であることを職場、家族に話しても理解してもらえず、退職に追い込まれた患者もあることから、正しい知識の広報や普及活動、専門医師や病院などの確保が急がれるのではないでしょうか。

 同時に高負担の治療費に対する支援を国に求めるとともに、財政の苦しい時ではありますが、県としても支援を検討していただきたいと願うものですが、如何でしょうか。関係部長の答弁を求めます。

◆白原勝文福祉保健部長
 長期療養、高額医療費が必要な疾患はC型肝炎に限らないため、C型肝炎にのみ医療費助成を行うことは他疾患との公平性や財政的な問題等により難しい。国にはいつでも安心して適切な医療が受けられるよう要望していく。

=要望=
 研究などC型肝炎対策は各国に比べて遅れている。県は国に積極的にはたらきかけてほしい。

 

 

5.公共工事について

 県工事の入札についていくつかの質問をおこないます。

 国の「公共工事の入札および契約の適正化の促進に関する法律」が制定され,本県でもこの六月以降,順次いくつかの改善がおこなわれているところです。予定価格の事前公表や,最低制限価格および低入札価格調査の基準価格の事前公表,積算内訳書の提出などです。今後もさらに改善をすすめ,公正な入札および高値談合防止による余分な財政負担の軽減,そして,適正な価格を保証することで,下請けや孫請け業者の保護,そして建設現場で実際に働く人々に適正な賃金を保証し,退職金制度が正しく適用されるなど,労働条件を向上させていくことが必要だと考えます。

十三年度の入札状況をみましていくつか気になる点がありました。

 一〇〇〇万円以上の工事契約が一三八七件あり,その設計総額(消費税込み)は六〇六億二八三八万円ですが,契約金額は五七八億三三八四万円ということです。落札率としては九五・四%ということになります。設計金額の少し下に予定価格が設定されるケースが多いのですから,予定価格と落札価格との割合はこの九五・四%よりさらに高いことになります。

部局別に見ますと,最も低いのは教育委員会がおこなった七件の工事の平均落札率で,七九・一%でした。これにたいして、設計金額に対して最も高い金額で契約しているのは企業局の九六・二%,次いで高いのは九五・六%の土木部,農林水産部の九五・三%でした。金額的には,土木部が四四三億円,全体の七七%,農林水産部が一二四億円,全体の二一%を占め,この土木,農林水産の二部だけで九八%にもなります。

県工事の落札率が教育委員会並の七九・一%となった場合,県の財政負担は九八億円軽減されることになる計算になりますが,間違いないでしょうか。また,この計算は,一〇〇〇万円以上の工事入札についてのものですが,一〇〇〇万円以下の工事や工事ではない設計などの契約については資料がありませんが,教育委員会並の落札率となれば,工事量や仕事量は減らすことなく,一〇〇億円以上県の財政支出を減らすことができます。もちろん,国庫補助事業がありますから,県の一般財源がそれだけ減ることにはなりませんが,県工事の市町村負担金も同時に減るのですから,ここに思い切ってメスを入れることが県だけでなく、市町村の財政運営上も重要な問題だと考えますが,知事の所見をお聞かせ下さい。

 

 次に,土木部入札の実態を紹介し,土木部長の見解を求めます。決算委員会でも若干の意見を申しあげたところですが、あらためて質問を申し上げます。土木部の入札を一〇〇〇万円未満、一〇〇〇万円以上五〇〇〇万円未満、五〇〇〇万円以上一億円未満、そして一億円以上のランク別に落札率を調べてもらいましたが、工事額が高いほど落札率が九五%以上という工事が増えていることです。一〇〇〇万円未満では九五%以上の落札率の工事は、全体の七五%ですが、一〇〇〇万円以上五〇〇〇万円未満では八三%に増え、五〇〇〇万円から一億円未満では九〇%、一億円以上では九一%でした。このことは、工事金額が高くなるほど、設計金額と落札額が接近していることを表しています。

 一億円以上の工事は昨年四十六件ありました。そのうち、落札率九八%以上が十一件、九七%以上が二十二件、四十六件中三十二件が九七%以上の落札率ですから、異常に高い落札率です。九九・五%の落札率の道路改良工事には十六社が入札に参加し、落札予定価格は九九七〇万円でした。落札したのは、九九二〇万円の金額を書いた建設業者でしたが、差額はわずかに五十万円でした。この五十万円の中に、残りの十五社が入っています。入札額は九九二五万円、九九三一万円、九九三二万円、九九三五万円、五つの会社が九九四〇万円で並び、さらに九九四二万円、九九四五万円、九九四八万円、二社が九九五〇万円、最高額が九九五三万円でした。落札業者と最高額を入れた業者との差はわずかに三十三万円でした。わずか〇・三%の金額の間に十五社がひしめき合うような入札が、自然な入札で可能だと考えますか。土木部長いかがでしょうか。

 こうした事例は、今年の入札でもあります。今年に入って行われた一億円以上の入札執行調書によりますと、IT総合センターの建築工事では、九社が入札に参加し、落札した「ゼネコンを含むJV」の入札金額は二十億一〇〇〇万円、最高額を入れたJVが二十億五八〇〇万円。その差額は四八〇〇万円であり、消費税をのぞいた設計金額が二十億六七五〇万円で、この金額は公表されていますから、その二・三%前後の中に九社が入ったことになります。反対に、九月十一日に入札された和歌山下津港の建築工事ですが、落札予定価格が一億七二三〇万円で、低入札の調査基準価格が一億四六四五万五〇〇〇円、落札された金額は調査基準価格を三〇〇〇万円以上も低い一億一一八八万円で、最高額は一億五五〇〇万円でした。この差額四三一二万円は、予定価格の二五%にあたります。

 このように、県の入札は高い落札率に集中するものと、そこから離れた入札という二極分化の構造をはっきりみることができます。このような実態を土木部長はどう考えますか。

 

 次に,県として談合に対する認識が甘いのではないかと考えますので,お聞きします。

十一月七日に行われた紀ノ川中流下水道幹線推進工事とシールド工事の談合情報に関連して質問します。県担当課から説明をいただいたところでは,七日午前十時に予定していたこの二つの工事入札について,六件の談合情報があり,工事名,落札予定者名,落札予定金額,談合に関与した業者名が情報として提供されたとのことです。

県は,談合情報には該当しないとして,入札をおこなったところ,二つの工事とも,情報通りの特定建設工事共同企業体が最低価格を入札したとのことです。

事情聴取の結果,推進工事の工事費の内訳が,県の積算額と大きく違ったところがありながら,その差額は共同企業体のそれぞれが数万円に過ぎなかったということです。県の資料提供では,「工事費内訳書については,疑わしい点があるが,談合の事実は確認できなかった」としています。

そこで,お聞きしますが,県として談合の事実を確認するということは,何をもって確認するというのでしょうか。談合情報マニュアルによれば、談合がなされたことを示す具体的証拠がなくても、情報提供者の指名および連絡先が明らかであり、具体的な対象工事名、落札予定者および金額があるとき、または、匿名の場合でも、工事名や落札予定者および落札予定金額があり、談合に関与した業者名が明らかになるといったケースです。

今回の場合でも,二件の工事のうち一方では六社、他方は十二社で合計十八社の共同企業体が入札に参加し,その二つとも,情報にあった落札予定者と,実際の落札予定者が合致していたのですから,でたらめに落札予定者をあてる確率は七十二分の一しかないのですから,情報の正確性は高く、しかも,工事費内訳書には不自然な点があるというのですから,談合がおこなわれた疑いは限りなく濃いということができます。

しかし、県の資料によれば、十一月七日の入札にかかる情報は談合情報にはあたらないということです。明らかに談合情報ではないでしょうか。また、事前に落札業者を知ることは一般には不可能なことですから、今回の場合、談合が行われた疑いが濃厚なのではないですか。だから、県も公正取引委員会に通報したのではありませんか。これらの入札に参加した企業を再度入札に参加させることに問題はないのでしょうか。また、これまで、県として警察に談合罪の容疑があるとして通報した事例があれば具体的に明らかにしてください。

◆木村良樹知事
 県民に対し、よりよい社会資本をより安く提供していくことが、公共事業の発注者としての(県の)責務であり、この過程を通じて建設業の健全な発展を目指していくべきであると考えている。今後も入札契約制度の適正化に努めていきたい。

◆大山耕二土木部長
 本年5月に策定した「公共工事等の入札及び契約手続改善策方針」に基づき、より公正な競争が促進されるよう取り組む。入札参加業者が談合の事実を認めた場合と談合の事実が認められる証拠を得た場合を、談合であると確認することになっている。契約書には、公正取引委員会で談合を認定できなければ、談合情報のあった企業が再入札で落札しても、契約解除や損害賠償の請求はできないと明記している。独禁法は企業と個人の行為を対象としているが、刑法の談合罪は個人の行為を対象としている。県は談合罪の容疑で警察へ通報した例はない。

=再質問=
 紀の川中流流域の工事については6件の談合情報が入っていたから入札を無効にした。ところが再入札のとき、その疑わしい業者について談合を確認できなかったからといってまた参加できるというのは、誰が考えても納得できない。また司法権をもつ警察にも、談合が疑われる場合には協力をよびかけることも必要である。

◆大山耕二土木部長
 今回はより公正を期するということで再入札をおこなった。談合罪は個人の行為に基づく罪なので慎重に取り扱うべきである。