高田由一議員の質問全文※答弁・再質問(要望も含む)は要旨のみ(2002年12月10日)

 

1.障害者の支援費制度について
 まず制度の周知徹底についてです。9月県議会でも福祉保健部長は「制度の周知徹底が極めて重要」と答弁されました。その後の状況はどうなっているでしょうか。例えば田辺市では、制度変更にともない2名の臨時職員を採用しました。施設入所者には保護者会で説明、在宅の方には訪問して新しい制度を説明するなどきめ細やかな対応をするようです。しかし他の市町村ではパンフレットを郵送しておいて、在宅の方については支援費の申請があった人のみ訪問して調査をするというのが一般的なやり方のようです。これで本当に理解が得られるのか、制度が変わる4月1日に間に合うのか大変心配です。そこでうかがいます。現在、施設利用者や在宅の方への説明会は県下で何%の人を対象に開催されていますか。また、県の職員は直接そうした説明会へ参加しているのでしょうか。答弁をお願いします。

 

 いま市町村職員もたいへんです。周知徹底のための膨大な事務に追われ、しかも障害者は個々様々に状況がちがいますから、通り一遍の説明ではすまないため、問い合わせなどに対応しなくてはなりません。そのうえ申請があがってくれば、聞き取り調査を行うなど介護保険のケアマネージャーがやっているような仕事をしなくてはなりません。そこでうかがいます。県として市町村の担当職員にどのような援助を行っているのですか。ケアマネージメントの研修状況などはどうなっていますか。答弁をお願いします。また根本的には来年へ向けて専門職員の配置ができる財政的な支援が不可欠だと思いますがいかがですか。答弁をお願いします。

 

 つぎに利用者の負担増についてうかがいます。これまで厚生労働省のパンフレットなどでも制度が変更になっても利用者の負担が著しく増加しないようにすることになっていました。ところが、最近しめされた利用者負担案によると、そうなっていない部分があります。例えば、現在、ホームヘルプサービスをうけている障害者の自己負担は、所得税が非課税の世帯なら無料で受けられていました。しかし支援費制度では、所得税は非課税でも市町村民税が課税されていれば利用者負担が必要になります。また、デイサービスやショートステイではこれまで食費のみの負担だったものがこれも自己負担が必要になります。

 

 

 さらに知的障害者の入所施設では、制度変更のため大きな負担増になります。1級の障害基礎年金のみを受給されている方なら現在、34100円の負担が17700円増の51800円に、2級の方なら19100円の負担が22700円増の41800円になります。国にも言い分があるらしいですが、しかし少なくとも実際の負担額がこんなにも増えてはたまりません。国に対して再検討を求められたいと思いますが、部長の答弁をお願いします。

 

 また施設については制度が変わることによって大幅に収入が減るところがあります。

これについては、田辺に本部があるふたば福祉会が試算しています。知的障害者通所授産施設のふたば作業所では、年間約400万円の減収、上富田町のあすか作業所では約200万円の減収が予想されています。もしこれが現実になれば施設の職員をパートばかりにしなければならないなど、大変な事態になります。このことについても国に見直しを求めるべきだと思いますが答弁をお願いします。また、制度が始まって大幅な減収となった施設については県も責任をもって支援をすべきではないでしょうか。答弁をお願いします。


◆白原勝文福祉保健部長
 現在の利用者への説明の状況は20%程度で必ずしも十分でないため、文書で各市町村に対し周知徹底の要請を行った。知的障害者福祉に関する事務が県から町村へ移譲することに伴う負担増等への対応は、交付税で措置される。市町村職員には各振興局単位での調整会議や検討会も開催するよう指導し資質向上を図る。利用者負担が著しく増加するものについては激変緩和等を国に要望した。また大幅な減収になる事業者がないよう、現在国において支援費基準の再調整が行われている。

2.温泉および公衆浴場におけるレジオネラ菌の感染対策について
 宮崎県で7月におこったレジオネラ症では約300名の患者とそのうち死者7名をだす大惨事になりました。この施設は7月にオープンしたばかりでわずか20日程度の営業でこのような重大事態になったようです。また8月には鹿児島県の温泉で1名が亡くなっています。レジオネラ症とは、レジオネラという細菌が原因でおこる感染症です。その細菌が手入れのいきとどいていない循環式のお風呂のなかなどで増殖して、この病気を引き起こすのです。かりに汚染されたお風呂でも普通のお風呂であれば、この病気にはなりにくいそうです。しかし、汚染されたお風呂でジェットバスのように泡が出て細かい水滴が発生して、それを肺に吸い込むとこの病気になります。いまは温泉地でも温泉のかけ流しではなく循環式で運用しているところも多数あります。例えば白浜町内でも約15%の施設が循環式になっています。もしこの病気が発生すれば、その温泉地は大打撃を受けることになるので、いまから十分な対策が必要です。そこで環境生活部長に何点か質問いたします。

 まず、維持管理に十分な注意が必要な循環式の濾過装置を使った県下の施設はいくつあるでしょうか。またそのうち昨年度、検査済のところは何箇所でしょうか。答弁を求めます。

 

 つぎにレジオネラ症はここ数年、継続して発生、死者も出してきました。にもかかわらずなぜ今年も宮崎や鹿児島のような事件が発生するのでしょうか。これまで業界や県の対応はどうなっていたのか。どこに問題があったのか。答弁を求めたいと思います。

 

 この問題の最後に、県下で国の基準より厳しい基準をさだめ、それをクリアーしている温泉地については、「安全宣言」できるようなシステムを作ってはどうかと思います。例えば佐賀県の武雄温泉では旅館組合が主体となってこの10月に安全宣言を出したそうであります。いま誰もがこのレジオネラ症を大変心配していると思うのです。いち早く「安全宣言」をだすことで、温泉地を訪れるお客さんに大きな安心をあたえることになると思いますがいかがでしょうか。答弁をお願いします。


◆秋月成夫環境生活部長
 対象施設で循環ろ過装置使用は296施設、うち68施設がレジオネラ属菌の検査を行っている。平成13年7月に那智勝浦町で研修会を実施。県は本年3月に旅館及び公衆浴場124施設に立入調査を、11月に白浜町で浴場等の管理者に対し講演会を開催した。他県での発生原因は施設管理者の衛生管理に関する認識不足などによるものと考えられる。県は来年2月に循環ろ過装置設置の全247施設に立入調査を実施し、自主検査を強く推進していきたい。安全宣言ができるよう営業者に対して衛生管理指導の徹底を図る。

=要望=
 施設管理者の認識不足が原因で命を落とすことはあってはならない。国による法的な対策ができるまで、県は厳しい検査と行政指導に取り組んでいただきたい。

3.すべての県民に「交通権」の保障を
 交通権とは聞き慣れない言葉だと思いますが、具体的にいえば「誰でも、いつでも、どこへでも安全で快適に移動できる権利」と言われています。この権利に照らして今、県内の交通機関の状況はどうなのか問題提起するとともにいくつかの提案も行いたいと思います。

 まず、最初に田辺〜新宮間を走るJRのトイレなし電車の問題についてうかがいます。この問題は先日の南部町議会でも取り上げられました。取り上げたのは平松議員さんという方ですが、ご自身が普通電車で新宮へいく途中、古座の駅でどうしても我慢できなくなって運転手にいってとめてもらったそうです。ここまではいいのですがホームのはじっこで用をたそうとすると「あかん駅までいってこい」といわれ、線路2本分またいで駅のトイレにいったそうです。この方は病気をしていらい足に不自由が残っていて、なかなかさっさと歩けないのですが、運転手は「はよこんか、はよこい」といってせかしたそうです。ようやく電車にもどったらちょうど茨城県の方が観光にきていて「手洗いのない電車は初めて。和歌山県は観光県といいますけれども」といってびっくりされたそうです。

 まえに取り上げたときにも問題になりましたが、この電車は沿線住民が医者にかようのによく使うのです。医者で利尿作用のある薬をもらったり、そもそも排泄のコントロールができない人が多くのっているのです。我慢しきれなくて漏らした方も何人もいるんですよ。そのときJRは、トイレにいきたくなったらどこの駅でも止めて終わるまで待ちますと約束していたはずです。約束が守られていないではないですか。こんなことが広まったら和歌山県にとって大きな損失になります。県からも厳しく指導されるよう求めますが企画部長の答弁をお願いします。

 

 この問題ではそもそも、3時間近くかかる普通電車にトイレ設備そのものがないことが何よりの問題です。ところで全国的にみると、JR各社の対応にはかなりの違いがあります。私も全部、つかんでいるわけではありませんが、とりあえずJR四国や東日本の各社でこの間、住民要望にたいしてどのような対応がなされてきたのか。また肝心の西日本の対応はどうだったのか。お答えください。また、JR東海ではそもそもトイレのない普通電車は原則としてないと聞いておりますが、実際はどうですか。答弁をお願いします。

 この問題の最後に、県はこれまでJR西日本とどんな交渉をして、どのような対応策が検討されたのでしょうか。そして今後、どのような取り組みをしようとしているのでしょうか。明らかにしていただきたいと思います。


 次に県民の交通権を確保するための二つの提案を行います。

 
 最近、福祉分野の移送については社会福祉協議会などが力を入れはじめました。たとえば介護保険制度では、派遣されたホームヘルパーは、介護者を自家用車で病院や施設に運んだりすることができません。これはお金をとって自家用車で人を輸送することはいわゆる白タク行為にあたるという見解を国土交通省がしているためです。こういう不便さを解消するため、たとえば西牟婁郡ではいくつかの社会福祉協議会が、運転ボランティアさんたちに協力いただいて障害者や寝たきりのお年寄りについては、ガソリン代程度の実費負担で、通院などに利用できる移送サービスを行っています。このサービス自体いまや福祉の分野ではなくてはならないものになっています。しかし、福祉的な移送サービスというのは利用希望者を「ある基準」で選別しなくてはなりません。現実にはある程度以上の障害を持つことが、福祉的な移送サービスを利用できる条件になっています。公共交通が貧弱な紀南地方などにおいて「お金はなくても元気で長生き」しかし自動車の運転はできないという人は見えないバリアーに囲まれたせまい地域内で暮らすことしかできません。元気な時こそ、友人と交流し、趣味にでかける、そうした人生を求めることは、ぜいたくなことでしょうか。私は紀南地方の公共交通の現状を見るにつけ、車のある人とない人がこれほどの生活格差があっていいのか、こうした状況こそ過疎を深刻にしていると本当になさけない気持ちでいっぱいになります。私はまず、しっかりした公共交通の土台をつくりそのうえで必要な福祉的移送サービスが組み合わされてこそ、高齢化社会のなかでも過疎地域でいきいきと暮らせる前提ができると考えます。その考えに基づき、以下、私の提案を述べたいと思います。

 

 まず、第一に公共交通の充実にむけて、市町村が自主的に運行しているコミュニティーバスへの支援を求めます。現在、県下の約3割の市町村でコミュニティーバスが運行されています。それぞれに工夫をこらし苦労しながら運営しています。先日、太地町での取り組みを視察してきました。なら交通が運行していた乗合バスが経営合理化で撤退したためコミュニティーバスを走らせたのですが、便利なルート設定と本数の増加、安い運賃で大変、好評で乗客も増えています。町民なら回数券をかえばだれでも一回100円で乗れます。経営状況もコミュニティーバスのなかでは健闘していて、年間の経費が1300万円ほどかかるのですが収入が600万円あります。

 

このように工夫次第ではこれまでの路線バスより大いに人気のあるバスが実現できるのですが、いかんせん車両の購入にも運行経費にも財政的な補助がないのが悩みのたねです。そんななか、すでに13の府県ではコミュニティーバスへの助成をおこなっているようです。今後ますます経営合理化で路線バスの撤退が予想され、コミュニティーバスの運行が増えていくと思われます。県の財政的支援についてお答え願います。

 
 また、コミュニティーバスへの支援ではソフト面での支援も重要です。ここに和歌山大学の学生が書いた交通問題のレポートがありますが、そのなかで県が「交通政策についての総括的なビジョンを持てていない」として県の政策能力の向上を求めています。やはり専門的に担当する職員が必要です。いまの担当課もがんばってくれています。しかし人員不足です。県が市町村へのソフト面、政策面での支援、提言ができるようしていただきたいと思いますが、部長の答弁を求めます。

 二つ目の提案は、いま国会でも法案が審議されている構造改革特区の利用であります。その趣旨は、福祉的な移送サービスに限定して、あるいは紀南の山間地のような交通機関の利用が困難な地域に限定して、道路運送法第80条の規制をはずし、自家用車つまり白ナンバーでも一定の有償運送を認めようじゃないかという提案です。

 福祉的な移送サービスについていえば先程のべたような各社会福祉協議会の制度があります。しかし実際は運転ボランティアが足りなかったり、土日や夜間は移送できなかったり、事前に予約が必要であったりして急な用事には対応できにくくなっています。救急車を呼ぶほどじゃないが医者にみてもらいたいという時は誰でもあります。こうしたときの移送ができるように、市町村も一定責任をもつ形で、例えばその地域に住んでいる元運転手をしていた人とかに事前に頼んで自家用車での運送をお願いしておくのです。いくら田舎の近所同士でも休日や夜中に「車で病院まで送ってよ」とはなかなかいえません。事前にこうしたシステムを作っておくことで、誰もが気兼ねなく移送サービスが受けられるようになるのではないでしょうか。もちろん一定の料金はとる必要があります。これまでだとそれが白タク行為として道路運送法違反になった訳ですが、それを福祉的な移送サービスや交通機関がない地域での日常の移送サービスについては、例外的に認めようということです。私は本来、こういうことは「構造改革特区」というような形でなく、日本全国あたりまえに認められるべきものだと思います。しかしその試験的な実施が特区として認められるのであれば、県としていまから準備して試験的な実施を和歌山でやりましょうとまっさきに手をあげていただきたいと思います。部長の答弁を求めます。


◆垣平高男企画部長
 JR運転手の対応について県はJRに善処するよう申し入れ、JRは運転手に適切な対応への再徹底を図った。JR東日本では仙石線で本年11月から順次改善が図られ、JR四国は平成12年、13年に各2両ずつ改善。JR東海でも身延線でほぼ設置されたが、JR西日本管内のトイレなし列車路線8路線はこの2年間、新車導入時や大幅な車両改造の際を除いて既存車両の改善は行っていない。本年度に入り改造経費等を負担することを検討事項として沿線自治体と協議を進めているが、沿線10市町のうち多数が難色を示している。
 地方バス路線維持のため国庫補助制度及び県単独補助制度をあわせ、平成14年度は5億5110万円の予算額を計上。さらに市町村実施のコミュニティーバスなどの運行維持経費は特別交付税でその8割が措置されている。新たな補助制度の創設は困難である。ソフト面での市町村からの協力要請に対しては支援していきたい。
 国土交通省は愛知県豊根村で本年10月から3ヶ月の期間でボランティアによる有償運行の実証実験を行っている。この結果をもとに道路運送法の弾力的運用を検討すると思われる。県は導入の可能性を各市町村とともに研究し、時期を失することなく対応したい。

=再質問=
 既に13府県で実施されているコミュニティーバスについて、補助できないというかたくなな態度でなく検討してほしい。JR東海ではトイレ車両はあるのが原則になっている。JR東日本での改善が実現された理由について、「河北新報」の記事に、ある大学教授は「以前は、首都圏以外でのサービスの程度は下げてもいいという施策があったが、最近は会社ぐるみで乗客を大事にする姿勢に変わった」とコメントしている。JR四国もまた改造して車いす対応のトイレをつけている。2001年の資料ではJR西日本の利益が434億円に対し、JR四国は8億円。利益率でも四国の方がずっと少ない。その四国に毎年2両ずつ改善できて、なぜ西日本の莫大な利益をもってできないのか。平成16年には大辺路を世界遺産にするというのに、そのときはどの電車に乗ってそこへいくのか。また、答弁にもあった沿線自治体の中には難色を示すどころかそういう案が出ていることを知らないところもあった。田辺から新宮の普通電車は6編成あり、1編成にトイレを設置するのに約1千万円。6編成につけたら6千万円の経費が必要。沿線自治体がまとまり、実施するということになれば県はどう対応するのか。

◆垣平高男企画部長
 県は、各自治体の意向が行政レベルでは消極的であると受け止めている。沿線自治体の意向を踏まえて対応したい。

=要望=
 県や自治体の負担も導入してトイレを設置するのは最後の手段だ。四国に比べて莫大な西日本の利益をもってすれば十分可能である。県はJRに対し強力に要請してほしい。98年に田辺〜天王寺間のトイレなし車両の走行が問題になったとき、近畿の行政監察局がJRに要請し、改善された。その時JRは「阪和線は朝の通勤時間帯は混雑がひどいのでやむを得ず輸送力の大きいトイレなし車両を使う。それ以外の時間帯は乗客の乗車時間が長くなるため極力トイレつきの近郊型車両を使用する」と言っている。だから紀南地方にトイレ車両がないのは非常におかしな問題だ。体験された方は本当に悔しい思いをしています。この状況を一刻も早く改善し、和歌山県が世界遺産登録の名にふさわしい交通機関を持てるよう要望する。

4.南海地震対策について
 今回は、おもに地震が起こった直後から問題になる避難生活についてうかがいたいと思います。

 前にも強調しましたが、今度起こるであろう南海地震は、東海、東南海、南海の3つの巨大地震が同時におそう可能性も指摘されています。同時発生すればマグニチュード8、6であり、1707年に甚大な被害をおよぼした宝永地震に相当する大きな揺れと津波がおそうといわれています。その結果、茨城県と新潟県を結ぶ線から西の都府県全体に大きな被害が予想されます。津波は地震がおきてから半日以上は継続しておこり、鉄道や道路の寸断を考えれば関東から西のとくに太平洋沿岸の多くが陸の孤島化するといわれています。また本県では道路が寸断されれば、山間部でも陸の孤島となる地域が多いのが特長です。局所的な災害なら他の地域や県からの応援も期待できますが、西日本全体に被害が発生しているとき、少なくとも1〜2週間程度は、応援がもらえない事態も発生してくるだろうというのが私の考えです。そのとき孤立した集落内でいかに命をながらえるか、その対策が必要です。その際、物資の備蓄と燃料、通信、電気さらには最低限の医療資源の確保などが重要です。もちろんそうした対策は一足飛びにはできません。今から目標年度をさだめそれにむけて逆算式で計画をたて実行に移していくことが大切です。そこで以下、いくつか質問と提案をします。

 まず、災害用物資の備蓄状況は各市町村毎にかなりばらつきがあります。法律や条例では、あるべき備蓄の状況を定めた基準はありませんが、和歌山県では半島という地域特性を考慮した和歌山県版の備蓄基準づくりが必要ではないかと考えますがいかがですか。総務部長の見解をお示しください。また、大規模地震災害のときに陸の孤島化しやすい集落についてピックアップし、地域での災害用物資の備蓄計画を県の主導のもと定めていく必要があるのではないでしょうか。答弁をお願いします。

 次に防災計画でもあまり考慮されていないのが通信と電気の確保の問題だと思います。きたるべき南海地震のようなスーパー広域災害では、送電線が切れることはもちろん、発電所そのものの損害のため、電力供給が広域にストップする可能性があります。避難所には通常、ろうそくや懐中電灯などはありますがあくまで照明用です。たとえば孤立した集落をどうやって支援するのか決める際にもまずは情報収集しなければなりません。そのための通信機器やあるいはインターネット網は何で動くかというと電気であります。そこで提案ですが孤立化が予想される集落の避難所には、衛星系の携帯電話など通信の機材とともに小型の自家発電機を整備する必要があると思います。総務部長の答弁を求めます。

 次に県民が自らの命や身近な人の命を守る力をレベルアップする取り組みについてうかがいます。大規模災害時には、医薬品はある程度確保できても、医者や看護婦の確保は現実的に困難です。住民自身が応急処置をふくめて「命をまもる力」をつけていくことが大切です。定期的な防災訓練もふくめてより高度な内容を身につけてもらうことが大切だと思いますが今後の取り組みについての考えを聞かせてください。

 

 最後に、ブロック塀対策についてうかがいます。阪神淡路大震災でも塀の倒壊によって多数の死者がでました。特に倒壊しやすいブロック塀は人命をうばう凶器となるばかりか避難路をふさぐ障害物にもなります。静岡県では道路に面したブロック塀を撤去する事業にメーターあたり8900円、避難路沿いのブロック塀を安全なものに改修する事業にはメーターあたり38400円を上限として補助しています。県内でもこうした制度をつくる必要があるのではないでしょうか。答弁をお願いします。

 また提案ですが、どうせやるなら和歌山型の改修事業にしようということです。工業技術センターや林業試験場などの力もかりて間伐材をつかったデザイン的にも周囲の景観とマッチする新しいタイプの塀を開発し、それに切り替えていってはどうでしょうか。木製の塀だと草花との相性もよいと思います。改修を機会に洒落たデザインの塀にフラワーポットがたくさんハンギングされ、あるいはツル性の植物で覆われているような花いっぱいの路地づくり、町づくりをすすめることは一石二鳥だと思います。花いっぱいの県土づくりという提案でもありますので、ここはひとつ知事に見解をうかがいたいと思います。

◆木村良樹知事
 間伐材を利用した塀については真剣に検討してみたい。
◆宮地毅総務部長
 地震防災対策のアクションプログラムを検討していく中で備蓄計画の策定を進めていきたい。自家発電装置、通信機材等は現行の自主防災組織への県の補助制度を活用し、整備していきたい。住民への応急処置の普及については講習や訓練内容の充実、実施回数の増加などを各消防本部や医療機関等に働きかけていきたい。

◆大山耕二土木部長
 ブロック塀の改修への補助は震災対策の全体的な計画の中で検討していきたい。