反対討論(鶴田至弘議員)     2003年3月6日

 小泉内閣の下で深刻な不況は一層深刻さを増し、倒産・事業閉鎖・情け容赦のないリストラはあとをたちません。医療制度をはじめとした福祉制度・社会保障制度の改悪による県民の負担増は、県民の生活を一段と厳しいものにしています。県財政もそのあおりを受け更なる厳しさに見舞われているところでありますが、このような時ほど県政は県民生活の擁護者としての役割を果たさなければならないときであります。

 平成15年度の予算案において当局は苦しい財政状況の中でさまざまな工夫を凝らしながら努力されていることを随所に垣間見ることは出来ます。

 知事の提唱による緑の雇用事業が担い手育成の研修や、担い手の方々の住宅の整備などに結実していることなど嬉しく感じるところであります。また小規模林道への補助事業が進められたり、まだ改良の余地は多分に残していますが、中小企業への融資枠を拡大したり信用保証協会への育成施策を前進させる等の点も多とするところであります。教育関係では35人程度学級を小学一年生に実施するなども不十分さをはらんでいるとはいえ歓迎するところであります。その他、地震対策の一定の前進や、小さくは紀伊勝浦駅のスロープの設置、原爆被爆者の福祉推進など含め、その他県民要求にこたえた部分には評価をするものであります。

 しかし一方では私たちが幾度となく指摘してまいりました関西空港二期事業への約10億円の出資などは関空の現在の利用状況や現滑走路の潜在能力を考える時、財政困難のこの時期再考すべきであろうと考えます。和歌山下津港の関西電力のための北防波堤建設に3億円の支出、市町村合併促進の経費などは、歳出のムダをなくすという観点からも賛成できません。

 多くの費目が削減されているところでありますが職員にかかわる人件費の削減は県民の更なる生活苦に連動するものであり、人事委員会の意見にも「給料月額の減額期間の延長については、一般職の職員の給与は地方公務員法に定める給与決定の原則によるべきものと考えており、このような異例の措置が複数年にわたって継続することは誠に遺憾である」と述べている点からも認めがたい点であります。

 地方バスの支援対策の削減なども、本来は国の責任が大きいところではありますが、そのまま削減されることは過疎の促進につながり、緑の雇用事業の充実ぶりに比べて真に残念であります。

 人権行政という施策が膨大な予算をともなって進められようとしていますが、同和を柱とするというところから脱却できないままでいる点も承服できないことであります。

 また、教員の定数削減が提案されているところですが少人数学級が全国的に前進をしようとしている時勢にあり、それはまた父母と教職員の強い要望である点からみて容認しがたいところであります。この際、少人数学級の推進のためのプランを作成しその施策を計画的に進められるよう教育委員会のいっそうの努力と財政当局の教育への理解を求めるところであります。

 老人医療への補助等福祉関係についていえば、昨年来高齢者の医療費補助制度が大幅に改悪されました。この点については再三機会あるごとにその復活を求めてきたところでありますが、その願いはかなえられませんでした。また国の医療制度改悪の中で在宅酸素療法を受ける患者が極端な医療費負担増を強いられ治療の中断を余儀なくされている事例が出ている時、ここに対する援助が切に求められているのは事実でありますが、しかるべき対応はなされなかったことは真に残念な思いがいたします。

 企業立地促進対策について、開発公社に対し6億2000万円が計上されています。そのうち5億1500万円は企業用地に東急車輌を立地するため開発公社に補助するものですが、過去の電源交付金と合わせると、15億円をこえるものとなります。企業誘致の重要さは理解するところですが、この措置はあまりにも過大であり賛成できません。

 この際、開発公社に関連して一言申し添えます。

 コスモパーク加太などに関わって、県土地開発公社が金融機関から借り入れている438億円につき,県がこの3月末を期限として債務保証を求められていることが,開発公社の顧問会議や総務委員会において論議されたと聞きました。聞くところによりますと,昨年10月から年末にかけて,金融機関からそうした要請文書が届いていたとのことであり,最近まで県民にも議会にも報告せず,いたずらに時の過ぎるままにしていたことについて,委員の中から,「行政の怠慢である」などとした厳しい指摘がされ,また,今日の事態をまねいた行政の責任を問う意見があいついだと聞きますが、それも当然です。400億円を超える債務保証の問題という重大な問題をこのように扱うことは,行政当局の責任は免れないものです。

 つづいて建設事業施行に伴う市町村への負担金は多くの市町村の要望にも拘わらず本年も改善されることなく旧態依然として課せられることになりました。一挙に解決がはかられなくとも漸進的に削減方を考慮すべきであります。

 中小企業振興資金特別会計についてはその一部に大きな問題を未解決のまま残しており、過去の問題をも含め県の責任の重大性にかんがみ認めるわけには参りません。

 以上が主な議案と関連する事案についての意見であります。

 以上の理由により議案1号、5号、9号、18号、19号、26号、28号、29号、30号、53号、59号、60号、61号、63号、66号、95号については反対であります。

 請願25号に関係して申し上げますと、医療制度改悪反対の世論は全国的な高まりを見せ、全国医師会などもその声を大きくしています。医療改悪に反対する県民の世論からみても当然採択されるべきものと考え、不採択には反対であります。