松坂県議の質問と県の答弁
※質問は全文を、答弁と再質問は要約して掲載しました。

2003.6.20 3番目に質問

 

1、水と緑の環境保全について
2、東南海・南海地震に備えた津波対策について
3、ミカン対策について

 ご指名をいただきましたので、通告にしたがって質問をさせていただきます。

 私にとって県議会壇上での初質問となります。私はこの度の選挙を通じて、「有田と和歌山の豊かな自然環境を守り育てるとともに、住民のくらしをあたためる」そんな県政をと訴えてまいりました。住民の願いを県政にとどける仕事、一歩一歩がんばってゆきたいと思いますので、皆様のご指導をよろしくお願い申し上げます。

1、水と緑の環境保全について

●最初に、水と緑の環境保全について質問をさせていただきます。

昨年、私どもが有田地方で実施したアンケート調査の結果を見てみますと、「有田のことで誇りに思っていることは何ですか」という問いに対して8割のみなさんが「豊かな自然環境」だと答えておられます。ここには、自然豊かなふるさと和歌山に対する誇りと想いが率直に出されていると思います。この自然環境を子や孫の世代に引き継いでいきたい、失われつつある自然を守りよみがえらせたいという想いを、今、多くのみなさんがお持ちだと思います。

それだけに、自然破壊や環境問題に対する県民の意識や関心は年々高まり、橋本のダイオキシン問題、最近では中辺路町の産廃処分場計画などが大きな問題となりました。有田地方でもこの間、残土など土砂の処分にかかわる問題があちこちで発生しています。

 

●一昨年の秋にマスコミでも報じられ社会問題化しましたが、湯浅町の谷あいに15000uにわたって20万?もの土砂・残土が「畑に土を入れる」と称して運び込まれてしまいました。ここでは土砂に混じって産業廃棄物が不法投棄されているのではとの住民・湯浅町の2年がかりの訴えにより、町当局や保健所と連携をして当時新設された環境専門の県警エコポリスが捜査をし、業者が廃棄物の不法投棄で逮捕され土砂の搬入はストップしました。この業者に対しては、残土といっしょに廃材などを捨てていたのを発見するたびに住民といっしょに町と保健所のみなさんが指導してきました。指導したその場は対応もよくすぐに撤去するわけです。そういうことをくりかえしながら残土がいつまでも運び込まれました。夜中のうちに大きな穴をほり、早朝、暗ヤミにまぎれて産業廃棄物まじりの残土を投棄し、明るくなるまでにきれいな土で表面をおおってしまうという巧妙で悪質な手口で不法投棄を続けてきたのです。不法投棄の事実をつきとめた保健所やエコポリス、関係者のみなさんのご苦労と活躍に対し深く感謝申し上げます。

ところが、捜査で不法投棄が明らかになった分は掘り出しましたが、なにしろ20万?の残土、これは10トンの大きなダンプカーでなんと3万3千台分という、とんでもない量のものですが、この巨大な残土の山が谷あいに残りました。この土砂の山を底まで全部調査して違反が発見されれば、「元にもどしなさい」と現状復帰命令を出せますが、命令を出せば会社は倒産するので、費用を県や町が負担しなければならないという、手出しできない状態になっています。

一方、この処分場への搬入がストップした直後から、今度は広川町の山の中で、残土や土砂が投入されはじめました。ここでも住民は土砂の中に廃棄物の混入がおこらないか、斜面から土砂が崩れ落ちないかと、現在も非常に心配しておられます。このような事例が他の市町村にも生まれてきています。

わたしは湯浅町の事件から、なぜこれだけ莫大な量の土砂がつまれるまで対処が遅れたのかという、教訓を導かなければならないと思うのです。現在では、産業廃棄物の処理は法律によって厳しくルールが決められました。ところが「残土処理」「土砂搬入」などということになると、1ヘクタール以内であれば先ほどのようなきわめて簡単な届出をするだけであり、法や条例による許可もいらなければ直接的なルールもありません。ひとたび不法投棄が発見されれば保健所の出番、崩壊となれば建設部の出番となりますが、ことがおきるまで有効な手が打てないということに最大の問題点があると考えます。ここに20万?までになった問題点があるのです。

こういう状況を解決するには、私は、環境保全・水源保護のための必要な立地規制や、産業廃棄物と同様に何をどこからどれだけ運んできたかという流通過程の明確化と記録、どれだけ土砂を入れるのかという搬入計画や崩壊防止措置の計画などを提出させる、このようなルールを条例によって確立することがもとめられていると考えます。

ここにありますのは長野県の水環境保全条例とそれにもとづく水環境保全総合計画です。こちらは千葉県の通称「残土規制条例」と呼ばれているもので「土砂等の埋め立て等による土壌の汚染及び災害の発生の防止に関する条例」です。これらの県をはじめ全国的には県レベルで、条例で土砂や残土の処理に関するルールを明記し、罰則規定もつけてきちんとルールを決めるところが生まれてきました。

土砂や残土の処分・土地造成など、水源や自然環境の保全に大きくかかわる業務に対し、適切なルールと指導を確立することが、県行政に今後強く求められていると言えるのではないでしょうか。

 

●一方、県内の市町村でも、水源の森を守ることや、川や海の水質を改善しようという取り組みが始まり、環境保全を目的とした条例が清水町・串本町・大塔村などいくつかの市町村で制定されています。産廃処分場計画でゆれた中辺路町も条例制定を検討中と最近報道されていました。清水町の町長さんは「私が子どもだったころと比べると、川の水量は3分の1に減っています。下流のみなさんにかけがえのない水資源を供給している清水町としては「水源の森条例」や「美化条例」を制定し、広葉樹の植林など、森林の保水力の向上と自然の再生に努力し、近隣市町村にも協力を呼びかけています。」とおっしゃっています。

有田川漁協の組合長さんは、「森林の保水力の低下、生活廃水の増大、ダムによる水質悪化など、有田川の水環境は深刻な状態です。漁協としても「漁民の森」運動など海の漁師も一緒に山に登って、環境保全に力を入れています。」とおっしゃいます。どなたも行政と住民が力をあわせて取り組んでゆく必要性を強調されていましたし、環境問題は思想信条や立場の違いをこえて広く協力と共同がひろがっていると思います。

 

●いくつか述べてまいりましたが、私は、和歌山県の豊かな水と緑の自然環境を守り育ててゆくために、一歩ふみこんだ条例整備が必要と考えます。県がすでに策定しています「和歌山県環境基本条例」と「環境基本計画」というこの基本的な条例・計画を、発展・具体化させて、「豊かな水環境と水源を守るため、水環境保全条例制定の検討に入ってはいかがでしょうか。環境生活部長のご所見をお伺いいたします。


◆津本清環境生活部長
 県では水質汚濁防止法、瀬戸内海環境保全特別措置法、県環境基本条例、公害防止条例等により工場、事業場の排水監視指導等水質の保全に万全を期している。家庭や地域で生活排水対策を促進するため、県民への啓発にも積極的に取り組んでいる。条例の制定については必要性・有効性等を他府県の動向も見守りながら研究していきたい。
 

<松坂英樹>
●また、あわせて、先ほどから紹介した事例の教訓にたって、不法投棄を未然に防止するために、県としてどういう取り組みをすすめておられるのか、環境生活部長より答弁をお願いいたします。
◆津本清環境生活部長
 今年度から各振興局に環境指導員を配置し、民間委託した特別監視パトロールチームと連携しつつ巡回パトロールを実施している。不法投棄が行われている可能性のある地点での定点監視なども実施している。

<再質問・松坂英樹>
●現行の法制度や枠では限界があるのではないか。
◆津本清環境生活部長
 パトロールの回数も相当増やしている。法制度の有効性、必要性について十分に検討していきたい。

 

2、東南海・南海地震にそなえた津波対策について

二つめの柱の質問として、東南海・南海地震に備えた津波対策についてお伺いします。津波対策では避難計画やハザードマップの作成など、地域と行政が力をあわせてとりくむ地道な努力がたいへん重要なわけですが、住民から出された声を元にいくつかおたずねをしたいと思います。

●まず湯浅広港「弁天堀(べんてんぼり)水門」の補修・改善についてです。昨年11月に、県主催の地震津波避難訓練が、県下各地でおこなわれました。湯浅町と広川町でも住民の避難訓練をしました。これと平行して、防潮堤の水門を閉める訓練も多くの住民が見守る中で行われました。ところがこの弁天堀水門、動き始めてから待てども待てどもなかなか閉まらない。「地震がおこってから30分や40分で津波がくると言われているのにどうなってるんな」との声が住民や行政関係者からも口々に出されたそうです。詳しく事情を聞いて見ますと、この水門は45分ぐらいで閉まる設計のもので、訓練当日は設計どおりの43分で閉まったそうですが、1週間前に試運転してみたところなんと1時間以上かかった。訓練本番でこんなことだとたいへんなことだと、早速業者を呼んで点検すると、水門自体が傾いていて、水門の上の機械が正常に動かなかったのだそうです。2日がかりで必死に応急工事をして本番にのぞんだのだそうです。

私、先日あらためてその水門の調査にまいりましたが、水門上部の操作室の間にかかっている渡り通路の床のステンレス鉄板が、端っこでこんなにゆがんで膨らんでいるのです。これはずいぶんぶっそうだなと実感しました。この水門は約20年前のもので、今では一般的になっている「緊急降下装置」、これは非常時には半分の時間で水門が閉まる装置ですがこういうものもついていません。もちろん、これらの水門はもともと台風などの高潮対策として設計されたものですから、津波に対する設計がされていなかったのは仕方がないことかもしれません。しかし、幸いにして訓練を機に発見された不具合について、この際、きちんと調査・点検を行って補修・改善を行うべきだと考えますがいかがでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。

◆大山耕二県土整備部長
 点検の結果、老朽化が著しく、補修する必要があるため、国に対して補助事業の予算を要望している。

 

<松坂英樹>
●また、これを機に県内海岸部の水門を総点検し、計画的に改修をすすめる必要があるのではないでしょうか。あわせて県土整備部長の答弁をお願いします。

◆大山耕二県土整備部長
 現在点検中であり、今年度末までに取りまとめる予定。この点検結果を受けて、必要箇所について改修計画を策定していきたい。

 

<松坂英樹>
●私は、実際に湯浅広港の3つの水門を調査して、水門操作を担当されている町職員の方の話が心に残っています。「地震がおきたとき水門を操作するためには、海側から山側に避難する人の流れに逆行して水門まで自分の足で走ってきて、余震がつづくであろう中、あの高い水門の操作室にのぼり、たぶん停電しているでしょうから発電機を始動させて、それから水門を降下させるという作業は、あまりにも危険で現実的ではありません。職員に町民何千人の命を守るために自分は死ぬかもしれないがいってこいと言わなければならないのです。この今の時代、遠隔操作や大きな地震では自動的に閉まるような水門も静岡県ではあると聞いています。そんな改善ができないのでしょうか」とおっしゃっていました。わたしも強い浜風の吹く中、剥き出しの螺旋階段を水門の操作室まで「よーいドン」で駆け上がってみましたが、正直とてもこわかったです。

 先ほどとりあげました、水門の緊急降下装置や遠隔操作、自動降下装置などの機能改善を、可能なものからやってゆく必要があるとおもいますが、県土整備部長のお考えをお聞かせください。

◆大山耕二県土整備部長
 水門の遠隔操作等については、津波に対する水門の管理のあり方について検討していく中で、機能改善の必要性を検討していく。

 

<松坂英樹>
●次に、広川町が計画中の津波防災教育センターについて国・県の支援をお願いしたいと思います。先日の「黒潮シンポジウム」には私も参加させていただきましたが、堂本千葉県知事、浜口ヒゲタ醤油社長、大橋和歌山市長と木村知事のシンポは両県の食文化や産業に観光、水と緑の環境保全まで、幅広い交流がお話され、とても楽しくてよい企画であったと思いました。ちょうどその会場で広川町の公民館長さんから、「今日は浜口さんがみえてますが、実は「稲村の火」が今、また燃えてきているんですよ」との話をいただきました。「稲村の火」を今日的に光をあてようという気運が盛り上がってきているというのです。

シンポジウムでパネラーを勤められたヒゲタ醤油の浜口さんの屋敷を地元では「東浜口」、稲村の火で有名な初代県議会議長の浜口梧陵さんところの方は「西浜口」と呼ばれています。浜口梧陵の記念館を建設したいという声が町民の中からひろがり、その西浜口家の屋敷、浜口梧稜の住んでいた旧家ですが、この広大な敷地を浜口家が広川町に無償で寄付をしてくださるという話になりました。町の方では、ご好意にこたえて、その旧家のヘイや土蔵はそのまま保存して、そのたたずまいをのこしながら「浜口梧陵記念館」を建築して、浜口梧陵のはたした功績や足跡を展示するとともに、「津波防災教育センター(仮称)」を併設して、この記念館を津波防災教育の拠点として整備しようという計画をねっています。ここでは津波被害のパネル展示をはじめ、「3Dの立体映画」を上映したらとか、津波を再現する実験水槽をつくったらどうかなどと議論されているようです。

 津波はハード的な設備だけで決して防げるものではありません。津波とはどういうものなのかを知り、津波にはなにより逃げることがだいじだという、災害教育と避難訓練など、ソフト面での粘り強い取り組みが決定的に重要です。そのためには津波被害をうけた町というだけでなく「津波から命を守った町」としての教訓はたいへん大きな価値があります。阪神大震災の記念館もありますが、まさに津波被害を未然にふせいだ記念館として、この津波防災教育センターが機能するならば、「津波対策を学ぶならは和歌山の広川町に」と、キラリと光る大きな役割を発揮すると思います。

 またもう一つの側面からみますと、広川町ではこの「記念館・防災教育センター」を街づくりの一環として位置付けようとしています。この一角は、西浜口家と東浜口家の歴史的な建物だけでなく、船の板をつかってあるという釘あとのあるゴッツイ板を外壁につかっている趣のある民家などがあり、古くからの町並みが残されています。そこにこの記念館・防災教育センターがあり、浜口御陵の建設した防潮提がのびていて、耐久舎の建物があるという、「稲村の火」を中心とした散策や交流もできる歴史体験ゾーンにしようという計画です。私は、これはとてもすばらしい魅力ある計画だと思っています。

 木村知事、「稲村の火」という震災・津波から命を守った経験をもつ県として、そしてすぐれた先人である浜口御陵の功績に光をあてるという点からも、また今回、黒潮シンポジウムで、知事みずからつながれた「浜口家とのご縁」も大いに生かしていただいて、この防災教育センターの整備と内容の充実にひとつ積極的なご支援をいただきたいとおもいますが、ご所見をお聞かせください。

◆木村良樹知事
 今度の東南海・南海地震では津波対策が一番大事になってくると思っているので、浜口梧陵の故事を和歌山県やこの地震に襲われるであろう地域の共通の話として生かしていこうという気持ちを私はものすごく持っている。そんな中、浜口家から寄付を受け、津波防災センターとあわせてまちづくりの中心にしていくという広川町の考えがあるとしたら、すばらしいことだ。財政状況が非常にきびしい折りなので県としてどれくらいの支援ができるかわからないが、いろんな形でそういうことを進めていけるよう手をさしのべてやっていきたい。

3、ミカン対策について

●次に、3番目の柱、和歌山の地場産業であり基幹産業の一つであるミカン対策についておうかがいをします。ミカン対策に県がしっかり取り組んでほしいという声は、私の地元吉備町をはじめ多くのみなさんから寄せられています。このまえの冬の、ミカンの時期に、金屋町にお住まいの30歳台の若い専業農家の方からお話を聞きました。「東京の太田市場に見学に行くと、和歌山のミカン、有田のミカンは見つけるのがむずかしいぐらい、それくらいの量しか扱われていません。それを見てガクゼンとしました。かずある市場の中でも、政策市場と言われるこの市場では、各県の取り組みの強弱がシェアに忠実に反映しているといいます。愛媛や熊本に負けていないで、県も売り込みやコマーシャルなどにしっかり力を入れてほしい」と強くおっしゃっていました。

 今、県内のミカン農家は他の農作物の例に漏れず、深刻な価格低迷に打ちひしがれています。今までは、収穫量の多い「表年」は安く、収穫量の少ない「裏年」はまずまずの値段がついたものでした。価格の乱高下に悩まされながらも「悪い年もあれば、エエ年もあらよ」といって辛抱してきました。ところが最近はそうはいかなくなってきたのです。

 ここにミカンの価格がとうなっているかというパネルを用意しました。資料としても配布させていただいています。これはこの10年間のミカンの価格と生産量をグラフにしたものです。生産量は全国の生産量で単位は万トン、価格のほうは和歌山県産ミカンの一キログラムあたりの単価です。このグラフより前の時代には、先ほど申し上げたように表年と裏年の関係で、価格の高い年と低い年が1年交代にきれいに関連づいていたわけですが、この10年は様子がちがってきました。これまでいい値段のついた裏年の値段、折れ線グラフの山の部分ですが、これが急降下で安くなる一方です。特に去年は生産量が113万トンと少ない年なのに、あがるはずの山が全然上がらなかったのが特徴的です。そして今年は表年です。グラフの谷の部分がやってきます。97年はミカンの価格が大暴落し、緊急融資などがとりくまれ大騒ぎをした年です。ところがそれ以降、毎回大暴落の水準のままです。順番でいけば去年より値段が下がる番なのです。いったいどうなってゆくのでしょうか。

 農家はこれまで「生産量が多いから安くなるのだ、生産調整でへらそう」といわれて協力してきました。「また、うまいミカンを作れば値段は高く売れる」といわれがんばってきました。しかし、結果としては生産量が多くても少なくても安い。うまいミカンをつくっても安い。というところにおちいってほんとうにこれから先やっていけるのかと展望がもてないでいます。こういう安値が続いては、赤字持ち出しの農家も多く、奥さんがパートに出て農薬代を稼ぐとか、高齢者の農家では年金をつぎこんで農業をつづけている。若い元気な農業後継者のある家でも、「定期貯金おろそうかどうしようか」という相談ばかりという実態です。こうなっては融資といわれてもお金をかえすあてがもてないので、今は融資の声すらも出ません。

 私はこの問題の根本的な解決には、日本全体の景気回復と農産物の輸入野放しをあらためて日本農業の再生をはかることが根本的には大事だと考えています。また消費者の味覚の変化や流通の変化にも対応する必要があるでしょう。だからこそ県としては、このミカン対策に全力をあげていただきたいと訴えるものです。ミカンが元気でこそ和歌山が元気になると思います。そこで農林水産部長におたずねします。私は、このミカン対策としては、県が先頭にたってミカンの販売・PRの強化、消費拡大に全力をあげる必要があると考えますが、県として、この点での取り組みの状況をお聞かせください。

◆阪口裕之農林水産部長
 消費の低迷、果実離れが進む中、みかんの消費拡大は重要だ。これまでも県では生産者団体等と連携しながら、@テレビや新聞等のマスメディアを活用した県産みかんのPR、A首都圏でのアンテナショップや農林水産品フェアーの開催、B健全な食生活を目指した「毎日くだもの200g運動」の推進等、様々な取り組みを行っている。またC発ガン抑制効果があると言われているβクリプトキサンチンを多く含む、みかんの機能性に着目し、新たな観点からの消費拡大についても努めている。将来を見据えた消費拡大対策に積極的に取り組みたい。

 

●最後に、展望のもてるミカン対策という点では、品種改良や優良品種の普及に対する期待もたいへん大きいものがあります。この点では昨年の9月議会でも議論のあったように熊本県をはじめとする九州各県の取り組みはめざましいものがあります。熊本県ではことしになってまたひとつ新品種を登録したそうです。この勢いに負けていていいのでしょうか。

 先日、県立果樹試験場の竣工式にお招きいただきました。たいへん立派な施設が完成し、新しい研究機器も導入されました。試験場の実験室で研究機器の説明をしていただいた職員の皆さんの、緊張感あふれる誠実な姿勢を拝見して、大きな期待を感じるとともに、この果樹試験場を先頭に試験場と農家が一体となって品種改良にいっそうとりくんでゆくことが何よりも大切だとあらためて感じました。

そこで農林水産部長に、県の品種改良や優良品種普及への取り組み状況はどうなっているか、その状況と今後の方向についてお答えをいただきたいと思います。

 

以上、3つの柱についておたずねをして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴に感謝申し上げます。ありがとうございました。

◆阪口裕之農林水産部長
 優良品種の育成は、果樹振興の中で特に重要な柱のひとつと位置づけており、果樹試験場での育種や枝変わりによる優良系統の探索に努め、「宮本早生」や「紀の国温州」など極早生から晩生までの10数品種を育成している。その中で近年の消費者ニーズにあった糖度が高く、味の良い「ゆら早生」「田口早生」という県内で育成された品種を、「県果樹農業振興アクションプログラム」に基づき、育苗組合や生産者団体と連携を図りながら生産拡大に向け取り組んでいる。今後、果樹試験場を中心に、地元農家との情報交換など連携をより密にしながら、次代の和歌山を担うオリジナル品種の育成に一層努めたい。