村岡キミ子県議の質問と県の答弁(2003年6月25日2番目に質問)
※質問は全文を、答弁は要約したものを掲載しています。

 

1,淮看護師から看護師への移行教育について

2,感染症対策について

3,女性相談所にかかる問題について

 

1,淮看護師から看護師への移行教育について

 厚生労働省は本年3月26日、看護職員の資質の向上を図る方策のひとつとして、10年以上の就業経験を有する淮看護師を対象にした新たな2年課程通信制の教育制度を創設し、来年の4月1日から実施することを都道府県知事に通知しました。

 これは現場で働く淮看護婦や医療関係者らが、淮看護師養成制度を廃止し、看護制度一本化をめざして様々な国民的運動を進めてきたことの前進だと私は考えます。

 淮看護師はもちろん医療関係者に歓迎されていると聞きます。「やっと看護制度に改善の光があたった」と、受講への声も広がり始めているようです。民間医療機関では経営者も含めて積極的に受け止められ、この機会に是非受講することを望んでおられると聞きました。

 この度の移行教育は、既存の養成所が開設することになっており、これといって指定するものではありません。あくまでもそれぞれの養成所の判断にゆだねられています。

 修学期限は2年間以上で、放送大学等で理論学習し、習得した単位も養成所の単位に振り替えられる。そして臨地実習として、紙上事例演習として、文章で示された架空の患者について看護展開のレポートを作成する。そして病院見学と面接事業をするとしています。全単位62単位、総時間数2100時間を終了すると看護師の国家試験を受験、合格すると看護師となります。

 厚生労働省は来年4月開設を8校とし、その申請は9月10日までとなっているものの、果たして本県に開設される養成所はあるのでしょうか。

 開設するには新たに2年課程通信制の専任教員7名(当分の間5名でも可)と、添削指導員10名、事務員1名の人材確保が必須条件ですから、県の財政状況等を考えると、困難性は理解するところです。しかし、県下の医療看護をこれまで支え、さらに今後も支え続けるであろう4835名の淮看護師たちの看護師になりたいという願いに行政としてこたえていただきたいと考えるものです。

 県はこれまで看護婦不足を解消すべく、看護師需給計画を策定し、看護師学校養成所を増やしてきました。そして院内保育所への県単独補助制度を進めるなど努力をしてこられました。ようやく平成12年度から、看護師の就業者が淮看護師の就業者数を上回る成果をみるに至っています。

 国の移行教育は、看護分野に優秀な人材確保と医療の高度化と専門化に対応し、何よりも患者の安全確保をしながら看護業務が進められるのに必要な人員確保と、看護師の資質のレベルアップにつながることはまちがいありません。厚生労働省の養成所設置にかかる申請は9月10日と聞いています。県下の看護師養成校は7ヶ所ですが、まず民間に先立って、県立看護学校に2年課程通信制の設置を強く求めたいと思います。知事、看護教育についてどのような所見をお持ちなのでしょうか。4月実施は如何お考えなのでしょうか。

◆木村良樹知事
 4年制化した看護短大が来年開校できることになった。2年制の通信制導入にあたり当面は全国でも7、8ヶ所だろうということと、教員確保とがなかなか難しいが、積極的に対応していきたい。現在県で准看護師の看護師への移行の意向調査を実施している。それを受け、来年度かさ来年度ぐらいに考えていくよう検討したい。

 

2,感染症対策について

新聞報道は6月22日、世界保健機構(WHO)は20日までに報告された新型肺炎の感染者は32カ国地域で8461人で前日比1人減、新たな患者の発生は3月17日統計を取り始めて以来、初めて報告がありませんでした。死亡も804人と前月と変わらず感染拡大がほぼ終息したとしています。

 また19日はWHOが3月12日サーズに関する初警告を出してから100日目「サーズは明らかに制圧されつつある」としながらも、冬季の再発も懸念されることから、少なくとも一年間は現在の警戒態勢を続ける必要があることも強調したと報じています。

 同じく22日、新型肺炎の発症地とされる中国南部、広東省では、サーズとほぼ同じウィルスが発見された。ハクビシンやヘビなど野生動物料理が食卓から姿を消した。売買が禁じられ、有名レストランも閉店し、ハクビシン飼育農家もその影響を受けていると伝えています。

 さらにはサーズの流行の影響で、中国から日本に輸入されていた脳梗塞の治療薬ウロキナーゼの原材料の尿成分がサーズの感染予防を理由に止まっていることも伝えています。患者の治療に影響がないのかと心配するところです。

様々な分野に、また国々に、思わぬ影響が発生するものだとあらためてその重大性とこわさを感じているのであります。日本でも台湾医師の宿泊ホテルなどでキャンセルが相次ぐなどで営業に影響を及ぼしました。

一方、厚生労働省は20日、新型肺炎サーズを感染症法の指定感染症に指定することを決め、一年間に限ってエボラ出血熱と同じく最も危険な一類感染症に近い措置がとれるよう指定しました。まだまだ安心はできないのでしょうか。

日常的にうがいや手洗いの励行で予防出来る、そんな啓発教育が正しい知識の普及と共に必要であることを広く知らせたいものです。

こんな記事もあります。

アメリカで多数の死者を出している西ナイル熱についてです。ウィルスの日本国内進入は時間の問題だと懸念されているとした上で、蚊の発生シーズンを前にして、新たな感染症対策が求められるところです。西ナイル熱は野鳥などからヤブカ、イエカを介して感染が広がる特徴がある。米国では昨年の死者が284人。今年はすでに3月12日までに277人が死亡していると報じています。

県はサーズ対策にいち早く取り組まれたと聞いています。私も健康セミナーに参加し、専門家の話や県のサーズ対策を勉強させていただいた。トランジット アイソレータによる患者搬送も、また、陰圧制御装置の設置された第二種感染症指定病室も見せていただきました。また、防護服で勤務する看護師や保健所の職員のテキパキした行動に少し安心した私でしたが、病室の入口のドアや窓の機密性は求められないのか、気になる思いが残りました。

最も県民に身近な相談窓口となった保健所の人的・物的体制はどうだったのでしょうか。

相談では、中国のおみやげをもらったが、食べて良いだろうか、ブラウスを送ってきたけれど、着ても良いだろうか、などといった相談も多かったと聞きます。いかに正しい知識の普及や情報の公表が可能な限り迅速に伝えられるかが問われていると私は感じたところです。24時間体制にふさわしく、人員を増すとか、条件が整えられたのでしょうか。福祉保健部長、如何でしょう。

私が特に気になった事をお尋ねしたいと思います。

医療体制であります。感染症指定医療機関の指定についで配置基準を定めています。特に第一種感染症指定病院が和歌山県に一ヶ所2床を設置することが定められていますが、県は大阪府、市立泉佐野病院に委託しています。何故なのでしょうか。福祉保健部長の答弁を求めます。

そして第二種感染症指定病院についても、二次医療圏内に人口に応じて指定することになっています。人口30万人未満に4床、そして人口30万人以上100万人未満で6床が必要となっています。和歌山、海南二次医療圏に指定病院がないという実態です。

担当者の説明では、かつて和歌山市の隔離病舎であった城南病院を来年3月31日まで特別措置として指定しているといいます。指定はしているが実態は、施設としては稼働していないし、指定病院としてのマンパワーの確保も危惧される状況にある。良質な医療と療養環境が提供出来るのかも大いに疑問を感じます。こんなことが許されるのでしょうか。直ちに基準を満たした指定病院に改めるべきです。福祉保健部長の答弁を求めます。

◆白原勝文福祉保健部長
 不測の事態も念頭に置きながら、保健所職員、各振興局、県職員全体による応援体制等を検討し、保健所の感染症対策の充実を図る。本県には第一種感染症指定医療機関がないため、平成11年に県に一ヶ所設置が定められ、県立医大付属病院に設置を検討したが、新築工事が終了したところで、新たにつくるには4億円かかるため設置しなかった。1床75万円、2床150万円で市立泉佐野病院と契約している。第二種感染症指定医療機関としては海南も含む和歌山医療圏に和歌山市立城南病院を指定しているが、医師の確保や設備等の問題が生じ、一時的に他の医療機関に収容することになっている。早期に整備できるよう努力する。

 

3,女性相談所にかかる問題について

 女性相談所は売春防止法にもとづき、日常生活上何らかの問題をかかえている女性のために、昼夜問わず相談を行うほか、必要に応じて一時保護、女性保護施設(なぐさホーム)に入所等の支援の他、併設されたDV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)に基づく配偶者暴力相談支援センターとしての保護、自立支援も行っています。

 相談所の相談員は常勤5名、非常勤10名、非常勤相談員はおもに夜間休日勤務の電話相談となっています。心理判定員1名、嘱託医師1名は必要に応じて出勤となります。

 夜の宿直者は現在12名ですが、いわゆる宿直業務のです。所長を含む常勤職員は相談ばかりではなく、裁判所、ハローワーク、市役所、弁護士事務所などなどに付き添いとしての仕事と、休む間もなく忙しく勤務しています。

 女性相談所の相談件数も年毎に増え続けています。平成10年度と平成14年度をみてみますと、平成10年度の件数は2511件、その内DV件数は291件ですが、平成14年になりますと、総数3349件、内DVが506件で15%と増えています。

 平成15年度からは、相談員も2名増して、夜間休日の相談にも対応してきました。その休日、夜間相談件数は283件、内77件がDVの相談となっています。

 次に一時保護は、平成10年度27件、内DVは12件、平成14年度は71件で内、DV37件で52%を占めています。

では在日数はどうか。平成10年度は225日でした。平成14年度では754日、10年度の3倍以上となっています。お世話になった方は、「たまたまか分からないけど、一部屋6畳に3人、4人となり、心が安まるどころか、イライラして、どこに身をおいていいのか大変苦しかった。せめて二人が限界だし、子どものいる人は一部屋にしてあげないと」と語っておられました。

本県の女性相談所は女性保護施設とDVの一時保護施設が併設している条件があることからも、現在の5室、1室6畳では不足しているのではないでしょうか。

心身共にぼろぼろになり、恐怖と不安からやっと解放されたいと思う気持ちからすれば、プライバシーを守ることは出来ないばかりか、ゆったり静かに身体をいやしたい、そしてこのことを実現するための施設であってほしいと私は心から願うものです。

私も何回か相談所にお邪魔して、施設も見せていただきました。福祉保健部長、あなたは女性相談所の施設状況をどのように見ておられるのか、考えをお聞かせいただきたい。

私は一時保護でお世話になられた3人の方から話を聞いてほしいと呼ばれ、色々と聞いて参りました。一部を紹介し、一度検討をしていただきたいと思います。

自分たちは身も心もバラバラになって、自立しなければと思いはするものの、帰る家も今はない。金ももっていない。仕事もなかなか見つかりそうもない、といってもどんな仕事をしたら良いのかさえも考えつかない、と大変苦しんでいる。パートに行っても、周りを気にして落ち着かない。気持ちが沈んで何もしたくなくなる。情報提供はとてもありがたいが、自立するための職業訓練の出来る施設と居住できる施設が一緒になったものを作ってもらえないだろうかと、自分の気持ちを切々と涙ながらに語られました。

 如何でしょう。女性相談所の隣に、400坪か500坪程の県公有地が空地となっています。この空地に職業訓練と居住を兼ね備えた自立支援施設建設をと提案するものですが、是非検討していただきたい。福祉保健部長の所見を伺いたいと思います。

 女性相談所の周辺は夜になると大変暗く、また安全とは言い切れません。いつ、入所者の夫や恋人が危険物を持って来るかも知れません。昼夜問わずの安全対策が望まれると考えるものです。周辺を街灯などで明るくするとか、警察のパトロールを強化するとか、安全対策はどのように取り組まれているのか、お聞かせ願います。

◆白原勝文福祉保健部長
 施設の居室規模は基準を満たしている。本年4月から新たに母子生活支援施設等への一時保護委託も実施している。母子生活支援施設県立すみれホーム等のあり方も含め、当用地の活用方法等を総合的に検討していきたい。
 今年度、玄関に不法侵入者立ち入り禁止の看板を設置、最寄りの警察による巡回パトロールを実施。今後、警察の巡回回数を増やす等、施設周辺等も含めた安全な対策を講じていきたい。