11月 27日(木)開会/文教・総務・経済警察委員会

     28日(金)本会議 委員長報告、討論、表決ほか

12月  5日(金)質疑及び一般質問

      8日(月)質疑及び一般質問
      9日(火)質疑及び一般質問
     10日(水)質疑及び一般質問

     11日(木)常任委員会
     12日(金)常任委員会

 15・16日(月・火)委員長報告、討論、表決ほか/閉会
《議案》

議案第149号 平成15年度和歌山県一般会計補正予算(補正額 34,6419,000円)

議案第150号 知事、副知事及び出納長の給与その他の給付条例の一部を改正する条例

議案第151号 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

議案第152号 教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

議案第153号 一般職の任期付研究員の採用等に関する条例の一部を改正する条例

議案第154号 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の一部を改正する条例

議案第155号 市町村立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

議案第156号 警察職員の給与に関する条例の一部を改正する条例

議案第157号 和歌山県立県民交流プラザ和歌山ビッグ愛設置及び管理条例の一部を改正する条例

議案第158号 職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例

議案第159号 電子証明書の発行及び執行情報等の提供に係る手数料に関する条例

議案第160号 緑の雇用担い手住宅の設置及び管理条例

議案第161号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例

議案第162号 当せん金付証票の発売総額について

議案第163号 訴訟の提起について

議案第164号 緑の雇用担い手住宅の管理に関する事務の委託について

議案第165号 工事請負契約の締結について

議案第166号 工事請負契約の締結について

議案第167号 工事請負契約の締結について

議案第168号 工事請負変更契約の締結について

《追加議案》
議案第169号 平成15年度和歌山県一般会計補正予算(8,900万円)

議案第170号 特定調停に係る調停に代わる決定について

議案第171号 平成15年度和歌山県一般会計補正予算(▲約40億円)

議案第172号 平成15年度和歌山県立医科大学附属病院特別会計補正予算(▲約3億5,000万円)

議案第173号 平成15年度和歌山県営競輪事業特別会計補正予算(▲約300万円)

議案第174号 平成15年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算(▲約990万円)

議案第175号 平成15年度和歌山県立こころの医療センター事業会計補正予算(▲約7,300万円)

議案第176号 平成15年度和歌山県電気事業会計補正予算(▲約2,400万円)

議案第177号 平成15年度和歌山県工業用水道事業会計補正予算(▲約3,600万円)

議案第178号 平成15年度和歌山県土地造成事業会計補正予算(▲約3,800万円)

議案第179号 平成15年度和歌山県駐車場事業会計補正予算(▲約99万円)


報第8号 平成15年度和歌山県一般会計補正予算(約9億8,000万円)

藤井健太郎議員 12/5 2番目
@来年度予算編成方針と三位一体の改革
Aコスモパーク加太対策
B国民保護法制について
C美浜町の機雷訓練場計画について


松坂英樹議員 12/5 4番目
@広川町硫酸ピッチ不法投棄問題
Aミカン対策
B市町村合併問題


雑賀光夫議員 12/9 4番目
@イラクへの自衛隊派兵について
A教育問題
B雇用・労働問題
C災害問題


村岡キミ子議員 12/10 3番目
@ニューかわなが団地問題
A新宮の白見の滝付近の不法投棄問題
B国立病院の賃金職員の雇い止め問題
C年金問題


藤井健太郎議員の質問

一、予算編成と三位一体の改革について

国が来年度予算を平成十五年度以下の水準に抑制することを目標に、歳出全般の徹底した見直しを実施するとしているが、知事にとっては新年度予算の最重点課題とは何か。また県内の経済状況、雇用環境は依然として厳しい状況にあるが、知事は当面の景気・雇用対策をどうすすめるつもりなのか。

◆木村良樹知事

    特にNPO等との協働関係を強め、農業や漁業等で新ふるさとづくり施策の振興、観光開発に重点的に取り組みたい。福祉面にも特に意を用いたい。IT関係企業の誘致、その他職業訓練、若者への職業相談の充実に取り組みたい。

藤井 政府が考える国庫補助負担金の削減額四兆円の主な中身は、義務教育費国庫負担金と保育所運営費負担金だ。来年度はそのうち一兆円を削減するということで、生活保護費と児童扶養手当の補助率四分の三を三分の二に引き下げる、義務教育費国庫負担金の一部を一般財源化する、公立保育所の運営費を削減するなどといわれているが、県民の負担が増えるのではないか。

◆木村知事

    生活保護の補助率を下げる、教員の退職金の地方への補助金をやめるなど、一兆円の削減は何も地方のプラスにはならない。むしろ今のままがいい。

藤井 国は、来年度予算で地方交付税額の抑制、財源保障機能の廃止をうちだしている。県下全市町村の十四年度決算の合計では、国庫支出金三九四億円、地方交付税一二六四億円と、地方交付税の一般財源としての役割は大きく、県財政の一般会計でも国庫支出金九七七億円、地方交付税一八〇〇億円と、地方交付税が大きな財源になっている。県はこれまで税率の引き上げ等により交付税総額の安定的確保を図ると財政運営プログラムで述べていたが今後は。

◆木村知事

    財政力の弱い市町村が困るのでは、三位一体の改革の意味がない。国に対して大いに意見を言っていきたい。

 

二、県土地開発公社の借入金問題とコスモパーク加太の活用について

 県は県民の利益を第一に、また公社再建を支援するという観点から主張をおこなってきたが、調停は難航し、合意困難ということで裁判所が調停にかわる決定を下した。その内容とは、県が公社の新規借入金四三八億円のうち二六五億円について債務保証を行う、県が公社所有地の一部を賃借し、構造改革特別区域計画などに基づき整備・推進する、公社は新規借入金を平成四十五年三月三十一日を期限として弁済する、新規借入金のうち、六五億円は平成三十六年三月末までに返済し、根抵当権が設定された一〇八億円については平成三十六年以降四十五年までに売却し返済する、売却金額に余剰がある場合は二六五億円の弁済にあてるというもの。

つまり、今後二十年間は公社が県からの賃借料を原資として六十五億円を返済し、残り十年間で三七三億円を土地処分して返済する、県はそのうちの二六五億円に責任を負うことになっており、結局、県は今後三十年間で賃借料を含めて最高で三三〇億円の負担義務を負い、そこに利息も加わる。

 調停における県の主張と論点は。また県の主張と地裁決定との違いは何であり、どの点を評価して地裁決定をうけいれようとするのか。県民の利益は優先されているのか。

◆木村知事

    県の保証は全額ではなく必要最小限に、利息は低く、可能な限り長期の返済期間をと強く主張してきた。決定内容は妥当だ。

藤井 県と土地開発公社の関係は、和歌山県特定出資法人管理要綱において、毎事業年度の予算案について予め県と協議する、県は公社理事会に事業計画、資金計算、予算及び決算について、必要に応じて意見書を提出することになっており、県の政治的責任はまぬがれない。土取り事業での金融機関との詰めの甘さや土取り後の開発構想など楽観的希望的観測で事業をすすめていたのではないか。

◆木村知事

    事態を重く受け止めている。事業への見通しが十分でなく、処理に長期間を要したことを反省し、教訓として公社を適時適切に指導し、県民への説明責任を果たし、より透明性を高めていきたい。

藤井 県が債務二六五億円を保証をする理由は何か。公社の借り入れ利率〇・六%は固定金利にしないということだが、根抵当の一〇八億円の評価は見直しもありうるのか。県が公社に支払う賃借料はどのように決めたのか。公社が金融機関に返済する金額六五億円と県が公社に支払う賃借料一二二億円との間に五七億円の差額があるが使途は。公社からの賃借用地と、残りの公社所有地の具体的な活用方法は。県の公社への無利子貸し付け一〇五億円はどうするのか。六月議会では公社の再建の中で考えるという答弁だったが、現時点での考えはどうなのか。

  ◆野添勝企画部長

    県の責任を考えれば債務保証額の二六五億円を下回ることはない。根抵当の評価見直しは関係者と協議していく。賃貸料は公社が鑑定評価を行った地価により算定。賃貸料と返済額の差額は公社の金融機関への元金返済、将来の利息財源としての留保、その他公社の所要経費にあてる。用地は県が借り上げ、防災対策用地や県民への開放、企業誘致などを考えている。一〇五億円は今後公社の再建状況等を踏まえ、公社と協議していきたい。

 

三、国民保護法制への県の対応について

十一月国民保護法制の要旨が決められ発表されている。要旨は、法の目的に「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」における国、地方公共団体、指定公共機関の責務や国民の協力に関する事項を定め、国全体として万全の態勢を整備し、国民の保護のための措置を総合的に推進することをかかげ、警報の発令や住民の避難、誘導、被災者救援、武力攻撃災害への対処などの手続きについて規定している。また、物資の保管命令や立ち入り検査、交通規制や警戒区域への立ち入り制限などに従わなかった者に対する罰則規定も設けている。基本的人権の尊重や国民に求める協力強制の禁止が掲げられているが、国内の戦争被害を想定し、私権制限を含む戦時体制立法ともなっている。知事はこの法律と政府の示す基本指針に基づき、国民の保護に関する計画を作成、必要な措置を講じることとなっている。

 知事は六月議会で、他国が攻めてきたときの手続きを定めていないのは適切ではないと述べ、国民保護法制で県民が守られるような形の内容になっていくよういろいろな機会をみて発言していきたいと述べていたが、これまでどこに対してどのような発言をしてきたのか、また今後の対応は。

◆木村知事

    国民保護法制は、有事に住民の生命、財産を守るため適切に対処できる内容でなければならない。国に対して、知事会を通じて地方公共団体の意見の反映や都道府県の役割、権限等の明確化を訴えてきた。今後も機会を捉え、意見を述べていく。

 

四、美浜町煙樹ヶ浜への水際地雷敷設訓練場の設置計画について

陸上自衛隊和歌山駐屯地の第三〇三施設隊を今年度末、第三〇四水際障害中隊に改編する。現在同種の訓練場は北海道に一箇所ある。関係漁協や美浜町、議会への説明が始まっている。煙樹ヶ浜の海岸線は約五q、松原が保安林として続く県立自然公園にも指定されている。訓練海域には、美浜、三尾、御坊の三漁協が共同漁業権をもち、海岸背後には町営のキャンプ場。釣り客や観光客などでにぎわう県内有数の景勝地の一つ。なぜ美浜に決定したのか。県民生活への影響はないのか。県に対する事前の相談はあったのか。地元や利害関係者の同意が必要だが、県は今後どう対応するのか。

◆木村知事

    大阪防衛施設局から概要説明があり、海域部の岩礁が少なく、陸地部が約三fの平坦地を有する等の条件や、駐屯地に隣接していることなどから煙樹ヶ浜が最適地という結論に至ったと聞いている。町や関係者の意見等を踏まえ必要な対応をとっていく。

藤井 自衛隊機能の強化につながらないか。有事関連法制との関係について、県はどういう見解をもっているのか。

◆宮地毅総務部長

    防衛力の整備の一環であり、有事法制に関連するものではないと聞いている。

 

松坂英樹議員の質問

一、広川町の硫酸ピッチ不法投棄事件について

 十月二十二日から二十三日にかけて、広川町柳瀬地内のミカン畑の間にある池のほとりに、ドラム缶四十本の「硫酸ピッチ」が不法投棄された。横倒しや投げ出されていたものが三十本。路上にぶちまけられ、フェンスを越えてため池にまで流れ込んでいた。硫酸ピッチは脱税を目的とした軽油の密造の過程で排出される物質で、悪徳業者が重油や灯油から軽油を精製し、税金のかからない安い燃料として闇ルートで流通させ、暴力団が実質的に関与しているともいわれる。成分は約三割が濃硫酸であり大変危険な劇物。軽油の密造で不正な金をもうけ、廃棄物を不法投棄して、後始末には県民や国民の血税が使われる。絶対に許されない。

軽油の不正な密造ルートの解明、工場の摘発、脱税問題などには府県間の連携や、監視体制の強化が重要だ。本日、京都府議会では全国で初めて、県独自の硫酸ピッチの規制条例案が上程された。事件の捜査状況、不法投棄への対応と処理対策、今後の抜本的対策はどうなっているのか。

◆高綱直良警察本部長

    事件認知後直ちに捜査を行い、十一月二十七日大阪府在住の被疑者一名を逮捕。現在、捜査を推進している。

◆津本清環境生活部長

    発見されてからすぐに広川町、土地改良区、振興局等が迅速に措置を講じ、周辺地面に投棄された硫酸ピッチを土や消石灰等で中和しすくい取り、ドラム缶等を回収し一箇所に集めシートをかけている。折杭池にはオイルフェンスを設置。吸着マット等により池表面の油の回収、河川等への流出防止の対応をとった。水質検査の結果は環境基準を満たしており、生活環境保全上の支障はない。十一月十四日措置命令を出したが、期限の同月二十一日を過ぎても処置されず、代執行の準備を進めており、今議会の補正予算追加議案に費用を提案している。同月二十七日、行為者が逮捕されたが、措置命令に従う意志がない。今後は捜査状況を見守り、行為者に代執行に要した経費を求償していく。

◆木村良樹知事

    抜本的な対策が必要だ。京都の対応も一つの方法であり、さらに定点監視や重点パトロールを積極的に実施し、違法行為を行った者を逮捕していく必要がある。

 

二、ミカン対策について

 ここ十年間のミカンの価格は、収穫量の多い表年はいつもベタ安、流通量の少ない裏年でも年々価格は下降の一途をたどってきた。特にこの三年間は、表年も裏年も安値続きだ。本年度のミカンの作柄と販売状況について説明を求める。

◆阪口裕之農林水産部長

 本年は表年のためまずまずの品質で出荷当初の極早生は順調な販売だったが、出荷最盛期は高温多雨による品質の低下と消費の伸び悩みにより価格が低迷。十二月一日現在の出荷総量は前年対比九十一%、単価は昨年と同様厳しい。現在産地では、商品価値の低い果実の出荷抑制、高品質果実の厳選出荷に取り組んでいる。

松坂 本年十月県議会農林水産委員会で、東京大田市場を視察。市場では年間約五万d一五〇億円のミカンが取引されているが、そのうち和歌山産はJAありだ総合共選と数箇所の個人農家からわずか数百d。市場関係者は「熊本などは知事を先頭に県がひとつになって何度も市場に来る。田口早生や由良早生は本当においしい、なんでこれが来ないんだ」と言っていた。十一月に再び市場を訪れ、和歌山産と多種の他産地ミカンを食べ比べたが、和歌山産が一番美味で、このときも市場関係者から和歌山産ミカンは高く評価されていた。

消費者に生産者の「顔が見える」関係をめざす産直組織など、様々な形態がこの先さらに発展してゆくだろうが、消費者に安定的に食料を供給し、需要と供給のバランスをとってきた市場の果たす役割は今後も重要だ。和歌山産のブランド力の向上とともに、販売力でも他産地に負けないための対策として、大田市場など東京の中心部の市場での評価と実績をつくるなど、JAをはじめ生産者団体とも十分に議論し、出荷・販売戦略を仕掛けるべきだ。

◆阪口農林水産部長

    大手量販店のアンテナショップでの販売促進、「ゆら早生」の一元販売、「まるどりみかん」のブランド化、トレーサビリティシステムの構築等新たな取り組みに努めている。JA等生産者団体では十一月二十九日から集中的な販売促進活動や、独自に首都圏の量販店での対面販売等に努めている。

 

三、市町村合併について

先月、国の第二十七次地方制度調査会が最終答申を出し、特例法の期限後は人口一万人未満の町村を対象に、都道府県知事が合併構想をつくり、勧告やあっせんで合併をすすめる構想を打ち出した。また、財界がねらう「道州制」を「検討する必要がある」と、具体化への新たな動きを示している。この発表に対し、全国の知事から様々な角度で批判的意見が出され、合併推進の立場にたつ知事からも、人口で線引きをして強制的に合併をすすめることには共通して厳しいコメントが出されている。

昨年十一月の西尾私案では、合併特例法が切れた後は、「合併によって消滅すべき自治体」の人口を法律で明示し、自治体の権限を縮小し、他の自治体に編入するという強制措置まで提案された。西尾私案や調査会の中間答申に対し、和歌山県内でも三十三町村議会で批判する意見書が採択された。

和歌山県は三十町村が「一万人未満の自治体」に該当する。これらの自治体には県民人口の一・五割が居住し、県土面積の七割をしめるこの地域からは、おいしくて安全な食料、水、空気が大都市に供給されている。強制合併はここでの生活を困難にするだけでなく都市の安全性も脅かす。合併問題は住民の徹底した論議と自主的な判断が何よりも大事だ。

◆木村知事

    あるべき市町村の規模はある。市町村は自分で何でも決めていいと思うが、それがうまくいかなくなっている中で、どんなあり方がいいのか考えねばならない時期になっている。

松坂 県内では古座川町、上富田町が法定協議会から離脱し、打田町では町長が議会の特別委員会で合併協議会への不参加の意思を示した。有田地方の協議会も、合併後の財政見通しや庁舎の位置などで問題点がでてきているようだ。

県は和歌山市以外のすべての市町村を合併推進「重点」地域に指定し、近畿の府県のなかでも合併推進の予算を一桁多く予算計上してきた。昨年度末には合併する市町村に交付するといって、二十億円の基金を二月補正予算に計上。「市町村からの希望に基づいて」というのであれば、「単独を選択する町」などの希望や悩みにもこたえるのが当然だ。合併を選択するしないにかかわらず、援助の手をさしのべることが県として望ましい姿勢ではないか。

◆宮地毅総務部長

    市町村合併により行財政能力を高めることが有意義だと考えている。昨年十月策定の「和歌山県市町村合併支援プラン」等に基づき、合併協議や合併後のまちづくりへの支援を行う。合併しない市町村には従来と同様、国の制度や地方財政措置に沿い適切に支援を行う。

 

雑賀光夫議員の質問

一、イラクへの自衛隊派兵問題について

イラクの状況は深刻で、米英軍五百名以外にもイタリア、スペインなどの軍隊、国連関係者にも犠牲者がでている。こうした状況を生み出した原因は、イラク戦争が国際法を無視した侵略戦争であり、その後も米英主導での不法な軍事占領が続いていることだ。一日も早く米英軍主導の占領支配をやめ、国連中心の枠組みによる人道支援にきりかえ、イラク国民に速やかに主権を返還し、米英軍が撤退することが必要だ。国際社会の大多数もこの方向での解決を強く願っているいま、日本に求められているのは、そのための自主的な外交努力だ。

 自衛隊の派遣は、無法な侵略戦争と不法な占領支配に軍事力をもって加担することにほかならず、日本がテロの標的となる危険も招くことにもなりかねない。また、戦争はしない、軍隊はもたないと決めた憲法九条を踏みにじるものであり絶対に認められない。知事の自衛隊へのイラク派兵に対する見解は。

◆木村良樹知事

    国の仕事に知事の立場でコメントする気持ちはない。今回は軍事行動でなく人道支援だから、自衛隊ができるだけ安全に活動できるように最善の努力を払うことは当然のことだ。

 

二、教育問題

少人数学級実現を求める署名は、十六万六〇〇〇筆に達し、文部科学省も国庫負担の加配教員を少人数学級に充ててもよいという方向を打ち出している。県教育委員会は、これまで検証してきた少人数学級の効果をどう受け止めているのか、また今後どのように施策を拡大していくのか。

「学力診断テスト」が実施された。地域ごと学校ごとに結果公表するそうだが、学校間競争など弊害が心配だ。十月十九日付「紀州新聞」は「異論や見直しを求める声相次ぐ」と報じ、和歌山県教職員組合が実施した校長へのアンケートでは、テストそのものの是非では賛否がわかれたが、「結果公表」には反対が圧倒的だったそうだ。教育関係者にも反対意見が多い中で、あえて公表するのはなぜなのか。

平成九年に文部科学省に依頼されて「中学生・高校生のスポーツ活動に関する調査研究協力者会議」がおこなった調査報告書に、「一週間に運動部の活動を何日するか」という質問がある。最多は六日三十三・三八%。休みなし九・六二%でそのうち平日でも練習時間四時間と回答した学校まである。また同報告には、中学生の発達にとって適当な練習量をスポーツドクターに質問した集計があり、「週三日から五日、一日一ないし二時間未満と答えているスポーツドクターが六十二・二%を占める」と述べている。文部科学省やスポーツ審議会答申、県教育委員会はこの調査を踏まえ、学校の運動部は勝利至上主義になってはならない、スポーツ医学の到達点を踏まえ、心身の発達段階に応じた科学的な指導が大切、学校生活の中でのバランスを欠いてはならないという立場にたっているが、学校現場の状況は必ずしもそうなっていない。

県は平成九年の調査と文部科学省の指針をどう検討したのか。また現在の部活動の状況調査を行っているのか。行っているとしたら、その調査結果をどうとらえているのか。子どもの発達段階から見て好ましくない部活動が行われていた場合、どういう指導を行っているのか。

◆小関洋治教育長

    各学校から少人数学級は行き届いた学習指導や子どもたちの人間関係の育成に有効だと報告されている。今後は検証を精密に行い、あり方への検討を深める。

    学力診断テストは結果の公表も含め、教育の充実に必ずや有益なものとなると確信している。教育情報はオープンにすべきで、テスト結果も隠しておく必要性は見当たらない。

    「運動部活指導資料」の内容を基にして、今後とも休養日や練習時間を適切に設定するなど、子供たちにとってよりよい活動となるよう指導していく。

 

三、雇用・労働問題

 労働相談所に駆け込む労働者がごく一部なのは、働くものの権利を高校時代に教えられていなかったからではないか。社会科の授業だけでなく、労働組合をつくる権利や労働者を守る法律があること、労働法規はパート・アルバイト労働者でも適用されることなどを、実際の問題に即して教える必要がある。

◆小関教育長

    勤労者としての権利や義務を理解させることが大切。また相談機関の情報など、将来の職業生活に必要な知識を身に付けさせることにも力点を置いて指導の充実を図る。

雑賀 深夜勤務手当の未払い等の状況をなくすために、企業主への啓発をどうすすめていくのか。労働基準局の仕事でもあるが、県としても労働者の訴えや労働団体を通じての提起を受けて、企業を指導する必要がある。一方、雇用拡大のために県は、国が措置した緊急雇用創出特別事業の予算をどう活用し、県独自の施策についてはどうすすめていくのか。

◆石橋秀彦商工労働部長

    労務管理講習会等の開催により啓発に努める。本年度から中小企業労働施策アドバイザー四名を配置。個別には労働相談員による相談を行っている。緊急雇用創出特別基金事業では約五十一億五〇〇〇万円が交付され、環境美化、教育などの様々な分野で事業を実施し、本年度末までに一〇〇事業約三十五億六〇〇〇万円を投じ、累計三〇五六人の雇用機会が創出される見通し。来年度は事業の最終年度。県独自には、求職者の技能向上を図る各種セミナー、合同面接、カウンセリング事業などに取り組んでいる。また企業誘致、商工業の振興、新産業創出等、総合的な雇用、経済対策を結集していきたい。

雑賀 離職してすぐに雇用保険が受給できるわけではない。受給開始までの期間が長くなる場合、また雇用保険の受給中に就職できず、雇用保険の期限が切れた場合等、雇用情勢が厳しい中、県として生活支援対策を考える必要があるのではないか。

◆白原勝文福祉保健部長

    「離職者支援資金」の貸付は月額二十万円以内、最長十二ヶ月、償還は貸付期間終了後六ヶ月据置き後七年以内、貸付利率は年三%、連帯保証は原則一人。また本年十一月から生活福祉資金の「緊急小口資金」貸付制度を創設。低所得者を対象に、医療費や介護費が必要な時、公的年金や保険の給付開始までに生活費が必要な時など緊急的かつ一時的に生計維持が困難となった場合等に行う貸付で、限度額は五万円以内、貸付利率年三%、償還は二ヶ月据置き四ヶ月以内で、連帯保証人不要。

 

四、災害問題

国道三七〇号毛原地域での土砂崩落は、雨が降っていないのに突然おこった。地質の専門家は、この地域の岩盤は塩基性片岩で固いが、時間の経過とともに劣化し、崩落したのではないかといっている。専門機関による調査が必要だ。今後の災害復旧の見通し、のり面対策と今後の取り組みを聞きたい。

◆酒井利夫県土整備部長

    十二月十七日から始まる国の災害査定を受検するため準備を進めており、一日も早く復旧できるよう努力する。のり面対策は、平成八年度に実施した道路防災総点検、平成九年度の岩盤斜面調査結果等に基づき逐次対策を実施。今回の崩落箇所と同様の地質や地形条件等の箇所について、再点検を実施したい。

雑賀 平成六年に国が定めた耐震基準に適合していない特定・準特定タンクに対して、国は、事業者が耐震対策をとる猶予を与えている。一万`g以上のタンクならば平成二十三年末まで、一万`g未満は平成二十七年まで猶予されている。いま海南市から下津、有田市にかけて海岸線に多数の石油タンクがあり、耐震対策等は市町村の消防署に任されているが、県も情報を握り、地域の消防と連携して関係企業への指導を強めるべきだ。また国に対しても耐震対策の猶予をなくすよう要望していくべきだ。石油タンク火災や災害が万一起こった場合の県の対策は。

◆宮地毅総務部長

    本年十月、石油コンビナート等防災区域内の特定事業者に対し、防災対策の徹底を依頼。消防庁では猶予措置見直しの検討を始めたと聞いている。許認可権者である消防本部とより連携を深め、石油タンクに関する情報把握に努めるなど安全の確保を図る。事故の対応は、県石油コンビナート等災害対策本部が策定している防災計画に基づき、防災関係機関、特定事業者がそれぞれ防御措置をとる。県は防御活動に必要なオイルフェンスや消火薬剤等の防災資機材をコンビナート地域内に配置し、関係機関や事業者と合同訓練を実施するなど万一に備えている。

 

五、借換融資の状況と改善

十月から「借換資金八〇〇〇万円」がスタートしたが、現時点の利用状況はどうか。また、市町村や銀行による融資などに対しても本制度を適用できないのか。本制度は来年三月末で終了だが、四月一日からもこういう要望も踏まえ、続けていただきたい。

◆石橋商工労働部長

    十一月末までの二ヶ月間で四四四件約五十九臆円の融資実績。平成十六年度も引き続き制度化していきたい。

 

村岡キミ子議員の質問

一、県営住宅ニューかわなが団地問題

 ニューかわなが団地(一〜五号棟)は川永団地を建て替え、平成六年から入居が始まった。三号棟は特定優良賃貸住宅で、月収十七万八〇〇一円以上六〇万一〇〇〇円までの世帯が入居できる。3DKに一人で住む入居七年の身体障害者の方の部屋を見せていただいたが、和室を除くすべての部屋の床のフローリングが浮いて波うっており、和室の押入れの鴨居が垂れ、天袋と押入れが開閉できなくなっている、畳と敷居の間に六ミリから十一ミリの段差がある、風呂場のドアのネジが元々なくて安定しない。また、四号棟の駐車場には段差があり、車椅子が利用できず、一号棟の駐車場に行くスロープは傾斜がきつくて使用できない。資材の一括発注による低コスト化、工事工法に問題はなかったのか。急いで調査の上、修繕をすべきだ。

三号棟の十九戸は築わずか九年で、最も安い賃貸料で3LDK一ヶ月七万四三〇〇円、最も高いのは4LDKで九万七〇〇〇円。平成八年から平成十一年三月までは、多い時は十七戸入居。その後減り続け平成十四年十一月には七戸、そして今では六戸。賃貸料も平成十三年四月から十%引き下げたものの、空家は埋まらない。それなのに県営住宅への入居を何度申し込んでも入居できないという実態がある。公募はどのような方法で行われているのか。積極的な公募PRが必要だ。

◆酒井利夫県土整備部長

    入居者から申し出があれば、状況を確認し、必要な修繕を行う。指摘があった住戸は、過日現場を確認し入居者と協議中だ。バリアフリー化は入居者の障害の程度に応じた対策を行う。入居戸数が減少したのは、厳しい経済情勢長期化で所得が伸び悩む中、一定期間毎年家賃が上昇したこと、民間住宅との競合などが考えられる。公募方法は、県広報紙への掲載や、入居希望者で所得が基準を超過していれば募集案内などを行ってきた。PR強化を図り、住宅ニーズに沿った対応を検討する。

 

二、新宮市白見の滝近くの不法投棄について

 これまで金田真元県議が、毎議会熊野川の清流を取り戻したいと、ダムによる濁水対策、河川敷の不法投棄対策の解決を求め、質問と要望を繰り返してきた。不法投棄した行為者は判明しているが、いまだ解決には至っていない。この不法投棄は昭和六十三年四月から始まり十五年が経過している。自然公園法、廃掃法、河川法に違反している行為に対し指導を重ね、自主的原状回復を求めたが、状況が改善されない為、平成十五年三月二十八日あらためて、原状回復範囲を平面図に指示し、同年七月二十五日に期限を定め監督処分したが、期日になっても完全な原状回復には達していない。県は平成十二年九月七日、業者に廃棄物の種類、量、面積等の報告を求めたが、いまだ報告がないそうだ。有害物質等の有無を含めたボーリング調査、投棄物の調査を求める。

昨年八月、総務委員会県内調査で防災ヘリから見た北山川と熊野川の合流地点から下流へのダムによる濁水はひどく、世界遺産登録が心配だ。今年二月議会に金田元県議はダムを撤去しなければ清流は取り戻せないと主張し、「現行おおむね三十年」とした水利権短縮を提案した。知事は国に申し入れを行うと答弁したが、いつどのように申し入れを行ったのか、また国の考えはどうだったのか。

◆酒井県土整備部長

    本年三月二十八日原因者に対し、河川区域に投棄した土砂の除去、原状回復を命じた。現在、作業が行われているが、早急に完了するようさらに厳しく指導していく。この作業途中、土砂以外の物も確認されたので、投棄物の調査を実施する。熊野川の発電水利権短縮についての申し入れに向け、国・県の水利権担当者の参画した会議で検討を進めている。

 

三、国立病院の賃金職員の雇い止め問題について

 来年四月、全国で一五四ある国立病院が独立行政法人に移行する。南和歌山病院と療養所、和歌山病院も移行する。これらの病院には定員外の賃金職員が勤務している。全国には看護師をはじめ、調理師等六五五五名、和歌山の両病院には五〇名が、フルタイムで正職員と同じ条件で働いている。

 十一月二十一日、厚生労働省は全ての賃金職員を来年三月末で雇い止めして、夜勤のできる看護師以外は週三十時間以内の非常勤職員か、または業務委託先に移るかの選択になると一方的に発表。県内の両病院の保育所は「ビジョン」という企業に業務委託し、看護助手、調理師など十五名の賃金職員の新たな雇用契約は一年以内、更新は長くて三回まで、十二名の保育士は、業務委託の採用を受けるか、退職するかの選択を迫られる。国の総定員法と職場の人手不足との矛盾からうまれた賃金職員に対し、厚生労働省が雇用責任を果たすことは当然だ。移行しても病院は今まで以上に地域に貢献することが求められる。今でも患者の治療、サービスがギリギリで維持されているのに、賃金職員が退職に追い込まれればたちまち医療の継続に支障をきたす。

 病院から地元美浜町には説明もなく、住民の要請にも答えようとしない。田辺市議会、美浜町議会で地域医療を守る立場から請願が採択され、意見書も届けられていて、地域でも不安が広がっている。知事から国と病院に対し、賃金職員の雇用を継続されるよう要請していただきたい。

◆木村知事

    賃金職員の雇用はこれまでの労使関係や地元雇用の確保等配慮することが望まれる。保育所も質の高い医療の提供に配慮するよう期待している。(再質問に答えて)独立行政法人化を図るなかで地域医療が損なわれることにならないようものを申していく。

 

四、年金問題について

国民年金法第一条には「日本国憲法第二五条の理念に基づき、老齢、障害または死亡によって、国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする」と定められている。政府の年金改革はその目的や理念に逆行している。 

三年前から高齢者は、わずかな年金から介護保険料を支払い、今年からは物価の下落にともない〇・九%の給付カットが強行された。県内の二〇〇一年度の老齢基礎年金の平均年金額はわずか六十四万一〇〇〇円。全国の国民年金保険料の納付率は、二〇〇一年度は五十五歳から五十九歳までは八五・五%、二〇歳から二十四歳までは五十四%にすぎない。若年層は就職できず、納付したくてもできないことや、制度への信頼性のうすさを納付率は表しているのではないか。

日本共産党は、基礎年金など社会保障の財源確保のため、ムダな公共事業や軍事費の削減などの歳出の改革と同時に、巨額の積立金の活用や、大企業や高額所得者に応分の負担を求めることなど歳入の改革もおこなうことを提案している。庶民に増税を強いるやり方は本末転倒だ。県は、国民年金受給者のくらしの実態をどう認識しているのか。また消費税の増税をせずに、年金財政の確立をはかるという方向の改革をめざすよう、国へ要望していただきたい。

◆木村知事

    年金改革は年金の枠だけでなく、税や財政、介護や医療などの社会保障、雇用制度等と一体的に考えるべきで、恒久的に持続可能な制度にするには安定財源の確保や負担に対する合理性も必要だ。給付水準は高齢期の生活の基本的部分を支えるものとする必要がある。消費税増税の議論は国の議論を注視する。

 

平成十四年度決算(一四四・一四五号)の討論と採決結果

平成十四年度は、長引く不況と将来不安というきびしい社会情勢の中、県政には県民生活をささえる積極性と県財政の健全化が求められました。私ども日本共産党は、十四年度当初予算の審議に際し、県民福祉の向上、むだな公共事業の削減、健全財政をもとめて予算案に反対の立場をとりました。今回の決算認定にあたっては、それらの点がどう予算執行で改善されたのかに注目しました。

 公営企業会計の決算審議では、ダムの発電事業が論議になりました。決算説明によると、有田川の二川ダム・岩倉発電所における昨年の発電量は計画の約半分でした。工業用水の使用水量も契約水量の約6割しか使われていませんでした。自然条件や経済状況の変化に対応していないこれらの過大な予測のもとに、できるだけダムに水をためようとするダム操作の結果、洪水時の調整能力の低下や、川の水がいつまでもにごるなどが指摘されてきたにもかかわらず、根本的な検討や改善が見られませんでした。また、土地造成事業や駐車場事業においても見通しの甘さや採算性のなさを指摘せざるを得ません。

 次に、一般会計・特別会計では、収入の欠損金である「収入未済額」のなかで一番大きな額のものは中小企業高度化資金の一一〇億円でした。外部監査からも厳しい指摘を受けています。同和対策事業の正しい総括の上からも、貸付・償還の実態に対する県の責任は重大です。決算説明によると、この十四年度に返済されるはずの一一六億円のうち、一年間でたった五億円しか返済されていません。貸付三十四法人の内一円も返済していないものが十三法人もありました。到底正常な事態とはいえず県民の理解は得られません。

 最後に、全体を通していえば、借金の返済である公債費負担比率は二二・四%と前年度と比べても一・六%増加しています。また入札予定価格の公表など入札制度を改善したとはいえ、一億円をこえるような大型公共事業では九七%等という高値落札が多い問題や、県立施設の耐震診断では学校関係を除きこの一年でほとんど進まなかったことなど多くの不十分さを残しました。そして、巨額の赤字が見込まれる関空二期工事に漫然と出資と貸付をつづけていることや、市町村合併推進として交付金の基金を二〇億円も積み立てたこと、依然として県単事業で市町村負担金を求めてきたこと等は認めるわけにはいきません。以上のような理由により、議案第一四四号、一四五号には反対をいたします。

※議案第一四四・一四五号は日本共産党だけが反対、それ以外全ての会派が賛成し可決されました。

 

十二月補正予算議案(一五〇〜一五六号)に対する日本共産党の討論と採決結果

日本共産党議員団を代表して、議案一五一号から一五六号までの六議案について、反対の立場から討論します。いずれも人事委員会勧告にもとづく給与の改正条例となっています。

今回の改定が実施されれば、職員の平均給与は五年連続、年収にすると過去最高の一八万一〇〇〇円の引き下げとなります。人事委員会勧告は人事院勧告に準拠して官民格差の是正をするのが目的とされています。しかし、人事院勧告は、公務員労働者のストライキ権など労働基本権制限の代償措置として機能すべきところが、今日、労働条件の引き下げを一方的に勧告して、労働者側に合意を求めるという労働条件引き下げの機関になってしまっています。その社会的影響力を考えれば、民間企業も含め社会全体の賃金引下げの役割を果たすものにもなっています。内閣府の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、いわゆる骨太の方針において、公務員の総人件費の抑制がかかげられ、人員削減とともに人事院、人事委員会に、地域の実態を踏まえた公務員給与のあり方の見直しをすすめることを要請していることからみても、人件費抑制の機関となりつつあることは明らかです。五年連続の引き下げでみれば、平均五〇万九〇〇〇円の引き下げとなり、さらに本県独自の財政上の特例措置による賃金カット分をあわせると十二月からは民間ベースよりも低くなってしまいます。この間の医療や介護、年金、雇用保険など社会保障負担の引き上げなどで、可処分所得は、それ以上に下がっています。さらに給与の引き下げをすすめることは、消費力、購買力のいっそうの低下を招き、消費不況に拍車をかける結果となり、経済政策からみても認められません。

 また、条例の施行は十二月一日となっていますが、今年の四月にさかのぼっての官民格差分を年末の期末手当で精算する方法は不利益遡及の問題点をもっており、認めることはできません。以上で討論を終わります。

※議案第一五〇号は全会派が賛成し、可決されました。

議案第一五一〜一五六号は日本共産党だけが反対、それ以外すべての会派が賛成し、可決されました。

 

十二月補正予算議案(一四九・一五七〜一七九号・報八号)に対する日本共産党の討論と採決結果

 議案第一六九号は、補正予算や債務負担行為の追加です。これは、県土地開発公社が申し立てた特定調停にかかる、調停に代わる和歌山地裁の決定を具体化したものです。

平成十五年度一般会計補正予算のうち、第一条の補正額八九九〇万五〇〇〇円、これは、財政調整基金からの繰り入れ金を財源として、土地開発公社からコスモパーク加太用地、一〇七・五fを十五年度に借上げる賃借料、コスモパークの基盤整備にかかる基本設計に要する経費などであります。

第二条は、債務負担行為の追加で、金融機関からの公社の借入金の借入保証するものです。平成四十五年三月三十一日の弁済期限到来後、支払い済みにいたるまで金融機関からの借入金の一部、二六五億円と未払い利息が発生した場合の利息と支払い済みにいたるまでの遅延損害金、公社からコスモパーク加太用地を平成十六年度から三十五年度までの二〇年間借上げる賃借料一二一億五一〇九万四〇〇〇円、平成十五年度から十七年度までの三年間で、コスモパーク加太用地の企業用地や防災用地としての安全対策の整備を委託する経費二〇億二〇八〇万四〇〇〇円となっています。

議案第一七〇号は、調停に代わる和歌山地裁の決定について、議会の同意を求めるものです。

県は、特定調停に利害関係者として参加し、県民の利益を第一に主張するとともに、公社再建にたいする県の支援の観点から主張してきたとし、和歌山地裁の決定は妥当なものだと判断しています。

決定のおもな内容は、県は公社の新規借入金四三八億一五三〇万円のうち、二六五億円について債務保証する、加太開発整備事業にかかる公社所有の一部を賃借し、整備事業を推進するということです。県は債務保証をする説明として、公社に代行させた土砂採取事業の精算が未定であるが、二六五億円を下回ることはないということです。

問題点の第一は、ここにあります。関西国際空港の第一期土砂採取事業の見通しの甘さによって、県の想定した土砂売却単価と実際の売却単価との差額が、二六五億円以上の赤字を生み出してきたということです。

問題点の第二は、現在の公社所有のコスモパーク加太用地の簿価は、五五〇億円に達しており、金融機関が根抵当権を設定した公社所有地の有効活用地の時価評価額一六五億円とは、四〇〇億円近い格差が生まれてしまっているということです。コスモパーク加太開発をめぐり、計画が二転三転するなどの対応と決断の遅れが、公社の債務を膨れ上がらせました。

地裁の決定では、根抵当分の一〇八億円はこの土地を売却して返済することとなっています。現在の地価で売却できたとしても、弁済を完了することはできません。三十年計画の返済となっていますが、将来の土地高騰が見込めない限り、県財政からの弁済は必至です。

地裁の決定は、初期のコスモパーク加太事業の破たんを県民の負担でまかなうことをも予定しています。行政の失敗を県民に転嫁することにつながる議案一六九号、一七〇号には賛同できません。

議案一七一号から一七九号までは、平成十五年度一般会計、特別会計、公営企業会計の補正予算であります。一般会計補正予算案のなかには、硫酸ピッチの処分費用がふくまれており、この点は評価できるものですが、主要な内容は人事院勧告にともなう人件費のカットが議決されたことによる減額補正であり、賛同することはできません。以上で反対討論を終わります。

※議案第一四九・一五七〜一六八号・報八号は全会派が賛成し、可決されました。第一六九・一七〇号は日本共産党と新生わかやまが反対、それ以外のすべての会派が賛成し、可決されました。第一七一〜一七九号は日本共産党だけが反対、それ以外すべての会派が賛成し、可決されました。

 

提出された意見書・請願と採決結果

<意見書>

和議第一三号 イラクへの自衛隊派兵に反対する意見書(案)

※日本共産党が提案しました。日本共産党と野見山議

員、阪部議員が賛成しましたが、他会派が反対し、否決されました。

和議第一四号 安定した公的年金制度の確立を求める意見書(案)

※日本共産党が提案しました。日本共産党以外の会派が反対し、否決されました。

 

<請願>

「議請二 かつらぎ町道折登堀越線の県道昇格について」は、継続審査となりました。

 

機雷訓練で漁は、観光は
共産党
 美浜町の計画地調査

 防衛庁が和歌山県美浜町で計画している機雷訓練場の問題で、日本共産党県議団(村岡キミ子県議、4人)は一日、現地調査しました。
 美浜町役場で入江喜一助役らは、火薬を使用しないものの、同町煙樹ヶ浜の海岸三fで年間80日、幅二`奥行き一`の会場で同60日、水際地雷(機雷)の敷設訓練をするという計画を大阪防衛施設局から説明を受けたものの、いつ訓練をするのかなど詳細についてはわかっていないとのべ、「町より先に漁業者へ話をもっていったようだ。隣接する御坊市には、まだ説明はないようだ」と行政の頭越しに計画が進行している状況に困惑の表情を浮かべました。
 党県議団は陸上自衛隊和歌山駐屯地の目前にある訓練計画地に行き、地引き網によるシラス漁やキャンプ場、つり客など煙樹ヶ浜の現状を町職員から聞きました。(「しんぶん赤旗」2003.12.2付より)
◆共産党県議団が美浜町の機雷訓練計画地を調査(12/1)
町職員(中央)から説明を聞く県議団=1日、美浜町