一般質問&答弁

●雑賀光夫議員 ―12月 8日(水)2番目
●松坂英樹議員 ―12月 9日(木)2番目
●藤井健太郎議員―12月10日(金)2番目
●村岡キミ子議員―12月13日(月)3番目


雑賀光夫議員の質問(全文)と答弁(要約)

1、和歌浦観光・中国杭州市訪問の報告(要望)
2、道路問題
3、入札・随意契約の問題
4、市町村合併
5、「三位一体」の改革と教育予算



1、和歌浦観光・中国杭州市訪問の報告(要望)
 私は、今年の2月県会で、和歌浦の観光問題について質問いたしました。質問というより提言でしたが、その中心点は、和歌浦は、中国の国父といわれる孫文と民俗学者・南方熊楠がロンドン時代の旧交を温めた地である。ここに記念物をつくって、日中友好のシンボルとし、和歌浦観光に役立ててはどうかということでした。

私は、11月の4日から9日、日中友好協会和歌山県連合会の27名の訪中団の団長として中国を訪問いたしました。民間団体としての自主的な訪問です。

上海空港におりて、蘇州市の学校を訪問し、児童画の交換をし、桂林にも足を伸ばしたのですが、メインは、和歌浦によく似ているという西湖がある杭州市の訪問でありました。蘇州市は人口583万、6月に世界遺産会議が開かれた町でもあります。杭州市は人口642万人。ともに上海周辺の急速に経済発展をとげている地域です。工業団地、住宅の建設に圧倒されました。

私たちは、杭州市の対外友好協会を訪問し、副会長の華麗珍さんという方にお会いして、交流しました。杭州市の副市長もなさった方です。

杭州市は、岐阜市とは友好自治体の関係を結んでおり、京都・鳥取・山口などの地方の都市とは交流があるいますが、和歌山とはあまり交流がありません。私たちからの申し入れ文書を読んで、西湖と和歌浦がよく似ていることをはじめて知ったのでしょう。歓迎の挨拶に「和歌浦というのは大変景色のいいところだとお聞きしています」と言っておられました。

私のほうからは、和歌浦が西湖と景観が似ていること、孫文と南方熊楠の出会いの地であることを、ロンドン亡命時代の出会いまで含めて説明し、ここに孫文と熊楠の出会いの記念物をつくって、日中友好のシンボルにする運動をすすめていると話して、最後に、県観光課からいただいた、中国語の和歌山の観光パンフレットもお渡ししました。

また和歌浦にお住まいの団員から和歌浦の写真を見せ、西湖とそっくりだという話をし、海南市の団員からは、日中両国平和の塔が市民のカンパでつくられた話もしました。

華麗珍さんは、大変よろこばれて、和歌山との友好を深めたい、「日本に行く人には、和歌浦によるようにいいます」といわれました。私たちもぜひ和歌浦そして海南市にも来てくださいと申し上げました。

また蘇州市の小学校であずかってきた児童画100点は、いま、JR海南駅で展示中であります。

民間団体の訪中でありましたが、杭州市と和歌山が友好関係をふかめる条件をつくってきたと思っています。

以上、報告でありますが、民間団体が進めてきた日中友好のとりくみを生かしていただくよう要望いたします。

 また先日、訪中団として知事にも報告いたしましたが、何か感想やご意見などありましたら、いただければと思います。

 

2、道路問題
 財源には限りがある。県民にとって本当に必要な道路を早くつけてほしい。

木村知事は、「1、5車線道路」というものを提言された。これは大変いいことだと思います。先日、海南海草議員連絡協議会で陳情したおりも、いいことをおっしゃった。「用地買収がむずかしいところに、定規で引いたようにまっすぐな道を作らなくてもいいので、多少カーブしても、弾力的に考えてもいいんじゃないですか」というふうな意味でした。これも賛成であります。

知事がこうおっしゃるのは、裏返せば、「定規で引いたようなまっすぐな道」を無理につくろうとする傾向があるということでしょう。それだけではない。幅10メートルもあれば十分なところに、18メートルも20メートルもの道路を計画し、20年たっても出来上がらないというムダが、いたるところにあるのではないでしょうか。

海南市内で日方・大野・藤白線という都市計画道路に、日方川にそった部分があります。前回の議会で、「せっかく用地買収もすすんでいるから暫定的にでも早く通れるようにしてほしい」と申し上げたわけです。この道路は、一番狭い地域の用地買収がすすみ、いま一歩まできています。そして私が申し上げた点では、前向きの答弁をいただきました。

しかし、その計画を見てびっくりしました。片道一車線の二車線道路なのですが、一車線幅4,5メートル、3メートルの車線に1、5メートルの予備がついているというデラックス道路です。両側に幅4、5メートルの歩道がついて、幅18メートル道路です。しかも、定規で線を引いたようにとまでは言いませんが、まっすぐな道にした結果、川べりにあった元の道路・幅5メート程度のものは、つかわれずにおかれてしまっています。

市民の要求からいえば、必要なのはセンターラインを引ける幅6メートルの車道とせいぜい幅3メートルの歩道、あわせて10メートルもあれば十分なのです。川沿いの原道を拡幅すれば、幅5メートルも用地買収すれば十分なのです。

市街地の道路なら両側に歩道がつけば、商店街ができるでしょう。この地域は、片側は日方川にそっている。反対側からは山が迫っている。どうしてこんなデラックス道路なのかと首をかしげるわけです。

この道路は1982年に計画され、17年たって事業化されたものです。さらにいえば、海南市の日方・大野・藤白をぐるりと回る壮大な道路計画の一部であります。大野から藤白に至る地域も、道路が大変狭く、一日も早く道路を広げてほしい。しかし、求められている道路は、18メートル道路というようなデラックスなものではないでしょう。都市計画が決定されたときは、「熊野古道をつぶすのか」を住民から反対の声も上がったといいます。それがいまでは、行政からも住民からも忘れられたような計画になっています。その一部だけが進んだというのが、日方川沿いの道路であります。

いったん計画した道路であっても、時代の変化などをみて、本当に住民のニーズにあったものなのか、節々で見直すことが必要だと考えるわけです。

 

県土整備部長にお伺いいたします。

第1 日方・大野・藤白線という道路計画を幅18メートル道路として完成させる見通しを、お持ちなのか。お持ちだとすれば、何年ぐらいでできる見通しなのか。

第2 わたしは、こうした都市計画、公共事業は、いったん計画したものでも、再評価して見直すことが必要だと考えます。公共事業の再評価委員会というものが開かれているが、どういう場合に再評価委員会にかけられるのか、その基準をお聞きしたい。また日方川沿いの道路は、どうなのか。

第3 再評価委員会は、第三者を含んだ再評価ですが、その前に、行政担当者が一番問題わかっているわけですから、自ら再評価して見直すということが必要だと考えるが、どうなのか。

第4 再評価委員会にかけられたときには、用地買収は8割がた終わっていて、いまさらやめられないという問題があります。事前評価ということも大切ですが、どうなっているのかお聞きしたいと思います。

◆酒井利夫県土整備部長
 1、現在日方付近の1.28kmを平成11年度から事業中であり、当面はこの箇所の重点的な進捗を図っていきたい。
 2、再評価の基準は、@事業採択後一定期間が経過し未着手の事業、A事業採択後長期間が経過し継続中の事業、B準備、計画段階で一定期間が経過している事業、C再評価実施後、一定期間が経過している事業、D社会情勢の急激な変化、技術革新等により、再評価の実施の必要性が生じた事業。なお一定期間とは5年間、長期間とは道路事業の場合10年間。
 3、事業内容、事業効果、事業の重要性、緊急性等についてはこれまでも事前に内部で検討を行ってきた。現在はより広い様々な視点から検討し、広く県民に理解を得るために公共事業事前評価システムの構築に取り組んでいる。
 4、日方の事業は事業化6年目で再評価の対象とならない。日方川に沿った箇所は、当該地域の用途が住居系地域であり、沿道には中学校などもあり、今後の地域の発展や交通安全等を考慮すれば、歩道等の連続性を確保し、幅員は18m必要だと考えている。

雑賀:二つ目の問題は、道路計画ができても地権者の理解が得られないので、道路建設が遅れるという問題であります。

たいへんむずかしい条件を付けられる地権者の方もいらっしゃって、担当者もご苦労なさると思います。しかし、地権者だけを悪者にしてはいけない。国土交通省道路局が、平成14年8月、いまから二年前に、「市民参画型道路計画プロセスのガイドライン」というものをだしています。その考え方は、行政が道路をつくる場合に、まず内部検討して、この法線、この規模が一番いいんだと結論を出してして、住民に説得するというこれまでのやり方ではなく、いくつかの案の中から選択する構想段階のプロセスから市民の意見を聞くというものです。

海南市では、国道370号、阪井バイパスをめぐって議論になっています。海南市の都市計画審議会でいろいろの意見が出されました。普通は、都市計画審議会で一つの道路を作るために、何日もかかって議論するということは例が少ないと思うのですが、海南市の審議会は、2日半かかりました。   

第一日目は、午後から開かれ、現地調査をふくめて話し合ったが、時間が足りなかった。第二日目は、朝から会議を開いて、夕方までやった。それでも課題がのこって、土曜日の朝、小委員会を含めた審議会を開いて、付帯意見をつけて、やっと当局の提案が認められたというのが、審議会の内容です。

道路が必要なことには、異論はありません。このことには地域住民の多数も、都市計画審議会の委員の全員も同じだったと思います。この審議会で問題になったことは、事前に住民の意見を吸い上げてくれていないではないかという問題でした。構想段階で、複数の案を示して市民の意見を聞くということを国土交通省道路局でも示しているのに、県はなぜ自分で決めた計画を、絶対に変えようとしないのかということに不満が集中したわけです。

わたしは、6月県会で、この問題をとりあげ、「道路を盛り土にするかどうかという問題では、住民の意見に聞くべきものがある」と指摘いたしました。平成13年におこなわれたアンケートをもって県は地元の同意を得ているとしているとしているわけですが、そのアンケートの際には、盛り土云々ということは、一切触れられていません。

県土整備部長にお伺いいたします。阪井バイパスの計画決定では、明らかに国土交通省道路局の「ガイドライン」は無視されているわけですが、どうしてそういうことになるのか、お伺いいたします。

また、海南市の都市計画審議会でも県の都市計画審議会でも、「環境問題に配慮し」など付帯意見がつけられました。こうした意見もとりいれながら、住民合意をはかるのかどうかもお伺いいたします。


◆酒井利夫県土整備部長
 ガイドラインは平成14年8月策定され、高規格幹線道路等大規模な事業のもので構想段階で適用するもの。策定された14年当時は阪井バイパスはすでに具体的な計画段階に至っていたため、ガイドラインは適用していない。しかしルート検討段階で平成11年、13年には関係自治会に説明、平成13年には自治会が「バイパスの必要性」「ルートの是非」についてアンケートを実施し、結果多数の賛成を得られた。今回の都市計画決定に際しては、平成15年12月から各関係自治会10地区で地区毎に事前説明会を開催、4月には法定説明会を開催、10月には都市計画案の縦覧を行い住民、海南市長などの意見を聞き、今年12月1日和歌山県都市計画審議会で審議された。早期整備が必要だと考えている。今後、事業実施にあたり、審議会の意見を踏まえ、地域住民と十分な協議を行い、環境に配慮し進めていく。
 市民参画型道路プロセスは今後必要性がより高まると予想されるので、国のガイドラインを参考に検討していく。

3、入札・随意契約の問題

大きな二番目の問題として、入札・談合問題、随意契約の問題についてお伺いします。

このたび、海草振興局・海南工事事務所で平成10年から11年にかけておこった談合問題で、損害賠償の訴訟を起こすことが提案されています。それには賛成ですが、私の出身地でおこった事件でありますので、こうした問題が起こったことは大変残念です。

ところで、こうした談合問題は、このケースだけなのだろうか。もっと普遍的に談合問題があるのではないかと思います。

海南で談合がおこなわれたことが明らかになったケースでは、落札率は99%にもなっています。けれども、当局に提出を求めた多くのケースで、これに近い落札率は多いのです。

一方、入札方式を改めた長野県では、平均96%だった落札率が、新しい制度の下で75パーセントにさがっています。この方式に改めれば、和歌山県でも41億円の節約が可能だという試算があります。全国的にも、入札・談合問題改善の声がたかまり、全国弁護士会では、この問題の改善をもとめるためのアンケートを、全国の都道府県・政令都市に実施しています。しかし、そのアンケートに和歌山県は答えていないのです。外部監査委員会の報告でも、落札価格が高いという指摘がなされています。

こうした意見もふまえて、入札問題の改善、談合防止についてどのような取り組みをしているのか、県土整備部長にお伺いいたします。

◆酒井県土整備部長
 平成14年5月「公共工事等の入札及び契約手続き改善策方針」を策定し改善に取り組んでいる。透明性確保のため予定価格等の事前公表、入札監視委員会の設置を、公正な競争促進のため、指名業者数の拡大、指名業者の非固定化、対象地域の拡大等を、談合や不正行為排除のため、損害賠償予約条項や解除権の契約書への明記、工事費内訳書の提出の義務付けを行った。本年6月には指名停止基準の明確化、指名停止措置の強化等を実施してきた。その結果、落札率は平成13年度の94.8%から14年度には91.7%に下がり、日本弁護士連合会の調査結果では全国第7位の低さになっている。

雑賀:一方、県監査委員会の報告でも、随意契約の問題で改善がもとめられているところであります。随意契約でこれまでどういう問題があったと考えているのか、どう改善するのか、総務部長の見解をお聞きいたします。

◆宮地毅総務部長
 監査委員会は契約方法の見直しを検討すべきだという意見であった。しかし長年にわたり随意契約で行っていた業務委託に入札を導入した結果、契約額が安くなったという例もある。この意見を踏まえ全庁的に取り組む必要があると考えている。


4、市町村合併

大きな第三は、市町村合併の問題であります。

まず、市町村合併問題にかかわって、信じられないような事件がおこりました。美里町で住民投票を求める署名をした住民に、美里町の幹部職員が町長の指示のもとに「どういう気持ちで署名したのか」と一人ひとりに電話したという事件であります。

 この事件は、市町村合併に賛成か反対か、住民投票に賛成か反対かという問題ではありません。住民の自由な意思表明に、町当局が圧力をかけたという人権の問題、民主主義の問題であります。市町村合併の問題であれ、福祉の問題であれ、自分の願いを署名に託した個人に対して、行政当局から「あなたは、なぜ署名したのか。共産党の議員に頼まれて署名したのか」などと電話がかかるとしたら、住民の意思表明への不当な圧力以外のなにものでもありません。美里町民のみなさんからは、町当局がやったことへの抗議の声があがりました。町民の人権感覚は健全であります。

ところが、抗議を受けた町幹部職員は、自分がしたことが問題だと思っていないという、人権感覚の希薄さであります。もちろん、私はすべての町幹部職員がそうだったとは思っていません。おそらく、町長にいわれたけれどもこれはちょっとと預かった名簿を引き出しにいれたままにした幹部職員もいたことだろうと思います。

 申しましたように、ことは合併問題ではなく、人権問題・民主主義の問題ですが、一面では、「合併できなかったら大変なことになる」というようなお話が広がっており、町長をこんなことに追い込んだという一面もあるのかなという気もいたします。

 こうした問題が起こってきたことについて、木村知事はどういう感想をお持ちかお伺いしたいと思います。


◆木村良樹知事
 個人的な感想としては自由な意思の表明が阻害されるというふうなことがあってはならないと思っている。


雑賀:つづいて、本来の市町村合併についてであります。

市町村合併について日本共産党としましては、「市町村合併は住民が決める」という立場から、住民に十分な情報が提供され、住民が納得する結論をだすことを求めてきました。

合併が決まった市町村もありますが、多くの市町村で合併協議がつづけられています。合併協議をしたんだけれど条件が折り合わず、合併がご破算になったケース、はじめから合併が協議されていないというケースもあります。

そうした中で、県下の状況をみますと、36市町村で合併が決まったり合併協議がすすんでいますが、14の市町村は、合併なしですすむという選択をしております。

合併する市町村も合併しない市町村も、それぞれの理由があって住民が選択した道であり、和歌山県民であります。県は、それぞれの市町村に支援をしなくてはならない。「地域振興基金」という積み立ては、その趣旨は文字通り地域振興でありますから、合併する市町村にも、合併しない市町村にもそれなりの支援をする必要があろうと考えるわけですが、知事の見解をお伺いいたします。

◆木村知事
 当然自治体の判断として、合併せずに行こうとなっても、何か特定の不利益を得ることになってはならない。等しく県民が住んでいる市町村だから、県は最大限の努力で、厳しい財政状況でも成り立っていけるよういろいろな協力をすることに、もちろんやぶさかではない。

5、「三位一体」の改革と教育予算

 最後に、「三位一体」の改革と教育予算であります。「三位一体」の改革については、知事の状況説明でも、必ずしも思うようになっていない、まだまだ課題があるということのようです。

私は、前回の議会では、国庫負担金削減に義務教育費国庫負担を差し出して大丈夫なのかということを申し上げました。知事は知事なりの考えを述べられました。

いま、その議論を繰り返すつもりはありません。しかし、知事の立場からいっても「三位一体」の改革が、課題を残している中で、このたびの財政改革が本当に教育予算にマイナスにならないのかという点は、多くの県民、教育関係者が心配しているところであります。

 今後、「三位一体」改革をめぐっては、いろいろなやり取りがあるでしょうが、知事は、教育予算にしわ寄せするようなことは絶対にしないという決意を改めて表明しておいていただきたい。しつこいようですが、よろしくお願いします。

 なお、今回の質問では、教育長への質問はございませんでしたが、先の県議会で大問題になった高校再編、海南高校と大成高校の合併問題、大成高校の募集停止問題につきましては、まだまだ大きな課題が残されていますが、5万人の署名に託された保護者・高校生・県民の願いを、教育委員会が重く受け止めていただいたことは評価し、今後の課題につきましては文教委員会でも論議したいと思います。

◆木村知事
 教育は義務教育も含めて自治体の事務と決まっている。お金も自由にやっていくことを求めて今回のことが行われた訳で、補助金が無くなったからといって自治体が義務教育を疎かにすることは決してあってはならない。国として一定の学力をもった子供を育てていくことは必要であり、その中で地方自治体が責任をもつという観点から自由度を高めていくということなので、決して教育予算を削ろうとか、そういうさもしい考えでこういう主張を行っているのではないことをご理解いただきたい。


松坂英樹議員の質問(全文)と答弁(要約)

1、ミカン対策について
2、カゴメトマト誘致による影響調査と県内トマト農家への支援策について
3、震災・災害対策
4、県営水力発電所売却問題

5、企業局廃止にともなう土地造成事業と駐車場事業の債務は、将来の県民負担にならないか。また会計の移行にともない県財政全体への影響はどうか

1、ミカン対策について


 通告にそって一般質問に入らせていただきます。先ほど浅井議員も取り上げておられましたが、まず第1点目に私からもミカン対策についてお伺いします。今年、和歌山県が日本一のミカンの生産県になると予想されています。その中で和歌山県が「県としてどう動くのか」これが大事になってくると思います。

 農産物の生産が経済の大きな柱となる和歌山県において、ミカンの生産は大きな位置をしめます。私たち有田の谷の景気や経済状況にはミカンの値段がそっくりそのまま大きく影響をします。この間、ミカン農家は安値に泣かされてきました。昨年6月議会で質問させていただいたように、表年も裏年も安値が続くという事態の中、和歌山県が他県にまけないミカン対策に取り組んでほしいという切実な農家の声を紹介しました。

 今年のミカンの価格は、幸いにも好調な推移を続けています。しかし、今年は収穫量が少ない上に、年末の最盛期を前に、先週の台風並みの暴風雨によってミカンがダメージを受けていることから、その影響も心配されています。そして何よりもこの数年間の安値によって、多くの農家は貯蓄をとりくずし、融資などに助けられながら農業経営を続けてきていますから、今年の収益がその穴埋めに終わってしまうことになりかねないわけです。

 しかし、それだけに終わってしまっては、今後に続く力にならないわけですね。今年の収益をもとに、来年度、マルチ栽培を広げようとか、高品質ミカンの栽培に取り組もうとか、改植をすすめようとか、園地に車が入るように作業道を作ろうとか、そういった生産意欲につながる努力、将来性のある経営努力や後継者対策にもつながる努力ができるかどうかが、今後を占う大きな焦点になります。

 この動きに、これまで以上に県が手を差し伸べる、後押しをする、たとえ片手でも、指一本でもという声もお聞きしましたが、本当にそういう県の姿勢が求められているのではないでしょうか。

 また、昨年12月議会で質問させていただきました、学校給食へのミカンの提供と首都圏での販売強化についてですが、給食提供については、食育の観点から今年度の県の取り組みも大きく広げていただきましたし、東京の大田市場にも昨年まではJAからは一つの選果場からしか出荷されていなかったのが、今年は新しく出来たAQ選果場はじめ4つの選果場から出荷されるようになったと聞いています。長いお付き合いの京阪神市場を大事にするとともに、首都圏にも積極的に勝負をかける、これらの動きは大事だと思います。

 以上の点から、日本一のミカン産地にふさわしく、農家が今年度の収益の上に立って、来年度、品質向上、施設整備、後継者対策等意欲的にとりくめるよう、マルチ栽培の補助拡大などタイムリーな支援をしてはどうか。また、食育としてのミカンの学校給食への提供、及び首都圏への販売強化の取り組みの現状と今後の方向について、農林水産部長より御答弁を願います。

◆阪口裕之農林水産部長
 県はこれまでマルチ栽培の推進、光センサー選果機の導入などに取り組んできた。またJAありだでは産地体制の整備を図るために光センサー式選果機を備えた最新鋭の選果場としてAQ選果場を整備し、本年度より高品質果実の厳選出荷に取り組んでいる。現在の販売価格は比較的堅調に推移しており、これまでの取り組みが実を結びつつあるのではないかと考えている。今後、これらの取り組みを一層推し進め、安心して後継者育成できる真の日本一のみかん産地確立に向けて努力していきたい。
 

2、カゴメトマト誘致問題
 次にカゴメによるトマト生産工場誘致にかかわる問題についてお尋ねします。10月8日に「アジア最大規模のトマト菜園事業」との打ち出しで、カゴメが70%、オリックスが30%の出資の現地法人が立ち上がり、11月16日には土地の賃貸契約が結ばれました。現地法人には金融業界のオリックスが農業経営への参加を表明したわけですが、このことは県当局も知らされていなかったわけで私もびっくりしました。県内・日本国内の農家が、野放しの農産物輸入や価格の低迷で経営が立ち行かずに泣かされて、後継者が育たずにいる中で、こういう儲かるとにらんだ農業には、企業が大手をふって参入できる仕組みをすすめていくというやり方には大きな疑問と怒りをもつものです。

 この間、打田町議会からは県に対して県内トマト農家への支援を求める意見書が提出されました。また農林水産委員会としましても、カゴメの大規模ハウスである長野県の「安曇野みさと菜園」に視察をしてまいりました。立ち上げ初年度ということもあり、夏の高温によって苗の成長がコントロールできず、ハウスの半分の面積にあたるトマトを全部植え替えることになったなど、苦労話も含めて、施設や栽培方法などをカゴメ本社の方からも詳しく説明してもらいました。私の実感としましては、1町歩、1ヘクタール当たりに勘定して、建設時に5億円の設備投資をし、年間数千万円の経費をかけながら1億円の売上をめざすという、普通の農家では考えられない、莫大な投資と資本力にまかせた経営に改めて驚かされました。コメ1町作って売上100万円の世界ですから桁が二つちがいます。
 私はこの12月議会の時点において、改めて、カゴメトマト誘致による影響調査と県内トマト農家への支援策について、その後県としてどう検討されているのか、現状と方向性について農林水産部長の答弁を求めるものであります。


◆阪口農林水産部長
 

3、震災・災害対策
 次に震災・災害対策についてお伺いします。先の9月議会では紀伊半島沖地震をうけた質問をしましたが、10月に発生した新潟中越地震をふまえて再度質問させていただきます。
 ご案内のように、大きな被害を引き起こした新潟中越地震ですが、私も県民の皆さんからお寄せいただいた募金とミカンをトラックに積んで、自ら運転して新潟に行ってまいりました。地震発生直後には食料が不足しました。そしてパンとおにぎりばかりの食事が続き、体調を崩す被災者の方が増えてくる中で、ミカンやバナナなどが求められているという報告を受けたわけです。避難所の生活のように強度のストレスがかかる中では、ビタミンCを普段の数倍必要とされるということで、ナイフなど使わずに手軽にビタミンCを摂取できるミカンは、被災地の皆さんにたいへん喜ばれました。
 救援物資をとどけ、被災家屋のかたづけボランティアにも参加させていただき、短い時間の中でしたが、現地の様子を目に焼き付けてまいりました。大都市をおそった阪神大震災では家屋や建築物の倒壊が大きなショックでした。今回の新潟中越地震では、斜面崩壊や集落の孤立、天然ダムの出現など、和歌山と共通する山間部の災害に注目をしました。
 ボランティアで行った長岡市の被災家屋は、家自体は大丈夫だったのですが、地盤がゆるんで家が傾き、取り壊さなければならないということでした。その日も震度5の余震が続く中、傾いた家の中でヘルメットとマスクをつけての作業はたいへんで、被災者の方々の苦労が身にしみました。
 私は先日、神戸市の震災記念館「人と防災未来館」にも勉強にいってきましたが、もともと川が通っていた所など堆積層が厚い所や急傾斜地、先日の報道では傾斜の緩い所でも地盤の影響で被害が出ていると報告されていますが、こういった地盤のひきおこす災害は阪神大震災の教訓の中からも共通して出されている問題だろうと思います。
 今回の新潟中越地震を通じて何を教訓にし、和歌山県の災害対策にどう生かそうとしているのか。急傾斜地や地盤災害・ダムや溜め池の調査・対策についてどう取り組もうとしているのかお聞かせください。同時に、新潟では避難所が危険で使えなかった所があったわけですが、避難施設の耐震化の状況と見通しについて、以上2点について危機管理監よりお答え願います。
 また、有田川の二川ダム下流の住民からは、東南海・南海地震が起こったときダムは大丈夫なのか、ダムが決壊した場合、どこまで水がくるのか、どこへ逃げたらいいのか等の不安の声が出ています。周辺地盤などに不安を抱える、二川ダムの震災対策についてはどう考えているか、これは県土整備部長より答弁をお願いします。

4、県営水力発電所売却問題
 4つ目の柱の県営水力発電所売却問題についておたずねします。 去る11月30日、県と関西電力は県営水力発電所売却に合意する覚書を発表しました。私は9月議会で、この水力発電所の売却計画は、住民にとってあまりに突然であり、発電が採算重視で行われることになって、ダム水位が上がり、危険ではないかという不安が出されていると指摘しました。発電をやめて防災一本のダム運用を求める声もあることから、住民と合意できる方向性を探るべきだ、計画は一旦白紙撤回せよと質問をしました。しかし、知事および企業局長の答弁は「来年3月の企業局廃止にむけて、採算面での不安がある発電については、民間で出来ることは民間でという立場で、経営判断を優先させたい」ということでした。
 私は9月議会以降、住民・自治体関係者の声を引き続き聞いてまわりました。その中では、一様に売却への不安、ダム操作改善への切実な願いが出されました。二川ダム直下の清水町二川地区からは、全住民からの陳情署名が知事・企業局・地元県議へ提出されました。この署名には7.18水害の記憶、ダム建設合意への断腸の思い、発電所売却による危機感と不安、できるなら防災ダム一本にしてほしいという願いがつづられています。古座川流域でも署名をされていると聞いています。また、清水町、金屋町、有田市の議会から計画撤回とダム操作改善、河川土砂撤去等を求める意見書が次々と提出されました。各地の声が新聞各紙に報道されました。今週開かれた有田消防議会でもずいぶん意見が出たようです。
 これだけ地元住民が不安を持っているというのに県はどんな対応をしてきたでしょうか。企業局は「関係者の理解が得られるよう引き続き取り組んでいきたい」との9月議会答弁にそって説明にまわったようですが、その結果はどうだったのでしょうか。企業局は「説明し理解を得た」と言っているようですが、私はそうは聞いていません。説明に回った先では、不安とダム操作の改善等の要望が出されたのではないでしょうか。関西電力とハンコを押す前に事前に相談してくれと言われていたのではないでしょうか。説明にまわっただけで理解を得たとはあまりにも一方的な解釈だと指摘をするものです。
 古座川町での説明会の様子が11月3日の地方紙に掲載されました。企業局は、計画の理由やダム・防災は県が引き続き責任をもつと説明されたようですが、見出しには「住民、不安をぬぐえず」とあり、記事の中には「売却計画が住民に相談なく進められたことに対しては「企業としての性格をもち、住民や県議の合意を得なくてもよい部局」と企業局の特性を説明したとあります。こんな説明をして、住民と心が通うでしょうか。企業局はそんなこと言っていないとおっしゃいますが、私が聞いた複数の参加者は、記事のとおりの受け止めであったし、県に対し不信感をもったと言っておられます。
 住民からは「ダムや発電所建設時は住民に協力をもとめてきた。地元は断腸の思いで協力した。そこまでした住民に、売るときは合意はいらない、というのでは話にならない」と怒りの声が噴出しています。
 企業局は「ダムは売らないから大丈夫」と簡単に説明しますが、そのダム操作が大丈夫でない、その上に発電所を売るというから住民は心配しているのです。その住民の意見を正面からうけとめていないと思うのです。そこで企業局長にお尋ねします。売却覚書締結にむけて、進め方があまりにも一方的ではなかったか。ダムや発電所建設時には住民に協力を求めながら、売却時には「合意の必要なし」と無視をするのか。この点についてご答弁をお願いします。
 また、売却予定価格は、財産としての評価、これまでの投資額、全国的な状況から見て妥当と考えているのかについても合わせて答弁を願います。

 次に、この問題と切っても切れない二川ダムの操作改善についてお尋ねします。有田川流域住民にとって、堆積土砂の浚渫と、ダムの操作規定改善は、2つの大きな課題です。そこへ発電所売却問題がふりかかって、タイミングをはずせない問題ですから、二川ダム水位を下げることとダム操作改善を求めてデータも具体的にお示しして提案をしたいと思います。
 まず、この2・3年、「ダムが水を貯めすぎてぶっそうでかなわん」という声を以前に紹介しました。私は実際にここ10年間のダム日報を事務所から提出いただいて素人なりに分析してみました。資料@をご覧下さい。昨年2003年のダム水位と、過去10年間のダム水位を比べてみたのがこのグラフです。赤い棒グラフが2003年の水位、青いグラフが過去10年間の平均水位です。この赤と青のグラフを比べていただきますと、一目瞭然に赤の水位が高いことがお分かりだと思います。春先や秋口が特に高いが、多いときには約8メートルも水位が高いのです。このことは地元住民がダムを見れば一目瞭然なんですね。ダム上流の清水町遠井のキャンプ場が水没するなんてことは今までなかったんです。ダムサイトも緑の木々の枝まで泥水がかぶり、ダム湖の両側の水中からニョッキリと木が生えているという状況です。
 ダム事務所に地元自治会や町当局から「今までにない水位で危険だから下げてくれ」と申し出ても、「操作規定どおりの運転ではこうなる。発電や下流の水利用にめいわくをかけるので、ダム事務所の判断では下げられない」といわれるそうです。ダム建設当時のままの操作規定を杓子定規に当てはめたのでは実態に合いません。ダム操作の長い経験上運用してきた水位(10年、30年の水位)に学び、水位を下げた運用をすることはすぐにでも可能なことです。資料Aはその元データですので後でゆっくりとご覧下さい。
 次に資料Bを見ていただきたいと思います。二川ダムと椿山ダムを向かい合わせに並べて、その運用方法を比べてみました。ダムの高さが違うので、ダムの頭でそろえて並べてみました。図を見るとはっきりとダム水位の差にお気づきだと思います。立地条件や規模のちがうものを並べてみたわけでちょっと乱暴ですが、どちらも発電所をもつ多目的ダムなのに、その差は歴然です。
 二川ダムは発電のために水位を上げておき、洪水前には洪水調整水位まで水を抜いて洪水にそなえる設計です。椿山ダムはそういう予備放流をしなくてもいい水位にはじめから落としてある設計です。ですから発電も上流から流れてきた水を下流に放流するついでに発電しているというイメージですが、二川ダムでは発電のために大量の水をためている、この溜めた分は金になる水ですから、洪水前の予備放流は、発電側からみれば、「無効放流」なんて呼んでタダで無駄に水を捨てる放流ということになり、なかなか捨てられないということになっているわけです。
 この二川ダムの設計は、近年の気象状況や、森林・農地の保水力低下など流域全体の変化を考えるとき、今となっては、自然に対して人間がずいぶん思い上がった設計だとも言えるのではないでしょうか。
 二川ダムに対しては「夏期制限水位を洪水調整水位の187.6mに下げてほしい」という住民の声があります。これはあながち主観的な数字ではないんですね。図を見ていただくと、椿山ダムの夏期制限水位と比べても妥当な線ではないでしょうか。
 また、@の資料での長年の経験にもとづいて落ち着いている水位から見ても、だいたい187mぐらいに抑えておくというのは現実的な数字です。関電とも話し合って合意をめざせる数字だとも思います。ぜひ水位を下げるところまで具体的に踏み込んでいただきたいと思います。
 
 もうひとつダム操作で注文をつけると、ダムが土砂の堆積で容量が減ってきているわけです。堆砂がどれだけ進んでいるかという測量は毎年おこなっていますが、それによってダム容量が減っている分を計算せずに運用しているということが、今回調べてみてわかりびっくりしました。ダム操作にあたっては、ダムの放流量と刻々と変わる水位の変化から流入量を計算し、微調整を重ねながら放流制御、放流計画を立てるわけですが、たとえば貯水容量が1割減っているのにそのまま計算すれば、流入量の計算値もそのまま誤差が出てくるわけです。40年前の建設当時の貯水容量データのままで、正確な流入量もわからずに運転しているというのでは、下流の数万人の命にかかわる問題です。「誤差の範囲でございます」で済まされない問題だということを指摘し、改善を要望しておきます。
 さて、知事は9月議会の答弁で、ダムは県が責任を持って管理をしてゆく、その際、治水面、人の命と安全が一番大切だということをはっきりと答弁されました。私が聞いた、この間の住民の声は、「発電所は三月末で売るが、ダム操作改善の方はその後でちゃんとやるから安心せよ、との口約束では信用ならない」「空手形にならないようにキチッとダム操作改善の数字や方法を具体的に示してほしい」「関電とも文書で確認をかわしてほしい」というものです。こういう声に県は答える必要があると考えます。
 つまり、来年の出水期までに見直すと表明されている操作規定の改善については、関電との売却が3月末までに予定されるということにあわせて対応をすべきだと考えます。
 そこで知事にお尋ねします。「発電所は売っても洪水対策は県が責任を持つ」というのであれば、二川ダムの操作改善については、水利権者との合意が必要な水位を下げて運用することや、放流の改善などを、具体的に3月末までに示すなどして、県民・地元住民の理解を得るべきではないでしょうか。ご答弁をお願いします。

5、企業局廃止について
 最後に、企業局廃止にかかわって、発電事業以外の土地造成事業と駐車場事業についてまとめてお伺いします。
 まず企業局がもっている財産、これは土地という形のあるものもあるし、借金という負の財産もあるわけです。これが公営企業を店じまいして県の仕事となり、県の会計に吸収しようというのですから、その影響は大きなものになります。世間で言う負の財産、隠れ借金、塩漬け土地等と呼ばれるものを、県民の負担、県民の税金で処理することにならないのかという指摘があるわけです。
 売れ残っている工業用地は、帳簿価格で売れば元はとれますといっているようですが、土地の評価額はどんどん下がっているはずです。銀行に利子も毎年払わなければなりません。借金の期日までに売れなければ、利子を払ってまた借り替えるか、税金で穴埋めをせまられるのではないでしょうか。 借り手のない工業用地の流動化をはかるために、企業誘致の部門に管理をうつすというのが動機でしょうが、これは従来にない思い切った価格設定などのメリットをつけて売却・賃貸に取り組むことになるという反面、これまで企業経営という観点から採算を考えた設定をしていたものがその縛りをはずすことにもなるわけです。コスモパーク加太でのカゴメへの土地賃貸が1平方メートルあたり100円という破格の設定でした。よその府県とも競争しようとすれば、今後どこもかしこも100円均一セールみたいなことも充分予想がされるわけです。売れるあてのない土地を残してしまって、誰も責任をとらずに、県民が税金で穴埋めをして責任を取らされるのであれば、これは到底納得のできるものではありません。
 また、県財政が非常に厳しい局面です。そこへもって会計処理上、一挙に負の財産をかかえこみ、財政全体に影響することになりはしないでしょうか。
 以上、企業局廃止にともなう土地造成事業と駐車場事業の債務は、将来の県民負担にならないかどうか。また会計の移行に伴い県財政全体への影響はどうかという点について企業局長より御答弁を願います。


藤井健太郎議員の質問 

1、地方分権と三位一体の改革
2、複合自然災害への備えと安心の町づくり
3、雇用問題
4、貴志川線の鉄道存続について


1,地方分権と三位一体の改革

 三位一体の改革の18年度までの全体像が決定され、新年度予算にも反映されることになりました。よく見てみますと、17,18年度で国庫補助負担金を2兆8380億円廃止・縮減するとしていますが、肝心の国からの税源委譲額はその6割の1兆7700億円、残りはメニューの廃止や補助金にかわる交付金化するとされ、16年度分の税源移譲額6560億円を含めて2兆4160億円にするというものです。国庫補助負担金の削減に見合う税源委譲になっていないといわざるをえません。国庫補助負担金の廃止縮減の主な内容は、焦点となった義務教育費は2年間で8500億円を削減、17年度分はその半分の4250億円を削減するとなっていますが、削減の中味については、来年秋の中央教育審議会に委ねられるとのことです。そして、国民健康保険に新たに都道府県負担を導入し7000億円を削減、生活保護費負担金と児童扶養手当の負担率見直しを対象にし、来年秋に結論を得る、などとなっています。地方税・地方交付税などの一般財源の総額は確保するとしていますが、すでに地方交付税の算出の根拠となる地方財政計画は引き続いて合理化、抑制することを明らかにしています。今回示された全体像を見る限り、地方分権の理念も明らかにされず、しかも地方側が求めていない国民健康保険負担金を削減に加え、生活保護、児童扶養手当など国が国民に対して責任を負うべき社会保障分野の負担金削減をすすめようとしていることは、地方財政への負担転嫁でしかなく、地方自治体の財政運営をいっそう困難に追い込むことは明らかです。果たして地方分権の名に値する改革といえるのかどうか。新年度予算にはどのように影響するのか。今後、どのような展開となっていくのか。直接県民生活にかかわってくる重要な問題でもあります。そこで、知事ならびに総務部長にお尋ねします。

 

@今回、国が示した三位一体の改革の全体像について、知事の率直な評価と何が問題点であると考えているのかをお聞きしたいと思います。朝日新聞12月4日付けを見ると、大半の知事が不満や批判を表明し、11人は落第点をつけています。その中の一人が木村知事で、「合格とはいいがたい」「国の財政再建を最優先させる財務省の作戦にはまってしまった」とコメントが報道されていました。一方、開会日には、「半歩踏み出したもので評価できる部分もある」と部分評価され、しかしながらと続き、批判をされています。今回の全体像に対する地方自治体側での受け止め方は、全くの落第とする知事や合格点に近い評価をする知事など様々のようで、知事の思いがそれぞれの自治体での県民への説明のしかたや予算編成に対する基本姿勢にも影響するのではと思えます。木村知事は何をもって評価に値するといわれ、何を批判されているのか。今回の国が示した全体像は何だったのか。今後どのような方向に向かっていくのか。地方分権の理念について、国と地方との間でどのように整理されているのか。知事の所見をお尋ねします。<知事答弁>

 

A地方分権と三位一体の改革というのは、いったい県民にとって、どういうことなのかわからなくなりました。県がめざそうとしている地方分権の姿はどういうものなのか。きちんとした県民への説明が必要であります。県の広報紙、県民の友12月号には、このたび県が策定した財政改革プログラムが掲載されており、このままでは、17年度から20年度の4年間で1050億円の財源不足が見込まれると財政の厳しさが強調され、県民の理解と協力を求めています。地方分権のための三位一体の改革により、県財政が破綻するのでは、本末転倒ではないでしょうか。県がめざそうとしている分権型社会はどういうものか。そこでの県民のくらしはどうなるのか、県民向けに誰でもがわかるような公報がされていないように見受けられます。この質問にあわせたかのように、昨日家に送られてきた資料の中に、今月7日に地方分権に関するホームページを開設したというお知らせが入っていましたが、県民向けの地方分権パンフレットなどを作成して、県民へのきちんとした説明をすべきだと思いますが、知事の見解をお尋ねします。<知事答弁>

 

B今回の三位一体の改革が新年度予算にどう影響してくるのかという問題です。今回の改革の詳細まで明らかになっていない段階では、断定できないこともありますが、すくなくとも地方6団体が改革の前提としていた国庫補助負担金の廃止縮小に見合う財源は確保されることになるのか。地方交付税の和歌山県にとっての必要額が確保されることになるのか。されないとしたら財政改革プログラムよりさらなる歳出削減が必要となってくるのか。そのしわよせが住民サービスの水準の引き下げや受益者負担など住民負担の増大に振り向けられるのではないか。新年度予算編成を前にして大いに危惧されるところです。この際、財政当局の見解をお尋ねしておきたいと思います。総務部長の答弁を求めます。

2,複合自然災害への備えと安心の町づくり

 来年は阪神淡路大震災の10周年の年です。各方面からの研究もすすみ、膨大な教訓情報資料集が作成されるなど災害に強い町づくりをめざす数多くの研究成果、教訓が示されてきています。県としても精力的に研究をすすめ、積極的に対策をすすめていただきたいと思います。

10周年を前にして、今年は、全国的に台風上陸が相次いだことや新潟、福井、兵庫などでの集中豪雨、紀伊半島沖、新潟中部、北海道東部地震など日本列島をおおう災害が多発し、多くの人命や財産が奪われ、市民生活や地域経済が破壊されました。災害救助法の適用はのべ21県149市町村にも及ぶということです。今、被災地の人たちは、多くの悲しみを胸に秘めながらも、お互いに助け合いながら、くらしの再建、地域の復興に全力をあげています。その奮闘を後押しする支援がほんとうに急がれているところでもあります。

阪神淡路大震災の経験もふまえ、今年多発した風水害や震災からも多くの教訓が導きだせます。

11月の台風23号では本県も農林水産業や港湾施設などに多大の被害がありました。今議会で災害復旧の予算が計上されているところでもありますが、被災者支援と速やかな復旧を要望するものです。兵庫県豊岡市では円山川左岸堤防が延長約50mにわたって欠損、右岸堤防も破堤、周辺地域に甚大な被害をもたらしました。計画高水位を超す集中的な豪雨に耐えられなかったということですが、計画高水位+50cmの暫定堤防が以前から危険性が指摘されていたにもかかわらず軟弱地盤や予算面などの理由で整備されてこなかったということも伝えられております。この災害以降、県は県内河川を目視による危険箇所の調査を行い、対策をすすめていると聞き及んでいますが、万全の対策を強く求めておきたいと思います。

自然災害が多発するなかで、気になった問題の一つに集中豪雨や地震など複合的な要因で、二次災害を増幅させるのではないかという問題です。阪神淡路の震災では、花崗岩におおわれた六甲山系で750カ所の土砂崩れが発生、その後の集中豪雨で新たに870カ所の土砂くずれがあったということです。地震で地盤がゆすられ崩れやすくなったところが集中豪雨により崩れたといわれています。地盤の質によって、二次災害のおこりかたもかわってくるということで、神戸では震災以後、詳細な地盤のデータベースを作成し、地盤の特徴を明らかにした情報提供を行っているということです。新潟中越地震でも地すべりの原因として、地盤の性質と豪雨のあとの地震動の関係に着目されています。

 本県では、今年の3月、東南海・南海地震を想定して短期、中期、長期に実施すべき対策をまとめた地震防災対策アクションプログラムが策定されています。プログラムの確実な実施と全国の被災状況からの教訓を学び、事業の優先順位や新たな事業を加えるなど見直しをすすめていくことも求められていると思います。被災者支援のありかたも、被害想定とあわせて事前に準備しておくことが、二次三次の被害を防ぎ市民生活の早期安定と産業の早期復旧につながることも、重要な教訓となっています。また、介護を要する高齢者、重度の障害者、障害児、乳児など援護を必要とする被災者への対応マニュアルも長期の課題にせず、早急に策定することも今回の災害での重要な教訓であります。

 そこで、知事ならびに関係部長にお尋ねします。

 

@アクションプログラム2年目に向けての基本的な考え方、位置づけはどうしていくのか。新年度予算に向けての基本的な考え方、全国的な被災の教訓を踏まえての見直しになどについて、知事にお尋ねします。

 

A地震対策だけではなく、集中豪雨などとの複合的な自然災害を予期しての被害想定づくりが必要ではないでしょうか。特に和歌山は平野部が河川の河口に広がり、軟弱地盤の地域が多く、河川の勾配も急峻となっています。断層の存在も数多く知られています。和歌山の地質、地形、地盤の調査、池、川があったところ、盛土地域など詳細な地盤の特徴を明らかにしておくことによって、将来おこりうる災害を予測することができます。地盤調査のとりくみはどうなっているのか。また、どのように活用されていこうとするのか。危機監理監にお尋ねします。<危機管理監>

 

B県の被災者支援制度の内容はどうなっているのか、お尋ねします。今年4月に被災者生活再建支援法が改正され、生活再建支援金として100万円限度が300万円に引き上げられました。住宅の解体撤去や整地費、生活必需品の購入費にあてられるということですが、住宅本体に対する支援がなく不十分なものとなっています。アクションプログラムには、迅速確実な県民生活の再建復興の推進がうたわれていますが、自治体独自の生活再建施策について検討が必要ではないでしょうか。また、被災した中小企業に対して、融資だけではなく直接補助を含めた総合的な支援対策も必要ではないでしょうか。すでに兵庫、福井などでは災害後、施策化がすすめられているところです。 被災者支援制度の確立が、県民生活や産業の再建復旧にとっても早道になると思われますが、いかがでしょうか。福祉保険部長と商工労働部長にそれぞれお尋ねします。<福祉保健部長、商工労働部長>

 

C高齢者、重度障害者など要援護者の救助、避難施設での生活支援、生活再建など対応できる準備は考えられているのでしょうか。アクションプログラムでは、一般的な避難所のありかたは短期に策定となっていますが、要援護者の保護体制は長期の課題となっています。災害時要援護者の把握と避難誘導も長期の課題となっています。避難施設でのサポート体制などの問題もあります。介護を要する高齢者、重度障害をもった皆さんとその家族の皆さんの不安に応えられるのでしょうか。

福祉保健部長よりお答えを願います。

 また、この問題では、地域の実情や援護を必要とする世帯を一番よく把握しているのは、地域の皆さんです。今、私の住む地域でも自主防災のための組織づくりに向けて、自治会役員の皆さんとも相談を重ねているところですが、なかなか苦労をしています。目のとどく範囲での組織づくりや日常的なとりくみについて、どうすればいいのか。地域まかせにせず、リーダーづくりを含めて行政からの働きかけも強めていただきたい。この点は要望しておきます。

 

3,雇用問題

 総務省が発表した労働力調査によると、10月の完全失業者数は311万人で、1年前に比べ32万人の減少となっています。完全失業者の減少は17カ月連続となっていますが、300万人台という失業者は10年前の約2倍で依然として高水準にあることにはかわりがありません。また、雇用者に占める非正規社員の割合は対前年比で増加傾向にあり、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員など非正規社員の雇用者全体に占める割合は31.5%にも及び、実に雇用者の3割が不安定雇用となっています。全国平均の有効求人倍率は0.88倍で、和歌山は0.72倍。前月よりも改善したものの、近畿では奈良より少し上回っているという状況で、雇用の確保に向けた取り組みは重要な課題であります。和歌山市内の大手の染色会社の倒産で50才代前半の男性が職を失い、失業保険が切れても就職口が見つからないという相談がありましたが、働きざかりでの失職は家族にとっても大変です。また、派遣労働者としてIT関連の職場に勤める28才の独身男性から、同じ職場で同じ仕事をしている常勤の社員から比べると収入が半分しかなく、将来のことを考えると転職すべきかどうか、正規社員の就職口があるのならと悩んでいるという相談もありました。若年労働者が安定した雇用につけるかどうかは、本人の生活設計のみではなく少子化がすすむ社会の中では社会問題でもあります。雇用問題の根本的な解決は、政府による長時間労働、サービス残業の規制や正規雇用を奨励する労働政策が求められていますが、また同時に、自治体の直接雇用、企業誘致、産業振興、教育・福祉、建設事業をはじめ官公需など自治体の政策によって新たな雇用を生み出し、県民所得の向上と安定に資することも重要なことであります。今般、期間と目標を定めた雇用創出計画が策定されたことは、雇用創出に向けた自治体の姿勢のあらわれとして評価できます。そこで、知事ならびに商工労働部長にお尋ねします。 

 

@今年度当初予算で、雇用を生み出す産業対策、雇用のセーフティネット、就職への環境づくりの3つを柱として99億円の雇用景気対策がまとめられています。この予算をベースにして今後4年間の新規の雇用創出を推計してプログラムが策定されているようであります。今年度は、前年度比11億3000万円ほど上回る予算を組んだということですが、新年度の雇用景気対策のとりくみに向けての知事の考え方について、お尋ねします。<知事答弁>

 

A雇用創出プログラム、和歌山ジョブ・クリエイションについて、お尋ねします。これはみたところ、県の今年度予算と事業により、新たな企業の立ち上げ、企業誘致、介護保険施設などの福祉事業の広がりなど新規の事業所の開設を中心に推計されているようですが、机上のプランに終わらせないためにどうするのか。進行管理とそのための組織、とりわけ産業界との連携のありかたなど、具体的にどのようにすすめていくのか。商工労働部長にお尋ねします。

 

B雇用のセーフティネット対策と位置づけて、13年度から国の緊急地域雇用創出特別交付金事業にとりくんできました。新年度での事業の継続を求めてきましたが、今年度をもって廃止されるということです。雇用のつなぎ効果を期待しての短期的雇用だということですが、緑の雇用事業をはじめとする各種の担い手育成事業、不法投棄対策、学校での非常勤講師の配置や就職アドバイザーなど適時必要な人的配置を要するタイムリーな事業を担ってきたと思います。どのように評価をしているのか。継続が必要な事業も当然あるとおもわれますが、今後の方針をどのように持っているのか。商工労働部長にお尋ねします。

<商工労働部長>

 

C若年者雇用の現状と今後の方針

 若年者雇用の問題は、若年者自身の問題のみにするのではなく、重大な社会問題との認識が必要だと思いますが、その点をどのように考えているのか。

これまでの若年者雇用の問題についてのとりくみはどうであったのか。どのような成果があったと考えているのか。ジョブカフェをはじめ各とりくみの利用者へのアンケート調査などフォロー追跡もしていくと議会で答弁されていましたが、どうようになっているのか。雇用創出プログラムにおいては、計画期間の19年度までの4年間で14年度の失業率12.3%を9.5%以下にする、と目標を設定していますが、今後のとりくみの方針をどのように持っているのか。商工労働部長からあわせて答弁願います。

<商工労働部長> 

 

4,貴志川線の鉄道存続について

 先月の29日、国土交通省近畿運輸局が鉄道事業法にもとづく南海電鉄の貴志川線廃止届に関する公衆の利便の確保についての意見聴取を行いました。 県・和歌山市・貴志川町と住民団体2団が利便の確保についての意見をのべましたが、いずれも鉄道存続を望み、鉄道の繰り上げ廃止を求める意見はありませんでした。あとは鉄道存続に向けての決断をくだすことと、関係者がどういう役割分担を果たしていくのか。鉄道として存続させうる需要をどう掘り起こしていくのか。という問題の解決と見通しをもつことであろうかと思われます。しかも、期限が切られている問題でもあります。

ところで、全国自治体・善政競争、善悪の善と政治の政と書いてあるので、いい政治と評価される競争だろうと理解しているわけですが、・その第2回の表彰がおこなわれたということです。1回目は本県も緑の雇用事業が表彰を受け、今回は高野・熊野の世界遺産の価値を伝え保全に取り組む高校生のとりくみが表彰されています。

 実は、この表彰の中に福井県の京福電鉄廃止後に第3セクターとして県と沿線自治体でえちぜん鉄道を立ち上げ運行再開した事業が地域共生型サービス企業として、鉄道の利便性や安全性を高め鉄道に対する地域住民の支持を得ているとして表彰されています。国土交通省運輸局のベストプラクティス集、鉄道を元気にする34の取り組み集の中で紹介されていますが、えちぜん鉄道は、一時廃線になっていた鉄道を第3セクター方式で再出発するにあたり、県が運行再開に必要な工事費及び今後10年間の設備投資費について負担をし、大規模改良についても県が助成をしたということです。再開にこぎつけた理由として、県が第3セクター化による鉄道線の存続に向けて主体的に働きかけ、それをうけた沿線市町村が財政面も含め積極的に関与を行ったことなど、関係自治体の支援の歩調が合わせられたことと紹介されています。

 貴志川線も県の主体的な働きかけと沿線市町村の協調で、地域住民の信頼と支持をえて、存続されることを願って質問します。

 

@国、県、和歌山市、貴志川町、南海電鉄との間で5者協議を行っていると聞きますが、協議の状況と今後のスケジュールをどう考えているのか。鉄道存続の意思表明、経営主体の決定、予算化などのプロセスが今後もとめられてきます。来年9月末までに間に合うのでしょうか。来年10月以降、交通手段の空白期間はつくることは許されない問題です。

<企画部長>

 

A新年度予算に向けてどういう考えをもっているのか。この際、鉄道インフラ部分を県で引き受ける考えはないのか。14年4月、国土交通省鉄道局長の行政運営上の検討会として、「地方鉄道問題に関する検討会」が発足し、翌15年3月に報告書がとりまとめられています。そのなかで、「今後の地方鉄道のありかたとして、地方鉄道は地域の基礎的な社会的インフラであり、地域が一丸となって支えるという視点が極めて重要」という考え方が打ち出され、「鉄道事業者自身が自立的な経営を目指すという観点と地方鉄道を維持していくためには公的負担が不可欠とする観点を両立していく必要がある」としています。地方自治体が鉄道を維持、整備することにかかわっては、「保有と運行の分離、基金の積み増し、増資、固定資産税の減免、設備投資の事業者負担分の負担、鉄道維持費補助、欠損補助など様々な形態が考えられる」としています。鉄道資産を長期に安定的に保有し運行の安全性を確保する点からも、道路と同じように社会的インフラという観点からみても鉄道資産を自治体が保有する意味はあると思われます。実際に、青森県は、東北新幹線並行によってJRが手放した在来線、駅数7、路線延長約26キロメートル、輸送人員年間約84万人の鉄道資産を保有し、青い森鉄道として沿線自治体と第3セクターを設立して、現在、鉄道事業を行っています。青森県は鉄道事業者が赤字にならぬよう線路使用料を減免して、収支の均衡を保っているようであります。<企画部長>

 

B鉄道存続と同時に鉄道を生かした町づくり計画の策定や駅周辺の整備など貴志川線の利便性を高める計画づくりも必要ではないか、ということです。

 貴志川線問題を鉄道の維持整備という観点だけではなく、町づくりや地域づくりの観点から地方鉄道の輸送需要に結びつく施策を講じることが必要です。これは市町村が主体となる問題ですが、和歌山市内の貴志川線、JR和歌山線には駐輪場が整備されておらず、周辺の住宅地と駅とが有機的に結びついていないという問題も市民のかたから指摘されているところです。鉄道を生かした町づくりの課題について、県としての見解をお尋ねしておきたいと思います。<企画部長>

 


村岡キミ子議員の質問

1、介護保険制度の見直しについて
2、重症心身障害児(者)問題について
3、在宅難病患者のショートステイについて


1、介護保険制度の見直しについて

 介護保険制度が始まって五年目を迎え、来年の四月が見直しの時期です。

 政府は今、大幅な制度の見直しを行い、来年の通常国会に法案を提出する予定です。そのため、検討が行われているところです。将来にわたる財源確保として、保険料の徴収を現行の四十歳以上を二十歳以上に見直すことや、サービス利用負担率を現行一割を二割から三割に引き上げる。さらに、「要支援」「要介護一」の高齢者は、介護保険制度から外すことの検討、その上、特養ホーム利用に新たにホテルコストという家賃や水光熱費を保険外負担として徴収することも検討されていると聞きます。

 こうした検討見直しは、高齢者のサービス利用制限と国民負担をいっそう増やすこととなります。結果として国の介護への財政支出を抑えるための制度見直しであることがよくわかります。大改悪と言わざるをえません。

今般の介護保険見直しは、単なる介護をめぐる問題のみならず、「聖域なき構造改革」を進める上で高齢者の生存権をも蹂躙する内容を含んでいると思えてなりません。今後の社会保障制度に大きく影響するだろうことを大変危惧するものです。

検討中ということで、詳細が分からない今日ですが、この五年間、保険制度にどのような問題点が発生しているのかを、私なりに利用者をはじめ、施設や事業所、ケアマネージャー、ヘルパーのみなさんに、見直しに対するご意見等を聞いて参りました。

日夜、施設で在宅介護でご苦労されている方々の思いや、悩みが見直しに反映できることと、より安心できる介護制度になることを願って、質問させていただきます。

本県の六十五歳以上の人口は二四五,三二一人、高齢化率は平成十五年度が二二・五%、十六年度二三%と推計しています。要介護認定者は四五,三五二人。介護認定は受けたものの、介護サービスを利用していない高齢者もおられますが、ほとんどの方が施設、在宅サービスを利用しています。独居、老夫婦世帯が増えていることと、老老介護も多い現状です。介護保険料徴収は、四十歳以上の全ての人から、介護給付対象となる六十五歳以上の年金受給者は年金から、自動的に差し引かれます。

国民年金の最高支給額は月六万六〇〇〇円ですが、高齢者の多くは平均月四七,〇〇〇円の年金受給額であって、無年金者の数も無視することは出来ません。保険料の天引きは、日常の生活に重くのしかかっています。加えて、介護サービスの利用料の一割負担についても、在宅利用ではデイサービスやホームヘルパーサービスをけずる人や、利用したいが金がないからとけずる人が増えているといいます。

県下の市町村では、財政困難でも低所得者への単独減免制度を進めて喜ばれているようです。全国でも三二〇〇余の自治体の四分の一の自治体が減免制度を実施し、さらに広がりを見せておりますが、本県は本年六月四日現在、保険料の減免で十三市町、利用料では十六市町、社会福祉法人等の利用料減免を三十五市町村が行っている。国は全額免除、資産状況を一律に減免してはならない、一般財源の繰り入れはしてはならないと縛りを強めて、自治体の独自性が抑制されている。

国の減免制度は、「災害・病気などの収入の激減など特別な理由に限って」と限定しています。六十五歳以上の保険料は五段階の定額制ですから、所得の少ない人ほど負担が重い仕組みになっています。これを廃止して、所得に応じた定率性に改めるべきではないでしょうか。国の制度として、低所得者への減免制度がない。ここに欠陥があるのではないでしょうか。減免制度の創設を重ねて求めるものです。所見をうかがいたい。

次に、国はサービス利用が「かえって本人の能力実現を妨げている」といって、「要支援」「要介護一」の高齢者を、保険から切り捨てようとしています。本当にそうなのでしょうか。現場に聞きますと、「ちゃんと介護を受けている人の方が状態は悪化しない」といいます。デイサービスでの人との交流や入浴などによって、また施設においても同様、症状が悪くなる人は少ないと聞きます。県下には、要支援、介護一と認定された高齢者は、三万三一五八人おられますが、外されますと、施設を退所しなければならなくなる人も出てきます。中には行くあてもない高齢者も出てくるでしょう。そういう高齢者を路上に放置するのでしょうか。こんなことは絶対許されないことです。介護保険制度の導入以前から入所している自立、要支援高齢者の継続入所の廃止などあってはなりません。

介護保険から切り捨て、新介護予防につなげる保障が確実にあるのでしょうか。これまで福祉予算であった介護予防、地域支えあい事業をそっくり介護保険に移動させる、これはまさに国の財政支出を縮小させるねらいそのものではありませんか。より安心の介護保険でサービスを保障することに力を注いでほしいと思います。必要とするサービス利用によって、高齢者の能力は花開くと私は考えるものです。現行の継続を願うものです。いかがでしょうか。

次に特養ホームの入所希望待機者が全国で三十二万人、本県で約一九〇〇人です。介護保険導入時では、約七〇〇人でしたが、この六月では三倍近く増えています。本県では、特養ホームなどを設置したいと希望が多いと聞きます。「わかやま長寿プラン二〇〇三」によりますと、平成十五年から五年間で、六四四床整備することになっています。これでは約一九〇〇人の待機者の大半は、五年経っても入所できないことになります。国の補助金も減額されているところですが、国への働きかけを強めて、整備においては国の財政支援を元に戻させることが必要です。

何といっても特養ホームは、在宅で生活する高齢者や介護を支える家族にとっては、いざという時の支えです。ショートステイの増設によって、待機者や家族へのサービスを考えることも大切ではないでしょうか。一年、二年もの待機は異常です。あわせて、特養ホーム利用者のホテルコストなどは、新たな負担増となるものです。低い年金生活者にとっては、入所できない施設となってしまいます。ホテルコスト導入によって、特養ホームでは、月額三万から八万円の値上げ、相部屋で八万七〇〇〇円、個室で十三万四〇〇〇円にするという資産さえ出ていますことから、とうてい認められません。整備計画の進捗状況と考え方についてお聞かせ願います。

次に、その利用者一人ひとりに必要なケアプランをと苦労されているケアマネージャーの問題です。ケアマネージャーの仕事を聞いてみました。

一人の利用者と面接するには、家を訪問して家族とも会い、生活環境、住居の状況、周辺の状況などをも調査しながら、サービスの希望を聞きながらケアプランをつくる。それを利用者と家族に説明し、合意がえられたら、それぞれにサービス事業所に連絡をする。その間、事業所、行政関係、医療機関との連絡調整などなど、大変な労働ですが、みんなクタクタになっても頑張っていると聞きました。

利用者からのサービスの変更、苦情、相談などにも対応しなくてはなりません。記録、書類作成など、超多忙としかいいようがないと、疲れた身体で、私の尋ねることに答えていただきました。

最近は、この労働に耐えられず、体調をくずして退職する人が後を絶たないため、技術や経験の蓄積がないと嘆いておられました。国の標準は、ケアマネージャー一人の担当件数は五十件と言われているが、とても無理。机上のプランなら可能だろうが、どんなに頑張っても三十〜三十五人が限度だろう。是非、専門職として研修、研究を積み重ね、利用者の立場で作り上げるケアプランの充実を願っている。労働時間問題や労働条件の改善も山ほどあるとも語っていました。所見をうかがいたい。

次に、いま見直し検討が行われている内容は、利用者や国民や自治体に負担増を押し付けることばかりです。国は制度導入の時、介護施策にそれまでの五〇%の国庫負担を二五%に引き下げました。ここに保険料・利用料の高い原因が発生しているのです。高齢者の人権尊重を重視し、安心して豊かなくらしを保障したいと心から願うものです。医療・福祉は金のある無しによってその利用を左右されてはなりません。これは、社会保障の原則ではないでしょうか。

国庫負担を五〇%にもどすことは当然ですが、当面三〇%に引き上げることです。このことは、全国市長会、町村会の繰り返しての要望です。是非とも見直しの意見として、国に積極的に働きかけていただきたい。いかがでしょうか。

県は、高齢者の意識調査なるものを平成十四年に実施されていますが、介護保険に関する的確な調査にはなっていません。利用者、家族、事業所、施設、医療機関、市町村などの意見をあらためて把握する調査を行い、国に伝えることを求めたい。いかがでしょうか。

以上、六点について福祉保健部長の率直なご意見、ご所見をお聞かせください。

 

 

2、重症心身障害児(者)問題について

 次に重症心身障害児(者)問題について伺います。

 十二月三日から九日の障害者週間にちなんで、NHK教育テレビは、四日、六日、八日の夜八時から生放送でおくる特別番組を放映、特に四日は三時間に及ぶものでした。スタジオに障害がある子どもと親をむかえて、成長する姿や、障害をもちながらも、自ら積極的に夢を実現するために努力する姿、会社人間だった父さんがダウン症児と共に、また父親同士が交流を深めながら、明るく育ちあう姿、難聴の青年たちが週末ライブを開き大人気、またパラリンピックで金メダルにかがやいた障害者の姿などを見ていて、心温まる思いでした。障害者への理解を一層深める番組でもありました。

 九日昼十二時三十分から三十分間、、県庁玄関前広場では、あすなろ楽団三川小学校ジョイント演奏会がおこなわれました。演奏されたのは、大塔村三川小学校児童と知的障害者更生施設やグループホームやまびこの施設利用者の皆さんでした。十年間の交流から、お互い信頼関係が生まれる中で、合同練習が重ねられてきたのでありましょう。障害者の全身からの演奏で、私もいつの間にか引き込まれてリズムをとっていました。明るく楽しいひと時でした。これからも楽しく演奏を続けてほしいと思います。

 私は先日、重症障害児(者)を介護している二人のお母さんから、ショートステイ(短期入所)を申し込んでも拒否されて困っている、どうしたら良いかと、相談を受けました。

 一人の障害者は、十九歳、女性、病名は不明です。身障一級の手帳療育手帳。二歳の頃、それまでしっかり歩いていたが、急にフラフラ歩くようになり、四つんばいになった後、歩けなくなった。大きな病院で様々な検査をするも診断がつかず、医師からは銅代謝異常かなと言われた。この時から全く寝たきりになり、人工呼吸器装着、食事は経管栄養。二十四時間全面介助が必要、四肢麻痺、しゃべれない。語りかけると目を向ける。教育は紀北養護学校で訪問教育を受けながら、高等部を卒業。

現在、通園施設あゆみの園に週三回、午前十時から午後三時まで。そして週一回は、海南の通園施設のサービスを利用しています。訪問入浴週二回、医療は四週間に一回、投薬。

七年前、介護している母親が、がく関節症で手術をしなければならなくなったが、ちょうど施設に体験入所のため、母子入院した時であり、痛みはがまんしていたが、症状がひどくなったので、ショートステイを申し込んだが断られた。当時の国立和歌山病院(美浜町)に受け入れてもらったが、子どもの状態が悪くなり、母親はやむなく術後五日目に退院せざるをえなかった。

最近でも、母親の都合で三日ほど施設に短期入所を申し込んだが、再び断られた。その理由は、@人工呼吸器を装着している、A夜間の看護体制がとれない、B気管吸引のある人もダメ、多動児はダメということでした。

もう一人の障害者、二十二歳、男性、病名、低酸素脳症、四肢麻痺、身障一級、療育手帳、障害年金受給。在宅酸素療法、てんかん発作が時々あります。

六歳の時、えびせんをのどに詰まらせて、すぐ病院に行ったが、呼吸不全となり、そのまま障害者となる。二十四時間全面介助、食事は経管栄養、しゃべれない、言語をかけると声の方を見る。

教育は紀北養護学校の訪問教育を受けながら、高等部卒業。寝たきりの子どもに教育なんて、と思っていたが、養護学校の先生方の色々な話を聞く中で、その必要性を知り、訪問教育を受けるようになった。

現在、二週間に一回、外来病院、てんかん発作予防薬服用、訪問看護週二回、訪問介護週 回、訪問入浴週 回。結婚式のため東京までいくため、ショートステイを申し込んだが、酸素吸入しているため断られた。仕方なく妹に無理して来てもらった。朝一番の新幹線で行き、式終了後すぐ新幹線にとびのる。とんぼ返りという実態です。

このお母さんは、あずける施設がないから、病気にもなれないと訴えていました。また、あずけるところがないと、「アー、自分がこんなにしてしまった。自分に責任があるんだ」と自己嫌悪に陥ってしまう。だから、自分がダメになった時、最終的に助けてほしいのですと。その切実さを私はしっかり受けとめたいと思います。

この二人のお母さんだけの問題ではないと思うのです。在宅で二十四時間、一生懸命介護を続ける家族に、「施設はあります」と言うだけで、問題解決するのでしょうか。福祉保健部長にお願いします。

県下に重症心身障害児者は何人ですか。

施設入所者と在宅人数はどうですか。そして在宅者のショートステイ施設は何ヶ所あるのでしょうか。お聞かせください。

入所施設が整備されていることは大変うれしいことですが、申し上げた事象の問題をどう改善するのか。ご存知のように、短期入所施設は病気などで介護できない時、リフレッシュするための旅行、葬式、結婚式など私的・社会的理由での利用も可能となっているのですから、施設側の受け入れるための体制づくりが急がれるべきではないのでしょうか。

特に人工呼吸器や酸素吸入、吸引器使用者のための専門知識や技術の研修による人材育成がどうしても必要と考えます。そのための財政支援をおしむべきではありません。いかがでしょうか。どのような対策を考えておられるのでしょうか。お聞かせ願います。


3、在宅難病患者のショートステイについて

受け入れ施設や利用状況はどうなっていますか。難病といっても、一二一疾患と多く、介護保険法や身体障害者福祉法、また老人福祉法などによるショートステイ事業との関係はどうなるのでしょうか。

以上四点について、福祉保健部長の答弁を求めます。