2005年2月議会(3月9日)

藤井健太郎君

本日最後の質問者でございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして質問をさせていただきます。

まず、知事の所信と新年度予算についてお尋ねをいたします。新年度予算は、地方六団体と中央省庁の激しいやりとりを経て昨年暮れに合意をされました三位一体改革についての全体像に基づく当初予算となります。合意された内容は、地方自治体側から見ると、決して満足のいく内容ではなかったと思います。地方分権の目指すところは、国の補助事業のフレームではなく、地域の特性に応じた主体的な事業を可能とする権限と税財源の移譲にあったわけですが、改革された中心は、義務教育費や国民健康保険負担金など地方目冶体にとっては自主性や裁量性を大きく発揮できる分野ではなく、さらに生活保護や児童扶養手当など義務的経費となる国庫負担金の縮減が予定されていること、国庫補助負担金の廃止・縮減額約四兆円に対して、税源移譲はおおむね三兆円規模を目指すとされましたが実際的にはそれ以上の乖離があることや、地方の固有財源でもある地方交付税も縮減を進める方向となっていることなど、決してこれで終わりにしてはならない内容のものとなっています。

一方、地方交付税の余りにもの削減に対する自冶体側の批判もあり、新年度は地方が必要とする一般財源総額は確保するとされました。全国ベースで見ると、税、地方交付税、臨時財政対策債の一般財源額合計は前年度比プラス○・一%で、昨年大幅削減された水準ではありますが、前年度並みに確保されることとなりました。
 本県の新年度予算を見てみますと、財政規模は五千二百五十八億円で、昨年度比マイナス二・五%、百三十六億円の減額予算となっています。三位一体の関連では、義務教育費の国庫負担金四十六億七千五百万円の減額分については税源移譲予定特例交付金で全額措置されていますが、国民健康保険や公営住宅家賃対策への補助金については所得譲与税で全額措置されてはいないようです。
 県税、地方交付税、臨時財政対策債の一般財源合計額でも前年度比四十三億円の減額となっており、国の言う一般財源の必要額が確保されていると言えるのかどうか疑問が残るところでもあります。

歳出では、投資的経費はマイナス六・七%、八十四億円の減、人件費では職員定数や給与の削減、退職手当の見直しで四十八億円の減、市町村や市民団体向けの県単独補助金の廃止・縮減が百八十一件で十三億三千七百万円の減。それでもなお財源不足となる百九億円については県債管理基金からの繰り入れとなっています。

昨年の十月に策定されました財政改革プログラムどおりの調整額となっているわけですが、プログラムどおりだとすれば十八年度で財政調整に使える基金が枯渇することになります。限りある財源の一層の有効活用が求められているわけですが、新年度の予算とその執行に当たっては重要な年度と言えます。

また、国の税制や社会保障に対する動向が県経済や県民生活に与える影響も無視できないものがあると思います。そういった動向を斟酌して、県民生活や地域産業を支え励ましていく予算であってほしいと願うものです。

そこで、知事ならびに関係部長にお尋ねをいたします。
 一点目は、本県経済の見通しについてです。国の新年度予算編成の基本方針が昨年十二月に閣議決定され、十七年度の経済見通しについては、雇用、所得環境の改善により引き続き民間需要中心の穏やかな回復を続けると言われています。なかなか地域では実感しにくいところですが、本県ではどのような見通しとなるのでしょうか。県内総生産、消費動向、事業所数、雇用や県民所得など、経済動向を示す各指標がありますけども、知事としては新年度の経済見通しをどのように持たれているのか。また、提案されております新年度予算が県経済や県民生活に与える影響をどのように考えておられるのかをお尋ねいたします。

二点目に、国の税制や社会保障に対する政策が家計や県内経済にどう影響してくるのかという問題です。ことし二月に、「もらう年金は減っているのに今まで引かれなかった税金が引かれている。間違いではないか」、こういう相談が幾つか寄せられました。ことしの一月から六十五歳以上の年金所得控除の縮小と老年者控除の廃止が行われました。四月には国民年金保険料、雇用保険料の引き上げ、九月には厚生年金保険料の引き上げが既に決められています。

衆議院を通過した十七年度の国の予算では、四月から国立大学授業料の値上げ、十月から介護保険施設入所者の自己負担の引き上げ、来年一月からは所得税の定率減税の半減などが盛り込まれており、今後の国会の審議の行方にもよりますが、税や社会保険の国民負担が相次いでふえることになります。生活保護世帯も、高齢者、母子家庭の加算が削減されるなど、すべての階層にわたって国民負担がふえ、生活費の切り下げにつながることとなり、金融・証券会社などの民間シンクタンクでも、家計消費への悪影響がひいては個人消費回復の腰を折りかねないと懸念する声が出ております。とりわけ、所得の低い人ほど負担率が高くなり、厳しい状況が予測されるわけですが、知事は県民生活や県経済に与える影響をどのように考えておられるのか。本会議でも弱者に優しい県政を目指すことを県政の一つの柱としていると言われておりましたが、県としての対応を何か考えておられるのか、お尋ねをいたします。

三点目に、社会保障アクションプランと新年度予算についてお尋ねをいたします。昨年十月に策定された財政改革プログラムにおいて、福祉・医療等社会保障関係経費の抑制という項目が設けられています。そこには、社会保障アクションプランの策定を通じ、受益と負担の適正化や重点施策を展開することで経費の増如を抑制し、制度の安定化を図るとされておりますが、知事の所信では、この点については触れられていませんでした。福祉・医療・介護など社会保障に要する費用は、人口の高齢化とともに増大傾向にあります。制度を維持していくためにはそれなりの費用がかかるわけですが、だれがどのようにその費用を負担していくのかが問題です。近年、年金・医療・介護・障害者福祉など社会保障制度全般にわたっての見直しが進められ、構造改革の名のもとに自立・自助を基調とする制度へ、受益者負担の名のもとに市民負担の増大へとシフトされてきています。
 しかし、幾ら目立を叫んでみても、援護を必要とする人が社会に一人放置されていたのでは自立もできません。

精神疾患を患い長期の入院生活を余儀なくされていた人で、今では結婚して地域で自立した生活を送っている人から直接体験談を聞く機会がありました。医師や椙談員の勧めで地域で共同生活を営む機会を得て、外来通院を続けながら同じ病気を患う仲間や施設のスタッフと就労の場をつくり、今では伴侶とともに社会生活が送れるようになって、自分もできるんだ、こういう自信を持つことができたと話されていました。本人の努力ももちろんのことですが、施設のスタッフを初め、関係者の並々ならぬ努力と熱意、仕事を発注してくれた事業所や近隣住民の協カ、それに何といっても行政の財政的支援と社会保障の制度があって可能となったのです。

常時の介護を必要とする寝たきりや認知症のお年寄りの皆さん、重度の障害がある人に自立を求めることは困難な話です。また、社会保障制度があっても費用負担ができなければ利用できないことや、今ある制度の枠内ではその人の求めに応じられないこともあります。社会保障は、いつでもどこでもだれでもが人間らしく生活するために必要とする人が必要な支援を受けられる、県民の文化的な生存権がきちんと保障される、そういう制度であってほしいと願うものであります。

そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
  一つは、社会保障アクションプランに盛り込もうとする県の社会保障に対する理念はどういうものなのか、お答えをください。

二つ目に、新年度予算は包括予算制度として部の予算枠の中で編成されていると聞いています。福祉保健部に係る十六年度の当初予算は五百一億一千六百万円でした。十七年度当初は国民健康保険関係の国庫負担分が加わっておりますので、六十億八千万ほどを除きますと四百八十四億三百万円、前年度当初費でマイナス三・五%、十七億円ほど滅額予算になっています。予算の総額が縮小されるもとで選択と集中の結果、重点化された事業は何なのか。一方では、縮小または廃止された事業にはどのようなものがあるのか。そして、その理由は何か。特徴的な事業についてお答えを願います。

四点目に、公共事業と新年度予算についてお尋ねをいたします。予算編成方針では、公共事業、県単独投資についてはおおむね六%の削減が掲げられていましたが、予算では投資的経費が前年度当初比マイナス六・七%で八十四億円の減額、補助事業でマイナス一〇%の七十五億円、県の単独事業でマイナス六・九%の二十一億円の減額となっていますが、国の直轄事業負担金では一・一%増、十二億円の増額となっています。これまで公共事業のあり方についての意見として、国直轄事業についても必要性や金額などを精査し国に意見を言っていくこと、県工事の市町村負担金の徴収については、少なくとも県土保全や災害復旧工事などは市町村の地勢が異なることや財政力の違いなどから負担を求めるべきではないと申し上げてきました。また、建設しようとする施設の社会的必要性や投資効果、需要に見合った規模となっているか、過大な投資になってはいないかといった観点からも意見を申し上げてまいりました。リゾート法やバブル経済とその後の経済対策などで起債に頼った公共事業が起債残高を膨らませ、財政の硬直化を招いてきたことは周知のとおりであります。

今後は、高齢化社会を迎える中で、福祉や教育、環境、都市基盤整備など、より住民生活に密着した公共事業への転換が求められていると思うところです。また、近年の豪雨・台風災害に備えた河川の浚渫、道路・堤防や砂防設備の修繕、森林環境の保全など、治山冶水対策や公共施設の耐震化、維持・補修などがより一層求められてくると思われます。三位一体改革による国庫補助金のスリム化で河川、堰堤、砂防、地すべり防止施設などの修繕費が廃止をされ、地方単独事業とされてきていることから的確な財源確保も必要となってきます。そこで、関係部長にお尋ねをいたします。

一つは、昨年は全国的に台風上陸や集中豪雨などの災害が多発した年でもありました。河川整備の緊急性も明らかとなりました。新年度予算で土砂対策、河川対策、堤防補強や河川の改修・浚渫など、災害予防と対策という点での予算は強化されているのでしょうか。どの程度前進をしているのか、ハード面・ソフト面でどうなっているのか、県土整備部長からお答えをください。

二つ目は、公共施設の長命化計画についてです。戦後の復興期と経済の高度成長時代を通じて建設されました施設が耐用年数を迎えようとしております。施設の老朽化に対する対応と耐震化への対応が同時に求められているわけですが、耐震化改修よりも建てかえた方が経済的という施設もあるのではないかと思われます。今回、公共施設の長命化計画を策定するとされていますが、その目的と内容はどういうものなのか。また、新年度予算では道路構造物長命化として橋梁についての予算が組まれています。震災対策としての落橋防止策も一方では進められていますが、橋梁の長命化計画の内容はどういうものなのか。投資に対してどういう効果が期待できるのか。これも県土整備部長よりお答えをください。

三つ目に、大規模事業費の抑制についてです。予算編成要領で大規模施設整備の抑制が掲げられ、総事業費五億円以上の事業については検証する、着手済みの事業についても先送り、規模の見直し、事業費の縮減を検討する、構想中については新規着工を凍結すると、このように書かれてありましたが、今回の予算編成作業の中でどういう事業がこれに該当し、どのような見直しがされたのでしょうか。総務部長よりお答えを願います。

四つ目に、南分庁舎の建設規模についてです。これは防災センターの整備として、十九年春のオープンを目指して建設されることになりました。延べ床面積一万二千平米中、防災センター部分が四千六百平米、海草振興局、教育委員会、県土整備部が入居する庁舎部分が七千四百平米の予定で、建設費は約四十五億五千万円、十七年度以降二年間の債務負担行為となっております。現在の本館・東別館とも、職場環境としては手狭であります。廊下にはロッカーが並べられ、危険な状況にもあります。確かに分庁舎建設により職場環境の改善が図られることになりますが、それでも適正規模の建設が求められています。建設の規模について、五億円以上の事業については検証する、このようにあるわけですが、どのように検証されてきたのでしょうか。これも総務部長の答弁を願います。

新年度予算についての最後の質問として、コスモパーク加太用地についてお尋ねをいたします。県は、コスモパーク加太の開発公社所有地の一部百八ヘクタールを公社から賃借し、構造改革特別区域計画に基づき整備をする。そしてカゴメの誘致、防災用地、企業立地用地として活用するとされました。
 県は平成三十六年一月末まで開発公社から賃借し、公社はその後四十五年までに売却して債務返済に充てるということになっています。公社は今後二十年間、県から入る賃借料を原資として金融機関に六十五億円余の元金返済と利子払いをするわけですが、県は今後二十年間で百二十二億円三千百万円の賃借料を開発公社に払う。これは債務負担行為として予算化がされております。新年度、県が開発公社に支払う賃借料は幾らになるのでしょうか。また、カゴメに転貸している貸地料収入は幾らになるのでしょうか。百八ヘクタールのうちカゴメに転貸するのは三十七ヘクタールです。道路等の供用部分を除いて有効活用面積がかなり残されております。県が負担をする賃借料から見ても有効活用が求められているところですが、防災用地、企業誘致用地ということで既に位置づけはされておりますが、具体的な活用方針についてはどのように検討されていくのでしょうか。これは企画部長から答弁をお願いいたします。

次に、県立医科大学の独立行政法人化についてお尋ねをいたします。山本学長が、けさ退官をされたそうです。新任の学長はあすから就任されるということですので、法人設立者となる県当局に対しての質問を行います。
 地方独立行政法人法が平成十五年七月に成立し、十六年四月一日に施行されております。地方独立行政法人は、地方自冶体の判断で自冶体がみずから住民に提供している公的サービス部門を分離し、新たに設立する法人に運営を移譲するものです。
 法人の定款を議会の議決で定め、県が五〇%以上の出資をして設立し、知事任命の第三者による評価委員会が中期目標に基づく中期計画や年度計画の達成状況をチェックすることになり、知事は設立されました法人の理事長を任命し、法人の運営や予算面で引き続き権限を持つこととなります。独立行政法人に移行された職員の身分は非公務員となり、今の官庁会計から大学、附属腐院とも企業会計原則が導入され、県からの財源措置としては運宮費交付金が渡し切りで交付されることとなります。県は十六年度中に県立医科大学法人化基本計画を策定し、十八年四月一日からの法人化を目指すとしていますが、独立行政法人化によって医科大学と附属病院がどのようになるのか。

県内唯一の医科大学とその附属病院であり、医療人養成のための教育、医学医療の研究、病院での臨床医療、また県内の地域医療に果たす役割など、極めて大きいものがありますし、県民や医療関係者の期待も大きいものがあります。しかし一方では、独立行政法人化に向けての論点については広く知らされていないように思いますし、法人化に向けての県民の意見の反映も必要ではないかと思うところです。そこで、私なりの思いを述べさしていただきまして、知事ならびに関係部長にお尋ねをいたします。

一点目は、改革すべき問題点とは何かということです。今回の県立医大の独立行政法人化は、医科大学の改革を進める手法としての独立行政法人化と説明されています。何が問題点として整理をされていて、何をどのように改革していこうとしているのか。それは独立行政法人化しないと解決されない問題なのでしょうか。県民の皆さんからは、県立医大については、医療事故、院内感染問題など医療の安全・安心の問題、小児救急を初め救急医療や感染症への対応、新たな診療科目、専門医の設置、県内で働く医師の養成や県内医療機関への医師派遣、また教授への権限集中による内部組織の不透明さ、医師・看護職員の長時問労働など、こういった問題が解決してほしい問題として意見が寄せられております。
 このような問題は独立行政法人じゃなくとも解決しなくてはならない、こういう問題だと思うところですが、改革したいとするテーマは何なのか。独立行政法人でないと解決できないのでしょうか。設立者となる知事にお尋ねをいたします。

 二点目に、平成十五年七月に地方独立行政法人法が成立をしておりますが、その際、国会の衆参両院で、法人設立に当たり設立者として配慮すべき問題として附帯決議がされております。法人化に当たっての雇用問題、労働条件への配慮や職員団体との十分な意思疎通を図ること、法人の業務の自主的評価については財政面のみでなく社会的評価の観点からも行うこと、学問の自由、大学の自冶を損なうことなく・大学の自主性・自律性が最大限発揮できることなど、重要な内容があると思われますが、どのように受けとめて対応されようとしているのか。

三点目に、議会、住民のチェック機能についてどうなるのか、お尋ねいたします。法人の運営については、六年間の中期目標を知事が定め、議会の議決を経るようになっていますが、中期目標に基づく中期計画や年度計画についての審議は知事が任命する評価委員会が行い、評価委員会の評価や意見をつけ公表し、議会には報告することとなっています。これまで、議会ごとに医大の当局者が出席をされて事業報告や予算についての審議がされ、住民サイドからの意見・要望を反映することができました。中期計画、年度計画や事業運営について、議会、住民からの声はどのように反映されることになるのか。法人化されても医大の持つ公共性・公益性、県民の医療や公衆衛生に対する役割を発揮させていくためにも議会や住民の声が随時反映できる仕組みが必要ではないかと思われますが、どのように考えておられるのか。

四点目に、運営費交付金の基準についてです。法人の業務の財源に充てるため、県から運営費交付金が法人に交付をされます。使途は限定されておらず、一般財源として自由に使えることになっていますが、独立行政法人法では交付できるという規定になっています。総務省の見解として、設立団体が必要と認める額を交付するのが基本で、基準も設立団体が考えることとされています。既に先行している国の独立行政法人では経費の一〇%から二〇%の削減が迫られ、国立大学法人についても毎年度削減するとして、東大学長初め大学関係者から批判の声が上がりました。最少の経費で最大の効果を追求するのは行政組織の当然の問題でもありますが、一方的に削減を進めることには問題が生じてきます。大学の教育・研究など、学問の自由と自冶を保障し、医療・医学研究のすそ野を広げていくことが県の医療・保健衛生の向上にもつながってくると思われます。住民のための病気予防や健康増進などの事業の拡充も求められています。県内唯一の医科大学と附属病院の持つ公共的な責任を果たしていけるような財源措置が必要であると思いますが、運宮費交付金の考え方についてお尋ねをいたします。

五点目は、情報公開についてです。現在、医科大学と附属席院は知事部局に属し、情報公開条例の実施機関となっています。それが法人化をされますと、実施機関から外れることになるのではないでしょうか。地方独立行政法人法では、その組織及び運営の状況を住民に明らかにするように努めなければならないと、情報公開については努力規定にとどまっております。法人を県の情報公開条例の実施機関に加えるか、また新たな条例の制定をして独立行政法人となった県立医科大学の運宮については透明性を確保する、そういう手だてが必要ではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。

以上、二点目から五点目までは総務部長からまとめて答弁を願います。

最後に、県内医療機関への医師派遣問題について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
  新年度にドクターバンクを新規事業として設置する予算、四百五十三万一干円が計上されております。また、従来から無医地区などへの医師確保の手だてとして、自治医科大学への運宮費交付金一億二千七百万円も計上されています。県内の公立病院、僻地診療所、医師の確保状況、充足状況は現在どのようになっているのでしょうか。今回のドクターバンク事業の目的、内容は何か、どこまで解決するのかをお尋ねいたします。また、医大の独立行政法人化と医師派遣の問題はどのように協議されていくのでしょうか。県立医科大学は県内唯一の医科大学でもあります。県内への医師派遺にも、医師の養成も含めて大きく貢献することが求められているわけですが、独立行政法人化になりますと、医師も非公務員となります。現在、公務員の兼業禁止の原則の中で要綱を定めて県内の要請があった各医療機関には行っておられるわけですが、今まで以上に自由に活動できることになるわけです。医師派遣を希望する自冶体関係者は大変な苦労をされて医大の各科教室の教授へ依頼をするという構図が現在あるわけですが、それは今までと変わらないのでしょうか。県当局として県内の医師確保について法人となる医大に対してどのように働きかけをしていくのか、この問題をお尋ねいたしまして私の第一問といたします。

○副議長(向井嘉久藏君)
 ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。知事木村良樹君。

○知事(木村良樹君)
 まず、県経済の見通しと新年度予算についてどういうふうに考えるかということでございます。日本の国全体は、いろいろな意見はありますけども、今年度の後半からまた景気がちょっと持ち直してくるというようなことで緩やかな経済成長を続けているということなんですけども、和歌山県についていえば、そういうふうな大きな流れの中にあることは間違いないんですが、やはり光の当たるところと影になっているところがあって、影になっている部分が都会地よりは非常に多いというふうな状況だろうと思っております。そういうふうな中で多くの税収が見込めないということがあるわけですが、何とか新年度の予算ではいろいろ行政の合理化ー人件費でありますとか、定数削減でありますとか、そういうことを行って財源を生み出しつつ元気が出るような施策ー中小企業の振興というふうなこと、それからまた先ほど御質問にもありました弱者対策、そういうふうなところに意を用いて予算編成を行ったところでございます。

また、国の政策動向と県民生活のかかわりということでございますけども、今、国の方も、年金問題にしても、それから国民医療の問題にしても、介護保険の問題にしても、すべて大きな制度的な曲がり角に来ていると。そういうふうな中で、とりあえず弥縫(びほう)策的に税制の改正とか、いろんなことで国民の負担がある程度ふえていくような形が出てきているということだろうと思います。一方では、景気を減速させないためにいろんな配慮をしながらー景気が若干回復してきたんで、そういうふうな中で財政の改善ということをねらっているというふうなことだろうと思いますけども、これはこれで、高齢化社会が進んでいく中でやむを得ない選択だろうと思いますけど、そういう中で特に県民の中で弱い立場にある人なんかが厳しい状況に置かれないように、県としては弱者に優しい県政といいますか、そういうものに少しでも配慮していきたいと、このように考えている次第です。

それから、最後に医大の独立行政法人化ということについてどういうふうに考えているのかということですけども、これについては、医大のあり方懇談会というのがありまして、そこで独立行政法人化を進める方がいいというふうな御意見をいただいているところでございます。基本的な考え方としては、やはりこういうふうな時代にはみずからの権限と責任で自主・自律した組織ー法人格を別にして行っていくことが県内医療の推進というふうなことにも役に立つ、そしてまた教育内容の向上にも役に立つというふうなことなんですけども、実はこれから大学は、それぞれが大学間競争の時代に現にもう入ってきていると。そういうふうな中で、まだ大きな成果は出ていませんけども、国立大学がいち早く独立行政法人化を果たしたと。公立の大学についても同じ土俵で勝負していくというふうな形にしないと元気が出てこないというふうなことがやっぱり根本にあるわけです。そういうふうな中で独立行政法人化をするというふうな形で今進めていっているわけですけども、ただこれは器をつくればいいというふうなもんじゃなくて、本格的にそれぞれが創意工夫によってやっていけるような大学運宮が行われるような形のためのものに資する独立行政法人化ということになるように県の方でもいろんな形で努力をしていきたい、このように思っております。

○副議長(向井嘉久藏君)
 福祉保健部長嶋田正巳君。

○福祉保健部長(嶋田正巳君)
  まず一点目の社会保障アクションプランの理念についてでございますけれども、平成十七年度中に、仮称でございますが、社会保障アクションブランの策定を予定してございます。紀の国障害者プラン、わかやま長寿プランなどの各施策のプランを基盤にした行動計画として、受益と負担の適正化や障害者の自立、社会参加、少子化対策、健康増進・介護予防、医療セーフティーネットなどの分野で重点化した施策の展開を図るため、さまざまな観点で検討を行い、持続可能な制度となるよう再構築を進めてまいりたいと考えてございます。これからは、身近な地域社会で住民がともに支え合う福祉社会の実現が重要となると考えてございます。県としましては、地域住民、NPOなどの団体や市町村などと協働することにより、地域密肴型で、本当に福祉サービスが必要な人にこたえる社会保障の仕組みづくりが大切であると考えてございます。

二点目の福祉関連予算の特徴についてでございますけれども、生活保護や介護保険制度施行など福祉関運予算は義務的な事業が多い中で平成十七年度に重点化を図った事業としましては、まずわかやまドクターバンク設置、新生児搬送用ドクターカー整備など、医療セーフティーネットの構築がございます。次に、チャレンジド就労サポート、自閉症・発達障害支援センター運営などの、障害者が地域での自立・社会参加するための施策がございます。また、児童虐待防止ネットワーク、子どもメンタルクリニック運営など、次世代を担う子供と家庭への応援、あるいは健康診査機器整備、わかやま型介護予防・地域ケアシステムの普及などによる健康増進、介護予防の推進がございます。また、見直し等により縮小した事業といたしましては、国の三位一体改革によりまして市町村に税源移譲された病院群輪番制病院運営費補助、補助金の交付金化によりまして一部について実施主体が市町村に移った老人福祉施設環境改善が主なものでございます。また、県単独事業では、経営合理化に伴う県社会福祉施設の運営管理委託費の減少や、多くの方の住宅改造の要望にこたえるため補助上限額の見直しを行った重度身体障害者住宅改造助成などがございます。さらに、廃止事業としましては、所期の目的が達成したアニマル・アシステッド普及やヘルパーの資格者を拡大するために県から民間へ移管いたします障害者ホームヘルパー、ガイドヘルパー養成研修などが挙げられます。

いずれにしましても、厳しい財政状況の中でございますが、平成十七年度につきましても積極的な福祉保健行政の取り組みを図ってまいりたいと考えてございます。次に、県内医療機関への医師派遣についてお答えを申し上げます。十六年四月から新しい医師臨床研修制度が開姶されるなど、医療を取り巻く環境が大きく変化する中で、地域の公立病院においては医師の確保が大きな課題になってございます。県全体で見れば人口十万人当たり医師数が全国平均を上回る状況にありますが、地域によりまして格差があり、とりわけ紀南・紀中地域などにおいては医師不足が深刻であるため、県としましても独自に医師を確保する仕組みが必要であると考え、新たにわかやまドクターバンク制度を創設することとしているところでございます。わかやまドクターバンク制度は、県が五年間の任期つき職員として医師を採用し、支援体制や研修機会を与えるなどの方策を講じた上で過疎地域等の公立病院で医療に従事するもので、不確定な要因もございますが、毎年二名程度採用いたしまして十名程度の医師を確保したいと考えてございます。県としましては、これまでの自冶医科大学卒業医師の派遣に加えまして、わかやまドクターバンク制度を構築することにより、医師確保が困難な過疎地域の公立病院や僻地診療所において必要な医療の提供につながるものと考えているところです。

しかしながら、県のこの制度だけでは地域の医師不足を解消できるものではなく、地域の公立病院には魅力ある病院づくりと独自の医師確保に努めていただくとともに、独立行政法人化に伴い、これまで以上に地域医療への貢献が求められる県立医科大学に対しましても医師派遣の中核として地域医療を担う人材の養成・確保に一層努めるよう協議、要請してまいりたいと考えてございます。以上でございます。

○副議長(向井嘉久藏君)
  県土整備部長酒井利夫君。

○県土整備部長(酒井利夫君)
 災害対策予算についてでございます。豪雨災害などから県民の生命や財産を守る災害予防・災害対策につきましては、大変重要な課題の一つだと認識しているところでございます。このため、河川・砂防事業の平成十七年度予算につきましては、ハードな施設整備とソフト対策が一体となった総合的な対策を推進するため、一般会計予算ベースで対前年度比約五%増としているところでございます。具体的な事業内容としましては、近年浸水被害が発生した河川を重点的に整備するとともに、災害時の緊急輸送路を保全するための防災対策、避難路・避難場所を保全するための対策等を重点的に実施してまいります。
 また、地震・津波対策として、洪水時を含めた堤防や樋門等の安全点検を行い、その結果を踏まえて必要に応じて強化対策を実施するとともに、緊急時の確実な施設操作実施のため自動化、遠隔操作化、集中管理化の調査検討を進めてまいります。さらに、沿岸地域における避難場所の創設についても積極的に進めてまいります。
 一方、リアルタイムで河川情報や土砂災害情報を県民に提供するための情報基盤整備や浸水想定区域図の作成、土砂災害警戒区域設定のための調査など、ソフト対策も関係部局と密接な連携を図りながら推進してまいります。

次に、公共施設の長命化計画でございます。多くの橋のかけかえや県営住宅等の建てかえを一気に行うことは財政的に大変難しい状況でございます。公共施設長命化計画は、これら橋梁や県営住宅などの公共的な施設について必要な補修や整備などのリフォームを適時適切に実施することによりその寿命を延ばしたり、時代の変化により必要となる新たな機能を付加するなど、既存の施設をできる限り長期間有効活用して中長期的なライフサイクルコストの縮減を図ろうとするものでございます。橋梁を例にとりますと、県が管理しているものは二千三百四十橋ございます。このうち約三五%は昭和二十八年災害や高度成長期に集中的に建設されたものであり、建設後約五十年が経過し、これらがある時期一気に老朽化し、何らかの対策が一時的、集中的に必要となってくるおそれがございます。これらの橋梁につきまして、一つ一つについて建設当時の情報や過去の補修歴などをデータベース化し、いわばカルテのようなものを整理しつつ、必要な補修や整備などのリフォームを効率的、効果的に行うことによりできる限り長生きさせるためのシステムをつくり、かけかえ時期をずらして予算の平準化を図るだけではなく、卜ータルコストの縮減をも図ろうというものでございます。このために必要な点検調査を含めたシステムづくりに、平成十七年度から二年間、予算五千万円で取り組みたいと考えております。以上でございます。

○副議長(向井嘉久藏君)総務部長宮地毅君。

○総務部長(宮地毅君)

まず、新年度予算についてお答えを申し上げます。平成十七年度予算編成における大規模施設整備の抑制につきましては、事前協議を経ていない新親整備事業の要求そのものがございませんでしたので、結果的に先送りや新規着工凍結の対象になるものはございませんでしたが、計画中の事業につきましては、規模、構造等を見直し、後年度負担にも留意して可能な限り工事費等の抑制に努めてまいりました。その結果、例えば県総合防災情報システム整備事業について、積算手法の見直し等により約十億円の事業費抑制を図ったほか、県分庁舎整備事業について、構造の工夫などにより建設単価を精査し、工事コストの縮減を図ったところでございます。今後も、事業を取り巻く環境や状況の変化を見据え、計画が具体化した時点や設計、工事着手など事業進捗の節目をとらえ、費用対効果を検証し、事業費の見直しに努めてまいりたいと考えております。

 次に分庁舎の建設についてでございますが、本県の現在の庁舎におけます職員一人当たりの面積は、平成十五年度現在で約十四平方メートルとなっております。一方、平成十四年の調査の全国都道府県の平均は約二十一平方メートルとなっております。また、庁舎建設に係る地方債申請における面積算定基準では、共有部分を含めた職員一人当たりの面積は約二十二平方メートルとなっておりまして、これらと比較をいたしまして現在の本県の庁舎面積は非常に狭い状況となっております。
 こうしたことから、執務環境の改善を図るため、今回、防災センター建設にあわせ、分庁舎機能を持たせることといたしておりますが、新しい分庁舎は職員一人当たり約十六平方メートルになる予定でございまして、分庁舎完成後の現在の庁舎につきましても、一人当たりの面積は同程度確保できる見込みでございます。このことは、先ほど申し上げました全国的な状況等から見ましても必要最小限の適正な規模であると考えております。

 次に、県立医大の独立行政法人化についてお答えを申し上げます。まず、地方独立行政法人法成立時の衆議院及び参議院における附帯決議につきましては、議員御指摘のように、雇用・労働条件への配慮、職員団体との十分な意思疎通や法人の業務評価について財政面のみでなく社会的評価の観点を加味すること、学問の自由や大学の自治を侵すことがないよう大学の自主性・自律性を尊重することなどが盛り込まれておりまして、県立医科大学の地方独立行政法人化の検討をしていく上でも十分配慮していく必要があると考えております。次に議会、住民のチェック機能についてでございますが、法人の事業計画は、議員御指摘のように、知事が評価委員会等の意見を聞いた後、議会の議決を経て定める六年間の中期目標に基づき、法人が中期計画を作成し、知事の認可を経て公表するとともに、年度計画を作成して公表する仕組みとなっております。
 法人の運宮はこれら中期目標などに沿って実施されることになりますが、評価委員会による毎年度の業務実績の評価は議会へ報告することとなっており、そこで御審議いただくことになります。また、中期目標期間終了時には、中期目標に係る事業報告書及び評価委員会の評価結果を議会に報告し、御審議いただくことになります。予算につきましては、県が各年度の業務に必要な資金を交付できるとされておりまして、運営費交付金として予算計上し、御審議いただくことになります。

 次に運宮費交付金の考え方についてでございますが、運営費交付金につきましては、法人の自主・自律性を生かしつつ、安定した業務実施の財源として交付するものでございますが、その算定に当たりましては、教育・研究・医療活動の向上や経営の改善につながるよう評価委員会による評価結果などを適切に反映していくことや、自己収入拡大のインセンティブが働く仕組みに留意する必要があると考えております。運営費交付金の算定のルール化や基準につきましては、法人運営が適切に行えるように、今後、国立大学や他の大学の考え方なども参考にしながら検討してまいりたいと考えております。法人の情報公開でございますが、県といたしましては、県立医科大学が地方独立行政法人になりましても、その公共的な性格からその諸活動を県民に説明し、県民の理解と信頼を深められるよう積極的な情報公開に努める必要があると考えられますので、今後、現行と同様の情報公開の制度を確保するよう検討してまいります.

○副議長(向井嘉久藏君)
 企画部長高嶋洋子君。

○企画部長(高嶋洋子君)
 コスモパーク加太用地についてでございますが、防災対策及び企業誘致の用地などとしまして利活用を図ることとしております。新年度予算で県土地開発公社に対する約四億九干万円の賃料をお願いしております。まず、防災対策の用地といたしましては、大規模災害時における応援要員の集結場所や救援物資の集積地として利活用を図ることとしてございます。現在、危機管理局におきまして東南海・南海地震等による人灼彼害や物的被害の想定作業が行われておりまして、こうした作業を踏まえつつ、より充実した防災対策用地としての利活用について協議してまいります。

 次に、企業誘致の用地といたしましては、現在、加太菜園株式会社による施設建設が行われておりまして、本年八月に操業が開姶される予定となっております。新年度におきましては、同社の第一期施設敷地分等を対象に約一千百万円の賃料を徴することとしておりまして、今後とも事業用借地権の転貸により、雇用の創出など経済波及効果が期待でき、地域の活性化へつながる企業の誘致を図ってまいります。いずれにいたしましても、コスモパーク加太の土地の利活用は本県にとって極めて重要であると認識しておりますので、積極的に取り組んでまいります。

○副議長(向井嘉久藏君)
 答弁漏れはありませんか。再質問を許します。四十三番藤井健太郎君。

○藤井健太郎君
 答弁をいただきまして、知事に再質問をお願いしたいと思うんですが。経済の見通しということで、ことしに入って私も経営者協会とか商工会議所とか経済団体を訪問さしていただきまして、いろんなお話を聞いてきました。大変重たいという印象を持ったわけですが、世界遺産の登録を契機に和歌山市でも少しでも何とか活性化に結びつけていけるような方策がなかろうかと、そういう模索もしているということもありましたが、同時に、さまざまな税とか社会保険の行方によっては県民の消費の動向も気になると、こういうお話でもありました。知事は、国の動向についてはやむを得ないという認識があるんですが、一方では弱者対策に少しでも配慮できるようなということで言われているわけです。福祉保健部長に、今どういう事業があるんだというふうに聞いたわけなんですが、ドクターバンクとか新生児の周産期冶療とか障害者の自立支援策というような、こういう事業は税や社会保障の動向にかかわりなくやっていかなくてはいけないというんですか、従来から県民からの需要としてあった事業なんですよね。
 本来やらなければいけない、それが今年度予算措置されたことは結構なことだと思うんですが、ただ私が問題にしているのは、これからの経済動向やさまざまな国の施策も含めて、県として、そういう生活弱者というんですが、より厳しくなる人たちに対するセーフティーネット例えば障害者の自立支援策とかつくっても、今また障害者の負担も応能負担から応益負担に変えようと、こういう話もされているわけですよね。国保なんかでも資格証明書の方がふえてきているし、国民年金の未払いとか、そういう状況が起こってきているわけなんです。経済の部面では、借りかえ融資というのが非常に有効にきいているわけですね。長期で低利に借りかえをして、それで余剰資金でさらに設備投資をすると。これは非常に県民生活といいますか中小事業者の皆さんの要求にマッチをした、そういうセーフティーネットとして機能して、新年度もプロパー融資についても拡大するという話で。ところが、私が問題にしているのは、そういう税や社会保険の負担増によって、今二百万、三百万円で生活している人がさらに厳しい状況に追い込まれるんではないかと、そういった人たちに対するかみ合ったセーフティーネットが必要ではないかということを問題にしているわけなんですよね。知事が言われる弱者への目配り・気配り、弱者に優しい県政というふうに言われておりますが、その意図するところというのは一体どういうものなのか。知事として新年度は旦具体的にこれがそうだと言える事業がありましたら、ぜひ聞かせていただきたいと思います。以上です。

○副議長(向井嘉久藏君)
 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。知事木村良樹君。

○知事(木村良樹君)
 弱者対策ー、今、非常に社会全体が厳しくなってくる中で大変な問題があるんですが、私の基本的な考え方は、自立することができる可能性のある人にはできるだけそういう方向で目立ができるような形での支援を行っていく、それからまあ努力してもなかなか自立が難しいというふうな人には、またそういうふうな面で重点的な支援策を講じていくというふうなことを基本にしてやっているわけです。そういう中で、平成十七年度の当初予算で新たな施策を申しますと、例えば障害のある人を対象にした職業能力開発を実施する障害者職業能力開発事業、それから障害者の一般就労への移行というものを促進するためのチャレンジド就労サポート事業、こういうふうなものが自立をできるだけ推進していこうという面での事業です。そしてまた、高齢者の虐待や認知症高齢者の介護の課題に対応するための高齢者地域ケアネットワーク事業でありますとか、自閉症等の発達障害の方々を支援するための自閉症・発達障害支援センターの設置、それから育児不安を抱える親や心のケアが必要な子供を支援するための子どもメンタルクリニック事業でありますとか、母子家庭の母親の人の就業を支援するための就業支援相談員を配置する母子家庭就業・自立支援事業、こういうふうなものを計上するなど、幅広くいろいろな施策を考えているということです。

○副議長(向井嘉久藏君)
 答弁漏れはありませんか。再々質問を許します。四十三番藤井健太郎君。

○藤井健太郎君
 今、知事からお答えをいただきました。自立を助長していくといいますか、それをサポートするというのも、これはまた大事な話で。母子家庭など、児童扶養手当が削減されていく中で目立就業支援というのは、それはまあ必要なことだと思うんですが、しかし行政としてやっぱり目を向けていかなあかんところというのは、実際に生活困難といいますか、本当に収入が二百万、三百万円、年金数十万というところの人が介護保険制度とか国民健康保険とか年金の給付額の切り下げによって生活費そのものが切り下げられてきているわけですよね。そこに対する行政としてセーフティーネット、支えていくという上では、市町村も含めてなんですが、さまざまな減免制度であるとか、教育の分野においては就学援助の制度の拡充であるとか生活をボトムアップしていけるような、そういう直接的な手だてということもやはり必要ではなかろうかと、そういうふうに思うわけなんですよ。そういった点では、なかなか新年度予算を見ましても直接かみ合った事業というのがどれかよくわからないというようなことなんです。

 今、知事が言われたことも、もちろん必要なことではあろうかと思うんですが、やはり生活にかみ合った形での支援というものをぜひ新年度に検討して進めていっていただきたい。この点は要望にしておきますので、よろしくお願いいたします。

○副議長(向井嘉久藏君)
 ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。本日は、これをもって散会いたします。午後二時零分散会