05年6月議会  反対討論
  村岡キミ子議員(05年6月29日)

日本共産党県議団を代表しまして、議案第135、167、168、169、173、177、179、182、190、191の各号、及び議請15号について、反対の立場から討論をおこないます。

まず、議案第135号、一般会計補正予算において、指定管理者導入に伴う債務負担行為の設定が行われています。
 これは、現在、県が設置して出資法人等公共的団体に管理委託している施設について、地方自治法の改正を受けて施設を県が指定する指定管理者に複数年次にわたって管理させるための委託費となっています。
 今回、債務負担で設定された金額を単年度で見てみますと、施設への措置費とわずかな県単独の加算金を含めて、合計額は21億3千7百万円となっています。これらの施設の17年度当初の委託費は、県職員の人件費を含めて30億5千4百万円で、指定管理者への委託費は17年度当初の額に比べて、実に約9億円の減額、予算額比較では70%に削減されています。
 なかでも、特に和歌山県福祉事業団に管理委託していた県立南紀福祉センターの重症心身障害児施設、知的障害児・者施設、身体障害者療護施設では合わせて60%に、県直営の知的障害児、視覚・聴覚障害児入所施設の有功ケ丘学園は、実に44%に削減されるなど福祉施設での削減額の大きさが顕著になっています。県からの一般財源ベースで比較するとそれぞれの施設において40%、30%とさらに削減されています。
 施設に配置する職員数は変わらないということならば、人件費単価を圧縮するために賃金の切り下げ、パートへの置き換え、外部への下請け化などがおこり、それぞれの施設で維持、努力されてきた福祉水準の安定的継続や専門性の発揮がきわめて困難になることは明らかです。今回の債務負担行為の額は15年度の最終単価で設定されていますから、国の措置費も年々切り下げられてきているもとにあっては、いっそう困難な状況に追い込まれます。したがって、県の直営施設として県が責任を負ってきた福祉施策を民間事業者に責任転嫁するような予算には賛同できません。

 議案第169号は、和歌山県税条例の一部を改正する条例です。その内容は地方税法の一部改正に伴うものですが、これまで恒久減税として実施されてきた個人県民税に係る定率減税の段階的廃止や65才以上の個人県民税の所得125万円までの非課税措置の廃止など、勤労者、年金生活者などに増税を強いるものとなっています。
 一部景気の回復傾向が伝えられていますが、勤労者の所得は減少を続け、年金生活者の年金所得も切り下げられるもとで非課税措置の廃止により介護保険など他の施策の保険料、負担金にも影響を与える重大な問題でもあります。所得が減少をつづけるもとでの税や保険料の負担増は、個人生活の圧迫と社会全体の消費をいっそう冷え込ませることが懸念され賛同できません。

 議案168号は、新たな合併特例新法にもとづく、審議会の設置を定めるものですが、去る5月31日に告示された総務大臣の基本指針では、都道府県にたいして、「従来にも増して重要な役割」として、合併構想の作成を求めて、生活圏域をふまえた行政区域の形成を図ることが望ましい市町村など、合併促進への3つのケースがあげられています。本県においては、50市町村が30市町村に減少する計画がすすめられ、強引な合併推進に対し、住民の自主性を脅かすものとしての批判が起きているところであり、さらに合併だけを押しつけるような審議会の設置は不要と考えます。
 議案177号は、吉備町・金屋町・清水町を廃止して有田川町を設置する配置分合議案であり、議案167号、173号、179号および182号はその関連議案であります。
 市町村合併の議案に対しては、わが党はかねてより市町村議会の議決において住民自治が発揮されている事が大事だということを主張してまいりました。金屋町においては合併の是非を問う住民投票が実施され合併賛成が多数でありました。しかし吉備町においては住民投票条例制定を求める直接請求が法定数の8倍の町民によりおこなわれたものの住民投票は実現しませんでした。こういう点からみれば住民合意がはかられているとは言えず賛成できません。
 議案190号、191号はそれぞれ県庁南別館の建築工事と電気工事の工事請負契約であります。本工事の機械設備工事については談合情報にもとづいて入札のやりなおしを決定されたところです。この2つの入札についても、南別館一体の設計による工事であること、いずれの落札率も機械設備工事より高い落札率であるということを踏まえ、談合の疑い無しとはいえないことから同意できません。

教科書採択にかかわる請願第15号について、委員長報告は採択でありますが、同請願の採択には反対であります。教科書採択が静ひつな環境のもとで外部からの圧力を排して公正に行われなくてはならないことは当然です。
 しかし、日本による侵略戦争で大きな被害をうけた近隣諸国が、侵略戦争を美化する教科書に懸念を表明したことに対し、請願者は、「内政干渉ともいえるような言動」としています。こうした認識に立った請願を採択することは和歌山県議会が、近隣諸国の世論を内政干渉とする認識をもっているものと受け取られかねません。
 また、請願者は前回の教科書採択では「恐怖心を与えるような…異常な事態」がおこったとしていますが、文教委員会では教育委員会当局から、「そういう事態はありません」と否定されています。
 さらに、この請願提出者である「新しい歴史教科書をつくる会」とその会が採択を願っている歴史教科書の出版社である扶桑社が、ルール違反の教科書の売込みを行っていることが明らかになってきました。検定前のいわゆる白(しら)表紙本が和歌山県内もふくめて事前に配布されていることが文部科学省によって明らかにされています。
 このように、静ひつな環境を乱し、教育への圧力をかけているのは、請願者を代表としている団体にほかなりません。
 以上をもって討論といたします。