9月22日、雑賀光夫議員がおこなった一般質問と答弁の大要は以下のとおりです。

 

阪井バイパスについて)

 

第一の柱は、これまでも三度とりあげました国道370号、海南市の阪井バイパスにかかわる問題であります。3度の質問で一貫しているのは、「阪井バイパスというのは、海南市の動脈とも言える道路・国道370号の渋滞を解消するものであり、早く完成してもらいたい」という立場であります。同時に、最近の二回の質問では、「早期実現のためにも、地域住民の意見をもっと聞くべきではないか」ということを申し上げました。本日は、その立場をさらに具体化した提言をしながら、県当局のご見解をお伺いいたします。

 阪井バイパスについて、測量・調査の予算がついていますが、住民との話し合いが進展していません。この道路は、多くの都市計画道路がそうなっているような、「線引きはしかたが凍結」というようなことにするわけにはいきません。海南市にとって死活の問題です。精力的に話し合いを進めていただきたい。前回の質問では、国土交通省も計画段階で複数の案を出して計画を決定するという「市民参加型道路計画プロセスのガイドライン」というものを出しているが、阪井バイパスの計画にはその考え方が生かされていない、都市計画審議会でも県がつくった計画を一方的に押し付けるという印象を与えていることが問題になりましたが、そうした印象を拭い去らないと住民との話し合いは進展しません。審議会で承認された計画というものは、地質調査、測量、住民との話し合いによって計画の修正を前提としているものです。測量や地質調査を通じて、どう住民の意見との接点を求めるかという立場にたっていただきたいと思うのです。

なんといっても一番の心配は、盛り土によって地域が分断されるのではないかという問題です。盛り土には防災上の心配の声もあります。盛り土をさけて平面交差にする方法はないのでしょうか。

手前の山にトンネルを通すという方法があります。きり土をもっと深くして、平面交差にする方法もあります。さらに平面交差が不可能な場合、盛り土でなく、柱を立てる工法も考えられます。たつ部池という池に橋をかけるか埋め立てできるかでも条件が変わってきます。

 トンネルを掘ることは技術的に不可能ではないでしょう。山が低すぎてトンネルがむずかしいという意見があります。トンネルは考えていなかったから、手前の山を迂回するようなルートが選ばれているのです。トンネルにするなら、迂回せずにまっすぐに道路をつけることもできます。トンネルにすれば、土はどれだけ出るのか、費用はどれだけかかるのか、あらゆる可能な工法について、試算し、住民に提示し、住民合意をはかるべきでしょう。

 さらに、計画は往復4車線ですが、まず、往復2車線の道路を早く通すことを考えてもいいでしょう。

 しかし、現在の県当局の姿勢というのは、住民の側から見ると、都市計画審議会を通すときに考えた計画が一番いいんだという立場で、住民を説得することしか考えていないように見えてしまうのです。

「計画通りに進めるため」というのでなく、「住民要求との接点を求めるため」に住民の皆さんと話し合っていただきたいと思うのです。

 阪井バイパスは、どうしてもすすめなくてはならないという立場で思い切って住民の意見を受け入れながら接点をつくっていくという私の提言について、どうお考えでしょうか。県土整備部長からお答えください。

 さらに、地域のお宅を訪問してみると、さまざまな心配をしていらっしゃる方がおられます。たとえば、その地域で陶器を焼く窯をお持ちの方がいらっしゃる。陶芸家として評価されているかたです。その窯が道路用地にかかるかもしれない。「道路のためなら協力しなくてはいけえないと思います」とおっしゃいますが、簡単ではありません。陶器を焼き始めると、つきっきりで泊り込んで火加減の調整をしなくてはならないんだそうです。そういう窯は、煙がでるから近所から苦情が出る。どこにでも置けるものではないんだそうです。「こんなわたしとこみたいな事情を行政は理解してくれるんだろうか」とその方は不安そうにしておられました。

用地買収にかかわる、あるいは近接するお宅について、測量や用地買収の金銭交渉より前に、個々のご家庭の事情を聞いて回ってほしいという声もお聞きしました。そういうことは、すぐにすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

 

《答弁 宮地淳夫県土整備部長》

 

 阪井バイパスにつきましては、国道370号の海南市東部地区での交通渋滞や幅員狭小区間を解消し、安全で円滑な交通の確保を目的として計画され、昨年12月に都市計画決定されたところです。

 その手続きにおいて、多くの意見書が提出されたこともあり、県及び市の都市計画審議会において「地域住民と十分な協議を行い、特に環境面において十分に配慮すること」との付帯意見が付けられたところです。

 今年度より測量、地質調査、道路詳細設計を予定しておりますが、その作業の中で、都計決定の際提出された意見を含めた様々な観点から検討を行うと共に、併せて住民の方々と十分協議しながら進めてまいります。その結果についても住民の方々に説明してまいります。

 議員からトンネルの検討など技術的に困難なご指摘もいただいておりますが、技術的にも十分検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 この6月に測量立ち入りの地元説明会を開催し、地元の意見も伺っておりますが、地権者への測量立ち入りの了解を得る機会等を通じ、地元の意見も再度伺って参ります。いずれにしましても、都計審の付帯意見を十分尊重し事業を進めてまいります。

日方川改修と周辺道路)

 

大きな第二の柱は、日方川改修にかかわる問題です。

海南市日方川の改修が、すこしづつですが進んでいます。この川の改修が急がれるのは、その上流の重根地域で区画整理事業がすすみ、急速に田んぼが宅地にかわっているからです。雨が降れば、田んぼが調整機能をはたしてきた水が、一気に日方川に流れ込みます。河川改修の予算が少なくなっている中ですが、一日も早く進めていただきたいと思います。  

ところで日方川の東橋という橋の上流の10数戸のお宅が、河川改修に協力して立ち退きをしたのは何年も前のことです。河川改修計画では、この部分は階段状にして川に親しめるような設計になっていますが、今のところは立ち退き跡地は、空き地のままになっています。一方、その空き地にそって市道が通っていますが、車の対向には大変苦労するような道路です。

私は、県議会にでさせていただいてから何度も、「行政の谷間」とか「県市の行政の協力」ということを申し上げてきました。一方では、河川改修のために確保した余裕を持った用地がある、一方では、それに隣接してたいへん狭くて困っている道がある。工夫をすれば、余分にお金をかけなくても、市民によろこんでいただけるようにできるのではないでしょうか。さらにこの問題で、市民のなかから、「日方川のこの部分の階段状の改修計画は、大水がでたとき心配なのではないか」という意見もありまして、もうすこし検討もいるのかなと考えたところであります。

そこで県土整備部長にお伺いいたします。

1 日方川の改修計画の全体像と見通しをお教えください。

2 東橋上流の立ち退き跡地の一部を、市道拡幅のために提供することについていかがですか。あるいは、河川改修にあたって、周辺道路交通への配慮ということもできるのではないでしょうか。

3 階段状の河川改修計画について、地元および海南市のみなさんのご意見をよく聞いて検討したらいいと思うのですが、いかがでしょうか。

 

《答弁 宮地淳夫県土整備部長》

 

 日方川改修計画の全体像と見通しにつきましては、昭和63年度に河川改修事業に着手し、新町橋から神田橋までの間890mを重点整備区間に位置づけて整備を進めているところでございます。

 平成17年度から19年度にかけて井松原橋を架け替えし、その後、上流の神由橋までを整備していく予定としています。

階段護岸による改修計画は地元の意見も踏まえてというご質問でございますが、段階護岸につきましては、親水性に配慮して計画したものであり、これまで地元に説明してきているところであります。今後も実施にあたり、治水上の安全を確保するとともに、地元のご意見を参考に、安全で親しみやすい河川整備等を検討してまいります。

 次に、河川整備にあわせた周辺整備につきましては、議員ご指摘の箇所は、親水性護岸の用地や水防活動等河川管理上の必要性から確保しているところでありますが、今後、実施にあたり、海南市と河川空間の有効的な利用方法について協議してまいります。

 

通学路の安全確保

 

大きな第三の柱は、教育の問題です。

その第一は、通学路の安全確保の問題です。具体的な一例をあげますと、国道424号は、大変整備がおくれた国道で、海南市から金屋に超えるのも大変狭いことが問題になっていますが、本日とりあげるのは、この道路、中野上から北野上に向かっての部分であります。歩道が整備されていない道路を、大きなトラックが走ります。通学する中学生が自転車で側溝にとびこんだとか、七山・青葉台団地から北野上小学校に通う児童の安全が心配だなどの声があがっています。せめて児童生徒の通学にかかわる部分ぐらいは、優先して歩道整備をお願いしたいと思います。県土整備部長の見解をお伺いいたします。

ここだけの問題ではないとおもいます。県教育委員会は、通学路の安全問題のために道路担当課とどう連携をとっておられるのか、教育長にお伺いいたします。

 

《答弁 宮地淳夫県土整備部長》

 

 通学路の安全確保は、非常に重要であると考えており、交通安全の中でも重点的にとりくんでおります。ご指摘の箇所の歩道整備については、必要性を認識しており、歩道設置を検討してまいります。

 なお、事業化には海南市や地元の皆様の協力が不可欠であり、今後とも調整につとめてまいります。

 

《答弁 小関洋治教育長》

 

通学路の安全につきましては、県土整備部や警察本部と協力して改善に努めているところであります。また、地域の方々の協力を得ながら、児童生徒の登下校時の安全確保に努めていくことが重要と考えております。

 

管理職の広域人事)

第二は、教員の広域異動、とくに管理職の広域異動にかかわって、教育長にお伺いいたします。私のところにみなべ町の退職教員の方から電話がありまして、「教員の広域異動がひどすぎる、教職員の疲労を大きくし、通勤手当が多くかかるだけでも無駄ではないか」というお話もありました。もっとひどいのは、管理職の広域異動であります。ある中学校区には、3つの小学校があります。その中学校と二つの小学校の校長は、他郡市から通勤しており、その郡市では教職経験をもたない方であります。またその中学校の教頭もこの地域での教職経験をもっていません。校長も教頭も地域での教職経験をもたない人事配置では、管理職が地域のことを知らないばかりか、時間外に学校で子どもにかかわる問題がおこっても、すぐに駆けつけることができないなどの問題があります。どうしてこういう無理な人事をするのかという声を保護者やいくつかの地域の教育委員会関係者からもお聞きしたことがございます。地域分権という立場で、もっと市町村教育委員会にまかせたほうがいいとも考えますが、教育長のお考えをお聞きいたします。

 

《答弁 小関洋治教育長》

 

 教職員の人事異動は、全県的な視野に立って、本県教育の一層の充実・発展を期すため、市町村教育委員会と協議のもと、適材を適所に配置し、敏育効果を高めることを目的として実施しています。

 特に、管理職の異動は、教職員の情熱や意欲を喚起し能力を発揮させることができる有能な人材を配置する観点から、平成14年度以降より積極的に進めているところです。

 今後とも、この趣旨を踏まえつつ、ご指摘の点も含め、市町村教育委員会と十分協議をしながら、地域の実情に配慮し、より広い視野に立ってバランスの取れた人事異動に努めてまいりたい。

 

《雑賀光夫議員再質問》

 

管理職の広域人事について、教育長にもう一度お伺いいたします。

地方分権というのが、ひとつの流れでしょう。ところが教育行政をみていると、教育事務所を廃止して、人事行政も県教委に集中することになっているのではないかと心配いたします。

教職員とくに管理職がいくつかの地域や学校を経験することも必要なことだろうと思います。その場合も、たとえば美里町で教育委員会がこの教員を管理職として育てたい、そのために大きな学校も経験させたいと考えた場合、美里町教育委員会からたとえば和歌山市の教育委員会に話をかける。「期待している教員なのでしばらく教頭の経験をさせてくれませんか」和歌山市からは「それじゃあずかりましょう。私のところでも小さい学校のよさを学ばせたいので、ひとりあずかってください」

まあ、こんなやり取りがあって、郡市間の交流もあるのなら、いいと思うのです。県教育委員会は、その仲介をすればいいのではないのでしょうか。

こんなやりとりが行われるのなら、おそらくひとつの中学校区に4人の地元での経験がない管理職が配置されるなどということは、まずないと思うのです。

県教育委員会は、一歩下がって、地方教育委員会の意向を尊重するという私の意見について、教育長の見解をお伺いいたします。

 

《答弁 小関洋治教育長》

 

 次に、教職員の人事、なかんずく管理職の人事異動につきまして、種々ご意見を頂戴しました。おっしゃるようなさまざまな学校のおかれている環境の違い等を踏まえ、規模や地域、それらを様々、それなりに経験してもらいながら管理職としてより高い執権を持ってもらうことは大事なことでありますから、広域的な人事はこれからもすすめていきたいと思っております。その際、現状においてもすでに行っているわけでありますが、教育委員会の担当の人事主事と各市町村の教育長との間では、長時間にわたって非常にきめの細かい協議を行っております。議員がおっしゃられたような仲介的な役割を県教育委員会が果たしているケースもままあります。そういうなかで、当該地方に勤務経験があるかないかということが最大唯一の問題点ではなく、その学校に勤務した中で、地域との新たな関係がうまれるということも十分ありますし、多くの新しい息吹が生まれてきたという風な好評をいただいているケースも多々ありますので、先ほどお伝えしましたように十分配慮を行いながら、より広い範囲で和歌山県全体の教育向上のために、がんばってくれる管理職を育成していきたいと考えております。

 

(「和歌山の部落史」と和歌山人権研究所)

 

最後の第四の柱として、「和歌山の部落史」とその中心なっている「社団法人・和歌山人権研究所」にかかわる問題について、お伺いいたします。

「和歌山の部落史」については、これまでも二度とりあげてきました。

  第一回目は、昨年の6月県議会。「和歌山の部落史」を編纂するために「社団法人・和歌山人権研究所」への補助金が当初予算で組まれていたのに、予算審議をした県議会にはまったくわからない形で組まれていた問題です。今年の2月県議会では、その企画の可否はともかくとして、本当に10年でできるのかということもお聞きしました。

 その後、この企画にかかわるずさんさ、また「社団法人・和歌山人権研究所」にかかわるふしぎな問題が明らかになってまいりました。

 

問題の第一は、関係団体への不正常な県からの補助金がでているのではないかという問題です。

「和歌山の部落史」編纂の中心になる「社団法人・和歌山人権研究所」なるもの、その前身は「和歌山県部落解放・人権研究所」という運動団体が設立した研究団体でありました。この団体が「牢番頭家文書」といわれる古文書を出版するにあたって、和歌山市から平成11年度から5年間、毎年100万円の補助金をうけています。和歌山市議会議事録によると「和歌山県部落解放人権研究所に対し、県と同額の補助金を交付するものであります」としています。それは、この研究所が、「県の補助金もうけるから和歌山市も出してほしい」と和歌山市に対して要請していたからです。ところが和歌山県は、その補助金について情報公開をもとめられて「県は補助金を出してもいないし、依頼もない」という回答をしたのであります。

和歌山市に提出された「人権研究所」の事業報告には、県の補助金が記載されています。ところが県は「補助金を出していない」といっている。このなぞは何なのか。「人権研究所」がうそを言っているのか、和歌山県が事実を隠しているのか、二つに一つであります。「人権研究所」が「県  から補助金を受けている」というのが事実だったとすれば、それは裏金と考えるほかはありません。

 問題の第二は、「和歌山の部落史」にかかわる問題です。

7月11日に「和歌山の部落史研究促進協議会総会」が開かれています。これは、「和歌山の部落史」にお金を出す和歌山県および市町村を会員とする協議会でして、会長は木村良樹となっている。そこで決定された規約には、「本会の住所を、和歌山ビッグ愛 財団法人和歌山人権啓発センターとする」とかかれていました。

田辺市から出向する職員は、「人権啓発センター」に住所を持つ「和歌山の部落史研究促進協議会」に派遣されることになっていました。そうした文書に「木村良樹」が大きな角印を押しているのです。ところが、ここに事務局をおくということは、当人権啓発センターの了解も得ていないということが明らかになりました。

それでは職員はどこに出勤しているのかといえば、同じビッグ愛の中にある「社団法人・和歌山人権研究所」に出勤しているということでありますあります。私は、8月8日に、ビッグ愛にある二つの事務所に足を運んで、この事実を確認いたしました。

これらの二つの問題を踏まえて、質問いたします。

まず知事および企画部長から「牢番頭家文書」出版にかかわる「県補助金」というものの謎について、ご説明いただきたいと思います。

次に、「社団法人和歌山人権研究所」という団体、こうした疑惑が生まれたなかで、「公益法人」としての適格性が問われているのではないでしょうか。教育長の見解をお伺いいたします。

さらに、多額の補助金を出して「和歌山の部落史」をこの「社団法人」を中心に編纂することの可否も再検討しなくてはならないと考えます。また「和歌山の部落史研究促進協議会」の事務所の問題、どうしてこんなことになったのでしょうか。さらに、田辺市から派遣される職員は、本来派遣できない「社団法人」に派遣されているとすれば、これも問題があると思いますが、いかがでしょうか。以上は、企画部長にお伺いいたします。

 

《答弁 木村知事》

 

 「紀州牢番頭家文書」は平成11年度から編纂が始まり、平成15年5月に「城下町警察日記」として刊行されたところで、私も巻頭のことばを寄せさせていただいており、実物も拝見いたしまして、非常に価値のあるものが出来上がったという印象をもっております。

 それだけに、先日担当部局から、この編纂事業に対する県からの支援に関連して、不適切な事務処理が行われた形跡がある旨、報告を受けまして、大変残念な思いをしております。

 様々な改革や見直しを進めている中で、過去のこととはいえ、このようなことが判明いたしましたことは、極めて重大なことと受け止めるとともに、関係部局に対し、直ちに調査を行い、実態を解明の上、厳正に対処するよう指示したところであります。

内容等につきましては、担当部長から答弁いたします。

 

《答弁 高嶋洋子企画部長》

 

 ご質問にお答えいたします。

まず、紀州牢番頭家文書の編纂につきましては、平成10年度に県と和歌山市に対し人権研究所が支援要請を行い、それぞれ同額を負担するということで平成11年度から事業がスタートしたものと聞いております。

 和歌山市は補助金として5年間で500万円の支出を行っておりますけれども、本県では会計上の正規な「補助金」として支出されていないことが判明しております。

 関係者等の聞き取りなどから、県から人権研究所に対し、補助金に相当するものが支払われたことは事実のようであります。

 具体的には、平成11年度から3年間で数件、書籍や啓発ビデオなどの購入名目で支出しており、支出先は、人権研究所が実質的に運営している「解放出版社和歌山支局」となっています。

 現時点で当部が把握している状況は以上ですが、当時のいきさつや個々の支出について、更に詳しく調査を実施いたしまして、その結果を踏まえて適切な対応を行ってまいります。

次に、和歌山の部落史の件でございますが、部落史は、差別の歴史的過程を解明することにより、部落差別の本質を明らにし、よって効果的な人権教育・人権啓発に結びつけるとともに、差別とこれを解決するための取組の歴史を、教訓として後世に残そうとするものであり、学術的に非常に価値のある事業であることから、県として、推進していく立場に何ら変わりはございません。

 この8月には、学者、研究者で構成する和歌山の部落史編纂委員会が発足いたしまして、園田委員長はじめ、この方は関西大学の名誉教授でございますが、8人の委員の方々が決まり編纂体制が整ったところであります。

 また、高野山において貴重な歴史的文書の公開も決まるなど、人権研究所において、順調に進められております。

「和歌山の部落史研究促進協議会」の事務所所在地については、当初研究業務を円滑に行うため、「財団法人和歌山人権啓発センター」としておりました。

 その後、協議会業務を進めていくうえで、同センターとしてお<必要性がなくなったので、現在は「和歌山県企画部人権局」を所在地としております。

 なお、田辺市職員が研究所で編纂業務に従事することは問題ないものと考えております。

 

《答弁 小関洋治教育長》

 

「社団法人和歌山人権研究所」につきましてお答えします。

 当研究所は、部落差別をはじめ、あらゆる差別の撤廃を図るため、人権教育等に関する調査、研究並びに啓発活動を実施することを目的に、平成14年10月に認可した公益法人であります。

 当該法人に対しては、本年8月に定期の実地検査を実施致しております。その検査の結果、収支状況及び資産状況等について、公益法人として適格性が欠けるような不適正な事実は認められておりません。今後、必要に応じて関係機関と連携を図りながら調査を行って参りたいと考えております。

 

《雑賀光夫議員再質問》

 

 「社団法人和歌山人権研究所」にかかわる問題については、私から調査でわかったことを申し上げましょう。

問題を解明するために、私は和歌山市の担当課にお会いしてお話をお聞きしました。

 和歌山市は、補助金の交付規則によって補助団体には立ち入り権限をもっています。そこで、5月25日、27日の二度にわたって立ち入り調査をしたそうです。そこで、「県からこの通り振り込まれています」と通帳を示されたそうです。しかし、県が振込みをすれば、振込みもとが通帳に明示されます。ところが、それがない。

なぜかと聞くと、「県からB銀行にふりこまれたものを、いったん引き出して、A銀行の口座にATMで入金したということがわかった。」ということであります。「これはどういう金だろうか」ということになりました。

その後、判明したのは、「解放出版社和歌山支局 支局長」という名前で、書籍代の請求書が送りつけられ県が受け付けているという事実でした。 

 その中身を見ると2002年度には「部落そして人権と環境」単価2500円のものを100冊、「新修 部落問題事典」単価6500円のものを100冊など94万5000円の請求です。

 それとは別に、大阪にある「解放出版社」からも書籍代の請求があり、振込みをしている。こちらは、1冊づつの振込みです。おそらく、これは本当に書籍を購入したのでしょう。一方、「和歌山支局 支局長」への振込みは、補助金相当の裏金ではないかと推察できるわけです。しかし、情報公開された書籍代は、2002年度で94万5000円、2001年度で71万4000円であります。和歌山市に提出された「和歌山県部落解放・人権研究所」からの事業報告によりますと、県からの補助金は、586万2500円になっていますから、まだまだどこかにお金の出所があるわけです。これが、企画部長が答弁された「書籍や啓発ビデオなどの購入名目で支出しており」ということの中身であろうと推察いたします。

  だれがこういうことにかかわったのか、担当職員だけでできるものではありませんから、責任がどこまで当時の上層部にまで及ぶのかなど、調査に時間もかかるでしょう。しかし、何らかの裏金が動いたということは、県当局は、すでにはっきりと認識しておられるのではないでしょうか。

 また、100冊の書籍の支出が名目だけで、実際に書籍が購入されていないとすれば、請求書を出した「解放出版社 和歌山支局長」も文書を偽造したという疑いがもたれます。この支局長は「和歌山県部落解放・人権研究所」の役員の方であります。問題は「社団法人」に衣替えして以後にまでおよぶわけですから、「公益法人」としての適格性、ひいては、「和歌山の部落史」の編纂主体として適格かという問題にまでゆきつかざるをえません。

企画部長にお伺いいたします。私の申し上げたことが、事実とちがっているのかどうか、申し上げたことを全面的に調査なさるのかどうか、お答えください。

また、教育長にも財団法人としての適格性について再答弁を求めます。

知事にお伺いいたします。こうした事実の究明で、県庁内の個人の責任解明も必要ですが、それ以上に行政と運動団体との癒着(もっといい言葉はないかと考えたのですが、裏金をやりとりする関係は癒着でしょう)の構図をたちきることこそが重要であります。そうした観点から、今後どうとりくまれるのか、お伺いしたいと思います。

 

《答弁 木村知事》

 

私は、この同和問題ということでは公平無私ということで、知事に就任して以来、ずっとその方針で対応してきております。これは今までどういうことをしてきたかということを見ていただければ、わかると思うんですが、そしてその中で、この今問題になっております和歌山人権研究所というのは、これは人権問題の調査研究を目的とした公益法人で、これに参加している学者の方も、私も個人的に知っている方も折られますけれども、非常に立派な方で、いままで人権に関する研究集会や、講座の開催、出版など行ってきているというふうに認識しているところでございます。

今後とも、この研究所とは、当然のことながら、協力できるところは協力し、お互いの立場で人権問題にとりくんでいきたい、こういう考えでございますし、それから、運動体の問題につきましては、これは、真剣に活動しているあらゆる団体と自由な意見交換を行い、当事者としての意見を聞きながら、県として主体性を持って人権行政の推進に努めていくと、これはもう、大原則ですし、私はそのとおりこれからもやっていきたいとこのように思っております。

 

《答弁 高嶋洋子企画部長》

 

再質問にお答えします。

先ほどの回答と重複しますが、詳しく事実をですね、究明いたしまして調査しまして究明しまして、その結果を厳しく受け止めまして、県として県として対応してまいりたいというふうに考えております。

それからまた部落史につきましてはですね、高野山金剛峰寺の支援とか多くの学者、研究者が参加するなど事業が順調に今進んでおります。県といたしましても和歌山の部落史研究促進協議会を通じまして、研究所に対して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。

 

《答弁 小関洋治教育長》

和歌山人権研究所の件につきましては、法人の認可を行った教育委員会として、今後必要とあらば、さらなる調査をおこなうことはやぶさかではありません。

 

《雑賀光夫議員再々発言》

 

「社団法人・和歌山人権研究所」にかかわる問題は、今議会だけではけりがつきませんから、当局の調査を見守りたいと思います。県政の膿を出す機会ですから、県民が納得できるような調査をお願いします。

以上で、私の質問はおわります。