2005年12月9日、藤井健太郎議員の質問と答弁(大要)
1.新年度予算について
1)三位一体の改革の評価について
政府・与党が18年度の三位一体改革の内容について合意し、16〜18年度の3年間にわたる改革期間が終わることになりました。18年度は6540億円の国庫負担金・補助金の廃止となり、トータルすると、所期の4兆円程度の国庫補助負担金を廃止し、3兆円の税財源移譲は達成できたことになっています。しかし、問題はその内容が真に地方分権へとつながり、地方自治体の裁量がどれだけ広がることになったのか、また、国庫補助負担金の削減分に見合う税財源が移譲されたのかどうかです。18年度の焦点となった生活保護費の国庫負担率削減は避けられましたが、小・中学校教職員の人件費の国庫負担率が1/2から1/3に削減、国民健康保険療養費給付金の国庫負担率の縮小、児童扶養手当が3/4から1/3へ、児童手当が2/3から1/3へ削減など、地方自治体の裁量が及ばない義務的な事業内容での削減額が大きなウェイトをしめているのではないかと思えます。昭和60年から始まった高齢者福祉や児童福祉など地方自治体への国庫補助率80%から50%へのいっせい引き下げを彷彿とさせるものがあります。今回の三位一体の改革は、国の財政悪化を地方自治体へ転嫁することが主要な側面になっていたのではないでしょうか。また、16年度に大幅削減された地方交付税の行方についても決着が着いていません。はたして地方側が求める一般財源の確保ができるのかどうか、その行方には目をはなせないものがあります。地方分権にふさわしい地方税財源の拡充こそが望まれます。そこで、知事にお尋ねします。
@知事は、この3年間の三位一体の改革をどのように評価されるのか。
Aこの3年間の三位一体の改革で、地方分権の推進や県民のくらし、福祉の充実に向けて、どのような前進があったと考えているのか。具体的に県民に示していただきたいと思います。
《答弁 木村良樹知事》
まだ、中途段階なので、県民の目に見えるような形での成果はあまり出ていないけれど、たとえば、高校の奨学資金の貸与の基準が、県が独自に緩和することができたことや、船をつくったりするときの漁業近代化資金で、県が運転資金にも貸せるようになり、喜ばれているというようなことがある。
細かい奨励補助金などで申請事務にわざわざ国へ出向いたりするようなことがなくなったということもある。
2)雇用対策について
今年10月の完全失業率は4.5%とかっての5.4%という戦後最悪の数字からは改善されたとはいえ、地域の実情には依然として、厳しいものがあります。雇用問題は、国の労働政策やとりわけ大企業の雇用動向によって大きく左右されます。今日、労働力の流動化政策がすすめられ派遣や下請け労働、パート化など低賃金、不安定雇用がつくりだされてきているもとで、県行政が雇用問題の全てを解決できるものではありません。しかし、県が今年7月から8月にかけておこなった県民意識調査の結果では県政に望む施策として、働く場、雇用の確保がトップとなっていることからも雇用対策については県政の重要課題であることもまちがいないところです。とりわけ、若年層でのニートやフリーターの増加、失業率の高さは少子化問題、社会保障の担い手や技術の継承など生産基盤の弱体化をもたらす重要な社会問題にもなっており、そういう意味からも社会全体での取り組みが必要となっています。国もようやくフリーター25万人常用雇用化プランの推進を打ち出し、ジョブカフェなどによる就職支援、ハローワークでのフリーター常用就職支援、若年者トライアル雇用などをすすめています。
県の若年者雇用の問題については、16年度に策定した雇用創出プログラムにおいて、16年度から19年度までに若年者の失業率を12.3%から全国平均並みの9.5%以下にするとの目標を設定し、各種施策にとりくんでいるところですが、このプログラムでは唯一これだけが失業率の改善をめざすものとして指数化されています。
そこで商工労働部長にお尋ねします。
@若年者雇用のとりくみはどのようにされてきたのか。
A若年者の失業率は改善がすすんでいるのか。どのくらいの失業率になってきているのか。どのような成果が見られるのか。
B新年度の若年者雇用対策をどのように位置づけて新年度予算編成に望もうとしているのか。目標を示してのとりくみとなるのでしょうか。
《答弁 下宏 商工労働部長》
ジョブカフェわかやまを中心に、若年者の就業支援を和歌山労働局など関係機関と連携をはかりながら、展開している。
昨年度はカウンセリング事業や企業面談会などにより、約800名を就職に結びつけることができた。セミナー等により約1400名の高校生等にたいする就職支援を実施した。
新年度は、若年者雇用を重点に、ジョブカフェ機能の充実、ハローワークとのいっそうの連携強化、就業体験の推進など積極的にとりくむ。
3)災害対策について
世界各地でこれまで経験したことのないような災害が頻繁におこっています。国内においても近年あいつぐ台風、地震などで多くの犠牲者や被害がでています。台風、地震は防げなくても被害を最小限に抑えることは可能です。天災を人災にしないためにも日頃の備えを確実に積み上げていくことが求められています。限られた予算ではありますが地域防災計画のハード面、ソフト面での対策を、着実にすすめていってもらいたいものです。
そこで、災害対策についていくつか関係部長にお尋ねし、要望もしておきたいと思います。
@地震防災対策アクションプログラムの課題についてです。
本県では東南海・南海地震など大規模災害への備えとして地震防災対策アクションプログラムが16年度に策定されました。プログラムは予防対策、災害時応急対応、復旧・復興の3区分を設定し、220項目のとりくむべき課題について短期は16〜17年度、中期は16〜19年度、長期は20年度以降も継続的実施と実施期間を定めて取り組まれているところです。新年度は短期にとりくむべき課題は終了し、中期にとりくむべき課題については中間時点まできていることになるわけですが、短期の課題については今年度中に全て終了するのでしょうか。また、新年度のとりくみについて、どのようにすすめていこうと考えておられるのか。
A消火体制の確保の問題についてです。
地震防災対策アクションプログラムでは、災害発生時に迅速適切な対策の実施として消火体制の確保がいわれています。果たして大規模災害時にどこまで対応できるのか不安な点もあります。プログラムでは消防ポンプ自動車や防火水槽等の整備支援、山村・農村での防火水槽の設置の推進、消防職員及び団員の教育訓練の実施が目標を長期的に整備をすすめていく課題となっていて、消防職員の確保の問題については課題とはされていません。消防庁は今年6月にこれまでの消防力の基準を消防力の整備指針と改め、各市町村はこの指針を整備目標として地域の実情に即した具体的な整備への取り組みを要請しました。整備指針は消防庁舎、消防ポンプ自動車などの車両、防火水槽などの設備の配置基準や人員体制として消防職員の総数に関する事項を定め、改正前の消防力の基準と同等の要員の確保としています。全国集計した2003年4月の消防職員の基準に対する充足率は75.5%となっていて基準を満たしていない状況にあります。
本県の消防職員の確保の状況はどうなっているのでしょうか。市町村合併や自治体職員定数の削減がすすむなかで消防職員の基準を満たす配置はできているのでしょうか。基準に満たない市町村へはどのように援助していくのか。他府県との協定も結ばれていますが、災害時に迅速適切な対応をするためには自前での地域の実情に即した消火、救助活動の専門家である消防職員の確保が必要ではないでしょうか。
B障害、高齢者など要援護者の対応についてです。
災害時に病弱な高齢者や身体機能に障害のある人は、避難することが困難ですし、避難所での生活もたいへんです。介護者がいても同様です。また、絶えず医師の管理が必要な病気の人もあります。阪神淡路大震災でも中越地震でも昨年の豪雨災害でも常時援護を必要とする人が犠牲になっています。災害時要援護者の支援のありかたについては、早急にとりまとめるべきと昨年の12月議会で要請をいたしましたが、福祉保健部長は防災情報伝達と避難のありかたや避難所のありかたについて17年度末をめどに対策をまとめていきたいと答弁されました。進捗状況はどうなっているのでしょうか。また、どのような内容のものにしょうとしているのでしょうか。
C木造民間住宅の耐震化の問題です。
昨日の一般質問でもとりあげられました。特定民間建築物、公共建築物、公共土木施設などのそれぞれ耐震化のとりくみがすすめられております。そのなかで木造民間住宅の耐震化の事業があります。きのくに木造住宅耐震化促進事業として、16年度から20年度までの5年間の計画で2万戸の耐震診断と3000戸の耐震改修を行うとなっています。新年度は3年目に入るわけですが、県内には約23万戸の木造住宅が存在し、そのうち60%強の約15万戸が昭和56年6月以前の建築で、震度6弱以上の揺れに対して倒壊、大破する恐れがあるといわれています。県の改修制度だけでまかないきれるものではありませんが、早急に耐震改修をすすめる必要があると思われます。とりわけ自力では脱出困難な災害時要援護者の住んでいる住宅の耐震化を急ぐ必要があると思われます。計画期間内に目標を達成し、さらに改修が前進できるよう、関係機関に働きかけを強め、制度の見直し、改善もすすめてもらいたい、要望としておきます。
《答弁 石橋秀彦 危機管理監》
県地震防災対策アクションプログラムについては、すべてのアクションに短期、中期、長期の実施期間を設定し、各種事業にとりくんでいる。
計画的な事業推進をはかるため、施策の優先順位や整備目標等をふまえて予算の確保につとめる。
消火体制の確保は、平成15年4月現在の調査で消防庁が示している「消防力の基準」にてらすと、全国平均を下回っている。
県内の消防職員については、ことし4月現在、約1400人が配置されており、平成15年度から削減されていない。きびしい財政状況ではあるが、各市町村では消防職員の必要性については十分認識されていると考えている。
ことし6月改正された「消防力の整備指針」にもとづき、地域の実情に即した消防体制の整備をすすめるよう周知するとともに、市町村や関係機関と広域化についても検討していきたいと考えている。
ことし3月、「避難所のあり方指針検討穂告書」を市町村あてに通知した。
報告書は、災害時要援護者に配慮した避難スペースの確保や食料等の配布方法など、具体的な要援護者対策を盛り込んだ内容となっている。今後は、災害時要援護者に配慮した避難所運営マニュアルが作成されるよう助言していきたい。
防災情報伝達と避難のあり方については、今年度末までに報告書を作成したい。障害ごとに、情報の取得や避難行動においてどのような支援が必要か、具体的に示していきたい。
4)障害者自立支援法と県の対応
衆議院の解散でいったん廃案となった障害者自立支援法が先の特別国会で成立し、新年度から施行されることになりました。
県は今年6月に、県内36会場で意見交換会を開催、約2000人の参加者から寄せられた意見を踏まえて、障害者自立支援法に関する国への意見書を提出しました。意見書は利用者負担、障害程度区分、支給決定・障害程度区分、障害福祉サービスの新体系、地域生活支援事業、自立支援型システムへの転換、難病・発達障害及び高次脳機能障害の7節25項目にわたっており、その内容はいずれも障害をもった人や家族の要望をふまえたものとなっています。
障害児者の福祉施策は、障害者みづからの運動で障害を持ちながらも普通に日常生活を送ることができることをめざして、必要な福祉施策を整備、充実させてきたという歴史があります。それは、サービスを利用することや障害に関わる病気の治療を進めることで、普通の日常生活を送ることができるということでもあります。これまではサービスを利用する際の経済的負担は本人収入を基準として、収入に応じて負担する応能負担にもとづいて行われてきました。 ところが、障害者自立支援法は、医療や福祉のサービス利用に原則1割の定率負担を持ち込み、入所施設や通所施設でも食費や居住費も利用者の負担にすることになっています。障害者自立支援法は自立を支援するとうたいながら、サービスの利用に応じて利用料を負担するというもので、障害が重いほど負担が大きくなります。低所得者には負担の軽減措置があるとはいえ、経済的負担が増えることにはちがいがありません。通所授産施設に通う人がこれまで本人収入にもとづき無料だったものが、世帯収入となることにより一気に月額3万円が必要になるケースも試算されています。経済的負担がサービスの利用制限を招き、日常生活に支障をもたらすことになるとしたら障害者福祉施策の後退となってしまいます。障害者自立支援法施行の細目わたっては政省令にゆだねられている部分が多くあり、今後とも国への働きかけが必要となっています。
そこで福祉保健部長にお尋ねいたします。
@県が国に提出した意見書はどのように反映されたのでしょうか。
A県としての今後の対応はどうするのか。国に対して働きかけをする、ということと、県の施策のなかで検討していくべき問題もあります。新年度予算に向けて、障害者福祉施策の後退につながるようなことにならないか。福祉サービスを必要とする人が必要なサービスを受けつづられるように必要な対策について検討していくのか。
B県単独の補助制度として小規模作業所への補助がおこなわれています。地域で障害をもちながら生活する人の日中の生活の場、就労の場、生活支援の場としてみづからの力で作り出し、活動を広げられております。県も財政的支援を行い活動を支えているわけですが、これまでの施策を維持し、充実させていくことが求められていると思いますが、県はどう考えているのでしょうか。
《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》
意見書については、県民の切実な声や要望を集約したもので、支援が必要な方や利用者の方のサービス利用の抑制にならないようにとの考えのもと提出した。
障害者自立支援法施行後の対応については、福祉サービスや相談支援の提供体制の整備、各種の地域生活支援事業等について、積極的に支援し、法施行にともなう新体系のサービスが適切に実施されるようとりくんでいく。
障害者自立支援法にともない、小規模作業所がNPO法人等を取得することによって、就労継続支援事業や地域活動支援センター等の新たな事業運営が可能となった。円滑に法定事業に移行できるよう支援するとともに、小規模作業所にたいする運営補助についても維持していきたい。
2.医療制度改革について
1)厚生労働省試案と政府・与党の医療制度改革大綱
厚生労働省が今年の10月19日に医療制度構造改革試案を発表、国民的な合意を得るべく議論を呼びかけました。内容は、国民皆保険制度の堅持、医療費の適正化、給付と負担の透明化の3点を基本として、予防重視と医療の効率化、医療費適正化に向けた総合的な対策、都道府県単位を軸とする医療保険者の再編統合、新たな高齢者医療制度の創設、診療報酬体系のありかたなどを柱として組み立てられています。
その40日後、12月1には、政府・与党が合意した18年度医療制度改革大綱が発表され、来年の通常国会に一連の改革法案を提出するとしています。
そこでは、生活習慣病など予防の目標設定と取り組み体制、都道府県医療費適正化計画の策定、都道府県単位を軸とする保険者の再編・統合など都道府県の役割が大きな位置を占めるようになっています。
患者負担の関係では、3歳未満の2割負担軽減措置を就学前まで拡大、出産育児一時金を30万円から35万円に引き上げなどの拡充部分と70才から75才までを現行の1割負担から2割負担に、夫婦2人世帯で年収520万円以上ある現役並み所得者は2割負担から3割負担に、長期療養病床では1カ月の食事代46000円と居住費1万円を自己負担に、人工透析患者で月収53万円以上の人の自己負担を2万円に引き上げる、また高額療養費の限度額引き上げなど患者負担の引き上げが予定されています。新たな医療保険制度として75才以上を対象に独立した高齢者医療制度を創設し、保険料は1人あたり年間7万円程度、財政運営は都道府県単位ですべての市町村が加入する広域連合とするとなっています。
医療費を経済指標の範囲内に抑制し医療給付の抑制をすすめること、保険料や窓口自己負担の増など県民や患者負担が大きくなること、都道府県と市町村に医療保険事務のウェイトが大きくなることなど、議論を尽くすべき問題が数多くあります。
とりわけ高齢者の負担が大きくなることになります。年金が引き下げられるもとで、介護、医療、税と新年度は負担増が目白押しです。国民生活基礎調査では、高齢者世帯の15.2%は年間収入100万円未満、42.6%が200万円未満と決して安定した収入を得ているわけではありません。高齢者が必要とする治療の抑制につながるのではないかと危惧されます。また、厚生労働省試案が発表されたとき、都道府県に医療費抑制を競わせるなど都道府県に求める内容について多くの自治体が異論を唱えました。国民の医療と健康保持について国の果たすべき役割、自治体の果たすべき役割は何か、国民的議論が必要だと思うところです。
そこで知事にお尋ねします。
@知事の今回の医療制度改革についての認識はどうか。
A県として医療制度改革についてどのように対応していくのか。
《答弁 木村良樹知事》
国民皆保険は世界に誇るべき制度で、これを維持していかなければならない。高齢者医療制度の創設、保険者の再編・統合については、県としても関心が深いことがらなので、今後自治体の意見が十分反映されることが必要で、地方へのたんなる負担の転嫁にならないよう歯止めをかけていく必要があるとおもっている。
現在、県の福祉医療制度として、老人(67〜69才、所得制限あり)、乳幼児(通院3才未満・入院就学前まで、所得制限なし)、重度心身障害児者(身体障害者手帳1、2級、3級は入院のみ、療育手帳A、所得制限あり)、一人親家庭・父母のいない児童(所得制限あり)などの福祉医療制度が昭和48年から54年にかけて県民の運動もあり順次、実施されてきました。近年、老人医療はH14年8月より生活保護基準を下回るような厳しい所得制限が設けられ、対象者を減らしていく方向で、乳幼児医療は逆に年齢の引き上げや所得制限の撤廃で対象者を増やしていく方向で、重度心身医療も入院について3級が加えられ、母子医療も母子家庭から父子家庭を含む一人親家庭へと拡大されてきました。福祉医療制度は、県と市町村が医療費の自己負担分を助成することにより、経済的困難さから必要な医療が受けられないという状況をなくし、県民の命と健康を守る上で重要な役割を担ってきました。また、少子化対策として乳幼児の健やかな成長を保障するために病気の早期発見早期治療に資するものとして乳幼児医療制度が有効に機能していると思われます。自治体の単独施策としての福祉医療制度の充実を望むものであります。そこで、福祉保健部長にお尋ねします。
@福祉医療制度についての意義、役割をどのように考えているのか。
A新年度の制度設計をどのように考えているのか。
B精神障害者保健福祉手帳の所持者も福祉医療制度にくみこんでいくべきではないか。精神医療は自立支援法に組み込まれ現在の5%負担から10%負担、1割負担へと引き上げられようとしています。統合失調症など在宅で服薬をつづけながら社会復帰を果たしている人も多くあります。自立を支援するというのなら福祉医療の対象として支援していくべきではないでしょうか。
また、医療保険において乳幼児医療は現在の3歳児未満まで2割負担を就学前まで2割負担に拡充しょうという方向が打ち出されています。全国の自治体でも年齢の引き上げがすすめられており、県内でも就学前まで入院・通院とも実施している自治体が二桁になってきています。年齢の引き上げを求める県民の運動もあり、応えていくべきではないでしょうか。
《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》
県単独医療費助成制度は、福祉の向上に重要な制度であると認識している。少子高齢化の進展等にともない、年々その医療費が増加することが予想され、持続可能な制度となるよう、制度全体の再構築をはかる必要がある。
国の社会保障制度とも密接に関連するものであり、少子化対策の推進、給付と負担の公平化など様々な観点から見直す必要がある。
70才以上の前期高齢者、老人保健加入者は、窓口1割負担となっています。収入により、外来月8000円、12000円の負担上限額が定められていますが、窓口ではいったん自己負担分を全額支払って、医療機関の発行する保険点数がわかる領収書を市町村に提出して後日、償還してもらう仕組みとなっています。窓口2割負担の人は、月40200円でこれも償還払いとなっています。これまでにも、高齢者の高額療養費償還払い手続きの簡素化を求めてきたところです。低所得者に配慮した負担軽減策としても有効であると思います。そこで福祉保健部長にお尋ねいたします。
@70才以上の医療費の自己負担分が限度額を超えた場合の高額療養費の申請と償還の実態はどのようになっているのか。16年1月の老人保健の調査では、高額療養費支給の申請があり支給されている状況は市町村により50%に満たないところから100%実施されている自治体もありました。現在はどのようになってきているのか。
A負担の軽減をはかる上から、老人医療高額療養費の支給方法、つまり一回の申請で済む方式を広げていくこと。
B負担限度額以上の窓口支払いの必要のない高額療養費受領委任払い制度を広げていくこと。
を求めたいと思いますが、どのように考えておられるのか。
《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》
老人保健法の適用となる73歳以上の支給率で、ことし6月には94.4%で、平成16年1月とくらべ10.3ポイント増加している。
負担軽減については、申請手続きの簡素化等について、協議していく。
受領委任払いの拡大については、県内35市町村のうち、33市町村で実施されており、それぞれの市町村が実情に応じて要件を定めていると認識している。