2005年12月6日、松坂英樹議員の一般質問と答弁(大要)

1、「紀の国森づくり税」について 
(1)和歌山の森林の現状と課題について 
(2)森林整備および啓発のための県予算と事業内容について 
(3)森林土木と森林整備の予算配分について 
(4)「紀の国森づくり基金」事業の目的や焦点・使途・予算はどうか。使途をしめさずに増税だけを押しつけることになれば県民の理解を得られないのではないか 
(5)既存の事業を新規財源で補うことになれば、県財政の穴うめに用いることになるのではないか 
(6)「紀の国森づくり税」2億6千万円という金額は、ムダをはぶき工夫をすれば県予算のなかで捻出可能ではないか 
(7)弱者への負担増が続く中、苦しい県民生活への影響をどう考えているのか 
(8)森林保全事業は、国の施策として「森林交付税」の創設など地方交付税制度の活用により財源調達されるべきではないか 
(9)県民の理解を得ないままの課税は拙速であり、導入の是非は一定の時間をかけた県民議論の後に決定すべきではないか

 まず最初に、今議会に議員提案されました「紀の国森づくり税」関連議案に関しての質問をさせていただきます。

 私は森林整備の必要性・緊急性についてこれまで繰り返し一般質問や農林水産委員会審議の中で訴えてまいりました。今、和歌山の山は、間伐などの手入れができないために昼間でも懐中電灯をもって入らなければならないほど真っ暗な森が増え、下草が生えずに土が剥き出しの山が続出し、遠くから見れば緑に見える山も、緑のダムどころか緑の砂漠なのだと警鐘が鳴らされています。

豊かな自然環境を守り、災害防止、林業再生など様々な観点から、この森林をなんとかしなければならないというのは、広く県民・国民の願いです。その共通の目標にむかって何をすべきかが、国や県行政に問われてきたわけです。はたしてこの「紀の国森づくり税」の導入が県民の願いに答えたものになるのでしょうか。私はこの一般質問を通じて、森林と県行政の現状と「紀の国森づくり税」提出者の姿勢・考え方について基本的な点をお伺いしたいと思います。

 

 まず和歌山県の森林の現状と課題について、ならびに森林整備および啓発のための県予算と事業内容についてお尋ねをします。税導入の是非の前提問題として、和歌山の森林がどこに課題をかかえていると考えているのか、それに対して県はどう取り組んできたのかを整理する必要があります。全体で5200億円の県予算、100億円の森林関係予算の中で、森林整備と県民啓発の事業にどれだけの予算をあててどう取り組んできたのかを農林水産部長よりお答え下さい。

 私はこれまでの県議会一般質問でこう訴えてきました。「国や県の森林予算の実態は、直接森林整備につながる予算よりも、大規模林道や砂防ダムなどの土木工事に大部分があてられている。国の林業予算をみてもひどい時は2割対8割という状況であったと聞いています。この逆立ちをただせば財源はある、人工林をドンドン増やしておきながら外材輸入野放しで木材価格を崩壊させた国の政治の責任は重大だ。林業関係者から聞いた声、「大銀行を救うために税金投入した1000分の1でも山に光をあててくれれば、山は生き返るのに」。この声に政治はこたえるべきではないでしょうか。

私はこの間、地元の清水町・金屋町・広川町をはじめ県内の森林組合や森林林業関係者のみなさんとこの問題で懇談を重ねてきました。その中で出された声は「補助金をいただいて間伐をするのは本来の姿ではないと自らを戒めながらがんばっている、補助金で緊急の措置として助けていただきながらも、間伐材を山から出すための毛細血管である作業道をつけることや、近代的な機械導入への援助をぜひお願いしたい。清水町で作業道は今年でやっと1000m、去年や一昨年は200mぐらいずつしか予算がおりないのです」と要望が出されました。調べてみると県の作業道予算が龍神村の予算よりも少なかった年もあります。間伐材が川下に出て利用される、それがまた次の間伐に進むというサイクル、そしてそれを保障する作業道がほしいという現場の願い、こういった声にこたえるために、もっと事業の中身や予算配分の転換をすすめるべきではないでしょうか。この森林土木と森林整備の予算配分の点についてはどうなっているのか。農林水産部長から答弁を願います。

 

《答弁 西岡俊雄 農林水産部長》

 

 間伐等、手入れの必要な森林が、全体の約4割にあたる13万4千fにおよんでいる。本年度から間伐等推進3カ年対策にとりくんでいる。

 平成17年度の森林整備のための予算として、約23億円計上し、造林事業や治山事業等によって約1万fの間伐、植栽等をすすめている。啓発事業は、約1千万円の予算で、広報のほか、小学生対象の「森林・林業教室」を実施している。

 平成12年度予算のうち、森林土木予算が52%、森林整備予算は13%、平成17年度は森林土木が40%、森林整備が23%になっている。

 

《松坂》

 ひき続き、今度は条例案提出者のみなさんに具体的にお伺いをします。今、税金のムダ遣いに対する県民国民の怒りは頂点に達しています。新たな税負担を提案するなら県民理解が大前提です。答弁の中で条例案の考え方を明確にお示しいただきたいと思います。

 まず、第1に「どんな事業をするための税金か」という中身の問題です。今議会に提案された条例案は2本。一つは「税金を値上げします」という条例案、もう一つはその財源でもって基金をつくるという条例案です。ところが肝心カナメの「どんな目的のどんな事業にいくら使うのか」という具体的な事業内容・事業計画書がありません。税金の集め方と使い方、これは一体のものです。議会はもとより県民がこの税に納得できるかどうかは、事業の妥当性・事業効果・予算規模を審議しなければ答えは出せないのではないでしょうか。

 私は先月神奈川県庁へ行って、神奈川県水源環境保全税における県議会での審議経過を調査してまいりました。ここは都市部の県らしくきれいな水道水の確保を目的として議論が始まったものです。当たり前のことですが、税改正の条例案、基金の条例案、そして事業計画の詳細案の3つがセットになって提案されています。

研究会報告による当初計画は和歌山県の森林面積の6分の1しかない6万ヘクタールの森林に対し、約20年間で総額1100億円をかけて水源保全事業をする、そのために、まず毎年104億円の税金を当面5年間県民から徴収するという巨大で総花的な計画でした。これに議会は反発し、知事から提案の表明があってから約3年間、一度は条例案の取り下げもしながら、事業総額も104億円から78億円、41億円、38億円と再提案されてきました。何がそこで議論されたのかというと、「計画にある一つひとつの事業が、新しい税金をとってまでするに ふさわしい事業かどうか、また予算額は適当か」という点でした。つまり事業計画の妥当性を議論する事により税額がかわっていったんですね。大切なのはまず事業の是非であり、いくら税金をとるかというのは後なのです。どこを対象にした、どんな事業に、いくらの予算を、何年うつのか、というように細かく提案された事業案を審議する中で「啓発や都市部の取り組みも大事だが、新たな税ということであれば、水源環境保全に直接効果のある事業にしぼるべきだ」とか「この事業はこれまで公共事業でやっていたものを新税の事業としてふりかえているだけではないか」などの大論議がされて事業が絞り込まれていきました。私はこの審議の経過にたいへん注目をして帰ってきました。

そこで本条例案についてお伺いします。「紀の国森づくり基金」事業の目的や焦点・使途・予算はどうか。使途をしめさずに増税だけを押し付けることになれば県民の理解を得られないのではないかと考えますが、いかがお考えでしょうか。

 

 2点目に、この税による事業とすでに今やっている県事業との関係をお尋ねします。今回の条例案は、国や県の予算が足りないからお金がないからもうちょっと県民に負担してくれというのか、それとも既存の県事業とはちがうものに使おうとしているのかをお聞きします。既存の事業を新規財源で補うことになれば県財政の穴うめに用いることになるのではないでしょうか、この点について考えをお示しください。

 

3点目は事業額のサイズについてです。この税金で徴収される2億6千万円という額は、森林整備のハード面、啓発のソフト面とに半分ずつふりむけるとすれば約1億円ずつです。昨年度決算でも高度化資金の貸付金など176億円も収入できなかった額があり、支出の面でも依然として高い落札率など多くの改善が求められています。そういうことから見れば、県全体の予算の中で、ムダをはぶき予算を組替えれば充分生み出せる額と考えますがいかがでしょうか。

 

 4点目です。今の厳しい経済状況の中、県民負担増をどう考えているのかという点です。この間、税と社会保障の負担の増え方は、まさに軒並みです。税についていえば、所得税においては老年者控除が廃止され、公的年金控除が140万円から120万円に引下げられました。定率減税はこの来年1月から半減されます。住民税においても同様の措置が待ち受けています。定率減税は07年には全廃することが予定されています。

医療費・介護保険とつぎつぎと弱者への負担増が続き、消費が冷えこんで戻らない中、苦しい県民生活への影響をどのように考えられておられるのかお聞かせください。

 

 第5点目に、今度は森林整備の責務を誰に求めるのか、税負担を誰に求めるのかという点です。これまで県内の市町村長さんや林業関係者が声を上げてこられたのは、「森林の公益的機能をもっと評価すべきだ。森林をかかえる地方の県や自治体だけにまかせるのではなく、国がその役割をはたして、都市部の住民も一緒になって森林をささえるような仕組み作りを」と主張されてきたのではないでしょうか。それがいつのまにか県民に負担を求めるというのでは180度方向転換ではないでしょうか。森林保全事業は、国の施策として「森林交付税」の創設など地方交付税制度の活用により財源調達されるべきではないかという点について答弁を願います。

 

この問題の最後に、一番大事な「県民合意」という点で質問をします。

 私は高知県にも森林環境税の調査に出向いてまいりました。森林県である高知県では、知事の提案により「森林の荒廃を県民の生活環境の問題と捉え、県民あげて森林保全にとりくむ」ことを目標に、何よりも県民論議を大切に議論をすすめていました。12年度に県庁の中に検討組織を立ち上げ、2回のアンケート、試案の発表、65回もの意見交換会、シンポジウム、市町村長や森林所有者との協議にとりくみ、2年後の14年冬に全体構想を発表し、15年の予算議会で、税改正の条例案、基金の条例案、そして新たな事業をもりこんだ来年度予算案を議会に提出し、議会での慎重審議をへて全会派の賛成で成立しました。

 県民から寄せられた意見には、制度の意義には賛同するが、税の使い道については「ソフト重視でなく直接山に投資するべきでないか」とか「林業支援ではなく森林の公益的な機能の発揮を目的にすべきだ」というような様々な意見が出され、「高知の山にとって、県民にとって何をなすべきか」ということが県と県民との間で繰り返し繰り返しキャッチボールされたのです。

 私は、森林保全の問題は、国が全国的な視野で責任をもって財源を保障すべきだと考えています。しかしまた、国の林業政策への評価は違っても、自分たちの地域の急務の課題に自分たちでお金を出し合って力を合わせることはありうることだと考えています。ところが、今回の条例案の強行は県民との議論や時間をかけた検討もなしに、具体的な使い道・事業計画も示さずに、県議会が県民に増税だけをおしつけるという結果をまねこうとしています。いくら趣旨が良くても増税押し付けではマイナスです。現に昨日、和歌山市議会から全会派一致の反対決議が知事と県議会に提出されたではありませんか。これは県民合意もなしに一方的なすすめ方をする今のやり方に、正面から批判が出たものであり、たいへん重く受け止める必要があるのではないでしょうか。

県民の理解を得ないままの課税は拙速であり、導入の是非は一定の時間をかけた県民議論の後に決定すべきではないかという点についてお考えを示していただきたいと思います。

条例案提案者には以上6点、簡潔明瞭に答弁をお願いします。

 

《答弁 中村裕一議員》

 

 使途については、公益性を重視するとともに、県民からみてわかりやすい施策に充当する。PR、シンポジウムなどソフト事業、管理を放棄した森林の環境整備のためのハード事業があげられる。県民が知ること、理解すること、参画することを基本理念とし、和歌山らしい事業に限定するなどのルールに沿ってつかってもらいたい。

 行財政改革の必要性は認めるが、その成果を森林整備だけにもちいることは難しい。税の第一の目的は、税収自体ではなく、広く薄い負担で、県民の関与や参加をお願いすることにある。

 県民税均等割の超過課税方式によるので、現行の非課税措置が適用される。弱者に過重な負担とは考えていない。

 県民へのPR、理解については、賛同する議員が地元や近隣の市町村にでむき、説明した。シンポジウム開催など情報発信し、アンケートで県民の意見を聴取した。

 

 提案者の答弁をうけて松坂議員は、県民への説明が不足しており、理解がえられていないことや、高齢者の負担増などについて再度質問しました。中村議員は、「増税であることは間違いない。しかし500円を大金と考えるかどうか。500円というのは、日本ではお手軽の金額だと理解している」「わたくしどもとしては、理解を得られるような努力をしてきたつもり」などと答えました。

 

2、ミカン対 
(1)ミカンの価格対策および販売戦略について 
(2)魅力ある新品種を生み出すための取り組みと体制について 
(3)新品種を生み出すための研究員の配置や人事異動期間について

 

次に2番目の柱であるミカン対策についての質問にうつらせていただきます。

 昨年は全国的な台風の影響もあって相対的にいい価格がつきました。しかし今年はミカンの表年にあたることから農家のみなさんは価格の動向をたいへん気にしておられました。そして農家の心配が不幸にも的中する結果となり、安かった一昨年を下回る時期もありました。

今年は夏の気象条件にも恵まれ、昨年を上回る味と品質に仕上がっていながらも安値で推移している、味がいいのに価格が上がらない、ここに今年の農家の悩みがあります。「うまいミカンを作れば売れるのだ」と言われ元を入れてがんばった。しかしうまいミカンができても値段がつかずに売れない。また「ミカンが多すぎるから売れないのだ」と言われ減反や出荷調整に協力したが、表年でも裏年でも安いという状況がこの間続いているのです。

 農家が自信をもって出荷した農産物が期待通りの値段がつかないという、現在の価格形成における問題点が指摘されています。市場ではセリがほとんど行なわれず、大部分が相対取引です。スーパーが価格を支配し、量販店からの「何月の第何週に何円でセールをかけるような品物をどれだけ調達してほしい」というような取引で商品価格が決まってゆきます。また一方で市場の価格が1キロ140円であっても240円であっても量販店の店頭では1キロサンキュッパの398円はかわらないというような矛盾した状態になっています。

 そんな中、自分たちの作った農産物を自分たちが希望する値段に近づけたいと様々な努力がされています。農家から消費者への産直や小売をはじめ、量販店の仕入れ人・バイヤーに商品の魅力を積極的に伝える努力や食べ方の提案、対面販売など店頭での販売形態の工夫など、消費拡大と価格形成に対する努力が求められています。これらの努力は農家や産地、販売組織にまず求められるものです。しかし、県内地場産業をささえる県の果たすべき役割はたいへん大きいといわなければなりません。

 私は一昨年の質問で、和歌山県のミカンは京阪神市場では高い評価をえているが、東京のど真ん中では弱い。全国ブランドとして復活するには、お世話になっている京阪市場を大事にしながら、この東京の中心市場に果敢に攻めることがどうしても必要だと訴えてきました。今回、11月17日に木村知事がはじめて東京の大田市場にトップセールスに行っていただき、生産者のキャンペーンを励ましていただいたことはたいへん大きな意義がありました。地元JA等もたいへん喜んでいました。あらためてお礼を申し上げます。

 知事がキャンペーンをした次の日には有田ミカンの新聞1面広告が関東から東北にかけて掲載され、有田ミカン5キロ箱30ケースプレゼントとうコーナーに、なんと2万通をこえる応募ハガキが舞い込み、電話注文も朝から鳴りっぱなしだったということです。くわえて市場の協力もえて関東圏の200箇所の量販店で販促ビデオも使って店頭キャンペーンが取り組まれました。これらを通じて和歌山のミカンのブランド力が大きく高まったと関係者も喜んでいます。ぜひこの流れを今後も一層強めていただきたいと願うものです。

県による、この間のミカンの価格対策および販売戦略について知事ならびに農林水産部長から答弁を求めたいと思います。特に知事からは大田市場などでのキャンペーンの感想や今後の県としての取り組みの決意をお聞かせ願います。

 次に、魅力ある新品種を生み出すための取り組みと体制についておたずねします。先ほど申し上げました2年前の一般質問で、和歌山県は四国や九州の各県に魅力的な新品種を生み出す点では取り組みが大きく遅れをとっている、10年ほどは枝代わり以外の新品種も出ていない、こんな農家の声を紹介しながら、閉塞感になやむ農業経営の中で、消費者や市場のニーズにマッチした魅力的な新品種への期待が強く寄せられていると訴えました。この2年間、この問題にどう取り組み、取り組みや体制がどう前進し、今後どう取り組んでゆくのかをお聞かせください。

 3つめに、この間農家の皆さんのお話を聞くと、熱心な農家は愛媛や九州の果樹試験場によく勉強に通っておられます。そしてそれらの試験場はたいへん熱心だというんですね。それに比べて和歌山の試験場は研究員も3年ほどでコロコロかわっていて、あんなんでは腰をすえた研究なんかできるはずがない、品種改良ができないのもそんなところに原因があるのではないかとの厳しいご意見もいただきました。私が調べてみますと、この10年間で果樹試験場を人事異動で離れた職員でみると、試験場での勤続年数は4年以下というのが実に75%をしめていました。試験研究機関の現場に機械的な人事異動をあてはめては無理があると思います。新品種を生み出すための研究員の配置や人事異動期間についてどう考えているのか、以上新品種の育成にかかわっての2点を農林水産部長から答弁をお願いします。

 

《答弁 木村良樹知事》

 

ブランド化できるようなみかんをどんどん生産するようなことに支援をしていきたい。新しい品種をどんどんやっていくことで、付加価値を高めていくことが非常に大事だ。

 

《答弁 西岡俊雄 農林水産部長》

 

平成17年は品質は良好で市場で高い評価を得ている。市場価格の平均はキロ当たり160円を下回る水準で推移している。11月19日から30日まで、主要生産県8県の生産者団体が中心になり、早生みかんの緊急出荷調整をおこない、回復の兆しがみえてきた。和歌山ブランドの強化につとめ、流通の多様化に対応した販路開拓にとりくんでいきたい。

現在、果樹試験場において「ゆら早生」「田口早生」を親とした優良系統の選抜にとりくんでいる。昨年度、育種研究体制の強化を図るため、新たなプロジェクトチームを編成し、浮き皮がなく高糖度な年内出荷用みかんの育成をすすめている。試験・研究の成果が早期に産地還元できるよう、研究員の適切な配置に努める。

3、県内小中学校におけるエアコン利用料徴収について

 

 次に、県内小中学校におけるエアコン利用料徴収についておたずねします。教室の温度調査などのデータでも明らかなように、子どもたちが学ぶ教室の学習環境はたいへんな状況にあります。

このほど吉備町では、扇風機やエアコンの設置を求める住民の願いにこたえて、再来年度までに小学校3校と中学校1校にエアコンを設置すると表明し、すでに今年度から設置が始まっています。たいへん積極的な対応だと思いますが、このエアコンの利用料を保護者から徴収する計画があるとお聞きしました。エアコン設置は県内でまだまだ例が少ないのですが、高等学校等とはちがって義務教育の学校ですから、その暖房費や冷房費等の水道光熱費を保護者から徴収するという例は、県内でも全国的にも聞いた事がありません。保護者・住民からはとまどいの声が上がっています。市町村立の義務教育小中学校でエアコン利用料の徴収をすることについて、県教育委員会の基本的な考え方を教育長よりご答弁願います。

 

《答弁 小関洋治教育長》

 

 小・中学校の教室にエアコンを整備することは、児童生徒の学習環境を大幅に改善する点で意義あるもの。校舎の新設時や大規模改造をおこなう際に、国庫補助制度ももうけられている。

 義務教育である市町村立小・中学校における光熱水費等の維持経費は、学校設置者である市町村が本来負担するものであると考えている。

 

4、道路問題 
(1)近畿自動車道4車線化にともなう県道吉備金屋線バイパスの見通しについて 
(2)県道海南金屋線トンネルの調査内容と到達点について 
(3)国道424号金屋町西ヶ峯地内危険個所の対策について 
(4)県道吉原湯浅線吉備町吉見地内の道路整備について

 

 最後に道路問題で4点おたずねします。

まず第1に今議会の補正予算案で債務負担行為の設定として提案されています吉備インターチェンジ改良の取り付け道路に関連して、近畿自動車道海南吉備間4車線化にともなう県道吉備金屋線バイパスについて、今後の整備・供用開始等の見通しをご答弁いただきたいと思います。

 第2に、県道海南金屋線のトンネル計画についてうかがいます。県内陸部を南北に縦断する道路軸に位置付けられ、海南と有田をむすぶトンネルとして地元の期待が大きい計画ですが、長く調査が続いているのになかなか先が見えてこない状況があります。いったいどのような調査をどこまでやってきたのか、その到達点を費用も含め具体的にあきらかにしていただき今後の方向をお示しいただきたいと思います。

 第3に、国道424号金屋町西ヶ峯地内の危険個所対策についてお伺いします。この地点は木村知事にも昨年春の生石山山焼きのあと現場を実際に見ていただきましたが、軽自動車も対向できない狭く危険な未改良区間が続き、大きな事故がおこった個所です。土砂を積んだ大型ダンプがゆきかい、狭くても一応国道ですからカーナビが積極的にこの道を選択する事もあって他府県車両の交通量も多い路線です。町内の区間の中でも特に急いでいただきたい部分として地元からも要望があがっていたところであり、この区間の改良工事の見通しについてお聞かせください。

 第4に、県道吉原湯浅線の吉見地内の道路整備についてお尋ねします。この県道は国道42号や高速道路から国道424号へのバイパス的役割を期待されていますが、吉見地内の有田聖園前でプツンと行き止まりになっています。積年の課題として毎年地元吉見区と有田聖苑事務組合から要望が出されており、県道吉原湯浅線の未着工区間の早期完成を強く望むものです。以上4点について県土整備部長より答弁をお願いして私の第1回目の質問を終わります。

 

《答弁 宮地淳夫 県土整備部長》

 県道吉備金屋バイパスについては、国道42号との取り付け部までは、近畿自動車道海南吉備間の4車化とあわせて、供用開始できるようとりくんでいる。

 トンネルについては、現状交通の問題点、飲料水、農業用水への影響をしらべるための井戸、ため池等の現況調査などをしている。今年度は地滑り地区の地質ボーリングなどを予定している。今後は、費用対効果の検証をおこない、計画の熟度をたかめていく。

 国道424号金屋町彦ヶ瀬地区から吉田地区への未改良区間については、地元と協議しながら、順次拡幅整備をすすめている。金屋町畦田と西ヶ峯の中間部約100b間を供用できるよう工事をすすめている。

 県道吉原湯浅線吉見地内の改良については、並行して農免道路が整備されているため、財政状況がきびしいなか、早期整備は困難と考えている。