2005年12月7日、雑賀光夫議員の一般質問と答弁(大要)

1 JR黒江駅の段差解消の問題(要望)
 第一の柱は、JR黒江駅の段差問題についての報告と要望であります。
私は6月県議会で、JRの安全対策をとりあげ、黒江駅のプラットホームと列車の段差が大きいということを問題にしました。担当の企画部長は、私の質問通告をうけて、JR黒江駅に足をはこばれ、「バリアフリー法を活用するのがいいのではないか」と前向きの助言をいただきました。この問題は、これまでも地元自治会も生徒が利用する智弁学園でも課題としてきたものでありますが、なかなか前に進んでいませんでした。しかし県議会で企画部長が前向きに答弁してくださるということはたいしたものであります。海南市をふくめて、一気にほうっておけないという機運が高まりました。海南市長も積極的にJR支社に働きかけをされました。JR黒江駅に行ってみますと、駅員さんがおっしゃいます。「和歌山支社からえらいさんがきて、なるほど段差が大きいなといって帰りましたよ」というような具合であります。地域でもみなさんが署名を集めてJR和歌山支社にもおとどけしました。
 ところで、ここでひとつの問題が起こりました。バリアフリー法を適用しようとすれば、バリアフリーの大掛かりな計画をたてて、駅とその周辺の全面的な改修をしなくてはなりません。しかし、いま、住民の皆さんが緊急に求めているのは、プラットホームのかさ上げであります。いま、JR和歌山支社と海南市の間でも、問題解決のための協議が始まっているとお聞きしております。私も3日間つづけて通勤時間この駅前に立って署名を訴えましたが、海南市だけでなく、和歌山市にお住まいの方も多く利用されます。今年度で乗降人数は5000人を越すと考えられるのですが、来年、再来年と智弁学園の児童数が80人ずつ増え、控えめに見て80%がJRを利用すると見ても往復で250人も増えることになります。県に置かれましても、応分のご支援をお願いいたします。
 以上は、報告と要望であります。

2 教職員の採用や正規採用でない教員の勤務条件について   
@学校現場ではたらく正規採用でない教職員の人数は
A条例・予算できめられた定数をなぜ正式採用しないのか
B正規採用でない教員の勤務条件は、どうなっているのか。
C採用試験の問題について

 第2の柱は、教育の問題です。子どもと教育の問題といえば、いま、小学校一年生の女の子が殺害されるという痛ましい事件がつづいています。県民ぐるみで子どもを守らなくてはなりません。
それはさておき、今日は学校現場での講師などの教員の問題についておうかがいしたいと思います。
 ある職場で、若い女性の先生が妊娠されました。同僚は当然、「おめでとう」というところです。けれども、その言葉がつまってしまったといいます。なぜかというと、その先生 は、一年間その学校で勤める予定でしたが、出産と同時に退職しなくてはならないからです。講師の先生だからです。学校現場には、本来、正式の教員が採用されるべきであるのに、必要な人数の教員を採用試験で合格させずに、試験で合格していないことを理由に、講師として採用されている教員が、数百人いると見られています。これを私たちは、定数内講師と呼んでまいりました。県議会で定められた教員定数の枠内、文部科学省で定めた国庫負担の枠内、県議会で認めた予算の枠内でありながら、教育委員会が教員採用試験の枠を絞って、採用対象者を確保せず、免許証を持ちながら講師とし採用されているのです。
 いま、学校現場では、若い先生が大変少ないのです。小中学校について、人事委員会が作成された資料で見ますと22歳から59歳まで、37年間、その期間を4つに分けて、22歳から31歳までの年齢層の教員、人数は5%しかいないのです。学校現場が救われているのは、その年齢層の講師の先生が数百人いるということによってであります。しかし、その若い先生方は、来年は採用されるかどうかわからない、子どもとの取り組みをしながら採用試験のことを気にしなくてはならない、結婚していても子どもを生むこともできないという、大変不安定な状況におかれているわけであります。
 いま、中学校では「部活動をもってくれる若い先生が少なくて大変」という管理職の方からの悲鳴が出されています。部活動にかぎらず、若い先生というものは、児童生徒との年齢差が小さいために、子どもたちに溶け込みやすいという、特別の教育力を持つものです。ベテランの先生の経験や教育的力量、若い先生の未熟であっても子どもにとけこむ力、女性の先生の優しさなど、さまざまな先生の特性がハーモニーをつくって学校を構成します。そのことは、議員の皆さん、当局の皆さんも自分の小学校時代、中学校時代に接してこられたさまざまな先生への思い出からご理解いただけることと思います。
 いま、団塊の世代の退職問題があって、優秀な教員を確保することが大きな問題になっています。大阪府が近県から教員の引き抜き採用することについて、和歌山県教委が抗議したことがありました。このままでは、和歌山で定数内講師として経験をつんだ優秀な教員が、大阪に引き抜かれるということが起こっているのではないでしょうか。
 そこで、教育長に質問いたします。
 第1点 学校現場で働いている私が定数内講師と呼んだ先生は、何人おられるのか、明らかにしていただきたい。
 第2点 教員採用枠を広げれば、「定数内講師」でなく正式採用の先生を入れることができるわけですが、そうしない理由は何なのか、明らかにしていただきたいと思います。                                                                        
 第3点 定数内講師、その他の講師など、働くものの権利をどう保障されているのでしょうか。すべてお答えいただけないと思いますので、母性保護と少子化問題にかかわって重要な問題である、産前産後休暇、育児休暇、およびその補充教員の配置についてお伺いいたします。
 第4点 教員採用試験の問題にかかわって言えば、何回も、一次試験に合格し、補充教員や定数内講師として苦労してきていながら、二次試験で何回も落とされているという方の話を多くお聞きします。一方では、初めての採用試験ですいすいと通っていく方もいらっしゃる。何年も学校現場でがんばっているということは、毎日毎日、子どもや保護者、同僚教員や校長の面接を受けてきているわけです。たった20分ぐらいの面接で、そういう方がふるい落とされるというのは、面接官というのは、それほど人を見分ける能力をもっているのだろうかという皮肉も言いたくなるといいます。現場でためされ、和歌山県の教育を支えてきた講師経験者を優遇してもいいのではないかと考えるわけですが、教育長の考えはいかがでしょうか。


《答弁 小関教育長》

 はじめに、教職員の採用や講師の勤務条件についてお答えいたします。
 学校に配置しているいわゆる定数内講師の人数は、小・中学校では315人、県立学校では135人です。
 こうした講師の多くは、少人数指導やティーム・ティーチング、学習支援などの特別な措置として弾力的な配置をおこなっており、この数は毎年変動するため正規の教員採用枠にその数を反映させることは困難であります。
  教員の採用人数については、平成16年度からは100名を超えており、平成18年度は150名が合格しております。
 また、採用検査にあたっては、公正、公平な立場のもと、より優秀な人材を確保するため、講師経験者に第一次検査の一部を免除するなど特例を設けるとともに、面接員に民間人を起用するなどの改善を行っているところです。
 なお、こうした講師に関して、育児休業は長期にわたるため認められていませんが、産前産後休暇は認めており、この期間の補充者を配置することもできるようにしております。

《雑賀県議再質問》

再質問と要望を申し上げます。
 第一は、教育の問題、とくに定数内講師の人数があまりにもおおいことと、採用試験合格人数の関係であります。
 県議会で定数条例をさだめ、予算枠を定めたわけですから、教育委員会はその枠をいっぱいにつかって教育のために勤めるのが責務ではないかと思います。
 担当者の話を聞いていると、教職員定数がいきなり減らされたら、生首を切らなくてはならないという心配をしておられる。
 少し専門的になりますが、教員の定数は、県下の学校数・学級数にしたがって算定されます。それに加えて、少人数指導などの名目で加配されている教員が300人ぐらいいるといわれます。すべて、半額国庫負担の教員です。この300人が毎年配置される保障がないといいます。
 いくら国の財政が厳しいといっても、それをバッサリ切るということは考えられません。三位一体の財政改革で、県にまかされたとしても、知事は「教育は大事だ」と繰り返し言明されているわけですから、大幅な減員はないでしょう。小中学校では昨年は250人程度の教職員が退職しています。学校統廃合や生徒数減少による定数減がそんなに多いわけではなく、昨年から今年にかけての減は89人です。
 教職員定数がバッサリ減らされるとなれば、身を挺して抵抗しなくてはならない教育委員会が、バッサリ減らされても対応できるようにして、首を差し出しているように見えます。
 どうして採用試験合格者をふやして定数内講師をへらすことができないのでしょうか。しかも昨年の決算委員会では「定数内講師解消に努力している」と答弁しているのに当時310名であった定数内講師が315人に増えている。どうしてこういうことになるのでしょうか。

《答弁 小関教育長》

 再質問にお答えいたします。教職員の定数と採用試験の関係でございますが、教職員定数というのは極めて流動的なものであるということは、先ほど申し上げたとおりです。特に、定数内講師を配置している多くのケ∵スは毎年内容が変わってまいります。特別な措置という性格は、まず基本的に一つあるということです。
もう一つは、この少子化傾向が極めて急激に進んでいるなかで、学級数減は極めて深刻な状況にあるということです。これは教員定数に跳ね返ってまいります。
それから、3つめには市町村合併が、今、急速に進んでいる中で学校の統廃合が平行して行われているわけです。これは、それぞれの地方の状況によってやむを得ずそういう結果が出てくるわけで、そのことも見込まなければなりません。
それからもう一つ、まもなく団塊の世代が退職する時期にさしかかりますけれども、この定年退職の人数は当然読めます。ただし定年に達する前に退職される方、これを若年退職者と呼んでおりますが、この方々の人数は非常に読み切れないものがあるわけです。
そういうこともあって、先ほどお答えしましたように、仮に、400人あまりの定数内講師がいたとしても、それをそのまま採用者の人数に反映させることは難しいということになるわけでございます。
 それらも含めながら′、採用試験の際の募集人数については、より計画的に様々な要素を加味しながら幅広く検討してまいりたいと思っております

《雑賀議員質問》

3 河川の治水と利水の関係について

第3の柱は、河川改修にかかわる問題です。
 私は、これまでも河川災害が心配される中で、河川改修予算が減らされていることの問題を指摘してまいりました。本日は、そのことを前提としながら、少ない予算の中で、その有効利用のための提案をしたいと思います。
これまでも取り上げてきた亀の川流域、阪井の下川原という地域で、大雨が降ればすぐに川があふれるというお話をしたことがございます。実は、この亀の川は、周辺の農地の灌漑に大きな役割を果たしてきた川でありまして、いたるところに堰が設けられ、そこから田んぼに水を引くようになっています。堰の上流は水位が高くなり、すこし増水すれば、川があふれるわけであります。
 川を広くすることができれば問題はないのですが、それは簡単にはできません。それを別とすれば、この川の氾濫を防ぐ方法は技術的には二つありまして、ひとつは、堰の上流の堤防を高くすることです。もうひとつは、堰を可動堰にして、水量が多くなるときには、堰を倒すなりなんなりすることです。自動的に倒れるもの、手動で倒すもの、板をはさんでおいてそれを抜くものなどいろいろあるでしょう。また、もしもいらない堰があるならとっぱらえばいいのです。
 この二つの方法に必要な予算を考えて見ますと、おそらく堰をさわるのにくらべて、上流の堤防のかさ上げとなると、何倍、何十倍もの費用がかかることが考えられます。
 ところで、堰を改良しようということになると、それは設置者である水利組合の仕事になります。水利組合がお金をださなくてはならない。しかし、農地の宅地化がすすんだ地域では、水利組合の力がよわくなっている場合があります。いまさら、堰をさわるために水利組合としてお金を出すわけにはいかない。堰の中には、利用する農地が少なくなって、必要ないものもあるかも知れません。
 そこで提案であります。河川管理者である県として、堰の問題は水利組合の問題だとするのでなく、堰を改良したり必要がなくなった堰を撤去するなど、県としてお金を出してはどうでしょうか。やり方としては、河川管理者として代行する方法、農林行政から、水利組合に補助する方法など、いろいろあるでしょう。上流の堤防のかさ上げをするよりも、ずっと少ない費用で、河川の氾濫を防げるのではないでしょうか。
 もちろん、水利権の問題というものは、複雑でむずかしいということはよくわかっています。しかし、水利行政と治水行政のあいだに厚い壁をつくったままでいいのかと考えます。
 私の提案について、県土整備部長のお考えをお伺いしたいと思います。

《答弁 宮地淳夫 県土整備部長》
 

堰の撤去・改築について、お答えいたします。
河川改修は、近年の災害の状況や、土地利用の状況、上下流や左右岸の整備状況のバ
ランス等、治水・利水を考慮し、緊急性の高い区間からに進めることとしています。
堰の撤去・改築につきましては、水利上の原因による場合は、原則として、原因者の水利利用者が実施するものと考えております。
一方、河川改修に伴って堰の.改築等が必要になる.場合には、これは河川管理者が実施することとなります。
今後も、′財政状況が厳しいなかではございますが、色々 と工夫して効率的・効果的な治水対策を推進してまいりたいと考えております。

《雑賀県議要望》
 海岸の堤防の問題、大変な仕事ですが、国のほうでも問題意識をもって検討されているともお聞きしますので、よろしくお願い申し上げます。

 《雑賀議員質問》

4 津波対策・海岸護岸について                      
@県内と海南市の海岸護岸の耐震診断は
A県内と海南市の海岸護岸の高さは

 第4の柱は、津波対策であります。
 2月の県議会で、海南市は県内でも一番津波に弱い町であるということを申し上げ、県下で最初の水門の遠隔操作について予算化されたことについてのお礼を申し上げました。
 津波災害は、行政施策だけで防ぎきれるものではなく、地域の自主防災組織で、住民が助け合って逃げることを基本にしたとりくみを強めなくてはなりません。そのことを前提にしながらも、津波被害を最小にするための、防災対策を急がなくてはなりません。
 海南市の場合、深い入り江に入り込むにつれて高くなる津波を防ぐための堤防を確保する必要があるわけであります。串本・田辺など、南海・東南海地震が起こった場合、真っ先に津波に襲われる地域への対策は、もちろん重要です。海南市の場合は、多少の逃げる時間はあるわけですが、津波で被害をうける地域の広さやそこに住んでいる住民・家屋の数は、県が作成されたハザードマップによってみれば、大変に多いという状況にあります。
 ところで私は最近、大変心配な記事を目にしました。11月9日の朝日新聞ですが、「耐震性調査 護岸8割、未実施 会計検査院 国交省に対策促す」という見出しの記事であります。その記事を見ると、「調査実施率10%未満は、和歌山県のほか5県」とあります。
さらに、ご丁寧にも「和歌山県は、堤防・護岸が想定される津波を上回る高さを確保する割合も33%と低く」とかかれています。
 少し前に、「堤防が想定される津波よりも低い」という問題で、海南市がとくに深刻な状況にあるという新聞記事も眼にしました。
そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
第1点 会計検査院が報告している、和歌山県の護岸耐震調査の実施率が低いという問題を、どう受け止めておられるのでしょうか。また、どういう対応をされるのでしょうか。
第2点 堤防の高さの問題では、和歌山県の実態はどうなのでしょうか。とくに海南市の日方、船尾、名高などの中心市街地などはどうなのでしょうか。また、その対策はどう考えておられるのでしょうか。

《答弁 宮地淳夫 県土整備部長》

 まず、本県沿岸部における堤防・護岸等の耐震調査については、地震津波対策先進地域である東海・三陸沿岸各県に比べ、本県を含む東南海・南海地震津波の被害が想定される沿岸各県においては、耐震調査の実施割合が大変低いのが実状です。
 このため、県内において今年度より、緊急を要する箇所から耐震調査に着手レたところであり、今後とも鋭意調査を進めて参りたいと考えております。
 次に、沿岸部の堤防・護岸高さが想定津波高さよりも高い割合は33%となっており、海南市域においては、想定津波高さよりも高い堤防・護岸はほとんどないのが現状であります。

《雑賀県議要望》

 河川と堰の問題では、すこし新しい角度で問題を提起しました。そう簡単に答えが出る問題でもありませんが、私の意見も参考にしていただけたらと思います。

 《雑賀議員質問》

5 社団法人・和歌山人権研究所への不正支出について
@ 調査結果を踏まえて、どうしてこういう問題がおこったのか、今後のとりくみなど 
A 不正支出は本当にこれだけか。                   
B 同和委員会からの支出はどこに返還するのか。          
C 過去の事業にさかのぼって補助をおこなうことができるのか。  
D 不正支出にかかわった団体への補助というのはどうか。     
E 社団法人への指導などの対応をどうしたのか。

 第5の柱は、先の県議会で質問し、知事が調査を約束された、紀州藩牢番頭家文書にかかわる社団法人和歌山人権研究所への不正支出にかかわる問題です。調査結果など記者発表されました。
 記者発表資料によって私なりに整理してみますと
第1 県同和室は、和歌山県部落解放人権研究所から、紀州藩牢番頭家文書の編纂事業への支援要請をうけていたが、正規の補助金として予算化することは、検討されなかった。
第2 平成11年度から3年間の間に、県同和室から2,931,500円、県同和委員会から1,520,400円が、書籍代等の名目で、研究所が実質的に運営する出版社に振り込まれ、その後、研究所の編纂事業会計に振り込まれていたということです。
 この際、解放出版社和歌山支局による架空の請求書,架空の納品書が発行されており、県や同和委員会は名目をいつわった支出票や支出調書を作成していたとして、記者発表資料にも添付されました。
 私は、前回の質問で、研究所が和歌山市に提出した「事業報告書」では、5,862,500円の補助金をうけとっていることになってことを申し上げました。平成11年度から15年度までに及んでいます。その事業報告書と今回の県がおこなった記者発表資料を比較して見ますと、初年度である平成11年度だけは、金額が、ぴったり合うわけですが、他の年度は、金額があいません。平成14年度、15年度は、県は支出していないという報告でございます。
第3 書籍代など消耗品費として支出したということですが、「消耗品の支出については、財務規則上、課室長の権限でおこなうことができた。」だから、同和室長の権限で支出したということです。
第4 「県の調査により判明した4,451,900円を社団法人和歌山人権研究所に対し返還を求めます。」とし、さらに「改めて、正式な補助金として同研究所に交付するための検討を行います」としています。
 そこで、質問であります。
第1点 私が要約して紹介しました調査結果について、大筋間違いはないでしょうか。調査結果を踏まえて、どうしてこうした問題がおこったのか、今後どうしていくのか、知事のお考えをお伺いいたします。
第2点 不正支出は本当にこれだけなのでしょうか。人権研究所が和歌山市に提出した実績報告との食い違いがある。それがいつわりであるとしたら、人権研究所からそれに代わる信頼できる報告を受け取っているのでしょうか。
第3点 支出した全額の返還を求めるといいますが、そのうちの1,520,400円は、同和委員会から支出したものであります。いったん県議会の議決を得て、同和委員会に支出されたものです。同和委員会は解散した今、いったいどこに返還するのでしょうか。 以上2点は、企画部長にお伺いいたします。
第4点 「改めて、正式な補助金として同研究所に補助することを検討する」としていますが、「紀州藩牢番頭家文書」の出版事業は、平成15年度で終了しています。過去の事業について、どういう手続きで、どういう根拠にもとづいて補助をおこなおうというのでしょうか。そんなことができるのでしょうか。総務部長にお伺いいたします。
第5点 不正支出にかかわった団体の責任はまったく問わずに、その団体に補助するなどということは、県民の理解を得られないと思いますが、企画部長、いかがでしょうか。また、社団法人への指導という点で、県教育委員会は、どういう対応をなされたのでしょうか。教育長にお伺いいたします。
《答弁 木村良樹知事》 
 社団法人・和歌山人権研究所への不正支出についてのご質問でございます。
今回の不適切な支出の問題につきましては、過日、調査結果や職員の処分、今後の対応などについて順次発表させて頂いたところでありますが、改めて私からも県民の皆様方におわびを申し上げたいと思います。
 この間題の原因としてはこれまでも発表致しておりますが、正規の予算要求をせず別の経費の流用を可能にしていた事務的な問題とともに、地対財特法の執行を控え、業務に精通した職員を長期にわたり関連部署に在籍させる結果となったことによるものであると考えております。
 いずれにいたしましても、今回の問題を貴重な教訓として、適正な事務執行に万全を期することは当然でありますが、民間団体との関わりあいにつきましても疑惑を招くことのないようより一層主体的な行政運営に心がけて参りたいと考えております。
 なお、不適切な支出の取り扱いについては、今後返還を求めていくとともに、改めて補助金として交付することも検討し議会の御意見を充分承りながら進めて参ります。
 このように考えております。

《答弁 高嶋洋子企画部長》

人権研究所への不適切な支出に関する3点についてお答え申し上げます。
平成11年度から平成15年度までの関係書類を徹底的に調査し、又、当時の関係者からも聞き取りを行った結果、県が研究所に対し支出したことを確認した金額は4,451,900円でございました。
また同和委員会からの支出はどこに返達するのかということについてでございますが、和歌山県同和委員会の解散にともない同委員会の文書や財産は県が引き継いでおりますので、今回の研究所からの返還金も県で受け入れることになります。
また、今回の不適切支出の責任は主に県にあると考えておりますので、同研究所へ補助金を支出することは問題無いと考えております。

《答弁 小関洋治教育長》
 「社団法人和歌山人権研究所」につきましてお答えします。
 当該法人に対しては、本年8月に実施した定期検査に加え、先月、実行委貞会形式となっている牢番頭家文書編纂会における収支状況も調査・確認いたしました。
 その結果、当該法人の資産管理及び収支状況はもとより、実行委員会形式の牢番頭家文書出版に係る収支等についても、公益法人として不適正と判断される事実は認められておりません。
 今後、社団法人和歌山人権研究所が法人として適正に運営されていくように指導・監督してまいりたいと考えております。

《答弁 原邦彰総務部長》
 補助金については、地方自治法第232条の2で「普通地方公共団体は、その公益上の必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」と規定されており、過去に遡って支出する場合であっても、特に補助対象とすることを必要とする積極的かつ合理的な理由があれば可能であるとされております。

《雑賀県議再質問》
 人権研究所への不正支出の問題です。県当局の答弁は、この問題での県民の疑惑を一掃するものにはとてもなっていません。
 本日の答弁では、確認された金額は450万円程度だというが、人権研究所が和歌山市に提出した報告では、580万円あまり。人権研究所は、県から返還を求められたら450万円だけ返還するのだろうか、560万円あまりを自主的に返還するのだろうか。人権研究所は県民の前に何のコメントもしていませんが、公益法人で県からの助成をうけるのであれば、だまっていることは許されないだろうと思います。
 この議会だけですべての問題を解明いま、多くのみなさんが、この問題にメスをいれようとしていますが、県民の疑惑をはらせるよう、真摯に対応していただけるように希望いたします。
 1点だけ、この場で総務部長に再質問させていただきます。それは、いったん返還させておいて、次の議会で予算化するという問題にかかわってであります。
 私は行政法の専門家ではありませんから、素朴に、2年前に完結した事業にいまさら補助金をだせるのかという疑問をもって質問したわけです。総務部長は、地方自治法の条文を引用されましたが、それは一般的に補助金をだすことができるというだけのことであって、私の質問に答える条文ではありません。それにつづいて「積極的かつ合理的な理由があれば可能である」と断言されていますが、なんらその根拠は示されておりません。
 一方で地方自治法施行令という政令があります。その143条に(歳出の会計年度区分)というものが定められていることをご存知でしょうか。その第1項第4号 
「四 工事請負費、物件購入費、運賃の類および補助費の類で相手方の行為の完了があった後支出するものは、当該行為の履行があった日の属する年度」
とされています。
 補助の当該行為は、平成15年で終了しています。今年は、平成17年度であります。この規定について、どうお考えなのかお聞かせください。
 さらに申し上げますと、財政担当者の方に、私を納得させるような手引きでもあるのかとお尋ねして、手引書をもってきていただきました。そこにも過年度に終了した事業について補助するなどという問題は、とりあげられてもおりません。
 なお「積極的理由」という問題にかかわって参考のために申し上げて起きますと、
牢番頭家文書「城下町警察日記」というのは、清文堂史料叢書第111刊として出されたものです。同様な学術的価値のある古文書が、110刊出されています。その中には、田辺万代記全18巻はじめ、和歌山県内の史料も多数ふくまれています。しかし、文化遺産課にお伺いすると、県としてそうした古文書の発掘に財政支援したことはないといわれます。県のどこかの部署で補助したことはあるでしょうか。

《再答弁 総務部長》
 「年度を越えた補助が可能かどうか」という政令を踏まえたご指摘ですが、この点につきましては地方自治法を所管しております国にも確認いたしましたが、一般論として年度を越していても特に補助対象とすることを必要とする積極的かつ合理的な理由があれば可能であるという見解を得ております。ご指摘の政令の規定は−般的な規定として理解しております。
それから事例があるのかというお尋ねでございますが、この点につきましては承知しておりません。
 いずれにいたしましても、私が御答弁申し上げましたのは一般論で、そういうことが可能であるのかどうかということについてでありまして、先ほど知事も御答弁申し上げましたが、具体的に補助を検討する段階で、「積極的かつ合理的な理由」ということについては、今後検討する必要があると思ってございます。