2006年3月8日、藤井健太郎議員の質問(大要)
1、 格差社会の認識と県の基本姿勢
(1) 所得間格差の開きと県民のくらし
(2) 県政のセーフティネットの役割
2、 社会保障、福祉施策について
(1) 国民健康保険の資格証明書、保険料、自己負担金
(2) 改正介護保険法による施設入所者への影響
(3) 障害者自立支援法での利用者負担増大への対応
(4) 重度心身障害児者医療助成制度の改定
3、 経済、雇用問題
(1) 県経済と産業振興策
(2) 住友金属和歌山製鉄所の雇用、地域経済への貢献
(3) 県内基幹産業でのリストラ問題と地域経済への影響
4、 地震防災対策
(1) 地震防災戦略と住宅の耐震化
(2) きのくに木造住宅耐震化促進事業
(3) 耐震改修制度の多様化
1.格差社会の認識と県の基本姿勢
知事は所信で「日本は格差社会になりつつあると言われております」と婉曲的な言い回しをされています。昨日もこの場で議論がされたところでありますが、最近になって格差社会、縦並び社会ともいわれ、マスコミも特集を組むようになってきました。雇用をめぐる地域格差、労働条件の正規、非正規との格差、大都市と地方都市など都市間の格差、所得による社会的な格差の開きなど様々な格差の広がりが社会問題として指摘されてきています。その中で、今回は県民の中での所得間格差の開きの拡大を中心に、知事ならびに県当局の見解と対応についてお尋ねいたします。本来、国民の所得間格差を是正する役割をもつ所得税や各種の社会保障制度が、所得の再分配機能として有効に働かず、比較的所得の低い人がいっそうの税負担、社会保障負担を強いられ社会的な格差がさらに拡大していることが問題であります。今般の国の税制改正をみても、65才以上の公的年金所得者の最低控除額引き下げ、老年者控除の廃止、住民税非課税措置の廃止など高齢者への課税強化が実施され、年金額は減るのに所得は増えたこととなり、非課税から課税となり、それがさらに国保税、介護保険料に跳ね返ってくることとなります。課税ラインが引き下がり、それにより社会保障負担が増えるということは相対的に低所得の人の負担率が増えることとなります。さらに社会保障構造改革による介護、医療、障害者福祉の制度そのものの保険料や利用料負担の増が重なり、二重の負担増となってきます。つまり国の政策そのものが国民の可処分所得の格差の拡大をもたらし、県民のくらしの圧迫や社会保障・福祉の制度を受けにくいものにしてきているのではないか、そういうもとでの地方自治体のありかたが問われてきているのではないか、と思うところです。県政が県民のくらしや福祉をしっかりと守ってくれるそういう県政であることを願って、知事にお尋ねいたします。
1)所得間格差の開きと県民のくらし
国の税制や社会保障制度の改正により、比較的所得の低い高齢者、障害者など社会的弱者といわれる人の負担が増え、そのことがいっそう県民のくらしを圧迫し、格差社会の拡大につながってきているのではないかと考えるものですが、知事は格差社会といわれだしたそもそもの要因はなんだと考えられているのか、さまざまな要因があると答えられていましたが、政治のありかたに主たる要因があるのではないか。また、県民の所得格差の拡大やくらしの実情、変化についてどのように認識されているのか。
2)県政のセーフティネットの役割
また、知事は所信で「社会的に厳しい状況におかれている方々に対するセーフティネットとしての行政の役割が重要になってくる、そのような方々に温かい心配りをする施策を進めていく」ともいわれています。
国民のくらしのセーフティネットは第一義的には国の責任でナショナルミニマムとして果たしていくのが当然のことではあります。しかし、いま、格差社会が広がりつつある現状のもとで、知事はこれまでにも議会答弁で「県として弱者に優しい県政に少しでも配慮していきたい」といわれてきました。
セーフティネットとしての行政の役割が重要といわれていますが、知事は県政が担うべきセーフティネットの役割について、果たせていると考えているのか。県政における県民のセーフティネットの基本的な考え方はどうなのか。新年度予算では、何をセーフティネットの対象として、予算にどのように反映されているのか。
《答弁 木村知事》
努力してもなかなかその成果の出ない人、構造的に恩恵に浴せない地域がある。行政はやはりそういう部分に目配りをしていくことが非常に大事だ。都市も地方も、元気よく皆が暮らしていけることが日本の国の健全な発展にとって大事だという観点から、いろいろな主張や施策をおこなっていきたい。
財源的な問題もあって、いろんなことができるというわけではないですが、たとえば、悪徳商法にお年寄りがひっかからないような対応措置、小規模作業所がステップアップするための助成、就学前の子どもが病院へかかった場合の費用を無料化していくこととか、そういうふうなことに気を配りながら施策をすすめていきたい。
1)国民健康保険の資格証明書、保険料と自己負担金について
国民健康保険は、自営業者、高齢者、パート労働など被用者以外の人が加入する医療保険で、収入が不安定であったり非課税世帯など所得の低い人の加入が多く、その上、保険料賦課のありかたが世帯あたり、一人あたりという応益割と収入、資産に応じた所得割の合計となっていて、保険料が所得の1割を超えるなど、被用者保険に比べると保険料負担が割高になっているという特徴があります。
一定の所得以下の人には保険料の減額制度が設けられていますが、前年度所得に賦課されるため病気、倒産、失業など年度途中での収入減による現年度対応が不十分な点もあり、保険料滞納へとつながる人もあります。
保険料滞納世帯に対しては、保険者から被保険者証のかわりに国保の資格を証明する資格証明書が発行されています。資格証明書で医療機関を受診すると医療費の10割の支払いを求められ、いったん医療費の10割を支払って、後日、保険料の一部を支払うと保険から7割分が返還されることになっています。しかし、ほとんどの保険者は滞納保険料の未払い分の補填にあてるとしています。資格証明書をもつ人が救急車で搬送され、即日入院となっても後日、保険料の支払いができなければ保険給付が受けられません。滞納保険料の一部を払って7割償還を受けても未払い保険料の補填にあてられ、医療機関での3割窓口負担金の支払いが困難となる人もあります。
医療保険証はまさに県民の命綱であり、国民階保険制度を維持する上でも支払い能力に応じた保険料設定と経済的理由などによる保険料、自己負担金の減額制度が有効に機能することが県民の命と健康のセーフティネットとして重要なことだと思うところです。そこで福祉保健部長にお尋ねします。
@国民健康保険料の滞納による資格証明書、短期被保険者証の発行はどのような基準でなされているのか。また最近の推移はどのようになってきているのでしょうか。
A4月に設立される「和歌山地方税回収機構」では、国保税、国保料の滞納処分も取り扱うこととなっているようですが、県民の生存権が損なわれるようなことにはならないか。
B医療機関窓口での自己負担金についても、国保法では減額できる規定がありますが、県内の自治体では適用されているのか。されていないとしたら適用していくようにするべきではないのか。どのような考え方をもっているのか。
《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》
資格証明書は、特別の事情がないにもかかわらず保険料を1年以上滞納した場合に被保険者証にかえて発行する。短期被保険者証は、納付相談や納付指導をおこなうため、3ヶ月や6ヶ月など有効期間の短い被保険者証を交付するもの。本年1月末現在、全加入世帯数約23万7千世帯のうち、資格証明書が4710世帯、短期被保険者証が9341世帯に交付されている。
和歌山地方税回収機構で国保税の滞納処分を取り扱うことについては、同機構への移管は市町村の判断でおこなわれる。悪質でやむをえないケースのみが移管されるものと考えている。
一部負担金の減免は、法で災害その他の特別な理由がある被保険者については、一部負担金を減免することができる旨を定めており、市町村においてこれが適切におこなわれるよう助言していく。
2)改正介護保険法による施設入所者への影響について
昨年10月より介護保険3施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設での入所者の居住費と食費が全額自己負担となり、年金収入で年間80万円を超えると、月々の利用料が標準で1万5千円から3万円の負担増、ユニット型に入所している人はそれ以上の負担が増えています。
9月議会で福祉保健部長は、入所者の居住費、食費の負担増については低所得者への軽減措置がとられており、適正な実施について支援を行うと答弁されていました。
そこで、福祉保健部長に軽減措置がうまく機能しているのか、どのような支援を行ってきたのか。お尋ねいたします。
@県内での施設や施設入所者への影響をどのように把握されているのでしょうか。
A世帯全員非課税の場合は、市町村へ申請をして負担限度額認定証の交付を受ける必要があります。市町村では全て把握されているはずで、申請を待たずにできるはずでもあります。該当者には全て交付されているのでしょうか。
B社会福祉法人と自治体が負担しあって利用料の負担軽減をするいわゆる社会福祉法人軽減制度の適用はどのくらいあるのか。すべての社会福祉法人で実施されているのでしょうか。
C高齢者夫婦2人くらしで一方が個室に入った場合に、残された配偶者の年収が80万円以下、預貯金450万円以下の世帯での軽減制度の利用はどのくらいあるのか。残された配偶者の年収が80万円以下の場合というのでは、生活ができません。あまりに低すぎるのではないかと思うところです。これでは必要があるのに個室に入ることもできなくなります。
D新年度税制改正によって、収入は増えなくても課税世帯となり税負担と利用料負担が増えた上に、さらに1段階以上は利用料負担が引きあがることになりますが、県としての対応は何か考えておられるのでしょうか。
《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》
県内のすべての介護保険3施設及び通所介護サービス事業所に対して、導入後の施設利用者数や料金設定に関する調査を実施し、集計、分析作業をおこなっている。
世帯非課税の場合の負担限度額認定証の交付については、該当者全員に交付された。
施設利用料に対する社会福祉法人軽減の適用については、対象70事業所のうち、60事業所で実施されている。
特例減額措置については、現在県内に適用者はない。今後も、対象になる方の適格な把握につとめるよう市町村に助言していく。
平成17年度税制改正によって、場合によっては利用者負担区分が2段階以上あがる可能性があるが、1年間の上昇にとどめる激変緩和措置が2年間講じられる。ひきつづき国、市町村、介護保険施設等との連携をはかりながら、低所得者対策や社会福祉法人軽減などの適正な実施について必要な支援をおこなう。
3)障害者自立支援法での利用者負担増大への対応
先月、施設に入所していている人の父親からの相談がありました。療育手帳B1、身体障害者手帳3級の障害があって、収入は障害基礎年金と施設での工賃を含め月々8万円から9万円ぐらい、現在の施設への支払いは月3万400円で、手元に5万円ほど残ることになるが、手足の痙攣などがあって医者がよいはかかせず入退院を繰り返している。通院では心身医療の助成対象とならず、入院したときの経費などの負担もあり、手元にはあまり残らない。施設長から4月から食費と光熱水費が全額自己負担となるので、月6万円程度の自己負担になると言われた、そうなると月々2〜3万円ほどしか手元に残らず、医療費や今年から介護保険料の支払いがあり、やっていけるだろうか不安に思っているというものでした。親として親亡きあとの行く末のことを考えてわずかばかりの貯蓄をしてやっているが、それには手をつけたくないということでした。
自立支援法は、障害福祉サービスや更正医療、育成医療、精神通院医療を利用したときに費用の1割を支払う仕組みとなっています。低所得者への負担軽減策として所得が4段階に区分され負担上限額が定められていますが、この人の場合は住民税非課税世帯で年収80万円以上に区分される低所得2に該当し、月24600円の負担上限額に食費、光熱水費が全額自己負担となって月6万円程度の負担ということです。
福祉サービスを受ける場合、低所得者の負担上限額が、生活保護、住民税非課税世帯で年収80万円以下と80万円以上、住民税課税世帯の4区分しかなく、それに食費、光熱水費、国保や介護保険などの保険料負担、医療費負担を考えれば障害基礎年金を主たる収入とする入所者にとっては安心して入所を続けられるのかどうか不安になってきます。
そこで、福祉保健部長にお尋ねします。
@県は国に対して、負担の上限額を定める所得区分段階を4段階からさらに細分化することを求めていますが、県として実施する考えはないのでしょうか。
A施設入所者で重度心身障害児・者医療助成の対象とならない軽度の人が受ける医療費の負担を3割から自立支援医療の負担と同じように1割負担に軽減すること、などの負担緩和策が必要ではないでしょうか。
《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》
国においては、低所得者に対して、個別減免や社会福祉法人減免などきめこまやかな負担軽減措置がなされており、過大な負担にはならない。
県独自の負担区分の細分化や医療費の緩和措置については、社会保障制度全体の給付と負担の均衡など総合的に判断して難しいものと考えている。制度に不都合があると思われるときは、国に対して要望していく。
4)重度心身障害児者医療助成制度の改定について
今年の8月1日から65才以上で新たに重度心身障害者になった人を制度の対象から除くというものです。8月1日以前からこの制度の対象となり受給者証をもつ人は引き続き医療費の助成が受けられるとしています。65才以上で重度心身障害者の手帳を取得した人は、国の老人保健医療で対応していくこととなり、医療費の1割が自己負担となってきます。
そこで、お尋ねします。
@今回の重度心身障害者医療の年齢による助成の制限は、県の姿勢として制度の後退になるのではないでしょうか。
Aもともと心身障害児者の医療費助成制度は重度障害をもつことにより生活基盤が不安定となることから医療費の自己負担分を助成して、障害者福祉の向上に資するものとして実施されてきました。65才以上だから生活基盤が安定しているとは限りません。国民生活基礎調査で見ても高齢者世帯の40%は所得200万円まで、14%が所得100万円までの世帯となっていて、全世帯の所得区分での分布と比較して高齢者は低い所得層での分布割合が多くなっています。その上に病気や事故で重度障害を負った場合、生活に不安を感じるのは同じことだと思うわけですが、高齢になって障害をもった人の生活実態を勘案した上での改定なのか、疑問が残るところでもあります。昨年の9月議会で福祉保健部長は、「社会保障負担については、生活実態を見きわめたきめ細かな配慮が必要であると認識している」という答弁がありましたが、今回の改定についても、65才以上で重度障害をもつこととなる高齢者の生活実態を見きわめた上での提案なのか、どうかお尋ねいたします。
《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》
本制度は、若年期から重度心身障害児者である方は、生活基盤がぜい弱な場合が多く、こうした方々が安心して医療が受けられるようにとの趣旨のもの。65歳以上に新たに重度障害等になった方については、老人保健法により、医療費の自己負担を1割とする特別措置があり、低所得者にたいしては自己負担限度額の措置が講じられている。
3.経済、雇用問題について
全国的には国内総生産、鉱工業生産指数とも伸びを示し、雇用指数でもある有効求人倍率の伸びもみられるものの、一方では実質賃金指数や常用雇用指数は低迷状況にあります。
知事は本県での経済活性化へのとりくみとして、「地域経済への波及効果を見据えた産業振興」をかかげられ、産業イノベーション構想の推進、中小企業融資の充実、企業誘致のための破格ともいえる奨励制度、若年者雇用の推進策としてジョブカフェの充実などの施策を打ち出されています。
最近の工業統計、商業統計をみると本県の事業所数、従業者数とも減少をつづけ、景気動向調査では原油や原材料価格の高騰が価格に転嫁できず経営を圧迫し、資金ぐりも悪化の傾向にあると報告されています。事業所企業統計の雇用をめぐる環境では民営事業所での雇用者総数は減少する一方で、雇用者に占める非正社員、臨時雇用者の割合は増え、雇用者総数の39%にもなっています。有効求人倍率が改善されたとはいえ、近畿では最低の状況にあり、県民意識調査でも雇用の確保を望む声がトップにきており、雇用環境の改善は県政の重要課題でもあります。そこで、商工労働部長にお尋ねいたします。
1)県経済と産業振興策
@県経済の現状と課題をどのようにとらえ、目標をどのように設定して新年度予算に反映させているのか。とりわけ本県において雇用の多くの部分を担っているのが事業所数で80%を占める従業員19人までの小規模零細事業所です。そういう意味でも中小零細企業の経営が存続できるような施策を重視する必要があると思われますが、これだという重点施策としてはどのようなものがあるのか。
A和歌山の地域産業を支えてきた地場産業といわれる木材・木工、建具、家具、繊維、皮革などの製造業の分野、また中心市街地商店街や駅前商店街を核とした町づくりを含めての商業振興策の重点施策にはどのようなものがあるのか。
2)住友金属和歌山製鉄所の雇用、地域経済への貢献
今年の社長年頭あいさつで「17年度連結決算で経常利益2500億円、当期純利益で1900億円という過去最高の収益が見通せることになった、9000名をこえる出向先への移籍、構造改革とコストダウンを着実に実行してきた成果」といわれています。和歌山でも多くの出向労働者が移籍し、下請け企業への下請け単価の大幅カットなどに見られるように県民の雇用や地域経済にも大きな影響をもたらしてきました。
昨年6月に、住友金属和歌山製鉄所は外需の拡大や高収益が見込まれるもとで、上工程更新プランを発表しました。高炉の更新と、環境対策を備えた新コークス炉の建設を行い、生産量を380トンから430万tへと増産し、新鋭中規模製鉄所として将来にわたる存立基盤を強化するということです。
住友金属和歌山製鉄所の動向が、和歌山の地域経済や雇用、県民生活に及ぼす影響はきわめて大きく、自治体行政としても県民のくらしと雇用を守る立場からこれまでの経緯を踏まえると受身であってはならないと思います。
そこで、商工労働部長に、今回の住友金属和歌山製鉄所の事業計画をどのように受け止め、県民の雇用確保と下請け単価改善や地域経済への貢献をどのように働きかけていくのか。お尋ねします。
3)県内基幹産業でのリストラ問題と地域経済への影響
今年1月24日、日本ハムが生産拠点再編の方針を決定し、和歌山工場の6月末での閉鎖を発表しました。工場を訪ね経緯や今後の方針などうかがってきましたが、工場跡地にグループ内の食品工場を建設し、50〜60名の希望者受け入れは想定しているとのことでした。和歌山工場の閉鎖によって260人を越す従業員や原材料の納入業者、専属の保冷車での運送を100%近く担っている運送業者など関係業者約20社とそこで働く従業員の仕事がなくなることになります。また、2月8日には、ノーリツ鋼機が高コスト体制からの脱却を目指してと称する構造改革にとりくむことを発表しました。本社で今年3月20日までを募集期間として400人の希望退職者を募るとしています。
商工労働部長にお尋ねします。
@日本ハム和歌山工場の閉鎖やノーリツ鋼機のリストラ計画による雇用と県経済への影響をどのように考えているのか。
A県として雇用の確保や関係業者の経営破綻を招かないようにどう対応していくのか。当該事業所への要請も含めて、県として積極的な対応をすすめてもらいたいところであります。
《答弁 下宏 商工労働部長》
県のSOHO施設入居者へのアドバイザー設置、共同研究グループへの支援など中小企業や起業家の業績向上につながる事業を推進していく。積極的に企業誘致をすすめる。
「元気わかやま資金」や「小企業応援資金」の融資枠の拡大を図る。
地場産業の支援については、新商品開発や、販路拡大のためのとりくみなどを支援していく。商店街の活性化については、振興組合等が市町村と一体となって実施するハード・ソフト事業にたいして補助していく。
住友金属や協力会社と情報交換を今後もおこなうとともに、やる気のある県内企業が住友金属と取引できるような必要な支援をおこなっていく。
ノーリツ鋼機と日本ハム和歌山工場の構造改革は、短期的には雇用の減少となり、残念な事態と考えている。当該企業にたいし、雇用の場の確保や下請け企業への配慮など、地域経済への影響を軽減するよう要請するとともに、企業体質が強化され、本県において新たな事業展開をしていただけるよう要請や必要な協力をしていく。
4.地震防災対策について
昨年3月の中央防災会議で、大規模地震に関する人的被害、経済被害の軽減について、達成時期をふくめ具体的目標をまとめた地震防災戦略が策定され、それにもとづく地域目標の策定を地方公共団体に要請するとしました。
昨年の9月27日には、中央防災会議決定として建築物の耐震化緊急対策方針が出され、地方公共団体が目標や方針を定め、計画的に耐震改修を促進する仕組みの構築など耐震化に取り組む環境の整備や制度の見直しへの取り組みがいわれています。その中で、住宅の耐震化促進として住宅の耐震化率を今後10年間で90%まで引き上げるとし、住宅の耐震化に関する意識啓発を徹底して実施するとしています。住宅の耐震化は、阪神淡路大震災での犠牲者の約8割が建物の倒壊によるものということからも最大の教訓であります。県内では約15万戸が昭和56年5月以前の建築で、震度6弱の揺れに対して倒壊、大破するおそれがあるといわれています。
そこで県土整備部長にお尋ねいたします。
1)住宅の耐震化を急ぐ必要がありますが、中央防災会議の地震防災戦略でいう住宅の耐震化について、どういう見解をもって臨んでいこうとしているのか。
2)きのくに木造住宅耐震化促進事業について
平成16年度から20年度までの5年間に耐震改修の目標を3000戸と定め、耐震診断の結果、総合評点が0.7未満であり耐震改修工事後の評点が1.0以上となる住宅を対象とし、改修費用の県、市町村それぞれ1/3ずつ合計60万円を限度に補助を行うという事業が実施されています。新年度は3年目となり、計画期間5年間の折り返し点です。これまでの成果と評価、新年度予算を含め計画達成に向けてどのように臨むのか。
3)耐震改修制度の多様化について
住宅の耐震改修や倒壊防止をすすめるには、県民の皆さんの耐震化への意識を高めていくことが重要な課題となります。より積極的に耐震改修をすすめるためにも、より利用しやすい多様な制度であることが求められているのではないでしょうか。そういう点で神戸方式が一つの参考になるのではないかと思います。神戸市では、本県が実施しているきのくに木造耐震化促進事業と同じ内容の事業が実施されていますが、それに加えて瞬時に倒壊に至らない程度の小規模の耐震工事であっても耐震診断と耐震化計画の策定、耐震改修に対する補助制度を今年に入って始めています。また、住宅密集地での住宅の解体、撤去する費用への補助制度を設け、さらに高齢者、障害者世帯を対象にタンス、食器棚、家電製品など家具の転倒を未然に防止するための金具による家具固定促進事業として費用の一部が補助されています。より実用的で利用しやすい耐震震改修制度へと多様化をすすめてはどうかと思いますが、県土整備部長の所見をお尋ねいたします。
《答弁 宮地淳夫 県土整備部長》
中央防災会議で決定された建築物の耐震化緊急対策方針で、住宅の耐震化率を90%に引き上げることとされており、今後見直しをおこなう地域防災計画と、耐震改修促進法にもとづく国の基本方針をふまえ、できる限り達成できるよう促進計画を策定する。
きのくに木造住宅耐震化促進事業は、平成17年度2月現在の申し込み受付状況は、耐震診断1854戸、耐震改修67戸となっている。進まない現状をふまえ、その要因把握のための意識調査を実施している。
高齢化がすすんでいることや、木造住宅が多く改修に多額の費用を要するなどの課題があり、地域の実情にあった耐震化等を推進する観点から、先進地事例も参考にし、耐震改修制度の多様化について検討していきたい。
《再質問 藤井議員》
所得間格差が広がるもとで、県独自の負担の軽減措置は、その是正の有効な手段だ。くらしを下支えしていくために、利用料や負担金の軽減措置の財源を捻出していくべきだ。
《答弁 木村良樹知事》
きびしい状況におかれている人にできるだけしわ寄せがいかないようにということを、県としても国へ声を大にしていっていかなければならないと思っている。県としては限られた財源とか色んな見合いのなかで、暮らしやすいかたちを考えていくことに努めている。