2006年3月7日、松坂英樹議員の一般質問(大要)

 

《質問 松坂県議》

1、市町村合併推進構想について

@  審議会での議論の経過をどうふまえているか

A  県構想の21年度末までの合併は拙速ではないか

 

まず初めに、和歌山県市町村合併推進構想について質問をさせていただきます。県は去る2月14日にこの合併推進構想を発表し、和歌山県内を9つの市と4つの町の枠組みで第2次合併をめざす考えを示しました。その内容は、合併が行われなかった市町村を対象としながらも、合併してホヤホヤの市町村もふくめたさらに大きな枠組みでの合併をめざした組み合わせになっています。

県はこの組み合わせによる合併を、国の法律に合わせて平成21年度末までにめざすとして、審議会答申の発表、知事構想の発表に合わせて各市町村をまわり、説明の中で「合併協議にはやはり3年はかかる。だから来年春から合併協議会を考えてほしい」と話しているようですが、説明をうけた市町村長からも「そんないかにも拙速だ。ようやく合併にこぎつけた市町村が軌道にのるには5年、10年はかかる。とても無理な話だ」との声が出ています。

実際、この間合併した市町村では、合併による効果やメリットが出ている部分もある一方で、住民サービスの低下や、住民への負担増が相次ぎ、合併の効果への疑問が出されています。

私の地元、有田川町でも、改善点として、出産一時金貸付制度や在宅寝たきり老人介護手当て、生ごみ処理機購入補助などが向上した反面、旧金屋や清水では、町単独の農業施策の廃止をはじめ、国保資格証明の安易な発行、福祉タクシー券の縮小、過疎地における結婚祝い金・地場産業振興奨励金など、これ以外にも数々の過疎・定住対策が廃止されました。吉備でも一人暮らし老人への安否確認をかねた乳酸菌飲料の配布が廃止されました。

また県内各地でも、防犯灯補助金の廃止、ごみ袋の値上げや粗大ごみ収集の有料化、シルバー人材センターの統廃合や、各種公共料金の引き上げ、人間ドックなどの自己負担額、し尿汲み取り料金、公衆浴場使用料、水道や下水道料金の値上げなど、紹介しきれないほど様々な分野で住民生活に影響が出てきています。

私はまた、先の県議会補正予算審議の中でも合併の影響を感じました。それは農林水産委員会の審議の中で、緑の山村定住促進事業が当初予算9400万円から4300万円減額補正しておよそ半分に、アグリトライ支援事業でも230万円の減額と、地域を元気付け応援する事業が減額補正になっている、この要因は何かとただしたところ、市町村財政が厳しい中で市町村の予算がついてこれない、また市町村合併で体制も整わずに事業に取り組める状態ではない部分もあったという説明がされました。

この話をある市町村関係者にして、県が予算化していても市町村がついてこられないという点では、ずいぶん市町村も合併で予算を組むのが苦しいんですねとお話しすると、「そんな市町村のせいにせんといてくれ。県が予算をどんどん削ってくるから市町村の財政が苦しくなって予算をつけられないんだ」と切り返されました。

国・県の予算減によって市町村の台所もたいへんですが、地域のことを考えて、地域とともに計画を推進するという、基礎的自治体本来の仕事が、合併によって停滞している、機能不全をおこしている部分があると感じました。これでは合併による「町づくり」どころか、さらに次の合併を急がせることにより「町こわし」がすすむのではないかと危惧をしています。

さて、今回の県構想にむけて意見を求めた審議会ではどんな議論がされたのでしょうか。要約しか公表されていませんが、議事録を見ても、県から市町村に対して積極的な働きかけを期待する意見もある一方で、「今回の合併では市町村合併の経過から、広域行政の関係の運営が非常にむずかしくなっとところがあるのではないか」「第1次の合併で様々な動きがあった末に最終的に壊れてしまったところが再度急いで合併するというのは、はたして実現可能なのか」という意見などが出されています。こういった様々な意見が出る中で、答申には付帯意見がわざわざ添付されたわけです。

またこの間、すでに合併した市町村の首長さんらからは「まだ合併の生々しい傷をかかえながら、さあ次の合併だとせかされても住民はそんな気になれない」とか「大きな合併は将来的に必要だと思うが、これから新町のスタートだというのに10年間は無理だと県の職員に伝えた」などの意見をお聞きしました。

木村知事は、県構想を発表するにあたって、様々な地域の実情が出され、付帯意見までつけられた審議会の議論の経過をどうふまえておられるのか、またすでに合併をした市町村や住民の声には21年度末までに合併をめざすのは拙速ではないかという声があるがどうお考えになっているか答弁をお願いします。

 

《答弁 木村知事》

 市町村合併推進構想についてのご質問でございますが、これについては、審議会で非常に熱心な議論をいただいて、先般答申をいただいたところであります。先ほどの質問にもございましたが、考え方は、原則として未合併の市町村を対象とする、ということですが、一部今回合併したところも入っていますが、これは地元の意向であるとか、旧法の時の経緯というふうなことを反映したということになっているわけでございます。ここで示したものをもとに、地元で十分議論をしていただいて、今後の方策を出していただきたい、と思うわけでございます。

 そして、法律は21年度までの時限立法ということですので、この法律に則して県のほうも対応をしていくということですが、何といっても地元での議論というのが、一番大事であるというふうに認識しております。

 

《質問 松坂県議》

2、安全で自然環境豊かな有田川をめざして

(1)かつらぎ町旧花園村での砂利採取問題
  @砂利採取許可を無視した採取が行われていた疑いがあり、県として厳重に調査すべきではないか

 

 次に、安全で自然環境豊かな有田川をめざしての質問に移らせていただきます。

私はこれまでも、有田川の洪水対策や自然環境を守る問題で質問を重ねてきました。この間のまとまった雨により、今、有田川の水は笹にごりですが、二川ダムは濁水をできるだけためこまないよう低い水位で運用していただいており、住民の願いにこたえたダム運用の改善に感謝を申し上げるものです。また一昨日3月5日の日曜日、第一回有田川駅伝大会が、新しく誕生した有田川町の記念行事として開かれ、私も応援にいかせていただきました。この有田川の清流は地元有田川町の住民はもとより、広く県民の誇りであり財産です。この有田川が清流をたたえ、美しい川原をもつ川へと守り育てられるよう、住民と県行政が力を合わせて取り組んでいきたいという想いをもって質問に入らせていただきます。

 昨年のかつらぎ町12月議会で、有田川の上流部にあたる、かつらぎ町旧花園村での不法砂利採取の問題がとりあげられ、新聞各紙にも「認可申請に虚偽記載」「村が生コン業者に砂利採取を丸なげ」との記事が掲載されました。

 旧花園村では、昭和の大水害以降、山崩れや天然ダムの出現による有田川への土砂の堆積に対し、災害対策や災害復旧・雇用対策として、村直営で、機材もそろえて砂利採取事業に取り組まれてきました。村民の命と財産を守り、村の貴重な収入源としても重要な役割を果たしてきたものです。

 ところが、この間の調査により、村直営の砂利採取事業が、ある時期から民間業者に丸投げをされ、県への砂利採取許可申請書の記載からはずれた砂利採取をおこなっていた問題が明らかになったのです。町議会では当局が「不適切な運営であったということについては陳謝いたします」と問題を一部認める答弁をしています。

 ずさんな事業実態については、当該自治体であるかつらぎ町自身による調査や総括がおこなわれるべきものであります。しかし、県が管理する有田川の土砂を許可申請からはずれて採取していたという指摘に対しては、管理者であり砂利採取法の許認可権者として調査権限がある県として、看過できない重大な問題として調査すべきだと思います。

 配付資料の旧花園村の地図をご覧ください。旧花園村から県に対し、この10年間の間に4回の砂利採取申請が行われており、書類が保管されている直近の2回は青くマークした三角形の場所でのみ砂利を採取することが申請されています。しかし、関係者の証言によると、村から砂利採取事業をまかされた有田川砕石=スカイコンクリートという生コン業者は、村の事業を隠れ蓑に、川沿いのあちこちで砂利を採取していたといわれています。

私は砂利採取がされていたという場所のうち、赤い丸印の4ヶ所に出向き、関係者や地元住民のみなさん、また生コン業者とも直接お会いしてお話を伺い、調査を進めてまいりました。

砂利採取をしたあとは、いくつかの写真に見られるように、もともと堆積していた川原の痕跡が残っているもので、写真@は申請地より上流部数百メートルの区間のものです。写真Aは有田川から分かれて中南から箕峠へ入ったところの堰堤から堰堤までの区間です。ひとつ上の堰堤の川原は草や木が生い茂った状態ですが、そことは明らかに不連続な、整地した後のようなフラットな状態でした。ここでは、関係者からの証言とともに、住民の方からも「確かに生コン業者が道を通らせてくれと頼みにきて、約1ヶ月間砂利を採取していた」との証言がよせられました。

写真Bは生コンプラント上流部分の写真です。

写真Cは花園中学校より少し上流部ですが、砂利採取を途中で中断した痕跡が今もはっきりと残っています。ここは川原での砂利採取に加えて、ヒューム管を川に沈め、対岸に渡る仮設道路までつくって砂利採取をしていたと、関係者からも地元住民からも重ねて証言が得られている所ですが、その15年夏は、村がすでに砂利採取事業を廃止していた時期であり、生コン業者の無法ぶりを示すものとなっています。

 この生コン業者は、村の直営事業として10年間、4回の申請で約5万5千立方メートルの川砂利を採取し、それを精製して約2万2千立方メートルの砂利・砂・栗石などの骨材を生産し、それぞれ1立方メートルあたり砂は2600円、砂利は2700円、栗石は2600円で村から購入したという記録になっています。

 しかし、この4回の許可申請と実績報告を見比べてみると、不思議なことに精製された砂利などの割合が、毎回毎回すべて許可数量の40パーセントであり、砂・砂利・栗石の精製割合もまったく同じ数値となっています。実際にこんなことはありえないし、これらの実績報告は机の上の計算でしかなく、以前からの実績に基づく定量だという信じられない説明がされています。

 また驚いたことに、伊都振興局に出向いて花園村からの申請書類をチェックしてみると、採取申請書の綴りには大量の書類や図面までついていましたが、県は実際の砂利採取を見に行っているのですかとたずねると、「砂利採取前と途中、そして終了後に検査にいっているはずです」というのに、1枚の報告書も写真すらも残っていないのです。これでは、どれだけ砂利を採取してもわからない、村の机上の計算報告を鵜呑みにしていたとして、県の姿勢もきびしく問われる問題ではないでしょうか。

 ところが、この生コン業者は、地元花園村をはじめ、高野町、野迫川村・十津川村などへの生コン納入をほぼ一手にひきうけていたといわれています。これは地理的な条件があってのことで、JIS規格によると作ってから1時間半以内に生コンをうたなければならないという制約があり、これにこたえることができる生コンプラントはここしかないという現状なのです。

 県土整備部の資料によると、県道花園美里線地蔵トンネルの工事だけでも、5300立方メートルの砂・砂利が使用されたいうことです。この生コン業者が、この間に製造販売した生コン量と、県に許可を得て採取した砂利の量を調べれば、おそらく許可された量を大幅に超え、それによって多額の利益を得たのではないかという指摘がされているところです。

調査でえた証言が事実であるならば、砂利採取業の免許を持たない業者が、手続きもなしに、国民・県民の財産でもある川砂利を自在にとって利益を得ていたということになりはしないでしょうか。そしてこれに対し、村や県はどういう態度をとってきたのでしょうか。

 私は、この問題は、県として重大に受け止め、その全容を解明すべく、地元自治体、業者、作業員、地元住民などへの徹底した調査が必要だと考えますが、県としてのこの問題への認識、厳重な調査の必要性についてどう考えるか県土整備部長よりお答え願いたいと思います。

 

《答弁 宮地淳夫県土整備部長》

 かつらぎ町旧花園村の砂利採取につきましては、平成9年度から平成13年度にかけて、4回の申請があり、合計55,535立方メートルの砂利採取を許可いたしました。

 昨年のかつらぎ町12月議会でこの問題が審議されたことから、現在、現地の状況確認や関係者への事情聴取を行うなど、事実関係の確認を進めているところです。

 県では、平成15年から実施要領を定めるなど、砂利採取の着手や完了時の等の検査の徹底を行うとともに、河川区域については、平成16年度から河川パトロールの充実を行うなど砂利採取法の遵守につとめてきたところです。

 また、河川区域内外にかかわらず、無許可採取が明らかになった際には、厳正に対応すべきものと認識しているところです。

 

《質問 松坂県議》

A当該事業者の排水・廃棄物処理について

 次に、今回の砂利採取問題が指摘されている生コン業者の排水・廃棄物処理の問題についてお伺いします。

 かつらぎ町議会では、この業者の生コンプラントから、セメント交じりのにごった排水が有田川に流されているという問題が写真も示されて指摘されました。有田川の環境問題として無関心ではいられません。2年前の冬には右翼がさわぎ、また他にも住民からの情報提供もあり、生コンプラントの排水管理と産業廃棄物であるコンクリート滓の処理について問題提起がされました。私も現場のプラントに調査に出向いて実際に見てまいりましたが、この間、何が問題とされ、事業者に対しどう指導してきたのか、また今後どう指導してゆくのかという方向性について、環境生活部長より答弁をお願いします。

 

《答弁 楠本隆環境生活部長》

 砂利採取問題の排水および廃棄物処理についてお答えいたします。

 議員ご指摘の事業場につきましては、一日の排水量が50立方メートル未満のため、水質汚濁防止法に基づく排水基準は適用されませんが、平成16年5月18日付けで特定施設の汚水等処理方法の変更届が提出されています。

 届出によりますと、特定施設からの排水につきましては循環使用で、雨水のみが事業場外へ排水されることとなっております。

 しかしながら、排水処理施設が未設置であったため、保健所から変更届の内容に合致するよう指導いたしたところ、平成18年2月24日付けで保健所に排水処理施設建設計画書が提出されております。

 その計画書によりますと、本年5月1日から着工予定となっており、排水処理施設建設の進捗状況を見極めながら施設の維持管理の適正指導を行ってまいります。

 次に、当該事業場から発生するコンクリート滓の廃棄物処理についてでございます。

 昨年度に、当該事業場で不法な埋立て処理をしているとの情報がございました。指摘のあった現場の掘削を行いましたが、当該事実は認められませんでした。

 なお、コンクリート滓の保管方法につきましては、置場の区域が明確にされていないなど、不適切な面が見られたため、改善指導を行ったところでございます。

 県といたしましては、今後とも引き続き、適切に指導を行ってまいります。

 

《質問 松坂県議》

B生コン業者の育成・指導について

 3つ目の質問として、生コン業者の育成・指導という点についてお尋ねします。私は砂利採取と生コン業者の問題点を指摘しましたが、旧花園地区の山間・過疎地において、この生コン業者は大きな雇用の場であり、県をはじめ公共事業にとっても、この地域で1時間半以内に生コンを納入できる事業者として大事な役割をはたしている存在でもあります。

 一方で、公共事業に使う生コンですが、県は昨年9月に通達を出し、県工事に使う生コンの品質確保のために、全国生コンクリート品質管理監査会議の基準、一般に「丸適マーク」とよばれていますが、その「丸適マーク」の工場等から選定することを示し、昨年10月からの適用を決めています。ところがこの生コン業者は「丸適マーク」を取得しておらず、取得する方向ももっていないと、県のききとり調査に答えているようです。

 産・官・学の共同による業界の自主基準ではありますが、この丸適マークの中身を見ると、たいへん厳しく、進歩的なものです。製品としての生コンの厳しい品質管理はもちろん、問題発生時の対応やマニュアルなどのソフト面、また環境保全についての排水や廃棄物処理など、時代の要請にこたえたものとなっています。

 私は今回、生コン業界の関係者の方々ともこの丸適マークについて懇談してきました。公共事業の量が減り、また信頼性が問われる中、生コン業界としても、公共事業に納める生コンの品質向上に自ら取り組もうと全国的にすすめてきたということ、厳しい経営状態の中でもレベルアップのための設備投資をしながらすすめてきたこと等をお聞きしました。品質や環境・労働条件等の関係法令の遵守はもちろんのこと、企業としての社会的責任をはたすレベルアップが求められていると感じました。

 県担当者によると、県内にはJIS規格を取得して稼動している生コン工場が約60社あり、そのほとんどが丸適マークをとってきており、取得していないのはあと3社程度だと聞いています。

 県として公共事業に納入する生コンの品質基準を示し、信頼性を上げるというのなら、それだけではなく、それにこたえられる県内業者の育成・指導という仕事も同時にやっていかなければならないのではないかと思うのですがいかがでしょうか。県土整備部長より答弁を願います。

 

《答弁 宮地淳夫県土整備部長》

 生コン業者の育成・指導についてお答えいたします。公共工事を進めていく上で、生コン業者が品質を確保し、使用者の信頼を高めていくことは重要であると考えております。

 今後とも、JISや品質管理監査制度等を活用し、公共工事の品質確保に向け適切に指導してまいります。

 

《質問 松坂県議》

(2)有田市安諦橋下流左岸の不法占拠問題について
  @不法占拠是正と環境整備について
  A貴重な生態系保護の点からも現状放置すべきではないのでは

 

 次に有田川下流の問題にうつらせていただきます。有田市の安諦橋下流左岸の不法占拠問題についてお伺いします。この川原の不法占用は根が深くたいへん時間のかかっている問題です。これを解決すべく、県と地元が編み出した苦心の末の解決方法がマリーナ建設計画でありました。しかしこの計画地が環境省の「日本の重要湿地500」に選ばれ、貴重な生物種の存在する場所であることがわかり、県の対応について私からも質問させていただきました。また先の12月議会では浅井議員からその後の計画の進展について質問がされ、「マリーナ計画は場所を変更して調査中」との答弁でありました。

 今回、私からはマリーナ計画の位置変更という状況をうけて、この不法占拠問題の解決について質問をさせていただきます。

 この場所は、配付資料の写真DEをみていただくとおわかりのように、プレジャーボートを係留するために川原を掘り返して人工の入り江を作り多くの船が係留されています。また廃船も多数放置されています。そしてナンバープレートのない廃車となった自動車も放置されています。その数は、船については最高時には83隻、現状57隻、放置自動車は最高時41台で現状は数台、ユンボなど建設機械は最高時6台、現状4台という状況です。

建設機械で川原を入り江状に掘られるとともに、となりにあった地元老人クラブのゲートボール場までもユンボでつぶされて占拠されてしまいました。

また堤防を通る県道から川原に向けて、堤防の法面に盛り土がされて駐車場と船置き場まで作られています。

こういう不法占拠に対して、解決を求める地元の声が有田市議会でも多くの議員によって毎回のように取り上げられてきました。河川管理者の県は粘り強く指導を続け、少しずつ改善されてきたことも承知しております。しかし、根本的な解決にはなってこなかった。そこでマリーナ等で環境整備することによって不法占拠を排除しようと考えたわけですが、そのマリーナ計画が位置を変更してしまったわけで、じゃあ、この肝心の不法占拠対策はどうなるのかということが心配されているわけです。

公のものである河川、その河川を管理している県が、いわば持ち主が「私とこの土地を勝手にこんなにされては具合が悪い。どけてもらって元通りにさせていただきます」と行動できないのが疑問に思うのです。

さらに今回、重要湿地500選に選ばれ、希少生物も確認されたわけですから、たいへん名誉なことだと、この貴重な自然環境を大切にするためにも、この際、環境保全のための整備をして元通りの川原にさせていただきますと、なぜできないのでしょうか。これまでの延長線の指導ばかり続けていてはダメだと思うのです。河川管理者として、毅然とした態度でのぞむことが求められているのではないでしょうか。

県土整備部長には、不法占拠是正と環境整備について、これまでの対応から一歩進んだ対応ができないのかどうかお答えください。

また、環境生活部長には、貴重な生態系保護の点からも現状放置すべきではないと思いますが答弁を願います。

 

《答弁 宮地淳夫県土整備部長》

 有田川安諦橋下流における不法占用につきましては、船舶を適正に保管する施設の確保が課題となっていると認識しています。

 このため、地元自治会をはじめとする関係者で構成する「有田川プレジャーボート対策等協議会」で検討を行っており、左岸側に数多くの貴重な干潟底生動物の生息を確認したことを踏まえ、右岸側をマリーナ施設整備の候補地として選定し、検討を進めているところです。

 なお、左岸側の環境保全については、協議会等のご意見を聞きながら、検討を行ってまいります。

 今後も不法占用の是正に向け、取り組むとともに、適正な河川の利用と河川環境の保全に努めてまいります。

 

《答弁 楠本隆環境生活部長》

 有田川の河口干潟は、絶滅が危ぶまれております巻き貝やカニ等が生息していることから、環境省の「日本の重要湿地500」に選ばれた貴重な自然であると認識をしております。現在の状況は良好な環境にあるとは思われません。

 しかしながら、「重要湿地」に選定されたことによる法的な保護は加えられておらず、また、自然公園区域にも含まれておりませんので、湿地の現状に関し、自然環境関係の法令により対応することは困難でありますが、しかしながら環境生活部といたしましては、貴重な生態系を大切にする観点から、重要湿地をはじめとする貴重な自然環境を有する区域の情報提供あるいは普及啓発あるいは事業実施時における環境保全上の配慮の要請を行うなど、環境保全のための方策を様々な視点から検討し、関係部局や関係機関と連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。

 

《質問 松坂県議》

3、「森づくり税」と森林整備について

(1)森づくり税条例成立をうけた県の姿勢として、県内各地で説明会や意見交換会を開催する等、県民に開かれた丁寧な対応が必要ではないか

 

最後に、森づくり税と森林整備について質問をさせていただきます。今当初議会に当たって私は、条例の成立でこの税と事業の具体化をはかる県当局に対して、その姿勢を質問するものです。

まず、木村知事に、県民への説明と意見交換についてうかがいます。この森づくり税については、早期導入を求める声もある一方で、各界・各層から、市町村や議会からも反対意見や慎重な対応を求める意見が寄せられました。1点目には、こういった成立までの経過をふまえ、2点目には、県民の意見を聞きながら税の使途をきめてゆくという性格からも、また3点目には市町村の理解と納得を得てこそ税の徴収ができるという点からも、広く県民と、また県内市町村や議会、担当課に対し、説明責任を果たすとともに、疑問や意見・批判をはじめ、使途についてもさまざまな角度から意見交換するなど丁寧な対応が必要ではないかと思います。

広く県民に対し、都市部にも山間部にも出かけ、地域での説明会を数多くもつべきですし、県内市町村にたいしても十分に対話と説明をすべきであると考えますがいかがでしょうか。ご答弁をお願いします。

 

《答弁 木村知事》

 「紀の国森づくり税」についての対応ということですが、先般条例が成立したということで、成立のときに、住民の方があまり知らないのではないかというような議論もあったところですので、県としても、この条例の周知、そして啓発ということを徹底していきたいと、このように思っております。

 

《質問 松坂県議》

(2)18年度予算における森林整備と啓発予算の特徴について

最後に、農林水産部長にお尋ねします。私は先の議会の質問で、県の森林関係の予算の内訳について、森林整備の予算にいっそうシフトをすることを求めました。また、林業家のグループへの補助金や林業教室のような啓発の予算がカットされてきている実態を示して、方や県民にさらなる税負担が押し付けられ、方や県の予算を削るのでは本末転倒だと指摘しました。

森づくり税成立をうけた当初予算議会ですから、この18年度予算における森林整備と啓発予算はどう変化したのか。その特徴についてお答え下さい。

 

《答弁 西岡俊雄農林水産部長》

 18年度予算における森林整備と啓発予算の特徴についてでございますが、森林整備にかかる予算につきましては、17年度予算と比較いたしまして、18パーセント増の約24億円を計上いたしてございまして、新たに里山エリア再生事業に取り組むなど、健全な森林の育成整備をいっそう進めることといたしてございます。

 次に、森林・林業にかかる普及啓発につきましては、1千万円余りの予算を計序いたしまして、引き続き、小学生等を対象とした「森林・林業教室」の開催、また、森林ボランティア活動への支援などを行うとともに、普及指導活動を通じまして、森林の持つ多様な機能・役割について、広く県民に理解していただくことを重点に、取り組むことといたしてございます。

 

《再質問 松坂県議》

 知事ならびに関係部長からそれぞれ答弁をいただきました。

合併問題では、知事から「法律にとって構想を出した。地元で十分議論してほしい」という趣旨の答弁であったとおもいます。今、実際の合併作業の中で自治体は大変な苦労をしていますし、なによりも合併を通じて住民が、わがふるさと、わが町にどういう思いをもっているのかをふまえることが大切だと思います。

 また、合併をしなかった自治体でも、自立を基礎に広域連携をめざす動きも全国的にはひろがっているわけで、合併を選択したところ、合併を選択しなかったところ、その一つひとつのケースは皆違う条件と結果をもっているわけで、その合併を総括しながら、行政は住民とともに検証しながら町づくりをすすめてゆく必要があるし、それをしっかりとふまえた県としての対応を、今日の質問では強く要望しておくものです。

 

 旧花園村での不法な砂利採取問題では、しっかりと調査をすると約束いただきました。有田市での不法占用問題では、左岸側の環境保全について、地元・協議会と検討に入っていくとの答弁をいただきました。部長の答弁どおりしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 知事、この川にかかわる2つの問題で、私が共通して県の姿勢をただしたかったのは、無法な行為に対しては県が毅然とした態度でのぞむべきだということなのです。

どうしても役所の仕事というのは、まじめな県民、よく言うことを聞く県民には、「こんな書類を用意してもらわなアカン、これしてもらわんなならん、それは困る、あれはアカン」と、法や条例を盾に、杓子定規な対応をする場合が多いわけです。しかし一方、開き直って無茶を通してくる相手には、繰り返し指導はしているのですがとか、行政指導の限界とか、解決どころかこうグルグル迷走してしまって、誰のための行政なのかと思うようなケースが、まま見られるわけです。

 今回指摘をさせていただいた点については、県民・住民の生活、常識や秩序を守るために法や条例があるわけですから、県民の立場に立った行政を心がけ、必要な場合には県としてしっかり対応していただきたいということを重ねて要望して私の質問を終わらせていただきます。