2006年3月9日、村岡キミ子議員の一般質問(大要)

 

1、       男女共同参画計画の推進

(1)           各審議会への女性の30%目標を早期達成し、50%に

(2)           女性の幹部職員の登用

(3)           アルバイト職員の賃金是正

(4)           家庭と仕事の両立支援

(5)           DV対策−県女性相談所、配偶者暴力相談支援センターの紀南地域への新設

(6)           自営業に携わる業者婦人の支援策

2、       医師、看護師確保対策

(1)           那賀病院の医師確保(緊急対策)

(2)           看護師確保対策

・   離退職防止(保育所の新設と24時間保育)

・   看護学校、養成所の新設

 

1、国の男女共同参画社会基本法が制定されて7年が経過しようとしています。

 この基本法で義務づけられた都道府県男女共同参画計画は、すべての都道府県で策定されました。本県においても平成14年4月1日、「県男女共同参画推進条例」の施行とともに、「基本計画」で具体的施策を全庁的にすすめられてきました。

 そこで条例、計画で女性施策はどうすすんだのでしょうか。すべてについては検証できませんが、6点について質問したいと思います。

@まず県の審議会の女性委員の割合をみると、目標数値17年度末30%にたいし、28.9%と近づきつつあります。全庁的に積極的にとりくまれたと考えるものです。しかし、今、審議会設置の11部、室、委員会のなかで6部局で未達成となっていることから、努力が求められるところです。

ちなみに、審議会数95、委員総数1282人、そのうち女性委員は370人となっています。30%の目標を早期に達成し、さらに女性委員の割合を50%に目標値を引き上げ、政策決定の場に女性の意見を反映させられるよう強く望むものですが、いかがですか。また、この間、公募による人選登用がありますが、今後公募についてどのように考えておられますか。

 

《答弁 楠本隆 環境生活部長》

女性の登用率を平成17年度末までに30%以上、最終的には男女のいずれかの数が総数の40%を下回らないようにすることが目標。公募制については、広くご意見をお聞きし施策に反映するとともに、多様で新たな人材の発掘、登用につながるという観点から非常に有効な手段と考えている。すでに男女共同参画審議会、紀州っ子元気プラン推進協議会などで公募制を導入している。

 

A女性幹部職員の登用についてです。本庁課長相当職以上が管理職といわれているとききました。人事課の資料によりますと、女性の割合は全職員中、平成13年度で7名、1.6%、平成14年度から年々増えて平成17年6月時点で15人に、3.51%と倍加しました。

わたしが19年前に県議会にきたときは、ひとりくらいだったのではないでしょうか。そのときからすると徐々に前進していますが、平成14年度の職員採用一種試験(大学卒)では、女性職員の受験者割合が30%、合格者が20%と大変少ないと指摘されています。平成15年以後の受験者は増えたのでしょうか。

 また、女性職員のなかでみれば、のびたといっても2.45%という低さです。全国水準に比較してどの位置にあるのでしょうか。女性職員の職域拡大のためのとりくみ、幹部候補となる人材育成としてどのような対策がなされているか。

 

《答弁 原邦彰 総務部長》

 女性職員にしめる管理職の割合は平成17年で全国平均1.90%のところ、本県では全国18位の2.45%となっている。平成23年に5.0%にすることを目標にとりくんでいる。

 職域拡大、人材育成については、多様な所属への人事配置やジョブローテーションを積極的にすすめている。

 

B女性のパート労働者が増え続けています。2人に1人の割合でパートで働いていますが、待遇の悪化もすすんでいます。平成十六年賃金構造基本統計調査報告が県内のパート労働者の時給は平均834円となっている。県庁内には400人の女子アルバイト職員が各課で働いていますが、その賃金は1日8時間労働、5300円です。1時間当たり、実働7時間計算で757円となります。県内の834円を大きく下回っている。少なくとも834円に是正すべきではないか。

 

《答弁 原邦彰 総務部長》

 アルバイト職員の賃金単価については一般職員の給与等を参考に算定している。平成14年度から一般職員の給与については、マイナス勧告を受けるなど下がっているなか、アルバイト職員の賃金のみを引き上げるのは困難である。

 

C家庭と仕事の両立支援について

雇用の場における男女の賃金格差は賃金をはじめ格差は深刻です。女性も結婚しても子育てしながら働きつづけたいと考えている人が増えています。県民の意識調査でも平成13年の調査では11.5%から、平成14年、29.9%へと18.3ポイントも高くなっています。そこで職場での男女平等の実施とともに、男女の職業生活と家庭生活の両立を支援する環境政治が計画に盛り込まれています。なかでも、家事、育児、介護については女性の負担が大きいことからも、男女の育児休業や介護休暇等の取得率の目標値を設定し、実現を願うものです。県庁における目標値と利用状況をお聞かせください。

 

《答弁 原邦彰 総務部長》

育児休業の取得率の目標値は「子育て推進プログラム」において、平成21年度の目標を「育児休業」と「出生時における5日間以上の連続休暇」をあわせ男性職員は55.0%、女性職員は98.0%としている。平成16年度の取得率は女性職員が96.8%で、男女併せた取得率は62.2%となっている。

介護休業については目標値はもうけていない。取得状況は平成15年度6名、16年度4名となっている。

 

DDV対策について

 夫や恋人からの暴力、子どもや成人女性が親から受ける暴力、兄弟からの暴力、高齢女性が家族から受ける暴力、またストーカー行為、セクシャルハラスメントなど暴力もさまざまです。なかには、日本国内で生活している外国籍の女性が支援を求めてくる場合もあるとききます。

 夫やパートナーからの暴力は、重大な人権侵害であり、犯罪であるという社会的な認識になりつつあるのではないでしょうか。

 女性相談所に併設されている配偶者暴力相談支援センターに電話による相談、直接の来所相談が年々増えています。また、一時保護も本人のみでなく、子ども同伴も少なくありません。女性相談所の相談件数は、平成12年度は2817件だった相談が、16年度で4434件に増加して、職員も多忙をきわめていることは推察できます。

 生命または身体への危険のおそれのある被害者の一時保護施設である、なぐさホームの入所は平成12年度実人員34人、のべ255人が保護されてきましたが、平成16年度には実人員102、のべ980と9倍に大幅にふえている現状にあります。子ども同伴でも平成12年が21人、のべ123人、平成16年度は実人員83人、のべ705人と8倍増です。

 年齢も20代から60代で、6畳1間に3人の入居、精神的、肉体的にも落ち込んでいる事態を考えたとき、あまりにも住環境としていかがなものかと考えるものです。また、満員のときには白浜や泉南地方まで民間シェルター等に委託することもあるとききます。県内での一時保護は当然だと考えます。センター職員は常勤は7名、非常勤は医師1名、心理判定員1名、電話相談員10名、宿直員9名で合わせて21名、夜10時までの電話相談にも応じているそうです。

 自立支援のため就労支援、行政への手続きなどまた、裁判所への手続きなど多くを職員がおこなっているといいますから、きわめて多忙なことでしょう。県内に一ヵ所では増加する事態には限界があります。可能な限り身近なところで相談ができることや保護施設も他県にたよらないこと、自立するため技術習得などの施設をかねそなえた支援センターを紀南あるいは紀中地域に新設することを切に願うものですが、福祉保健部長の答弁を求めます。

 

《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》

 紀南・紀中地域への支援センターの設置等施設整備については、民間シェルターの促進や母子生活支援施設等関係施設のあり方を含め、総合的に今後検討していきたい。なお、今月、法にもとづく「配偶者からの暴力の防止及び被害者支援基本経計画」を策定する。

 

E自営業に携わる業者婦人の支援策について

 基本計画では本県の「就業者の主な従業上の地位別割合」での家族、従業者の割合は9.6%で全国第3位、同時に家族従事の80.7%が女性であるという実態です。農林水産業、商工業の分野における女性は、生産経営活動において、共同経営者として参画するかたわら、家事、育児、介護等の活動との二重労働が大変な負担になっている。しかもこれらの活動にたいして、十分な評価がなされていないといった意見が県民の声を聞く会で多く出されたことが記載されたうえで、具体的施策では、家族従事者も生き生き活躍できる環境整備にむけて施策の研究をおこなうこととなっています。

 日本は中小企業の国といわれ、「21世紀は中小企業の時代」と叫ばれていますが、いま中小企業のすそ野を形成している家族労働を源とする膨大な数の自営業の衰退傾向にあります。本県下においても中小企業の倒産や商店街にみるシャッター通りがその姿をみせています。

 雇用という点からも地域密着型の商工自営業に対するきめ細かな支援策が求められる緊急課題だと考えるものです。

 方や農林水産分野では家族経営協定の促進など女性農業委員、企業グループ増やすなど数値目標も設定し、促進にとりくんでいます。それに比べ、商工分野の自営業者にたいする対応は、皆無といっていいのではないか。この間、商工会議所の女性会あるいは商工会女性会に平成16年、17年ともに講演会や全国大会参加にたいする助成、あるいは体験研修などに補助金をだしているが不十分です。

 和歌山の地域経済の基盤を形成しているのは、小さな家族自営業者の女性たちです。どんなに苦しくてもこの地で、このまちで暮らしてゆきたいとまちづくりにがんばっているのも、自営業者の女性たちです。いきいき活躍できる環境整備にむけた施策の研究はこの間、どのような研究がすすめられたのでしょうか。お聞かせ願います。ぜひとも自営業の女性たちの実態をつかむ調査研究をおこない、支援策をすすめていただきたい。いかがでしょうか。

 

《答弁 下宏 商工労働部長》

 小規模事業者の経営環境の安定向上が、事業に従事する女性の地位向上につながるものと考える。和歌山産業振興財団と商工会議所や商工会が一体となって、小規模事業者に幅広い経営支援をおこなうなど、各種施策を実施してきた。実態調査については、商工会議所や商工会などをつうじ、実態の把握に努めていきたい。

 

2、医師、看護師確保対策について

まず、医師確保についておたずねします。すでに医師不足問題については、これまで多くの議員から質問がおこなわれてきました。今議会においても、議論がおこなわれました。それだけに重要な問題だと痛感しているところです。

いま県下の病院関係で国の医療制度の改悪で病院経営への影響と患者の負担増がおしよせるなかで、安定経営と安心、安全の医療提供に苦労されています。なかでも医師不足のため診療科の廃止、病棟閉鎖・縮小、及び外来一時閉鎖、病床縮小、救急ストップなどの動きが広がっています。小児科、婦人科医確保は困難をきわめている状況です。医師養成の県立医大にはことのほか、県民のつよい信頼と期待、そして病院関係では医師派遣等に対する期待は大きいと思います。

とくに県下の自治体病院は、その地域の中核病院であることからも、医師派遣は「医大から派遣はごく当たり前」という安心感と、つづくという思いがあったのではないでしょうか。

医師の研修医制度の義務化にともなう、指導医の確保を要するなかでの派遣医師の中止、縮小・中止が進んだうえ、退職が止まらない状況がいくつも重なり、医師不足と確保の困難を引き起こしていると考えるものです。

県立医大病院に限った問題ではなく、いまや全国的な問題とわたしは考えるものです。今後県立医科大学の入学定員数をはじめ、医大病院医師の定員増など地域医療をともに支える病院間のあり方を十分議論する必要があるのではと私は思うところです。

さきほど、飯田議員から、公立那賀病院の医師確保問題について質問がありましたが、私も那賀病院の院長等にも会って状況をきき、せめて内科外来だけでも、中断することなく診療がつづけられることを願って、知事にも異常事態の打開策を求めてきました。医大からの派遣可能性ばかりでなく、他の方法も検討すべきでしょう。担当課では、さきほど答弁されましたように努力はされているところですが、事態打開に至っていません。「医療対策特別委員会」を開催し、支援策を検討してみてはどうでしょうか。地元の医師会、そして県医師会や病院協会等への協力要請をぜひともやっていただきたい。地域住民の不安にこたえ、医療を守る立場から県の指導性を発揮していただくことを申し上げ、福祉保健部長の答弁をお願いします。

 

《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》

 公立那賀病院の医師確保について、「医療対策特別委員会」で検討をという提言については、当委員会は県立医科大学、地域の公立病院、県医師会、病院協会等の関係者により構成し、医師確保をはじめ、県内の地域医療対策を協議する場として位置づけている。この問題について早急に協議できるよう調整をすすめている。

 

 医師と同じく慢性的に不足している看護師の確保は、困難をきわめている状況にあります。日本医労連の看護職員労働実態調査を紹介し、いっそうの看護師確保の強化を求めたいと思います。いま看護師の現場は、人員不足のなかで多忙をきわめ、休みもとりにくい、休みでも疲れは回復せず、患者に十分な看護が提供できないなどから、やめたいとしばしば思いながら働いている。やめたい理由で多い声は、仕事が忙しすぎるからが最も多く、つぎに仕事に達成感がないから、つぎに夜勤がつらいから、という順になっています。残業代もきちんと払われているという声は、41.1%で、一部だけ払われたり、まったく払われていないという状況もあります。夜勤回数については、改善がみられているようです。

県は第六次看護職員需給見通しを発表しました。18年度から5年間の年次計画となっています。17年度末においても681人の不足数を残したまま、次の計画にすすむことになります。現場の看護師の実態はさきほど申し上げましたが、医学、医療技術の進歩、患者の高齢化、重症化、そして在院日数の短縮などから、業務密度、負担は高くなるばかりだとききます。県民に安心、安全の医療、看護を提供するためには、看護職員の果たす役割は大きいものがあります。それだけに、看護職場の実態に合った需給計画の見通しが必要だと考えます。

 県はこの見通しを策定するうえで、全県下の病院、有床診療所など看護職員を必要とする施設等に働く看護職員の就業実態調査を実施、その実態を反映させる努力をされたとききます。病院や関係者のみなさんの積極的な協力がかつてないほどであったようですから、その計画が実現することを期待したいと思います。

 しかし、今回の需給計画をみてみますと、計画の始まる平成18年度で、早くも655人、5年後の平成22年はさらに711人の不足が予測されている。依然として不足はつづくことになり、それだけに行政の対策と関係者の積極的な対応が求められることを痛感します。

 昨年から開校した看護師2年課程通信制に学ぶ学生の努力、教師たちの熱心な教育援助に大きな拍手と声援の気持ちを送りたい思いです。病院協会の積極的な姿勢に感謝します。県は看護学生の修学資金の枠を確保するなど担当課の努力も評価したいと思います。

 さて、看護師不足対策の要になるのは、離職防止と第2に看護学校、養成所の新設だと思います。離職防止対策では働きつづけたいと思いながら、結婚、出産、子育てのなかで保育所問題があります。勤務形態、とくに夜勤はさけてとおれません。月8日の夜勤、当直には24時間保育体制の保育所が必要です。地域の公的保育所では皆無、認可保育所では長時間保育(夜10時ごろまで)は、数少ないものの実施しているところもありますが、看護職員の願いに応えるものではありません。

 病院内保育所は県下に20所設置されていますが、十分ではありません。せめて、自治体立病院では需要調査を実施したうえで、設置にむけての検討をしていただきたい。また、地域の民間病院等の子どもも入所できるように県の指導性を発揮できないものでしょうか。

 つぎに看護学校養成所の新設ですが、確実に卒業し国家試験合格によって確保されます。看護学校養成所のない日高地方には1ヵ所もありません。かつては国立和歌山病院に進学課程がありましたが廃止後、新たな学校はありません。実習病院の確保や専任教師の確保問題も懸念されるところです。しかし、需給計画を実現する対策はすすめなければ絵に描いたもちになってしまいます。

 福祉保健部長の決意のほどをお聞かせいただきたい。

 最後に、看護師たちの気持ちを丸ごと詩にした同僚の詩集を送ってくれました。紹介して、看護職への理解を深めていただきたいと思います。

 心電図モニターの音が 早まったり 間のびしたり ピッピッ ピピピ ピーピー 心臓の波が 丸ごと伝わってくる 背中でキリキリ 聞き分けながら さりげなく 「大丈夫ですよ」 ゆったり声がけする 深夜あけの 外への一歩はまぶしくて やわらかになったアスファルトに くらくら すいこまれる 車のバックのピーピー音が 心電図の音にきこえ とびおきたり せみの声までうるさくて 昼は良く寝て二時間 五十才をすぎての徹夜は 自分の心臓まで コトコトからまわり きついきついと ぼやいたり いつやめようかと まよったりもするが 病を一つ一つ乗り越える確かさ 治ることのない人に よりそうつらさ 命のはかなさ ねばり強さ やっぱり 仕事が好き やめることなく体が続くといいな 時々自分をほめて 仲間と 泣いて励まして 笑いあって 看護が好き

ありがとうございました。

 

《答弁 嶋田正巳 福祉保健部長》

 看護職員の離職防止対策として、就業中の不安やストレスの軽減を図るため、相談窓口を開設するほか、教育体制を強化させるなどの施策を講じることとしている。

 院内保育所の設置および24時間保育の実施を積極的に働きかけていく。

 看護師養成所の新設については、平成16年度に県立医科大学保健看護学部、今年度には和歌山看護専門学校の2年課程通信制を開所した。和歌山保健医療圏には3年課程養成所が平成19年4月に開校が計画されている。県としても開設にむけ支援していく。養成所の設置については、専任教員の確保や実習施設の指導力の強化などの課題にあり、県全体の状況をみすえながら、検討していく。