2006年6月20日、松坂英樹議員の一般質問(大要)は以下のとおりです。
1、歴史的街並みを生かした街づくりについて
一般質問に入らせていただきます。まず最初に、歴史的街並みを生かした街づくりについてお尋ねします。
去る6月7日、木村知事は湯浅町の歴史的な街並みを視察されました。この地域は、北町、北鍛冶町、北中町、北浜町と、古くからの風情ある街並みが残されていて、湯浅町として「重要伝統的建造物群」の選定に向けて地元をあげて取り組んでいます。私も、一昨年の6月議会の一般質問でこの取り組みをとりあげ、知事からは応援していきたいとの答弁をいただいたところです。
和歌山県下で初めてとなる国による重要伝統的建造物群の選定に向け、平成11年から調査をはじめ、昨年の12月には町条例が制定され、現在様々な手続きを経ながら、秋の文化庁文化審議会にむけた国への申し出、冬には国の選定が受けられるようにと、まさに大詰めにはいっているところです。この時期に木村知事に現地を視察いただき、街並みや地域資源をすばらしいと評価していただいたことは、地元住民の一層の関心と期待の高まりという点で、大きな力を発揮していただいたと喜んでいます。知事もお感じになったと思いますが、地元の自発的な大勢のみなさんの出迎えに地元の熱意がこもっていたと思います。
湯浅町はこの重要伝統的建造物群への選定を起爆剤としながら、熊野古道が通る中心市街地の活性化や、街並みを生かした、誇りあるまちづくり、暮らしやすいまちづくりにととりくんでいます。歴史的な街並みを大切にしながら、街の耐震性や防火性をどう高めてゆくのか、快適な住環境をどう作っていくのかが課題となってきます。また、お隣広川町の稲むらの火の堤防と合わせて、観光などの面でも魅力ある地域資源として大きな可能性を期待しているところです。
知事が視察においでになって触れ合っていただいた、街並み、地元住民、伝統産業、お店屋さんなどを含め、湯浅町の歴史的な街並みの感想を伺うとともに、県下初の選定をめざす街並み保存や整備・活用への県の支援について、木村知事のご答弁をお願いします。
《答弁 木村知事》
早くこの地域が指定されて、世界遺産につづく、和歌山の大きな観光の重要拠点として発展することを望んでいる。いろいろな協力をしていこうと思っている。
2、津波防災教育センター(仮称)開設に向けて
次に、津波防災教育センター(仮称)について質問をさせていただきます。稲むらの火でたいへん注目されていますが、浜口梧陵堤防のそばに広川町と県が共同で整備を進めてまいりました津波防災教育センターは、建物の建設はほぼ今月中に完了し、これから館内の施設の工事に入るところであり、今年度中の完成、来年度からの開設に向けて着々とすすんでいるところです。国・県の予算的支援を得て広川町が「津波から命を守った記念館、防災教育の拠点」としてこの施設を整備することは、大きな意義のあることで、「県立・町立とかいわないでいっしょになってつくっていこう」と支援していただいた知事の姿勢と関係部局のお力添えに改めて御礼を申し上げるものです。
さて、この津波教育防災センターの整備費が昨年9月の補正予算で提案されましたときに、私は質問でその概要をお尋ねするとともに、広川町との連携・役割分担について十分協議していくように指摘をさせていただきました。
その後、様々な検討を重ねていただいていることと思いますが、町のほうからは津波防災教育センターを運営するにあたって、専門的知識をもった職員の配置をしてほしいということをはじめ、管理・運営に県として積極的に協力してほしいとの要望があると聞いています。広川町議会の6月議会でも、一般質問に立たれた議員さんが二人いてお二人ともこの問題をとりあげられたと聞きました。
神戸の「人と未来防災センター」では地元ボランティアのみなさんが、体験や実感をこめて展示の説明にあたっておられますが、こういった取り組みが展示や資料の、値打ちや厚みをうんと増しているし、来館者の心にぐっとせまるものになっています。この津波防災教育センターが、地域住民はもとより、県内外からも広く来訪者を迎えて、震災・津波から命を守る意識の向上に寄与するためにも、地震・津波や避難体制づくりなどの研究成果や新しい情報を取り入れた展示や催し、来館者への説明や地域の取り組みに力となるスタッフや地元ボランティアの育成などが重要となってくると思います。
まさに建物は完成を迎えつつあるわけですが、来館者がまた今度は家族をつれてもう一回こようとなるような、そんな魅力的な施設となるかどうかは、ひとえに今後の運営次第、ここにかかっていると考えます。施設が完成してしまえば、県は手を引いてしまって、あとは地元自治体におまかせということにならないよう、県と町がそれぞれの立場やネットワーク、地域性や専門性を生かした役割分担について十分に協議しながら進めていいただきたいと願うものですが、木村知事のご答弁をお願いします。
《答弁 木村知事》
広川町のだけの地域限定の施設ではなく、日本全国からいろんな人に来てもらって津波のことを勉強してもらう組織でもあるので運営管理にあたっては、町とよく相談して、できる限り協力していこうと思っている。
3、津波対策防波堤
3点目の津波対策防波堤の質問に移らせていただきます。現在、湯浅広湾では、津波対策防波堤の建設が進められており、だんだんとその堤防が姿を現し始め、10年計画の折り返し点をむかえています。地元からはできるだけ早く、1年でも早い完成をという願いが出されています。また、この湯浅広湾の北隣である栖原湾では、堤防の完成により津波のエネルギーがお隣の湾にどう影響するのか、栖原湾の対策をどうするかということも議論されてきました。
そんな中、今回、関西電力御坊発電所計画で使用予定であったケーソンを活用して栖原湾沖に防波堤が設置されることとなったと聞いています。この沖防波堤の事業概要と、津波対策としての効果はどうかという点についてまずお尋ねします。
次に、湯浅広湾の津波防波堤についてお尋ねします。湯浅広湾は歴史的にも津波被害の甚大であったところであり、そのブイ字型の湾の地形によって、沿岸部に津波が近づけば近づくほど津波が高さを増してゆく地域であり、過去の大津波では海抜9メートルほどある広八幡神社の石段3段目まで津波が押し寄せたとの記録があるほどです。
この津波を沿岸部の堤防で防ごうと思えば、巨大な構造物が必要となり、コスト的にも、また海岸線を生かした街づくりという点でもマイナスが多すぎるわけです。そこで、湾の入り口付近で防波堤を作って、津波の高さが低いうちに津波の力を弱めることができればと事業化され、国直轄でなく県が主体となって建設する津波防波堤は全国初であり、その効果が期待されてきました。
しかし、その反面、湾の入り口をほぼ塞いでしまう形で人工の構造物ができるわけですから、湾内の水質や自然環境にたいする影響、また将来には湾を埋め立てることにつながるのではないかという不安の声など、住民からは様々な意見も出されたという経過があります。
そんな中、今回質問させていただくきっかけになったのは住民からの声でした。堤防の建設が進み、湾内にその姿をあらわすにつれて、住民の皆さんからこんなふうに聞かれます。「ええ堤防できてきたのう。しかし、低いもんやけどあの高さでもう終わりかえ」とか「津波ちゅうのはあのくらいの高さでくるんかいな」という素朴な疑問です。そうじゃないんですよね。私ははっとさせられました。住民にもっと正確な情報を知らせる必要があると思いました。
今回、私が問題提起したいのは、この堤防が、昭和の南海地震の震度や津波を想定して設計された構造物だということです。今日、地震被害想定や浸水マップ、避難対策は、歴史的にも小規模であった昭和南海地震ではなくて、いずれも東海・東南海・南海地震が同時発生したときを想定して対策を立てています。こういう点からすれば、この津波防波堤が3地震同時発生のときにどうなのかを客観的に検証する必要があると思うのです。
地震が発生したときに、防波堤は構造的に大丈夫なのか、液状化でガタガタになっていないのか、また設計を大きく超える津波がおしよせて、堤防をのり越えて湾内におしよせてくるわけですが、その場合はどれくらいの被害軽減効果があるのか等などを確かめることが求められています。東海・東南海・南海地震同時発生ではどの程度の津波対策の効果が見込めるのでしょうか。
また、津波を人口構造物で完全に防ぐのはコスト的にも物理的にも不可能です。だからこそその限界を冷静につかみ、住民に対しても、この津波防波堤の効果も、限界も示すことが重要です。たとえば、堤防や水門などの人工構造物が機能したときの浸水シュミレーションと、震災によって機能しなかった場合の浸水シュミレーションも両方見てもらうことなどにより、認識や意識を高め、避難対策に生かしてゆく必要があるのではないでしょうか。
また一日も早い完成を願うものですがその進捗状況についてもご答弁をお願いします。以上防波堤関係2点について県土整備部長よりお願いします。
《答弁 宮地県土整備部長》
本年度より2カ年で湯浅町が港湾事業の一環として約70メートルを整備する計画になっている。漁港の入り口に整備することから、ある程度、津波高さの低減が期待できるものときいている。
4、道路問題
4つめの柱である道路問題で2点お伺いします。まず、県道吉備金屋線有田川町垣倉地区での地すべり問題についてです。梅雨の雨の多い時期を迎えるにあたり、県は先月末にこの工事箇所において地すべりの兆候があることを発表し、住民にその情報を知らせ、警報機の設置をはじめとする対策を講じてきました。地元住民への説明会も開いていただきました。私も横で聞かせていただきましたが、住民への説明・意見に対する対応も実に丁寧で、安心して聞いていられました。この間の関係部局の迅速で誠実な対応にまず感謝を申し上げるものです。
私は、地すべりという報告を受けたときに、道路工事のために山腹を削った法面がずれてきたのだな、角度も急だからやはり無理があったのだなというくらいに思っていたのです。配付資料の黄色い法面の部分です。
ところが、詳しく報告をお聞きすると、法面のすべりとともに隣接する斜面が滑ってきているというのを聞いてびっくりしました。資料の赤い楕円の部分です。
黄色い楕円の法面に押さえ盛土を置いて対応していただいていますが、4月6日以降でも赤い楕円の部分で最大43ミリの地すべり兆候が見られるということです。
先月末に開かれた地元説明会で、まず住民から出た意見はこうでした。「県はこの山がどんな山だということ、工事の前にちゃんと地元に聞いてくれたのか」というのですね。どういうことかというと、この山は「石切山」として、過去に石の採掘を何方向からもしていたのです。小さな山のそのふもとをあっちからもこっちからも削って、カップケーキのような不安定な形の山になってきていたわけです。今回地すべりの徴候があらわれた赤い楕円の斜面の下も採掘現場でした。現場が何度も崩れてきて採石業者がこれ以上けずると危ないいうことで、南の斜面へと移動したあとなんですね。20年ほど前にも大音響とともに地割れが発生し、幅80センチ・深さ2メートルの人間が入れるほどの大きな割れ目が斜面に発生したとのお話です。県道工事でその横の斜面をきつい勾配で切っているので不安に思っていたというんですね。
たしかに県は法面工事をする前に2箇所のボーリング調査をして大丈夫かどうか調べています。しかし、そのボーリングは法面斜面だけであり、この隣の斜面は影響なしと考えて調査すらしていないんですね。しかもその調査したはずの法面の方もずれてしまった。
工事を進めた県から見れば想定外の地すべりが発生したということかもしれませんが、住民から見れば恐れていたことが現実のものとなったということになるわけで、県の見通しの甘さも率直に指摘しなければなりません。
今回の地すべり対策のために作製された図面、配付資料の下半分の図面には、赤い矢印を書き込んでいる斜面に上下に並んで6段ほど、過去の地すべりの痕跡と思われる段差が記されています。その最大のものは段差2メートル幅50メートルにもおよびます。私は、地元の方と実際にこの両方の斜面に調査に上ってみました。コンクリートで固められた法面の方は、上からずれてきていて、横に走るU字溝がつぶれていました。そして問題の隣の斜面は下から見上げるよりもずっと急に感じられました。また、地すべりの痕跡と見られる段差はそれぞれ高さが1メートルから2メートルで、まるで段々畑のような山の状態でした。段差にそった樹木は倒れていました。想像をはるかに超える危険な斜面の状態に、「おい、そーっと歩けよ、わがら体重重いんやから崩れるぞ」と冗談を言っていたのですが、本当にそんな気持ちになるほどでした。
この地形を事前に把握し、地すべり痕跡の段差が記された図面が、工事をする前に作成されていたら、見る人がみればすぐに危ないとわかります。つまり、地元住民の声も聞き、周辺の地形に目を配っていれば、結果としてこういうふうなことにはならなかったと思うのです。
私は、地すべりに対する住民への周知・安全対策、応急対策などで、この間県が築いてきた地元住民との信頼関係をいっそう深めながら、対策工事に取り組み、一日も早く住民も安心でき、県道バイパスを通る通行者の安全を確保できるよう願うものです。
そこで県土整備部長におたずねします。今回の県道工事に伴う法面と隣接斜面の地すべり問題では、関係住民や県道通行者への安全対策と斜面への応急対策に万全を期すとともに、恒久対策については綿密な調査を元に、地元住民の意見も良く聞いて対応策をとるように求めるものですがいかがでしょうか。
続いて2点目に、国道424号修理川バイパスの工事現場では、この間、斜面崩壊により工期が遅れていると聞いています。その後の工事の進捗状況と、開通に向けての見通しについても県土整備部長よりご答弁願います。
《答弁 宮地県土整備部長》
県道吉備金屋線垣倉地区の地すべり対策は、現在、排水ボーリングと防護柵設置の工事をおこなっている。7月初旬にはこれらの応急対策を終えたい。あわせて詳細な調査をしており、この結果にもとづき恒久対策を検討していく。その際には、地元住民のみなさんに説明し、意見もおききしたい。
修理川地区の斜面崩壊箇所については、4月から復旧工事をすすめており、18年度追加工事を発注する予定である。今年度末完成へ努力する。19年度中には2.1qの区間の供用を予定している。
5、人権課題現況調査
さて、最後の柱であります、人権課題現況調査についての質問に入らせていただきます。私は昨年の2月議会の予算委員会質問でこの人権課題現況調査が、かつての同和問題実態調査の再現やプライバシー侵害の調査になるおそれはないかという点を取り上げてまいりました。質問の中で、「同和問題を含めた現況調査は非常に難しい問題だ。法期限前の平成12年に国・県が指導して湯浅町が実施した同和地区実態調査では、あなたの出生地はどこかと調査員が聞き取り調査し、@この地区A他の同和地区B同和地区外Cわからないという答えを選択させた。つづいて配偶者にも同じ設問を繰り返したと。こんなこと続けていては、いつまでも行政の側が同和地区と同和地区外に垣根を作り続けることになる。実態調査ということでこういうことが繰り返されては困る」と問題点を指摘し、その調査対象や規模・調査項目をただしました。県当局は「様々な人権課題を調査するものであり、かつての同和問題の実態調査とは違った視点・手法でおこないます。調査内容は検討中。案が確定した段階で予算も含め、議会に諮る予定です」と答弁していたところです。ところがアンケート調査の原案作成は遅れに遅れ、人権施策推進審議会の開催にも支障が出る、実施のための予算審議の県議会となっても原案は示されないままでした。
先の2月県議会の総務委員会でも共産党県議団の藤井県議より「人権調査の内容やスケジュールと調査項目について、また議会に相談したいといっていたがその予定はあるのか」という質問に対し「現在アンケート調査の作成中。調査を行う前には、調査票を見ていただく機会もあると思う」という答弁をしています。調査票の作製過程自体も非常に問題があると思います。
県議会でこのような議論が続けられてきた一方で、県知事の付属機関であり、弁護士をはじめ障がい者・女性・など各人権分野に精通する委員で構成された「人権施策推進審議会」では、県の人権施策について話し合う中で、この人権課題現況調査の問題点が指摘され、さる3月22日に、審議会として6つの理由をあげてこの現況調査に「賛同できない」との意見書を決議し、知事に提出されました。これをうけて県は、6月に予定していたこの調査の実施を見合わせてきました。わたしはこの質問で、改めてこの人権課題現況調査の問題点を指摘し、調査の撤回と県の姿勢を正すことを求めたいと思います。
私は今回の人権施策審議会の意見書を、県は重大にうけとめなければならないと考えています。県議会では私ども共産党県議団はそういうことをやっちゃダメだと主張しました。県は、ダメだという意見もあるが、やったほうがいいという意見もある、だからやるんですという理屈を立ててきました。しかし、今回の意見書を出された審議会は、法の終了後、様々な人権の問題にかかわる専門家や代表者に集まっていただいて、人権施策への提言やご意見をいただく方々であり、専門家のみなさんからのご意見は、まさに客観的で県民の代表的な意見だと思うのです。この審議会は歴史的な経緯からしても重要な役割があると考えますが、県として、この審議会の位置づけをどう考えておられるのか、まず最初にお答えをいただきたいと思います。
次に、審議会の意見書をどう受け止め、今後の県の人権施策に生かすのかという点で、以下2点質問をさせていただきます。
県は、人権課題現況調査の施策概要という文書の中で、その目的を、「様々な人権についてその今日的課題やその原因を明らかにするとともに、昭和44年以来の同和行政の成果を把握し、今後の有効かつ適切な人権行政のあり方を検討するために必要な基礎資料を得る」としています。数多くある人権課題の中で、同和問題の課題をひきだすために、調査の対象を、旧同和地区、その周辺地区、一般の地区と、3つに分けて調査・分析し、結果を出そうとしていました。
今回、人権施策推進審議会で採択された知事への意見書では、県の人権課題現況調査について次のように述べています。
「今回の同和問題の実態調査は、かつて行われた同和対策事業対象地域を他の地域との比較において、実態調査しようとするものであることが明らかである」そして「かつて地域指定された対象地区が、人口の流動や、地域の変動により差別が解消しつつある今日、かつての地域指定を再認識させ、ここが地区であったと、一般の意識に呼び戻すおそれのある調査を行うことは、同和問題の解消に逆行するものと思われる。かつての同和対策事業対象地域を他の地域と比較する調査は、調査自体が人権問題と指摘追及されるおそれがある」こういうふうに指摘をされているわけです。
これまで私たちが指摘してきたとおりのことをこの意見書は書いているわけですが、この指摘にあるように、行政の側がいつまでも旧同和地域と一般地域の垣根をつくりつづけることはもうやめるべきです。その大きな転換点として、指摘のあった問題点を持つ今回の人権課題現況調査はきっぱりと撤回すべきだと思いますがいかがでしょうか。答弁をお願いします。
2点目です。今回の審議会意見書では、全部で6項目にわたって、調査そのものへの問題点指摘と同時に、県人権局の姿勢に対する意見が出されています。一部を原文のまま引用しますと、
1番目に「県内の人権問題は数多くあり、女性、子ども、障害者、高齢者等々、多くの課題がある。今回、県人権局が実態調査の焦点として、同和問題を最重点課題として捉えていることには疑問なきをえない。女性問題等上記緊急の課題に取り組むものからすれば、県人権局の取り組み姿勢には、未だに「同和問題をはじめとする人権問題」からの脱却がみとめられず、失望と挫折感を禁じえない。のみならず、同和問題を人権局が突出した形で捉えることは同和問題自身の解決方法としても好ましいものではない」としています。
また4番目には、「今回の実態調査は、民間運動団体からの実施要請に応諾させられたかの如き印象を拭えない。このことは、いまだに同和問題を含む人権問題への取り組みが、特定の民間運動団体の意図する方向に動かされている感を一般県民に抱かせるものであって、他の人権運動に取り組む運動団体や、一般市民に与えるマイナス影響があまりにも大きすぎる」と指摘されています。
県として、審議会のこれらの指摘を真摯に受け止め、今後の人権施策の方向性に生かしてゆく必要があるのではないでしょうか。県当局の考え方をお示しいただきたいと思います。
以上、人権課題現況調査にかかわる質問3点は企画部長よりご答弁を願います。
以上をもって私の第一回目の質問を終わらせていただきます。
《答弁 高嶋企画部長》
審議会は、「和歌山県人権尊重の社会づくり条例」で定められている諮問機関であり、人権施策を進めていくうえで、きわめて重要な役割を担っていただいている。
調査自体が人権問題と指摘されるおそれがあるというふうな意見を重く受け止め、調査手法の見直しを決めた。手法等について再検討し、必要な調査を実施していく。
同和問題については、平成16年に策定した「県人権施策基本方針」において人権分野のひとつと位置づけ、とりくんでいる。
県としては、ひとつの運動団体ということではなくて、様々な県民の方々からご意見を頂戴して、県が主体的に判断しながら実施していくのが行政の姿勢ではないかと考えている。