2006年6月22日、雑賀光夫議員の一般質問(大要)を紹介します。

1、サッカーワールドカップにかかわって
  @本当にスポーツ振興につながる国体を
  Aサッカー施設の充実
2、道路問題
   @ 都市計画道路見直し

  A 阪井バイパス
3、地域活性化

  @憩いと文化を有機の里、夢のある地域興し
  A休耕田の活用
  B民間住宅借り上げの公営住宅供給
  Cまちづくり3法
4 農薬ポジティブリスト
5 震災対策「ため池調査」結果

1、サッカーワールドカップにかかわって
  @本当にスポーツ振興につながる国体を
 サッカーワールドカップはたけなわであります。対オーストラリア戦は残念でした。日曜日の対クロアチア戦は、引き分け。私も海南市民体育館の会場で、市民のみなさんとご一緒に、応援させていただきました。会場では応援用のサッカーユニフォームを売っておりまして、2500円出して買ってきました。県議会は「クールビズ」だからこの服装でもいいかなとも思ったのですが、すこしはしゃぎすぎですので、お見せするだけにとどめておきます。明日は、対ブラジル戦。最後まで希望をすてないで応援したいと思います。

 ご存知のように日本代表チームには24歳の最年少駒野友一選手が選ばれ、とくに第一戦では、最初から最後までがんばりました。駒野選手を生んだ海南市では、一昨年まで、お正月には、少年サッカー大会が開催されていました。南は串本から、北は大阪府の高槻のあたりまで、少年サッカーチームが、施設がととのっているわけでもない海南市につどいました。それは、海南市で少年サッカーが大変盛んであったからです。

 海南市の少年サッカーのおこりは、1971年の黒潮国体にさかのぼります。国民体育大会というものは、スポーツ振興に大きな意義もありますが、開催県優勝があたりまえで、大きな財政負担をしいられ、儀式的にもりあげなくてはならないというゆがみが指摘され、最近は是正への動きもおこっています。

 ところで1971年の黒潮国体を前にして、小中学校の体育の教員は大変苦悩していたと中山豊前県議はよくいいます。それは、マスゲームで開会式をもりあげることを義務づけられていたからです。体育の時間は、毎時間、マスゲームの練習ばかり、子どもたちにとって楽しい体育の時間が、苦痛になっていました。

 そんななかで、子どもたちに本当のスポーツの楽しみを味あわせてやりたいと、スポーツ関係者に呼びかけて始まったのが、小学生を中心にした地域の少年サッカーだったのです。中山前県議がまだ日方小学校の教員だったころです。

 駒野選手、そしてその先輩でJリーグ・ジュビロ磐田で活躍した森下選手も、大野小学校・海南第三中学校の出身です。さらに若いセレッソ大阪の酒本選手は御坊市の出身ですが、やはり海南第三中学校に学びました。大きな底辺があってこそ、こうした選手たちが育ったのだろうと思います。少年サッカー大会に激励にきていただいたこともありました。この海南少年サッカーの歴史に思いを寄せながら教育長に質問いたします。

 第一は、二順目和歌山国体ということが言われていますが、この国体を和歌山県のスポーツ振興に本当に役に立つものにしていただきたい。黒潮国体の反省や全国的な国体の見直しを踏まえて、どういうことをお考えでしょうか。

Aサッカー施設の充実
 第二は、サッカー青少年たちの願いにこたえる問題です。芝生のサッカー場でサッカーをしたいという声がよせられます。使用料の問題もあります。さらに、安い料金で使えるフットサル場をほしい。学校の体育館をつかってやっていますが、少し狭いと思います。
 さらにささやかな願いは、学校開放でつかう中学校グランドの夜間照明が野球やソフトボールの内野だけを照明して、サッカーのもうひとつのゴールは大変暗いという問題があります。
 国体にむけて立派な施設の整備や選手強化策とともに、仕事が終わってからスポーツを楽しむ青年たちのスポーツ要求にこたえる、底の広いスポーツ条件整備についてのお考えを、今回はサッカーを中心にお聞かせください。
《答弁 小関教育長》
スポーツの振興にかかる2点についてお答えします。

本県が平成27年の開催に向けて準備を進めている二巡目国体は、簡素化・効率化という新しい国体運営の方向性を踏まえ、「全国初の和歌山モデル」と位置付け、近畿ブロックでの広域開催を含め、質の高い特色ある大会を目指すこととしております。

また、国体の開催を一過性に終わらせることなく、これを大きな起爆剤として、終了後も県民スポーツの普及、競技者及び指導者の育成、施設の有効活用、組織体制の充実など、スポーツ振興の確立とスボー・ツ文化の形成に取り組んでまいりたいと考えております。

 次にサッカーの施設につきましては、学校や地域の体育、スポーツ施設をより一層幅広く有機的に活用できるようにするとともに、市町村や地域住民の協力を得ながら、共同利用の方向を進めるなど、地域コミュニティの向上に役立つものにしていくことが重要であると考えております。

現在、県内の芝生のグランドは、和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場、上富田町のスポーツセンター球技場など、7つの市と町で8面、フットサル場は、和歌山市のウェルサンピア和歌山フットサルコートなど、8面が活用されております。

また、本年4月には県体育協会が日高町にサッカーやフットサル、ホッケーなど多くの種目が低料金で利用できる、県内初となる人工芝の「多目的スボーツグラウンド」を新たに整備し、地域住民の方々に幅広く活用していただいているところであります。

サッカーをはじめとするスポーツの振興は、県民の生きがいや潤いのある生活、活力ある地域づくりに大きな意義を有するものであります。

今後ともより充実したスポーツ活動の場を提供できるよう努めてまいりたいと考えております。

2 道路問

@「都市計画道路見直し」

5月1日の朝日新聞のトップ記事で「和歌山県・都市計画道 全面見直し」と報道されました。こうした方向は、2月県議会での当局の提案でも「都市計画道路の幅員の見直し」という言い方をされておりまして、私は、予算特別委員会でさらにお伺いいたしました。

 都市計画道路見直しの問題を振り返ってみますと私は2004年の12月議会で「必要な道路を早く」という立場から、海南市内で工事がすすんでいる「日方大野中藤白線」というのは、必要以上のデラックス道路ではないかと申し上げました。それは知事が地域の実情にあった1、5車線道路ということを提唱されたことを評価しながら、「実情にあった道路」という考えを広げて考えてはどうかという提言でした。

 本会議でこういう発言をするのは、そうとう勇気のいることでした。こんな話をお聞きしたことがあります。「みなさん、木村知事の1、5車線道路という提唱には賛意を示してくださるんだけれども、自分の地域の道路という各論になると、1、5車線じゃだめだということで言ってこられる」というのです。私は地元の側から「贅沢道路ではないか」という提言をしたわけですから、雑賀は海南市の利益をなんと考えるのかというお叱りの声があるのではないかという点で、新人議員としてはおっかなびっくりという気持ちもありました。ところが、写真を見せながら、わたしの提言を地元で報告いたしましたが、地元の自治会の役員さんなども「あんたのいう通りだ」といっていただいたわけです。

 その次の、2005年の2月県議会で、私は前の議会での提言をさらに一般化して、1980年代につくられた都市計画道路の見直しという提言をしたのであります。

 このたびの新聞報道、そして木村知事の新聞報道にみるコメントから、2月県議会以後、相当突っ込んだ検討がすすんだのではないかと推察いたします。

 そこで知事にお伺いいたします。都市計画道路見直しについての基本的な考え方を、この議会の場でもお聞かせいただきたいと思います。

《答弁 木村知事》

都市計画道路の見直しの件でございますが、都市計画道路については、社会情勢がどんどん変わる中で、一度決めたらそれでずっとやるというふうなことが、日本全国で行われてたわけですけれども、そういうことになるとなかなか住民の人が望んでいるようなスピード、形で出来ないでまあ、あるということで、これはまあ、あのう全国初めてのことなんですけれども、部内で一年前から十分検討して、未着手の全路線を対象に、見直しをするということで、これに着手したところでございます。

現在、和歌山の市域で全路線について、カルテを作成して検討中ということで、既に田辺市内の環状線、それから和歌山市の六十谷手平線で見直しを行ったということでございます。必要な道路がこういった公共事業、非常に財源的に厳しい中で、やはり十分やっていかないといかんということの中で、やはりこの見直し、適切な見直しということは、まあ必要なものだということで進めているわけでございます。

(雑賀県議再発言)

ご答弁ありがとうございました。いくつかの要望や感想を申し上げたいと思います。

まず、都市計画道路の見直しの問題であります。

知事から、基本的な考え方が示されました。私は、効率的な道路計画という点での工夫は、まだまだでてくるだろうと思っています。検討ははじまったばかりだと思っているわけです。その場合、上から、つまり県の側から見直しをいうのだけなく、地域からも見直しの提案をどんどんだしていくべきだろうと思っています。

第一回目の質問の中で、「1,5車線道路には賛成だが、自分の地域の道路は立派にしてほしい」という人がいるという話と、私が海南市の都市計画道路をぜいたく道路ではないかと、こわごわ提案した話をいたしました

地域、市町村が、とにかく立派な道路をつくってほしい、自分のところに少しでも多く予算をひっぱってきたいというのではだめだと思っています。

市町村としても、本当に必要な道路はどんな道路なのかをよく検討する。そして、道路規模を縮小してでも早くやってほしいという要望がある場合は、県や国として積極的にそれに応じる。国の補助金制度や道路構造令は、そういうことがしにくい仕組みになっているのでしょうが、しかし、いまそれを変えていかなくてはならないように思っています。やる気になれば弾力的運用はできると思います。

ですから、私は「都市計画道路見直し」の質問は、どの道路をどうするということをお伺いするのでなく、基本的理念を、哲学を、知事に大いに語っていただきたいというつもりで、質問をいたしました。

A 阪井バイパス

 次に、阪井バイパスについてであります。

私がこの問題をとりあげるとき、一貫した立場は、阪井バイパスというのは、海南市の動脈ともいうべき道路である、一日も早く実現してほしい、という立場であります。県が道路計画を決めてそのまま住民に押し付けるような印象になってはいけないと申し上げてきました。また「阪井バイパスの盛り土などの工法について意見があるから測量もさせない」という住民のご意見もあったわけですが、「入り口で押し合いをするのでなくて、測量したうえでいろいろな工法を提示してもらおうではないか」と行政と住民のみなさんの仲介をさせていただいたわけです。

私は出発点で、いろいろな案を出し合って柔軟に考えたほうが、完成が早くなるのではないかと考えています。

県土整備部長にお伺いいたします。まだこれからいろいろな案を出し合って協議する訳ですが、最初から一番大きな問題になっておりました盛り土の問題など、住民の意見をどの程度受け入れた検討がなされているのか、現時点でのお考えをお聞かせ下さい。

《答弁 宮地県土整備部長》

 国道370号阪井バイパスにつきましては、現在、地形測量を完了し、今後、中心線測量・縦横断測量を実施した後、道路詳細設計を予定しております。

その中で、特に住民意見の多い有原地区盛土区間の平面交差化につきましては、測量結果を踏まえ、交差する生活道路の利便性や高盛土による周辺家屋への影響、経済性等の観点から検討して参ります。

今後とも早期整備に向け、引き続き住民の方々や海南市と十分協議をしながら事業進捗に努めて参ります。

(雑賀県議再発言)

阪井バイパスについては、盛り土の問題では、柔軟な検討がなされているようです。ここ1年ぐらいじっくりと検討して、本当に必要な道路は何かがまとまったら、早急にすすめていただきたいと思います。それでもこれだけの立ち退きをともなうバイパスには時間がかかります。

 現道・国道370号の脇には、空家がならんでいるところもありまして、空家を撤去すれば、大型トラックも対向しやすくなる場所もあります。こんな提案をしますと、現道が通りやすくなると、肝心のバイパスの熱が下がるような言い方をする方もおられる。そんな駆け引きではなくて、市民が困っていて、たいした予算も要らない緊急の改善策があればどんどんやっていただくことを要望しておきたいと思います。

3 地域活性

第三の大きな柱は「地域活性化」にかかわった問題です。

海南市という町は、たいへん落ちついた町だと思っています。先日、中学校の統合問題で教育委員会が主催した説明会があったのですが、そこでお一人のお母さんがおっしゃいました。「私は他の地域からかわってきて、はじめは子どもを私学にやろうと思ったこともあったのですが、今の地域の中学校をみていると、ばっちり。安心して子どもをまかせられます。この中学校をそのまま残してほしい」とおっしゃるのです。海南市の教育長さんは、統合を進めるという立場で会場におられたのですが、「地域の学校をそんなに信頼していただいてありがとうございます」とおっしゃっておられました。もちろん、今のご時世ですから、海南市でもなにがおこるかわかりませんが、いっしょうけんめい子どもと学校を守って、「孟母三遷の教え」ではありませんが、「安心して子育てしたければ海南市にいらっしゃい」と子育て中のご家族によびかけたらどうかなど、半分本気で申しあげています。

また、JR海南駅、高速道路のインターが市役所や中心市街地に大変近い。さらに海があり山がある。この海南市のいいところを見つけ出して活性化をめざしたいのです。しかし、この海南市で人口が増えない、子どもが減っていく。

先の議会の予算委員会では、100億円の企業誘致よりも、内発型、地域のいいものを見つけ出して支援していくことが大切だと申し上げました。北野上・孟子で県が実施された休耕田利用などのワークショップを評価し、しかし、本年度の支援予算が60万円ではいかにもささやかではないかと申し上げました。その延長線上で申し上げます。

憩いと文化と有機の里ー夢のある地域興し

地域活性化のとりくみは美里チューリップ園、海老谷・棚田トラストなどいろいろあります。今日は、海南市別所に「憩いと有機農業と陶芸の里をつくろう」という夢について紹介し、出された要望への支援策について質問いたします。

海南市別所というのは、県道海南金屋線の途中にあります。かつては巽小学校別所分校がありましたが、いまは休校です。この山の中に30年前にやってきて、自分で小屋を建て、農業をはじめた方がおられます。(雑誌をみせる)山小屋からはじまって、母屋、レストラン、テニスコート、結婚式をできる教会のチャペルまでつくってしまった。梁や柱は古い電柱などつかっています。海南金屋線からかなり脇道に入り、人家もないところ。道路が細くてがたがたなので、はじめてきた方は怖い思いをする。その場所にあるピザレストランは、土日曜日しか開きませんが和歌山や大阪からお客さんがやってきます。地元で有機農業でつくった野菜を使うというのが売りです。ここにくると、せわしい日常から離れて、時間がとまったようで、ぼーとしてられるといいます。

私が先日いってみると、赤ちゃんをつれた若夫婦がきていて、レストランのご主人がピザを焼く合間に赤ちゃんをあやしています。若夫婦と話してみると「ここで結婚式を挙げたんです」といわれます。「結婚前にここに遊びに来ました。レストランのご主人の哲学に共鳴して、和歌山に住みたくなったのです。緑の雇用というのを知って、いま有田川町清水に住んで林業に従事しています。」というお話です。

この山中の別の峰で陶芸の里を開いている方はレストランのご主人の弟さんです。どちらも定着し、夢を持っています。この地域を文化と有機の里にしたい。休校になった別所分校に農産物や陶芸の作品をならべる。すこし下の方のあった温泉宿を再開できないだろうか。30年も住み着いて、ピザレストランに遠方からお客さんがくるところまでがんばっている方の夢は、はんぱなものではありません。この夢に、海南のまちづくり研究会、和歌山大学の先生などかかわってプロジェクトをたちあげようという話もあります。こうした夢を実現するために、わたしも力になりたいと思いました。

知事にお伺いいたします。こうした夢のある地域活性化について、どういう感想をお持ちでしょうか。

《答弁 木村知事》

 海南の富夢想野、今、本を拝見しましたが、すばらしい内容で、私も一度、車を運転して行ってみたいなと思っています。

いずれにせよ、この和歌山の素晴らしい自然の中でそれを生かし、そして、和歌山に住みながらいろんな形で人を呼んでくるような活動をしてくれる人、こういう活動を県として直接ではなくても、いろんな形で支援していきたいと思うし、また、こういった活動ができるだけ和歌山の中で広がるように願っています。

 あとで部長の方からも答弁があると思いますが、休耕田の仲立ちは非常に大事なことで、既に取り組んで進めており、二年ぐらい前から一番中心だということでやっているが、なかなか所有者の人とかの関係で思ったより進まない所があるが、これからも、都市との交流とか団塊の世代対策とか進めていく上で非常に重要なことだと思っており、一生懸命やっていきたいと考えています。

(雑賀県議再発言)

 別所の「憩いと有機農業と陶芸の里」ともいうべき構想には、知事の共感をいただけました。知事もぜひ、ピザをたべてぼんやりする時間をお持ちになられたらいいとおもいます。しかし、一人で大きな車で行くのは、道が危ないですから、どなたかに案内していただいたほうがいいでしょう。

私は企業誘致を否定するわけではありませんが、誘致企業への優遇にも程度やバランスというものがあります。

 昨日、企業誘致にかかわって質問された議員さんのお話をききながら、地域のいいものを見つけ出す内発型の発展を重視するという問題は、この県議会では党派を超えて、ある程度、共通の思いになっているのではないかと思ったものであります。

A 田畑の貸借の斡旋          

さらに、私はお伺いしました。「和歌山県でもこういう取り組みの支援として、イベントへの補助金というのはありますが、もっと系統的な助成をするとしたら、どんなことを望まれますか」

その方からは「この地域には休耕田も多いのですが、それを利用したい方に使ってもらうために、行政が中立ちをしてくれたらどうでしょう。土地所有者も行政になら安心して貸すでしょうから」というお話です。別に、何町歩も借り上げる事業でなくてもいいのです。さしあたり、3反でもいいのです。先日、海南市下津町で海南市が開いた市政懇談会でも、廃園になったみかん園を、都会で農業をやりたい方に仲立ちする窓口ができないかという要望がありました。

農林水産部長にお伺いいたします。休耕田の活用のために行政が仲立ちをするという提案について、どう受け止められるでしょうか。

《答弁 西岡農林水産部長》

休耕田の活用についてでございますが、昨年9月の農地関連3法の改正により、遊休農地所有者に対する市町村の指導などが強化されたところであり、遊休化が懸念される農地を耕作希望者や担い手に誘導していくコーデイネーターとして、市町村や地域リーダーの果たす役割は益々重要であると考えてございます。

県におきましても、遊休農地対策といたしまして、農地の集積や環境保全を図る遊休農地解消事業を実施するとともに、今年度からの新たな取り組みとなりますが、就農支援センターや県農業公社が中心となって、新規就農希望者に対する農地の紹介や貸付を行っているところでございます。こういった農地の貸付を進めていくことは、団塊世代対策やわかやま田舎暮らし施策を進める上で非常に大切な要素の一つと考えているところでございます。

 今後とも、市町村、農業委員会と連携を図りながら、また中山間地域等直接支払制度の活用による取り組み等を通じまして、農地の有効活用に努めて参りたいと考えてございます。

B 民間住宅借り上げの公営住宅供給について

 次は、住宅問題についての提案です。人口がふえない・子どもが減っていく海南市と申しましたが、人口減少をくいとめるためには雇用と住宅が必要です。

県営住宅に入りたいと相談をよく受けるのですが、「宝くじのつもりで申し込んでください」と書類をおとどけするしかありません。お聞きしてみると海南駅前の県営住宅の競争率は、30倍だといいます。県営住宅だけではありません。新しい市営住宅はもちろんのこと、海南市では相当古くなっている改良住宅でも競争率は10数倍です。公営住宅を建設するのは大変ですが、しっかりしたアパートで空き部屋の多いものがけっこう目立ちます。社員寮だったものもあります。私は海南市に対して、こうしたものを市で借り上げて、公営住宅として利用してはどうかと提案しています。

アパート経営者との共存をはかれるように、所得の高い方からは一般アパート並にいただいたらいいでしょう。所得の低い方や子育て中の方は優遇したらいいでしょう。県営住宅をふやせれば一番いいのですが、民間のアパートマンションの借り上げで、住宅を提供するということについて、いかがでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。

《答弁 宮地県土整備部長》

民間賃貸住宅の借り上げについてでございますが、公共団体が民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅として供給できる制度がございます。

 公営住宅と同様にバリアフリーなどの整備基準や入居基準等がありますが、一定の条件のもと、改造費等の一部についての補助や家賃補助が、国からの地域住宅交付金の対象となっております。

 海南市においてこの制度を利用される場合は、地域住宅計画の策定が必要となりますので、このような観点から、必要に応じ市と協議をしてまいる所存でございます。

C まちづくり三法

 この項目の最後は、まちづくりであります。「まちづくり3法」が改正されました。これまで、郊外型の大型店舗がつくられ、中心市街地の空洞化がすすんでまいりました。こうしたことへの規制にやっとふみきったのですが、抜け道もあるようですし、商店街を訪問してお話ししてみると「今からだともう遅いよ」とあきらめ顔でおっしゃる方もいらっしゃいます。

 「まちづくり3法」改正をきっかけにして、県としてどのような商店街活性化の支援を考えておられるのか、商工労働部長にお伺いいたします。

《答弁 下商工労働部長》

地域の商店街活性は、基本的にはまちづくりの一環として、市町村が担うべきであると考えますが、県としましても新たに基本計画を策定して、中心市街地の活性化に取り組む市町村に対しては、計画策定や国制度の活用など、積極的に支援してまいります。また、法に定めるを策定しないまでも、商店街活り組む地域の創意工夫をこらした事業に対して、引き続き支援を行ってまいります。

4 農薬ポジティブリスト

第四の柱として、農薬ポジティブリストについてにお伺いいたします。

 一昨日、原議員からも質問がありました。多少質問の観点の違いもありますので、私からも質問させていただきます。

食品への農薬の残留基準が改正されました。農薬の区分が細分化され、登録農薬以外の農薬が飛散し、残留基準を超した場合には、農産物が売れなくなるということのようです。

国民の健康のためには、一般的に言って農薬の規制は必要なことはよくわかります。そしてこの規制は、農林水産省という農政レベルで出されたものでなくて厚生労働省という国民の健康を守る行政で出されたもののようです。

 しかし、農家の皆さんからは、心配の声が寄せられています。紀美野町で農業を営む方は、「紀ノ川農協の組合員なのでそちらから連絡をもらって那賀振興局の説明会に行ってきた。その日になって無線で連絡をいれていたようだが、農家の方に徹底したのだろうか。」とおっしゃいます。

 農家のみなさんが心配しておられる問題について、農林水産部長にお伺いいたします。

 第一は、この規制が法制化されたのは3年前であって、周知徹底のための3年間の猶予があって、今年の5月から実施されたのだそうです。中古電機製品販売を規制する法律の場合もそうだったのですが、法律がつくられ、猶予期間がきれて、いよいよ実効を持つときになって問題になる。農家にとって大変になる問題について、行政として周知徹底する措置を、どうとってこられたのでしょうか。

 第二は、この規制によって、農家の負担は確実に大きくなります。いろいろと気を遣わなくてはならないばかりではない。農薬を噴布するのにあまりに霧状にならないように穴を大きくする、農薬が飛散しないようにネットを張るなどが必要だと言われています。温州みかんと雑柑を混植しているところでは、どちらかを切るといいます。こうした措置についての補助金は考えられないのでしょうか。

 第三は、これに関連した問題として、少品種作物への農薬について、農薬会社がなかなか許可を取らないために農家が困っているという問題がありますが、この問題についてのその後の進展についてお伺いいたします。
《答弁 西岡農林水産部長》
 次に、農薬のポジティブリスト制度についてでございますが、この制度は、本年5月29日より改正食品衛生法が施行され、食品に残留する農薬等の残留基準が強化されたものであります。

本制度の周知につきましては、平成16年度より、農業協同組合や農薬販売業者等への啓発を実施し、平成17年11月の残留基準値の告示後は、ドリフト(飛散)防止対策に関する研修会の開催やパンフレットの配布等によりまして、いっそう周知徹底に努めているところでございます。

 さらに、本年4月には、生産者からの相談に応じるための窓口を各振興局や農業協同組合に設置するとともに、各地域の病害虫防除対策協議会が中心となり、農薬の適正使用をはじめ、隣接農地への飛散防止、ドリフト対策等について生産農家への指導啓発に努めているところでございます。

 次に、議員お尋ねのケースにあてはまる様な補助金というものは、現在ございませんが、混植園を全面的に優良品種へ改植する場合には、「かんきつ園地転換特別対策事業」といった既存の補助事業の適用が可能というふうに考えてございますので、振興局に具体的にご相談して頂ければと思ってございます。

また、マイナー作物、いわゆる生産量の少ない地域特産農産物の農薬登録につきまして経過措置期間中にございます129件について、本年7月までに概ね8割が登録される見込みでございます。残りにつきましては、平成18年度中には全てが登録されれる見込みでございます。

今後、県といたしましては、ポジティブリスト制度に対応し、複数の作物で使用できる汎用性のある農薬の登録拡大について、国に対し要望して参りたいと思ってございます。

5 「ため池調査」結果

第五は、震災対策の「ため池の調査」についてであります。

私は1年前の6月議会で、ため池の防災問題についてとりあげました。その際、私たち地元の要望を受けて、調査対象に入っていなかった海南市鳥居の慶権寺池などもふくめて調査がはじまったことを評価し「今回のため池調査は画期的なものであろうと思います。ぜひとも成功させて地域住民が安心して暮らせるようにしていただきたい」と申し上げて、調査の規模や計画などについてお伺いいたしました。

 一年たって、第一次調査は終わり、必要な池についての第二次調査がすすんでいるとお聞きしています。私は、その推移を見ながら、一年前に申し上げた「画期的な調査」ということを、改めて感じています。

 と申しますのは、海南海草地方では、調査された46のため池の中で、5つの池が第二次調査にまわされました。第二次調査にまわされた5つの池は、どういう池だったのか。

ここに地域防災計画による「警戒を要するため池」のリストがあります。

「和歌山県下のため池数  5619ヶ所

 内 警戒を要するため池数 297ヶ所」

と表紙にかかれている。市町村が水防計画で「警戒を要する」と位置づけているため池のリストです。警戒度によって、ABCのランクがついています。このたびの「ため池調査」の対象リストは420ですから、市町村の指定をかなり上回って県では調査されたわけです。

 ところで私は、海南海草で第二次調査にまわされたため池は、市町村のリストではどういう評価になっていたのかと探してみた。なんと、紀美野町の奥池を除いて、市町村のリストにはのっていない。今回のため池調査は、従来のリストでは警戒されていなかった池もとりあげたという点で、画期的な意義があったとあらためて評価するわけでございます。

 そこで農林水産部長にお伺いいたします。

 第一に、今回のため池調査の全県的な進行状況、第一次調査の結果および第二次調査の進行状況についてお答えください。

 第二に、市町村のこれまでの水防計画での把握とのギャップということを私は申し上げたのですが、こうしたことも含めて、どう受け止めておられるのか。今後、調査対象からはずれた池についても地域から調査を求める声があれば、調査も必要だと思いますが、そういう点でのお考えもお聞かせください。

《答弁 西岡農林水産部長》

 ため池調査についてでございますが、平成16年度に作成いたしました「ため池耐震診断ガイドライン」に基づき、420箇所のため池につきまして、平成17年10月に一時診断を完了しました。

 この診断結果に基づきまして45カ所のため池につきまして第二次診断を実施しているところでございます。

 すでに、10カ所の二次診断を終えてございまして、残り35カ所につきましては、平成19年度まで完了したいと考えてございます。

また、この二次診断結果につきましては、その都度、関係市町や水利組合に情報提供いたしまして、対応策も含め協議調整を行っているところでございます。

次に、水防計画との違いについてでございますが、今回のため池調査につきましては、地域防災計画において警戒を要するため池に指定された297箇所、それに加えまして、東南海・南海地震の発生時において下流域に甚大な影響が懸念される大規模なため池、こういったものも対象に加えたところでございます。

 そういったことも、ございますので、当面、この35箇所のため池の二次診断を最優先で、取り組んで参りたいと、このように考えてございます。

(雑賀県議再発言)

 震災対策の「ため池の調査」について少し申し上げておきます。

「慶権寺池」の第二次調査で対策が必要だという結論が出たことは、5月はじめに担当課からお聞きしておりました。しかし、私は、危険だという結論だけを触れて回るのでは住民や水利組合のみなさんの不安をあおるだけになりますから、一定の方向が出るまでは私たちニュースなどに載せるのも控えますと海南市長さんにも申し上げていましたので、大座で申し上げるのは今日がはじめてです。海南市と水利組合の話し合いもはじまり、水利組合に負担をかけない方向で努力するという海南市の態度も表明されているから申し上げたわけであります。

私が、この調査を評価するのは、行政が主体的なとりくみで、警戒すべき課題を見つけ出したということです。いま、シンドラー社のエレベータが大きな社会問題になっています。高校生が挟まれてなくなるという痛ましい事故がおこってから、実はこれまでにもたくさんの誤作動があったのだと聞かされる。痛ましい事故があって、はじめて問題が明らかになり、対策がはじまるというパターンであります。

トラックのタイヤがはずれる欠陥車のリコールでも、何度も事故があって、人が亡くなってはじめて欠陥が明らかになり、リコールが行われるという例を私たちは見てきました。

このたびの「ため池調査」というのは、そういうことではなくて、地域の防水計画にリストアップしていたものを上回って、調査をした。そして対策が必要なため池を見つけ出した点です。

 海草の振興局農地課の少ない人数で、海南海草で、46ものため池、それに現地で要望があった池を一つ加えて、実は47のため池を調査していただいているわけです。和歌山市も海草振興局のエリアですから、100近い池です。私が同行してまわった池は、そのなかの一つだけですが、大変だったでしょう、ご苦労様と申し上げたいと思います。

 調査してみると対策を必要な池が見つかったという教訓からいって、ほかにもそういう池がないともいいきれない。5000もの池を調査するのは無理なことですが、地元から強い要望があったときは、今後も調査していただけるようにお願いしておきます。