7月臨時県議会(7月19日)
県議定数削減問題で公明党が直接請求。

7月19日、臨時議会が開かれました。

県議会議員の定数と各選挙区の定数の条例改正が議題でした。

同条例はことしの2月定例会で、国勢調査で明らかになった人口にもとづいて是正が論議され、日本共産党、自民党、県民クラブの賛成多数で改正されていました。これにたいし公明党県本部が、議員定数の削減(46人→44人)と選挙区定数の是正をおこなう条例改正請求の署名23、988人をあつめて、7月4日知事に提出しました。

地方自治法によると、知事は受理した日から20日以内に議会を招集しなければなりません。

19日の本会議では、知事説明、請求代表者の新田和弘氏(公明党県議)の意見陳述、質疑のあと、討論、採決がおこなわれました。賛成は公明党県議団(4人)だけで、条例改正案は否決されました。

日本共産党の藤井健太郎議員がおこなった反対討論は以下のとおりです。

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議案第142号、和歌山県議会議員の定数及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める条例の一部を改正する条例について、日本共産党県議団の議員定数についての見解をのべて、議員定数を削減する議案については反対する立場から討論を行います。

付議された条例は、2月議会で改正された議員の総定数を46人から44人に2人減員し、各選挙区での定数について橋本市で1人増員、新宮市、伊都郡、有田郡でそれぞれ1人ずつ減員する内容となっています。

地方自治法第90条に都道府県議会の議員の定数についての定めがあります。

議員の定数は条例で定めるとし、人口区分に応じて算出された数を超えない範囲でさだめなければならないとあります。

人口100万以上の都道府県にあっては、人口93万を超える数が7万を増すごとに1人を45人に加えた数とあり、本県での直近の国勢調査による人口で算出された議員定数の範囲は46人となります。

つまり46人を超えない範囲で、条例により議員定数を定めることとされており、議員定数については、それぞれの自治体での住民自治の発揮を期待し、議会の審議にゆだねているわけです。

私たちは、住民自治の発揮という意味でも議員定数問題は、地方政治における民主主義の基本問題であるとの認識のもとに、この問題を論じるにあたっては、議会の基本的役割と機能について再度確認していく必要があると考えています。

地方自治体は、執行機関である首長と議事機関である議会の議員を住民の直接選挙で選ぶ二元代表制をとっており、それぞれ独自の権限と役割をもっています。 

この点は国の議院内閣制と大きく異なるしくみになっています。地方議会の基本的役割と機能とは何でしょうか。私たちは、大きくわけて住民の声を代弁し住民の意思を代表する機能、条例を立案し定める立法機能、執行機関に対する批判・監視機能があると考えています。執行機関としての行政と議事機関としての議会、この役割分担と権限のちがいからくる機能を十分いかした活動が求められているところであります。

 今日、地方財政危機の深まりのもとで、徹底した地方行財政改革の推進が行政の重点施策とされ、職員数の大幅削減、民間委託や県が実施する事業の廃止・縮小がすすめられています。全国的に議員定数の削減も行財政改革の課題としていわれ、削減がすすめられている状況にありますが、議員定数の削減を行財政改革の対象として議論することには疑問を感じるところです。

都道府県議会議長会のもとにおかれている「都道府県議会制度研究会中間報告(05年3月)」に議員定数について言及している部分があります。

「議会は地域における政治の機関であり、行政体制の一部ではない。したがって、議員定数の問題は、単に行政の簡素合理化と同じ観点からのみ論ずる問題ではない。議員定数は、議会の審議能力、住民意思の適正な反映を確保することを基本とすべきであり、議会の役割がますます重要になっている現状においては、単純な定数の一律削減論は適当ではない。また、競って定数削減を行うことは、地域における少数意見を排除することになりかねない点にも留意すべきである。」というもので、的を射た指摘であると思います。

 議会の議員定数を行財政改革の対象として削減をすすめようとすることについては、議会と行政を同列におくものであり、議会が住民を代表する議事機関としての役割のより強化が求められている今日において、執行機関の体制と同様に論ずることは適切ではないと思います。

 行財政改革の対象としての議会経費の削減という点からいうならば、すでに削減が実施された歳費や費用弁償など議員に支払われる経費をはじめ、議会全体での事務経費の効率化・簡素化などにとりくむことが必要だと考えます。

 また、公職選挙法では、都道府県の議員の選挙区は郡市の区域によるとなっており、原則として人口比例で定数が定められることとなります。人口の少ない区域では定数1となる場合もありますが、住民のより広範な声を議会に届けるためにもあえて1人区を作ることは好ましいことではないと思います。

 地方財政の危機的状況が深まるもとで、議会の果たすべき役割はますます重要となっています。住民の負託に十分応えていける議会活動の前進をめざし、住民の代表としての審議能力、立法能力のより充実した議会であることを望むものであります。