2006年9月議会  村岡キミ子議員の質問と当局の答弁

村岡 お許しをいただきましたので、早速、質問をさせていただきます。

 まず最初に今議会に条例提案されております認定こども園についてお尋ねをいたしますが、この問題については福祉保健部長からお答え願いたいと思います。

 この十月一日から、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律が施行されます。

 簡単に言えば、就学前の子供の保育、教育を一律に提供するとして、認定こども園制度を創設されたところであります。法律に基づき、都道府県が条例をつくり、県が認定するものであります。本年六月に成立したばかりです。しかし、この国会論議の中でも数多くの問題点が提起をされてきました。しかし、非常に国民の皆さんに十分知らされない間に加速的に強行された感が強いものでもあります。

 そういう中で、この認定こども園の中でも肝心なことは、保育所や幼稚園に入所・入園している保護者や保育者、あるいは教諭さえ十分知らされていないまま条例提案になっていることだと思うんです。

 県は、条例制定を前にして、「七月二十一日から八月十一日までわずかの期間に市町村の担当課長や室長、あるいは私立幼稚園や保育園などの関係者に一応説明をした」と言っております。法律が六月成立という中での説明が果たして理解を得たと言えるのか、甚だ疑問であります。「七月二十四日から八月十一日まで県民に対してパブリックコメントを行いました」と言っております。

 そこで私はお尋ねをいたしますが、少なくとも保育園あるいは幼稚園、市町村関係者には条例提案に値するにふさわしい周知ができたというふうに考えておられますか、お答えください。

 県内には、公立・私立保育園、幼稚園が数多く運営をされております。また、無認可保育所もあります。加えて、認定こども園のモデル事業施設となった白浜幼稚園や橋本市ムーミン谷子ども園や太地町の町立幼保合同保育所が構造改革特区として運営をされてきましたが、こうした種々の運営は、認定こども園との関係は一体どうなるのでしょうか、お聞かせください。

 幼稚園では、一日四時間教育とするという基準があります。母親のパート、アルバイトとして働く人がふえる中で、今や預かり保育が当たり前のように行われております。本県でも四十六の私立幼稚園のうち四十三園で実施をされているところです。その時間も、午後三時から午後七時まで実施する園もふえてまいりました。

 一方、保育所では、保育に欠ける乳幼児を、一日八時間を基本にゼロ歳から五歳まで、ほとんど朝七時から夕方七時まで長時間保育が行われている現実でもあります。このことから考えてみましても、子供にとって今最善の利益を尊重し、そうした養護や保育、教育とは一体何なのかをここで改めて考えてみる必要もあるというふうに私は感じております。

 少子化の進む中、子供たちが異年齢の中で集団で遊んだり学んだりする機会は極めて少なくなっています。母親たちの働き方もさまざまです。こうしたことに配慮と工夫を凝らしながら幼保施設の中で一貫性を持った保育や教育が進められることに反対するものではありません。

 しかし、認定こども園では、公的保育制度を現行よりも後退させるものになっていますし、何よりも財源縮減が出発点にあります。それは、これまで市町村が責任を持ち、入所措置がとられてまいりました。認定こども園は、直接こども園に申し込み、入所決定もこども園が行う直接契約方式に変わります。保育料についても、こども園が自由に決められることになっております。保育園では市町村が所得に応じた料金を決めて市町村に納入していましたけれども、こども園になりますと直接支払うことになります。そして、保育料を滞納したり払えない場合は、退所させることは現段階ではありませんけれども、しかし、こども園は、滞納した場合、退所を命じられる可能性も考えられます。低所得層や母子・父子の育児困難な場合など、それぞれの地域によっては新たな保育格差をつくり出す危険性も十分考えられると思うのです。どのようにお考えになりますか。

 この認定こども園の中でも、職員の配置基準です。現保育所あるいは幼稚園基準の低い基準を定めております。具体的に見ますと、特に満三歳児の場合、保育園基準は二十対一であります。子供が二十人に対して保育者が一人であります。三歳以上の子供のうち一日四時間程度の保育をする幼稚園の場合、幼稚園基準がおおむね三十五対一以上となっています。この時間帯は、最も多くの子供たちの活動時間として、また集団として活発な行動が保障されるためにも、また教育的配慮から、職員は二十人に一人と引き上げるべきではないのでしょうか。学校でも今や三十人学級、少人数学級が進められる時期です。ぜひ検討を求めたいと思いますが、いかがですか。

 次に、施設整備についてであります。

 幼稚園型こども園の調理室は必要と私は考えます。幼稚園の現行の設置基準では「備えるように努めなければならない」、こういうふうになっておりますが、預かり保育が進む今、保育時間と子供の生活を考えれば調理室の設置は当然だと考えるものです。

 いずれのこども園であっても、乳幼児期からの食育の観点から調理室は必ず置くべきだと思うのであります。最近は、アトピーや、何でも食べられるという子供は数少なくなっています。ここに配慮がとても必要だと思うんです。三歳から五歳児については外注もよろしいとなっていますけれども、調理する人の顔を見ながら、時には調理人さんとおやつを一緒につくる計画など、食への豊かな心をはぐくむことにもなります。ぜひ調理室の義務化を条例に入れていただきたい。いかがでしょうか。

 さらに、保育所型こども園では、屋外遊戯場の問題です。同一敷地内か隣接が望ましいというふうに一定の条件をつけておりますけれども、しかし、最近小さい子供たちの命が奪われる大きな事件や事故がふえています。安心して安全に過ごせる場を保障することが重要な問題だと思います。このようなことを大変心配するものでありますが、人員配置基準の低い中で隣接設置は安全確保から無理があります。いかがお考えでしょうか。

小濱孝夫福祉保健部長 認定こども園についての五点の御質問にお答えいたします。

 まず、条例制定に係る関係者への周知についてでございますが、認定基準の策定に当たり、各市町村の保育行政担当課長及び教育委員会幼稚園教育担当課長への説明会を初め、私立幼稚園関係者、民間保育園関係者との意見交換会を実施するとともに、広く県民の皆様方にも御意見を伺うため、七月二十四日から八月十一日までの間、パブリックコメントを実施したところでございます。

 今後、認定こども園制度の円滑な実施に向け、県ホームページ等を活用して、施設を利用する子供の保護者を初め、県民の方々への周知を図ってまいります。

 特区で認定された幼稚園または保育所における幼保合同活動事業につきましては、平成十七年四月二十二日に閣議決定された「構造改革特別区域基本方針の一部変更について」により、全国一律に実施が可能となりました。当該事業を実施する施設につきましては、既存の認可幼稚園及び認可保育所の制度を基本としており、今後も運営に支障を来すことはありません。

 また、特区で事業実施の県内各施設につきましては、既に認定こども園の認定基準を満たしておりまして、認定に向けた調整を行っております。

 新たな保育格差をつくるのではとの御指摘についてでございますが、認定こども園の認定を受けた私立認定保育所においては利用者と施設の直接契約となりますが、保育に要する費用、家計に与える影響、児童の年齢等に応じて保育料の額を設定するとともに、その額を当該市町村長に届け出なければならないことになっております。このような保育料設定の基本的考え方に適合しないと認められる場合は市町村長はその額の変更を命じることができることとなっており、現行制度の基本的考え方を維持した仕組みとなっております。また、利用者保護を図る観点から、私立認定保育所の長は正当な理由がない限り子供の入所を拒むことができないことになっております。

 認定こども園における職員の配置基準の見直しについてでございますが、この基準につきましては、国の指針を参酌し、短時間利用児は幼稚園設置基準と同様の割合で、長時間利用児は保育所と同様の基準で、認定こども園全体で確保すべき職員の数を算出することになっております。また、午前を中心とする四時間程度の共通利用時間については、学級を基本とする教育内容とするため、幼稚園の基準を適用しております。

 基準の見直しに関しましては、今後、認定こども園の運営状況を見ながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

 施設設備の基準に関する御提言についてでございますが、調理室については、子供の年齢やアレルギー等に配慮した食事の提供など一定の要件のもと、三歳から五歳児に限定して給食の外部搬入を認めることとしております。

 また、屋外遊戯場についても、これにかわるべき公園、広場等が保育所の付近にあり、子供の安全確保など一定の要件が満たされる場合、これにかえても差し支えないこととしております。

 このように、施設設備の基準については、現行制度との均衡を保ちつつ、国の指針を参酌して、既存施設からの転換の妨げとならないよう配慮しております。

 基準の見直しにつきましては、今後、認定こども園の運営状況を見ながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

 

村岡 二つ目の質問に入ります。

 障害者自立支援フォーラムを受けて質問を申し上げるところです。この議会でも多くの方々が障害者自立支援法について随分と論議が交わされているところでありますが、私もこのフォーラムを受けて提示してみたいと思います。

 障害者自立支援法がこの十月から本格化されます。既にこの四月からの利用料の一割負担や食費の自己負担化で障害者にとっては施設の利用を断念したり利用を抑制したりする事態が起き、施設の経営にとっても、月額勘定から日額に変更されたこともあり、大変な収入の減少が起き、私たちが初めから懸念した事態が進行してまいりました。

 私は、六月議会においても、利用料の負担の重さに耐えかねて障害のある方が、施設を退所する人が相次いでいることを申し上げました。県としての負担軽減策を求めてきたところです。そして、その後も利用を抑制したり施設を出ざるを得ない事態が今まさに進んでいます。

 今、県内を縦走する形で障害者自立支援フォーラムが各地で展開をされているところです。八月三十日には有田川町きび会館で二百十人の方々が集まりました。応益負担という名前の負担増加を抑えてほしいとの願いが切実に語られました。

 九月二日には、田辺市の紀南文化会館で四百名の方が集まられて切実な声を上げられました。このフォーラムに先立って、田辺市と白浜町が利用者負担を軽減する制度を独自につくる考えが市や町から明らかにされて、こうした軽減策を全県に広げていこうとの訴えがなされたところです。

 この八日の岩出市あいあいセンターで開かれたフォーラムには三百五十人の方が参加をされ、ある自閉症児のお母さんは、「通園施設に子供が通うようになって笑顔が見られるようになったのに、自立支援法によって負担が三倍から四倍にふえた。通いたくても通えない人もいる」と訴えられています。また、小規模作業所を立ち上げたばかりの保護者は、「五年の実績がないと援助がない。これから作業所をつくっていく者に希望の持てないものになっている」と訴えられたのです。

 九日の和歌山市民会館でのフォーラムには五百人もの方が集まりました。参加者のアンケートを読ませていただきましたが、その中では、「保護者の方、当事者の方の思いに胸が詰まりました。この方たちの思いを形にできるよう行政にアピールしていかなければならない、こう強く感じたところです」、「つらい思い、施策への怒りに対して同感します」、「障害を持つお子様を持つお母様たちの嘆願が心を動かした。小さな子供たちが育つために必要な支援を確約する法律に変えられるよう私も願います」などと、無慈悲な自立支援法への怒りがつづられています。

 どの会場にも、応益負担といって大変な負担が負わされ、施設の利用をあきらめるような事態にストップをかけてほしいという願い、行政への期待が語られているのです。この三十日には、新宮市でも同様のフォーラムが予定をされていると聞きます。

 障害者の負担がふえることから退所や利用抑制が進んだことは、施設の経営にも大きな影響を与えています。和歌山市のフォーラムでは、ある施設の場合、自立支援法の施行によって日割り報酬制度になったことから、昨年と比較して四月で百九十一万三千円、五月で十八万一千円、このまま推移すれば年間二千四百万円の収入減となり、施設の経営が破綻してしまうとの報告もありました。

 自立支援法が半年間施行され、十月からは新たな負担がふやされる中で、障害のある方の自立を本当に願うなら、ぜひ耳を傾けていただきたい。県当局の見解を求めるものであります。

 その一つは、障害児施設を利用する方への支援です。

 京都府では、施設に通園する障害児の世帯に対して、利用料や食費負担を府の負担で現在の利用者負担額まで軽減する補正予算をこの九月議会に提案しているとのことです。大分県でも、負担増加分の半分を県が独自に助成したり、児童デイサービスについても県と市町村が半額ずつ負担して利用者負担を軽くする支援策を明らかにしています。授産施設に対しては、和歌山県は賃金をアップさせるための支援を県として行っているとの話も聞いているわけですけれども、子供たちに対する支援の手を伸ばしているとの話は聞きません。ぜひ、和歌山県としても現行の負担をふやさないための軽減策を求めたいと思います。

 二つ目、小規模作業所への助成の問題です。

 障害者作業所は、養護学校の保護者の方々などが、障害のある子供が学校などを卒業して障害に応じた作業所を地域の中で立ち上げてきた歴史があります。県が移行を促している生活活動支援センターの3型と言われるものは市町村が独自に利用条件を設定することになっていますが、三年ないし五年の活動実績が必要です。十人程度は利用することがセンターとして認定される条件になるとのことです。これらの条件を達成できない作業所は、県や市町村の助成がなければ閉鎖に追い込まれかねません。小規模作業所への助成は、自立支援法の枠外の助成として今後とも継続、充実を求めるものですが、いかがお考えですか。

 最後に、精神障害者の通院費の問題です。

 和歌山県では、重度障害者の医療費については自己負担を県と市町村が負担する制度がつくられ、医療の必要度が高い重度障害者にとっては大変助かる制度であるわけです。この対象には精神障害者が含まれておりません。今回の自立支援法の施行によって精神障害者の通院費は、これまでの五%から一〇%に負担がふやされました。これまでは県内では通院費の自己負担を助成する自治体があったわけですが、自立支援法は身体と知的、精神の三つの障害を同じように障害者対策として法の対象者としながら、県の重度障害者の助成対象から除外されたままになっています。一〇%への負担増加に対して、県内では幾つかの市や町が精神障害者の通院費に対して助成する施策を行っていると聞いています。その状況を報告してください。

 また、県は入院中の精神障害者が地域で社会生活を営む施策を推進していることからいっても、医療費を気にせず通院できる環境をつくるためにも、通院費の自己負担をなくしていくことが必要と考えるものですが、いかがお考えでしょうか、お答えください。

 以上については福祉保健部長からお答え願いたいと思います。

 

小濱孝夫福祉保健部長  障害者自立支援法フォーラムを受けての三点の御質問にお答えいたします。

 まず、障害児通園施設や児童デイサービスへの助成についてでございますが、障害者自立支援法の段階的な施行に伴い、本年十月からは障害児通園施設の利用者負担につきましては原則一割の負担と食費の実費負担をいただくことになっておりますが、国に対する要望の結果として、一般の子育て世帯との均衡から、保育所の保育料程度の負担水準になるよう軽減されたところでございます。

 また、児童デイサービスにつきましては、既に他の障害福祉サービスと同様、利用者負担をいただいておりますが、十月からは新事業体系に移り、療育を充実させるとともに対象児童の拡大が図られることになっております。

 利用者負担につきましては、利用者が安心して必要な障害福祉サービスを受けられるよう引き続き注視し、その上で必要があれば国に働きかけてまいりたいと考えております。

 次に、小規模作業所への助成の継続についてでございますが、現在、法的な位置づけのない小規模作業所が障害者自立支援法の施行によりNPO法人格等を取得することで、新事業体系の中にある就労継続支援事業等の自立支援給付事業への移行や、市町村が実施する地域活動支援センター事業への移行が可能となりました。このため、県では小規模作業所の安定的な運営や障害者の自立促進が図れる自立支援給付事業へ円滑に移行できるよう、各種の経営アドバイスや施設改修など、ソフト・ハード両面から支援を行っているところであります。

 また、市町村の義務事業であります地域活動支援センター事業につきましては、地域の実情に応じて実施することになっており、従来、小規模作業所分として県、市町村に二分の一ずつ交付税措置されていたものが全額市町村分として交付税措置されることになっております。

 こういった状況の中で、小規模作業所の運営補助につきましては、今後の移行状況や他府県の状況を踏まえ、検討してまいります。

 次に、精神障害者の通院医療費についてでございますが、障害者自立支援法に基づく自立支援医療として、国と県で公的負担を行っております。自己負担は原則として一割の定率負担ですが、世帯の所得水準に応じ、また継続的に相当額の医療費負担が生じる場合、一月当たりの負担額に上限額を設定し、自己負担がふえないよう配慮もされているところであります。

 また、県内では六市八町においてその自己負担の全部または一部を負担していると聞いておりますが、精神障害者の通院医療費に対する県の軽減措置につきましては、県単独の医療費助成制度全体の状況を勘案しながら研究してまいります。

 

 

村岡 次に、新宮港第二期整備計画について御質問を申し上げます。

 この整備計画の目的は四点あるというふうに書かれております。一つは外国貿易船舶の大型化に対応した水深岸壁の整備、二つには大規模災害時に対応できる耐震強化岸壁の整備、三つには災害時の緊急避難所物資集積の拠点となる防災緑地の整備、そして熊野地域の観光交流の海の玄関口として整備を行うとして、工事が今進められているところです。総面積三十五ヘクタール、総事業費約二百五十五億円、新宮市と県の共同事業で、工業用地は新宮市の事業となっているところです。既に水深七・五メートルの耐震強化岸壁は供用されています。水深十一メートルの岸壁工事も、十八年度末の完成を目指して関係者の方々の努力が今続いているところです。とりわけ特定地域振興重要港湾としても選定をされていますから、その役割が期待されるところです。県土整備部長、整備計画の進捗状況は今いかがでしょうか、お聞かせ願います。

 ところで、この工事も何の問題もなく順調に進んでいるのだろうと思っていた矢先、去る七月初め、新宮港港湾改良工事が進む中、エプロン舗装路盤材に質の悪い鉄鋼スラグが使われているのではないか、異常にpHが高い、産廃も混入しているのではないだろうか、現地調査してほしいという住民からの依頼がありました。工事請負契約書では、工期が平成十八年三月十七日から平成十八年十月三十一日、請負契約金は四千二百一万七千八百五十円、路盤材には自然石の粒調砕石を使用するとの承諾願が五月一日付で出されておりました。

 七月十二日、新宮建設部と管理整備課の担当者に現地に出向いてもらい、敷設されている路盤材を試料採取し、成分検査をしていただきたいという申し入れをいたしました。早速、県は七月十三日にその場所から三カ所で試料を採取し、同時に工事請負業者滝谷組などに対する事情聴取を始めたところです。ところが、その日に業者は、自然石の砕石から高炉スラグの一種で路盤材として一般的に使われているHMS25に変更したいとの承諾願が出されたとのことであります。

 そして、七月二十六日に現地で採取した試料の成分検査結果が明らかになりました。それによりますと、三カ所の試料のうち二カ所の試料から鉄鋼スラグMCS30と見られること、一カ所は砕石が使用されているとのことでありました。また、その中に一部、溶出試験で鉛が基準値を超えたため再試験しましたけれども、基準値内であったことが判明をしたところです。

 私は、各種のスラグを販売している住友金属和歌山製鉄所内にある住金鉱化を訪ねて、スラグの製造過程やこのHMSスラグとMCSスラグの性質の違いや用途の違いなどを聞き、現物も見せていただきました。これは鉄鉱石でありますけれども(現物を示す)、これから鉄だけをとるために石灰とかいろんなものを入れるそうですけれども、そこで製造されて最後に出てくるのがいわゆるかすなんだそうですね。これも見せていただきました。それを聞いてきたわけですけれども──これ、知事見といて。(現物を知事に手渡す)住友金属へ行ってまいりましたし、現物も見せてもらったわけです。

 HMSの場合は、自然石の砕石と変わらない使い方をされて、値段も自然石と同じようなもので、道路の路盤材にも使われているとのことでした。ところが、このMCSの方は水に大変反応するということで、約二倍にも膨張するということであります。ですから、路盤材にはとても適さないというものです。

 MCSは、埋め立てに使う場合には土砂とサンドイッチのように交互に重ねることで地盤が固く締まるように利用され、値段もHMSよりも安いとのことでもありました。住金鉱化の担当者によりますと、埋め立てに使うようなMCSスラグを販売する場合にはどの現場でどのように使うのかも確認して売るとのことで、新宮の港へ運んだMCSスラグは三重県の御浜町のある現場用に販売したとのことでもありました。

 既に新宮港のエプロン舗装で使用されたMCSスラグは撤去され、工事は既に進められているようですけれども、なぜこのような事態が起こったのか。事情聴取を行って原因は明らかになったのでしょうか、お聞かせください。

 請負業者の滝谷組を初め下請業者の海辺組、そして資材納入業者の日本土石工業株式会社に対する対応はどのようにされたのでしょうか。

 また、自然石と鉄鋼スラグの違いがわかるよう、県職員の専門的技術や質的向上対策はどうされているのでしょうか。県土整備部長から御答弁をお願いします。

 最後に、熊野川河川災害復旧工事についてお尋ねをいたします。

 新宮市熊野川町宮井地区内において、熊野川右岸側災害復旧護岸工事が行われました。時期は、昨年の二月十八日から十月二十日までの二百六十日間を要する工事が行われました。工事請負代金金額は五千五百六十五万円となっております。請負業者は株式会社果無建設と言います。

 延長百四十七メートル、面積二百六十四平方メートルを、工事材料としてラップストーン、割り栗石を使用して、布団かごや円形型蛇かごで固定をさせ、栗石などの飛散を防止するのでしょうか。この地の護岸工事は、同じ延長、面積を幾つかの地元業者に発注し、材料などもそれぞれの業者による使用が任されているようであります。

 工事は、完成期限の平成十七年、昨年の十月二十日を待たずして八月の二日、そして完工検査も八月の十二日にもう既に済んでいます。夏のさなかの工事でしたから、大変な御苦労もあったというふうに思います。

 しかし、問題はこの割り栗石です。工事終了して、しかも完成検査も合格している。なのに栗石の劣化が至るところで発生しています。これについても住民の方から調査を求められましたので、昨年の九月十一日、現地を案内していただきました。確かに、日傘の先や靴でトントンと踏んだり、棒切れ、金づちでたたいただけでぽろぽろと割れる状況があちこちで見られたのです。

 早速、河川課にお伝えいたしまして調査を求めてまいりました。現在まで工事施工業者に改善策を求めて話し合いが続いていると報告を受けているところです。

 私は、この一年間ですが、五回ほどでしょうか、この九月五日にも現地を訪ねまして、その劣化状態を観察していました。劣化は大変広がりを見せています。ところどころ、天端ではすき間が深く広がっています。一見かたそうな栗石も割れ目ができて、容易にぽろぽろに崩れてしまいました。一日も早い改善が必要ではないのでしょうか。本当に私もびっくりいたしました。

 この場所だけかと思っていましたけれども、新宮建設部管内における河川、道路工事について、平成十二年以降の工事を調査されたそうでありますが、昨年の十月までに十件の異変が見つかり、栗石の劣化が進んでいると聞きます。しかも、その納入業者は、すべて日本土石工業株式会社から納入された栗石であることも判明をいたしました。

 それぞれの工事材料承諾願に栗石に係る適性検査結果が添付をされていますが、現場では、不適正栗石が納入をされて工事の改善が必要となってきています。工事施工業者は信用して一生懸命仕事を行ったんですけれども、本当に困っていらっしゃるのではないだろうかというふうに思います。

 公共工事の質と信用性が問われるときです。特に護岸に使われる材料は、安定性、安全性を重視したものでなければならないはずです。十カ所での異変というのも異常ではないでしょうか。熊野川の護岸工事を初め、多くの河川や道路工事に劣化の進んだ粗悪な栗石が使用されたのでしょうか。わかる範囲で、県土整備部長、お答えをいただきたいと思います。

 材料納入業者に責任があるのか。粗悪な材質を見抜けなかった請負業者が悪いのか。いずれにしても、現場は改善が急がれなければなりません。

 行政にあっては、材料のよしあしを見抜く力を、工事の段階での検査体制の見直しを行うべきでありませんか。県としてのコンサルや業者任せの姿勢を改め、専門技術職員をふやして、専門的な知識、技術向上のため、研修体制も確立されていると思いますけれども、なお一層確立することを求めたいと思います。この事象に関し、どのような研修が行われたのでしょうか。部長の答弁をお願いします。

 さきに質問した新宮港で発生した問題でも、資材納入業者は日本土石工業です。納入した材料は違うとはいえ、いずれの現場にも粗悪品を納入した業者の責任は、業者としての社会的責任が問われる重大問題と言わざるを得ません。ほかに資材業者がないわけではないのですから、この際、県工事では問題を起こしている業者の資材は使用しないよう徹底する処置が必要ではないのでしょうか。今後どのような対策が必要か、改善費はどこが負担するのか、率直な考えを、県土整備部長、お聞かせ願いたいと思います。

 これで、第一回の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

 

宮地淳夫県土整備部長 新宮港第二期整備計画についてお答えをいたします。

 まず、整備計画の進捗状況についてでございますが、新宮港においては、現在、二期計画の整備を進めております。議員御指摘のとおり、本年六月には耐震強化岸壁を含むマイナス七・五メーター岸壁二バースを供用しており、また本年十一月にはマイナス十一メーター岸壁一バースの供用を予定しております。本年度末には二期計画全体の進捗率は約五一%となり、引き続き早期完成を目指して整備を進めてまいります。

 次に、鉄鋼スラグMCS30の使用の問題についてお答えをいたします。

 新宮港岸壁エプロン舗装工事において、工事中に路盤材として不適格な鉄鋼スラグMCS30が使用されたことが判明したため、これを業者の責において適切なものに置きかえるよう指示し、その処置が完了したところです。

 なお、調査の結果、業者が路盤材として使用可能な鉄鋼スラグHMS25と形状、色合いが似ている鉄鋼スラグMCS30とを取り違えて施用したことが原因と考えております。

 次に、請負業者、下請業者、資材納入業者に対する対応についてお答えをいたします。

 今回の取り違い施工については、現地の建設部長が関係業者を呼び、経緯、原因等について聞き取り調査を行うとともに、口頭による厳重注意を行い、再発防止の指導を行っております。

 次に、熊野川河川災害復旧工事について四点お尋ねがありました。

 まず、栗石材の劣化についてお答えをいたします。

 御指摘の箇所と同様に割り栗石を用いた工事について昨年十二月に県内を調査した結果、より詳細な調査が必要な箇所は十カ所ございました。その対策及び改善費の負担についてお答えをいたします。

 これらの工事につきましては、JIS規格で定められた材料の使用を承諾し施工したものですが、その後、一部の割り栗石に劣化が見られるなどの現象が起きたものであり、これらにつきましては瑕疵担保条項等を活用し、業者から必要な補修を行う旨の確認をこの五月に取りつけております。

 現在、学識経験者の意見を聞きながら、劣化を見きわめつつ補修方法の検討を行っており、出水期の終了を待って必要な補修を行ってまいります。

 次に、工事業者、材料納入業者に対する指導、さらには資材納入業者に対して厳しい姿勢で臨むべきではないかというこの二点について一括してお答えをいたします。

 割り栗石の劣化判明後、施工業者に対しては補修を行うべく指導しているということは、先ほど申し上げたとおりでございます。また、工事に使用する資材につきましては、いずれの資材業者の製品であれ、規格に合った適正な資材であれば使用を承認すべきものと考えております。今後とも、規格に合った適切な資材が使われるよう、業者に対し適切な指導をしてまいります。

 最後に、新宮港第二期整備及び熊野川河川工事復旧工事で御指摘の技術職員の技術力向上について一括してお答えをいたします。

 地元説明や用地買収等の調整業務の比重が高まるにつれ、現地で養われるべき技術や知識を習得する機会が減少してきており、平成十六年四月に県土整備部職員能力向上アクションプログラムを策定し、専門知識を取得させるため構造物、施工管理などの基礎研修や専門的な設計計画研修などを実施しております。

 また、各職場においては研修責任者を定め、年間研修計画を策定し、重要構造物の設計担当者によるプレゼンテーションを実施したり、各地域の実例を活用した職場現地研修を行うなど、技術力向上に努めております。

 なお、御指摘の割り栗石に関する研修も新宮建設部で既に実施をしており、さらに各建設部に対して文書で注意喚起を行っております。以上でございます。

 

再質問

村岡 自立支援法の部分なんかで、デイサービスの問題とか、今お尋ねしました。小規模作業所の、いわゆる自立支援法へ移行できなかったところの部分を一体どうするのかということが、最低の部分の、市が責任を持ってやるということになるわけですけれども、だけども、今、和歌山県でも県単独自の補助事業をやってますよね。それをやっぱりゼロにしないで。やっぱり、本当に努力をしてもできないところというのはありますよね、作業所の中には。そういう人たちに対してはやっぱり援助策を持つということにしないと、その人たちはせっかく努力をしてつくっていても、また何にもしてあげられないという、こういう状況になるわけですから、せめてもの、県単独自でやってる部分では何とか継続をして援助してあげてほしいというふうに思いますので、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 やっぱり五人、六人といってやっているところなんていうのは、登録者もなかなかできてこないし、一生懸命頑張っても頑張ってもなかなか到達できないという人たちは、結構、無認可の中にはたくさんあります。そういう部分をすくい上げてほしいということはぜひお願いをしておきたいというふうに思います。

 それから、今、応益負担になって随分と事業所の方も、それから利用者の方も本当に困ってるというのが実態だと思うんですよね。そういう部分で、この法律自体が本当に実態に即したものだったのかどうかというのはもう一回考え直さなあかんというふうに思うんですよね。法律が通ってこれだけ多くの人たちが大問題だと、こういうふうに運動がどんどん広がってるというような法律というのはやっぱり問題なんだということになるわけですから、そこらをもう一回、県行政としてもちゃんと実態を把握されて、そして国へ意見を述べていくということにうんと力を注いでいただきたいというふうに思います。

 それから、市町村がいろいろと支援策をしんどい中でやってるわけですから、ここに対しても市町村を支援するという立場で、軽減策なり助成策なり、ぜひ手を差し伸べてほしいというふうに重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。

 それから、こども認定保育園は、これは本当に問題はないというふうに思ってるかもわからないけれども、しかし、今の認可保育所や幼稚園があるのにもかかわらず、あえてまた新たなものを新設して一体どうなるんだと。現場で大混乱をしてるんです、今はね。だから、そういう点でも、認定こども園の中にもまた幼保連携型と、それから幼稚園型、それから保育園型、そして地方──無認可のところをここへ、こども園へ持ってくるという、そういうものまであるわけですけれども、この無認可保育所というのは、今でさえも行政の支援は何ももらってないわけですよ。あえてそれをこども園に認定をさせていくというのは、さらに補助を出すかと言えば、出さないわけですからね。勝手にやりなさいと、こういうことになるわけですから。法律の届かないところの分まであえてこれをこども園に認定していくということ自体の方が、私は保育の後退を招くというふうに思いますので、ぜひそこはもう少し検討していただきたいし、今度のこの条例の提案というのは非常に拙速過ぎると私は思ってるんです。

 和歌山県、担当者はもう一生懸命努力をして何とかつくらなければいけないって、本当に徹夜でやりはったと思うんですけども、だけども、それが現実的に本当に県民の役に立つものになるのかどうかというところは、下から、法律ができたよと、条例についても九月には間に合わないからもうちょっと検討してみようじゃないかというふうに、もっと現場の声をどうやって反映させたものをつくるかというとこらあたりをもうちょっと検討していただきたかったと思ってるんです。非常に拙速過ぎるというふうに私は思います。問題をはらんでいるというふうに思います。

 それから、新宮港の問題と熊野川の問題ですけれども、これやっぱり、土木部長がいとも簡単に「規格品に合うてたからそれは今後とも使います」と言うのは結構です、それはね。それはそうだと思うんですけれども、しかし、現実的に規格品に合うてたやつでもこういう十カ所にも及ぶところに、不良品と言えばいいんですか、そういうものが入ってたわけですから、これは大問題ですよ。だから、そういう点で見れば、この材料納入業者ですか、ここらのあたりにもっとやっぱり慎重さが必要だと思うんです。

 それから、請負業者が直接契約ですから、そこが最大の責任になるというふうに思うんですけれども、しかし、これはやっぱり材料納入業者の質が問われますよね。規格に合うてたからというて──確かにそれは合うてたんでしょう。これを使いますといって申請したときには。だけども、日にちが経過して実際に入ったものというのはそれじゃないと思うんですよ。

 だから、そういう点で見れば、そこで見抜ける力、それから県の行政側の検査──工事を追っていくたびに検査してるんでしょう、一定の時期には。完成したときに全部を丸めてやるというんじゃないわけでしょう。途中で、節々で検査してるはずですけど。そこのところでどうやって適正なものかどうかというのを見抜けるような技術や研修体制というのも必要じゃないかというふうに思うんですけれども、これは、部長、可能なんですか。それとも、そういうことは必要ないというふうにお感じになりますか。これだけはちょっと答弁してください。

 

宮地県土整備部長 県土整備部では年間に約二千五百本の工事を発注し、これを監督してございます。その中には、例えば時間がたって不具合が発生するものも、もちろんございます。そういったことに対応するために瑕疵(かし)担保条項を設け、一年ないし二年の責任期間を設けておりますので、そういったものを活用しながら適切に対応してまいりたいと思っております。

 

再々質問

村岡 時間ありませんけどもね。今部長がおっしゃったのは、瑕疵担保で事を済ませるよというね、それはあきませんよ。やっぱりその段階段階できちっとすれば、こういう問題──瑕疵担保というのは、また別な問題として出てくると思うんです。その段階段階においてきちっと検査できるか、まともな材料なのかどうかというのをやっぱりきちっとやるべきだというふうに思うんです。

 それは、もう部長、答弁する気ないかもしれんけれども。どっちにしても一つ一つの区切り区切りをやっぱり技術力をもって、いいものをつくっていくということを心がけていただきたいというふうに、要望しておきます。