12月県議会

木村前知事の逮捕・辞職により、知事選挙の最中におこなわれることになった12月県議会が4日開会、8日までの異例の短期間な定例議会となりました。

 

会議

内容

4日(月)

本会議

議案説明

5日(火)

休会(議案審査)

 

6日(水)

本会議

各会派から代表質問(日本共産党から村岡キミ子県議)

7日(木)

委員会

付託議案の審査

8日(金)

本会議

議案採決、(05年度決算)

 

村岡キミ子県議の代表質問(12月6日)  議会中継(録画)

日本共産党県議団を代表して、一般質問をおこないます。申し上げるまでもなく、木村良樹前知事が逮捕され、辞職したことから今回の知事選挙となり、現在その真っ最中であります。いま、県民の県政を見る目は大変厳しいものがあります。出納長、県知事と三役のうち2人までもが逮捕されるという事態は、和歌山県政史上はじまって以来のものです。

それだけに、県民の税金を使った公共事業で、県の最高幹部が談合容疑で逮捕され、県政の停滞、混乱を招いていることを県民に深く謝罪すべきであります。ところが、最近配られました12月の「県民の友」をみますと、知事選挙がおこなわれることは告知していますが、なぜ、知事選挙がおこなわれることになったのかという、選挙の原因も書かれていません。

9月20日に大阪地検が県庁に家宅捜索に入り、10月には水谷聡明出納長が逮捕されたことも、木村前知事が11月2日に辞意を表明したことも書かれていません。また、さかのぼって、「県民の友」11月号も、県庁の家宅捜索があったことなど、談合事件に関することは何一つ書かれていませんでした。

公室長にお聞きします。談合事件に対する県民の怒りをどう認識されているのですか。県民の税金が談合という不法行為によって、横取りされていた疑いが濃いことについて、また、県政が前代未聞の混乱状態にあることを、県行政として謝罪するのが当然だと思います。県内の全世帯に配布される「県民の友」で、少なくとも、12月号では、県民にたいする謝罪の言葉があって当然だと考えるのですが、公室長の答弁を求めます。

 次に、談合事件の全容解明にかかわって質問します。10月16日の議員全員協議会において、木村前知事は、外部の有識者、専門家を含めた調査委員会を設置する考えを表明し、その人選が進行していることも伝えられていました。それから半月後の11月2日に辞意を表明し、15日夜の逮捕に至りましたが、談合事件の全容解明は、全県民的な課題であり、前の知事が逮捕・辞職したからといって、絶対にないがしろにすべきことではありません。

職務代理者である副知事にお聞きします。調査委員会設置の進捗状況とともに、一刻も早く、調査委員会の作業を開始することが必要だと考えますが、見解を求めます。また、副知事自身の談合事件に対する認識も併せてお示しください。

 談合問題の最後に、事件で明らかになった前知事の親睦会についてですが、報道などによりますと、前知事の親睦会的組織は3つあったということです。

一つは翔樹会という建設業者らも入った組織、また、21会という木村知事の就任以前から存在していた組織で、いずれも、月の会費が3万円程度で、6年間で約5000万円の会費が集められたようです。もう一つは、若手の経営者が中心となった青樹会という組織もあったようですが、これらの親睦会について、公室長に質問します。

まず、21会と名付けられた会は、いつ発足し、これまでどのような活動をしてきたのでしょうか。昨日の「朝日」新聞によると、12人ということですが、会員は何人でしょうか。

また、集められた会費が、どのような使われ方をしたのかも、重大な問題であり、報告を求めます。前知事が個人的な使い方をしたのであれば、前知事の収入として、課税の対象にもなってくるでしょうし、秘書課を私物化していたことになります。知事としての政治活動に使われていたとしたら、政治資金規正法上の問題も出てきます。

報道によると、21会の運営については、秘書課に事務担当者が置かれていて、大阪地検が秘書課を捜索したときに、課の棚から百万円単位の現金が押収されたとのことでありますが、事実、現金はいくらあったのでしょうか。お答えください。

翔樹会について、お聞きします。いつ発足し、事務局はどこが担当していたのでしょうか。11人という報道がありますが、会員は何人でしょうか。どのような活動をこれまでおこなってきたのでしょうか。また、21回と同じように、会費として集まったお金は、どのような使われ方をして、いくら残されていたのでしょうか。また、親睦会行事以外に使われたお金は、どのように使われたのでしょうか。お答えを願います。

知事の職務代理者である副知事は、親睦会費のこうした問題について、どのような認識をもたれていたのか、また、事件が発覚して、認識に変化があったのか、お答えを願います。

また、木村前知事が就任した2000年9月以降の、県の公安委員会委員や教育委員、監査委員、収用委員など、行政委員会委員の民間人で、これらの3つの親睦会に所属した会員は何人いるのか、お答えください。

仮にも、公安委員などの公職に、知事の親睦会会員が入るということがあっては、県政の私物化以外なにものでもありません。

 紀の国森づくり税について伺います。

日本共産党県議団は、今議会に「紀の国森づくり税条例の一部を改正する条例案」を五会派十六名の議員とご一緒に共同提案しています。私どもはこれまでも、和歌山県の森林の荒廃と森林の公益的機能に注目した施策の強化を求めると同時に、森林荒廃の主たる原因は無理に人工林を増やしながら外材輸入を野放しにした国の林業政策にあるとして、森林整備と自然環境の再生のために国の責任による財源措置を求めてきました。一方で、地方独自の税財源を否定するものではありませんが、その場合は県民の中での十分な論議と理解・納得が必要だという点を指摘し、使途も示さず県民の理解も納得もない「森づくり税」導入強行は拙速だと批判してきました。

 去る11月29日に、紀の国森づくり税の使途について「紀の国森づくり基金活用検討会」の検討結果が提出されました。森づくり税の使途については、県が実施している森林・林業施策の不足分を補完するものではなく、公益性、透明性の確保と効果の検証ができるものであるべきだとしています。その上で、シンポジウムや森林体験などの「森とあそぶ・まなぶ」事業に20%、荒廃森林の整備など「森をつくる・まもる」ハード事業に60%、木製品活用など「森を生かす」事業に10%、県民からの「事業提起」型の事業に10%という枠組みが提案されています。全国的な例を見ても、ソフト事業に重きをおくべきか、ハード事業に重きをおくべきなのかというような議論も、森林の状況や県民の意識によって大きく違っていますが、和歌山県民あげての議論がされたとは言えない状況です。

この間、検討委員会答申案に対するパブリックコメントがとられ、県民向けの2巡目の説明会が7ヶ所で開かれました。1順目の参加者も9ヶ所で合計228人であり、1会場平均25名とたいへん少なかったわけですが、今回も、東牟婁会場で33名、西牟婁会場で50名、日高会場で24名、有田会場で18名、那賀会場で27名、和歌山市会場で22名、伊都会場で18名という状況でした。全体でも、420人の参加しかなく、しかも参加者の大部分は行政関係者ということであり、この説明会をもって県民に説明責任を果たしたとは到底言えません。

また、和歌山市議会からは、この条例を各市町村との協議、検討も進展しないままに、施行することは、県民不在、市民不在の暴挙であり、「紀の国森づくり税条例」「紀の国森づくり基金条例」の廃止を求める決議も可決され、御坊市議会も同様の決議をあげているところです。

そこで総務部長に2点お尋ねします。まず第1点目に、これまで県は「県民の理解と納得を得て実施していきたい」と答弁してきましたが、私たち日本共産党県議団と和歌山市会議員団が、和歌山市内で実施した県政・市政アンケートでは、回答のあった916通のうちで、紀の国森づく税について「よく知っている」と答えた方はわずか12%でした。「名前だけ知っている」という人が36%、これに対し「知らない」と答えた方が52%に上っています。そして、4月からの新税徴収について、「反対である」が60%、「賛成」はわずか6%、凍結すべきが11%、分からないが20%という状況でした。

有田地方でおこなったアンケート調査でも、全体の回答数408のなかで、「県民の理解と協力を得るための努力が不足している」というのが44%、「事業計画もない中で拙速」というのが39%で、批判的な声が8割以上を占めていました。

このことからも紀の国森づくり税は、現段階において、広範な県民の理解も納得も得られていない状況であると考えますが、県はこの税導入についての県民合意をどう考えているのか答弁を求めます。

また、説明会に参加した人の中で、行政関係者がどれくらいを占めていたのかも、お示しください。

 2点目に、このような状況の中で実施を強行すれば、県民の県政と県民税に対する信頼関係を損なうことになりかねません。加えて、今回の談合事件での税金横取りに対する県民の怒りが加わっている中で、県民の理解も納得も得ずに新税を押し付けることは看過できません。以上の点から、紀の国森づくり税の来年4月実施は拙速であり、税導入は見送るべきではないかと考えますが答弁を願います。


17年度決算に対する討論

議案第160号平成17年度和歌山県歳入歳出決算の認定について、議案第161号和歌山県公営企業決算の認定についていずれも、認定に反対の立場から、討論をおこないます。

今回の談合事件で、県発注の公共工事において、木村前知事やゴルフ場の元経営者井山義一被告らが談合に関与し、入札に参加したゼネコンなどが予定価格に近い、高値落札をおこなっていました。そして、ゼネコンから2億円近いお金を受け取った井山被告から、木村前知事に一千万円以上のお金がわたっていたことも明らかにされています。

決算審査の対象となりました17年度における入札でも、高値落札が相次いでいます。農林水産部の5千万円以上の工事では、16件の入札のうち、最低の落札率でも93・8%、最高では98・9%でした。

県土整備部の5000万円以上の工事入札では、197件のうち、落札率が90%以上という高値落札が160件、全体の81%をしめています。昨年末までの入札と、今年に入ってからの入札を分けてみますと、昨年末までの入札では、90%以上が87%、今年の1月から三月までの入札では56%と、大幅に減っています。日本土木工業協会は昨年末に談合訣別宣言をおこないました。今年度の落札率がこれまでに比べて、大幅におちていることがはっきりしていますが、昨年末までの異常な高値落札において、談合がおこなわれていたのではないかとの疑念を抱くのは当然であり、このことにメスをいれないでは、県民の理解を得られないと考えます。

県単の老人医療費補助金の推移を見ますと、所得制限を極端にまで厳しくした結果、平成13年度の受給者数は三万千二百二十二人でしたが、17年度は1136人にまで減少しています。13年度の補助額は十一億二千二百万円でしたが、昨年度は六千五百万円にまで削減され、十億五千五百万円も削減されています。

一方では、公共事業発注による入札談合で、多額の税金が不法にゼネコンなどに流されていながら、県民のいのちに関わる補助金をばっさりと切り捨てることは許されるものではありません。

 

特別会計では、同和対策事業としておこなわれてきました、「中小企業高度化資金」において、協業組合「大幸」などへの融資、四億九千万円が不納欠損処理されました。この高度化資金の債権回収については、これまで何度も取り上げてきましたが、この高度化資金制度での融資先は全体で五十法人、そのうち三十五法人が延滞法人であり、未償還額は百七億円となっています。融資した7割が延滞法人となっていることは、経営環境の悪化だけでは説明できない問題をはらんでいると考えられます。

また、同和対策事業として、無利子融資された百二十三億円のうち、未償還となっている金額は九十二億円にものぼり、十七年度において返済された金額は七千万円にしかすぎません。また、そのうち6つの破綻法人の未償還額だけで、二十九億三千万円にものぼっていますが、協業組合「大幸」に対する四億九千万もの債権はこの中には含まれていません。また、不能欠損処理にいたる経過で、督促状を送っていたことが、時効停止にはならないということを、相手側から指摘されるまで知らなかったとされていますが、真剣に県民の税金を回収する気持ちがあったのか、疑わしいと考えざるをえません。県行政として、許されないミスをおこなって、県民の税金を浪費した事態への真摯な反省を求めたいと思います。

加太コスモパーク用地にオリックス、カゴメが出資して昨年から稼働しているトマト生産、加太菜園の二期事業は、トマト販売の不振から無期延期されていることが、委員会審議のなかで報告されました。県が土地開発公社に払う賃借料は、八十六・五ヘクタールで四億八九八六万円、加太菜園には三七ヘクタール造成して、賃貸料は十・七ヘクタール分で約一千百万円で、多額の県費が費やされて優遇されています。二期事業の着工延期という事態を迎えて、ますます県民の税金をつぎ込むようなことを続けていいものでしょうか。鑑定価格を割った、破格に安い賃貸料の見直しを企業に求める姿勢が必要なのではないでしょうか。

土地造成事業については、保有している土地を完売しても多額の赤字が残ると予測され、赤字額は将来、県民に負担を求めることになります。将来の見通しを県民の前に示し、そうした事態を招いた責任を明確にしなければなりません。

以上を申しあげて、討論をおわります。