1月16−17日 臨時議会が開会

昨年末の県知事選挙では、談合不正の一掃、県民の暮らし・福祉応援の県政を求める県民の力が大きく広がりました。昨年の12月定例議会は、知事選挙期間中で異例の短期日となりましたが、新知事が選ばれて初めての臨時議会が1月16日(火)、17日(水)におこなわれます。藤井県議が質問をおこないました。議会中継(録画)

○ 藤井健太郎 仁坂知事、まず最初に、知事就任おめでとうございます。お祝いを申し上げます。
 知事におかれましては、県民全体の奉仕者として県民福祉の向上、県勢の発展に尽力されることを願うものであります。私の議員としての任期も残すところあとわずかでありますが、私は私の立場でそれなりに精いっぱい頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 議長のお許しをいただきましたので、質問に入らせていただきます。

談合事件について
 まず、官製談合事件の教訓と今後の取り組みについてでありますが、知事の今回の官製談合事件についての所見と、今後の県政にどのように生かしていこうと考えておられるのか、そういった問題についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年九月議会開会中に、知事室が大阪地検により談合容疑で捜索を受けました。その後の推移については、御承知のとおりであります。その九月議会での私のこの問題に対する前知事への質問に対して、前知事は、「知事就任以来、公共事業の透明性の確保を県政の最大重要課題の一つとしてきた。今回の問題も、個人的には人から誤解を受けるようなことは何もしていない。公共事業の品質確保を図るとともに、より透明性、競争性が高い入札制度改革に全国に先駆けて取り組んできた。本県の入札制度は透明性が高く、私を含め、県庁がかかわっていく余地など一切あるものではない」と、こういう答弁をされました。この答弁どおりなら、前知事は辞職する必要も逮捕されることもなかったわけであります。ところが、県の最高責任者の知事や幹部職員の出納長が、公共事業の発注者でありながら談合に深く関与していたとして逮捕、起訴されるに至ったわけです。県政史上にかつてない不祥事となり、県民の県政への信頼は大きく揺らぎました。仁坂知事は、この問題、どのようにとらえ、今後の県政に生かすべき教訓をどのように酌み取っておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。

 二点目に、公共調達検討委員会と事件の全容解明の問題についてであります。
 知事は、公共調達検討委員会を設置され、このような事態が二度と起こらないように最善の手段を講じ、県行政に対する不信を一日も早く払拭する必要がある、このように言われております。大変重要な課題でもありますが、新たなシステムづくり、制度づくりを進める前提として、また県行政の不信を払拭するためにも、なぜこのような事態が起こったのか、その原因は何だったのか、個人の問題なのか組織の問題なのか、はたまた入札制度の問題なのか、全容の解明、その真相の解明が新知事に求められているのではないかと思うところですが、知事は、この点、どのように考えておられるのでしょうか。
 今回設置をされた公共調達検討委員会がその役割を担うことになるのでしょうか。十二月議会では、全容解明のための調査委員会の設置は新知事の意向を踏まえてという答弁が知事職務代理者からされていましたが、知事は行政として全容解明を進める意思をお持ちなのかどうかをお尋ねしたいと思います。
 三点目に、知事自身の政治姿勢についてであります。
 知事は、執行機関の長として、また全体の奉仕者として、また政治家としてのあるべき姿を県民に示していくことが求められていると思います。そこで、何点かお尋ねをしておきたいと思います。
 知事には、前知事──木村前知事ですが──元ゴルフ場経営者の井山氏のような、そういう特定の関係にある人物というのはいないのかどうか、この際、最初に確認をしておきたいと思います。
 公務員としての倫理の確立の問題です。
 県はこれまで、利害関係者との会食、遊戯やゴルフなどでの交流を初め特別の便宜を受けることは県民の疑惑や不信を招くとして、厳に慎むこと、こういう通知、通達を副知事や総務部長名で出されてきていました。所信では、知事は新たに倫理規程をつくっていきたいと、こういうふうに述べられておりまして、一歩前進だと評価をするわけですが、この際、知事、副知事、教育長など特別職、知事部局だけではなくて行政委員会も含めて制度化のための倫理条例づくり、こういったものを検討してみてはいかがでしょうか。その内容の一つとして、知事は県と契約関係にある、取引関係にある業者からの政治献金は受け取らない、こういう姿勢を示していく、こういう条項も含めてはいかがかと思いますが、知事の所見を聞かせていただきたいと思います。
 知事は、同時に内部監査査察の強化も言われておりました。内部通報制度と言われるものでありますが、これも含めて公益通報条例ということで、これも制度化をするという考えはないでしょうか。
 最後に、前知事が持っていた、秘書課職員が──親睦会というふうに行政の皆さんは言われておりますが──その会費を管理していた、こういった会についてどのように考えておられるのか。知事はそういった会をつくろうとされるのか。公室長は、時期が来たらこの内容についても話すことができるということで総務委員会で答弁をされていましたが、知事はこの会の全容を解明する考えはあるのでしょうか。
 また、会員から行政委員が三人選ばれているということでありました。今後、行政委員の選任のあり方をどのように考えておられるのか、お答えを願います。

新年度予算編成について
 次に、新年度予算編成についてお尋ねをいたします。
 所信では五つの目標ということで幾つかの施策を述べられておりましたが、新年度予算編成において県政の最重要施策をどのように考えておられるのでしょうか。木村前県政の何を継承して、何を変えていくのか。首長が変われば政策が変わることにもなります。政策が変わることによって県民生活が影響を受けることもあります。県民の暮らしをより応援することになる、そういうふうに政策を変えていくということであれば歓迎するところでありますが、どのように考えておられるのでしょうか。

 二点目に、企業誘致と県内産業の振興についてであります。
 知事は、産業政策として企業誘致の推進を第一の課題に掲げておられるように見受けられます。新たな企業誘致は新たな雇用と所得を生み出し、産業連関の広がりによっては経済波及効果も十分期待をできます。前知事は企業誘致のために一企業に最高百億円という破格の奨励金制度をつくりましたが、現在、全国多くの自治体が破格の補助金制度をつくり、誘致合戦をしている状況にあります。立地や雇用に対する補助金制度をつくっても、効果的に活用されなければ意味がありません。和歌山の経済の状況から見て、なぜ企業誘致が第一の課題になってくるのか、知事の企業誘致に対する基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
 また、企業誘致のための新たな用地の確保や土地造成を考えているのか。既存の未活用地の活用、これを優先して考えているのかどうかもあわせてお尋ねをいたします。
 雇用や所得の創出という点から見れば、県内で根づいてきている、県民のなりわいでもある農林水産業や中小の地場産業と言われるまさに県経済の担い手への支援、新たな事業拡大や創出に努力しておられる事業者の皆さんへの支援も企業誘致以上に重要な課題だと思うわけですが、知事の所見はいかがでしょうか。

暮らしと社会保障について
 三点目に、県民の暮らしと社会保障についてであります。
 県民の暮らしの実態をどのように把握されているのでしょうか。本県では、総人口が減少するもとで、生活保護、ひとり暮らし高齢者、障害を持った人、ひとり親家庭など、援護を必要とする人がふえてきています。県経済の活性化とあわせて、県が実施をする社会保障制度の充実も緊急の課題でもあります。県民の暮らしの実情から見て、本県での社会保障施策はどうあるべきか、知事の考えを聞かせていただきたいと思います。
 医師確保問題については具体的に触れられていますが、医療、介護、障害者福祉など施設整備の問題や、とりわけ県民負担が増大してきている問題について、どのように対応していこうとされているのか。県での独自助成策など考えておられるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

行財政改革プランについて
 四点目に、行財政改革プランについて。
 行財政改革プランついての見解と内容を見直していく考えはないのか、お尋ねをいたします。
 歳入確保では、年金への課税の強化、定率減税の廃止、住民税の一律一〇%課税、税等の滞納整理など、県税収入を十七年度八百八億円から二十一年度には一千五十一億円と見込んでいます。歳出削減として、公共事業の削減、職員数の削減、民間委託の推進、事業仕分けでの事業の縮小・廃止などで歳出削減を進める内容となっています。問題は、県民生活にも大きくかかわってくることとなり、職員や県民に犠牲を転嫁していくことになるのではないでしょうか。財政のバランスをどのようにとっていくのか。県民への負担押しつけにならないような行財政運営の努力が必要だと思いますが、知事の所見をお聞かせ願います。
 また、手始めに知事自身の報酬や退職金を見直していく考えはないのか、あわせてお答え願います。
 五点目に、県民の意見を聞くことについて。
 知事は、県民の意見を聞いていくということをその政治姿勢の第一にも掲げられておりますが、その基本的な考え方について、また具体的な施策を何か考えているのか、お尋ねいたします。
 地方自治体として、広報と広聴制度の徹底は重要な問題であります。行政にとって都合のいい情報だけ流すのではなく、県民には主権者として知る権利と県政運営に参加していく権利があります。住民参加の県政運営は重要な柱だと考えるものであります。
 ところで、私たちが十二月二十日に知事選挙後に仁坂知事あてに新年度の予算要望書を提出したところでございますが、知事は目を通していただけたでしょうか、お尋ねをいたします。
 最後に、県立自然公園について。
 県立自然公園について一月五日の記者会見で触れられていました。なぜ県立自然公園なのか。県立自然公園の果たすべき役割と現状の認識をどのように考えて、どこをどのように見直していこうとされているのか。
 現在、美浜町では、煙樹海岸県立自然公園を後背地として、煙樹ケ浜と海域を使用して自衛隊が水際地雷の訓練を計画し、関係機関と協議が重ねられているところです。煙樹海岸県立自然公園は、和歌山の自然を代表する景観の一つとして貴重な財産でもあり、保全すべき公園だと思いますが、自衛隊の訓練場の計画があるという問題を視野に入れての県立自然公園の見直しということなのかどうか。この点もあわせてお尋ねをいたしまして、私の第一問を終わります。
 御清聴、ありがとうございました。

○仁坂吉伸知事 先ほどの御質問の中で、官製談合事件の教訓と今後の取り組みについての御質問がありました。
 これは、まさに先ほどの玉置議員の御質問にありましたように、志と方法論という問題ではないかと思います。志については、たくさんの方が、こういう問題はぜひやめるんだというようなことを言っております。しかし、大事なことは方法論であります。私は、志については、既に申し上げましたとおり、こういう忌まわしい事件の再発を絶対に防止したいということを申し上げております。しかし、大事なことは、方法論をきちんとやるかどうかということであります。もしやらなければ、それは志を疑ってもいいということだと思います。
 既に、公共調達検討委員会の発足で走り出しております。方法論に関して、私の志がきちんとしたものであるということをわかっていただけると思っております。次は、この検討結果を踏まえて実施することであります。それによって今の御質問に対するお答えをしたいと思っております。
 それから、これまでの原因は何であったか、あるいは実態調査をしたらどうか、こういうような議論がありました。
 これについては、私は一番大事なことは、だれがそれを運用してもきちんとできる、あるいはああいうようなことが二度と起こらないというようなシステムをつくるということだと再三申し上げてきました。そのシステムをつくるためには、当然、あの事件がなぜ起こったか、どのようにして起こったか、あるいはそれがどういうインセンティブでどうなってああいう事態になったのかというようなことはきちんと頭に入れておく必要があります。したがって、その限りにおいて実態把握をするのは当たり前であります。したがって、公共調達検討委員会においては、なぜああいうことが起こったかということは当然作業の一つとしてそれがビルトインされていると考えていただいていいと思いますし、私はそれを期待しています。
 ただし、その検討結果といいますか、過去何があったか、あるいはどんな犯罪があったか、そういうことを調べることが私の今の目的ではなくて、志は、もう二度とああいうことが起こらないようないい制度を和歌山につくるということでありますので、結論は──もちろんその原因は説明いたしますけれども、システムをつくるということにあるというふうに私は思っております。
 それから、私自身の政治姿勢であります。
 政治姿勢でこのようなことを申し上げるのもちょっと恥ずかしい思いがいたしますが、私は前知事と井山さんのような特定の関係にある人物があるかないか──そんなものはありません。もちろん、多くの方から意見を聞かなきゃいけないということは思っております。したがって、あの人はちょっと怪しいから意見は聞かないんだとか、この人は排除しなきゃいけないと、そういうことを申し上げるつもりはありません。したがって、ありとあらゆる方から意見は聞きたいというふうに思っておりますが、やましい心を持って、あるいはやましい志を持って特定の人と結託して何かをするというようなことは決してありません。
 それから、知事を含めた職員の倫理の確立につきまして、条例を制定してはどうかというお話がありました。
 それも手段の一つであるというふうに考えますけれども、実は国の制度も、よくおわかりと思いますけれども、実際の内部的な、あるいは実際の内容は、実は行政の規律で決まっています。したがって、私は今何をしなきゃいけないかというと、これを具体化するための内部規律という形で具体的な規則をつくるということをまず始めたいと思っております。そういう意味で、知事及びその他の特別職も含めた知事部局の職員に係る倫理行動規範の作成を十二月二十日──これは私が初登庁した日でありますが──検討するようにというふうに申し上げた次第であります。
 それから、県と契約関係にある業者からの政治献金の受け取り禁止の条項を内容に含めてはどうかというようなお話がありました。
 これにつきましては、多くを語るまでもないと思いますけども、政治資金につきましては、政治資金規正法等の関係法律の定めるところに従って、適正に、かつ合理的に処理をしてまいればよろしいかと思っております。
 また、不正防止のために内部監察制度、それから内部通報制度の充実というようなお話がございました。
 それについては、大事なことだと思っております。したがって、これも十二月の二十日に私が初登庁したときに、内部監察査察制度の検討を指示したところであります。これも作業を進めておりますので、おいおい発表して県庁の中で守るようにしたいというふうに思っております。
 ただし、この問題は昨年発生した例の官製談合事件、あるいは知事の逮捕につながるような事件だけのためにやるわけではありません。例えば、県庁の職員が不正を働いていなくても効率があんまりよろしくないとか、あるいは県民の皆さんから不満を持たれているとか、そういうようなことについても十分対応できるような、そういう制度にしていきたいと思っております。したがって、集合の概念でいきますと、公共調達制度の一部であるとともに県庁全体の規律の充実という点でも役に立つようなものにしたいと。倫理規程もそうでございますが、この二つについてはそういうふうに思っております。したがって、内部部局にまず検討を命じたところであります。
 それから、御質問にありました、前知事が持っていた親睦会についてでありますが、これは前知事を囲む私的な親睦会であったと聞いております。御質問の趣旨については、私が感想を持ったのは、公私混同はいけないということであります。したがって、私は、こういう問題について、もちろん幾つもこういう親睦会を持って特定の人とだけつき合うという気持ちはありませんが、より重要なことは、県庁の職員にこういうものに関与させると、私的なものに関与させるというのは、それは公私混同だというふうに思います。命令権者の影響力は絶大ですから、私は、県庁の職員にこういう私的なものについて関与させるつもりは全くありません。
 なお、その木村前知事の親睦会に何人かの方々が参加していた、その方が行政委員をされていたということについてどう思うかということでありますけれども、行政委員につきましては、その方の品格あるいは識見、それから影響力の大きさ、人物、そういうことを総合的に勘案して決めています。木村知事も、多分そういう有力な方々あるいは立派な方々と私的にお話をしたかったというふうに私は思います。したがって、そういう方々がたまたまそこに入っていたということについてとやかく私は申し上げるつもりはありません。
 ただ、もちろんその関係が、その方と木村知事との関係が仮に法に触れるようなものであったり、あるいは非難されるようなものであったりすれば、それについては改めてその人の品格を疑わざるを得ないということになりますので、改めて考え直さないといけないのかもしれません。今のところ、そういうことについて何ら情報には接しておりません。
 それから、政治姿勢についてということでありましたが、御質問の趣旨は木村県政のいいところは継承するかということだと思います。これについては、先ほど申し上げましたように、県の制度として、あるいは政策として県庁で堂々とやっていることについては、それは新任の知事としては、まず受け入れざるを得ない。もし変えるとすれば、よく検討して、これについて説明をしながら変えていかざるを得ないと私は思っておりますので、そのようにさしていただきたいと思います。
 それから、新年度の予算編成におきましての具体的な話ということでありました。
 現在、予算編成中であります。和歌山県を元気にするために五つの政策目標を大きな柱として、かつ人件費の抑制とか事業の見直しとか、そういうことをやって捻出した予算を重点的にめり張りをつけて配分することによってこのような政策の実現を図っていきたいと思っております。
 それから、企業誘致と、あるいは県内産業の振興について幾つか御質問がありました。
 企業誘致の推進についてなぜ必要かということでありますが、これはもう県民の多くの方の実感として働く場所を拡大してもらいたいということはあると思います。したがって、ありとあらゆる手段を通じて働く場所を拡大するという中に企業誘致、新しい血も導入するということも当然含まれるということは、議論をしなくても皆さんがお感じになっておられることだと思っております。
 それから、どういう土地かということでありました。
 これについては、県についてもまだ利用されていない遊休土地を持っております。それから、市町村も持っておられると思います。そういう遊休地をできるだけ活用して、これをセールスしていくというのが基本ではないかと思っております。
 ただ、企業ニーズは大変いろんなものがあります。これでは間尺に合わないようなものというのは、例えば民間に持っているような用地も対象にしていかないといけないし、いろんなことも考えていかないといけない。新しいことも考えていかないといけないのかもしれません。だけど、まず今そこにある土地というのをぜひ早く、売りたいといったら変ですが、そこに企業に来てもらいたいということを念頭に置いて努力をするのが筋ではないかと思います。
 これについては、私は県庁の諸君に、県の土地だけを売るのが県の政策ではない、県のプロジェクトだけをやるのが県庁の政策ではない、市町村が持って困っているプロジェクトも、それから民間が抱えているプロジェクトも、県内に働き場所が拡大するのであれば、みんなそれを一致協力して努力して働く場所を拡大するためにやっていこうということを申し上げております。そのために、市町村の方々と県の当局の諸君が今大いに話し合いに入っているということだと信じております。
 それから、御質問にございました奨励金、これを大幅に引き上げたことにつきましては、私は、和歌山県の積極的な誘致姿勢がPRされるなどの面で大いに効果が出てきている、企業誘致活動にも力になっているというふうに思っております。ただ、もちろん、これだけですべて企業が来てくれるわけではありません。したがって、この辺のPR効果も生かしながら、いろいろな戦略を立てて企業誘致に努力していきたいと思っております。
 さらに、県内産業の振興について御質問がありました。
 私は、経済団体の新春互礼会で、働き場所を拡大するためには企業誘致ももちろん大事であるけれども、その企業誘致と並んで、それから企業誘致を成功させるためにも、ここにいる企業の方々がもっともっと発展するということが大事だということを申し上げました。県内産業が大いに発展して元気が出てくるということなしに和歌山に行きたいという企業はなかなかあらわれないというふうに思います。これは、私の長い経験の中でも大いに経験したことであります。したがって、何も新しい血を導入するんじゃなくて、県内産業を振興するということが大事だと思いますので、そのためのありとあらゆる政策手段を動員して、県内の方々も鼓舞しながらやっていきたいと思っております。と同時に、県民全部がその県内の企業、県に現に操業している企業、それを大事にするということも大事だと思っております。いろんな問題は生じます。しかし、同時にその企業は雇用を提供しているということを忘れないで、県民の資産としてみんなで盛り上げていこうということを私は訴えたいと思っております。
 それから、新年度の予算編成について、特に安心・安全の政策をきちんとやるということについての話がございました。
 社会保障費の増加、かさが高くなって、その制度を維持可能とするための制度改正、今、国あるいはもちろん地方公共団体でも大変な問題になっております。その過程で、現に県民の負担が増しつつあるということも認識しております。急激な負担増に対しましては、引き続き国に対して改善の要望を行うということも必要だと思います。
 ただ、社会保障や福祉政策の充実というのは県民のセーフティーネットとして重要な役割を担っているということでありますので、その維持可能性についても、また念頭に置いてやっていかないといけないと思います。そのために、あるいはその前提として県民生活の実態把握に努め、県民の多様なニーズに的確に対応するとともに、必要な人に必要な政策が行き渡るように配慮して充実に努めてまいりたいと思います。
 私は、こういうような政策については精いっぱい予算をふやして、それで充実していきたいと思っております。ただ、同時に、県の財政が仮にそれによって破綻すれば、その先はもっとその人たちの福祉がかなえられないということもまた考えながら、いろんなことをやっていかないといけないと思います。したがって、苦しい中にあってもできるだけ安心・安全の水準が下がらないように、あるいはもっと充実するように今後予算編成で努力していきたいと思っております。
 それから、行財政改革プランについての話がありました。
 これについては、この間も外に発表しておりますけれども、あるいは県庁の職員の前でも申し上げましたけども、基本的には堅持をしていきたいと思っております。
 それから、知事の報酬や退職金の見直しについてというお話がございました。
 これにつきましては、既に給料月額については、特別職報酬等審議会の答申に基づきまして昨年七月一日から六・二%引き下げた、それから給料カットについても六%さらに減額をしているということでありますけれども、御質問の知事の報酬や退職金については、十九年度について県の厳しい財政状況等を考慮して検討してまいりたいと考えております。
 新年度予算編成について、特に県民の意見を聞くことについて具体的にどうしておるかというお話がありました。
 これはまだ実現しておりませんが、できるだけ全県を回りたいと思っております。全県を回っていろんな方と話をしたいと思っております。
 それから、これはちょっと県庁を見張っていていただくとわかると思いますが、物すごく大勢の方と今もお会いしています。少し一人の方とのお話の時間が少なくて、詰めた話ができないなというのが今のところ私の悩みでありますけれども、できるだけ多くの方とお会いするようにしております。
 それから、どうしてもお会いするのは代表の方とかそういう方になっていきます。したがって、個々の人たちの意見を知事につなぐようにという工夫もしております。したがって、手紙やメールあるいはファクスなどで御意見を寄せられることがたくさんあります。毎日このぐらいの紙が来ます。それを私は持って帰りまして、それを全部読んで、それで必要な場合は答えを書き、それから必要な場合は答えを書いてもらうように指示し、あるいは、ちょっとこれは検討すべきだと思ったら検討の指示をしております。したがって、自分自身の言葉で書ける部分というのは、時間的な制約がありまして大変短いということを重々おわび申し上げたいと思いますけれども、そういう御意見はどんどん寄せていただいたらいいかと思います。
 また、県内で大変元気にいろんな活動をしておられる方がたくさんいらっしゃいます。そういう方々と直接話し合う場というのを「紀の国いきいきトーク」ということで名づけまして、今後積極的にやっていきたいと思います。
 そういうふうにいろんな面から──もちろん県議会の方が一番大事でありますけれども、いろんな面からいろんな方の意見を聞きながらやっていくということであります。これが主として広聴。それから、広報の制度についてもできるだけ充実して意見を聞く実を上げていき、かつ県庁の政策について皆さんにPRをしていくということをやっていきたいと思っております。
 最後に、県立自然公園についてのお話がございました。
 県立自然公園は、県内にあるすぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることを目的に指定されております。既に制度発足から半世紀近くが経過しております。中には都市化の進行、あるいは道路等の整備、あるいは世界遺産、ラムサール条約による重要湿地の指定など、周辺の環境や景観、自然に対する社会の考え方も大きく変化しているところもあります。今後は、県全体のバランスを考慮しながら県立自然公園の指定の見直しについて検討してまいりたいと思います。こういうふうに正面切って考えたものですから、見直しを考えたわけであります。
 私は、常に目的を明らかにして直球勝負でいきたいと思っております。したがって、私の頭の中には、御質問にありましたような隠された他の目的を持って別の政策をするというようなメニューは一つもございません。
 ありがとうございました。

○藤井 御丁寧な答弁いただきまして、ありがとうございます。
 一つ再確認をしておきたいんですが、さきの知事のいわゆる官製談合事件、それから秘書課でのやみ献金と言われるような問題について、行政の目標というのは、司法当局と違いますから、いかにその再発防止策を立てていくのかということが大事だということは、私もそう思っております。それが制度の問題であるのか、個人の問題であるのか、組織の問題であるのか、さまざまな要因が絡んでの問題というようなことも考えられるわけですが、先ほどの知事のお話ですと、公共調達検討委員会がそういった原因の解明というのももうビルトインされていると。当然その公共調達検討委員会でやっていただきたいというようなニュアンスというふうに理解したわけですが、県民はまだ真相を知らされておりません。司法当局での捜査とか、これから公判ということになっていくだろうと思うんですが、やっぱりこの問題は県民の非常に大きな関心事でもあります。それをどう再発防止策をつくっていくのかという上でも、原因が何だったのかと、どこに問題があったのかと、県としてはこれをどう反省していくのかというそういう真摯な態度を示してこそ、再発防止策ということについても納得がいくものになると思うんですね。そういう点で、仁坂知事としては、この事件の真相解明をするという意思を持ってこれに当たろうとされているのかどうか。その点をもう一度きちっとお答えを願いたいと思うんです。
 新年度予算が今編成時期でありまして、これができてからまた拝見させていただきまして、いろんな意見も言わせていただきたいと思うんですが、ただ、やっぱり今、県民の暮らしというのは大変です。中小零細事業者の皆さんにしても、高齢者、障害を持った皆さんについてもですね。国のシビルミニマムとしての最低基準としての制度はありますが、やっぱり和歌山県としてそれで十分なのか、どこがどう足りないのか、じゃあどうするのかということを、その限られた予算の中でありますけども最大限努力していくということもやっぱり大事な問題であります。そのことによって財政破綻するというような、そんなことはだれも申し上げてないわけで、そういうことも含めて十分予算査定に当たっていただきたいと、これは要望を申し上げますが、先ほど申し上げました一点、その真相の解明についての知事の態度というのをちょっと聞かせてください。

○仁坂吉知事 先ほどの一点につきまして御答弁を申し上げます。
 真相解明についての真摯な気持ちがあるから、真相解明をして新しいシステムをつくってそれを防止するということでございます。私の今抱いている気持ちとしては、アウトプットはこういうことにしたらいいんだということになろうかと思います。ただ、それは、こういうのを防止するため。その防止するためというのは、実は過去に起こったああいうことを防止するためですから、したがって、何が起こってどういうのが問題だったのかとわからなければ、そういうことは、いい制度はできないわけです。
 したがって、私が申し上げているのは、真摯な気持ちで検討委員会でびしっと検討してもらって、それでその真相解明にとどまることなく、それを改善するための制度をきちんとつくって県民に信を問わないといけないということを申し上げているわけであります。