おはようございます。議長のお許しを得ましたので、質問にはいらせていただきます。

第1の柱は、企業誘致と内発型の地域発展の問題について知事にお伺いいたします。

 仁坂知事の最大の売りは、「人脈を生かしての企業誘致」ということのように思われます。

私も、企業誘致ということも大事なことだと思います。そのためには一定の優遇措置もあってもいい。しかし、それには「限度とバランスというものがある」と申し上げてきました。

 ここ数年の間に、最大の補助を受けた誘致企業は、カゴメなどが出資した加太菜園であります。これを誘致するに当たって、県は土地開発公社がもっているコスモパーク加太の土地を借り上げました。1へーべ566円でした。そこに菜園のハウスを建てられるように、土地整備をいたしました。費用は20億円であります。それを加太菜園に貸した地代は、1へーべ100円でした。それに加えて設備投資や雇用に応じた助成金がでるわけです。このことを地域小集会で報告しますと、みなさんあっけにとられます。それを「バランス」を欠いた誘致大企業への優遇措置だと私たちは批判してきました。

 その後、和歌山県は「100億円を限度にした誘致企業への助成」を打ち出しています。「人脈」という売りはありますが、仁坂知事の企業誘致は、前知事の路線をそのまま継承したものではないのでしょうか。

 いま、全国の自治体で、補助金を積み上げた企業誘致競争が行われています。その輝かしい成功例として報道されているのが、三重県のシャープ亀山工場です。ところで、この実態はどうでしょうか。三重県は、当初一万二千人の雇用創出を目標に90億円の補助金を支出しました。地元の亀山市も45億円を限度に固定資産税の9割を毎年交付するということにしました。

 実際の雇用は、亀山工場の雇用は4000人、下請け2社で1500人から1600人。雇用は見込みの半分です。地元採用は225人といいます。多くは、外国人労働者・派遣労働者でその人たちのためのワンルームマンションが増えたが、住民登録は増えないといいます。

 本県の加太菜園についてみれば、これだけの補助金を積んで、雇用は、正規職員たったの7名、準社員31名、あと115名は一日5時間勤務で10ヶ月で切れる協力社員という状況です。さらに、需要が販売計画量に達していないので、二つ目のハウス建設は、延期というではありませんか。

 仁坂知事にお伺いいたします。

第一に、企業誘致への補助金の費用対効果の問題をどう考えておられるのいか。そのひとつとして加太菜園への助成、前知事がおこなった施策ですが、どういう評価をしておられるのでしょうか。

第二に、100億円の企業誘致助成について、私には加太菜園の誘致の延長線上にあるように思われますが、知事はどうお考えなのでしょうか。

 第三に、私はこれまでも地域のいいものを見つけて元気にする内発型の発展ということを申し上げてきました。これまで和歌山県がおこなった事業でも、海南市孟子でおこなったフィールドワーク、地域のいいところを見つける企画は大変いいものだと申し上げました。ところが、いいところを見つけて、たとえば国産大豆を栽培するなどの案が出されても、それを発展させる補助金が60万円しかないということについて、苦情を申し上げ、「大企業の誘致補助の限度とバランスを欠く」と申し上げました。

 知事も、地域産業の育成ということも言っておられますが、大企業への補助とのバランスを崩さない補助が必要だし、軸足は内発型の発展に置くべきだと思います。この点での知事の見解をお伺いいたします。

第二の柱は、看護師確保と野上厚生総合病院に設置される看護専門学校についてであります。

私は、昨年の9月県議会で、福祉・医療の問題をとりあげました。海南海草地方でお産を出来る産科病院がひとつしかないということを申し上げて、改善を要望いたしました。その後、野上厚生病院に産科が復活いたしました。常勤の産科医師はひとりだけですが、曜日を決めて和医大から非常勤の応援をいただくそうです。さらに充実を要望しながら、関係者のみなさんにお礼申し上げたいと思います。

先日、この病院の看護師のみなさんが開いた医療問題の学習会に参加させていただきました。保健福祉センターの会場がいっぱいです。主催者も予想以上の参加だったようです。地域の保健医療に果たしている役割、住民との結びつきが感じられる学習会でした。

この野上厚生病院付属看護専門学校が、スタートいたします。和歌山県内の看護学校は、和医大保健看護学部、県立高等看護学院、医師会が設立した看護学校、日赤病院の看護学校などがありますが、小さい自治体・病院が看護学校を立ち上げるというのは、異例のことす。野上厚生病院は准看護師の養成施設をもっていたのですが、これから正看護師養成の一角を担うことになりました。

看護師不足がいわれ、昨年9月には、医療関係団体が看護師不足対策をもとめる9000筆の署名を提出しています。県として新しい看護学校を設立する、看護師の離職対策などの看護師確保計画をお伺いしたいと思います。

また、このたびのように野上厚生病院が看護学校が設立されるにあたっては、県としても手厚い支援をしても当然ではないかと思います。どういう支援を考えておられるのか福祉保健部長からお聞かせください。

第3の柱として、福祉施設の問題を申し上げます。

 和歌山市内に虎伏学園という福祉施設があります。建物の上に、小中学校の分校である虎伏分校があります。

 私は県議会での最初の質問で、虎伏分校の話をいたしました。病虚弱で家庭崩壊という二重のハンディキャップをもつ子どもたちにこそ行政はひかりをあてなくてはならない。それなのにこの現実はどうなのか。私は、象徴的なひとつの事実を申し上げました。それは、虎伏分校の教室のことです。ふつうは教室には出口が二つあるが、その教室にはひとつしか出口がない。その出口をでてもそこは廊下ではない。別の教室に入る。こんな穴倉のような教室で、体の悪い子どもたちが押し込められて勉強している。火事があったらどうなるのか。こういう問題を提起し、改善を求めたわけです。

 私と虎伏学園、虎伏分校とのかかわりには、歴史があります。12年前、私は、和歌山県教職員組合の役員をしておりました。虎伏分校の組合員から、「ひどい状態だから見に来てほしい」という要請を受けて、職場訪問をしたことがあります。そのときから気になっていたことをとりあげたのです。

 昨年暮れに、県会議員になって始めて、和歌山市の市会議員の方と一緒に、虎伏分校を訪問させていただきました。福祉施設である虎伏学園に入るのは初めてでした。分校・学園のみなさんが、このひどい施設の中で、子どもたちを守ってがんばっておられる姿に感動いたしました。

 しかし、まったく変わらないのは、施設・設備の状況でした。さすがに、穴倉のような教室は、普通教室として使用せず、パソコンを置く部屋にしておりました。しかし、学園の屋上におかれたプレハブを教室につかっているのも10年前と変わりません。夏になれば35度を越すでしょう。

 福祉施設である学園には、はじめて案内していただいたのですが、ひとつの部屋に7人もの児童・生徒が寝起きして暮らしています。息のつまるような話です。この実態をどう考えていらっしゃるでしょうか。

 お聞きしますと、学園としては施設の立替を計画しているといわれます。ほっとしました。このたび、この施設の改築については予算が提案されています。大変うれしいことです。どういう支援をおこなわれるのか、福祉保健部長からお答え下さい。

 第四の柱は、地方税回収機構にかかわってであります。

 和歌山地方税回収機構が発足しました。「県民の友」12月号では、税金の回収率が向上したと報告されています。しかし、県民の中では、とんでもないことがおこっています。

 海南市の共産党議員団に相談が寄せられました。

 「土地をもっているが、現金収入は年金だけ。区画整理の関係で土地の固定資産税が大幅にあがったので、払えなくなりました。海南市の担当者には、現物でとってもらってもいいといっていました」この方は、税金を払わないというのではなくて、現物納付でも払うといっていたのです。海南市は、税回収機構に回しました。そうすると、税回収機構は、年金が入り、水道料金や電気料金を引き落とす不通預金の通帳を差し押さえました。次の電気料金が引き落としできなかったのです。

 税回収機構が発足したとき、藤井議員の質問に答えて福祉保健部長は「その選定にあたっては、悪質でやむをえないケースのみが市町村から移管されるものと考えてございます」という説明をしています。ところが、「機構」が発足してみると一人歩きして、今申し上げたようなことが起こっているのです。

 副知事にお伺いいたします。回収機構で私が申し上げたようなことがおこっていることをご存じでしょうか。この現実は、回収機構の本来のありかたなのでしょうか。地方税回収機構の対象は、悪質滞納者に限るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 このことに対比して、もう一つの滞納についてお伺いします。かつての同和行政の負の遺産である中小企業高度化資金などの貸し付けの滞納問題が、100億円を越しています。その多くが同和貸し付けです。どこの企業に貸し付けがおこなわれているのか明らかにされませんが、貸付先が倒産して、はじめて明らかになります。

 倒産した一つ、プラスパフーズというのは、豆腐をつくる組合でした。5人の人で立ち上げました。最初の年に土地を買うのだと言って10億円を借りました。2年目に機械をいれるといって13億円を借りました。ところが本格的な生産がはじまる前にこの組合は倒産しました。返済は1%でした。本当に生産する気があったのか。担当者にお聞きすると「水があわなかったようです」と教えてくださった方もありました。

さらにいくつかの法人に対しては、時効中断の措置がとられなかったので、「時効」が成立し借金回収できなくなったというのです。

 庶民への税金の取立てに比べて、あまりにも甘く、ずさんです。

中小企業高度化資金の滞納の実態と返済をどう求めていくのか担当部長からお答え下さい。

 最後の第五の柱として、教育長にお伺いいたします。

 12月県議会で「いじめの実態をどう把握しているか」という趣旨の質問がありました。この質問への教育長の答弁を聞いてびっくりしました。「1000人に0,7件」という答弁だったからです。

 実はこの数字は、文部科学省の調査に和歌山から報告された数字を元にしたものだろうと思います。その調査では、和歌山県での小学校にあったいじめは9件となっています。県下には、小学校が300校ほどあると思います。ひとつの学校でも9件ぐらいのいじめがあるかもしれない。大きい学校なら、ひとつの学年でもそのくらいあるかもしれません。その数字をそのまま、教育長が県議会本会議で答弁につかったのを聞いて、びっくりしたわけです。あらためて、いじめの実態をどう考えていらっしゃるのか、どう対応されるのか、お伺いします。

 この12月議会で教育長は「和歌山県で先生が対応する生徒の数が全国で少ない方からかぞえて6番目ぐらいだ。」ということをあげて「学校の環境そのものがいじめが発生しにくいような面がある。」とも述べられました。わたしは、この教育長答弁には共感するものです。

 ところで、和歌山県で「先生あたりの生徒の数が少ない」というのは、小中学校で小規模校が多いから、結果として「先生あたりの生徒の数が少ない」ということになるわけです。

 私は、学校規模は小さいほどいいとは思っていませんが、大規模校よりも、中小規模校のほうが、子どもの思いをじっくりと聞いてやることができると思っています。教育長の答弁も、そういう意味でしょう。

その一方で県教育委員会が諮問した「教育ニュービジョン研究会」という報告がございます。その報告では、適正規模は中学校では一学年3学級以上、小学校では2学級以上であるとして、それ以下の小中学校の統廃合を提言しています。

わたしは、統合には何でも反対というわけではありません。小規模校のよさもあれば、一定規模をもったほうがいい面もあること、通学距離はどうかなどを総合的に考え、その学校にかかわる保護者・教職員が合意すればいいという立場です。

 このたび、「いじめ」問題にかかわって「小規模校のよさ」に言及されたことで、私が申し上げてきたこととの大きな接点が生まれているのではないかと思います。

 教育長のお考えをお聞きしたいと思います。

 教育問題の第3番目として、学校現場での「荒れ」と「研究指定校」にかかわってお伺いいたします。

 先日、海南市の小中学校の先生方と雑談する機会がありました。

最近の学校はいそがしくなっていること、子どもの様子が変わってきていることもさることながら、教育委員会への報告書類がふえている、研究発表会をすると指導案の書き方に注文がつく。もっと、教員が子どもと向き合うことを大事にする学校と教育行政が求められていると考えました。

 そのなかで、「他郡市のある学校では、年間200回の公開授業研究をしている」というお話を聞きました。「公開授業」「研究授業」というものは、現場の先生方にとって相当のプレッシャーがあります。それが年間200回というのは、学校現場を知っているものから言えば、異常な回数です。それでいて、その学校が突出して荒れているというお話です。

 みなさんのお話を聞いて、これはほおっておけないと感じ始めたわけです。たまたま半年前にいただいたその学校の研究会の資料を引っ張り出しました。詳しく読み直しました。

@      話題になった研究発表会の指導案であります。多いものでは13ページの丁寧な「指導案」がつけられています。2ページ程度をもっと詳しくしろと指導されると子どもに目が向けられなくなるという海南の先生方との雑談を思い出しました。

A      さらに私は、「実践研究報告書」という冊子を読み始めました。研究経過の日程がかかれています。12月に研究発表会があったのですが、の前の7月には、「外部指導者を交えた校内研究授業」が、8日をかけて15学級で実施されています。授業担当者のプレッシャーもさることながら、7月に一ヶ月は、研究授業以外には考えられない状況になることは、教育現場を知っているものならわかります。

さらにおなじ研究授業が、研究発表会前の11月にも行われていたのです。

熱心にとりくんで、それで、子どもたちにとって楽しい学校になっておればいいのです。ところが、この学校は荒れに荒れている学校だというではありませんか。

 私は、この学校の研究体制に目を向けました。県教育委員会の課長・指導主事が9人も名前を並べている。教育委員会は、その学校の実情はよくつかんでおられるにありません。その学校で、華やかな研究発表会がおこなわれる反面で、子どもが置き去りにされているのではないかと心配いたします。

 そこで、教育長にお伺いいたします。

 研究指定校・研究発表会という華やかな舞台の裏で、学校が荒れているという実態があるのでしょうか。突出した学校の「あれ」という状態であれば、対外的な発表会などはやめてでも、子どもたちに目を向けてとりくむことが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。

以上で私の第一回目の質問を終わります。