07年6月議会反対討論

   議案第95号、98号、99号、112号に反対の立場から討論いたします。

   議案第95号 平成19年度和歌山県一般会計補正予算において、商工費中企業立地対策費として、9112万5千円の増額補正と来年度までの債務負担行為として限度額2億1262万4千円が計上されています。
   これは、都市再生機構が所有する橋本隅田地区の用地約20ヘクタールを内陸型大規模企業用地として、県が約3億円の負担をして共同の開発をしょうというものです。
   企業立地の促進は、県民の新たな雇用と所得、地域経済への波及効果を産み出し、産業振興のための有効な施策でもありますが、同時に、多額の投資に対する効果の見込み、見通しをきちんと説明できるものであることも求められています。
   紀の川筋では、北勢田ハイテクパークへの誘致がようやくすすんだところですが、妙寺北部企業団地や今回、共同開発しょうとする隅田地区に隣接する南海・林間田園都市「小峰台(おみねだい)」への立地がすすんでいない状況にあります。今回、内陸部での新たな大規模企業用地の開発に着手しょうというものですが、これまで企業用地造成にあたっては、いくたの苦い経験も積み重ね、多額の債務を残しているところです。今回は、これまでの用地造成とは手法が違うものの、県民の税金を投入しての企業用地造成事業には違いなく、立地予定企業との仮契約があるなどの確たる見込みが示されないもとでは、安易に同意することはできません。

   議案第98号は、職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例でありますが、雇用保険法の一部改正に伴い、県職員が退職した際の退職手当の受給資格要件を改めようというものです。その内容は、雇用保険法の改正で、自発的離職者の場合は、これまでの就業期間の要件であった6ヶ月以上を1年以上とし、1年未満の離職者には受給資格を与えないこととしました。それにあわせて県職員の退職手当は6ヶ月以上の勤続があれば、雇用保険での失業給付に見合う額が支給されていたものが、特定理由の離職者を除き、12ヶ月以上の勤続実績があるものへと変更しょうというものです。実質的に退職手当ての削減となるもので同意できません。
   議案99号、和歌山県税条例の一部を改正する条例について
   改正しょうとする中心は信託法の改正によるものですが、今回、改正提案されている中に、上場株式などの配当や収益分配金に対する税率の特例措置、本則税率20%を10%に軽減する措置を平成21年3月31日まで1年間延長するというものが含まれています。

   庶民には年金課税の強化、定率減税の廃止で増税となり、家計が圧迫されているもとで、一方では、大株主ほど大幅減税となる優遇税制を延長させることには、到底納得のできるものではありません。

   議案112号は、大滝ダム建設に関する基本計画の変更についてです。今回で6回目の基本計画の変更となりますが、知事が同意することに議会の議決を求めるものです。変更の内容は、建設に要する費用を概算額3480億円から3640億円へと、160億円を追加し、工期を平成24年度までと3年間延長する内容となっています。今回、県が追加負担する費用の想定額は治水と利水分をあわせて17億8千万円となっており、これまでの負担額とあわせると455億円にもなることが見込まれています。たび重なる計画変更とそのたびに負担額の増大が押し付けられることについて、国の責任や事業のありかたについて問わざるをえません。
   大滝ダムは、紀の川流域に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風の翌年、昭和35年より予備調査が開始され、昭和40年建設事業に着手、昭和47年に基本計画が策定されましたが、以後、4回の計画変更を繰り返し、40年近くの歳月をかけて平成14年にダム本体工事が完成しました。ダムへの試験湛水したところ白屋地区で亀裂が発生、地すべり対策が必要となり、地区住民の全戸移転やダムの維持管理費を含めて第5回目の計画変更となったのが平成16年です。そして、今回、ダム周辺の詳細な地質調査をした結果、新たに2箇所の地すべり対策が必要になったということです。
   もともと、ダム本体の建設地周辺には、数多くの断層が走っており、地すべり地域でもあり、地区住民や専門家からもダムの適地性について疑問がなげかけられていました。国会でもダム建設の適地性が問われ、昭和55年3月の衆議院予算委員会では「ダム貯水によって地すべりをおこさない、必要充分な対策、長年月に耐えうる工法などを考え対処する」と答弁がされていましたが、これまでの計画変更のほとんどが地すべりに対しての対策工事となっています。
   現在、白屋地区での対策工事がすすめられていますが、ダムに水を貯めれば深い地層のところでもすべり面があり、地すべりを起こす可能性が各方面から指摘されていました。国もそのことを知っていながら必要な対策工事を行いませんでした。国の地すべり対策工事はきわめて限定的であり、対策工事の内容も安全率を低く設定し、充分なものとはいいがたいものがあります。
   大滝ダムは、毎秒2700?の洪水調節機能と県内では毎秒3.5tの利水機能をもつダムとして、早期供用が望まれています。大滝ダムの治水機能が発揮できなければ、紀の川流域全体の整備計画も根本的に見直す必要性に迫られます。
   たび重なる計画変更についての国の責任も明らかにされず、計画変更に伴う負担金と工期延長の押し付けとなっていることには同意できません。国の責任によって万全の対策を講じ、これ以上の財政負担を転嫁させないことを強く求めるものです。


    2007年6月議会


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