2007年 6月議会一般質問



奥村規子

   議長のお許しを得ましたのではじめて質問をさせていただきます。
 私はこれまで看護師として31年間医療の現場で働らいてきました。いつでも、どこでも、だれもが、安心して医療を受けることができるようにと願ってきました。いま、格差や貧困が拡がっている中で県民一人ひとりのいのち・くらしが大切にされる県政がいっそう強く求められています。赤ちゃんからお年寄りまで安心して住み続けられるようにがんばります。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは早速ですが4点にわたって質問させていただきます。


質問@ まず最初に1つ目は新宮保健医療圏における産科医療の問題です。

   今日、全国的にも医師・看護師不足が叫ばれています。県下においても医師・看護師不足は深刻です。特に新宮保健医療圏域の基幹病院である新宮市立医療センターでこの10月より産科診療の継続が困難になっている問題は急務の解決すべき課題です。
   本年10月より産婦人科医2名のうち1名が退職するため出産ができないという事態になってしまう恐れが強まっています。私も新宮にいってまいりましたが住民の皆さんに大変な不安を与えています。私が新宮市内の妊婦さんにお話を伺いましたが「里帰り出産ができない」「産むまでの間、異常の兆候があってもすぐ対応してもらえない」「総合病院に先生がいないなど思っても見なかった。」「病気などリスクを持っていると総合病院でないと産めない」「那智勝浦の温泉病院も産科がなくなっているので医療センターまで行かなければならない。夫の転勤で不安を抱えて転居してきたのに」とショックを隠しきれない様子でした。お産は安心して産める環境が、母体にとって、とても重要です。昨年の医療センターにおける出産数は400件と聞いております。そのうち3分の1が里帰り出産であとは新宮市内の方が半数と市外の方が残りの半数とのことで、近隣の町村にとっても重大な事態です。緊急に特別な体制をとって対応すべきではないでしょうか。県の責任で医師派遣をすべきではないでしょうか。もし、医療センターで産科がなくなってしまいますと、センターの真向かいにあるなぎ看護学校の母性実習も困難となり看護師養成にも大きく影響します。
   また、当圏域の乳児死亡、新生児死亡、死産の推移を見れば全国・和歌山県の平均にくらべ全体的に高い傾向となっています。
   死産率・乳児死亡率、新生児死亡率は、母子保健の水準を示す指標であるとともに、地域の衛生状態や経済、教育などを含めた社会全体の健康水準を反映する指標です。知事が安心・安全の確保の取り組みの中で述べられていましたが少子化対策にとって、まず安心して産み育てる環境づくりが欠かせないのではないでしょうか。

   そこで福祉保健部長にお尋ねいたします。
   新宮市医療センターの産科診療が困難になった原因をどのようにお考えですか。産科医師配置の見通しと取り組み状況について報告して下さい。そして住民の命を守る立場から医師確保について県としての取り組みをお聞かせください。
   最悪確保できなかった場合の妊産婦への対応策についてもお答えください。


《答弁》井畑文男福祉保健部長

   新宮保健医療圏における産科医療についての3点のご質問について、一括してお答えいたします。
   訴訟の増加や過酷な勤務などから、産科医を希望する医師が減少するとともに、分娩を取り扱わない医師が増えるなど、全国的に産科医不足は、深刻な状況となってございます。
   新宮保健医療圏において、新宮市立医療センターは、現在、産科医2名体制で、年間約400件の分娩を取り扱っていますが、1名が退職することにより10月以降は、分娩の取り扱いが困難な状況となっています。
   新宮保健医療圏において、分娩を取り扱う医療機関は、新宮市立医療センター以外には、新宮市内の診療所と串本町の国保串本病院の2ヵ所しかなく、新宮市立医療センターが分娩を休止した場合、新宮保健医療圏及び隣接する二次保健医療圏において、その規模や時間距離から代替機能を果たせる医療機関がございません。
   新宮保健医療圏において安全・安心な産科医療提供体制を維持するためには、新宮市立医療センターにおける産科医の確保が不可欠であり、過日、知事に対しても新宮市長からも産科医の確保要請があったところです。
   県といたしましても、新宮保健医療圏における産科医療体制が維持できるよう新宮市をはじめ関係機関と連携し、産科医の確保に精一杯努力するとともに、国に対しても産科医の確保の要請をしているところです。



奥村規子

質問A
 次に県立軽費老人ホーム無憂園についてお伺いします。

   身寄りのない老人や家庭の事情等により家族との同居が困難な老人の適切な処遇を図ることを目的に昭和39年9月に開設された県立軽費老人ホーム無憂園は、白浜町椿にあり、現在入所者20名、指定管理制度によって県福祉事業団が運営をしています。この無憂園についてはこれまでも経過があり、平成14年に、もともとあった施設を移転して隣にあった県福祉事業団所有の真静荘という建物を約2億7千万円かけて改修して、現在、無憂園として使用しているものです。
   ところが高いお金をかけて移転してまだ新品同様なのに、県が平成17年行った耐震診断の結果、震度6強で倒壊の可能性ありという診断結果が発表されました。倒壊の可能性があるということに驚いた入所者は昨年10月に木村前知事宛に無憂園廃止の中止、建て替えを求める陳情書を提出しました。今年の4月、現在の無憂園を白浜町から海南市琴の浦にある県子ども・障害者相談センターの肢体不自由者厚正施設に移転する、しかも今年の8月1日をもって移転するという唐突な案を突然、入所者やその保証人に提案してきました。最近も5月21日仁坂知事宛に無憂園の存続をもとめた要望書を提出しました。また当局が最近とった利用者アンケートでも存続を求める声が圧倒的であったと聞いております。
   私も直接入所者の皆さんからお話をお伺いしました。「ここにいれば自由に釣にもいける。散歩も自由にいける。」「景色もよく、温泉のお風呂もあり環境がよくうれしい。」「職員のみなさんとも気心が知れて安心できる」「何よりも経済的に費用が安い、ここにいたい」と涙を浮かべ訴えられていました。最初に申し上げたように、この施設はいろいろな事情を持って入所されています。「終のすみか」と考えている方がほとんどだと思います。
   さまざまな人生を歩んでこられ、いろいろな出来事に遭遇しながら、いま、日々穏やかにすごすことができているとき、県がお年寄りにストレスを与えているのです。
   当局はこの間、耐震基準を満たしていないという理由で利用者の命が最優先といって移転計画を強行的に進めてきました。高齢者にとって住居が変わるということは、人間関係、生活環境そのものが変わるということです。相当なストレスが生じるものです。今後は強行的なやり方をあらためるべきだと考えます。今回、当局も入所者の意思を尊重していただき県子ども・障害者相談センターへの移転を中止していただいたことを感謝申し上げます。退所最終期限も今年8月1日から平成21年3月31日になったとお聞きしています。
   入所者のみなさんもほっとされていることだと思います。
   しかしながら無憂園の退所を迫られていることには何らかわりがありません

   入所者の意向を尊重して無憂園の存続を願うものでありますが、そこで福祉保健部長にお尋ねいたします。
   現在の無憂園の施設に2億7千万円もの改修費用をかけて移転したのは平成14年です。
   このときすでに阪神大震災もおきており、改修にあたってはおのずと耐震の問題も検討されたと思いますが、なぜそのとき耐震診断、工事を行わなかったのでしょう。その理由を明らかにしてください。

 県当局は、耐震基準を満たしていない、利用者の命が最優先といって移転計画を進めてきました。しかし今まで申し上げてきたように高齢者にとって大変なストレスです。現に地震などで避難所生活をして痴呆症状が進んだ方や今回の件でも移転の話を聞いただけで精神的に不安定になった方もいたほどです。しかも移転先として示した琴の浦の子ども障害者センターも移転後1年だけしか使用できない、その後はまた別の施設をそれぞれが探してくれというほんまにお年寄りのくらしといのちを考えているのかと腹立たしい限りの計画です。お年寄りのことを最も考えなくてはならない福祉保健部や長寿社会推進課のやることとは思えません。そのことを考えればやはり現有施設を耐震補強して、存続させることが1番なのではないでしょうか。全国的に数少ない軽費老人ホームの需要は多いとかんがえますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いします。

   最後に、どうしても耐震改修が困難なら、県の都合で施設を閉鎖するのですから利用者の移転にあたっては「補償」という観点で取り組むようにしていただきたい。いかがでしょうか。
 また県有の高齢者施設など社会福祉施設の耐震診断の進捗状況とその結果による耐震改修工事の計画をお聞かせください。
   この問題の最後に、県営住宅や県職員住宅の耐震診断、改修計画についてお聞きします。
   県民が住む県営住宅が地震で倒壊しないためには耐震化が急がれます。県営住宅の耐震診断はすべて行われたのでしょうか。残っているとしたら今後どのような計画で進めるのでしょうか。お答えください。また災害時に真っ先に被災者の救済や救援活動に当たられる県職員の皆さんが住んでおられる職員住宅の耐震化はどのようになっておりますか。
   耐震診断の実施状況と耐震化計画をお聞かせ下さい。


《答弁》井畑文男福祉保健部長

   無憂園の移転時の耐震工事についてでございますが、
 現在の軽費老人ホーム無憂園は、昭和42年に建設されました和歌山県福祉事業団所有の老人休養ホーム「真静荘」を平成13年に無償で譲り受け改修した、本館5階建て別館2階建ての県有施設でございます。改修につきましては、改修当時でございますが、全国的に県有施設の見直しの必要性が言われている中で、本県といたしましても県有施設のあり方を視野に入れ、10年後程度に施設の存廃を判断することといたしまして、必要最小限かつ建築関係諸法令に適合し、入所者処遇上必要な整備についてのみ実施したところでございます。


   次に、無憂園の存続についてでございますが、
   無憂園を設置開設いたしました昭和39年当時は、県内の養護老人ホーム等は十分整備されていなかった時代でありまして、県が先導的に施設を整備し、高齢者福祉への役割を果たしてまいったところであります。しかし、現在では、養護老人ホームやケアハウス等施設が促進されてきていること、現施設の改修につきましても、採光や居住スペースの確保等住環境の問題もあることから、また、県財政が厳しいおり、行財政改革を進めている現状等諸々を勘案する中で、今後は、民間等に委ねて行くことが適切ではないかと考えてございます。ご理解賜りたくよろしくお願いいたします。

   次に、入所者の移転補償についてでございますが、
   現入所者につきましては、退所期限目途を設定いたしまして、入所者等自らも他の施設を探していただく中、県としましても、新たな転居先を積極的に紹介斡旋し、鋭意取り組んでいるところでございます。転居先の紹介につきましては、入所者を施設へご案内し、出来る限り納得して転居いただけるよう取り組んでまいりたいと考えてございますが、移転補償についてまでは考えてございません。

県有の社会福祉施設の耐震状況についてでございますが、
  現在、11施設あり、そのうち、昭和56年以前に建てられた施設の棟数は、13棟でございます。これらについて、耐震診断を平成17年度から計画的に実施しているところであり、17年度、18年度において8棟を実施したところ、倒壊の危険性がある又は、高いと診断されたものとして、白浜なぎさホーム及び無憂園の2棟がございました。また、未診断の5棟につきましては、今年度中に実施することといたしております。

   なお、耐震改修が必要と診断された建物のうち、引き続き県有施設としてその役割を果たすべきものにつきましては、平成26年度末を目途に順次、耐震化の完了を目指すことといたしております。


《答弁》宮地淳夫県土整備部長

県営住宅につきましては、平成8年に中高層建物を対象とした「公共住宅耐震診断・改修マニュアル」により予備診断を実施したところ、支障無しとの診断結果が出ておりました。
   その後、平成17年に、低層プレハブ建物を含めた、より詳細な診断方法である「工業化住宅の耐震診断」等が策定されましたので、今年度から3年間で再度、耐震診断を実施し、安全性を確認する予定です。
   なお、県営住宅の大規模な改修工事を行う際には、耐震性も考慮し、施行を行っているところです。


《答弁》小濱孝夫総務部長

県職員住宅の耐震状況についてお答えいたします。
   県有施設の耐震化対策につきましては、平成16年度に策定した「県有施設の耐震診断の実施方針」に基づいて耐震診断を行い、耐震基準に満たないものについては、防災対策の重要度等を総合的に勘案して耐震化を実施しているところですが、一般県民の方の利用を見込んでおりません県職員住宅についての耐震診断は、この実施方針には含んでおりません。
   県職員住宅の耐震化につきましては、地震等大規模災害発生時などにおける県職員の果たす役割、県の財政状況等を勘案し、今後、検討したいと考えております。


奥村規子 再質問

 さきほど、申し上げましたように、現在の無憂園を改修する際、平成7年の神戸淡路大震災がおこり、耐震問題が大きな問題となり、耐震診断の必要性が求められてきました。無憂園は震災後6年目の13年度に改修工事がおこなわれることになったわけです。この時、なぜ、耐震診断をおこなわなかったのでしょうか。この点について、まずお答えください。

   入居者の転居の問題について、再度お聞きします。安心できる施設に移っていただくとのことですが、たとえば、先日の説明では、新宮市の寿楽荘への入居を希望される方がおられるということですが、この寿楽荘については、耐震診断の結果、補強が必要であるとの報告が出されているとのことですが、こうした情報は、本人に提供されているのでしょうか。耐震補強の必要な、安全性を危惧される施設をあえて紹介するのはいかがなものと思いますが、答弁をお願いします。


《答弁》井畑文男福祉保健部長

   再質問の2点について、お答え申し上げます。
   まず、1点目の改修時の耐震補強の関係でございます。平成7年に阪神・淡路大震災があり、12月に建築物の耐震改修促進に関する法律ができております。耐震改修促進法というのがあって、56年以前の建物については、必要に応じた耐震改修の努力義務が課せられていたふうに理解してございます。ただ、努力義務があったことは事実でございますが、先ほども申し上げましたように、この施設については、一定の期間の利用状況を見ながら、存廃を決めていくということで、先ほども申し上げましたように、入所者の処遇上、必要最小限に止めた改修整備に抑えて改修したところでございます。

   それから、2点目の新宮の寿楽荘についてご質問でございますが、これにつきましては、私どもが新宮市に確認いたしまして、構造耐震指標IS数値は0.6以上ということで、耐震OKだというふうに、確認をとってございます。



奥村規子

質問B
 3点目は社会的ひきこもり支援についてです。

 私の身の回りではこどものひきこもりのことで悩んでいる人がたくさんいます。
   「助走、ひきこもりから。」という本のなかには全国に80万人とも100万人いるともかかれています。
   厚生労働科学研究事業の研究成果として公表された「10代・20代を中心とした『社会的ひきこもり』をめぐる地域精神保健活動のガイドライン」では「ひきこもりは」単一の疾患や障害の概念ではなくさまざまな要因によって社会的な参加の場面が狭まり、自宅以外での生活が長期にわたって失われている状態のことといわれています。
 2002年9月全国ではじめて和歌山の地にひきこもりの共同作業所エルシテイオが関係者の献身的な取り組みで開所されました。 現在県下では田辺市にあるハートツリーと2箇所です。
 わたしは若者のひきこもりを考えるときなぜひきこもりになるのかその背景をしっかりとらえることが必要だとおもいます。
   自分は他の人に受け入れられていないのではないかなど、社会や人間関係への不安がとてもおおきく人とのコミュニケーションをさけて5年、10年、それ以上ひきこもり状態が続いている人もたくさんいます。
 家族にとって、どのように接すればよいか全くわからない日々が続き焦りと苛立ちで大変な思いをされています。そんな時本人や家族にとっても身近にある共同作業所は心のよりどころです。ゆっくりと一緒に歩いてくれる人がいることが安心となります。

   福祉保健部長にお尋ねします
   1つは県下のひきこもりの実態把握を進めていただきたいと思いますが、調査をおこなう考えはありませんか。

   2つ目は各市町村にひきこもり作業所を広げていくことが必要ではないかと思いますが、いかがですか。

   3つ目は国のひきこもりに対する枠組みがない中で、和歌山県が県単独の補助金制度を設け、行政として支援していることに評価いたしますが、現補助金だけではスタッフの一般的な水準の給与も出せない状況にあり、拡充が必要ではないでしょうか。

   4つ目には施設利用者以外からも相談が多く昨年度は、登録者が503件、登録者以外が549件と合わせて、1052件の相談などがあったときいております。かなりの時間も必要で人的体制と専門家集団のかかわりも必要ですが、補助要綱では支援員または、指導員の基準は登録利用者を基準としており、実態にあいません。登録利用者以外の方の相談にも対応できるよう、人員基準の改善をぜひおこなっていただきたいと思いますがいかがですか。

   作業所の運営にあったておおくの課題がありますが、以上の点についてお答えください。


《答弁》井畑文男福祉保健部長

   社会的ひきこもり支援について、一括してお答え申し上げます。まず、社会的ひきこもり者の実態の把握についてでございますが、本人は社会的交流をもたず、またその家族も調査に一般的に協力がなかなか得られない等、困難な状況にあり、全国的な実数はつかめてございません。ただ、ひきこもり者は全国的で60万人とも100万人とも言われているなかで、1つの研究でございますが、国の研究事業における推計では約41万人いるとされてございます。それを和歌山県にあてはめると約4千人程度になると推定してございます。
   県では、平成16年度から全国に先がけて、社会的ひきこもり者に対し、相談、居場所の提供及び家族支援を行っているNPO法人を「ひきこもり」者社会参加支援センターとして県内で2ヵ所指定し、設置市とともにその支援センターに対する運営に補助する支援を行っております。今後も県といいたしましては、県内の状況を把握しながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。

   次に共同作業所の今後の方向性及び相談活動への技術的人的支援についてでございますが、ひきこもり者対策については、国において地域保健福祉の分野に関わる人の対応指針であるガイドライン等を示していますが、抜本的な対策がございません。県においては先ほど申し上げた独自の支援を行っているところでありますが、県の単独施策としては専門的・技術的はもとより財政的にも限界がございます。こうしたことから先の政府要望におきましても国に対して、ひきこもり担当部署の設置やひきこもり者に対する技術的・人的支援はもとより財政的支援を強く要請したところであります。以上でございます。



奥村規子

質問C
 質問の最後に、住民税の問題についてお聞きします。

  和歌山市役所は今月11日午後に、今年の県・市民税の通知の文書を発送しましたが、早くも12日から市役所には、「なぜこんなに高くなったのか、」「とても払えない」などという方が、市役所に訪れたり、電話が殺到しています。12日には、窓口に来られた方が43人、電話が453件でしたが、13日には、窓口に281人、電話が788件あったということです。14日も電話と訪問あわせて592件、15日も603件と、毎日大変な人数です。この4日間に合わせて2436人にも達しています。市民税課は、通常の9台の電話に2台の電話を追加したということですが、1日に600〜800件というのは大変なものです。

   県が県民向けに配布しています、「リーフレット」は、「所得税と住民税が変わるゾウ」ということで、年金収入200万円の70才独身のお年寄りをモデルケースとして紹介しています。このケースでは、平成17年度は住民税が非課税で、所得税が34800円、定率減税で6960円の減税があり、住民税と所得税を合わせた負担は27800円でした。それが、18年度では37400円になり、今年度は42200円になります。さらに、来年度は住民税の激変緩和措置がなくなって、約12000円が増えることになります。3年間で27800円から54700円に、ほぼ2倍に増えます。
   県のリーフは、税源移譲だから、住民税と所得税は総額は変わらないという説明になっていますが、実際には、県のリーフでも書かれているように、大変な負担の増加がお年寄りにかぶさっています。こうした負担の増大は、自民公明政権によって、定率減税が今年から完全に廃止されたことや、公的年金控除の縮小がおこなわれたからです。
   お年寄りの負担増は、実際は、これだけではありません。県のモデルケースのお年寄りの方の国保料と介護保険料がいくらになるかということを、和歌山市に示してもらいました。それをパネルにしました。同じものを議場に配布させていただいておりますので、ぜひごらんください。
(パネルをみながら説明)

   また、和歌山市の85才の方の例を紹介させていただきますと、二〇〇五年度の住民税は、均等割の市民税3千円と、県民税千円の合わせて4千円だけでした。ところが、去年は、市民税が26000円、県民税が16300円、合わせて42300円に、一挙に十倍にも増え、先日届いた今年度の通知書では、市民税が62900円、県民税が41400円、合わせて104300円にもなっています。わずか3年間で、住民税が4千円から、10万円以上になったのです。この方は、住民税以外に、国保料は年間18万円近く、介護保険料も7万円強の負担となっており、大変な負担増です。
   定率減税の廃止や、公的年金控除の縮小、老年者控除の廃止が、お年寄りに大変な負担をおわせているのですから、国に対し、庶民向けの減税は戻すことを求めるべきだと思いますが、総務部長の見解をお聞かせください。

   また、税源移譲にかかわって、お聞きしますが、住民税は前年度所得に課税されることになっていますが、所得税は現年度課税です。ここから、昨年末に退職したり、会社が倒産して失業者となり、仕事がない方は、去年の所得に対して大変高い住民税を払わなければならなくなります。県のリーフでは、こうしたケースについては、何も書かれていませんが、今年になって、収入がなくなったり、急激に減少された方の住民税を軽減する救済措置を求めたいと思いますが、総務部長の見解を求めます。

   以上で、最初の質問とします。


《答弁》小濱孝夫総務部長

   住民への所得課税につきましては、本年から実施されております税源移譲による所得税と住民税の合計負担額は基本的には変わっておりません。つきましては、税源移譲によって税負担が増えたとの誤解を招くことのないよう周知広報に努めてまいったところでございます。ただ、別途、定率減税の廃止や公的年金控除等の縮小などの税制改正の影響があったところでございます。
   定率減税の廃止につきましては、導入当時の経済状況が改善されていることから、また、公的年金控除等の縮小などにつきましては、世代間及び高齢者間の公平を図る観点から、それぞれ見直しがおこなわれたところでございます。
   これらの税制改正は、国や地方の現下の財政状況や急速な少子高齢化社会など経済社会の構造変化に対応したものと承知しております。

   救済策についてのお尋ねでございますが、個人住民税の減免などの税軽減措置につきましては、生活保護を受ける場合や当該年において所得が皆無となったため生活が著しく困難となった場合等は、当該市町村の定める条例に基づき、市町村長の判断により個人住民税を減免することができることになっております。各市町村においては、納税義務者から相談を受け、法令などの要件の確認など、適切に対処しているものと考えております。


    2007年6月議会

    和歌山県議団TOP


2007年6月19日