2007年6月県議会定例会 一般質問 雑賀 光夫

《質問》雑賀光夫 県議
   議長のお許しを得ましたので、質問にはいらせていただきます。

@ 官製談合」問題にかかわって

   この問題については、仁坂知事が就任されてからもそれ以前からも、本会議でも全員協議会でも繰り返し論議されてきました。これまでの県議会および知事とのやりとりの枠組みを整理してみたいと思います。
 日本共産党県議団は、このたびの官製談合問題が明らかになったとき、100条委員会を設置して議会として真相解明をすることを主張してきました。その後も、この問題についての特別委員会を設置するなど主張してきたところであります。
 県議会全体としては、私たちの主張で合意にはいたらず、二回の全員協議会で真相や今後の方向を質すことになりました。その場合も、私ども県議団はそのことに協力し、多くの質問項目を提出してきたところであります。
 一方、仁坂知事はといえば、真相解明については、裁判の結果を見守るという態度をとり、今後、こうした問題を起こさないように「公共調達検討委員会」を立ち上げました。それでも県議会で「真相解明なくしてこうした問題を繰り返さない施策ができるのか」という質問に「もちろん真相解明もふくめてやります」という趣旨のお答えをされたところです。
 「公共調達検討委員会報告書」についていえば、「官製談合」の真相解明というものには程遠いものですが、「談合をなくすシステム」についての提言をおこないました。それなりの専門家のみなさんの提言ですから、今後、さまざまな注文もつけながら、それが有効に働くかどうかを見守っていきたいと思います。
 「政治と金」選挙への支援や賄賂の問題について「公共調達検討委員会報告書」は、まったく視野の外においているといわなくてはなりません。
 しかし、これまでの仁坂知事のご発言を追って見ますと、この問題は「和歌山県職員倫理規則」と「監察査察制度」でクリアーしようとしているようでございます。
 こうした枠組みでいま論議がすすんでいる。私たち県議団が作ろうとした枠組みとは違うわけですが、この枠組みは一応の前提としてお伺いしたいと思います。

 知事にお伺いいたします。
 第一は、知事は、このたびの談合事件にかかわる問題は、すべて「判決がでて事実が明らかになった上で」としているように思われます。しかし、司法の判断をまたずに、行政として解明すべき問題があると思います。秘書課がかかわった金の問題はそのひとつです。これについては、他の議員がとりあげられました。
   ほかにもあります。検察の冒頭陳述では「被告人は、自己の選挙基盤の確立を図るため、県内業者が受注する小規模な公共事業について、県知事選挙で自己を応援しなかった業者を指名業者から外すように水谷に命ずるなどした」と述べております。
 事実であれば、前知事の職権によって、地元業者が損害をうけている。現知事として、事実を把握し、損害はどうなのか、そのために倒産に追い込まれたような業者があるのかどうか、その後、差別的扱いは回復されているかどうかなど調査して対応するのが当然であろうと考えます。
 また、公判の中で、小佐田前副知事に70万円が渡ったという指摘がなされています。知事の態度としては「裁判が確定した上で」ということになるのでしょうが、相手は刑事被告人ではなく円満退職された前副知事であります。事実とすれば自主的に退職金を返還するなどの話もあってもいいと思いますが、そんな話はないのでしょうか。

《答弁》 仁坂吉伸 知事
(1)県として独自に対処すべき問題
 官製談合につきまして、県として独自に対処すべきということでございましたけれども、いろいろ議員ご指摘のような話が、大阪地方裁判所の公判におきまして、述べられてというようなことを聞いております。本件の問題については、しばしばこの場で申し上げておりますけれども、権限のある検察庁が調べておられること以上のことを、権限のない人たちが、何度調べてもそれ以上のものは出てこないじゃないかと。今やることは、別の事であって、これ以上こういう問題が発生する事がないようなシステムを作るというようなことに全力を挙げてやって行く。しかし、これは何も不問に付すとか、そういうことを申し上げているつもりはないので、ありとあらゆる材料を集めて、それがそろったところでしかるべく対処しますと、こういうことを申し上げている訳であります。一貫して申し上げています。今回の談合事件の全ての判決を判決理由、証拠書類等明らかになった段階で、それを十分精査いたしまして、必要があれば事実関係を把握し、適切に対処致して参りたいと、こういうふうに考えています。


《質問》雑賀光夫 県議
 第二は、「選挙と利益誘導」の問題です。
 木村前知事をめぐっておこった問題の根本は、「選挙で有利な立場をどうつくるか」ということに発していると思われます。知事は、この問題は「和歌山県職員倫理規則」と「監察査察制度」でクリアーしようと考えておられるように思われると申し上げました。
 「監察査察制度」については、いろいろな議論がありました。私は「和歌山県職員倫理規則」についてお聞きします。大変読みづらい文書でございましたが読ませていただきました。
 最初に「利害関係者」の定義がだされます。「許認可を受ける事業者」「補助金を受ける団体」「入札業者」など8項目で挙げられます。
 次に「利害関係者」との間でしてはいけないことがあげられます。たとえば「利害関係者とゴルフなどすること」があげられています。「倫理規則」というのは、法律では罰せられないけれども、県民の誤解をさけるために、疑われるようなことはしないということでしょう。昔、漢文でならった「李下に冠をたださず」ということでしょう。この規則は、一般職員だけでなく知事をふくめて、しばるところに多くの自治体との違いもあるともお伺いしました。
 それならば、選挙のとき「利益関係者」からの推薦状を選挙事務所に張り出したり、選挙資金の提供は遠慮するのだろうなと思ったのです。ところが、2月県議会で仁坂知事は「私の県政に取り組む姿勢に賛同していただける方からの政治活動にたいする支援については、政治資金規正法等の関係法規に照らしまして適切に処理すればよいと考えております」とお答えになっている。建設業界からの選挙資金・政治献金もいただきますということです。
 これでは、せっかくの厳しい「倫理規則」も政治家である知事にたいしては、じゃじゃもれだと思います。せっかく「職員倫理規則」で、職員そして職員としての知事の姿勢を示したのですから、政治家としての知事についても、「利害関係者」との関係を疑われることのないように、自らを律すれば、大変立派だと思うのですが、いかがでしょうか。


《答弁》 仁坂吉伸 知事
(2)「職員倫理規則」と政治資金問題
   これにつきましては、公人としての職務執行の公平さに対する疑惑や不信を招くような行為を防止し、公務に対する県民の皆様の信頼を、確保するために、知事、副知事を含む、職員の行動規範を定めたものでございます。こうした行動規範に則り、萎縮することなく、堂々と県民や企業の方々とおつきあいさせていただきまして、得られた有益な情報を今度は県政に出す、ということで設けたものでございます。
 一方政治資金につきましては、私の県政に取り組む姿勢に対し、あるいは県知事としての、私自身を応援していただくというようなことで、政治活動に対する支援でございますので、これは政治資金規正法等の関係法令に照らしまして、もちろん適切に対処しなければいけないということでございます。
 私は利害関係人というのは、自分の気持ちと致しましては、和歌山県民全員だと思っています。なぜならば私は和歌山県民をですね、幸せにするために公人としての立場を行使しているということでございます。その時に和歌山県知事として、がんばれ、という風におっしゃって下さる、そういう方々、県民の方々を特定の人だけを排除するつもりは全くありません。なぜならば、もし利害関係者が県民全体であるとすれば、私の後援会などを作ろうとすれば、県外の人だけが会員になるということになろうかと思うわけであります。一方、もちろん公人としての権限の執行、あるいは権力の執行につきましては、特別の人にだけ利益を享受するとか、そういうようなことは全く考えておりませんで、これは県のルールに従い、あるいはまあ自ら定めたルールですけれども、倫理規程等々に従いまして、身を厳密に律していくという所存であります。


A 大滝ダム追加予算支出について

《質問》雑賀光夫 県議
 大滝ダム追加予算については、第一日目の討論で、いろいろな議論がありました。わたしは、きわめて素朴な県民の立場から、疑問を提出させていただきます。といいますのは、ダム建設については、普通世間で通用しないことが業界と行政の常識になっているように思われるからです。
 大滝ダムは1962年に実施計画調査がはじまり、65年に事業着手。当初計画の事業費は230億円、県負担は25億円でした。ところが、5回の基本計画変更で、3480億円、県負担は437億円に膨れ上がったわけです。
 県議会としては、25億円の負担でダムができるということで、事業計画に同意したわけです。分かりやすいたとえ話をすれば、1000万円で家が建ちますといわれて工務店にお願いした。ところが、あと1000万円出してもらわないと雨漏りのする家しか出来ませんといわれた。さらに、あと2000万円出してもらわないと、地震がきたらつぶれますといわれた。こんなことをする工務店があれば、悪質業者になります。ところが、こういうことが、大滝ダムにかぎらず、この業界と行政の間では当たり前になっています。
 最初の25億円というのが過小な見積もりだったとすれば、過小な見積もりで事業を開始することに同意させた、といわれても仕方がないように思います。
 こうした当初計画が膨れ上がるのが常識になっているダム建設の中でも、大滝ダムのケースは、異常な膨れ上がりになっています。その原因は、もともと地すべり地帯としてここにダムを作ることに危惧を表明する専門家の意見もあったのを無視して、ダム建設ありきで進めてきたことにも問題があったのでしょう。しかも、その計画変更は、国の主導権の下ですすめられてきました。
 その上このたび、新たな地滑り防止で、160億円の追加予算を組む、和歌山県も負担してくれという国からの押し付けであります。
 こんなずさんな計画、県民への負担押し付けがゆるされるでしょうか。「ここまでつぎ込んできたのだから、どこまでもついていくほかはない」というのでは、県民は納得できません。まず、こうした予算が16倍に膨れ上がるような計画したことの国の責任はどうなのか、無批判にそれについていった県のやり方はこれでよかったのか、どういうコンサルや企業がこの仕事を請け負ったのか、そのコンサルや企業の責任はどうなのか、それがはっきりするまでお金は出せないという態度を明確にするべきだと考えます。2月和歌山市議会では、和歌山市長は「新たな負担はできない」「払うつもりはない」という態度を表明しています。

1 県土整備部長にお伺いいたします。
   国が計画し、県が協力してきた工事が、これほどまで計画の変更があり、国民、県民負担が膨れ上がったのか、その原因を県民に明らかにしていただきたいと思います。


《答弁》 宮地淳夫 県土整備部長
(1)5回の計画変更も含めて予算が膨れ上がったのはなぜか
 大滝ダムの建設は、伊勢湾台風直後の昭和37年に着手され、現在に至るまで事業が行われております。
 この間、昭和53年の第1回基本計画の変更では、紀の川全体の治水安全度を見直す中で、ダムの洪水調節機能を大幅に向上させるための抜本的な計画変更が行われております。
 その後、物価上昇に加え、第2回から第4回の変更においては、ダム機能の安全性の向上を図るため、堤体工、放流設備等の見直しが行われております。
 第5回変更及び今回の変更につきましては、それぞれ、白屋地区及び大滝・迫地区の地すべり対策のための増額となっております。


《質問》雑賀光夫 県議
2 知事にお伺いいたします。
   国が主導して計画変更し、予算が膨れ上がったわけですから、国の責任を厳しく追及する必要があるし、今回同意することは保留されたほうがいいと考えますが、いかがでしょうか。また増額分は基本的には国が負担すべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、国直轄事業の負担金の廃止を求めていくべきではないでしょうか。


《答弁》 仁坂吉伸 知事
(2)県負担金支出について
 これらは白屋地区というところがダムの斜面にありまして、「前面すべり」という日本で初めて確認された発生機構によって、実は実験的に水を貯めようとしたときに昨年はおこった。他に同様な地すべりが無いかということを調査をした結果、対策が必要と判断されたところが、2箇所あるということなものですから、これについて対策を国として打たなきゃいけないというご説明があったわけであります。
 本県が、これについて同意しなかった、あるいはこれについて例えば反対をしたということになりますと、大滝ダム事業は中断または中止になります。なぜならば、大滝ダム建設事業の負担金につきましては、河川法第60条第1項及び特定多目的ダム法第7条第1項等の規定によりまして、県、和歌山市、橋本市等の負担が義務づけられていることからであります。従って法的には、国だけがこれを負担せよということは認められてはおりません。
 私は、例えばこの問題が中止になりまして伊勢湾台風のような事態になったときに、誰が責任をとるのかというようなことに考えを致したときに、あまり愉快ではありませんけどもどうしても、同意せざるをえないというふうに考えた次第であります。なぜならばこのダムを中止したときにあのような問題が起こったときに洪水に対する流域住民の安全が確保できないからであります。従って議会にご答弁申し上げているような考え方で本件の問題を対処したいと私は考えました。


《再答弁》 仁坂吉伸 知事
(2)当初ダム計画の検証および決議の延期〔再質問〕
 この技術的にどうかというお話がありましたが、先ほどご答弁申し上げましたように、これは実は起こったときに日本で初めて確認された現象でありました。
   そういう意味ではじめから知見がなかったかといわれると、それは、あの時点でははじめから知見がなかった。それについてそれを防止するために必要な手は打たないといけない。その必要な手を打つということが2箇所見つかったので、これについて本当に必要か、ということを技術的に検証した上で、必要だと思ったので、技術的にはそのとおりであるということを我々が納得したということであります。
 それから一息入れよというお話がありました。私は常に議会の方々に対しても、県民の方々に対しても、自分の考えを正直に伝えております。ちょっと格好をつけるために一息入れてですね、それでそのポーズをとるというようなことは致したくございません。従ってこの議会で冒頭から申し上げておりますような考え方で、私は今回は同意せざるをえないんでございます。
 いかがでございましょうかと議会に堂々と申し上げてる次第でございます。


B 教育問題について

《質問》雑賀光夫 県議

 第一は、学力調査問題についてであります。
 文部科学省が実施する学力調査が実施されました。さまざまな批判があり、愛知県犬山市が参加しなかったことが報道されています。
 全国一斉学力調査への批判としては、その結果が、学校間の序列化につながり、そのことが学校教育にゆがみをもたらすことがあげられています。私も、4年前に県議会での最初の質問で、1960年代の全国一斉学力テストで、「愛媛残酷物語」とまでいわれた教育のゆがみが生じたことを紹介し、和歌山県での「学習状況調査」について懸念を表明しました。
 このたびの「全国一斉学力調査」について、国会での論戦では、文部科学省は「学校ごとの公表はしない」と答弁していますが、それでも学校ごとの公表が、結果として序列化につながるのではないかという心配は消えません。さらに、5月17日の「朝日新聞」に、「全国学力調査 町が『特訓』」「本番直前 独自の問題集」という見出しの記事が載せられました。「広島県北広島町教委が、調査の直前に出題内容が類似した独自の問題集を作成し、時間配分や解き方を児童生徒に指導するよう各学校長に指示していることがわかった」という報道です。その記事の中で教育評論家の小宮山博仁さんの話として「今回のケースは氷山の一角で、同様の例は他にもあるのではないか」という声を紹介しています。
 和歌山県では、文部科学省が実施した学力テストよりももっと問題のある「学習状況調査」が、4年前から実施されてきました。
 もっと問題があるとは、どういうことか。第一は、文部科学省の学力調査は、学校ごとのテスト結果を統一して発表することはしていません。ところが、和歌山県では、生徒数がきわめて少ない学校を除いて、学校ごと、問題ごとの正答率を公表しています。学校ごとの合計はないのですが、問題ごとの正答率を合計して学校ごとに比べてみれば、学校ごとのランク付けをおこなうことができる。
 第二の問題は、文部科学省の「テスト」は、小学校6年生と中学校3年生だけを対象にした「テスト」です。和歌山県では、小学校4年生から中学校3年生までの全学年を対象にしています。同じ児童・生徒が、毎年テストを受け、その結果が毎年学校ごと、学年ごとに公表されているのです。ここでは、広島県の町教委が事前特訓をしたようなことを、現場の教員がしたくなるような誘惑がおこります。広島の問題は、他人ごとではない。
 さらに私は、毎年繰り返される学力テストと学校ごとの結果公表によって、現場の先生方の中に、とくに若い先生の中に、教育観のゆがみが生まれるのではないかということを、何よりも心配しています。

 教育長にお伺いいたします。
1 この際、「学習状況調査」というものを、やめられてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
2 少なくとも、小学校4年生から中学3年生までの毎年のテスト、学校ごとの結果公表ということは、直ぐに見直す検討をいただきたいと思います。いかがでしょうか。


《答弁》 山口裕市 教育長
(1)「学力テスト」問題
 本県では、平成15年度から県内全ての公立小・中学校を対象に学力診断テストを実施してきておりまして、本年度で5回目を迎えます。また、今年4月には、国の「全国学力・学習状況調査」が小学校6年生、中学校3年生を対象に実施されました。これらの経過を踏まえまして、本年度の県学力診断テストにつきましては、小学校4年、5年生と中学校1年、2年生で実施することとしております。
 テスト結果につきましては、学校ごとに、各問題の正答率を公表しており、各学校では、成果を上げている近隣あるいは他校の結果を参考にしながら自校の課題を分析し、学力向上の取組に有効に生かすことができているという報告もいただいております。
 県教育委員会といたしましても、市町村教育委員会と連携をしまして、テスト結果から明らかになった児童生徒の学習指導上の課題を踏まえ、授業改善を促したり、特色ある学校の取組を各学校に参考事例として提供するなど、支援してまいりました。
 今後とも、児童生徒の確かな学力の育成に向けまして様々な取組を進めながら、各学校での指導方法の工夫改善に努めてまいりたいと存じます。


《質問》雑賀光夫 県議
   教育の第二は、高校再編、とくに大成高校問題であります。
 3年前に高校再編、大成高校や古座高校の統廃合の計画で、県教育委員会への厳しい批判がおこりました。8月という時期の突然の発表への批判ということもありますが、私は、「4学級以上でないと高校として維持していけない」という考え方に問題があると思います。1学年1学級の高校分校も存在意義があり、分校サミットというようなものまでおこなわれたのです。その中間である1学年2学級3学級の高校が絶対にあってはいけないという道理はありません。
 念のために申し上げておきますが、私は、いくら小さくなっても学校を存続すべきだと申し上げているわけではありません。生徒数が少なくなった学校を存続するかどうかは、教育的効果、地域における学校が果たす役割、財政面から見た費用対効果など、さまざまな面から検討しなくてはなりません。
 3年前の高校再編、統廃合提案は、大成高校や古座高校に大きなダメージを与えました。というのは、「統廃合されるかも知れない高校なんかに行きたくない」という高校を選択するときのマイナスイメージをつくりだしたからです。
 それにもかかわらず、また大成高校で言えば、おとなりの海南高校が1学級増になったにもかかわらず、これだけの生徒があつまったことは、一定の評価もできると思っています。
 地元のみなさん、中学校育友会、地元町長、大成高校育友会などから、いろいろな要望が出されています。今月18日にも、紀美野町議会の議員さんほとんど全員でおいでになり、尾崎要二議員、藤山まさき議員とともに私も同席し、知事への要望をお渡しし、教育長にお会いして要望したところです。みなさんの声は共通して「紀美野町から高校をなくさないでほしい」ということであります。

   教育長にお伺いいたします。
1 私は、3年前の高校再編・募集停止の提案が、大成高校や古座高校に打撃を与えたと申し上げました。この計画の見直しがおこなわれたとき、文教委員会でこのことを申す上げ、県教育委員会は、大成高校などを支援すべきだと要望したところであります。
 教育委員会は、この2年間、大成高校を盛り上げ存続させるためにどんな努力をされたのかお聞かせ下さい。

2 「生徒数が少なくなった学校を存続するかどうかは、教育的効果、地域における学校が果たす役割、財政面から見た費用対効果など、さまざまな面から検討しなくてはならない。」という私の意見について、どうお考えでしょうか。
 大成高校・古座高校について、機械的に基準を割ったから、二年後であろうと「募集停止しかない」ということでなくさまざまな可能性を探るべきだと思いますが、いかがでしょうか。


《答弁》 山口裕市 教育長
(2)高校再編と大成高校問題
   高等学校の再編整備につきましては従来の経緯をふまえ、平成17年5月に「県立高等学校再編整備計画第1期実施プログラム」を策定して取り組んできているところです。
 大成高校への支援につきましては、学校のニーズや課題に対応し活性化を図るという観点から、単位制に基づく教員の加配のほか、専門的資格取得に向けた集中講座のための非常勤講師の配置、指導体制を充実させるための教員の配置等を実施しております。
 さらに、平成17年度から地域の実情に即した中国語講座を設けられるよう非常勤職員の配置も行ってございます。
 また、ハイスクール・サポート・カウンセラーとして実績のある相談員を配置し、悩みを抱える生徒やその保護者の相談にも対応してまいりました。
 しかしこうした支援にもかかわらず残念ながら入学生徒数が減少し所定の数を割り込んでいるのが実情であります。
 再編整備計画では基本的に、子どもたちにとって、より良い教育環境を確保するという観点から、一定の基準を設けたものと理解をしております。
 再編につきましては、学校関係者、保護者、地域の方々など交えた地域・学校協議会で協議を進めているほか、各方面からさまざまなご意見をいただきながら慎重に取り組みを進めているところでございます。


《再答弁》 山口裕市 教育長
(1)学力テスト結果によって生じる弊害に対する教育長の考え方は〔再質問〕
 再質問頂きました学力テストについてお答えしたいと思います。このテストにつきましては、先ほど報告いたしましたように、現場のサイドの方からも日頃の授業改善に活用ができているという報告も数々ありまして、ある程度、継続していく中で、そういった効果も出てこようかというふうに思っております。ただ業者テストは、業者にですね、利用されるとかですね、序列化につながらないように、そういったことについては、十分、市町村教育委員会と協議をし、配慮していきたいというふうに思っておりますし、今回新たに国の方から小学校6年と中学校3年について、毎年テストをするというふうに加わってまいりました。それとの関係で調整を必要とする部分とかですね、様々改善ができる点というふうなことが、今後、各学校なり校長会等とも話し合いの中で、でてくれば、それは前向きにですね、改善について検討していきたいというふうに思っております。


C プレジャーボートと津波防災問題について

《質問》雑賀光夫 県議
   私はこれまでも海南市が大変津波に弱い町であることを申し上げ、堤防補強など訴えてきました。また、水門の自動化などおこなわれたことへのお礼を申し上げたこともありました。このたび、来年度予算要望にも海南市の堤防補強などかなり大規模な防災対策を対盛り込んでいただけたと思います。
 海南市で津波防災の話し合いがありますと、必ず出てくるのが、「津波になると船が第二次災害を生む」という話になります。以前にも地元の自治会長さんからも、県知事あてに、この問題での要望や質問が寄せられていると思います。
 しかし、こうした質問への県の回答をみて、地元住民の多くは、「県はこの問題について危機感がたりないのではないか」という不満を持っています。
 そこで、放置艇についての担当課がもっているデーターをいただきました。和歌山・下津港エリアで、マリーナなどに保管されているのは830隻ほど。2140隻ほどの放置艇があります。
   和歌山下津港湾区域というのは、和歌山市から有田市の一部を含むひろい区域です。その中で海岸線として40分の1ぐらいの海南市黒江湾周辺に860隻ほどの放置艇が集中しています。私が黒江湾周辺と申し上げたのは、毛見トンネルを越えた琴の浦から冷水のことであります。しかもこの地域では、放置艇が係留されている地域が、住宅地に近接しているわけです。
   このように見れば、この地域から「放置艇対策がどうなっているのか」という県政への要求が出されることは、まことにもっともなことであることが分かるわけです。
 先日、私が県議会でこの問題をとりあげるというと、地元自治会の方が40人も集まってくださいました。みなさんの関心の高さ、危機感にびっくりしたわけです。参加者の方から、最近、仁坂知事が海南市の商工会議所で懇談会を開いたときも、強く要望したんだというお話も伺いました。

1 知事にお伺いいたします。
   「津波が来ると放置艇が住民を脅かす」という海南市周辺の住民の危機感を、共有していただけるでしょうか。地元住民のご意見をお聞きになってのご感想を含めてお聞かせください。


《答弁》 仁坂吉伸 知事
(1)海南市付近の津波時の放置艇の危険性の認識
 共感を持っておりますので、従ってこの問題を私の就任以来急いで対処しようとしているところであります。放置艇問題は、船舶航行の障害になるというのは当然ですけれども、津波・高潮等のときにこれが害となることもあります。また、景観の悪化などもあります。従って、喫緊の課題と認識しております。
 このため、法令や条例等に基づく放置等禁止区域の設定等の規制強化に取り組みたいと思っております。同時に、施設整備等の受け皿等を考えて、プレジャーボート対策が和歌山の雇用等にマイナスの意味合いを持たないようにしたいというようなことも考えながら、急いで進めていきたいと考えてございます。


《質問》雑賀光夫 県議
2 県土整備部長にお伺いいたします。
   ただちに対策が必要です。どういう対策をしていただけるのでしょうか。


《答弁》 宮地淳夫 県土整備部長
(2)放置艇対策をどうするのか
 県では、限られた予算の中、優先順位をつけて放置艇対策を進めており、和歌山下津港内港地区において、平成15年の築港小型船舶けい留施設に続き、本年8月には湊第一小型船舶けい留施設の供用を開始いたします。
 海南市周辺においても放置艇対策が重要な課題と認識しており、今後、ソフト・ハードの両面から具体的な対策を検討してまいります。


《再答弁》 宮地淳夫 県土整備部長
(2)海南地区での対策協議会の立ち上げ〔再質問〕
 放置艇対策についてでございますが、県ではこの3月にも、下津港周辺では検討会を開いて、いろいろ具体的な検討をさせていただいております。もちろん地元の方々にもお入りいただいております。海南地区についても、当然地元の方々とのお話し合いも必要かと思っておりますので、必要とあれば協議会等を設置して、地元の方々とのお話し合いをさせていただきたいと思っております。


    2007年6月議会

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