2007年9月議会 建設委員会 松坂質問と答弁



1、入札問題について

@高値落札が続いてきた落札率低下について

(松坂県議)
 数年前から、不況や公共事業の減少によって建設業者の中では生き残りをかけた競争が激化し落札率の低下がすすんできた。従業員を遊ばせておくよりはということで赤字覚悟の入札参加などの問題もあった。ところが、これら中小零細地元業者の実情とはうらはらに、大手建設業者による大規模公共事業の落札率が95%以上などという高止まりとなっていることを指摘し対応を求めてきた。
 今回の工事請負契約議案を見ると、トンネル工事3本が上程されているが、それぞれの落札率は、国道371号トンネルが67.3%、国道424号トンネルが68.5%、泉佐野岩出線トンネルが66.3%といずれも60%後半という落札率となっている。
 この間の大規模公共工事の落札率はどう推移してきたのか、また、今の落札率から見て、これまでの95%以上という落札率はいったい何だったのか。 

(答弁)
 落札率の低下について、平成16年度は91,4%、17年度が90,8%、18年度が89%、19年度の現時点で86,2%と推移している。

(松坂県議)
  この5年間の一億円以上の県土整備部発注工事の落札率を調査したところ、落札率95%以上の件数は、14年度48件中で35件、15年度63件中36件、16年度64件中32件、17年度62件中22件と推移してきたのに対し、18年度は62件中なんと5件、この19年度でも8月末までの23件中わずか1件と劇的に変化している。これは17年度の冬ごろから、橋梁談合事件など全国的な談合事件の追及・解明が進む中で劇的に変化したものであり、これを境に変化したということは、以前の95%以上の落札結果というものが、大手業者による談合の疑いが極めて高かったといわざるを得ない。
 業者と政治家による、国民県民の貴重な税金わけどりの舞台となっていた談合問題の、徹底追及と事件の解明、そして厳しい対応こそが、談合防止の第一義的課題だ、システム改善も重要だがそれだけでは不十分だということを指摘しておく。


A予定価格より大幅に安く落札した場合の予算執行について

(松坂県議)
   今回のように予定価格の60%台での落札ということになると、何億円という差額が生じることになる。県民から見れば、工事が安くついたことによって、どれくらい税金が節約できたのか、安くついたぶんがどう使われ、これからはどう使ってゆくのか、ということを注目する意見があるのは当然だ。またその仕組みについて県民にわかりやすく説明をしてゆくことも大事だと思うが、この点はどういうことになっているか答弁願いたい。

(答弁)
 落札差額については、同一事業箇所あるいは、他工区で次年度以降に予定している工事の前倒し発注や用地買収等を行って道路事業の推進を図っている。


B今議会議案の3本のトンネル工事入札について

(松坂県議)
   今回の議案136号、137号、138号の入札結果についてもう少し突っ込んでお聞きしたい。136号、137号議案の入札経過を調査してみると、失格や無効となった入札が多いというのが気になる。たとえば、国道371号トンネルの入札では、5社の入札があった中で無効が1社、失格が1社あった。国道424号トンネルでは、7社の入札があった中で無効が2社あった。これはいったいどういう理由で無効や失格となっているのか。
   不慣れな零細業者が書類ミスをしたというのなら理解できるが、天下の大手建設業者がそういうことを度々おこすというのはどうも理解できない。県民から見れば真面目に入札しているのか、競争しているのかと疑問をもたれても仕方がないのではないか。こういう無効や失格が最近多いように思うがどうか。

(答弁)
 今回、議会承認をオネガイしている2工事における無効、失格は、発注期間において適切に審査を行った結果であり、特に無効、失格が増えているとは考えていない。この内容については、指名停止中に応札してきたものが無効になったものや、技術者用件で実績がないのに入札をしたもの、という理由である。


C入札参加業者数が2社しかない入札について

(松坂県議)
   議案138号の泉佐野岩出線のトンネル工事では、予定価格15億円という大規模な工事にもかかわらず、たったの2社で入札がおこなわれそのうちの1社が落札している。こんな少ない入札参加では競争入札とはいえないのではないか。

(答弁)
 本県では、応札者が1者の場合は競争性がないということで成立させていないが、2者あれば競争性が発揮できるとして、成立させている。



2、「業者評価制度」について

@県内企業の育成に有効かどうか

(松坂県議)
   県が導入しようとしている「業者評価制度」について、県内業者の育成が制度の目的の一つというが、色んなハードルを上げることだけが結果として残り、地元業者のふるい落としになりはしないか。

(答弁)
 業者評価制度については、不良不適格業者の排除、工事における品質の確保、県内優良業者の育成の3つの観点から制度案をとりまとめているところである。
 新制度では、入札参加用件の厳格化、評価項目の見直しと地方基準点のウェイトアップ、ランクダウン等ペナルティの強化、地域用件の緩和等々を行うことにより地方基準点のウェイトを10%から30%に高め、地域の要請に応えることのできる業者や高い施工能力を有する業者が報われることになると考えている。


A業界への説明やパブリックコメントなどでの意見について

(松坂県議)
 現在、業界への説明やパブリックコメントも進行中とのことだが、不安の声も出ていると思うが、特徴的なものはどのようなものがあるか。

(答弁)
 今のところ意見は4件ほど出てきているが、資料をまとめて後ほど報告したい。


B上位ランクから下位ランクへの参入について

(松坂県議)
   業者への適正なランクへの移動を誘導していくとの説明があった。経過措置の2年間はランク移動業者が下のランクの仕事をとりにいけることになっている。そして2年後からはその経過措置がなくなり、残ったシステムといえば、2年後からは上位ランク業者の下位工事への参入可能という規制緩和・競争激化だけが残るということにならないか。

(答弁)
 経過措置の2年間は激変緩和措置ということで、20年6月からは上位ランクへ上がった業者だけが、従前の下位ランクへ参入可能とするインセンティブを与えることとしており、2年後については下位ランクにも入れるということで考えている。

(松坂県議)
 2年後からは上位ランクの業者が、下位ランクの工事に行き放題になって小さい業者の仕事を圧迫しないかという不安の声があると思うので、不安の声に対してきっちり説明し、一層改善を重ねるよう要望する。



3、「和歌山県道路整備中期計画」について

(松坂県議)
 今回の和歌山県道路整備中期計画の趣旨は、財政見通しが不透明な中、長期的展望をもつ計画よりも、中期的な計画の中で、ここまでは完了する、ここには着手する、という県民に見える形で展望を示すことにあると聞いてきた。なかなか事業がすすまず、どちらかといえば年々予算が減らされてきた地元から見れば、いつまで待つのか、いつまでがまんすればできるのか、という感情から見ても、たいへん大事な計画だと考えている。県の道路整備中期計画の中間とりまとめを見ると、国の事業として国県あわせて1兆6000億円で今年度予算の19年分、県の事業としては5400億円で約15年分となっている。そうであるとすれば、今回の事業総額は、国への要望書などということであればわかるが、県民から見ると「がんばり目標」「絵に書いたモチ」とうつるのではないか。中期計画の趣旨からみて、一面的には実現の可能性のうすい無責任な計画発表となってはいないか。

(答弁)
 中期計画中間取りまとめの内容は、本県は高速道路をはじめ道路整備が非常に遅れている中で、特に、「人が暮らすための平等な権利の保障」や「関西経済圏の活性化」に不可欠な近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道をはじめ、これらを補完する内陸部骨格軸や府県間道路、さらに「基本的生活に不可欠な道路」など県として真に必要な道路整備に絞り込んで提示したものである。
 これをもとに、国の中期計画への位置づけと、道路財源の確保を国に対して強く働きかけているところである。
 なお、計上した計画事業費は、あくまで参考として県で試算した額である。



4、近畿自動車道海南吉備間のトンネル安全対策について

(松坂県議)
   近畿自動車道紀勢線海南吉備間では、交通量の増加にともなってトンネル渋滞や事故が増えている。この長峰トンネルについては、「暗い・こわい」などという声をよく聞く。暗くて路面が見えない、明るい所と暗いところが交互に現れて、光の輪のようになって飛んでくる。平衡感覚がなくなってくる。心臓がドキドキして止まらない、汗がドッと出てきて止まらないというような、パニック障害のような症状になって怖いから使わないという人の意見が少なくない。このトンネルの照明の色が黄色の光なので、慣れないサングラスをかけたときのように、遠近感や平衡感覚が低下するのが原因ではないか。
   この間、事故は増えているのではないか。トンネルの明るさは規定からみて充分か。照明の改善など、今後の対策を西日本高速(株)に要望すべきだと思うがいかがか。

(答弁)
 トンネル照明灯による路面の明るさは確保されていると聞いている。現在のナトリウム灯から、見やすい蛍光灯に変える工事は、電圧が違うため、春と秋に実施している夜間通行止めの期間では困難であるため、4車線化工事と併せて蛍光灯に変えると聞いている。
 人身事故は平成17年に12件、平成18年に16件、平成19年は8月末現在で15件である。死者はない。
 事故防止対策として、中央部にラバーポールや縁石を設置しており、当面の対策として、この秋の夜間通行止め時にラバーポール、ラインの修繕、側面板の清掃等を行うと聞いている。

(松坂県議)
 照明が4車線化時に改善されるとの見通しだが、それでは4車線化になるまで危険な状態が続くことになる。電圧の問題もあるとのことだが、今でもナトリウム灯と蛍光灯が混在しているトンネルもあるし、長峰トンネルでも避難所にはすでに蛍光灯が設置されているから不可能ではないと思う。4車線化を待たずにできる部分はぜひ進めてほしいという要望を強めていただきたい。



5、国道480号の橋梁改修について

(松坂県議)
   有田地方と高野山をむすぶ東西の道路でもある、国道480号の狭隘区間の改修については常々取り組んでいただいているが、バスが有田市や吉備インターから高野山に上がるためには、対抗できない区間の改良とともに、対抗どころか単独でも通りにくい部分への対応が求められている。有田郡と伊都郡の郡境になる鳥居橋、ならび旧花園村役場前の柳瀬大橋の2つの橋は、狭隘でクランク状に曲がっていて、バスの運転は曲芸的な切り替えしでやっと通過できると聞いている。
   この2つの橋の改良についてどう認識しているか。観光面から見ても改良の効果の出やすい対策だと思うがどうか。

(答弁)
 国道480号の鳥居橋及び柳瀬大橋の2つの橋梁は、大型観光バスが円滑には走行できないが、通行は可能であると地元のバス会社から聞いている。限られた財源の中で、有田川から旧花園村の境界付近の2橋を含む狭隘区間については、現在事業中箇所の進捗を踏まえ、特に支障となる箇所から、効果的な現道対策を検討してまいりたい。



6、国道42号湯浅交差点の安全対策について

(松坂県議)
、国道42号湯浅交差点の安全対策に関して、この交差点前後の国道には歩道が確保されているのに、交差点付近には歩道がなくて、右折車両と直進車両がすれちがうところは、自転車に乗っている人の肩と車がふれそうになる等危険な状態で対策が必要だと考える。過去にも改良の計画を持った経過があるところだが、この交差点の安全対策についてはどう認識しているか。

(答弁)
   国道42号湯浅交差点付近の安全対策については、以前から国において交差点改良、歩道設置の計画が立案されているが、未だに事業化されていない。用地については一部売買されており、新しい所有者と町で交渉を進めているが難航していると聞いている。今後、国に対し事業の推進をさらにはたらきかけてまいりたい。



7、有田川高速4車線化にともなう土砂撤去について

(松坂県議)
 有田川の河川の問題で、高速4車線化にともなって西日本高速(株)と共同でおこなっている堆積土砂撤去についてお伺いする。この高速4車線化の場所は、合計3本の橋が川を横切り橋脚が林立するところであり、洪水時にその影響が心配されてきた。そこで件と高速道路事業者が共同で川の流れ整えたり表土の撤去等に取り組んでいるが、昨年度までの土砂撤去の実績と、今年度の見通しについて伺いたい。

(答弁)
 平成17年度、18年度合計で約3万立方メートルの河道掘削を行っている。今年度については、出水期明けに河川敷の侵食を防ぎ低水路の安定化を図るための連節ブロックを実施している。



もどる