雑賀 光夫 2007年9月県議会での討論

2007年9月19日


本会議での一般質問

1 若い教員が成長できる教育現場を
2 「子ども会」予算と学力支援推進教員
          @        同和行政の終結と子ども会補助金の実態
          A        子ども会補助金に不正はないのか
3 学力支援推進教員の配置と役割
          @        学力支援推進教員の配置基準
          A        学力支援推進教員の役割と子ども会
4 貧困と格差問題
          @     北九州市の悲劇を繰り返さないという立場で生活保護申請の受付を
          A    「県民相談室」の役割について
          B    国保加入者の医療費減免受付窓口にかかわって
5  紀南廃棄物最終処分場について
          @      最終処分場の規模と役割
          A      ラムサール条約で保護されるべき珊瑚群生地について
          B      住民の合意による計画の推進
6   海南市の津波対策について(要望)




[雑賀県議質問]

議長のお許しを得ましたので質問に入らせていただきます。

若い先生が生き生きと成長できる教育現場を

  第一の柱は、教育の問題です。
 「教育の荒廃」とか「教育困難」という言葉がよくつかわれます。教員の免許更新制という議論があります。また、学力の低下が問題になれば、「学力テストをやれ」という短絡的な施策がすすめられていると私は思います。そんななかで教育現場が大変窮屈になっているのではないかと心配いたします。
  福知山線の脱線事故がありましたが、あのときの運転手は、列車を時間通りに運行しないと懲罰的研修を受けさせるのが怖くて無理な運転で大きな事故を起こしたのでありました。あのとき私は教育の世界でもひと事ではないと思いました。
  人間は失敗するものです。失敗の教訓を共有して成長することが必要です。
  私は現場教員からスタートしましたが、教員をやめたいと悩んだこともありました。私が教員になったのは1967年。未熟な英語の教員でした。でも民主的な教員でありたいという願いだけは持っていましたので、子どもをなぐったりしてはいけないと思っていました。
   私の英語の授業では、子どもたちはザワザワします。ふざけて授業をまじめにうけない生徒もでてきます。その時、ずしんと応えたのは、まじめな女の子が書いてきた学級日誌でした。
  「先生は優しすぎるから、男の子はまじめにやりません。もっときびしくしてください。」
   これを読んで、私は焦りました。「あの一番ふまじめなやつを(達也としておきましょう)、きつくしかってやろう」。あくる日の英語の授業で、達也に注意しても聞かないので、いきなり近寄って、「これだけ言うてもわからんのか」とニュープリンスリーダーズの教科書を丸めて思い切り頭を殴りました。はじめて先生が殴ったものだから、教室は一瞬静かになりました。女の子の日誌をみると「今日の先生は、いつになく厳しかった。こんなふうにやってほしい」と書いているのを見て、ほっとしたものです。
   けれども、それで解決するわけがありません。私の英語の授業がわからないのです。また、「勉強してもどうせ、高校へいかれへん」と思っているのです。達也は、もっと授業妨害するようになりました。私は、教師に向かないのかと悩みました。
  そうした中、一学期終わりの、父母との面接の日が来ました。私は、親に言いたい苦情を、ノートにいっぱい書きためて、まっていました。最低の先生です。そのお父さんが、話し始めたのです。
  「達也が、先生に迷惑かけてすみません。……実は、家内が入院していまして、………。食事の用意は、みな、達也がやっています。この間、ワシは、『もっとうまいもん食わしてくれ』といったんです。そしたら達也がいうんです。『おいしいもんつくろうと思ったら、お金かかるんや。お母ちゃんの病気でお金いるやろ。僕もしんぼうしてるんやから、お父ちゃんもしんぼうしてくれ』…………」   この話を聞いて、私は、頭をガーンとやられた思いがしました。子どもの表面しか見ていなかった自分がはずかしくなりました。その後も、いろいろなことがありましたが、そこから心のつながりができたように思います。達也は中学校を卒業して単車の修理屋で働いていましたが、その後、縫製の会社をつくり、今は、社長さんです。
 私が頭を「ガーンとやられた」という話を職場の先輩の先生に話したとき、職場の先生は、「大事なことに気がついた」とそれを評価し励ましてくれました。失敗を乗り越えさせてくれるのは、職場同僚・先輩の支えだろうと思います。それがなかったら引きこもってしまったかも知れません。
 私は、最近の学校現場の若い先生と初任者研修の体制をみますと、若い先生が「失敗をしてはいけない」というプレッシャーにおしひしがれているのではないかと思います。
 人間は失敗しながら成長していく。失敗を隠すのではなく、失敗から学び励ますような環境を作らなくてはなりません。
 私は六月の県議会で学力調査を毎年繰り返して結果を公表するようなことはやめてはどうかと提案しましたが、残念ながら前向きの回答はいただけませんでした。これも、現場の先生方がプレッシャーにひしがれるのではいけないと思ったことがひとつでございます。

 今度は少し持って回ったような質問の仕方ですが、教育長にお伺いいたします。若い教員を育てるために失敗をも糧にしながら、子どもと教育を語り、若い先生が成長できるような雰囲気を学校現場に作らなくてはならないと思いますが、教育長はどうお考えでしょうか。



[教育長答弁]

   ただ今、議員から、教師としての在り方について、大変含畜のあるお話を伺うことができました。
  多くの教員がそうでありますように、私にも様々な苦い経験がございます。名前の呼び方がまずかったせいで、3年間口をきいてもらえなかった生徒もございますし、また、いじめに苦しんでいる生徒や退学を余儀なくされた生徒を支えきれなかったことなどは、今も心に掛かっている問題でございます。このほか、自分では気づかない間に心を傷つけたことも、多々あったに違いないと思っております。

 これらの一つ一つは、私にとりましては、「失敗」というよりも、教育に携わったものの罪として、背負っていかなければならないものと考えてございます。 しかし、これは個人的な感懐でございますから、多くの若い先生方には、教師としての良心と誠意に基づく限りは、失敗を恐れず、謙虚にかつ勇気をもって生徒に関わっていただきたい。そして、教師同士が、不断に子どもについて語り合い、互いに高め合い、支え合える環境づくりを大切にしていきたいと考えます。


[雑賀県議再発言]

教育の問題は、多角的に議論していかなくてはなりません。
 そこで、今日は、あまり県議会らしからぬ議論をぶっつけてみました。
 教育長のお話は、さすが教育者だと感じながらお聞きいたしました。そのベースの上で、今後、私が問題があると考える教育行政の問題について今後きびしく迫っていきたいと思います。
   いま、文教委員会では、地域・学校現場の実情をきこうという取り組みがはじまっています。
 これからも学校現場の状況をふまえて、多角的な議論をしていきたいと思います。



同和行政の終結と子ども会の問題

[雑賀県議質問]
   第二の柱は、同和行政の終結と子ども会の問題についてであります。
 私たちは、同和問題の完全解決をめざす立場から、特別行政としての同和行政は終結すべきであると主張してまいりました。同和対策の特別措置の法律も期限がきれ、国民的にもそのことは合意される段階になっています。
   この立場から、本日は、同和子ども会としての補助が廃止になって、現在すすめられている「地域子ども会活動支援事業補助金」についてお伺いしたいと思います。
 担当課から資料をいただきましたが、県が補助金を出している子ども会には、「地域総合」と呼ばれるものと「地域集団」と呼ばれるものの2種類があります。「地域総合」といわれるものは、一般には県から30万円、市町村から30万円の補助金、合計60万円の補助金がだされています。20人というのが補助を受ける要件です。「地域集団」と呼ばれる子ども会は、補助金がそれぞれ6万円ですから、2つの種類の子ども会には、大きな補助金の格差があります。
 ところで、「地域総合」といわれる子ども会は、県下に105単位の子ども会がありますが、そのうち和歌山市に77単位の子供会が認められています。そのうち、ある小学校区に13単位の子ども会があって、それぞれの単位子ども会が、県から30万円、和歌山市から30万円の補助金をうけとっています。実際はひとつの子ども会なのでしょうが、それが13単位にわけられ、補助金が780万円にもなっています。
 さらに私は、子ども会の実績報告を一枚一枚繰ってみました。驚くべきことに、第1子ども会から第9子ども会まで、「活動実施報告書」「収支決算書」「年間の月別活動報告」が、まったく同じ数字、同じ文章なのです。
 決算報告の「体験活動・キャンプ・スキー研修」の費用が、9つの子ども会で128,656円と端数までそろっています。キャンプやスキーなどの行事に9つの子ども会、各20人の子どもが、1人残らず参加する、あるいは同じ人数が参加するなどということがあるでしょうか。
 「地域集団」とよばれるのは補助金のすくない子ども会ですが、親子クラブ、子どもクラブと呼ばれています。地域の実情をしらべてみますと、補助金の総額が少ないので、6万円という少ない補助金でもローテーションで何年かに一回しかいただけていないという実態もあります。

 環境生活部長にお伺いいたします。
   第一 同じ子ども会でありながら、補助金が6万円の子ども会と30万円の子ども会がある。しかも6万円の補助金も毎年もらえていないでローテーションを組んでいるという実態がある。どうしてこんな格差があるのか、お答えください。

   第二 私が指摘した、ひとつの小学校区に13単位もの子ども会があることになっていると申し上げたケースでは、補助金の総額が780万円。特定の子ども会だけが異常に多くの補助金を受けていると考えます。また、私が例に挙げた小学校区の13の単位の子ども会の実績報告が極めて不自然であるという私の指摘について、どうお考えでしょうか。 


環境生活部長答弁]

子ども会補助金に関する2点のご質問にお答え申し上げます。

   1点目の子ども会補助金の格差についてでございますが、地域子ども会は、子どもたちが健やかに成長できる地域社会の実現を図るために活動している団体でございます。
   子ども会活動はもとより、青少年の団体活動は、青少年の健全育成を図るうえで重要であると考えております。
   県としては、組織的、継続的な子ども会活動を推進している市町村に対しまして、市町村が交付している補助金の2分の1を交付しております。この補助金は、活動日数が50日以上行われ、且つ活動内容が4つの活動。1番目が「創作活動、スポーツ、レクリエーション活動、人権学習」。2つ目が「野外活動、ボランティア活動」。3つ目が「子ども集団相互の交流、地域住民との交流」。4番目として「青年リーダー等の育成など指導者養成」。この4つのすべての活動を行っている地域子ども会に対しましては、30万円。一方、活動日数が12日以上行われ、ただ今申し上げました4つの活動のうち、2つ以上の活動を行っている地域子ども会に対しては、6万円を上限として交付しております。

 次に、2点目の子ども会補助金に問題はないのかとのご質問でございます。子ども会活動につきましては、それぞれの市町村が地域の実情に応じて支援をしているところでございます。また、子ども会を構成する会員の人数につきましても地域の実情に応じ異なっております。
 地域子ども会活動支援事業につきましては、市町村が行う補助事業、例えば「人権学習」「ボランティア活動」「地域住民との交流」「青年リーダー等の養成」等、市町村におきまして精査された活動実績に基づいて、その2分の1を助成しているところでございます。 


[雑賀県議再質問]

子ども会予算の問題です。ひとつの子ども会に780万円の補助金というのは、私は他の子ども会とくらべてバランスを欠いていると思います。そうした多額の補助金を受けているのは、旧同和子ども会です。とくに和歌山市でそれが著しい。
 和歌山市が認定してきたものにそのまま県は補助金をつけるということのようですが、私が指摘したように、実績報告がきわめて不自然です。
 監査の課題にもなると思いますが、担当課として調査する必要があると思います。ぜひ、調査をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。再質問です。


環境生活部長再答弁]

子ども会補助金につきましては、ただ今ご答弁申し上げましたとおり、市町村が交付している補助金に対し、その2分の1を交付しております。
   各子ども会に対する補助の適否につきましては、市町村におきまして、収支決算書等で交付対象事業やそれに要した経費を確認したうえで、適当と判断されたものでございます。


[雑賀県議再々発言]

補助金の要綱は県で作っているわけです。そこで市町村が申請をしてきたらそのまま補助金を出している。その申請がおかしくないのかチェックする必要がある。
   今日は、知事には質問していませんが問題を聞いてもらったわけですから、問題がないかどうか調査していただきたいと思います。



「学習支援推進教員」の配置と勤務

[雑賀県議質問]

第三の柱として、子ども会ともかかわるのですが、学校現場に配置されている「学習支援推進教員」の役割について、お伺いいたします。
   歴史的に振り返ってみますと、同和問題が大きな教育課題を残していた時代、同和教育推進教員が配置されました。国で措置された教員が約140人、県単独で措置された教員が約140人。半数が同和地区の35人学級実施にあてられ、半数は、加配教員として各学校に配置され、同和教育の推進、学力向上、教育困難の克服にあたってきたと思います。
   その後、同和対策の特別措置は、終了すべき段階にいたりました。国が配置したかつての同和推進教員の定数は、一定数残されて、今日、「学習支援推進教員」102名が学校現場に配置されているわけです。「同和」という名目はなくなったわけですから、旧同和地区をかかえているかに関係なく、教育困難をかかえた学校に配置されるべきものです。学校現場からは大変期待されるものです。
   まず、「配置」について申し上げます。和歌山市には、46人配置されている。ひとつの小学校を除いて、すべてが旧同和地区を含んでいた学校です。その一方で、海南海草では、ゼロであります。それほど和歌山市が教育困難で、海南海草は学校が安定しているのだろうか。さらに言えば、和歌山市の中でも、この46人が本当に必要な場所に配置されているのだろうか。
   配置された教員が、本当に教育困難に立ち向かううえで、子どもと保護者、そしてその学校の教職員が期待するような役割を果たしているのだろうかという問題です。県下の多くの学校では大事な役割を果たしています。
  しかし、一部ですが「学習支援推進教員」の実績報告をみておどろきました。和歌山市のある中学校では、授業時間ゼロの先生がいる。3人の先生が配置されている中学校では3人で合計7時間しか授業をもっていません。小学校でも6時間ぐらい。他の一般の先生は、小学校では25時間ぐらい授業しているのです。
   ある学校では、職員会議などの場からも、水曜日の4時前になれば「子ども会に行ってきます」といって席を立つのが常態になっていることを現場の先生方からお聞きしました。

   教育長にお伺いいたします。
@「学習支援推進教員」というものを、どういう基準でどういう任務を持って配置されているのでしょうか。

A「学習支援推進教員」が、学校でまったく授業を担当しないということは、正常なことだと考えられるのでしょうか。地域子ども会とのかかわりで、「推進教員」の勤務に問題はないのでしょうか。


[教育長答弁]

学習支援推進教員は、学習指導、生徒指導及び進路指導上で、多くの課題を抱える学校を支援できるように、市町村教育委員会と十分な協議のうえ、配置しているところでございます。
 担当する授業時数や地域子ども会とのかかわり方などにつきましては、学校長が児童生徒の状況や課題に応じて、より大きな教育効果が得られるよう、決定しているものと認識をしてございます。
   なお、学級担任をはじめ全ての教職員が、児童生徒の学習や生活面での課題解決に向けて、保護者や地域の方々と連携しながら、取り組んでいくことが大切であると考えているところでございます。


[雑賀県議再質問]

「学習支援推進教員」の配置の問題。まだ納得できません。

   一例をあげますが、岩出中学校、岩出第二中学校では35人学級が実施されていません。地域の保護者からは、その実施を求める署名運動がおこっているわけです。しかし、県教育委員会が実施する35人学級は、研究的な措置だから、岩出町のほうでやりたいと手を上げないと教員の配置が出来ない。岩出町では、マンモス校で教室が足りないから手を上げることができないのでしょう。
 こうした大きな学校では、学力指導、生徒指導の面で大きな教育課題をかかえていると思うのですが、岩出中学校、岩出第二中学校には、「学習支援推進教員」は一人しか配置されていません。
   ほかにも教育困難校なのに、推進教員が一人も配置されていないと思う学校もありますが、ここでそうした学校の名前を挙げるのははばかられますので、これ以上申し上げにくいのですが、お答えになった基準ではなくて、旧同和地区をかかえているかどうかに大きくひっぱられた配置になっているように思います。本当に必要な学校から配置するように十分な検討をお願いしたいと思うのですがいかがでしょうか。再質問です。


[教育長再答弁]

   再質問にお答えいたします。まず一つは、35入学級の件につきましては、これは市町村と十分話し合っている中でございますけれども、全体として配置できる人数に限りがある中で調整した結果、やむを得ずこういう風になっているとご理解いただきたいと思います。
   次に配置されている学校が、同和地区の学校が多いのではないかというご質問でございます。
  これにつきましては、それ以外の学校も含まれていることはご承知いただいているとおりでございまして、あくまでも市町村教育委員会と協議する中で、課題の大きさに基づいて配置をした結果であるという風に理解いただきたいと思います。



[雑賀県議質問]

   第四の柱は、貧困と格差問題についてであります。

生活保護申請受付の問題

第一は、生活保護の問題です。全国に大きな衝撃を与えたのは、北九州市で生活保護を打ち切られた男性が、「おにぎりをたべたい」と書き残して餓死したという事件でございました。私は、こうした悲劇を引き起こした悪政への怒りとともに、「和歌山県では、とくに海南海草地方では、絶対にこうした悲劇を起こさせないぞ」という決意を新たにするわけでございます。
   「北九州市で起こったことを、和歌山県では絶対に起こさせない」これは、私だけでなく、知事をはじめとしてこの議場におられる全てのみなさんの共通の思いではないかと推察いたします。
   しかしながら、市役所の窓口では心ならずもそれとは違った対応が、和歌山県内にもあるわけでございます。生活保護の申請にいきます。働きたくても働けない。もう貯金もなくなってしまった。生活の窮状を訴えて、生活保護の申請をしたいといいます。係の方は、生活保護を受けられる条件はこういうことです。親戚で経済援助をしてもらえる場合は援助してもらうのが先です。など説明します。そして、「改めてきて下さい」と帰らせようとするわけです。付き添いできていた市会議員は、できるだけ自分は前に立たないように黙って聞いていたんですが、たまらなくなって口を挟んだそうです。
  「この方は、生活保護の申請にきたのですよ。申請が認められるか、却下されるかは別として、受付はしなくてはいけないでしょう。」そういわれて、職員はやっと申請の用紙を渡して、書き方の説明をするというのです。そのままにしておいたら、受け付けてもらえずに帰ってくることになる。
  生活保護申請では、申請の日がいつになるかが重要な問題です。申請がみとめられるのは後になったとしても、申請を提出した日から、支給がおこなわれるからです。

  そこで福祉保健部長にお伺いいたします。北九州市の事件を踏まえて、県内の市町村でも生活保護申請を受け付けようとしないいわゆる「水際作戦」が強まっているという私の指摘について、どう考え、どう指導なさるのでしょうか。


[福祉保健部長答弁]

種々の事情で生活に困窮されている方からの相談には、活用できる資産の有無や他法他施策による給付の有無等相談者に対するきめ細かな面接相談の実施、生活保護申請の意思のある方については申請に必要な書類等手続きの説明を行うよう、従来から各福祉事務所に対し指導しているところでございます。
 生活保護は、社会保障制度最後のセーフティネットと言われる制度であり、今後とも、生活保護行政の適正な実施に努めてまいります。



相談窓口をわかりやすく

[雑賀県議質問]

第二点、私の地元・海南海草地方には、日本共産党生活相談所がございます。海南のハローワークの向かい側、もとの海南市のメインストリートにありますから、大変よく目立ちます。海南市民のみなさんには、「困ったときにはあそこの相談所に行けば相談に乗ってもらえる」ということが、かなりの範囲で浸透していると自負しているところです。
   それでも十分ではありません。地方税回収機構がスタートしてから、回収機構に回された方から相談をうけます。事情を聞いてみると、税金を滞納するということは許されないけれども、こんなに税金を滞納する前に、行政の支援を受けられたのではないか。国保税の減免もありますし、就学援助もあります。どこにも相談せずに、税金や国保税を払えないと滞納しているのです。
   こうした状況を見るとき、生活相談窓口は、もっともっと行政が開かなくてはならないと思います。しかし、役所というものは県民・市民にとって敷居が高いだけでなく、どこに相談に行ったらいいのかわからないものです。私たちの生活相談所だって、初めてはいる人は入りづらく、事務所の前をなんども行ったりきたりして、意を決して飛び込むのです。私は、県庁であろうと市役所であろうと、わかりやすい「相談窓口」を作るべきだろうと思います。
   県庁の中には「県民相談室」がございます。先日、見学させていただきました。県庁OBのみなさんなど相談員になってがんばっておられる。どういう成果を挙げているのかお聞かせください。

ただこの「相談室」は、大変分かりにくい。県庁北別館に入ると、矢印マークで案内があるのですが、外から入ってきた人にもわかりやすくすることが必要だと思います。環境生活部長、いかがでしょうか。


環境生活部長答弁]

  県では庁内に県民相談室【交通事故相談所を設置しており、県民の皆様からの相談に応じています。
   県民相談では、行政相談、民事相談を合わせ、年間約3千件ございますが、内訳としては9割以上が民事に関する相談でございます。
   民事相談の内容としては、金銭貸借問題、離婚問題、相続問題等多岐にわたっています。それぞれの相談の処理につきましては、まず相談員が内容をお伺いし、その場で処理できない場合は他の関係機関を紹介するなど、適切な対応をしているところでございます。
   また、法律の専門家が必要なケースも多く、県庁内で、年間30回の無料弁護士相談、また、県庁に来所しにくい県民のために県内各地におきまして年間20回の巡回相談を行っています。
   今後とも県民の皆様からの相談にスムーズに対応するため、法テラスや弁護士会などの関係機関と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
   なお、ご指摘の、県庁内の案内表示につきましては、県民の皆様にできるだけわかりやすい表示にするよう工夫をしてまいります。



国保加入者医療費の減免申請


[雑賀県議質問]

第三点、福祉保健部長への質問です。6月に海南市議会で、国保加入者が医療費の減免を申請できるようにすべきだ、法律上当然だという質問がありました。当局はそれを受け入れたのですが、県下で初めてだそうです。
   その答弁のあとで、当局が「実は、県議会でこの問題についての質問があって、国民健康保健課長から通知がでています」といってまいりました。それは、昨年の2月県議会で藤井健太郎議員の質問に福祉保健部長がお答えになったものです。ちゃんと3月24日付けで通知が出されている。それなのに折角の通知が、よく勉強している市会議員が質問して、やっと日の目を見るということだったわけでございます。せっかくの通知が本当に生きるようにできないのかと思ったのですが、福祉保健部長、いかがでしょうか。


[福祉保健部長答弁]

一部負担金の減免及び徴収猶予は、国民健康保険法において定められており、一部負担金支払の義務を負う世帯主が、震災等災害や失業などの特別な理由によって、支払いが困難であると認められる場合に、保険者の判断により、減免や徴収猶予が行うことができる制度であります。
   県といたしましては、この制度の適切な取扱いについて、平成18年3月に国民健康保険の保険者に対して通知したほか、市町村への担当者会議においても周知してきたところです。
   今後も、保険者に対し、一部負担金の減免等について、法に基づいて適切な取扱いがなされるよう周知に努めてまいります。以上でございます。


[雑賀県議再発言]

 県としてはいろいろな出先に相談機能をもっているわけですが、一般県民はどこにいっていいのか分からないのが普通です。相談に行ったら「たらいまわしにされた」という不満は良く聞くものです。
   どんな問題でも、「その問題ならどこへ行きなさい。」というだけではなくて、必要な手続きと必要書類など教えてくれ「電話を入れておいてあげますよ」といってくれれば、困っている方は、どんなに救われた気分になることでしょう。最初におとづれた窓口から次の窓口に電話で引き継いでくれるということが、敷居が高いという思いで相談窓口をおとづれる方には、大きな救いになります。
   私から申し上げなくても、担当者の方は十分心得ていただいていることだろうと思いますが、念のために申し上げました。



紀南の廃棄物最終処分場の用地選定


[雑賀県議質問]

第五の柱として、紀南の廃棄物最終処分場の用地選定にかかわってであります。
 通称南紀フェニックスともいわれる紀南三郡の廃棄物最終処分場の選定がすすめられています。紀北・紀中地域は、大阪湾に最終処分場があるが紀南地方にはそれがない。そこで財団法人・紀南環境整備公社が最終処分場建設用地の選定をすすめてまいりました。
   最終選定にのこった5箇所のうちで、串本の高富地区については、地元住民、串本町議会から強い懸念の声が起こっています。1970年の自然公園法の改正により海中公園制度が成立しました。串本付近の海域は、最初に指定された10箇所の海中公園地区のひとつでございます。その特徴は、テーブル珊瑚の大群落とそこに生息する多様な熱帯性の魚類や無脊椎動物の存在です。
  この海域が、2005年11月、ウガンダで開かれたラムサール条約締約国会議で認定をうけました。しかも北緯33度30分という高緯度に位置する珊瑚の大群落が、ラムサール条約で認定されたのは、世界中でここだけという貴重なものです。

 納得する解決にむかえるようにという立場から環境生活部長にお伺いいたします。
   第一に、ラムサール条約で保護させるべき珊瑚の群生地が、5箇所への絞込みでどう考慮されているのかをみますと、熊の古道と同列に景観を壊すかどうかという点からしか扱われておりません。建設工事が海に与える影響など調査すれば大きなマイナスポイントとなり、候補地からはずれるだろうと私は考えていますが、いかがでしょうか。

 第二は、調査の結果、万一、高富地区が選ばれ、しかも住民が納得しない場合、強制収用など強行建設するようなことは、あってはならないと思いますがいかがでしょうか。

   第三に、この最終処分場には、紀南三郡以外から、廃棄物が持ち込まれるようなことはないのでしょうか。また廃棄物の減量の努力をすれば、これだけの規模のものはいらないのではないかという意見もありますが、いかがでしょうか。


環境生活部長答弁]

  先ず一点目の建設工事の海に与える影響についてでございますが、最終処分場には適正な廃水処理施設を想定をしております。下流域への影響はほとんど無いものと考えております。ただし、工事期間中の濁水の影響につきましては、今後の現地調査を十分踏まえまして、適切に対応して参りたいと考えております。

   次に、二点目の強制執行の可能性についてでございますが、本年3月24日に開催いたしました紀南環境整備公社理事会におきまして、強制執行を行わないことを申し合わせているところでございます。今後とも地元の皆様方のご理解をいただけるよう、ねばり強く話し合いを続けていく必要があると考えております。

   最後に、地域外からの搬入及び施設の規模についてでございますが、現在計画しております最終処分場は、紀南地域の11市町村から排出される廃棄物を埋め立てるための施設でございます。区域外からの搬入はございません。また、規模につきましても、公社設立時のデータを基に想定をしておりますが、最終候補地が決まった段階で、最新のデータに基づき精査をすることとしております。

   県といたしましても、候補地となる地元の合意形成が図られるように最大限努力するとともに、紀南環境整備公社に対しても助言して参りたいと、このように考えておる次第でございます。



海南市の津波対策


[雑賀県議発言(要望)]

最後に、海南市の津波対策について要望を申し上げたいと思います。
 私は海南市は津波に弱い町であるとして津波対策、堤防の高さなどの問題をとりあげてまいりましたが、このたび、県としても対政府要望に取り入れられ、国土交通省からは、黒江湾を津波から守る大規模な工事についての概算要求が行われているとお聞きします。地元では対策協議会がつくられ、私も他のお二人の県議とともに顧問として協力させていただきたいと思っています。
 津波対策は、これだけでなく各地域の実情に合わせての対策が必要だとおもっています。

   県におかれましては、いっそうの推進を図っていただけるよう要望いたしまして、私の第一回目の質問を終わります。



もどる