2007年12月議会 決議案への反対討論  藤井健太郎


日本共産党県議団を代表して、和議第14号、和議第15号について反対の立場から討論します。
 和議第14号は、新テロ対策特別措置法の早期制定を求める意見書(案)です。
 新テロ対策特別措置法は、テロ対策特別措置法が失効したことを受け、政府が新たに国会に提出したもので、衆議院で可決、現在、参議院で審議がすすめられているものです。わたしたちは、この法案は、日米同盟を最優先させ、米国のすすめるテロ報復戦争への支援であり、憲法で禁じる集団自衛権の行使にあたるとして反対の立場を表明してきました。
 政府は、インド洋での「テロ対策海上阻止活動」を行う艦船に限定して燃料などの補給を行う、といってきましたが、国会審議の中で「複数の任務につく米軍艦船への補給を除外しない」と答弁、米軍のあらゆる作戦についての活動支援につながるものとなっています。
 また、テロ根絶にとっても有効な手段となっているのか、疑問に思うところです。この6年間、テログループに対し、空爆など戦争で対応したことにより、罪のない多くの市民が傷つきました。そのことが、アフガン情勢の泥沼化をつくりだしています。現在、アフガンではテロリストではない反政府勢力との政治的対話への道が模索され、アフガン国会は軍事作戦の中止を決議しました。日本の国際支援のありかたとして、軍事作戦への支援ではなく、和平の方向の支援を強めていくことが必要だと考えます。したがって、テロ報復戦争の支援につながる立法化には反対するものです。

   次に、和議第15号、道路特定財源の暫定税率の維持と道路財源の確保を求める意見書(案)についてです。

 道路は言うまでもなく、地域の産業や文化、住民の生活を支える社会資本、公共資本であり、整備の促進が求められています。和歌山県は、一般国道、県道、市町村道の道路改良率が平成14年4月で40.4%と全国46位と立ち遅れた状況となっています。また高速道路など県内の基幹道路建設の遅れが、医療機関への搬送の遅れや災害時には地域の孤立化を招く要因となることもあります。
 県内の道路整備をはじめ公共交通を守り発展させるための総合交通政策の推進が必要です。では、その財源をどこに求めるのか。意見書案は、10年間暫定税率を延長し、道路財源として確保することを求めています。道路整備のための道路特定財源は、国道と都道府県道の舗装率が5%しかなかった半世紀前に「臨時措置法」としてスタートしています。現在では、舗装率が97%を超えており、目的は一応達したこととなります。
 道路整備のための特定財源方式が継続されることにより、暫定税率が上積みされ今日にいたっています。暫定税率の維持と原油高騰もあいまって、住民生活や中小商工業者の営業が直撃されているときに、今後10年間、暫定税率を維持しつづけることについては、県民の理解を得られるものではありません。
 地方での特定財源は、本県においては97億円で、国庫支出金、臨時交付金をあわせて254億円となっています。これは、道路経費の半分にもみたず、道路経費の53%は一般財源がになっています。
 また、これまでの道路整備の状況を見ていると、特定財源方式が、地方の道路整備の拡充にストレートにつながっていないことも指摘できます。国の道路予算では「三大都市圏環状道路の整備」が最優先され、大都市への人口や富のいっそうの集中を招き、地方都市での道路建設や道路改築、維持補修などが減らされ、地域の生活に密着した道路予算が削減されています。
 道路特定財源は、国が3兆4千億円、地方で2兆2千億円が確保されていますが、国の公共事業予算の抑制で、特定財源が余り政府自身が見直しを言い出しているなかで、このたび、国土交通省が発表した「道路の中期計画」では、税収を超える事業計画となって、税収にあわせた道路づくりが今後も続けられる仕組みとなっています。その中には、本州四国連絡橋公団がかかえる3兆5500億円の債務のうち、1兆3400億円を国の負担で返済するという、過大な事業計画が招いた赤字の穴埋めにも使われています。
 この道路特定財源のあり方・使われ方こそが問題なのであり、道路特定財源方式と暫定税率がこのまま続かなければ和歌山の道路整備は成り立たないという論法では、現行特定財源下での本県の道路整備の遅れは説明がつきません。
 真に必要とする道路整備の予算は一般財源とし、本県が必要とする道路予算について、道路特定財源の枠にこだわらず、国の措置を求めるともに、地方財政を切り捨てる構造改革路線の転換を求めていくことが必要だと考えます。
   以上で、反対討論を終わります。



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