2008年6月議会反対討論   藤井 健太郎

2008年6月27日

 日本共産党県議団を代表して、今議会に上程された議案第79号、知事専決処分報第6号、報第7号、報第8号の4件と前議会からの継続案件となっていた議案第66号について反対の立場から討論します。
 今議会に上程された4件については、国の地方税法等の一部を改正する法律の改正や厚生労働省告示による診療報酬の改定にもとづくものでありますが、見過ごすことのできない、またかねてより異議を論じてきていたものでもあります。
 議案第79号は和歌山県税条例の一部を改正する条例であり、その中には、平成21年度から上場株式の譲渡所得と配当所得に対する軽減税率について、譲渡所得については500万円まで、配当所得については100万円までの部分について所得税・住民税合わせて10%の軽減税率を2年間延長し、株式譲渡所得で発生した損失分を、配当所得と合算できる損益通算制度を新たに設ける条項が含まれています。過去3年以内に譲渡損失がある場合には、その分を配当所得から差し引いて税額を減らすことができることとなります。
   平成15年から始まった証券優遇税制ですが、それ以前は配当所得は他の所得と合算して累進課税のかかる総合課税であり、譲渡所得は分離課税ではありましたが、所得税・住民税合わせて26%の税率でした。証券優遇税制は15年から19年までの5年間、譲渡所得、配当所得とも分離課税とし、所得税・住民税合わせて本則を20%として、それをさらに10%に軽減する措置ではじめられました。それが今年1年延長され、21年度からは形を変えて継続されることとなります。平成15年以前の税制に比べ大資産家により有利に働くことにちがいはなく、大資産家優遇税制として反対するものです。

 専決処分された報第6号も、県税条例の一部を改正する条例であり、そのなかには、道路特定財源である自動車取得税、軽油引取税の暫定税率を10年間延長する条項が含まれています。
 これは、暫定税率維持を定めた租税特別措置法改定案と税収を道路整備にあてることを定めた道路整備財源特例法の双方とも失効し、一時、暫定税率がなくなり、一般財源化にもなっていたものですが、衆議院の再議決により、復活することになったものです。わたしたちは、これまで道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止を求めてきた立場から承認することはできません。
 専決処分報告第7号と第8号は、精神保健福祉センター及び県立こころの医療センター、公立大学法人和歌山県立医科大学での厚生労働省告示による改定診療報酬での算定を行うものとなっています。
 今回の診療報酬改定は後期高齢者医療の診療報酬について特化した内容を含むものであり、そのなかには終末期の延命治療等の方針について話し合った記録をとどめれば報酬を算定できるなど、本人の意思表示の問題や治療の中止につながりかねないとの批判から見直さざるをえなくなっているものや重度障害の原因が脳卒中後遺症や認知症の場合、低い包括点数での入院基本料の算定になるなど年齢によって治療が差別されることとなるものがあります。
 医療保険で提供される医療内容が年齢によって差別されることがあってはならないと考えるものです。

 2月議会で継続審査となっていた議案66号について。中小企業高度化資金融資など回収不能となった債権を放棄するものです。その額が26億円にものぼり、県の説明不足とされ継続審査となっていました。今議会で、果たして県民の納得できる説明となっているのでしょうか。
 今議会までの審議を通じて、貸付時の審査が適切であったのかという点で、多くの疑問や不自然な問題が指摘されました。特に回収不能額が最大のプラスパフーズは24億円もの融資を受けながら、わずか1%しか返済できずに経営破綻し、土地と建物を競売しても1億円余にしかならず、22億4千万円もの巨額な焦げ付きが発生しています。この事業者への融資については、土地や建物が相場の2倍を越える高値での取引であり、しかも、それが親子で売買されたこと、担保価値や返済能力・保証能力の不足、ずさんな事業計画、県庁への餞別問題、出資比率や競業禁止規定ならびに融資前の旧債務の返済など、この融資にかかる要件が果たして適正であったのか、などなど多くの点が指摘されました。
 これに対し、県の再調査の結果報告では、融資にあたっての審査会が開かれてなかったことや県庁職員の協議でかえられたこと、またその議事録もないこと、資産調査が十分なものであったかどうか疑問が残ること、融資資金がプラスパフーズを迂回して息子の会社に資金移動したことなどを認めながら、県の融資手続きについては適切であったと結論つけ、事業者から県庁への餞別問題も調査したがわからなかったということです。
 これらのずさんとも思える融資が行われた背景として、同和行政に対する県の姿勢に問題があったのではないがという指摘に対しても、明確な説明を聞くことができませんでした。
 外部監査でも指摘されたように、貸付資金の原資が県民の税金を中心としている以上、債権放棄の前提条件として、県民の納得のいく説明と県の責任を明確にすることが求められています。しかし、今回の調査結果報告では、手続きは適切であったとするばかりで、その根拠は示されておらず、説明責任を果たせたといえるものではありません。したがって、26億円もの巨額の債権放棄は認めることはできません。


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