2008年6月議会 奥村 規子 一般質問と答弁
2008年6月19日
− 項目 −
1. 後期高齢者医療制度について
(1) 実施後の県民の声をどのように受け止めているか
(2) 国に制度の廃止をもとめることについて
(3) 県民の苦情と対応について
(4) 高齢者の健診について
2. 安全安心の学校給食と実施率の向上について
(1) 食育推進計画の推進と今後の課題について
(2) 食育と安全安心の給食の拡充にむけて
(3) 物価高騰と給食費について
3. 妊婦健診の公費負担の拡充について
(1) 市町村における実施率の向上について
(2) 第1子から健診の無料化を拡大することについて
4. 実効ある温暖化防止策について
(1) 温暖化対策に対する基本的な考え方
(2) 目標に対する総排出状況について
(3) 多量排出事業者の排出削減
(4) 多量排出企業の排出業者の届出制度と公表について
(5) 新エネルギーの導入の取り組みについて
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1.後期高齢者医療制度について
(1)実施後の県民の声をどのように受け止めているか
《質問》 奥村規子 県議
議長のお許しを得ましたので質問に入らせていただきます。
1つ目は後期高齢者医療制度についてです。
この4月1日から、75歳以上を国民健康保険などから切り離し、別建てにする後期高齢者医療制度が始まりました。
あるご夫婦のお話ですが、夫は88歳、妻は86歳で、夫の方は戦争に2度も召集され、シベリアに抑留されました。妻は従軍看護婦として召集されてインドネシアへ抑留され、戦前・戦中はもちろん、戦後も『お国』の復興を願って死に物狂いで働いてきたお二人です。後期高齢者医療の保険証を受け取ったときは、悔しくて涙がとまらなかったと話してくれました。はじめてこの制度の中身を知ったとき、「年寄りはもう、あんまり医者にかからんでええ、国のために、はよ、死んでもろたら助かるといわれているようで仕方がない」と思ったと言います。今、高齢者の暮らしは大変厳しい状況にあります。「国民生活基礎調査」によると、高齢者のみの世帯では、その43%が年収200万円以下で、100万円未満も17%にのぼります。「高齢者はお金持ち」といった宣伝もなされていますが、貧困な年金制度のもと、国民年金しか受けていない人で受給額は平均で46,600円に過ぎず、月2,3万円や無年金の方がたくさんいます。少ない年金の上に、年金課税の強化、住民税非課税限度額の廃止など税制改悪が拍車をかけ、さらに、介護保険料の天引きに加え、今度は後期高齢者の医療保険料が天引きされます。先のご夫婦の場合は足腰が悪いので、通院にはタクシーを使わなければ医者にはいけません。高血圧と骨粗鬆症で窓口負担もいります。時間があっても楽しみに使うお金など出てきません。じっと静かに息を潜めて暮らしているのが現状です。「一体何のために生きてきたのか、年をとって大事にされるどころか国から棄てられた思いがする」といわれていました。この気持ちはお二人だけではないと思います。多くの方が感じていることではないでしょうか。
なぜこんな思いになるのか。後期高齢者医療制度が75歳以上の人を他の世代から切り離し、際限のない負担増と差別医療を押し付ける制度だからです。保険料は2年ごとに改定され、医療給付の患者の増加、重症化、医療技術の進歩などで、給付が増えれば保険料にはねかえる仕組みになっています。長生きを応援するというものではありません。
4月の診療報酬改定の「後期高齢者診療科」による包括制の導入、「後期高齢者退院調整加算」、「後期高齢者終末期相談支援料」などが新設されました。これは、75歳以上の人は一人のお医者さんにしか掛かれなくしようとしていることや、入院しても「退院支援計画をつくるので早く退院してくださいよ」と迫られ、余命が短いと判断された患者さんは、一枚の紙に点滴や人工呼吸器、蘇生術などを「希望する」か「希望しない」かの印をつけると、病院に2,000円が支払われるという内容のものです。これはさすがに見直しが検討されるようですが、たいへん乱暴で冷たいやり方ではないでしょうか。お年寄りの命を差別する、恐るべきものだと異義を唱えるお医者さんも増えています。
また、75歳で線をひくことで健診でも差別され、人間ドックを受けられないなどの問題もおこっています。
知事にあらためてお聞きします。後期高齢者医療制度が4月からはじまったなかで、高齢者の皆さんの声をどのように受け止めていますか。
《答弁者》 知事
これにつきましては、いわゆる後期高齢者医療制度、長寿医療制度の施行前から、市町村と後期高齢者医療広域連合、県が連携いたしまして、われわれとしては、広報誌への掲載とか、県内の全世帯にリーフレットを配るとか、市町村において住民への説明会を開催するなど周知に努めてまいりました。地区住民や団体等への説明会は、実は、たくさん行われておりまして、広域連合、県が実施したものと合わせて、数えてみますと206回になっております。
後で福祉保健部長からご説明があると思いますけれども、これについてですね、我々としては十分やってきたというつもりなんです。しかしながら、その現に、それが報いられていないというところも事実であって、現にそんな話は聞いてなかったぞとかですね、なんということだというような話がいろんなところから出ているということもまた事実であると思います。そういう意味では、この努力が不十分であったかなというような感じもいたしますし、それから、現在出ている制度、いろんな問題点、お気持ち、そういうものについても、きちんとくんでいかないといけないかなというふうに思います。
(2)国に制度の廃止をもとめることについて
《質問》 奥村規子 県議
国に、75歳で線引きをする後期高齢者制度の廃止をもとめるお考えはありませんか。
《答弁者》 知事
これについてはですね、いろんな苦情があると、あるいは、情けないというお気持ちもあるということは十分承知しておりますけれども、一方、責任のある者、これは何も県知事だけじゃなくて、国政を議論する方々もみんなそうだと思いますけれども、これをやめたらどうだとか、ということについてですね、きちんとした答えがないと、なかなか話は前に進まないということではないかと思います。
従って、私に関しましては、午前中、中議員に申し上げましたように、これについては、こういう形にすれば、人々の心ももっと良くなり、それから、制度も維持できるということについて、自分としては確信が持てていないので、ああしろ、こうしろということのは、差し控えたいと思っている次第でございます。
一方、本件の問題が大変重要であるということも認識しておりますし、それから、国の方でも、これは改善していこうということについての検討も進んでいくというふうに聞いておりますので、基本的には、それを注視し、必要があったら、何か発言していこうと思っております。
(3)県民の苦情と対応について
《質問》 奥村規子 県議
次に、後期高齢者医療制度に対する県民からの苦情や対応について、福祉保険部長にお尋ねします。和歌山民医連では6月4日から、75歳以上の方を対象に100名近く聞き取り調査をされたということです。その結果、制度の内容を知らない人が半数近くおられます。保険料が高くなったと答えた方も半数です。
県、市町村、広域連合での説明会の開催状況や、この間の苦情の件数、内容はどのようなものがありますか。
《答弁者》 福祉保健部長
本年4月からの長寿医療制度の施行前から市町村と後期高齢者医療広域連合、県が連携し、広報誌の掲載や、県内の全世帯にリーフレットを配布、各市町村において住民への説明会を開催するなど周知に努めてまいりました。
地区住民や団体等への説明会は、先ほど知事から答弁させていただきましたが、広域連合、県が実施したものも合わせまして、206回行ってございます。
また、被保険者等からの市町村、広域連合、県への相談や苦情などのお問い合わせ件数は、4月1日から5月16日までの間で、7,972件となっており、内容的には、被保険者証に関すること、制度に関すること、年金からの保険料徴収に関することなどでございます。
(4)高齢者の健診について
《質問》 奥村規子 県議
最後に、高齢者の健診について福祉保障部長にお伺いします。
老人保健法が廃止され、健診の実施主体は国保などに移り、ここでも75歳以上の高齢者は対象からはずされました。75歳以上の高齢者の健診は県広域連合の場合、自己負担600円で基本健診を実施することになっていますが、「糖尿病や高血圧など治療している人はご遠慮ください」と申込書にかかれています。また医療機関で受けることになっているため、従来のようにバスなどでの集団健診が受けられません。健診バスが来たときに、75歳以上の人はだめです、ということになるわけです。これまでのように、集団検診も受けられるように働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長お答えください。
《答弁者》 福祉保健部長
後期高齢者の方にも、糖尿病等の生活習慣病を早期発見するための健康診査は重要であることから、後期高齢者医療広域連合において、健康診査が実施されます。
広域連合から各被保険者に健康診査の案内文書が送付されており、希望者は、広域連合が契約してございます県内641の医療機関において、健康診査を受けることができます。契約している医療機関は、県内全ての市町村をカバーしており、県内契約医療機関のどこでも受診することができることとなってございます。
《再質問》 奥村規子 県議
知事に再度質問をさせていただきます。
県民の声をどのように受け止めているかという点で、さきほどは苦情が7千件以上あったと部長からも答弁をいただいたんですが、そのなかでなんといっても保険証の苦情が多いというふうに言っていただいたんですが、その怒っている苦情というのを、知事は保険証の何に対して怒っているということで受け止めているんでしょうか。
《答弁者》 知事
ただ今のご質問に対する直接のお答えになっているかどうかわかりませんが、具体的に私の考えを申し上げますと、保険証の発給の仕方とか、手続きの話というのがたくさん来ています。その手続きについて、例えば発給の仕方が分かりにくいというような問題がひとつあることに加えて、聞いて(質問をして)おられませんけれども少し申し上げますと、その制度全体に対する理解の不足みたいなものが反感になっているということを、先ほど申し上げた次第でございます。
《再々質問》 奥村規子 県議
手続きのことでということで言われたんですが、私はやはり、なぜ75歳で線を引くのかという点で怒っていると思うんです。保険証の問題も含めてですが、さきほどの健診の問題でも75歳以上になれば、今まで自治体でおこなっていたのを今年はなんとか広域連合でするとか、さきほどの診療報酬の問題でも、75歳以上の人に対する診療報酬制度を別立てにつくるなど、そういったことをなぜ75歳で区切るのか。やはり個々の人間として、75歳でも大変お元気なかたもいらっしゃるし、また、80歳、90歳で本当にお元気に頑張っているかたもいらっしゃいますし、人の命、人のことというのは個々にそれぞれ個性もありますし、別々だと思うんです。それを、75歳で線を区切るところに対する怒りがあるんじゃないかと思っているんです。今度、そういったことが県民の気持ちにたって怒っている、これは歓迎する制度だと言うかたもいらっしゃるかもしれませんが、7千以上のかたのお気持ちを含めて、いま国会の前でも、やはりこの制度はおかしいということで座っている状況もあるんですから、人の命に対して粗末にしているところについて、どうお感じになっているかと私はお聞きしたかったんです。その点について、ぜひご答弁いただきたいと思います。
《答弁者》 知事
まず第一に、質問の最初に、「あなたは手続きについて、問題があるというふうにお答えですが」と仰いましたが、議事録をチェックしていただきますと、「聞かれてもいないのですが申し上げます」と言って違うことをお答えしておりますので、手続きについて苦情が多かったことは事実だけれども、多分お気持ちとしては、制度全体に対する理解の不足によって、制度全体に対する反感というのがお気持ちではないか、というふうに申し上げたつもりでありますので、まずそれをご確認のうえ申し上げたいと思います。
その次に、75歳のところの話がありました。制度というのは、何かどこかで線を引かないといけないものですから、その75歳というのが今回の制度のひとつの区切りになっています。
しかしながら、だからといってこの制度が75歳以上の人を全く見捨てるということを考えた制度であるとは、私は思いません。奥村さんはそう思っておられるかもしれませんが、私はそうは思いません。ただ、制度というのは、例えばお年寄りがどんどん増えていくなかで、今の社会保険、健康保険の制度というのは、若い世代が払って、お年寄りの方がたくさん使うという事態にどうしてもなっていることは事実であって、それを若い世代がこれ以上負担できるかなということを考えて、全体を今のあの姿にしてみたのだと考えています。それについて、制度をつくるときの議論があり、その後、制度についての理解をわれわれも求めてきたつもりでありますけれども、現にこれについて聞いてなかったぞという人がたくさんいるということは、われわれの説明不足も少しあったかなと。
それから全体として、与党も野党も政府も含め、いろいろな手直しが必要だというふうに考えておられるようですから、その議論にわれわれも参加して、それで皆さんのお気持ちが何となくまとまり、それから制度が持続可能であるということになるよう、日本国全体としてつくっていくことにわれわれも協力していきたい、そんなふうに思っている次第であります。
2.安全安心の学校給食と実施率の向上について
(1)食育推進計画の推進と今後の課題について
《質問》 奥村規子 県議
2つ目は、安全安心の学校給食と実施率の向上についてです。
近年、生活環境の変化などから「食」を大切にする心の欠如、栄養バランスの偏った食事や不規則な食事などに起因する生活習慣病の増加、食品の安全性への不安、伝統ある食文化の喪失など、食に関するさまざまな問題が指摘されています。
このような状況の中で国は、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むことができるようにするため、平成17年7月に「食育基本法」を施行し、食育を国民運動として推進することとしました。毎月19日が「食育の日」と定められ、今日がその日でもあります。当県においても食育推進計画が平成19年3月に策定され、計画期間は平成19年度から23年度となっていますが、現在の取り組み状況とこれからの課題について農林水産部長にお尋ねします。
《答弁者》 農林水産部長
本県では、地産地消を進めるという観点から、平成16年に食育推進協議会を設置し、食育に取り組んで参りました。
その後、食育基本法が制定されたことに伴い、平成18年9月に、県条例に基づく「県食育推進会議」を設置し、昨年3月に「食べて元気、わかやま食育推進プラン」を策定いたしまして、現在、この計画に基づき、関係部局や教育委員会、各種団体等と連携を取りながら、学校給食など様々な取組を進めてございます。
この間、10月を食育推進月間と定め、昨年は、県民の友での特集記事や、テレビ、ラジオなど広報媒体を利用した啓発を集中的に行ったほか、平成18年度からの3年間で、県下延べ188の小学校において、県特産のみかんのポット苗を配布し、栽培の体験を行い、子ども達に和歌山の農産物や食に関する知識や関心を広げてもらう取組を行ったところでございます。
今後は、こうした取組に加え、全ての市町村において、食育推進計画が作成・実践されるよう支援するとともに、食育ボランティアの方々や関係団体との一層の連携を図り、幅広い県民運動として食育を推進して参りたいと考えてございます。
(2)食育と安全安心の給食の拡充にむけて
《質問》 奥村規子 県議
次に、食育と安全安心の給食の拡充にむけてお尋ねいたします。
食品偽装や中国餃子事件など食の安全について関心が高まっている中、カロリーベースでの食料自給率が39%、和歌山県は29%という低さで、食に対する不安が大きくなっています。特に子育て中の保護者の皆さんは、安全安心の給食を強く望んでいます。一方、和歌山県の公立学校給食実施率は平成18年度で小学校90.7%、中学校51.8%で、とくに中学校は全国平均90.8%に比べて大きく遅れています。そもそも学校給食は、戦後の食糧難に不足しがちな栄養を給食で補うことを目的としていましたが、子どもの食生活の乱れが指摘され、今後は給食を通して子ども達に食の大切さや、文化、栄養のバランスなどを学ぶ「食育」を重視するものに転換されています。全く実施されていない、和歌山市の中学校の保護者の皆さんから給食実施を期待する声は大きいと考えます。また、食育を重視するなら、栄養職員が献立し、地域の協力も得て地場産品を活用していくこと、そうした取り組みを保障する給食調理場の方式を考えていくべきではないでしょうか。当県として低い給食実施率をどう高めるのか、安全安心の食材活用と給食調理場方式をどのように考えているのか、教育長にお尋ねします。
《答弁者》 教育長
学校給食につきましては、児童生徒の心身の健全な発達を願って、学校教育活動の一環として実施しておるところでございます。この学校給食を「おいしく、楽しい」ものにすることによって、子どもたちや保護者の食育への関心が、より一層高まるものと考えております。
学校給食の実施率につきましては、昨年度、田辺市と紀の川市において実施校が拡大するなど、徐々に向上はしてきております。引き続き設置者である市町村教育委員会に働きかけてまいりたいと存じます。
また、調理方式につきましては、自校給食、共同調理場方式、全面委託方式等がございまして、それぞれのメリット、デメリットを踏まえ、各市町村が実状に応じて採用しております。なお、いずれの場合も、学校給食法に基づく学校栄養職員を配置致しまして、安心・安全な学校給食の実施に努めているところでございます。
《質問》 奥村規子 県議
栄養教諭が紀北・紀中・紀南地域に1名ずつ配置されています。栄養教諭というのは、食に関する指導と学校給食の管理を一元的に行い、学校における食育を推進する役割を担うものとして、平成17年度に文部科学省で創設されたものですが、今後の増員計画を教育長にお尋ねします。
《答弁者》 教育長
栄養教諭につきましては、配置校において、食育の中心として授業を行ったり、農業体験や生産者との交流を企画するなど致しまして、教職員や保護者、児童生徒の食に対する意識の向上と言った成果を上げております。今後とも、厳しい財政状況の中ではございますが、各市町村や学校のニーズに応えられるよう努力してまいりたいと存じます。
《質問》 奥村規子 県議
次に、県の食育推進計画には学校給食における地場産物の使用割合を増加させるとあり、農業振興の一つとしても、県品産を大いに活用できるように推進していくことが求められますが、県としてどのように取り組もうとされているのか、農林水産部長にお尋ねします。
《答弁者》 農林水産部長
すでに地場産品を積極的に活用する新しい取り組みがみられるようになってきてございます。
例えば、紀の川市におきましては、地元で作った安全・安心な野菜や果物を子供たちに食べさせたいという生産者グループの思いもございまして、給食センターへの地元食材の供給が始まりました。また、現在、生産者あるいはJAなどの協力によりまして、学校におきまして子供たちの米あるいは野菜づくり体験等の指導も行われているところでございます。
また、和歌山市内におきまして、全市立小学校に県内産の米を供給するとともに、生産者などが地場産の野菜などを小学校に供給いたしてございます。
長期総合計画におきましても地域の資源を活かした食育を推進することを記載してございます。今後も、生産者はもちろんでございますが、JA、学校、教育委員会などとの連携を図りながら、学校給食への地場・農産物の供給拡大に努めて参りたいと考えてございます。
(3)物価高騰と給食費について
《質問》 奥村規子 県議
最後に、物価高騰と給食費の問題についてですが、原油・食料品の高騰が給食の費用にも大きく響いています。県下の給食費はどのようになっているでしょうか、教育長にお尋ねいたします。
《答弁者》 教育長
本年4月に調査致しましたところ、10市町において、一部または全部の学校で値上げがございました。各市町村あるいは学校では、食材や献立の工夫等により努力をしていただいておりますけれども、原材料費の高騰でやむを得ない状況がございます。給食費の動向につきましては、今後とも注意深く見守ってまいりたいと存じます。
3.妊婦健診の公費負担の拡充について
(1)市町村における実施率の向上について
《質問》 奥村規子 県議
3つ目は、妊婦健診の無料化の拡充についてです。
新日本婦人の会が妊婦健診受診に関するアンケートをおこなっていますが、その結果では3割の人が出産異常があったと答えています。「逆子」「早産」「貧血」「切迫」「前置胎盤」など複数記入している人も少なくありません。
母体だけでなく胎児の異常を記入した人もおり、こうした異常は健診を受けているからこそ発見でき、健診を受けないで出産することの危険性があらためて浮き彫りになってきました。妊婦健診をきちんとうけると10万円前後費用がかかり、2人目の時はあまり行かなかったら、8ヵ月目に切迫早産で出産、妊娠後期になるにつれて受診回数が増えるのに、無料健診が終わり、毎週のように数千円の費用がかかり、さらに産休などで収入が少なく不安、という声が聞かれます。そこで福祉保健部長にお尋ねします。
現在5回分は公費負担をということで、市町村に国から交付税措置をされていますが、県内で実施している自治体の数は全国最下位です。県からも各市町村に働きかけをされていますが、実施できない理由をどのように把握されていますか。
《答弁者》 福祉保健部長
市町村事業であります妊婦健診については、これまでも機会あるたびにその拡充を働きかけてきたところでありますが、本年度から、実施予定を含め、6町が5回分の公費負担を実施することとなってございます。
しかしながら、本年4月の国の調査によりますと、全国の市町村における公費負担の平均実施回数5.5回に比べ、本県では2.6回と低い水準にとどまっており、今後、より一層の拡充を図る必要があるものと認識してございます。
平成19年度から国において地方財政措置の拡充がなされているところでありますが、県内の多くの市町村では、財政事情が非常に厳しいことを実施できない理由としてございます。
県といたしましては、人口減少や少子・高齢化社会が進展する中で、地域に活力を与えるためにも、少子化対策の充実は、大変重要な課題であると認識してございまして、市町村にも課題認識を共有していただき、少子化対策を進め、母体や胎児の健康安全確保を図るためにも、少なくとも妊婦健診5回分については公費負担を行っていただくよう、今後ともねばり強く各市町村に働きかけてまいります。
(2)第1子から健診の無料化を拡大することについて
《質問》 奥村規子 県議
第1子から、国が言っている出産までの健診の望ましい回数14回を無料健診できるように検討していただきたい。若い世代に貧困や経済的困難が広がる中、安心して妊娠出産できる施策の前進が必要です。
《答弁者》 福祉保健部長
現時点では、5回分の公費負担を県内市町村で実施していただくことが先決・肝要であると、このように考えてございます。
4.実効ある温暖化防止策について
(1)温暖化対策に対する基本的な考え方
《質問》 奥村規子 県議
最後に4つ目の、地球温暖化防止対策についてです。
まず、知事にお尋ねします。
昨年のIPCCの第4次評価報告書での警告などにより、気候変動が人類の未来を奪いかねない問題だという認識が急速にひろがり、2050年には世界全体の温室効果ガス排出量を半減させるという目標が、世界の合意となりつつあります。このもとで、日本が当面の京都議定書での第一約束期間の目標を達成するための緊急対策をとることや、さらにその後の中期目標を設定し、責任ある対応をとることが求められています。
県では地球温暖化対策条例、2010年度を目標年度とする地域推進計画を策定していますが、その目標達成にむけての取り組みと、さらにその後の計画策定が求められていると思います。知事は昨年2月議会で、この京都議定書の改定に政府の一員として参加し、この間題に関する危機意識も大変あると答えられていますが、この問題についての基本的立場をお示しください。
《答弁者》 知事
温暖化対策に対する基本的な考え方については、気候の変動をもたらし、生態系への悪影響や人間への健康被害、自然災害の増加など、その影響の大きさ深刻さから見て、人類の生存基盤に関わる最も重要な問題の一つでありまして、喫緊に取り組むべき課題であると考えております。
言うまでもなく、地球温暖化の問題は一国や一地域あるいは一企業、そういうものだけで解決できるものではなくて、全世界が協働しなければ成功を望めるものではありません。「全員参加」型の枠組みをつくるということが何よりも大切であり、その上で実効性のある仕組みをつくっていくということが必要な状況にあると考えております。
「全員参加」という点では、地球規模でもそのとおりでありますけれども、本県といたしましても、我が県の中で「全員参加」型の対応が図られるように、県民の皆様方に働きかけてまいりたいと考えております。
(2)目標に対する総排出状況について
《質問》 奥村規子 県議
環境生活部長にお尋ねします。
この推進計画の目標が、温室効果ガス排出を90年度比3.9%減、森林吸収量6.7%を含めて10.6%削減としていますが、現在の排出状況はどうなっていますか。排出量の把握はどのようにしていますか。
《答弁者》 環境生活部長
議員御指摘のとおり、本県では、平成18年3月に「和歌山県地球温暖化対策地域推進計画」を策定し、2010年度の温室効果ガスの県全体での排出量を基準年度である1990年度比で3.9%削減する目標をかかげ、太陽光発電をはじめとする新エネルギーの導入など、積極的に取り組みを進めてございます。
本県における2004年度の総排出量は約1,756万トンと、国全体では基準年度比約7%程度増加しているのに対し、0.8%の削減と試算をしてございます。
なお、先日公表された、国全体の2006年度の温室効果ガス排出量は、基準年度比で6.2%増加しておりまして、その内訳は、産業部門が4.6%減少しているのに対し、運輸部門16.7%、業務その他部門39.5%、そして家庭部門が30.0%それぞれ増加している状況であり、本県も同様の傾向を示しているものと考えてございます。
(3)多量排出事業者の排出削減
《質問》 奥村規子 県議
日本全体では、温室効果ガスの8割は産業部門での排出であり、県内でも2003年度の排出実態をみると、家庭系は自動車を含めても約14%で、圧倒的には産業部門からの排出です。
3月末に、地球温暖化対策推進法にもとづく温室効果ガスの大口排出事業所ごとの排出実態がはじめて公表され、県内では対象となる74事業所の、2006年度の温室効果ガス排出量が明らかとなりました。しかしこのうち、住友金属和歌山製鉄所と海南工場は、「非開示」とすることを経済産業大臣に請求し、公開されませんでした。環境市民団体の気候ネットワークがこの「非開示」とした事業所33の排出量を推定していますが、それによれば、住友金属は多量排出者の中でもとびぬけて多いものです。その推定値をあてはめてみると、この多量排出事業所による排出量が県内の産業部門の排出量のおよそ97%をしめるほどになっています。つまり、温室効果ガス削減では産業部門、なかでも多量排出者の削減をどうすすめるか、このことがカギとなっています。これにどう取り組んできたのか、また今後の方向をどう考えているのか、お聞かせください。
《答弁者》 環境生活部長
本県では、平成19年9月に「和歌山県地球温暖化対策条例」を施行し、多量に排出する事業者に対し、温室効果ガス削減の排出抑制計画・排出状況報告の提出を義務付け、産業部門についても積極的な地球温暖化対策に取り組んでいるところでございます。この条例によりまして、現在、6月末までを期限として、初めての排出状況報告書等の提出を受け付けているところでありまずが、今後とも多量排出事業者の取り組み動向を注視するほか、温室効果ガスの排出削減の実現を図ってまいりたいと考えてございます。
(4)多量排出企業の排出業者の届出制度と公表について
《質問》 奥村規子 県議
また、県条例により多量排出事業者に、排出状況・削減計画・実績報告の提出を義務づけています。全国の算定・報告・公表制度に関して、全国知事会エネルギー・環境問題と区別委員会地球温暖化対策専門部会というところが政府に要望を出していますが、このなかで、「この制度が国の事務となっているが、地方自治体としても温暖化対策をきめ細かく推進するため、事業者ごとの報告データを県に提供するとともに公表すること」と要望しています。多量排出事業者のデータが地方自治体の温暖化対策にとって必要であるから、これを提供し公表せよという要望です。和歌山県はすでに条例によって県内の多量排出事業者の計画・報告制度をつくっており、国に頼らなくてもわかるわけです。温暖化対策を考えるうえで、また国民的な課題ですから、まず今の排出実態がどうなっているのか情報を公開することが必要で、県全体を左右するような多量排出者を含めて、その排出実態と各事業者の削減目標に対する到達状況を公表すべきだと考えますが、いかがですか。
日本全体でも県でも、総排出量削減の目標を担保するためには、多量排出者の削減を公的協定で決めるといったことが必要ではないかと考えます。先にあげた知事会専門部会からの要望でも、削減目標の定量化及び協定等による実効性の担保など、抜本的な方策を講じることを求めています。これまで自主計画まかせにしてきたために、むしろ排出量が増えているのが実態です。県でも各事業者との間で、目標の設定とその推移を明らかにするよう求めるべきと考えますが、いかがですか。
《答弁者》 環境生活部長
個々の事業所ごとの公表につきましては、地球温暖化対策条例において制度としての定めはございませんが、定期報告の届出等により収集した資料等をもとに、県全体での温室効果ガスの排出量把握に努め、今後ともその概要を公表してまいりたいと考えてございます。
(5)新エネルギーの導入のとりくみについて
《質問》 奥村規子 県議
最後に企画部長にお尋ねします。
温暖化防止対策として、新エネルギーの導入も必要です。先日、御坊市にあります日高港新エネルギーパークを訪ね、太陽光発電や風力発電などの設備を視察して参りました。また県内でも風力発電の設置も進んでいるようですが、県として新エネルギーの導入にむけ、どのような目標でどう取り組んでいくのかお聞かせください。
《答弁者》 企画部長
県といたしましては、長期総合計画におきまして、太陽光発電や風力発電、バイオマスエネルギーなどの新エネルギー利用を今後10年間で2倍にすると、そういう目標を掲げ、取り組んでいるところであります。
具体的には、太陽光発電の導入促進を行うため、今年度、住宅用太陽光発電設備導入促進補助制度を創設いたしました。また、木質バイオマスの活用につきましては、原料の運搬コストがかさみ採算性の確保が困難、そういう大きな課題がございますが、他府県の事例も参考にし、実用化に向けた検討を進めて参りたいと考えております。
引き続き、新エネルギー導入促進に取り組んで参りたいと考えております。
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