2008年6月議会 雑賀 光夫 一般質問と答弁

2008年6月20日







− 項目 −

1.   災害対策などについて
(1)「危険ため池」調査と最近の集中豪雨で起こった問題
(2)学校の耐震対策と施設整備
  ・小中県立学校の耐震対策について
   ・南紀支援学校の教育環境について

2.   包括外部監査結果報告の受け止め方
(1)外部監査の意義、外部監査人選任の方法について
(2)14年度包括外部監査報告についての受け止めと検討
(3)19年度包括外部監査報告についての受け止めと検討

3.   旧美里町の「裏金問題」
(1)県職員の関与として、どういうことが明らかになったのか
(2)こうした問題がおこってくる背景をどう考えるか

4.「類似ラブホテル」について
(1)その実情をどう認識しているか
(2)自然博物館周辺は、ラブホテルの許可ができるのか。そこにあるホテルの実態はどうか
(3)類似施設の実態把握と指導について

5.テレビ放送の地上デジタル化にかかわって
(1)県内の難視聴地域対策はどこまですすんだか
(2)ギャップフィラー方式での「電波利用料」について
(3)難視聴地域以外では、混乱はないのか
(4)低所得世帯への支援について

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1.災害対策などについて

《質問》 雑賀光夫 県議
   議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
   第一の柱は、災害対策についてであります。

(1)ため池調査と最近の集中豪雨

   第一点として「危険ため池」調査と最近の紀ノ川筋での集中豪雨にかかわっておこった問題についてお伺いします。すでに一般質問第一日に、お二人の議員がとりあげられ、知事および農林水産部長から答弁がありましたので、重なる部分は割愛して、すこし違った面から問題を提起してみたいと思います。
   私は、何回か、危険ため池の調査と安全対策についてとりあげてきました。その際、私は県がおこなってきた「ため池調査」を評価してきました。大きな事故があってから安全点検が行われることが多い中で、事故が起こらないうちに数百箇所にものぼるため池の安全点検をしようというものであったからです。同時に、従来の市町村からの申請では、「危険ため池」としてリストアップされていない池であっても、調査してみると危険度が高い池があったことも指摘し、注意を喚起してきたところであります。
   先月、24日夜から25日未明にかけて、紀の川筋を中心に集中豪雨を襲った次の日、私は岩出市の市会議員といっしょに那賀振興局にお伺いし、状況を聞きました。普通なら現地に案内していただくところですが、ごった返しているときでしたので、案内は遠慮して、自分たちだけで現地に行き、住民の皆さんの声もお聞きしてきました。知事も現地においでになって、原状回復を約束してくれたと住民の方からお聞きいたしました。
   お二人の質問と重ならないところで私が注目しましたのは、これまで行われてきた「ため池の安全点検」との関係がどうであったのかという問題でございます。紀の川市の松池・桜池の場合は、決壊寸前までいったあぶない事例でした。その松池は「ため池調査」の対象にはなっていて第一次調査が行われていますが、危険度は40ということで、第二次調査・ボーリング調査にはまわされていません。危険度50以上の池から、第二次調査にまわされているわけです。桜池の方は、第一次調査の対象にさえなっていなかったのです。そんな池が決壊の危険にさらされたわけでございます。
   最近は異常気象で、予想を超えるような雨があるということもあります。この事例を踏まえて、これまですすめてきた池の防災対策について、どういう教訓を引き出し、今後どういう対策をされるのかをお伺いしたいと思います。


《答弁者》 農林水産部長
   災害対策に関しまして、ため池調査についてでございますが、これまでデータベースとして電子化をされてございます。県下の5549箇所のため池の台帳をもとに致しまして、平成16年から現地調査による第1次診断を420箇所行ってございます。
   このうち更に、調査・分析を必要とするため池につきまして、2次診断としてボーリング調査45箇所を実施してきてございます。
   更に、本年度より2次診断を5ケ年間で55箇所実施することとしてございまして、ため池の耐震診断調査の充実を図ることとしてございます。
   今回のことを教訓と致しまして、日頃のため池の管理・点検の中で、堤体の浸食や漏水などの実態をまず早期に発見をすることが被害の未然防止につながるということでございますので、市町村を通じまして、管理者である水利組合などに対し、周知の徹底を図って参りたいと考えてございます。


《再発言》 雑賀光夫 県議
   ご苦労様でございます。ため池調査がはじまったのは、暑いころでした。私も、慶権寺(けんごうじ)池の第一次調査に一緒にまわらせていただいたことを踏まえて、ついつい「ごくろうさま」でしたというのがこの問題では、口癖になってしまっています。
 海南海草でいえば50ほどの調査された池の中で危険度が50を越す池は5箇所ですが、危険度40を越す池はたくさんあります。
   その苦労して調査して危険度40という評価であった池が、さらに調査対象でなかった池まで、今度の集中豪雨では決壊の危険にさらされたというわけですから、対策は大変です。ボーリング調査をさらに55箇所にひろげるということも明らかにしていただきました。「ため池防災」は、市町村や水利組合と一体になってやらなくてはなりませんので、よろしくお願いします。


(2)学校の耐震対策と施設整備
・小中県立学校の耐震対策

《質問》 雑賀光夫 県議
   第二点として、小中県立学校の耐震診断と耐震補強と施設整備についてお伺いします。
   中国四川省での震災では、多くの児童が学校の下敷きになってなくなりました。大変痛ましいことでした。つづいて、岩手・宮城地震がおこりました。被災されたみなさまにこころからお見舞い申し上げたいと思います。
   いつくるかわからない地震に備えて、万全の耐震補強をしなくてはなりません。学校耐震化をめぐっては、11日に超党派5党派共同提案による地震防災対策特別措置法の改正法が成立しました。文部科学省でも、危険性の高い校舎の耐震化を原則3年を目標に取り組んで欲しい考えだと報道されています。
   小中県立学校の耐震診断と耐震補強はどこまですすんでいるか、今後どうするのかをお聞かせください。


《答弁者》 教育長
   公立学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす学習・生活の場であるとともに、非常災害時には地域住民の方々の応急避難場所としての役割を果たしますので、その安全性の確保は極めて重要なことと考えてございます。本県の平成20年4月1日現在の耐震化にかかる状況は、耐震診断調査の実施につきましては、小中学校で対前年0.7%増の95.3%、県立学校におきましては、既に平成16年度末に全て完了してございます。
   耐震化率では、小・中学校が対前年7.7%増の60.9%、県立学校は4.2%増の86.7%となっております。
   また、国においては中国・四川省の大地震を契機に、今年度から3箇年の時限措置として、大規模な地震により倒壊等の危険性が高い公立小中学校施設について耐震補強を行う場合、従来の国庫補助率を1/2から2/3に、また改築の場合は、1/3から1/2にとする支援策を講じることになりましたので、従来に比べますと各市町村の財政負担が大幅に軽減されることになりました。
   県教育委員会といたしましては、耐震性が確保されていない小中学校の校舎等について、改善された国の補助制度を活用して、耐震改修を計画的に実施するよう関係市町に強く働きかけるとともに、県立学校施設につきましても耐震化計画に基づき、引き続き取り組んでまいります。


・南紀支援学校の施設設備

《質問》 雑賀光夫 県議
   震災対策だけに限らない問題になりますが、先日わたしは、上富田町の南紀支援学校を訪問しました。肢体不自由児の支援学校ですが、40数人の生徒が学んでいます。肢体不自由という言葉で車椅子に乗っているのかと考えますが、それだけではありません。学校要覧で障害種別を示されてみると、脳性まひ、筋ジストロフィーはわかりますが、私には分からない病名がならんでいます。教室をまわってみると、ひとつの教室に二人の児童がいて二人の先生がつきそって、体をさすったり、ゆすったりしながら子どもの発達を支援しています。もっとも災害に弱い立場にある子どもたちが学ぶ学校の老朽化がすすんでいることが大変気になったのですが、この学校の耐震対策とともに、大きなハンディキャップをもった子どもたちにこそ最善の教育条件を保証しなくてはならないという立場から、整備計画がどうなっているのかをお伺いしたいと思います。


《答弁者》 教育長
   南紀支援学校は、昭和42年に県内で最初の養護学校として開校以来、県内の肢体不自由教育の牽引役としての役割を果たしてまいりました。
   肢体不自由の子どもたちには、その障害特性に応じて、より適切な教育環境の整備が重要だと考えておりまして、南紀支援学校の教育環境整備につきましては、耐震化はもちろん、特別支援教育の理念を踏まえ、現在、策定を進めております特別支援学校再編整備構想の中で、県立学校全体の施設整備の状況を勘案しながら、鋭意検討してまいりたいと存じます。


2.包括外部監査結果報告の受け止め方

《質問》 雑賀光夫 県議
   第二の柱として、包括外部化監査結果報告の受け止め方についてお伺いいたします。
 「外部監査」という制度が発足しまして、平成11年度から「外部監査報告」が出されるようになりました。県行政や県議会から距離を置いた「外部監査人」を指名して、県行政をチェックしてもらうものだと理解しています。またその費用には1000万円もの予算が計上されています。
 その包括外部監査報告書を読んでみると、大変重要なことが指摘されています。しかもその指摘は、私たち共産党県議団の立場から言えば、私たちが主張してきた意見と多くの共通点をもっており、その問題が県民には大きな財政負担を負わせている場合がしばしばあります。いまから、具体的に問題を申し上げましょう。
 先の2月県議会で、「債権放棄」の案件の採決が先送りされたプラスパフーズという豆腐製造組合へ貸付た高度化資金24億円をはじめとした焦げ付き問題です。この問題は、乱脈な同和行政の問題として、共産党県議団は前々から問題にしてきました。今県議会でも、わが県議団の松阪県議がつっこんだ質問をおこないました。私自身がとりあげた最近の議論で言えば、昨年秋の決算委員会で「10億円の融資を受けて買った土地が、競売してみると1億2000万円でしか売れなかった」「10億円の価値があったと見ているのか」と質問しましたが、県当局のお答えは「それだけの価値があった」ということでした。
 しかし、「平成14年度包括外部監査報告書」では、「プラスパフーズが取得した土地の価額は12億5000万というが、実際は3億5400万円、取得当時でも4億9300万円と推測される」としているわけです。そして競売してみたら1億2000万円にしかならなかったわけであります。
 私が問題にしたいのは、「包括外部監査報告書」で重大な指摘がされたとき、県当局としてどういう検討がなされたのかという問題です。何の検討もせずに、わたしには「それだけの価値があった」と答弁し、「債権放棄」の議案を提案しているのではないのでしょうか。そうだとしたら何のために外部監査なのか分かりません。内部では、「こまったことだ」と頭を抱えたのかもわかりませんが、県民の眼から見て、真摯な検討や反省をしたとは見えません。
 過去の問題であっても、問題があったとすれば、きちんと総括して、県民に説明しなければなりません。きちんと総括し反省しなければ、同じ誤りを繰り返すことになります。


(1)外部監査の意義、外部監査人の選任
   以上の経過を踏まえて、まず総務部長にお伺いいたします。外部監査の意義は何か。外部監査人はどのようにして選任されるのでしょうか。


《答弁者》 総務部長
   外部監査は、外部の高度な専門的知識を有する者と外部監査契約を締結し、その監査を受ける制度でありまして、監査委員による監査を補完しても県の監査機能を強化する意義を有するものと考えております。
   また、その選任方法につきましては、本県の場合は、日本公認会計士協会近畿会から推薦された候補者の中から、補助人の数等監査体制が十分であるか、自治体の外部監査の実績が豊富であるかといった点を考慮して人選した上で、議会の議決を得て選任しているところであります。


乱脈同和(高度化資金貸付)を指摘した
(2)平成14年度包括外部監査報告の検討は

《質問》 雑賀光夫 県議
 次に、商工観光労働部長にお伺いいたします。平成14年度包括外部監査報告がだされたとき、県行政としてどういう部署で、どういう検討がなされたのか。どのように受け止められたのかおきかせください。


《答弁者》 商工観光労働部長
   今、総務部長からもお答えいたしましたが、外部監査の意義とその重要性につきましては、外部の第三者による客観的な監査であり、その意見は重大であると受け止めなければならないと考えてございます。
   包括外部監査を受けた時の、高度化資金の貸付並びに償還指導の事務は当時、商工金融課が担当してございました。当時の対応といたしましては、プラスパフーズ協業組合の土地取得に係る貸付金額と、包括外部監査の評価額との乖離に関しまして、精査・検討をしたところ、貸付当時における取得土地価格のuあたりの単価は、国土利用計画法上の不勧告の範囲であり、違法性はなかったものと判断したところでございますが、結果としてこのような事態になったことにつきましては、非常に重く受け止めたところでございます。
   それ以降、今後の貸付審査につきましては、外部の専門家を入れた審査委員会を設置することとし、融資の妥当性を総合的に判断する体制の整備を図るとともに、担保物件の鑑定評価による債権保全、利益相反的な取引が含まれるおそれのある案件等については、より厳しい審査を実施することとするなどの、貸付事務要領の改正をも検討しているところでございます。


コスモパーク加太の債務保証問題
(3)平成19年度「包括外部監査報告書」

《質問》 雑賀光夫 県議
   次に最近発表された平成19年度「包括外部監査報告書」にかかわる問題について申し上げます。この報告書では、「コスモパーク加太」にかかわる問題にふれています。大まかに問題の構図を申し上げますと、コスモパーク加太を所有する県土地開発公社は、金融機関から多大の借り入れをしていた。しかし、県とは独立した土地開発公社の借金であって、県は債務保証はしていませんでした。2003年になって借り換えをしなくてはならない期限がせまってきたわけですが、金融機関は「県が債務保証してくれなければ借り換えには応じられない」と主張したわけです。私たちは、「民間企業であれば自己破産するところだろう。銀行としては儲かると言う判断で金を貸したわけだから、自己責任として不良債権処理をしなくてはならないのではないか」と考え、大筋、そういう考え方で、県が債務保証することには反対しました。
 ところでこの度の「外部監査報告書」では、「法的責任と調停に代わる決定のアンバランス」という項をたてています。裁判所の調停に代わる決定というものがあるが、県に主たる法的責任があるわけではない、裁判所にひきづられて県は譲歩しすぎて県民に負担をかけているということでしょう。その結果、県民に265億円の債務保証、平成35年までの借地料122億円がかぶせられたのですからことは重大です。共産党県議団が主張してきたことと多くの共通点を持つ指摘です。
 このことについて、仁坂知事が4月2日に記者会見をされています。ポイントは二つあって、@「私は調停に代わる決定について、大変批判的です」「かなり愚かしい決定であった」とまで言われています。「しかし、すんでしまったことである。」記者会見で記者の質問に答えての発言ですから、表現は不十分ですが、「調停に代わる決定」にそって債務保証などを引き受けてしまったことを批判しておられるのでしょう。A 「今後の問題については、外部監査人の言うようなことができるはずがない。行財政改革プランにかいているようにやるしかない」。というようなことでございます。
   すんでしまった「愚かしい決定」と仁坂知事がおっしゃることについて、私は同感であります。今後の問題についても、私は知事がおっしゃることを頭から否定するものではありません。いったん債務保証を背負ってしまった以上、身動きがとれないからです。
   債務負担をしょいこんだ「愚かしい決定」には、知事は和歌山にはきていらっしゃらなかったから個人として責任はありません。しかし、県の行政組織は継続しているわけですから、県の組織として、どうして外部監査で指摘されるような、そして仁坂知事も批判されているような政策選択をして、県民にめいわくをかけることになったのか、総括をする必要があると考えます。「すんでしまったことだ」では、県民は納得できません。
   今後の対応についても、その結論が仁坂知事がおっしゃるとおりになるとしても、外部監査の意見について真摯に検討した上で、検討の経過と結果を県議会にも、県民にも明らかにすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。企画部長からお答えください。


《答弁者》 企画部長
   加太開発整備事業につきましては、県が主導的役割を果たして誘致した土砂採取事業を、土地開発公社に代行させたもので、県にも責任があり、一方、金融機関には貸し手責任があることから、当事者間で行う調停の中で、双方ぎりぎりの折衝を行ったものの、最終的に合意に至らなかったため、裁判所において当事者双方の衡平に考慮し、公平かつ妥当で、経済的合理性を有するものとして「調停に代わる決定」が出され、それを県議会におきましてもご審議いただき、受諾の議決をいただいたもので、当時の状況では、やむを得ない判断であったと認識してございます。結果、現在土地開発公社が計画的に借入金の償還を行っており、県が多額の債務保証の履行に見舞われることがない状況であり、県財政への影響等を検討した結果、現時点では引き続き土地開発公社とともに経営健全化に取り組んでまいりたいと考えてございます。


知事記者会見と部長答弁は違う

《再質問》 雑賀光夫 県議問
   「包括外部化監査結果報告の受け止め方」という問題で、私は、県政のこれからのすすめ方をお伺いしているのではありません。
 「外部監査」というものをどう受け止め、組織的に検討しているのかということをお聞きしているのです。
 「外部監査」という制度は、大変大事なものを含んでいます。これまでの政策決定にしがらみをもたない、県行政当局とも県議会とも関係のない専門家のたちばから、問題のありそうなところを選んで、意見を言ってもらう。そのために、1000万円もの予算をつかうわけです。「包括外部監査」には「指摘」というものと「意見」というものがあって、「指摘」されたものについては、監査人にどう対処したのかを報告しなくてはならない。そして監査人はそれを公表することになっているそうです。「意見」というのは、そういう義務がない。
 私が「包括外部監査」のなかから抜き出した部分は、「指摘」という部分ではありません。しかし、そうだからといって聞き流していいものではないと考えます。
   とくに、県民に大きな負担を強いる政策選択についての、耳の痛い話であります。その意見がもっともだと反省するにせよ、事情を知らないものの一方的な意見だとはねつけるにせよ、県行政としての論議があってしかるべきです。
 知事は「愚かしい決定」といわれた。ところが、企画部長の答弁は、債務負担受け入れを決定した当時の認識とまったくかわっていない「当時の状況としてはやむおえない判断であった」と繰り返しています。「包括外部監査報告書」も知事記者会見の発言もなかったのかのようです。それは、行政内部で、「包括外部監査報告」についての議論がおこなわれていないからじゃないのか。
 知事の記者会見の内容については、第一点は共感すると申し上げましたが、その「愚かしい決定」の問題について、知事は「私の心の中は、大変批判的です」といっておられる。「個人の心の中を明かせば」ということであって、県行政組織として検討したものではないことを、語っておられるわけです。
 県政の意思決定は、行政の側では知事の責任でおこなわれます。しかし、知事一人の頭で判断できるわけではないでしょう。三役会とか、部長会のようなものがあるのか、どういう論議の場があるのかはしりませんが、検討されてしかるべきですが、検討されたようには思われない。

   企画部長に再質問です。
第一 その答弁は、知事記者会見と違っていると思いますが、いかがでしょうか。
第二 あらためて、平成19年度「包括外部監査報告」の該当部分について、どういう検討をなされたのか、おうかがいいたします。
 商工観光労働部長の答弁には、多少は私の質問の趣旨を理解していただいているような気配もありました。平成14年「包括外部監査報告」の指摘を受けて、平成18年度から外部専門家の審査を入れたというのでは、説明になっていないということを、意見として申し上げておきたいとおもいます。


《答弁者》 知事(企画部長にかわって)
   まず、包括外部監査、19年度の話でございますけれども、私が気に入らない所があると言いましたのは、実は一つの点だけであります。
   本件の内容は、非常によく考えられている、その時としては立派な判断だったと考えています。なぜならば、今、雑賀議員がおっしゃったように、銀行のために云々ということで反対をするようなことをしちゃいかんというふうに思います。
   債務保証をしなかったらどうなるか。例えば、和歌山県で重要な銀行が潰れたら、中小企業がドタバタと潰れていきます。そうすると、多くの人達がもっと困る訳であります。で、県が無茶苦茶になった時に、誰が責任を取るのか、ということを、きっと当時の方々が良くお考えになった。
   ということで、私はそのことだけを考えると、多分これは100点の政策だというふうに思っております。
   ただし、その時に世の中はどういうふうに流れていたか。つまり、銀行の再生のために公的資金を投入して何とかする、というようなこともあったと思います。従って、それを例えば、私の前任の人が、東京で色々な経験を積んでおられた人じゃないかと。どうして、そのようなことの可能性を検討しなかったのかな、という意味で私は気に入らないと言った訳であります。
   そういう意味で、県当局や、あるいは地元の方々に、裁判所がやられたことについては、100点満点の立派なことだというふうに感じております。
   その次に、包括外部監査の件でございますけれども、これを意見としていただきました。やっぱりこの包括外部監査も気に入らないというふうに言っているわけで。
   では、どうするか、ということが、次の間題であります。意見であろうと指摘であろうと、それは問題ではなくて、今後、県としてどういうふうにしたらいいと思うのか、ということについて、先程、部内不統一だとか、それから、中でどうなっているのか、と言われて、県庁のトップでありますから、そういうことについて、黙っているわけにはいきません。そういうことを考えるのが、県当局の仕事であります。
   しかし、それは、1時間以上議論をしました、この方と。その結果、我々はそういうことを見越して、もう、この間題は後戻りするわけにいかないから、従って、「れば、たら」の議論をしているのは無責任であるから、これからどうするか、それを、行財政改革で徹底的に詰めました。右から左から色々考えて詰めた。
   で、そのことを、「これ以上の解があると思いますか」というふうに言いました。「いや、私は意見を言っただけで」とか、「感想を言っただけで」というような議論があったけれども、そういうことを、「今後やることは、これ以上のことはありますか」と言ったら、結論は、「全くありません」というふうにおっしやいました。
   従って、それを部内の人達も全部伝えました。聞いている人だけじゃなくて。この問題は、直前に発表していた行財政改革の流れの中でやっていこうと、歯を食いしばってやっていこうというふうに申し上げたわけでありまして、それが、部内不統一だとかなんとか言われたら、私は、非常に黙っている訳にはいかないのであります。


《再々発言》 雑賀光夫 県議
   コスモパークの問題で、県当局は、県議会も承認した判断を批判することに躊躇していらっしゃるように見えます。たしかに、あのとき、債務保証について県議会で反対したものは少数でした。しかし、賛成した方も、喜んで賛成したわけではない。議決が延ばされた。それでも、「当局はこれしかない」というので、苦渋の選択で承認したというのが事実ではないのでしょうか。データの多くは当局がお持ちですから、「これしかない」といわれれば、それになびく場合がある。一方的なデータを示して「これしかない」といったことに反省を加えても、議員のみなさんは怒らないんじゃないかと私は思っております。


―――――――――――――――――― 【解説】 ―――――――――――――――――――
   「企画部長の答弁と知事の記者会見が食い違う」という私の質問に、知事が答弁にでてきました。
   @     コスモパーク加太の借入金に県が債務保証にしたことは立派な判断だ。 … 債務保証をしなかったらどうなるか。例えば、和歌山県で重要な銀行が潰れたら、中小企業がドタバタと潰れていきます。
   A     その同じ知事が、次のように続けるのです。
   「その時に世の中はどういうふうに流れていたか。つまり、銀行の再生のために公的資金を投入して何とかする、というようなこともあったと思います。… どうして、そのようなことの可能性を検討しなかったのかな、という意味で私は気に入らないと言った訳であります」
   つまり、「県が債務保証しないで銀行に不良債権処理をさせても、公的資金で銀行を救済するという選択肢があった」と言っているのです。
   @とAは、まったく矛盾したことです。こんなことを、県議会という公的な場で、知事が発言しているのです。
   記者会見の場で、本音をいってしまった。しかし、それは応援してもらっている県議会の多数派を傷つけることになります。そこで、矛盾したことを言ったのですが、県民を愚弄する発言ではないでしょうか。
   私は、再々発言で、そのことを踏まえた意見を述べておきました。
   ここには、私の [解説] が当たっているのか、独善的な [解説] なのか、やりとりをお読みいただければおわかりでしょう。県民のみなさんの検証をお願いします。                       (雑賀)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


3.旧美里町の「裏金」問題

《質問》 雑賀光夫 県議
   第三の柱として、旧美里町のいわゆる「裏金」問題と県職員のかかわりであります。
 旧美里町の「裏金問題」が新聞をにぎわしました。
 問題は、旧美里町で工事に当たった業者からのキックバック、ゴルフ場関係者からの寄付金を、「裏金」として町収入役に管理させ、「裏金」として県職員への官官接待や政治家のパーティ券購入、さらに気に入った町会議員の事業に使ったり、最後は自分の金庫に入れて私物化しているという問題です。
 事件の全貌は、「100条調査委員会」で解明中ですが、ほぼ以上のようなことは明らかになりつつあります。「公金か私金か」という争いもありますが、それは司法の場で争う問題であり、脇においておきましょう。
 さて、県との関係では、「官官接待」の問題がございます。この点は、公金であろうと私金であろうと関係はありません。「わいろ」「官官接待」はあってはなりません。紀美の町の関係者の方にお会いすると、「県にめいわくをかける」と気にしておられましたが、仁坂知事からは「県には気にせずに全容を解明してください」と励ましがあったようで、それは大変結構なことでございます。また県としては職員にアンケートなどとって調査し、また紀美野町に職員も派遣し、資料提供をうけて実態の解明を進めておられるようです。

 そこで知事にお伺いいたします。
(1)県職員の関与として、どういうことが明らかになったでしょうか。
(とお聞きするつもりでいたのですが、昨日の中議員への答弁がございましたので、それとかさなるようなら結構でございます)


《答弁者》 知事
   旧美里町による県職員への接待等の実態把握、これはそういうニュースが出ましたので、把握しなければいかんということで、中議員との議論もございましたけれども、紀美野町議会に、ちゃんと事情を説明し、事情等をよくお分かりいただいたうえで、向こうの意思として、割引券を使用したゴルフ場利用者名簿、中元などの贈答品送付先名簿、それから招待券を利用した宿泊施設の宿泊者名簿等を受領して、それをもとにして、あるいは他の情報も入れて、今、県として調査しているところです。
   内訳については、雑賀議員のお許しが出ましたので、中議員に申し上げましたとおりでございますので、省略させていただきます。
   県といたしましては、今後とも県職員へのヒアリング等を通じて、実態の解明をいたしてまいりたいと思っています。


《質問》 雑賀光夫 県議
(2)こうした問題がおこってくる背景を、どう考えておられるでしょうか。


《答弁者》 知事
   いくつかあると思うのですけれども、ゴルフ場の割引券などは、旧美里町が発行したものとは分かりにくかった部分もあると思います。しかし、これを安易に使用した、いわば脇の甘さといいますか、誰かにもらったのだけど、誰にもらったのだろうというようなこともあまりつめないで利用した人もいるようでありまして、そういう点では、職員としてはいつも気をつけていなければいけないというところがあったのではないかなと、それからより重要なことは、実はこの時代も職員に対しては、綱紀の厳正保持等を通達しております。この中で、市町村との付き合いにも襟を正すように通知をしてきたところです。この辺りの認識が、いまから考えますと、十分浸透していなかったのではないかと考えております。考えてみますと、ルールを守るということは、大変大事なことであります。ところが、ルールを守るというのは、なかなか人情としての痛みを伴うこともあります。私の例で失礼ですけれども、私は自分の個人への贈り物は受け取らないことにしますといってしまいました。そういたしますと、これは明らかに善意だけでくださっているというようなものも、家に宅急便で届くこともあります。それをお返しするということは大変失礼で、人間としておかしいのではないかと思いましたけれども、お返ししてしまいました。同じようなことを、うちの職員の何人かは考えたのではないかなと、だけどルールは守らないといけないということは大事なことなので、そういう点から判断してまいりたいと思っております。
   なお、調査の中で、もし仮にいまいったような話以上に、たとえば、手心を加えたとか、そういうような話があれば、これはまた別の話でございますので、こういうことはないと私は思っておりますが、きちんと調べておきたいと思います。
   また、県では、昨年4月から職員倫理規則を運用しておりますので、守るべきルールが明確化しております。職員ひとりひとりによりまして、辛さはあるかもしれないけれども、それぞれが一層理解をして、綱紀の粛正を徹底してまいりたい、みんなでやってまいりたい、こんなふうに思っているところでございます。


4.偽装ラブホテル問題

《質問》 雑賀光夫 県議
   第4の柱は、偽装ラブホテル問題であります。
   「新聞赤旗」報道によると警察庁提出資料(四月十日現在)では和歌山県内に53の届出ラブホテルとともに29の無届けラブホテルがあるとなっているといいます。警察用語では、類似ラブホテルと呼ぶようでございます。日本共産党の吉井英勝議員が資料を請求して明らかにされたものです。
   和歌山市から海南市にはいる入り口に、けばけばしいホテルがあります。マリーナシティで世界リゾート博が開かれた年に「レディスホテル」としてオープンいたしました。地域の住民のみなさんは「どうもおかしい」と反対の声を上げましたが、正体をかくしたままオープンし、今では紛れもないラブホテルのようにおもわれます。天下の名園・温山荘園の前でありますし、子どもたちに人気の自然博物館や子どもプールのすぐそばでもあります。
   警察庁は2006年10月、「地域において問題になっているラブホテル等への対応について」との通達を出し、建築基準法や旅館業法などに違反する場合、関係当局に対し措置命令を出すなど適切な対応を積極的に申し入れるよう指示しています。
 そこで、警察本部長におうかがいいたします。

(1)風俗営業法上の認可をうけていない「類似ラブホテル」といわれるものの実態をどう把握しておられるでしょうか。


《答弁者》 警察本部長
   旅館業法上の許可を取り、実際にはラブホテルに類似する形態で営業する「類似ラブホテル」業者が出現している状況につきましては、県内においても議員ご指摘のような実態でありまして、これについては、法のすきまをつくような行為であるというふうに認識をしております。


《質問》 雑賀光夫 県議
(2)自然博物館や温山荘園周辺は、ラブホテルの認可ができる地域なのでしょうか。ここにレディスホテルと銘打って営業をはじめたホテルは、警察庁が類似ラブホテルとみなしているものに属しているのでしょうか。


《答弁者》 警察本部長
   海南市にあります自然博物館周辺は、法及及び条例の規定によってラブホテル営業ができない地域であります。
   この付近に所在するホテルは、旅館業法上の許可を受けて営業をしておりますが、外見上はラブホテルに類似する営業を行っている施設として警察でもその実態を把握しております。


《質問》 雑賀光夫 県議
(3)類似施設の実態把握と指導を今後どうされるのでしょうか。


《答弁者》 警察本部長
   この他、県内でも同種の営業形態を行っている施設が存在することを把握をしております。
   このため警察といたしましては、こうした類似ラブホテルに対しては、旅館業法等を所管する指導監督官庁と連携をして、指導監督官庁の立入調査等の際に同行して、内部の構造設備等を確認のうえ、そういった構造設備等が風営法に抵触をしていれば、是正勧告等を行いまして、そういった勧告に従わない悪質なものについては、今後、検挙等の措置をとってまいりたいと考えています。


《再発言》 雑賀光夫 県議
   ラブホテルの問題は、地域住民はたいへん気にしている問題ですが、どうにもならないと思っていました。しかし、今日、警察本部長から、温山荘園の前にあるホテルは外見上類似ラブホテルと思われること、その地域は、ラブホテルの営業は認められない地域であることを明確にされた。これが何よりも大事な出発点です。旅館業法等を所管する指導監督官庁、これは県では食品衛生課あたりや保健所などだろうと思いますが、それと連携して指導するという明確な答弁をいただきました。
   こうした問題では、逃げ道をつくるしたたかな業者も多いことですから、世論で追い詰めなくてはなりません。教育委員会もがんばってもらわなくてはならない。海南市議会でも、共産党の議員が今回の議会で取り上げることにしています。
   子どもが健全に育つ環境作りのとりくみの出発点にできると思っています。


5.テレビ放送の地上デジタルへの切り替え

《質問》 雑賀光夫 県議
   第5の柱は、テレビ放送の地上デジタルへの切り替えについてであります。
 2011年でテレビ放送のアナログ放送は終わりになる、地上デジタルへの切り替えが大きな心配になっています。和歌山県はテレビが見られなくなる心配のある地域が全国でもダントツで多いといいます。それは国の責任でありまして、知事を先頭に県当局は、総務省に乗り込んで責任を追及し、対策を求めていらっしゃると思っております。
 そのことを前提にしての質問であります。
 先日、わが党の山下よしき参議院議員が和歌山にまいりまして、紀美野町の幹部のみなさん、県の担当部課のみなさんと懇談し、地域住民のみなさんの声もお聞きいたしました。私も、その一部に同行いたしました。
 紀美野町は、地上デジタルに切り替わった場合、難視聴地域が多くなることが心配される地域です。紀美野町では、ギャップフィラー方式という、地域内にたくさんのアンテナを立てる方式をすすめています。これは全国的にも先進的なこころみだそうです。和歌山県にしても紀美野町にしても、困難な条件に置かれている地域が、逆に対応では先進的になっているというのが、この問題の変わった特徴です。
 テレビ放送のデジタル化というのは、国が決めたことですから、国の責任で国民がこれまで通りテレビが見られるようにしてもらわなくてはなりません。しかし、何の相談にもあずかっていない自治体や地域住民が、新たな負担を強いられるという、不合理な問題が生じているわけです。紀美野町では、あらたなギャップフィラー方式に加入するために、1所帯につき3万円を支払わなくてはならないという問題がおこっています。また、町としては、ギャップフィラー方式の一つ一つの鉄塔が、電波を発信するというので放送局のような扱いをされ、町としての財政負担を強いられるという問題があります。

 企画部長にお伺いいたします。
(1)和歌山県内の難視聴地域対策はどこまですすんだのでしょうか。


《答弁者》 企画部長
   これまで国の責任において対策を講じるよう強く求める中で、平成18年5月、県独白の「地上デジタル放送推進連絡会」を設置し、鋭意取り組んでまいりました。
   今般、公表いたしました「難視解消ナビゲーター」では、県内の難視予想箇所は715箇所46,980世帯で、うち対応策が確定している箇所が、316箇所20,244世帯となっております。
   今後は関係市町村とも連携し、「ナビゲーター」で示した対策が着実に進むよう国への支援を要望するとともに、残りの箇所については早期に具体策を確定するよう取組を進めて参ります。


《質問》 雑賀光夫 県議
(2)積極的な対策をおこなっている紀美野町のギャップフィラー方式では、「鉄塔の一本一本に電波利用料がかかるのはいかにもだ」という声が出ているがどうお考えでしょうか。


《答弁者》 企画部長
   電波利用料は電波に関する行政事務に要する経費を電波を利用する人すべてで公平に負担する。そういう観点から国が課しているものでございます。
   県といたしましては、見直しについて国に対し要望して参りました結果、1基あたり年25,700円の電波利用料が6,100円と低減されたところです。
   今後とも、市町村や地域住民に過度な負担がかからぬよう、引き続き国に対して制度改善を要望して参りたいと考えております。


《質問》 雑賀光夫 県議
(3)難視聴地域といわれないところで、放送が切り替わると「見られない」という混乱がおこるおそれはないのでしょうか。


《答弁者》 企画部長
   「ナビゲーター」における難視予想地域は、総務省がシミュレーションに基づき公表したデータを基にしておりまして、実際の電波の受信状況とは若干異なる場合も想定されます。
   このため、今後は、実地調査を行う等、より正確・精緻なものとするよう努め、議員ご指摘の新たに見られない地域が発生した場合は速やかに、ナビゲーターに掲載し対策を検討してまいります。


《質問》 雑賀光夫 県議
(4)生活保護家庭にかぎらず低所得世帯への支援が必要だと考えるがいかがでしょうか。


《答弁者》 企画部長
   低所得者への支援については、現在、総務省の審議会で検討中であり、その詳細な案は近々明らかになると聞いております。
   いずれにいたしましても、県としては、すべての県民が過大な負担を負うことなく対応できるような制度となるよう今後とも国に対し要望してまいります。


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6月県議会雑賀光夫一般質問=08年6月20日