2008年9月県議会 藤井 健太郎 一般質問と答弁

2008年9月1







1.燃油価格高騰問題と今後の対応

(1)対策会議設置後の対策と総括
(2)県内産業への影響把握と今後の対応
  @   現状認識について
  A   県の緊急対策と中長期の対策
  B   国の緊急総合対策への対応
(3)国の特別交付税の活用
   @   福祉灯油
   A   社会福祉施設への支援

2.防災について
(1)洪水対策
  @   紀の川洪水ハザードマップについて
  A   市内河川の整備状況
  B   避難の態勢
(2)広域消防について
   @   消防力の強化と市町村の財政負担
   A   自主的な広域化と県の役割

3.住宅問題について
(1)住宅政策の基本的考え
(2)県営住宅管理制度の見直し
  @   制度見直しの評価
  A   家賃見直しの影響
(3)雇用促進住宅の廃止問題


1.燃油価格高騰問題と今後の対応


《質問》 藤井健太郎 県議
 県は、昨年の12月20日、原油価格の高騰を受けて県の施策の検討や情報交換などを目的として「原油価格高騰にかかる庁内対策会議」を設置しました。
 全庁的な取り組みとして、各部局への相談窓口の開設、価格動向の把握、便乗値上げの監視、融資制度の拡大、漁業近代化資金への利子補給、生活困窮者の見守り、単品スライド条項の適用、省エネ対策などに取り組んでまいりました。
 庁内対策会議が設置されて、まもなく1年が過ぎようとしていますが、燃油価格は依然として高止まりの状況であり、燃油以外の諸経費も上がり、コストアップ分を売買価格に転嫁できない、下請け価格に上乗せして請求できないという状況が中小の業者で広くみられ、売上が増えないもとで、規模の小さい、中小零細の事業者がおかれている状況はいっそう厳しくなってきています。
 今年も年の瀬、季節的には冬場を迎えるにあたり、中小事業者の経営や県民生活をどのように守っていくのか、県政に対する要望も高まってきています。
 そこで、知事ならびに関係部長にお尋ねいたします。

(1)対策会議設置後の対策と総括について
 対策会議の立ち上げ以後の施策とその評価について、その主眼はなんであってどのような成果を得たと考えておられるのか。対策会議は継続されるものと思いますが、今後の運営についての方針はどのように考えておられるのか、お尋ねします。

(2)県内産業への影響把握と今後の対応について
@特に農漁業、運輸・交通、建設・クリーニング、公衆浴場など燃油が経費に占める割合の大きい分野での影響をどのように認識されているのか。実態の調査はされてきたのか、その結果はどのようになっているのか。

A今後、県が実施すべきと考えている緊急的な対策、また、中長期の対策、それらの基本的な方針をどのように考えておられるのか。これから年末、年度末を迎えて中小事業者の資金繰りが懸念されます。緊急的には借入金に対する利子補給や保証料の軽減などが考えられるわけですが、9月補正では見るべき施策がないように思えます。どのように考えておられるのでしょうか。中長期的には、温暖化対策もかねた省エネにむけての支援などが考えられるでしょうけど、さしせまって困難に直面している事業者への支援のありかたをどのように考えているのか。国の緊急対策待ちではなく、県でできることは早急に取り組んでいってもらいたいと思います。

Bこの8月29日、政府において緊急総合対策がとりまとめられ、補正予算での具体化はこれからの課題となっています。知事は、今議会冒頭の説明で、国の総合経済対策を活用して支援を進めてまいりたい、と言われておりましたが、この機会に県内事業者の実態をつかみ、国への具体的な要望をあげていくことが必要だと思います。
 たとえば国では、漁業関係者の強力な運動もあり、水産庁が燃油価格高騰分の9割について80億円の予算で直接支給を始めることとなり、すでに申請が始まっています。漁協関係者の声を聞きますと、支給条件として、これから10%の燃油削減を求められることや水揚げが増えれば支給額を減じるなど、これまで油を削減できるところまで削減してきた、水揚げを増やすことでコストアップ分を少しでもカバーしょうとしてきた、これ以上求められると厳しい、さらに経費に占める燃油負担の割合が全国的に高いところから順にということでは、うちまで回ってくるのか不安だが、とりあえず申請は出した、ということです。漁業者の要望にどこまで応えられるものとなるのか。今のは一例でありますが、緊急総合対策が県内事業者にとって利用しやすいものとしていくことが重要です。どのように対応していこうとされているのか。


《答弁者》 知事
   対策会議設置後の対策と総括、それから県内産業への影響の現状認識と、県の緊急対策と中長期の対策、国の緊急総合対策への対応ということについて重複を避けるためにまとめてご答弁申し上げたいと思います。
   まず、対策会議設置後の対策等でございますけれども、原油価格の影響を受けて、昨年来、石油製品をはじめ物価の値上がりが続きまして、多くの方々が大変な影響を受け始めました。
   このため、平成19年12月20日に「原油価格高騰に係る庁内対策会議」を設置し、まず、総合相談窓口の開設とか、あるいは冬場ということもありまして灯油などの値上がりにより、たちまち影響を受けやすい生活困窮者や高齢者世帯の見守り活動を強化する、あるいは、セーフティネットの政策融資がありますが、これの対象の存在など、そういう対策を打ってまいりました。
   春になりまして、原油高騰が依然として続くなか、じわじわと影響が特に産業界に及んでいくということで業種対策が必要となりまして、従来の対策を更に強化し、例えば公共工事の単価の見直し、あるいは中小企業への融資の拡大、下請取引適正化、施設園芸の省エネ対策、クリーニング事業者等に対する融資枠拡充の周知、そういうものをやってまいりました。
 夏になりますと、ますます原油高騰が拡大してまいりまして、特に影響の大きい漁業あるいはトラックあるいは農業、そういう方々から大変強い要望を受けたりするようになりました。特に、これを受けまして影響の大きい漁業の燃油高騰対策といたしましては、漁業分野における利子補給とか、省エネ操業に対する取り組み支援とか、水産関係の基盤整備の前倒し実施とか、県として出来る事をすぐやろうということで実施しました。それから、トラックや漁業協同組合などの各種団体からの強い要望に対しましては、相談窓口対応やあるいは農業普及員等の巡回、漁協や漁業者向けの説明会などあらゆる機会を通じまして、和歌山県内の状況把握に努め、その時々の実情に合わせて対応し、やれること、できることは迅速に進めて来たところでございます。同時に、県だけではできないということは、国に働きかけをしております。単独でお願いをしてというだけではなくて、全国知事会においても「漁業用燃料等の原油、原材料の高騰に関する緊急決議」を政府に提出するなどの働きかけも行ってまいりました。先般発表された、国の「安心実現のための緊急総合対策」には、こういう観点から様々な施策が取り上げられたという風に私たちは認識しております。これを一刻も早く実現して、予算化して、国民がこれを使えるようにしてもらいたいというふうに、私は考えているところでございます。
   そこで更に、今後は石油市場等の透明性の向上をはじめ、代替エネルギー対策や新エネ・省エネ技術の抜本的導入促進など、国における取り組みをいっそう強化し、スピードを上げていただきたいと考えておりますが、一方、県といたしましても、今まで同様、それぞれの分野において状況をよく見極めつつ、何かございましたら国に伝える、あるいは自分でどんどんやる、そういうことを今後一層力を入れてやってまいりたいと思います。このために対策会議は、ますますその重要な任務を今後も果たしていくのだと考えております。


《再質問》 藤井健太郎 県議
 答弁を聞いておりますと、県として出来ることはやっていく、国の方で緊急対策をつくっているので、それの早期実現を見ていきたいというようなニュアンスで、何かあれば国に対して言っていきたいという話であったかと思います。
   私の質問は、今年も年の瀬には年末を迎えるわけですが、この9月補正で新たに実態調査もされているのであれば、今の県内の、特に中小業者の県民の生活というのはご存知でしょうと、それに対する施策は何も考えられなかったのですかと。漁業者に対する利子補給というのはされておりますが、それ以外の中小事業者や、そういうことについては今のところ必要ないというふうに思っておられたのか、国の対策で十分であるというふうに思っておられたのか。
   今、総裁選挙が行われていますが、その後、解散総選挙という事態になれば政治の空白ということが生まれるわけです。国の緊急総合対策も、それが今の県内の事業者、県民にとってプラスになるというものなら早くしてほしいというのが誰もの願いであろうかと思いますが、市に対する要望も実態把握しながら、国にタイムリーに上げていくことも大事な問題だと思います。知事は必要があれば言っていきたいというような話をされていたと思いますが、一例として、漁業者の関係で今の水産庁の制度でも非常に心配だと、いろんな支給条件、ハードルが高い、それはなんとか改善して欲しいという声があるわけです。水産業者だけに限らず国の緊急総合対策を見きわめながら、県として言っていくことはきちんと言っていく、国の対策が利用しやすいように、利用できるように変えていくというのが今の時期にやっていくことだと私はこう思うわけです。
   知事はしばらく様子見をして、というようなニュアンス的に聞こえたわけですが、そのへんどうなのか。


《再答弁者》 知事
   議員は、正確には再現できませんが、あなたの答弁は国に頼ってばっかりで、自分のはないのか、あるいは様子をみてとか、そういうふうに括られたように思いますが、賢明なる議員諸氏は、ご理解いただいていると思いますが、私がずっと説明しておりましたことのほとんどは、県庁が自分で対応したことでございまして、決して様子を見てとか、そういうようなつもりで県民の幸せを考えている訳ではありません。今後とも、自分でやるべきことは、あるいはやれることは、できるだけやっていきたいと思っております。
   例えば、セーフティネットの融資というのがございます。これは早速対象を広げました。従来は全ての業種の人が燃油高騰コストアップ要因で受けるというのが大変難しかったのですけれども、国についてもそれは少し拡大されましたけれども、県庁のは、もっと拡大して、それで全ての業種の方がコストアップに備えられるように、実はしています。


《要望》 藤井健太郎 県議
 中小事業者、特に下請けや、建設、運輸関係は規制緩和で競争が激しくなり、元請けに対して価格を上げてほしいなどとても言えない。価格表がある場合はそれを持っていって「こういうことになっています」という話はできるが、それ以外の諸経費コストアップ分についてはとても言えないという状況があるわけです。そういう実態もよく掴んで、助成に向けて関係機関に働きかけていってもらいたいと思います。


(3)国の特別交付税を活用した事業の実施

《質問》 藤井健太郎 県議
@福祉灯油の実施
 国が自治体向けに原油高騰に対する経費の1/2を特別交付税で措置する施策がいくつかあり、19年度は30道府県、752市町村が活用しています。国は20年度においても同様に措置するということで、今年の7月段階では37道府県が予算措置したということです。
 その一つが、福祉灯油といわれる生活困窮者に対する灯油購入費への助成です。
 19年度は全国的には12道府県、689市町村が実施。県内では高野町が実施しています。お隣の徳島県は県が音頭をとって全県的に実施しました。
 これから冬場を迎えるにあたって県内の灯油価格の動向には厳しいものがあり、和歌山市内で配達してもらって18リットル2,350円と高値で推移しています。
 平成16年、4月の時点ではは18リットル860円前後でした。規制緩和で灯油価格が市場価格に委ねられ、原油価格の高騰によってさらに拍車がかかり、5年間で3倍になったのです。灯油価格の急激な高騰にたいして、福祉的側面から生活の困窮している世帯を対象に助成をする、福祉灯油といわれるゆえんです。
 福祉灯油の制度を県として実施すること、また、実施する市町村への支援を求めたいと思いますが、どうでしょうか。
 生活保護基準に11月から翌年の3月まで、暖房費としての冬季加算の制度がありますが、和歌山市の場合1人世帯で月額2,810円。灯油21リットル分で、1カ月とはもちません。灯油価格が上昇する以前と加算額は変っていませんし、冬場に暖房をより必要とする山間地ほど金額が低くなっているなど矛盾もあります。収入が生活保護基準相当であっても生活保護を受給されていない人がたくさんおられます。国の活用できる制度を利用して、生活に窮する県民にあたたかい手をさしのべてもらいたいと願うものです。


《答弁者》 福祉保健部長
   まず、物価高騰に対する総合的対策としては、8月29日に政府・与党が取りまとめた「安心実現のための総合対策」に、離島・寒冷地での生活支援など地方自治体の自主的取り組みへの支援が盛り込まれているところであり、その実現に向けた国の動きを注視しているところでございます。
   灯油価格高騰に対して暖房用灯油の購入費用を助成いたします福祉灯油制度につきましては、昨年度寒冷地における生活困窮者対策として、主に寒冷地の市町村等で自主的に実施されたと承知しております。
   本県におきましては、暑さ寒さにより健康を損ねて困っておられる生活困窮世帯や高齢者の方々などを見逃さず、適切な福祉サービスにつなげるよう、昨年度から生活保護受給者に対するケース訪問を強化するとともに、民生委員・児童委員に見守り活動の徹底をお願いし、生活状況の把握に努めてきたところであります。
   今後も、引き続き生活困窮世帯等の生活状況の把握に努め、適切な福祉サービスにつなげてまいります。



《再質問》 藤井健太郎 県議
   国の特別交付税を活用した事業を多くの都府県がやっております。福祉保健部長は、福祉灯油については寒冷地対策というような話をされましたが、国の方ではこれは寒冷地に限っておりません。現にお隣の徳島県が全県的にやっていることです。これは福祉灯油を一例として挙げたわけですが、県民生活向けにも、国のこういう特別交付税を活用していけないものかとお訪ねをしたわけですが、その点について、知事としての所見も合わせてお伺いをしたいと思うんです。


《再答弁者》 知事
   これについても和歌山県は別に何も考えていないわけではありません。一番大事なことは、本当に困っている人が、例えば灯油も焚けないなんて大変な事にならないようにということを、ちゃんと見張っていることでありまして、灯油をある意味ではみんなに配る、ばらまくというようなことは、必ずしも今の財政状況からして、一番要請されることであると私は思っていません。
   したがって、そういうことがないように、これからまた季節が厳しくなってまいりますから、一層今までのスキームを強化して、そういった監視といったら失礼ですけれども、状況をよく見ていただくようにいろんな機関を動員していき、それで問題があったら、直ちに手を打ちたいと思います。


《質問》 藤井健太郎 県議
A社会福祉施設への支援の拡充も考えられます
 障害者施設には、国から燃油高騰分として運営費への一定額の上積み助成が19年度分については行われたところですが、高齢者、障害者、児童などの社会福祉施設での暖房費高騰分、デイサービスなど送迎の燃料費高騰分への助成など考えられないでしょうか。施設への報酬が引き下げられるなど、施設運営には厳しいものがあります。施設の安定的な運営をはかる上からでも検討してもらいたいと思います。


《答弁者》 福祉保健部長
   障害者の施設及び特別養護老人ホームなどの介護保険施設、デイサービスなどの介護保険事業所につきましては、その運営経費は、基本的に障害福祉サービス報酬及び介護報酬で賄われており、燃料費等につきましても、当該報酬の中で反映されているものとなってございます。
   これらの報酬につきましては、来年4月に次期改定が予定されており、現在、国におきまして「経営実態調査」を踏まえ、検討されているところであり、報酬改定の中で、適切に反映されるものであると考えてございます。
   児童福祉施設につきましては、毎年、措置費等の単価が改定されており、燃料費等の運営経費の変動につきましても、反映されているものと考えてございます。
   社会福祉施設を対象とした県独自の原油価格高騰にかかる運営費助成制度はございませんが、去る8月、近畿府県が一体となって、安定した福祉サービスの確保のため「原油高騰及びこれに伴う諸物価の高騰対策について」必要な措置を講じるよう国に対し、要望したところでございまして、今後も引き続き機会をとらえて、国に対して働きかけて参りたいと、そのように考えてございます。


2.防災について

《質問》 藤井健太郎 県議
 9月は防災月間で、各地で防災訓練が行われました。訓練に参加して改めて、家庭や地域ぐるみでの災害への日常的な備えを怠らないこと、そして、行政の防災への取り組みの強化充実が求められていることを痛感いたしました。
 国内だけでも昨年3月の能登半島地震、7月の中越沖地震、今年6月の岩手・宮城内陸地震など規模の大きい地震が続きましたが、地震だけではなく、短い時間で狭い地域での集中豪雨や竜巻、突風など気象の激変による災害も多くありました。
 県内でも5月24日午前3時から翌25日午前10までの雨量が和歌山気象台で145ミリを観測、紀北地域のため池被害をはじめ、和歌山市内においても和歌浦地区で時間あたり80ミリを越す豪雨が観測されるなど、各地で道路冠水がおこり、床上・床下浸水、土砂崩れなど、少なくない被害が広範囲におこりました。
 この8月末、愛知県岡崎市で1時間に最大146.5ミリ、24時間雨量では300ミリを超え、降り始めからでは448ミリの雨が観測され、河川が氾濫し、家屋の軒下までの床上浸水、道路の冠水、停電、橋の決壊、交通機関の麻痺、死者や行方不明者が出るなど市民生活に甚大な被害をもたらしました。
 被災された皆さんにお見舞い申し上げるともに、早期の復興を願うものです。
 近年、集中豪雨の発生回数は増加しつつあり、今後も夏の降水量と豪雨の頻度が増加すると予測されています。
 岡崎市でおきたような集中豪雨が和歌山市を襲ったらどうなるのか、現在、河川改修などすすめられていますが、果たしてどこまでの雨量に耐えられるのか、堤防の決壊や溢れ出した場合の備えは十分なのか、被害を軽減させるためのとりくみはどうなっているのか、解決を迫られている多くの課題があるように思います。
 平成16年、今から4年前に新潟、福井の集中豪雨で堤防が決壊し、大きな被害が出たことがありました。その年の9月議会の委員会で、本県のため池と河川の改修状況と避難活動についてただしたことがありましたが、県管理の449河川での当面する整備目標に対する改修率は33%、ということで、計画を上回る降雨があった場合は、主要河川でのリアルタイムでの水位監視を行っており、水防活動により被害拡大の防止に努めているとのことでありました。
 そこで、近年の集中豪雨が観測史上はじめてという降雨量を記録していることに鑑み、洪水対策について、特に和歌山市域の問題について関係部長にお尋ねします。

(1)洪水対策について

@   紀の川洪水ハザードマップについて
 和歌山市で防災マップの洪水版として、紀の川洪水ハザードマップが各家庭に配布されました。マップの表紙を資料として配布させていただきました。色のついている部分が浸水する区域となっています。これは、紀の川が大雨によって増水し、堤防が決壊した場合の洪水の範囲と深さを示したものとなっています。雨量は橋本地点の上流域で2日間に484ミリ、船戸地点の上流域で2日間に440ミリの降雨を想定しています。マップによると和歌山市域の40%、山野や丘陵地以外の市街地のほとんどが水没し、緑の部分で1m未満、青い部分で3m未満、赤い部分で5m未満かそれ以上の深さになる箇所もあるとなっています。これは、紀の川右岸、左岸ともそれぞれ数箇所が決壊したら、という想定であり、和歌山市の担当課にこのようなことが現実にありうるのか確認したところ、最悪の場合の可能性として、否定はできないとのことでした。
 この洪水マップは平成13年に現在の国土交通省が策定した紀の川浸水想定区域図にもとづいて作成されたもので、浸水区域の広さと水の深さにはあらためて驚かされます。
 そこで、県当局のこのマップに対する所見はどのようなものなのか。お尋ねします。
 また、和歌山市に集中豪雨がもたらす洪水や浸水に備えての対策について、今後の県のかかわりや支援はどのようなことになるのでしょうか。


《答弁者》 危機管理監
   「紀の川洪水ハザードマップ」は、紀の川が氾濫した時、住民が浸水の高さを知り、避難方法等を考えるために和歌山市が公表したものであります。
   このハザードマップにつきましては、「シミュレーションの最大値が表示されたものであり、図面に示された範囲が同時に浸水するというものではない」との和歌山市の見解であります。
   県といたしましては、急激に浸水地域が拡大する恐れのある集中豪雨にあっては、被害の軽減のため、住民がより早く気象情報などを把握し、速やかに避難などの対策をとることが重要でありまして、このマップはそのための有効な対策の1つであると考えております。
   県では、気象警報等の適切な伝達に努めており、市町村防災行政無線を活用した広報や、携帯電話を利用したメール配信サービスなどを実施しておりまして、また一方、和歌山市においても、本年7月、全ての市立小学校に防災行政無線の屋外スピーカーを増設したところであり、県と和歌山市が連携して、気象情報等の伝達方法の確立に努めているところでございます。


《質問》 藤井健太郎 県議
A市内河川の整備について
 和歌山市の洪水マップは紀の川のみに着目したものであり、市内には多くの県管理の河川がありますが、どこまでの降雨量を想定しての改修計画となっているのでしょうか。それぞれの河川の特徴や海の潮の状況、雨の降り方などによって河川の状況はかわってくるとは思いますが、和歌山市の公共下水道の処理能力は時間あたり50ミリまでの対応となっていて、それを超すと浸水地域が出ることになります。
 河川改修の目的が洪水や浸水を防止するということでもあり、身近な河川がどこまでの雨に対応できるのか、河川管理者としての考えを聞かせてもらいたいと思います。
 また、和歌山市内の河川改修の進捗状況と終了への見通しについてもお聞かせ願います。
 あわせて、昨年10月に河川整備計画に反映させるためとして市内21河川についての市民へのアンケートをとっていましたが、河川整備計画づくりの状況はどのようになっているのか。お尋ねします。


《答弁者》 県土整備部長
   和歌山市内の県管理の河川は27河川でございますが、主な河川については、概ね20年に1回発生する大雨に相当する、時間雨量約70ミリを目標として改修を進めてまいりました。
   これに対して、進捗状況は約53%となります。
   現在、和田川や七瀬川など7河川について、河道拡幅や河床掘削などの河川改修を実施していますが、今後とも治水効果の早期発現を考慮しつつ順次、整備を進めてまいります。

   また、河川整備計画は、河川法第16条の2の規定に基づき、中期的な河川整備の内容を具体的に計画するもので、現在、紀の川水系の市内21河川について策定の準備を進めております。
   今後、学識経験者のご意見を伺いながら策定してまいりたいと考えてります。


《質問》 藤井健太郎 県議
B避難について
 岡崎市では午前2時10分に全市域の14万世帯37万人に避難勧告が出されましたが、多くの住民には伝わらなかったとの報道がされていました。
 避難勧告の周知方法の問題もありますが、安全な避難場所の確保が前提でなくてはなりません。どのような対策が考えられているのか。市だけの対策で足りるのか。広域的な対応が必要となってくるのではないでしょうか。
 市街地全域の避難となると和歌山市の洪水マップではほとんどの避難場所の収用能力は不足、その上水没する。マップどおりの洪水にみまわれると避難不能となるのではないか。
   県の考えと市への支援、援助についてお聞かせください。


《答弁者》 危機管理監
   避難場所の開設及び運営は被災市町村が行うものであります。浸水地域の拡大により、避難場所が市内で不足するような事態が予測される場合には、和歌山市と連携し、近隣市町での避難所開設に努めてまいります。
   また、急激な増水により、住民の避難が遅れ、和歌山市だけでの対応が困難となった場合には、速やかに自衛隊や緊急消防援助隊の派遣要請を行うなどの支援をしてまいります。
   集中豪雨に対しては、県としても迅速かつ適切な対策がとれるよう、和歌山市と緊密な連携・協議を進め、必要な支援を図ってまいります。


《要望》 藤井健太郎 県議
   和歌山市に限って話をしましたが、和歌山市は紀の川の河口にありまして、地理的にも非常に低い所にあります。各河川にはポンプ場がたくさん設置されており、そのポンプ場が内水面の排水をしても河川の要領が足らないので、ポンプ場の稼働能力が十分に発揮できない状況にあるわけです。20年に1回発生するといわれる大雨の、それが70ミリにしか対応できないということなので、現在50%の改修状況ということですが、これは一刻も早く県管理の河川の河道の改修を急いでほしい。
   それから全市域避難勧告が出た場合の対応というのも、これは最悪の場合を想定して考えなくてはいけませんので、早く協議を進めていってほしい。


(2)広域消防について

《質問》 藤井健太郎 県議
 平成18年6月に消防組織法が改正され、消防庁は7月に市町村の消防の広域化に関する基本指針を告示、広域化の規模は大きいほど望ましいとされ、30万人以上を1つの目標として示しました。そして、平成19年度中に都道府県で広域化の推選計画を策定し、広域化対象市町村は広域消防運営計画の策定など広域化に向けた取り組みを行い、平成24年度までに広域化を実現することとされました。広域化に伴い臨時に増加する経費については、一般財源の1/2を国の特別交付税で補填、広域化によって必要となった施設整備については起債の充当率を高めるなどの措置がされることとなっています。
 本県では、基本指針にもとづき「自主的な市町村の消防の広域化の推進及び広域化後の消防の円滑な運営の確保に関する計画」いわゆる広域化推進計画を学識経験者からなる検討委員会を設置して、県内全ての市町村長の意見を聞きながら策定をすすめ、パブリックコメントを経て、現在、県内に17ある消防本部と2つの消防非常備自治体を5つのブロックに統合する計画が策定されました。
 市町村消防は、火災の予防・警戒・鎮圧を行い、県民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、救命・救助活動や地震、風水害などの災害による被害を軽減させることを使命としており、その活動に資するための人員、設備、施設の充実強化をすすめ、現場に短時間でかけつけることができ、地域の地理をも熟知した機動性の向上が求められているところです。国においては、全国で標準的な消防力を維持するために消防力の整備指針として、職員の配置数、消防車、救急車などの設置基準が定められているところです。しかし、本県の現状は消防の非常備の自治体があることや消防職員数や車両の設置数は救急車を除き、国の指針を大きく下回っている状況にあります。
 今回、示されている消防の広域化計画が実現すれば、市町村住民にとっての消防力、救命・救助力、防災力が果たしてどうなるのか、自主的な広域化といわれているけれど、消防の現場に不安や不信が残らないのか、職員の労働条件はどうなるのか、市町村の財政負担はどうなるのか、見えてこないところがあります。
 消防力の整備指針との関係でみれば、広域化によって人口規模や市街地の形成が広がれば、職員数、設備数を増やさなくても整備指針では充足率が向上したかのように見えることもあります。少なくとも現状の消防力を後退させることなく、地域の実情に応じた機動性のある消防力、防災力の向上に結びつけていかないと住民にとって広域化の意味がないものと思います。また、市町村消防の自主的な広域化をめざすといわれていますが、広域化にあたって県はどのような役割を果たしていこうとするのか。お尋ねします。

@消防力の強化と財政負担
   なぜ、5消防本部なのか。1本部にとの自治体からの声もあるように聞きますが、5つのブロックにした理由は何か。そのことにより、現在より消防力の強化にどうつながるのか。現在でも消防力の整備指針に対して充足率の向上が求められているところですが、消防署の再編縮小や職員数の削減などリストラ合理化につながるようなことはないのか。広域化後の運営について市町村の財政負担はどのようになるのか。県からの財政支援は考えられるのか。

A県の役割
 広域化をすすめるにあたっての県の役割は何か。自主的な広域化といわれ、広域化推進計画策定にあたって全市町村長の同意を得られたとしていますが、おしつけとなっていないか。県と市町村消防の関係でいえば、市町村消防は県知事の行政管理に服することはないとされていますが、県知事は消防に関する事項について市町村に勧告、指導及び助言ができるとされています。
 御坊市の消防長が、議会質問に対して「県からの要請を受けてやむなく参画を了承した」と答弁したことが地元紙で報道されていました。この表現では、自主的に広域化計画に参画する意思の表明とは受け止めがたく、強制力が働いていたのではないかと思われます。
 今後の協議をすすめるにあたって、市町村の自主性をどのように尊重していくのか。
 市町村の消防力をみれば、現状で十分ということはなく、地域での格差がかなり見受けられます。しかし、最初に広域化ありき、広域化さえすればすべて解決できるものでもないと思います。現状の消防力を後退させることなく、市町村の自主性、自発性において、地域のより充実した消防体制のありかたについての模索が求められているのだと思います。そういう点からの県の支援が必要だと考えるものです。


《答弁者》 危機管理監
   広域消防についてでございますが、平成18年6月の「消防組織法」の改正に伴い、県内全ての市町村長の意見を十分にお聴きしながら、本年5月末「和歌山県消防広域化推進計画」を策定したところでございます。
   本計画の策定に当たりましては、第1に「市町村の意見を可能な限り尊重すること」、第2に「消防非常備団体を解消すること」、第3に「2030年推計人口を用いて、より厳しい組織管理や財政運営が予想されるところの管轄人口10万人未満の小規模消防本部をできるだけなくすこと」等の考えの下、現在の17消防本部及び2消防非常備町村を、本計画の期限である平成24年度末までに最も実現可能性の高いと考えられる5本部にすることを目指すこととしております。
   消防の広域化は、現在の消防力を、消防署の統廃合や消防隊員の削減等で低下させることなく、消防隊員等の増強、高度な消防資機材の整備、救急業務の専任化等、質の高い消防防災サービスを提供できる体制を確立し、住民の安心・安全をより充実するために行われるものと考えております。

   また、広域化対象市町村が広域化に際し必要な事業に要する経費につきましては、人的・物的碓保に支障が生ずることのないよう、地方債をはじめ、所要の財政的支援が講じられることとなっております。
   県といたしましても、消防の広域化につきましては、それぞれの地域や市町村において、議会、住民、消防関係者等の理解を得ながら、自主的な意思に基づいて進めていくものと考えておりまして、そのために必要な情報の提供、助言等の支援を適切に行ってまいりたいと考えております。


3.住宅問題について

《質問》 藤井健太郎 県議
 平成18年「住生活基本法」が制定、住生活の安定の確保及び向上を基本目的と謳う一方で、公共住宅の供給に関する政府目標を廃止、住宅金融公庫の融資も廃止・縮小を追認、政府の住宅政策への公的責任を後退させているように思えます。
 住まいは生活の基本であり良好な住宅で生活するのは人権でもあります。国民に適切な住宅を保障していく上で、居住水準・住環境の向上、公的住宅の質量ともの改善と充実、適切な住居費負担、住宅関連事業者や金融機関の住宅整備への責務の明確化などが求められていると思います。
 とりわけ、近年、将来の生活設計の不安から借家志向、とりわけ公営住宅への希望が増えているのではないでしょうか。
 私のところへも、若いときから食堂を夫婦でやっていたが、体をこわして商売をやめた。これまで家賃が月額7万円のアパートに入っていたが、収入がなくなり、これからのことを考えると、公営住宅を申し込みたい。入れるだろうか。
 娘が離婚して子どもをつれて戻ってきたが、一緒にすむ部屋がない、公営住宅を申し込んでやりたいのだが、というような相談が増えてきています。
 高齢期を迎え、蓄えも底をつき、年金も先細りするもとで、住居費負担が厳しくなりつつあるのです。すまいの安定をはかるうえでも公営住宅の質量ともの整備と入居者の負担可能な家賃であることを望むものです。
 そこで、県の住宅政策の基本点や公的住宅でおころうとするいくつかの問題について、お尋ねします。

(1)住宅政策の基本的考え
 県の住宅政策の基本的な考え方、施策はどのようなものなのか。


《答弁者》 県土整備部長
   県の住宅政策の基本的な考え方につきましては、低所得者で住宅に困窮する方や高齢者・障害者等の安全安心居住の確保を基本としております。
   具体的な施策といたしましては、子育て世帯・高齢者世帯向けの賃貸住宅に対する建設補助や老朽化した県営住宅の建替・改善等を実施してございます。



(2)県営住宅管理制度の見直し

《質問》 藤井健太郎 県議
 公営住宅法施行令の一部改正により来年4月、公営住宅の入居収入基準や家賃制度の見直しが行われることになっています。現在の入居収入基準は平成8年に収入分位25%(収入の低い人から並べて25%までの人が相当する収入)の世帯を入居対象者として、政令月収20万円、給与所得者3人世帯で粗収入463万円までに設定されていました。それを政令月収15万8千円、収入400万円に引き下げる内容となっています。自営業者の場合は年間所得260万円ぐらいの線となり、和歌山市の生活保護基準と比較してみると、標準3人世帯で家賃限度額分、冬季加算、期末一時金を含めて年額240万円ほどの生活保護基準額になるわけで、入居収入基準がかなり低いラインに設定されているように見受けられます。
 高齢者世帯、障害者世帯などの裁量世帯についても入居収入基準額の引き下げを行うとしています。
 なぜ、入居できる収入基準の引き下げを行うのか。国の説明では、入居収入基準が10年以上見直されておらず、この間に設定した基準額以下の世帯が25%から36%にまで増え、そのことにより入居の応募倍率が高くなって、住宅に困窮する多数の希望者が入居できなくなった。そのために入居基準を引き下げるというものです。
 要するにこの10年間ほどで国民の所得が低くなってきて、公営住宅への応募が増えてきたというのです。人口の少子化、高齢化がすすみ、さらに1人親家庭が増えているもとで、公営住宅への要望は増えています。国民の要望にこたえていくというのであれば、公営住宅の増設こそ求められているのではないでしょうか。
 入居収入基準や高額所得者となる収入基準が引き下げられるために、収入は前年度と変らないのに収入超過者や高額所得者となり、市場家賃に近い家賃へとはね上がり、明渡し努力義務や明渡し請求の対象ともなってしまう人が出てきます。
 もう一つが、家賃そのものの見直しです。公営住宅の家賃は入居者の所得と住宅の広さ、利便性などから自治体が計算する応能応益家賃となっています。
 今回、それぞれの設定見直しが行われ、すでに入居している人で収入は前年度と同じなのに収入区分の変動で所得上位になったり、新たな入居収入基準を超える入居者、建替え後の住宅の入居者など家賃が上がることが考えられます。
 これでは入居者のすまいの安定がはかられないことになってしまいます。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。

@制度見直しをどう評価するか
 今回の管理制度の見直しについてどのように考えているのか。応募倍率の最近の動向からみて、入居収入基準の引き下げは住民の県営住宅に対するニーズから遠ざけることになるのではないか。県営住宅の戸数を増やしていくことこそ必要ではないのか。


《答弁者》 県土整備部長
   公営住宅法は低所得者に対する住宅の供給を目的として、入居対象者の収入基準を定めているところですが、世帯所得の変化や高齢者世帯の増加などに伴い、低所得者の方が増加し、本来、公営住宅を必要とする低所得者が入居しにくい状況が生じてきました。
   今回、収入基準の適正化をすることにより、低所得者で住宅に困窮する方にとって、公営住宅への入居がしやすくなるものと考えてございます。
   県営住宅の整備につきましては、耐用年数を考慮しながら建替事業や改善事業を進め、既存住宅の居住環境の向上を図ってまいります。


《質問》 藤井健太郎 県議
A家賃見直しの影響
 家賃制度の見直しで家賃が引きあがる世帯、引き上げ率はどれくらいになると推計されているのか。家賃引き上げに対する緩和措置や軽減措置はあるのか。入居者への説明をどのようにすすめるのか。


《答弁者》 県土整備部長
   現在の県営住宅入居者の認定収入額を基に推計いたしますと、比較的収入が多い世帯について家賃が上昇することとなりますが、その世帯は全世帯の約2割、1000世帯となります。
   この家賃の上昇する世帯の上昇率を計算しますと、約16%と推計しております。
   このことは、公営住宅における家賃負担水準が民間賃貸住宅における家賃負担水準に比べて著しく低い場合があるなど、公営住宅の入居者あるいは非入居者、この間での著しく公平を欠く状況も生じたための見直しだというふうに聞いております。
   なお、家賃の軽減措置はございませんが、急激な負担増を避けるため、5年間で新家賃に段階的にすりつくよう緩和措置をとることとなってございます。
   家賃制度改正につきましては、今月中に、直接、各世帯に対して改正の概要の通知を行うとともに、収入申告に基づく収入額認定作業が終了次第、来年度の新家賃額につきまして通知を行い、混乱を来さないよう取り組んでいく予定でございます。


《再質問》 藤井健太郎 県議
 現在、勤労者の収入、自営業者の所得が大変減少し低迷している。それはこれまでの国の施策、労働法制の緩和や各種の規制緩和という国の政治の結果に負うところが大きいのではないかと思うんです。そのことによって収入が下がってきた、そうしたら公営住宅に入れる人の間口も締めますよということでは、これはやっぱり困ると思います。そして、入居できる収入基準を一挙に75%までに引き上げるという話ですし、結局、公営住宅の家賃が低く民間住宅の家賃が高いので、不公平をなくすために公営住宅の家賃を上げるという話です。
   公営住宅は低所得者向けだといっているわけです。民間住宅に入れるだけの収入がないから、公営住宅への希望が殺到するということでしょう。そしたら、公営住宅の家賃が低く設定されて当たり前じゃないですか。そうでしょう。やはり知事として、この入居収入基準を一気に75%まで引き下げることは撤回すべきだということを国に上げるべきではないか。家賃値上げとなる人の緩和策も、5年間で新家賃にすり着くということです。これはさらにもっと緩和をして、毎年毎年の上げ幅を下げていくとか、今現在入居している人が公営住宅に安心して住み続けられるようにするにはどうすれば良いのかという観点から、ぜひ県知事としての声を出してほしいと思うんです。


《再答弁者》 知事
   制度というものは長続きするということ、あるいは持続可能性ということを考えていかなければいけないと思います。
   確かに、国の政策というのは、今、財政上の問題から合理化していくというのが、結構多うございまして、一部の方にはなかなか辛いというようなところもあるかもしれません。
   ただ、同時に、対象者として一番困っている人が入居できないというようなことも、今、散見されているわけですから、その一番困っている人が入居できるような制度を作っていくという、良いところもあるというふうにも思います。
   従って、そういう状況をよく見て、今後ともこれに関心を払いつつ、必要な手は打っていきたいというふうに思います。


(3)雇用促進住宅の廃止問題

《質問》藤井健太郎 県議
 独立行政法人雇用・能力開発機構が所有する雇用促進住宅を廃止するとの閣議決定がされ、市町村に有償譲渡を受ける意思があるかどうかが打診されています。平成20年度中に購入する意思の有無の返事をしなければ民間譲渡もしくは廃止するとのことです。県内には16市町に23住宅、1,850戸があり、今年の2月時点で1,467戸に入居、入居率80%で多くの方が住まわれています。
 もともと雇用促進住宅は、炭鉱閉山で離職した勤労者の受け入れ先での住宅の確保という国策で始められたものです。それが今回、外郭団体の整理、廃止という国策で住宅の廃止を行おうというものであり、和歌山に来て、和歌山の地で職を求め、長年入居されている人にとっては、つらい話となっています。紀三井寺住宅に長年住まわれている人の話を聞いてきました。九州から出てきて住友金属の下請けで働き定年退職した。兄弟、親類は他府県で暮らしており、地域でのコミュニティづくりに力を尽くしてきたが、年もとって、今さら出よといわれても困る。ここで住むしかないと言われていました。
 もともと国が管理していた住宅を廃止することであり、入居者に対する責任は当然、国が負うべき問題です。しかし、入居者は県内に住まう住民であり、住民のすまいの安定的確保をはかるうえでも自治体として見過ごすことのできない問題でもあるはずです。市町村に有償譲渡の話がされており、住民の不安も広がりつつあるなかで、県としての態度表明と対応が求められるのではないかと思うところです。

@県としてのこの間題に対する基本的姿勢はどうようなものなのか。
   入居者のすまいの確保については、国が最後まで責任を負うべき問題ではないのか。

A国管理の住宅を市町村へ有償譲渡するとのことであるが、市町村への無償での譲渡と管理費について、国の補助制度の創設もしくは県の支援制度の創設が必要ではないか。

B市町村からの譲り受けについての返事は20年度末までと区切っているが、弾力的に対応することが必要ではないか。

C廃止がやむなくなった場合、入居者の近隣における代替住宅の確保を関係機関と協議してすすめることが必要ではないか。

 以上、私なりに思うことを述べましたが、この問題に対する知事の所見をうかがいたい。ぜひとも、国に対して入居者のすまいの安定をはかる観点からの意見をあげていただきたいと思うがいかがでしょうか。


《答弁者》 知事
   雇用促進住宅の廃止につきましては、居住されている方にとっては、国の動きに大変な不安を感じておられると思います。
   基本的には、これは国の方針によって生じた問題でありまして、国が責任をもって最後まで対処すべきだと考えておりますけれども、現にある住民、即ち県民の心配は県庁の心配であります。
   したがいまして、現に居住している県民の生活に不都合が生じないように、よく見続けるとともに、必要に応じて関係機関に要望したり、対応を検討して行きたいと思います。


《再質問》 藤井健太郎 県議
 現在、雇用促進住宅に住まわれている人は非常に不安です。いつ退去を求められるのか、では次の住み家はどうなるのかという不安があるわけで、これに知事は、よく状況を見て必要に応じて対応していきたいということですが、国は20年度中に市町村に対して返事をしろと言っているわけです。促進住宅を買い取る意思があるのかどうか、買い取るのは後にしても、とにかく意思があるのかどうか返事をしろと、こういうふうに言っているわけです。それで市町村はみんな苦慮するわけです。財政状況が大変厳しい、しかし長年そこの市町村に住まわれていて、その住民の皆さんが大変な目に遭うのも忍びないということで大変苦慮をしている。そういう状況にあるなかで、必要に応じて対応していくというようなことではなく、国に対して“雇用促進住宅の廃止は撤回されたい、住宅は住宅としてきちんと国の責任でやっていきなさい”というぐらいのことを言ってもいいのではないかと私は思うわけです。


《再答弁者》 知事
   市町村は苦慮しているということでございましたが、県も同様にそれについては苦慮しているし、あるいは苦慮すべきだというふうに思っております。したがいまして、この問題を撤回しろというようなことを言うかどうかは別ですけれども、すくなくとも、一番はじめに申し上げましたように、最後まで責任をとれというようなことは、申し上げていかないといけないと考えております。


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9月議会 藤井健太郎 一般質問=08年9月19日